16年1月
「キングスマン」
息子が新春早々借りて着たものを見せてもらう。前から観たかったんだ。
すごくいい映画だったんだだが、最初に思ってたのとだいぶ違うというか、まず、「上品めの『オースティン・パワーズ』?」と思ったし、その後も、ベタなギャグであふれてた。
でも、イヤな感じはしなかったな。
しばらく「威風堂々」が聞きたくなくなるといった後遺症は出ますが。
ジェームズ・ボンド以来の小間物兵器がたくさん並んでて、SISのロレンスさんが喜ぶだろうなぁ、と、青池保子の「エロイカより愛をこめて」に連想がシフトした。
年の初めに見る映画としては、軽すぎず重すぎず、ほどほどのおめでたい映画だったと思う。「観てもいいよ」
「ラヂオの時間」
動画アプリで1人で観た。
映画を1人で観るなんて、何十年ぶりだろう。
中身は、三谷幸季の中で私が一番面白いと思ってる作品。
藤村俊二や布施明など、出演陣も豪華だ。
そう言えば唐沢寿明も出てたなぁ。
この作品の問題点は、最後に運ちゃんの渡辺謙が戻って来ちゃう、そこだけなんだ。
彼が、号泣しながら九州かどっかに疾走してったんだったら、、もっともっといい映画になったと思うよ。観るといいよ。
16年3月
「HERO」
あいかわらずのこの話は、もうすでに「あいかわらず」の愛嬌さえ失っている。
くりかえしの面白さ、期待通りの展開、が唯一の武器だったのに、それなしにキムタクと松たか子に何をやれと言うのか。
北川景子も、奪っちゃうほどの貫禄はないようだしなぁ。
そもそも、前から不思議なのだが、どうしてこれを、映画で撮らなきゃいけないんだろう?
2時間スペシャルドラマで充分じゃないか。
一般の視聴者は怒らないんだろうか。私は怒るぞ。
この世界に入り込めてない私が悪いのかもしれないが、たなざらしの雰囲気ぷんぷんのキムタクは、もう観たくないよ。
「バケモノの子」
細田守の最新作。
私は今のところ「サマーウォーズ」が1番好きだ。今回はエピソードが浅いというか、人間が化け物の世界に闇を持ち込むとか、胸にあいた闇の穴が熱い刃の定位置だとか、めちゃくちゃ修行するとどんどん強くなっちゃうとか、最初から最後まで意味のないアメディオとか、世界観が1つしかなかった気がする。
サマーウォーズなんか、ぱっと思い出すと、3つぐらいの世界が同時進行していた気がするもんなぁ。
息子のお気に入りではあるが、もともとの絵が地味なのも手伝って、アニメとしてあまり良い点はあげられない。
もうひと化けしそうな人ではあるのだが。
それにしても、どうして今の若い人に「やつは大変なものを盗んで行きました」が通じちゃうんだろうか?
「日本のいちばん長い日」
昭和天皇という人は、どうして誰がやっても似ているのだろう?
演じやすいキャラ?独特の動き?
今回はモッくんだった。
全体としては退屈極まりない。
よっぽど途中で放り出しちゃおうかと思ったけど、そこまで観た時間がもったいないので、終わりまで。
いわゆる「傷口を広げただけ」になってしまったが。
「戦後70年」でこういう映画は増えるのだろうが、別に戦争映画がキライなわけじゃない。
でも、我々はいくつになったら戦争を忘れられるだろう。
語れる人がいるうちはまだまだ、って感じだな。
「『戦争を知らない子供たち』を知らない子供たち」が増えてきているのは事実だが。
「駆込み女と駆出し男」
大泉洋はあいかわらずバタバタの3枚目。
離縁してもらえなかったら「駆け込み寺に入るしかなかった」、ある種、女性差別の世の中だが、歴史的にどのくらい本当だったのかは知らない。
テーマとは裏腹な、澄んだ、清澄なたたずまいの風景。
日本でもこのぐらいの映画が作れるようになっちゃったかぁ。
個人的には「ミサミサ」のファンなので、文句はない。
何でも映画にしてみちゃうもんだ。
16年5月
「スターウォーズ フォースの覚醒」
本当は1から6までのエピソードを全部観てから臨むつもりだった。
しかし、よく考えたら、結局8、9を待たなきゃいけないんじゃないか。
もう、今観るのよそうかな、と思いながらレンタル屋さんに行って、ずらっと並んでるのを見ると借りずにはいられない。
これがいわゆる「野次馬根性」か。
さすが「スターウォーズ」で、出来はいい。
ロボットも可愛い。あれは一種のハロだろう。
フォースも順調に覚醒してるようだし、会うべき人には会えているようだし、いいんじゃないの?
あの人を失ったのは惜しかったが、次作以降を楽しみに待とう。
いつか我々は、「スターウォーズ」1〜9を通しで観られるのだ。長生きしなくちゃ。
「クリード チャンプを継ぐ男」
そもそも大内くんはアポロとロッキーの仲を疑っていた。
浜辺を一緒に走っている時にたいそうにやけていた、というのが彼の言い分だ。
なので、今回アポロの息子が出てきたので、大変驚いたらしい。
さすが、お父さん譲りで、強い。星条旗柄のトランクスもよく似合う。
なんだかんだ言って、「ロッキー」シリーズは全部観てしまった。
ロッキーにはまだ頑張る気配がうかがえるので、これまた次作が楽しみだ。
「ブリッジ・オブ・スパイ」
スパイじゃないのに、ただの弁護士なのに、なんでスパイ戦に巻き込まれて行くのか、トム・ハンクスよ。
アメリカ憲法に忠誠を尽くすことがアメリカ人の定義なので、弁護士であればなおさら、乗りかかった船からは降りられない。
奥さんも、ダンナがどうしておみやげにマーマレードを買ってこられなかったのか、あとから知って驚くわけで、まったく職業選択とは恐ろしいものだ。
今、就活中の息子には、危険でない仕事を薦めたい。
「ギャラクシー街道」
要するに、「スターウォーズ」の酒場だった。
いろんな宇宙人が来て、いろんな容貌、風習、習慣があり、そこにおっ立ったハンバーガー屋の苦労は並大抵でない。
三谷幸喜得意の密室であるところの小さな宇宙ステーションで、いろんなことが起こる。
大河ドラマに出ている山本耕史や遠藤憲一、段田安則が出ているのは、大河に出る役者さんは意外にそれ以外の仕事をしてるヒマがないので、こんなものにでも出てお小遣いを稼ぐのかもしれない。
一番大きな収穫は、息子がやった合同コントライブがこれにせまる面白さだった、という点だろうなぁ。
もちろん親バカだが。
「スペクター 007」
超王道スパイ映画「007」なのに、いまでも面白い。
金髪碧眼の彼は、ゲルマンっぽいというか、ラテン系のショーン・コネリーがそうだったほど「おんな〜!」と叫んでるタイプには見えず、なぜ毎度ボンドガールが必要なのかわからない。
しかし、今回のボンドガールは可愛かったなぁ。
知性的で可憐、色気なし。日本では人気がある「ナウシカ系」じゃないかなぁ。
それにしても、悪の秘密結社のボスは、どうして必ず最後にはボンドを1人でなぶり殺そうと思うのか。
直ちに殺すならそれも良かろうが、悪の秘密をべらべらしゃべってしまう。お約束?
今回もボンドは美女と消えていくのでした。毎回、どうやって切れてるんだろう?
「バクマン。」
私は原作が好きだが、大内くんは初めて。
でも、「現代版『まんが道』だねぇ。面白いよ」と言っていた。
演出が非常に面白く、マンガを描く、という地味な作業を、よくあそこまで動きで表したもんだ。
神木隆之介は子役から良いオトナの俳優になって行けそうで、嬉しい。
原作を大きく縮めてあるからしょうがないど、時間のある人は原作をぜひ!
「サン・ローラン」
イブ・サン・ローランといえば男性用の靴下やタオルでよく見かけるマークだが、その彼の、当たり前だが服飾デザイナーとしての側面の話。
でも、正直言ってただの神経質なゲイの人に見えた。恋人の趣味、あんまりよくないし。
才能に恵まれるってのは大変だ、とかなりヴィヴィッドに伝わってきた。
映画としては退屈だが、妙に目の離せない1本ではあった。
「ミケランジェロ・プロジェクト」
第二次大戦中、各地の美術品が破壊・強奪されないよう、美術のスペシャリストだが戦争はからっきし、という「Monument Men」が選ばれて、あちこちで美術品を救う、という話。
しょっぱなから、「This film is based on a true story」というテロップが出る。これが出る映画はたいてい面白いんだ。
バチカンに行ってからというもの、「人類の至宝」に甘くなった我々は、「頑張れ!」と妙に力こぶが入ってしまう。
すでに焼かれてしまった絵、破壊されてしまった彫像に涙する。
これだって、バチカンにあったかもしれないものなのに。
こうなったら、連合軍が救い切れずに持って行かれちゃったらしい美術品を見に、エルミタージュに行くしかないだろう。
16年7月
「完全なるチェックメイト」
えーと、チェスの話。
世界チャンピオンとかになるとプレッシャーが大変で、もう、といった内容。
大内くんの大学のマンガクラブに当時の「日本チェス大会チャンピオン」がいたらしく、世界大会に出かける彼を囲んでみんなで飲んでいるうちに徹夜の大宴会に発展し、朝、動ける人たちは飛行場まで見送りに行ったのだそうだ。
そんな彼が、「酒と風呂はキライだ。頭がボーっとなる」とよく言っていたなぁ。
頭が冷静に快調に回っていないとイヤだったんだろう。
そんな人のことをふと思い出したが、しかし、なんでもトップになるのはつらいもんだなぁ、という感想しか覚えていない。「観なくていいよ」レベルの映画だった。
映画も、トップクラスになるのは大変だ。
「母と暮らせば」
吉永小百合と二宮和也、と聞けば、おおかた想像のつきそうな戦争映画で、実際その枠を一歩も超えていないのだが、それで充分、と思わせる要素がいっぱい詰まってた。
「私も彼岸に行く時はこういうスタイルがいいなぁ」と言ったら、
「僕が迎えに行くに決まってるでしょ。日本は、母と息子の癒着が強すぎる。もっと夫婦愛を大事にしないと」と威張っているので、「でも、そうするとあなた、先に死んでるわけじゃない。いつも『絶対、キミを置いては行かない』って言ってる、あれはどうなるの?」
「う、うーん・・・見送るというかさ、こっちの世界から送り出してあげる」
「そしたら私、1人で向こうで待ってなきゃいけないじゃない!」
「まあ、そう長いことじゃないよ。1週間ぐらい待ってて。あと始末をしてから行くよ」
そんなにうまいこと言ったら誰も苦労はしないのだ。父親不在のこの映画、敢えて許そう!
「オデッセイ」
ゲームデザイナーをしている友人が、彼の作った「アストロノーカ」そっくりな映画だ、と言われたらしい。
確かに火星でじゃがいもを栽培している。
1人火星に残された宇宙飛行士がどうなるのか、という話だが、私はその「アストロノーカ」的なとこだけ楽しみにしていた。
しかし、思ったよりずっと出来がいい。
「ゼロ・グラビティ」みたいに緊張するシーンもあるし、「おかえり、はやぶさ」な感じもするし。
ただ、人類の宇宙熱はある意味冷めてしまって、「何が何でも月へ!」と思っていた頃に比べて、「何が何でも火星へ!」とは思ってないような気がする。
地道にサンプル採取をはじめとした調査は行われているようだが・・・
ああ、「火星年代記」の頃がなつかしい!
この古き良きSFへの憧憬は、私が歳をとったからなのか、人類全体がそうなのか。わからない。
16年8月
「ノケモノノケモノ」
息子のカノジョから、
「すっごくいいです。大内さん、観て、『くやしーなー!』って燃えてました。お母さんたちもよろしければどうぞ」と薦められたので、観た、「小林賢太郎」作のお笑いテイス
トの2時間劇。
確かにこれは、息子にとってはくやしいだろう。
やりたいこと全部持ってかれてるようなもんだ。
でも、こういうことを始めたのって、宮沢賢治なんじゃないだろうか。
タイトルは正確に回文ではないけど間に「モノノケ」がはさまってるところとか、お見事。
今日も夜中の2時過ぎまでガストでネタ書いてる息子の「コントユニット」の初ライブが1か月後に迫っている。 焦れ、青年!
「ロールシャッハ」
同じく、小林賢太郎の作品。
しかし、前作ほどは良くなかった。
息子やカノジョの評価もそんなもんだった。
やはり、戦争を持ち出して説教臭くなるとダメなのか?
「バットマン vs. スーパーマン ジャスティスの誕生」
最初はあまりに大掛かりな駄作になりそうでハラハラしたが、さすが超人間たち、結集してからは強かった。
原作をよく知っているヒトだけがにやにやしそうな細かい設定、全部すっ飛ばして観たけど、それでも何とか「地球の破滅」は回避できたと思う。
CGを多用しすぎなのはもう、最近の映画の病みたいなもんだし。
続編を期待して、「観てもいいよ」。
16年9月
「君の名は。」
息子が新海誠監督の大ファンなのだが、私はこれまで観る機会がなかった。
キャラがややロリっぽいのはいいとして、「桜」と「青空」の好きな、きれいな絵の人だなぁ、と。
男女入れ替わるのはよくある話だけど、この場合、必要?と、ちょっと疑問符。
ラストは別のバージョンでもよかったのでは、とも思った。でも、すれ違いにしちゃうと、あの名セリフが言えなくなっちゃうもんね。
何だか文句ばっかりつけているが、上質なアニメだとは思う。
「シン・ゴジラ」
MX4D映画館で、とも思ったが、映画は最後は画で見せてもらうもの、小細工無用、と断じて、普通のスクリーンで。
そもそもあまりに多くの人がほめているので腰を上げて観に来たのだが、しょっぱなから大納得。
1度も疑問を持つ隙なく、ラストまで持って行かれた。
「幼生」がある、という設定がスゴイ。
ちょっと「物体X」的にねばねばしていたゴジラが、堅くなって再登場。
丸の内は、大内くんの会社のとなりのとなりまで破壊されて危ういところだったらしい。
大好きな東京駅「赤レンガ」でぶっ倒れるので、悲しかった。
官僚の皆さんは、よく働く。
こういう事態が起こったらこんな感じなんだろう、という説得力はあった。
唯一、問題があるとすれば、日本人は「怪獣が来る」という事態に慣れ過ぎているのではないだろうか。
昔から毎週来るものなので、しょうがないのかもしれないけど、アメリカ人が「ウルトラマングレート」を見て「あの銀色の巨人は何者だろう?」と思ったほどは、「ゴジラ」にも驚かなかった気がする。
「あの巨大生物は何だ?」とは言うものの、そもそもあんなに巨大なものを見て「生物」だと思うもんだろうか?
私自身はまだ見たことないからわからないけど、やっぱり「日本人だから」納得してしまうんだろうと思う。
音楽も素晴らしく、「怪獣大戦争マーチ」なんか、本当に感動した。
60年たっても古びないもんだなぁ。
全体に、皆さんが人に薦めてまわるだけのことはあると納得する作品で、我々も薦めてまわろうと決意した、ので、これを書いております。
もしまだ観ていない方がいたら、映画館にGO!ですよ。
いつもは大内妻が書いているこのレビューですが、あんまりためてしまったため、記憶力に乏しい私には思い出せな映画すらあるのです。
そんなわけで、今回は夫の助けをかりました。
猫の手よりはマシだと思いますが、映画観の違いが明らかになるような文章です。
すみません。
16年10月
「黄金のアデーレ 名画の帰還」
クリムトの絵をめぐる物語。
最近ナチスが各地の美術品を強奪したというエピソードが映画になっている。
奪われつつあるときに取り返す話かと思ったら、近過去の話。
戦後70年、まだまだ振り返りは続く。
絵画ゆかりの老婦人に勝利の女神は微笑むのか。
「海難1890」
昔お世話したことを覚えていてくれて助けてくれたという話。
いいエピソードなんだとは思うのだけど、あまりに流れが悪い。
いい俳優さんを沢山使っているのに残念。
「ヘイトフル・エイト」
私はタランティーノが大好きだ。
妻は半分寝ていた。(タランティーノはよくわからないらしい)
これくらい罵り合った後に友情の双葉が小さく芽を吹くということかと思う。
身につまされたような気がする。
「スポットライト」
アカデミー作品賞。
大内家では必ず観ることにしている。
今年は小粒だったか。
マイケル・キートンはしばらく休んでいたけど、にわかにアカデミー常連。
教会組織との戦い。
壊れた友情、その再生。
しかし、敵は昔の自分自身か。
「変態仮面」
続編が出ているのを見つけて「きっとそれなりのものに違いない」と第1巻を手に取りました。
あまりにひどくてすぐワイプ。
女の子のパンツをかぶると超能力が発現するという変態の活躍譚(のようだ)。
でも、「もしかしたらもう少し我慢していれば爆発したのかも」と思ってしまうのはいつものこと。
多分そういうことはないんだけど。
「俳優亀岡拓次」
たゆたう日本映画の典型例か。
妻は「面白くない」と言って、ずっとマンガを読んでいました。
私にとっては「やっぱ安田顕はいい。映画としてもほぼ満点」なのだが。
つくづく夫婦といえども趣味までは一致しないということか。
はい、ここからまた大内妻が担当させていただきます。
夫の書くものは、どうも固くていけません。
でも、私よりずっとすぐれた記憶力に恵まれていたので、実はたいへん助かりました。
16年11月
「インディペンデンスデイ:リサージェンス」
そもそもの「インディペンダンスデイ」を覚えていない人が観ても大丈夫なんだろうか、と危惧しながら観たが、やはり全然ダメだった。
これは、映画のせいではなく私の問題だ、と思ったけど、大内くんも「面白くない」に1票入れてくれたし、息子に「こういうのを『糞つまんない』っていうのかな?」とラインしたら、「そう」ときっぱりした返事が返って来た。
SFはつまんなくなったよねぇ。やっぱ、CGがいけないのかねぇ。
画面が安っぽいし、「スターウォーズ」のパクリとしか思えない場面もあるし。
あーあ、我々は、SF魂を失くしてしまったんだろうか。
単なる私の老化だけが原因ならいいんだけど。
「デスノート NEW GENERATION」
これは、だまされた。
パッケージをよく見ればわかったことかもだが、新作映画に向けてhuluが作った、要するに大掛かりな予告編に過ぎない。
しかもうち、hulu入れてるから観放題だったのに、お金払って借りちゃった。
本編は、私が忌み嫌う、マンガの「DEATH NOTE」の後半部分を映画にするらしい。
あれは、前半だけだったら傑作だったのに。
実際、我が家では映画のベスト10に入るぐらいよかったのに。「DEATH NOTE」は。
Lが死んだあとのストーリーは全部無駄無駄無駄!
続編は、絶対観ないと言っている大内くんだが、私は案外こういう時に観ちゃう体質なんだよね。
大内くん、その時は、私を止めて!
「追憶の森」
ついに青木ヶ原の樹海も世界的な自殺の名所になったか。
幻とも奥さんの残像ともとれる渡辺謙がシブかった。
あの中は磁場が乱れているので、大内くんみたいに方向感覚のいい人でも迷っちゃうらしい。コワイ。
ひたすらに寂しさが漂い流れる、静かな、悲しい話だった。
ただ、自分が自殺する時はあそこへは行かないだろうなぁ、と、樹海派の人々を思った。
「殿、利息でござる!」
てっきり「超高速参勤交代」みたいなゆるゆるのお笑い時代劇かと思って観たら、これが、まず「本当にあった話」だそうだし、中身もつまっている。
簡単な説明はあるものの、貨幣価値がわからないので今ひとつ「お金の捻出の仕方」が不明なのだが、とにかく頑張った人たちの話だった。
どこの町や村にも、そういう伝説や昔語りのひとつやふたつはあるだろう、と思うと、古史に興味のあるらしい大内くんにはまず書道を習ってもらい、あのびよびよびよーんとした続き文字を読めるようになってもらい、我々が住んでいるあたりの新しい伝説を発見してほしい。
はい、今回からは再び大内妻が発表させていただきます。
今年はどうも映画を観る気になれない日々が続いており、大内家史上最低の本数になってしまうかもしれません。
それでも、1作1作真面目に観て行きたいと思います。
最新シネマ
「TOO YOUNG TO DIE!」
今や大看板の宮藤官九郎監督・脚本、長瀬智也・神木隆之介主演。
大内家的には期待大。裏切らないいい出来でした。
ロックへの愛に満ちていて、多分何人かのミュージシャンが鬼役でゲスト出演。
愛とロックを信じる心を教えてくれる125分。(文責:夫)
「高台家の人々」
「もし、人の心が読めたら?」
大昔からテーマになっているこの難しい話を、さらっと明るい恋物語にしてしまった実力に感嘆する。
主人公のおマヌケな妄想に、気難しいエスパー王子がだんだん心を許していく、その妄想を考えついたのもスゴイ。
漫画が原作の映画が増えてきたが、中でも良い出来だと思う。
難しいことを考えたくない時には吉。「観てもいいよ」
「帰ってきたヒトラー」
なぜ、どうして、どんな理由と方法で帰ってきたのかは全く語られず、突然「あの」ヒトラーが現代ドイツに帰って来てしまった。
テレビのショーに出たことをきっかけに、ツイッターやフェイスブックなどの現代ならではの媒体で、彼がどんどん有名に、影響力を持って行くあたりはなかなかリアリティーがある。
そしてオチ。
ちょっと意外と言うか、期待大。
大作ではないが、身の引き締まる1本だった。
「X-MEN アポカリプス」
いつもの「X-MEN」、プロフェッサーがまだ若い頃のお話。
大好きなサイクロプスが出て来るのは嬉しいが、若い俳優さんたちはみんなレベルが低くて第1作ほどは美形でないのが残念。
ヒュー・ジャックマンはあいかわらず一瞬だけ出てきて場を締める。
よくあるファラオの執念モノで、最後は負けて終るお約束。
プロフェッサーがなぜ禿げたのか、という秘話でもあるのだった。
「観てもいいよ」
「アイアムアヒーロー」
ホラーもの、ゾンビものはもう一生観ないつもりでいたが、花沢健吾の原作があまりにすごいので、つい観てしまった。
ぞろぞろぞろ・・・ああ、やっぱり観なければよかった。
しかし、ゾンビとはしょせん死体という有体物が動いているだけで、正体の知れない、どこから入って来るかわからない幽霊に比べればだいぶ怖くない、とも思った。
銃で頭をぶっ飛ばせば「死ぬ」わけだし。
大泉洋が、撃って、撃って、撃ちまくる。
これでもか、これでもかと言わんばかりに撃ちに撃って、原作は温泉に入りに行くんだが、そこまでのんきになってる時間がないのが2時間映画のツラいところ。
しかし、なかなか壮快だった。やっぱりもうホラーは観ないけどね。「観てもいいよ」
「’16年大内家映画賞」
超多忙で映画を観るヒマもなかった昨年の最低記録35本をわずかに上回ること2本、の37本。
あいかわらず忙しいせいもあるのですが、どうも映画を観る気力・体力がなくなってきたような気がする今年1年でした。
それでも胸に感動の灯がともることもあるのが映画の素晴らしいところです。
今年1年、我々を元気づけてくれた名作を、2人で選び抜きました。
1位
「シン・ゴジラ」
圧倒的な支持を受けて堂々の1位。
あの名曲に乗って、「あれ」が帰ってくる!
2位
「オデッセイ」
火星での孤独と、わずかな希望。
その希望が花開く時、宇宙飛行士の胸に去来する故郷の風景は。
3位
「帰ってきたヒトラー」
「彼」もまた帰ってきた!
人間は怪獣よりたちが悪い、と言うことを思い知らされる、1本。
邦画賞
「バクマン。」
若者たちが青春を夢に注ぎ込み、クールながら熱いエネルギーで突っ走る。
漫画を原作に取った名作映画が多い中でも、ひときわ光るペンタッチ。
アニメ賞
「バケモノの子」
人間とバケモノの世界が交わる裏通りから、異界への旅。
人間だって、強くなれるんだ!という少年の叫びがバケモノの世界を変えていく。
大内夫賞
「俳優亀岡拓次」
夫が偏愛する2大俳優安田顕と麻生久美子の夢の共演。
お決まりのダメ俳優ものと思いきや、世界を突き抜ける一陣の風。
大内妻賞
「ギャラクシー街道」
宇宙の交差点に店をかまえております、いろいろ苦労もございます。
三谷幸喜得意の密室モノとも言える、スターウォーズの酒場を連想させる、あるバーガーショップの涙と笑いの物語。
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