15年1月
「ホテル・ブダペスト」
今年最初に観た映画。
一種のミステリかなぁ。なんとも奇妙な作品だった。
よかったのは「鍵の秘密結社」のくだり。
ホテルのコンシェルジュたちをつなぐ不思議な連絡網。ヘンにリアリティがある。
小作だし、我が家で言うところの「シネヴィヴァン単館上映」という感じで、私は苦手なんだが、大内くんは大好きだそうだから、観たい人もいるかも
しれない。
ただ、ジュード・ローに何か期待して観る人がいたらやめておいた方がいい。
あまりにちょっとしか出てこないし、彼の演技が映画に何かを与えたとは思えない。
「20世紀少年 第1章『終わりの始まり』」
「20世紀少年 第2章『最後の希望』」
「20世紀少年 最終章『ぼくらの旗』」
原作の浦沢マンガがあまりに好きなので、面白くはないだろうと覚悟しつつ、正月でヒマなのをいいことに、ついに映画版を観てしまった。
やはり、そう面白くない。つーか、原作読んでない人に、あのストーリー、理解できるんだろうか。
唯一すばらしいと思ったのは、キャスティング。
実力派大物俳優をどかどか投入してるうえ、原作のイメージを忠実に再現している。
欲を言えばトヨエツの「オッチョ」が原作ほどムキムキしていないが、これも3本目に入る頃には演技力でカバーされ、あまり気にならなくなった。
まあ、映画観るより原作読む方を強く薦めますけど。「観なくていいよ」
「太平洋の嵐」
三船敏郎主演の戦争映画。
大内くんに言わせれば「日本にとっての大ヤマだった」ミッドウェイ海戦を描いたもの。
祝言を上げる数時間ぐらい待ってあげればいいのに、とか、艦長が船と一緒に沈む風習は良くないなぁ、とか、いろいろ思うところはあったが、圧巻
は、三船敏郎の司令官と田崎潤が幽霊のように海中で会話するシーン。
あれだけで、この映画が特別なものになったように思う。
戦争が、2度ともう起こりませんように。世界が平和でありますように。
「ファンボーイズ」
短い映画だが、楽しかった。
アメリカでは、「スター・ウォーズ」ファンとトレッキーがケンカしてるんだなぁ。
隅から隅まで、「スター・ウォーズ」の話。
マニアには、たまらないだろう。
私は熱狂的なファンではないが、やはり、「スター・ウォーズ」最新作の話は嬉しいもんだしね。
ちょっと泣ける要素もあって、なかなかいい作品だった。
15年5月
「ベイマックス」
非常によかった。
頑固なセルアニメ支持者の大内くんも、「『トイ・ストーリー』で、ピクサーの球は出尽く したと思ってた。CGアニメの可能性はまだまはかり知れない。ここまでやられちゃあ、完敗だ」と、ソファの背にどさっと身体を投げ出していた。
緻密で厚みのある絵(導入部のロボットバトルの、機体の塗装の剥がれ、ウェザリングの表現はどうだ!)、プラスチックからソフビに近づき、リカ
ちゃん人形以上に人肌を思わせる人物の顔の柔らかさ、予想を上回るスピード感ある動きといった技術的な面もさることながら、お約束のようなのにや
はり新鮮な話の流れ、効果的なエピソード、お涙頂戴を超えた深い感動のあるストーリーにも、「完敗」だった。
日本と中国の区別がイマイチついてい
ないのではないか、とか、カリ城のカーチェイスまでパクられちまった!という点も、すべて、ジャパニメーションに対するリスペクト、と取れる。
だ が、個人的には、アメリカにはかなわないなぁ、というのが素直な感想だ。
そして、最後の最後まで映画を観ると、結局アメリカ人は「スー パーマン」や「バットマン」にも大きな誇りを持っているのだなぁ、と。
気が早すぎるが、もしかしたら、今年の「大内家シネマベスト1位」は「ベイマックス」かも。
「アニメ賞」ではすまされない大きな感動があっ た。
DVD特典なのか、おまけのショートアニメ「愛犬のごちそう」も楽しかった。
「蜩の記」
「ベイマックス」とはまったく対照的に、真正面から日本を描き、抑えに抑えた画面の中で、武士道を問いかける。
「これが、理解できちゃう我々は、やはり、日
本人なのか?では、我々は、いったいいつ、どのように教育されて日本人になっているのだろう?」と己の根底が揺らぐような不安を感じながら観た。
四季の美しさ、武士の矜持と忠誠心の在り様、堅苦しい中にも情愛の通う家族や友人、すべてが、失われているようで今もなお我々の中に息づく「日
本」そのものだった。
書道で、最後の筆運びがすうっと抜けて余韻のある「書」が残るような、「やはりこうか」と「これでよかった」がギリギリに交
わった境地に、役所広司のまぶしそうな目が、心ほどけて印象的だった。
「ザ・バッグマン」
本編開始後、10分でレンタル屋さんに返しに行きたくなった。
でも、しばらく映画観てなかったからなぁ、と、ガマンして観ていた。
ロバート・デニーロは確かに名優かもしれないが、出演作を選ばなすぎる、というのが我々の経験則に照らした評価である。
モーテルと小人、というだけで、「ツイン・ピークス」みたいだと言って喜ぶ大内くん。
観終って「かしわ餅」を食べながら聞いたところは「面白くなかった!」という直截な批評だし。
サスペンスで始まっているのに、なんでこんな終わり方なんだよー、これじゃ「ノッティンガムの恋人たち」だよー、と言いつつ、終了。
ああ、時間とられつつ、ゆっくりGWだ。
「インターステラ―」
期待値が低すぎたのかもだけど、「思ったより、ずっとずっとよかった」。
いや、映像の美しさや世界観はすごかった。
お約束の、「地球規模で困ってる点を解決するという厳しいミッション、だんだん打ち解けて行く宇宙野郎ども(アン・ハサウェイさん、ごめんなさい)、そして影の薄い順に減っていく仲間たち」というパタンなのに、息が止まりそうになりながら終わりまで一気に観た。
もうSF映画は大したことない、と言いながら「ゼロ・グラビティ」にもやられちゃってるから、もしかしてSFってまだ生きてるのかなぁ。
本屋に行って蒼い背表紙の文庫でも買うか。
いや、とりあえず、星野之宜を読もう。
「グレース・オブ・モナコ」
グレース・ケリーを演じるのは大変だろう。なにしろ折り紙つきの美人である、トップ女優だったんだから。
それに果敢に挑んだのがニコール・キッドマン。
見た目は文句つけられないなぁ、と思いながら観たら、けっこう頑張ってた。
ただまあ、何と言うか、ちょっと小粒の映画かな。
大内くんは前から、「レディ・ダイアナの死の真相が知りたい。調べられないか。資料の公開を待ちたい」と言ってたけど、この映画を観たら、グレース・ケリーの事故もアヤシイ、と言い出した。
そんなん、もう言い尽くされてると思うんだけどなぁ。
「観てもいいよ」とは思う。
「万能鑑定士Q−モナリザの瞳ー」
けっこう面白かったけど、まあまあ、かな。
綾瀬はるかが思ったよりカワイイのがわかって、よかった。(テヘペロなキャラはあんがい似合わない)
松坂桃季も、メガネかけてたせいか、観ていて楽しかった。
映画と2時間ドラマの違いってのがわからなくて、この映画ぐらいのスケールと面白さの度合いで行くと、テレビドラマでも全然かまわない」とは思うんだけどね。
DVDのパッケージをちらっと見た息子が、
「これは、面白くないぞ」と言う。観に行ってないくせに。
「そこそこよかったよ」と反論しようとしたら、
「やっぱ、人の心を動かさなきゃダメだよね」と、急にまともなことを言い始めたので驚いて固まってる間に、シャワーを浴びに行ってしまったので、 それ以上のところはわからない。
「負うた子に教えられる」とはこういうことか。
「フューリー」
これも、前評判が良くて、大作だ、というウワサは聞いていたが。戦争モノってあんまり興味ないし、とりあえず観る。
ところがどっこい、ふたをあけて見ると、かなり考えさせられる、骨太の作品だった。
「火薬量と面白さは反比例する」と思っていたんだけど(要するに、ドンパチやってごまかしてる、ってこと)、認識をあらためた。
戦争映画嫌いな人でも、観て損はないかも。
だた、知人が実に的確な言葉で語るところの、「身体分離表現が多い」のは、苦手な人は苦手かも。
2カ所だけ、はっきりとは描かれていないシーンがあって、私は「ノーマン、童貞捨ててない」「ドイツ軍の青年は、見えてなかった」派なのだが、大内くんは自信を持って「やってるし、見逃してもらってるでしょ」と言う。
ネットの解釈もおおむねその方向だし。ちぇっ。
ブラッド・ピット、よかった。
「それでも夜は明ける」の時は、出演と言ってもちょっとしか出ないし、なんだか勝手に「いい人」になっちゃってるし、「フューリー」でも、どうかなぁ、と思ってた。
多少「英雄ぶる」キャラにいなることが多いけど(例外:「悪の法則」)、ハリウッドになくてはならない存在だろう。
観終ってぐったりするのはいい映画の証拠か。「観るといいよ」
「柘榴坂の仇討」
武士道ってやつはなぁ・・・「蜩の記」ではわかったような気がするんだけど。
泣かせるシーンがイカにもで、感動もしてないし、共感もできないのにやけにぐいぐい押してくるなぁ、と思ったら、原作が浅田次郎の短編なのか。読んでるはずなのに、忘れてたわ。
浅田次郎原作では「壬生義士伝」がすごくよかったんだよね。渡辺謙のドラマ版も、中井貴一の映画版も。
もちろん原作も大好き。
なのに、なんでこんなに入って行けないのか。
正直言って、「フューリー」の直後に観たから、
「生き死にを自分で決めてはいけない。生きよう、と思ったのに死んでしまった人がいっぱいいるのに、切腹しようと思ったり、夫に殉死しようと思ったり、仇に討たれてしまおうと思ったり、全部、傲慢だよなぁ」って気持ちが拭い去れなかった。
DVDの順番が逆だったら、評価は変わっていたかもしれない。
なんだか残念だ。
「ランナー・ランナー」
予告編観た時は、面白そうだったんだよね〜。
古くは「スティング」にさかのぼる、「ナイン・クィーンズ」とか「カラスの親指」とかの「コン・マン」(詐欺師)ものが大好きなので期待して観たんだけど・・・かなりorz
「異常な都市での、異常なやりたい放題」の話だとしか理解できなかった。
コスタリカって、どういう怖いとこなんだ。
パチンコでお金をすってしまう大学生の息子に、「ギャンブルはやっちゃダメだよ」って言う参考材料にしようと思ったのに、やるどころか、胴元に近くなっていくんじゃないか!
「R25」ぐらいで取り締まってもらいたい。
「観なくていいよ」
15年7月
「アメリカン・スナイパー」
非常に心を打つ名作だった。
特に、作品中でも知らされていた主人公の死が、企画が進んでる最中に起こったことだとは、DVDのおまけ特典映像を観なければ知らないままだったろう。
クリント・イーストウッドは、うまいとこをついてくるなぁ。
大内くんに言わせれば、この作品がアカデミーの作品賞を取れなかったのは、彼にこれ以上の名声は必要ないからだ、とのこと。
日本中がきな臭くなっている昨今、米国特殊部隊の活躍を見ると、息子の高校柔道部の同期が自衛隊入りして水兵さんになって頑張っていることを、思い出さざるを得ない。
つくづく、戦争は殺し合いだ。
戦後70年の我が国が何をどう考えていくべきか、映画を観ながら考え込んでしまった。
15年8月
「ソロモンの偽証」(事件・裁判)
久しぶりに映画を観ることができた。ほっとひと息。
ずっと待っていた「ソロモンの偽証」、前後編一気に観られて嬉しい。
宮部みゆきの原作が大好きで、文庫版全6巻の大著を、6回ぐらい読んだからなぁ。
で、常に行き着く疑問。「原作つきの映画は、読んでから観るべきか?観てから読むべきか?」
今回の答えは、「観てから読むべき」。
先に読んでいると、何もかもが「足りない」のだ。
映画だけ観た大内くんは、「なかなかの大作だ。面白かったよ。でも、動機がちょっとわかりにくいね」と言っていたが、事件の原因も、登場人物たちの描写も、主人公「藤野涼子」の性格も、描き切れていない。まあ、いくら前後編合わせて5時間あっても、小説と同じぐらいの密度を期待するのは無理というものだろう。
私の最大にして最強の不満は、「廷吏ヤマシン」の登場回数と描写の少なさ。
彼がいるのに、法廷で被告が暴れたりしない、いや、させないんだってば!
お時間のある方は、原作を読んで、「ヤマシン萌え」にひたってください。
いや、ホントにステキな少年空手家なんです!
15年9月
「チャーリー・モルデカイ 〜華麗なる名画の秘密〜」
めずらしく、ティム・バートン監督じゃないのに、ジョニー・デップ。
そこそこ面白いけど、大した映画じゃなかった。
個人的には、アタマが悪くて女好きな用心棒の、奇妙な忠誠心が印象的。
用心棒は特に必要としていないが、ああいう使用人(?)が1人欲しい。
「エクソダス 神と王」
要するに旧約聖書の「出エジプト記」の話だ。
大内くんは、「洗礼者ヨハネはキリストのお兄さんだ。お兄さんがいるのに処女懐胎とは、ちゃんちゃらおかしい」と長年思ってきたそうだ。
キリストにお兄さんはいない。
内容がわかっているうえに、ハリウッドのCG屋さんが安い映像ばっかり作るから、まったく面白くなかった。
CGが出てきてから、すべてが薄っぺらくなったよ。「観なくていいよ」だった。
口直しに、近いうちに何としても「十戒」を観ようと思った。
15年10月
「セッション」
ミュージシャンの話なので、音楽がわからない人間には用のないものかと思っていたら、観た人から、「音楽に詳しい必要はない。むしろ、わからな
いぐらいでちょうどいい」と言われたので、観てみた。
確かに、音楽の知識がなくても十分楽しめる。(わかればもっと面白いのかもしれないが)
音楽モノというより、スポ根である。
指が裂け、血しぶくまでスティックを握る
「大リーグドラマー養成ギブス」が欲しいぐらいだ。
何事も、突き詰めるのは大変だなぁ、と平凡な鑑賞者は無責任に思う。
「博士と彼女のセオリー」
あまりに有名な物理学者、ホーキング博士の物語。
役者さんがすごくて、後半ではもう、ホンモノみたいに見えた。
不自由な肉体に閉じ込められた偉大なる知性は、何を見、何を考えるのだろう。
いたましい。
しかし、彼の頭脳は誰よりも高みを飛翔し、前人未到の地に踏み込んでいるのかもしれない。
知性と肉体についてちょっと真面目に考えてしまったのは、「ビューティフル・マインド」以来かも。(統合失調症は、肉体としての脳の病だとして)
清潔感と透明感のある、イギリス調の真面目な造りの作品だった。
「エイプリルフールズ」
エイプリル・フールの日に、あちこちで奇跡が起こる、というような邦画。
戸田恵梨香は可愛いなぁ。「デス・ノート」のツイン・テール以来、あまり変わっていないような気すらする。
そんな彼女の出産シーンに立ち会えて、満足。
松阪桃季もいい味出してた。
「万能鑑定士Q−モナリザの瞳ー」に出ていた時の方が、メガネの分、好きだったかな。
売出し中。頑張ってもらいたい。
「龍三と七人の子分たち」
これは、観る前から息子に、「全然ダメ。ビートたけしももう終わりだね」と生意気な口を叩かれていたが、我々としては期待大だった。
しかし、実はほんとにもう、息子の言う通りで、いいとこはひとつもなかった。駄作だ。
せっかくあそこまでの「老名優」をそろえたんだから、もうちょっとみんなに仕事させてあげてほしい。
せめて、近藤正臣には「足でピアノを弾く」以上のことを要求したかった。
ビートたけしでこんなにがっかりしたのは初めてだ。「観ない方がいいよ」
「フォーカス」
ウィル・スミス主演の詐欺師モノ。
うちは、「コン・マン(詐欺師)」の話には点が甘いが、それを差し引いても、かなりよかった。
古くは「スティング」を彷彿とさせる。
大内家の「コン・マンものベスト3」は、「スティング」はあまりに有名なので避けるとして、「ナイン・クイーンズ」「ペントハウス」「崖っぷちの男」である。
どれも、最後にアッと驚く大仕掛けが待っていた。
「フォーカス」はそれらにくらべるとかなり小粒ではあるものの、ほろ苦いエンディングに、点を上げよう。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」
何だかよくわからない映画だったのだが、エンドロールを見て初めて主演がマイケル・キートンで会ったことを知り、「彼も歳をとったもんだ」と思い
つつ、「バットマンだった男の物語」だったんだなぁ、という印象。
カメラを切らない長回しに緊張感があり、アカデミーも、ついにこういうのを評価するようになったか、と感慨無量。
このテイストでアカデミー作品賞が取れたのは「アメリカン・ビューティー」以来だなぁ、と思いを馳せる。
しかし、個人的には眠くなる映画であった。
私は、もう少しわかりやすい映画が好きな、アタマの悪い映画ファンなのだ。
「シークレット・ロード」
ロビン・ウィリアムズの最後の主演映画になってしまった。
イントロから中盤を観ていて、「ああ、こんなに暗い役をやってたら、鬱もひどくなるだろうなぁ」と思ったのに、ラストの、あの明るい、未来に踏み出そうとしている彼は何なんだろう。
個人的に落ち込んでいても、仕事はきっちりしている。
静かで、不安と絶望を描きながら、友情や他人に対する共感といった、人間の心の力を信じさせてくれる映画だった。
「あまり気が進まないなぁ」と思って観始めたが、充分に彼を悼むことのできる1本だったと言えよう。
15年11月
「王妃の館」
浅田次郎の「壬生義士伝」を読んで、「あー、この人、好きかも」って思ってた頃の原作なので、とりあえず観た。
でも、もう浅田次郎への愛はさめちゃったと言うか、「壬生義士伝」が特殊だったんだと思う。
中井貴一の映画版も渡辺謙のドラマ版もよかったし。
というわけで、「王妃の館」は読んだ時はまだ少し好きだったけど、今はもう愛がない。
そこへもってきて、杉下・・・もとい北白川右京は行き過ぎだろう。
「お茶目」ではすまない倫理の低さ。観て、いいところはひとつもなかった。「観ない方がいいよ!」
15年12月
「寄生獣」
「寄生獣 完結編」
思っていたよりずっと迫力のある、いい映画だった。
これだから映画は、観てみないとわからないんだ。
全編を通して流れる、「愛情」と「友情」のもの悲しさ。
「物体X」×「ターミネーター2」×「エイリアン3」、そうだなぁ、5で割っておこう。
ただのグロではないので、できれば岩明均の原作マンガも読んでください。
たぶん、読んでから観る方がいいんじゃないかな。
「観てもいいよ」
「インサイドヘッド」
ピクサーとディズニーが一緒になってから、名作が続々できる。
前作の「ベイマックス」も好きだが、この「インサイドヘッド」も、じつにレベルが高い。
記憶って、ああいうふうにたまって行くんだ。
人間には、心のよりどころになるたくさんの「島」が必要なんだ。
コドモは、こうやって思春期に入って行くんだ。
アイディアが素晴らしく、「脳内生理学」の説明を受けたような気分。
私も、自分のコントロールを「カナシミ」にまかせてみようか。
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
「ドイツの暗号を解読したイギリスの機械の話」というふうに聞いてはいたが、すごかった。
若き数学者、チューリングは、もろ、私のタイプ。
どうして世の女の人たちは、学者を敬遠するのだろう。
「ビューティフル・マインド」でも思ったが、私は専門バカが大好きだぞ。
しかし、悲しい映画だった。
「そんなことが罪になるのか?」と驚き、腹が立った。
「事実に基づいた映画」であり、一定の期間が過ぎたから作れたものの、これまで長い間、隠されてきたことなんだ、と思うと、やりきれない。
「戦争の話」だと思っていたが、「個人の自由」「人間の尊厳」の話だった。
ぜひ、「観るといいよ」。
「ゴッドファーザー」
大昔の映画、ではあるものの、いつ観ても、何度観ても発見と感動がある。
今回は、息子がいつの間にかhuluで観ていたので、私も追っかけて観てみたのだ。
やはり、よくできているなぁ。
これを、「すごくいい映画」と言う息子が、頼もしい。
この映画が生涯のベストだ、といつも言っている大内くんは、「自分の息子がこれを評価するなんて、想像もできなかった」と言って喜んでいるが、 「物体X」を「すごく面白い」と言ってもらった私には、その気持ち、よくわかるよ。
もう一緒に映画を観てくれるようなことはないだろうけど、彼は彼の映画ライフを楽しんで生きて行く。
それがわかっただけでも、子育ては、報われる。
「ハリー・ポッターと賢者の石」
「ハリー・ポッターと秘密の部屋」
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
原作を読み返していたら、急に映画版がもう1度観たくなった。
1人映画はなかなか続けて観られないのが難点だが、シリーズ7作を全部観ようと思ってるので、忙しい大内くんをつきあわせるわけにはいかないな。
ダニエル・ラドクリフが、1作目ではとても賢そうで可愛かったのに、だんだんイメージからずれていくのがつらい。
ダンブルドア役のリチャード・ハリスが2作目を最後に亡くなってしまったので、代役が立った、しかもあまり良くない、という点も悲しい。
結局、この映画シリーズで一番得をしたのは、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンなのではあるまいか。
2015年「大内家映画賞」
今年は、大内くんの仕事がものすごく忙しく(「会社に入って26年、こんなに忙しかったことは初めてだ!」本人談)、過去には年間120本観られたこともあった映画が、5、60本という少なめの年を大いに下回り、なんと、35本しか観られなかったのです。(涙)
その中から、多忙ながらも生きる力、活力を与えてくれた名作を夫婦で相談して選びました。
今年の、大内家シネマベストです。
1位
「フューリー」
戦争は悲惨だ、というごく当たり前のことを描き、人間は戦場で人間らしくいられるのかと、ブラッド・ピットが問いかける。私たちには、答えることができない。
2位
「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」
戦争を終わらせ、多くの人を救った天才数学者の、光と闇の物語。
人を愛することは罪になるのか。今、この時代だからこそ、問いかけたい。
3位
「アメリカン・スナイパー」
守るべきは祖国。愛するべきは家族。
すべてを乗り越えた時に、人は生きる意味を知る。
邦画賞
「蜩の記」
武士の体面、人間としての生き様、誇りある生と死。
時代が、立場が違えば、さまざまな答えがあり得ることを、自然の懐が教えてくれる。
アニメ賞
「ベイマックス」
癒し系?と思ったら、スーパーヒーロー!
優しく、勇敢に、「あなたを守ります」と寄り添うぬくもり。
主演男優賞
ロビン・ウィリアムズ
「シークレット・ロード」
誰もが驚き、悲嘆にくれた、突然の名優の退場。
ラスト・シーンに、明るい救いが見える。
主演女優賞
ニコール・キッドマン
「グレース・オブ・モナコ」
世界が惜しんだ欧州の至宝。
元祖「クール・ビューティー」を熱演。この役を引き受けた度胸と、期待を裏切らない熱演に、拍手!
大内夫賞
「インサイドヘッド」
自分や子供の思春期を思いつつ、膝をうつくシーンの連続。
大人になるために必要な少しつらい気持ちは、親にとってもカナシミ・・・・。
大内妻賞
「ソロモンの偽証」
ひたすら、宮部みゆきの原作が好きで選びました。
空手少年「廷吏ヤマシン」の活躍が少なくて、残念です。原作読んでください!
「シネマ日記」目次へ
「大内家」へ