13年2月2日
車で20分ぐらいのニトリに、遊び&買い物に行く。
「自炊」のおかげで本棚を劇的に撤廃した我が家には、ちょっとした家具を買う余地ができたのだ。
前回、このニトリで書斎用にマッサージ機能付き安楽椅子を買い、届いたのが月曜日。
今回は、足をのっけるための小さな椅子、いわゆるオットマン的なものを探している。
それ以外にも、壁掛け時計とか脱いだ服を入れておくためのカゴとか、細かい買い物をいくつか。
タオルが安売りしていたので、たくさん買ったし。
足台は、直径30センチぐらいの切株のような小さなスツールが気に入ったので、それを買う。
大内くんは、会社で仕事をしながらお茶を飲むために350mlのステンレスボトルを買った。777円。
とても素敵なデザインなので、私が散歩の時に使うための500mlのものも買う。おそろい。こちらは999円。
買いたくなる価格帯だと思う。消費者の心理を的確に突いてくるもんだ。
たっぷりお買い物をして、総計1万円ほど。安い。
我々にとっては、「100均」的な店だなぁ、ニトリは。
「楽しいね。また来よう」と大内くんとニコニコ帰ったが、気をつけないと。物を増やしすぎると生活が圧迫されるからねぇ。
せっかく本を減らしてスペースの増えた生活が、あっという間に元に戻っちゃうよ。
最近、ニトリとかユニクロとか、我々にはちょうどいいお店がたくさんあって嬉しい。
それらの店の賑わいを見てると、日本が不況だとは信じられない気がする。
「次は島忠に行こうか」と、小物家具を買い始めた我々だ。要注意。
13年2月3日
今日は節分。
どこのお宅でも豆をまくことだろう。
うちはここ数年、豆まきはしなくなってしまった。
代わりにはまっているのが「恵方巻き」。
もともとは関西の風習だったが、関東地方でも10年ぐらい前から流行り始めているらしい。仕掛人とか、いそう。
私は名古屋出身だけど、実家に恵方巻きの習慣はなく、コンビニで売っているのを思わず買ってしまったのが5年ぐらい前か。
それ以来、毎年買っている。
最初は、
「なにこれ。恵方巻き?聞いたこともないなぁ。へんな習慣だね」と言ってあまり喜んでくれなかった大内くんも、この2、3年は楽しみにしているよ。
「太巻きって、おいしいね。恵方を向いて食べるの?今年の恵方はどっち?黙って食べるの?(もぐもぐ)あー、おいしい。毎年、恵方巻きが待ち遠しくなっちゃった」と言
う。
最初の頃は「またヘンな流行りにのっかって」という感じの冷たい目で見てたくせに。
東京駅で山のように売ってるのを見て初めて「みんな食べているのか!」と実感し、それからOKになったんだよね。
知ってるよ、あなたは、年越しそばとか、おいしいものを食べる風習には目がないんだから!
徒歩2分のローソンで予約し、当日朝の6時にお店に行って3本パックを買って、夫婦2人の朝ごはんに1本ずつ食べて、昼まで起きない息子は夜食に食べるつもりだったようなのだが、今日は疲れた1日だったのか、早々に寝てしまったので、大内くんと2人で息子の分を食べちゃった。1日の終わり
の、楽しいおまけだった。
「豆はまかなくていいよ。歳の数だけ食べるのもめんどくさいし。50粒も食べたら、口の中が粉っぽくなっちゃうよ」と大内くんのお墨つきを得て、
大内家の節分は恵方巻きだけ。
早くも来年が楽しみだ。
13年2月5日
行きつけの街道沿いのツタヤが、これまではフリーパスだった駐車場にゲートと料金箱を設置した。
もちろん店内でDVDやCDを借りたり返したりすればカウンタで1時間無料券を出してくれるし、ぶらっと来たが借りたいものはなかった、という
ような場合も、申し出れば無料券が出る。
でも、なんか「ヤな感じ」だ。
おそらく隣のホームセンターに行くお客さんがツタヤに停めるというケースを駆逐するためだろう。
近所に、他に車を利用する人が来るような施設はないから。
(ホームセンター自体にだってちゃんと駐車場はあるんだけど。不思議だね)
実際に駐車料金を払う羽目になったことはまだないが、ゲートの分、駐車場は2台分ぐらい狭くなったし、今朝、6時頃、仕事をしている大内くんに留守を頼んでDVDを返しに行ったが、外にある「返却BOX」では駐車券を発行してくれない。
そんなこったろうと思って、車を駐車場に入れないで道に停めといてよかったよ。
「商売は損して得とれ」と昔から言うが、まさにそういう感じだ。
たとえ違法駐車に悩むにしても、何割かのお客さんはついでにツタヤに寄ってDVD借りて行くかもしれないじゃないか!
ここのツタヤは、この2年ぐらい、レンタルの棚を減らして簡単な本屋さんを併設したり、コミックレンタルを始めたりしている。
そしてとどめが駐車場。
「よっぽど経営がうまく行ってないんだよ。打つ手、打つ手、全部ダメじゃん!」と大内くんはツタヤの行く末を憂えている。
感じ悪かろうが何だろうが、我々が便利にDVDを借りられるのはここだけだからなぁ・・・心配。
1年ほど前に家の前のコンビニがつぶれてから、私は常に「今の生活を維持できるか」ということを気にして生きている。
行きつけの店がつぶれてしまうのは胸の痛むことだ。不便だし。
何かがなくなって、その後できたものが便利で便利で大当たり、という経験はまだない。
マンションの真ん前につぶれたコンビニがあるというのは物悲しいので、早く次の何かに出現していただきたい。
実際、去年のクリスマス・パーティー@大内家でかつてない人数の迷い人が出たというのは、
「えーっと、この辺にセブンイレブンがあったはずなんだけど・・・」という目印消失が原因だったのだ。
ただ、コンビニがなくなって不便、という点だけ取り上げれば、朝、新聞を取りに行くついでにコンビニに寄ってお昼ごはん用にサンドイッチなどを買う、という習慣がなくなり、家計には好都合。ダイエット上もね。
禍福はあざなえる縄の如し。いい面だけ見て元気に行こう!
13年2月7日
「自炊」が一段落してヒマになったので、こちらも懸案だった、写真を全部スキャンした。
トータル5千枚の写真を、1枚1枚スキャナに差し込んでいたわけで、我ながら大した作業量であった。
もともと、うちの写真は3か所に分かれていた。
娘と息子が産まれた時に実家などからもらったいわゆる「アルバム」(息子のなんか、名前入り)3冊、当然中身は2人の赤ちゃん時代のスナップなど。
それに結婚式関係(二次会や新婚旅行を含む)のものが紙アルバム4冊分、あとは、間を手製のィンデックスカードで仕切ってぎっしり箱に詰めたもの
3箱。自分たちの中学生時代などが残っている。
このうち、アルバムだけは写真をはがすのも面倒くさいし残しておいて息子が結婚する時にでも持たせてやろうと思うけど、残りは「死蔵」と言ってよく、スキャンした方がよく見るチャンスが増えるのではないか、と考え、全部スキャン。
大内くんに頼んでSDカードに移してもらい、リビングのデッキに突っ込んで2人で大画面のスライドショーを見る。
あまりに量が膨大なのでごく1部しか見られなかったが、学生時代の合宿風景などを見ると、なつかしさに胸がかきむしられるようだ。
この頃ほとんど無為に時間を一緒に過ごした友人たちとのつきあいが、今もつづいているのだ。
家によく遊びに来てくれる女友達なんか、若い頃は可憐ではかなくて、微風からも守ってあげたいような風情だが、今では立派なおばさんだ。年月の威力はスゴイ。
(読んだら怒るだろうなぁ。Kちゃん、ごめん)
しばらくは、時折このスライドショーを楽しむつもり。
大内くんは、私の大学時代の写真を見て、
「本当に綺麗だ。キミは特別な顔をしている」と言うが、そんなこたぁない、地味な顔だよ。パーツがちまちましてて。
「派手な顔のお姉さんに比べてコンプレックスを持ってるのかもしれないけど、キミの方が精神的な顔をしてて、僕は好きだなぁ」
まあ、好きな人を好きでいる権利は誰にも冒せない。好きでいてくれ。
ちなみに、スキャンし終わった写真は捨てましたが、これがなかなか度胸のいる作業だった。
本みたいに裁断しちまったものは捨てるしかないが、写真は形をとどめているのでね。
「スキャンしたデータに何かあったら、自分たちの過去が全部失われるんだなぁ」とドキドキしながら捨てました。
「生写真」なんて持っててもしょうがないよ。今や、写真はデータでしか増えないんだし。
そう思いながらも、一連の作業の中で一番しんどかったのはやっぱり捨てる時だったよ。
いまだにゴミ捨て場に取って返したいような衝動に襲われる。もうないけど。
次なる目標は日記・手紙類のスキャンかな。
作業中に、恥ずかしくて悶死しちゃいそうだが。
13年2月8日
大内くんと車に乗っていたら、彼のケータイに電話が。
運転中なので私が替わりに出る。
「はい、大内のケータイです」
なんと、息子がお世話になっている塾の、塾長からだった。
電話の中身は、驚いたことに、
「明日、塾で、中3を対象に『日帰り合宿』を行うのだが、バイト講師の1人がインフルエンザでダウンしてしまい、八方手を尽くしても代理の講師が見つからない。ついては、大内さんに社会科の講師をお願いできないだろうか」
というものだった。
「マジっすか?」と驚愕しつつ、
「15分ぐらいで家に着きますから、そうしたら本人からお返事させます」と言って電話を切る。
隣の大内くんもだいたいのところは察しがついたらしく、開口一番、
「やるしかないだろう」と言う。
「3カ月ぐらい前に、息子がバイトに行かなくなって『戦力外通告』を受けてから、塾長にはどうおわびをしたものか、ずっと考えていた。定期的に我々と飲んでくれることへの感謝も含めて、ここはひとつ、お役に立ちたい」
引退後ないしはもう5年ぐらいで、週末にひとコマでいいからその塾の講師をやりたい、と毎晩少しずつ勉強してるのは知ってるし、こないだ飲んだ時に塾長に「お願いしま
す!」と言ったら、
「私も、大内さんと一緒に仕事をする日を楽しみにしています」と言ってくれて、そういう背景で今回の依頼があったのだとは思うが、塾長も大胆だなぁ。
30年ぐらい前に難しい大学受験をし、かつ、大学時代に塾講師のバイトをしたことがある大内くんではあるけど、今、いきなり講師が務まるもんだろうか?
その晩、観る予定だったレンタルビデオも後回しにして、3時間ぐらいかけてテキストを準備し、翌朝から半日、本当に講師をして来ちゃったよ。
1人で留守番をしていた私の元へ大内くんが帰って来たので、
「どうだった?ちゃんとできた?面白かった?コドモたちは、可愛かった?」と質問攻めにしてしまう。
「まだ、ちょっと頭がぼーっとしてる。緊張したよ〜」と言いつつ大内くんが話してくれたところによると、
「8人から10人ぐらいのクラスだったかな。『公民』をやった。株式会社とか、コドモたちは知らないんだね。あたりまえだけど、びっくりしたよ。 この塾も株式会社なんだよ、っていうふうに授業をした」
「団体交渉権について、○○先生と××先生が『お給料を上げてください』って塾長にお願いできるんだよ、って教えたら、みんな、口をそろえて『できない、できない!』って言ってたよ」
「検事ってのは、△△先生がキムタクに憧れて、将来なろうと思ってる仕事なんだよ、って言ったら、やっぱり口をそろえて『なれない、なれない!』
だって。面白いね」
というような感じだったらしい。
「楽しかった。素晴らしい機会を与えてくれた塾長にはとっても感謝している。『今度、奥様もご一緒に!』って、また飲み会をやってくれるつもりみたいだよ。息子がほとんどやめてしまってる状態なので、これまでみたいに彼の話は聞き出せないと思うけど、若い人一般の話を聞くだけでもありがたいよ。楽しみだね」
本当に唐突な話で、私もまだクラクラしてる。
ただ、大内くんの引退後の夢である塾講師を経験できたのは、とてもよかったと思う。
あと10年、この塾が健在であることを祈る。
私の母方は教師の家系で、大病をして教師を断念した母親から大学時代に「教職は取っておいた方がいい」とうるさく言われたが、どうしても教師にはなりたくなくて、頑として教職を取らなかった。
姉が早々に教育大に行き、小学校教諭になったのを横で見ていても、私にとってはあまり楽しい仕事ではないような気がする。
向いてる人には向いてるんだろうけどね。
なので、息子が塾で教える、という夢を、通い始めた小5の頃から持っていた、というのも不思議。
先生たちの多くが早稲田出身の塾でさっそく教え始めたが、半年ぐらいでフェードアウトしたことの方がよっぽど納得できる。
その件で、塾長には多大な迷惑をかけたので、今回大内くんが幾分かでも恩返しができたのならよかった。
本当に老後に大内くんが教え始めたら、私も英語の授業に出てみようかなぁ。もちろんちゃんと月謝を払って。
今回の大内くんは、ボランティアないしは趣味なので、無給。
「プライスレスなものをもらった」という状態だ。
勉強する人の気持ちもわからないが、教えたい人の気持ちはさらにわからない私であった。
13年2月9日
昨夜、息子と焼き肉を食べた。
いや、外で一緒にごはん食べるなんて、去年、入試が終わってものすごくハイになっていた時以来だよ。
人気の店ですぐ行列ができちゃうので、私が焼き肉屋に早めに入って場所取りをしていたが、どうも平日はそこまで用心深くならなくても大丈夫みた
い。
駅の改札で待ち合わせていた大内くんと息子が,、定刻5分遅れでやってきた。
「孤独のグルメ」の影響か、最近「焼肉」が食べたくて仕方なかったらしい息子で、上カルビとレバーとタンをおかずにどんぶり飯2杯をぺろりと平らげ、ついでにカルビクッパを。
満腹で肩で息をしている我々よりはるかにたくさん食べたくせに、全然平気な涼しい顔で、
「デザート、ないの?お、あったあった。アイスが食いたいな」と抹茶アイスを食べた。
見ていて、いっそ爽快というものだ。
この店には3年ぐらい前に友人女性とその娘さん2人、そして我が家3人、というメンツで来たことがある。
息子も覚えていたらしく、
「あん時一緒に焼き肉食った人たちは、今どうしてんの?」と聞いてきた。
親関係の人に興味を持つなんて、珍しい。
「それぞれ、努力して好きな道へ進もうと頑張ってるよ」と伝えておいたが、彼にはまだ、将来のことってのはリアリティがないらしい。
さすがに上カルビの威力か、普段は聞けないような話がいっぱい聞けたよ。
普段、家ですき焼きとかするよう心がけるから、もっと自然に世間話をしてくれないものかな。
我々にとっては、キミが言うあらゆることが面白くてならないんだよ。
「オレ、このあとの予定があるから」と立ち上がり、レジでもらうガムを、
「すいません、もう1枚もらっていいですか?」と聞いて2枚ゲットしていた。
焼き肉の匂いが問題になるような予定ですか?とツッコみたくなるのが人情というものだが、この際それはあきらめるんだろうなぁ。
さすがにバイトの賜物か、オトナとしての立ち居振る舞いが多少は身についたようだ。
昔はオトナと接すると棒をのんだように直立不動になっていたものだが。
「じゃっ」と言って夜の街に消えて行った豚児よ、イヤだろうが、親はキミにメロメロだ。
生まれた時とおんなじように可愛い。
1万円を超える出費も気にならないぐらいだ。上カルビをもっと食べさせてやりたい。4人前じゃ、少なかったかも。
この気持ち悪い親心と、もう少し向き合ってくれ。
13年2月10日
時々遊びに来てくれる女友達が、仕事の予定に少し隙間があいたらしく、また来てくれた。
お正月に「小さな新年会@大内家」で会って以来だ。
今日は「大内家の普段の夕食に乱入」という趣向なので、ご馳走なんかいっさい作らず、定番中の定番、「水餃子」で勝負。
彼女の大好物でもあるそうなので、よかった。
うちでは餃子だけゆでて食べるのだが、今回はひと工夫して白菜と豆腐を入れ、鍋風に。
1人暮らしの常で野菜不足を気にかける彼女を、健康にしてあげよう!
それにしても、我々はもう2年近くにわたって週に1回は「水餃子」を食べている。
新しいレパートリーはめったに増えない。
息子が文句言うわけだよ。
車で30分ほどの彼女のマンションまで迎えに行ったのが4時。
帰り道からもう社交は始まっている。
運転手大内くんの後ろで、対面式にしたシートに座って世間話をする彼女と私。
正直言って、今回は2人とも「ダイエット」に話題が傾いた。
「ちょっと増えてきた」という中肉中背の彼女と違って、こっちはもう、医者から「要注意」と言われるほどのはっきりした「肥満」だからなぁ。
家に着いて、まずは「自炊」が終わって模様替えもほぼ終わった家の中を見てもらう。
寝室は、本棚を3本処分したとはいうものの、もともとそう厚くない本棚が壁際にピッタリ並んでいたので、あまり感慨はなかったらしい。
そのかわり、書斎では、「部屋が出現した〜!」と驚いてくれたよ。
前は、本当にぎっしりと狭苦しい部屋だったからね。
引っ越してきた時に彼女にはずいぶん手伝ってもらった。
電動ドライバを片手に、半日、組み立て仕事をしてくれたものだ。
今回、その思い出の本棚はずいぶん姿を消したよ。
リビングに戻ってお茶を飲みながら、彼女と大内くんはパソコン技術的な話をしていた。私はついていけない。
なにしろ、「600ギガを、ハードディスク2つにそれぞれ持っているうえ、安いクラウドサービスも契約した」と大内くんが言うと、彼女が「ほほう」という顔をするのだ。
600ギガが何ほどのものか、さっぱりわからない。
「普通のマンガが、1冊まあ30メガぐらいだから・・・」と教えてくれる大内くん、私の「数学ザル脳」の表面を、情報がさらさらとこぼれていきます・・・
我々が彼女に一番言いたいのは、自炊をすると、将来老人ホームに入る時、どの本を持って行こうか、どの本を処分しようか、と悩む必要がまったくなくなる、という点。
まあ、本を愛する彼女には解体作業を含む自炊は無理だと思いつつ、せめて仕事上の資料だけでもスキャンしちゃうと楽だよ、と大内くんが説得すると、彼女としてもそこはかなり興味のある話らしい。
とにかく、家に紙が多すぎ。
私はまだ見たことがないんだが最近はScanSnapのテレビCMもやっているそうで、人々の心が「家にある紙の整理」に向かっているんだろうなぁ。
ぜひ、進めていただきたい件だ。
そんな話をしながら、大内くんが作っておいてくれた「タネ」で餃子を包む。
私と大内くんがいつものように広げた広告紙の上にそれぞれの持ち分である20枚の皮を並べて、タネを乗せ始めたら、横でやってる彼女は、どうも
我々とは違う動きをしている。
「並べないの?」と聞くと、「え?」と言いつつ、1枚ずつ皮を手にとっては、タネを乗せて包む。
そうか、彼女の家風は「1枚ずつ」なのか!
「普通こうしない?」と困惑気味の彼女の手の動きを見てますます納得、大内くんと私は、20枚の「餃子未満」を1枚ずつ左手にとって、小さなボー
ルに水を入れたもので右のひとさし指を濡らし、皮のヘリにぐるっと水をつけ、包んでいくのだが、彼女のやり方は、皮の端を水につけて、くるくる回
して全周濡らし、それからタネを乗せるのだ。
「そのやり方だと、確かに1枚ずつしかできないよね」と大内くんが言い、私は、
「タネの量の配分がうまく行かなくて余っちゃう、とかいうことはないの?」と聞いてみたが、
「余ったらそのまま焼く」というきっぱりとした答え。
うーん、本当に、家風というのはさまざまだ。嫁姑がもめるわけだよ。
でも、どういう作り方をしても水餃子はおいしい。
3人でおなかいっぱい食べた。
食後は、これまたスキャンしてしまった写真をパソコンからSDカードに入れて持ってきて、テレビで見る。
マンガクラブの合宿風景を選んでおいたんだが、30年若い彼女がたくさん写っていた。我々も、若い。
一緒にあちこち旅行をしていて、今となってはどこに行ったのかわからない写真も多いんだが、なつかしいことは確かだ。
「写真もスキャンしておくのが正解かもね」と彼女も言っていたよ。
大人数でいっぺんに見られる、ってとこがいいと思うなぁ。昔のスライド上映会みたいに。
やがて、「そろそろ」と大内くんが立ち上がるのを合図におひらきにした。
息子用に作ったチャーハンが多すぎるので、紙皿に入れてラップかけて、彼女にお持ち帰り願う。
アルコール抜きの私がハンドルを握り、彼女をマンションまで送り届け、今回は「送り迎えお夜食つき」というゴージャスな訪問となった。
忙しいのにいつもつきあってくれる彼女には本当に感謝しているんだ。ありがとう。
「次は外でごはん食べよう」と相談しつつ、「井之頭五郎」がタイ料理を食べて以来ずっと食べたくなっていた我々のために彼女がいくつかお店をピックアップしてくれたので、来月あたり、彼女の家の近くでタイ料理、ってことになった。楽しみ。
お客さんに家も披露したし、とっても楽しい会だった。
なかなか寝室にまで人を入れる機会はないので、うちの寝室の模様替え後を見るのは彼女だけかもしれないなぁ。
(模様替え前、は、引っ越した時のオープンハウスで皆様に見せた)
今、壁に飾る絵を探しているので、それが壁に掛かったら家中100パーセント模様替え完成。
また彼女に見てもらおう。どんな絵を掛けようかなぁ。
13年2月11日
というわけで、体力が余れば絵を見に行こう、と隣町へ。
とはいえ今日は疲れているので、散歩ではなく自転車で行った。
女友達と約束したダイエット、しょっぱなから守れていない。
まあ、隣町に着いてからあちこち回る体力が残っているのは助かる。
まずは大好きなラーメン屋でブランチ。
11時に開店したばかりなのに、どんどんお客さんが入って、我々が出る頃には行列ができ始めていたよ。
相変わらずおいしいラーメンだ。
続いてロフトに行き、いつものようにアロマオイルとお香を買う。
アロマオイルは、お風呂に数滴入れるんだ。
だいぶ集まったよ。
ベルガモット、グレープフルーツ、ペパーミント、スィート・オレンジ、イランイラン、ラベンダー、ゼラニウム。
毎日違う香りに包まれて、ひと足あとから入ってくる大内くんと、
「うーん、今日のはね・・・スィート・オレンジ!」
「残念!グレープフルーツでした!惜しいよね」
という会話を交わすのも楽しい。
非常にリラックスできるし。
お香も、寝る前に寝室でたいているが、日替わりでいろいろ楽しめる。
今、気に入ってるのは「白檀」と「藤」。
私は、コドモの頃「蓄膿症」気味だったので、匂いがあんまりわからなかった。
歳とともに自然に良くなったらしく、ある日、学校から帰ってきて玄関を入った途端に、
「あっ、今日はハンバーグだ!」と分かった日のことが忘れられない。
ヘレン・ケラーの「ウォーター!」に勝るとも劣らない瞬間だった。
いや、本当に、盲人が初めて光を見るってこういう感じかなぁ、と思ったよ。
それもあって、今でも香りの贅沢は大好きだ。
そんな細々した買い物のあと、いつものスタバでお茶を飲もうと思って行ってみたら、昼頃でもあり、カウンタ席は満員。
「あきらめようか」と言いつつ、もう1軒、公園通りのスタバに行ってみる。
そしたら、カウンタ席はぽつぽつと空きがあるが、2つ並んだ空き席はない。
「ダメだねぇ」と言う大内くんを尻目に、私は店内に入り、座席にコートや荷物を置いている2人のお客さんに、「ここ、よろしいですか?」と言って荷物をどけてもらい、2つの空席を作り出すことに成功した。
コーヒーを飲みながら、大内くんは、「すごいねぇ」と言うが、それはケンカ売ってんのか?!
「いや、努力の人だなぁ、と思って。キミは、どんな時もあきらめない。見習いたい姿勢だ」
そう言われれば、ほめられてる気もしないではない。
お茶の時間を楽しんでスタバから帰ろうとしたその道で、小さな「画廊」を発見した。
「絵を売ってる!」と2人で驚愕し、とにかく今はお勉強だ、とばかりに店内を見て回る。
本棚のなくなった寝室の壁ががらんとあいていて、今は、引っ越し以来しまいこんでいたジグゾーパズルの完成品を飾ってあるのだが、いつかはちゃんとした絵を飾りたい、というのが2人共通の願いなのだ。
かなり大きなものを掛けないと、せっかくの壁が無駄になってしまう。
いくつか絵のお店を見たが、これといったものがまだ見つからない。
主に値段の点で折り合わないし。(涙)
今回見つけたお店では、「照沼光治」という人の絵(版画?)がとても気に入った。
つかず離れずのいい距離で接客してくれるマダムに、
「予算は10万円出せるかどうか、ってとこです。広さですか?6畳間の長辺ぐらいの壁面でしょうか」と言うと、
「それなら、この縦長の版画を2枚掛けたりなさっても素敵だと思いますよ」と、素晴らしいアドバイスをしてくれた。
しばらく見ていたが、やはり高い買い物なので、
「今回はお勉強させていただく、ということで、また寄らせていただきます」と言いながら帰ろうとしていたら、お店の外に並べてあった「人まね子ザル」ジョージくんの小さな絵にふと目がとまった。
マダムもそれを見逃さず、
「こういう大きさでしたら、トイレなんかに飾ると可愛いですよ」とまたナイス・サゼスチョン。
1050円のその絵を買って、今日は家まわりの小さな贅沢をいろいろした日だった。
帰ってから、さっそくトイレにジョージくんの絵を掛ける。いいカンジ。
実用本位の小部屋が、生き生きとした空間に生まれ変わったよ。
家がますます素敵になって来たので、大内くんは細かいところがいろいろ気になってきたようで、あちこち動き回っていると思ったら、息子が殴って開けたり大内くんが本棚を移動させる時にめりこませちゃったりした数カ所の壁の穴を、布とボンドでふさいでいた。芸が細かい。
帰りに優秀な魚屋で買った大きなタラの切り身をフライにし、きゅうりのピクルスがあるのを幸い、タルタルソースを手作りした夕食は、とてもおいしかった。
幸せで幸せで、不安になるほどだ。
「キミは、幸せに慣れてないんだね。人間、何もなければ幸せなものなんだよ」と大内くんは言う。
そう言われても、今、涙が出るほど幸せだよ。
この生活がいつまでも続くといいなぁ。
息子には就職してもらわないと困るし、唯生の体調はもう少し良くなると安心だが、とりあえず、今は本当に幸せ・・・
13年2月12日
唯生に会いに行く。
元気そうだったが、去年建設した「腸ろう」がまだ十二分に機能しておらず、細かいケアはプロでないと難しいようだ。
なので、外泊は当分無理そう。
折良く主治医の先生がいたので、容体について細かく聞くことができた。
我々と話しながらも患者さんの1人にやさしく点滴をしていて、そのやわらかな手の動きを見ていると、本当に患者さんのことを思ってるんだな、と思える、優しくて素敵なお医者さまだ。
唯生についても、
「外泊はしばらく難しいでしょうけど、面会に来ていただいて、散歩するとかして過ごして、自信をつけていただくのがいいいんじゃないでしょうか」と配慮した物言いがありがたい。
看護師さんたちが、忙しく立ち働きながら、
「あらー、唯生ちゃん、お父さんとお母さんが来てくれたんだー。よかったねー」と声をかけてくれつつ、
「この間も、お父さんたちがいらしたあと、とっても機嫌が良くて、笑顔がたくさん出ましたよ」と教えてくれる。
確かに、体調が万全でないわりには機嫌がいい。
いっぱいの笑顔を見ることができた。
しばらくベッドの横で過ごして、また看護師さんやお医者さんによろしくお願いして、帰る。
唯生は唯生なりに自立してるんだなぁ。
個人の年金ももらえるし、医療費は健保からかなり出るし、我々の負担はずいぶん少なくなった。
このまま我々が先に死ぬことがあっても、息子の負担は最小限にしてやりたい。
幸せで幸せで、と思う時、私は唯生のことを忘れているのだろうか。
いや、そんなことはない。
それぞれの生活がうまく回っていることを喜び、唯生が少しでも元気に楽しく暮らせていることを、いつも感謝して過ごしていると思う。
家族全員、幸せなんだ。
この生活が少しでも長く続くといいなぁ。
13年2月14日
今日はバレンタイン・デーだが、バイトの夜勤から帰って来た息子に「チョコもらえた?」と聞いたところ、「人に会ってない」という答えだった。1個ももらってないんだね。
私も大内くんに何もあげなかったし、大内家的には寂しい日だった。
そもそもチョコレート会社の陰謀らしいし、後発で始めようとした4月23日「本を贈る、サン・ジョルディの日」も火がつかなかったようだし、風習というのはなかなか難しい。
最近は「友チョコ」といって女の子同士でもチョコを贈り合うようだが、そんなお金があるなら、恵まれない男の子を少しばかり有頂天にさせてあげてほしい。
13年2月15日
「鋼の錬金術師」の作者である荒川弘のマンガ、「銀の匙」が流行ってるみたいね。
北海道の「全寮制農業高校」を舞台にした青春モノ。
我々の世代だと「動物のお医者さん」なんだが。(「麦ちゃんのヰタ・セクスアリス」という選択もあるな)
東北に旅行した時、夏休みの東北大のひと気のないキャンパスで、白衣を着た数人の学生が、ヤギを追っかけて走っていたのが思い出される。
その後、大内くんは息子に「東北大をはじめとする地方国立大で寮生活」という見果てぬ夢をみていたようだが(北大を見に行った時もそうだったなぁ)、あいにく彼は、最初っから最後まで私立文系を主張していて、最後は早稲田。
コドモは親の期待通りになんかならない、という生きた標本だった。
話を元に戻し、このほど「銀の匙」と「動物のお医者さん」を両方読んでみた。
「銀の匙」は息子の本棚から失敬したのだが、彼はホントにマンガの趣味がいい。(「タフ」とか「彼岸島」は少しコワイが)
こないだ新刊が出た時は、2人して買ったので、ダブってしまった。
「進撃の巨人」の時もダブったなぁ。
息子と同じマンガを読む時は、気をつけないといけない。
「動物のお医者さん」は、シベリアン・ハスキーブームの火付け役だ。
最近見ないが、ペットの流行りというのはあまり感心しない。
犬だと、20年ぐらい生きる場合もあるわけで、車や冷蔵庫のように買い換えることはできまい。
ちなみに、キムタクの出てた「南極大陸」の中で置き去りにされて生き残った「タロとジロ」は、「樺太犬」というふうに聞いて育ったけど、今思えば シベリアン・ハスキーだったんだ。
横浜で「氷川丸」を見た時、南極に向かう時は赤道を通るので、とても暑かった、そして、人間の居室にはクーラーがなかったが、犬小屋にはあった、
という話を知った。
人間よりも暑さに弱かったんだね。
息子が小さい時、一瞬「すもう」を習ったことがあって、当時80歳過ぎだったおじいさん先生によると、彼の波乱万丈の人生の中に、
「南極船に乗って、タロとジロを置き去りにしてきた」というエピソードがあったよ。
そんな彼が、人生の終わり近くに目をつけた、小太りだった息子。
「鍛えればものになる。私に預けてくれませんか?」という申し出を、柔道の町道場に通うことになったからと言って、断ってしまった。
町道場と警察柔道両方の厳しい稽古のおかげでその後みるみるスリムになった息子だが、あの時すもうに転向していたらどうなっていただろう?
その柔道も2段になってやめ、今はお笑い道に精進している彼を見ると、人生って本当に面白いと思う。
いつものように、書き始めた話と終わる時の話はまったく関連性がない。
「自由連想」というのはオソロシイものだなぁ。
13年2月16日
朝一番で24時間営業のスーパーに買い物に行き、サンドイッチを山のように作った。
今日はこれを食べながら映画を観まくろう、という計画である。
サンドイッチの種類はハム、野菜、ツナ、卵の4種類。
私は意外と野菜サンドが好きだ。マヨネーズと辛子を塗ったパンでトマトとレタスをはさみ、塩コショウを少々。
どのサンドイッチもおいしく、観ている映画が「遊星からの物体X」であるところが何だか申し訳ない。
おなかいっぱいになってコーヒーを飲みながら、映画は「ブレイド」へ。
こないだネットで3作全部買ったんだ。
かなりな「ゲテモノ映画祭」だが、1人で時々「エイリアン」などの映画祭をやっている私にとっては、一緒に観てくれる人がいるだけでもう、気持ち悪さが軽減される。
「物体Xはいいよ。キミが生涯のベスト3に入る、と言うのもうなずける。つくづく、名作だ。『ファースト・コンタクト』も悪くはなかったね。あれは、大元の物体Xのマニアが作ったんだと思うよ」と大内くん。
私としては、原題の「The Thing」からこの邦題をつけた翻訳者の方に深く感心する。
「遊星からの」というところがまた、いい。映画史上に残る名訳なんじゃないかなぁ。
「ブレイド」を立て続けに全部観よう、というのが当初の目論見だったんだが、1を観終わったところで買い物に行きたくなった。
自炊をいったんは終わったつもりだったけど、大内くんが自分の文庫本を全部自炊しようとしてるので、私も文庫本に手をつけたくなったのだ。
だが、横で見てると大内くんの苦労はハンパないもので、古い文庫は紙が静電気か何かでくっついちゃってるし、新しいのは新しいので紙が薄すぎてやはりくっつく。
最近テレビCMも打ち始めたというScanSnapの新型機は、どのくらい威力があるものだろうか。
すでに4千冊ぐらいをスキャンしてくれた旧型機は十分に減価償却しており、この先は、新型機に期待してみてもいいんじゃないだろうか。
大内くんもそれほど異存はないようなので、車で近所のPCデポに行き、本当にもう、そこにあるので買う、っつー感じで「ix500」を買った。もちろんお持ち帰り。
家に帰ってすぐに大内くんが接続してくれた。
取り外した旧機種は、新機種の空き箱に梱包材まで含めてぴったりおさまったそうで、
「○○さんにあげよう。僕は、彼女にぜひスキャナを使ってみてほしいんだよ」と資料や書類に埋まって暮らしている女友達の名をあげ、箱ごとクロゼットにしまいこんでいた。
さて、接続が終わり、大内くんが「悪魔の本」と呼ぶ古い文庫本を裁断したものを入れてみる。
するするするする・・・
まったく止まらない!
これまで数ページごとに出ていた「紙詰まり」や「重なり検出」が、全然出ない!
大内くんは、
「すごい!これまで、こういう文庫は絶対悪魔の本だったのに!」と大喜びしながらどんどん本(の残骸)を入れていく。
「160ページの文庫本が、1冊丸ごと入っちゃった!1回も止まらない!夢のように楽になった。キミの考えはいつもとっても正しいよ。ありがとう、買おうって提案してくれて!」
と喜ぶのはいいが、私はそういう時、
「もっと早くこれを買っていれば、あんな苦労もこんな苦労もしなくてすんだのに」と思うタイプだ。
そう言ったら、大内くんに、
「僕は全然そんな風には思わないな。過去は過去、今、便利なんだからそれでいいじゃない」とあっさり言われてしまった。
思えば、自炊の先達である友人プログラマが、メールで、
「何より、自分が生きている間にこういう時代に突入してくれたのは本当にうれしいです」と書いてきた時、
「もっと早くこういう時代が来てくれていたらよかったのに」とずっと思っていた私は、恥じ入ったものだ。
よく、半分お酒の入った瓶を見て「まだ半分もある」と思う人は楽観論者(オプチミスト)、「もう半分しかない」と思う人は悲観論者(ペシミスト)
だと言うが、私は立派なペシミストだよ。
そして、どうやら大内くんは筋金入りのオプチミストであるに違いない。
オプチミストがいないと世の中は元気に回っていかないと思う。
新型機は、スキャンのスピードもローラーのグリップ力も大きく増しているうえ、いくつか細かい点が変わっていて、使いやすくなっている。
絶対「買い」であろう。
20冊ほど残っていた大内くんの文庫本はあっという間に姿を消し、
「さて、これからは書類をやろうかな。コドモたちの学校関係とかね。節目節目に整理してるから、そんなに量はないと思うけど」と嬉しそう。
本当に、スキャナ買ってよかった。
私の文庫本はまだ500冊ぐらいあるし、普通の本も100冊近くはあると思われるので、今度こそ年単位のつもりでのんびりやろう。
マンガを3千冊も処理した、ってことがまだ信じられないよ・・・
ちなみに、すぐさま友人女性にメールを打って、「スキャナいらない?」と聞いたら、「ほしいです!」という返事が来た。これまた速かった。
もっとも、忙しい彼女はここ1、2カ月はとてもとても時間が作れないらしく、使ってもらうのは少し先になりそうだけどね。
愛書家の彼女に本を裁断せよとは言わないが、仕事上の書類や資料を山のように持ってる人なので、少しペーパーレス化して楽になってもらいたい。
引っ越して10年、それらの紙が詰まった段ボール箱を積み重ねて暮らし続けているのはなぜなのか。
伝道者としての私は、もしスキャナが2千円ぐらいで買える物だったら、10個ぐらい買って友達に配りまくりたいぐらいだ。
自炊はいいよ〜。
人間が、こんなに紙から解放されるなんて。
キンドルを通勤電車内で使っている大内くんも、「人生観が変わる」と太鼓判を押しているし。
ScanSnapや各種タブレットのテレビCMも出てきてる昨今、人類の文明は新しい局面を迎えているのかも。
13年2月17日
「寒い寒い!」と言いつつ、隣町に自転車で出かけ、ラーメンを食べる。
前はよく30分の散歩をして行ったものだが、最近、体力が落ちたのと体重が増えたのとで、近くに自転車を停めて街を歩き回る、というスタイルに変化しつつある。
もうちょっと気候が良くなったらまた散歩できるかな。
でも、散歩という意味ではこれぐらい寒い方が楽なんだよね。
はっきりと老化していて、もう往復1時間の散歩は無理なのかも。(涙)
大内くんがブックオフに寄りたいと言うので行ってみて、2人しばらく別行動。
10分ほどの間に私は買いたい本を4冊も発見してしまい、合流した大内くんも2冊の本を持っている。
いればいるほど本を買ってしまう危険な場所、それがブックオフだ。
これ以上増えないうちに、お会計してしまおう。
私は、林真理子の新刊を発見してしまった。
出ているとはまったく知らなかった。
今から図書館に申し込んでも100人単位の待ちが出ているのは経験上確かだし、大内くんの言うように、
「もう本が増えることを恐れる必要はないんだよ。自炊すればいいんだから」ではあるので、この際、買ってしまおう。
普段は105円の本しか買わないのに、900円もする林真理子をなぜ買うのか、とは思うけど。
列のできているレジに並んで待って、お会計の段になったらおねーさんは言う。
「625円です」
え?900円の本も入ってるのに、そんなに安いわけないじゃん。
一瞬の躊躇もなく、と言えばウソになるが、こんなことで良心の呵責を感じて生きるのもイヤなので、
「この本、900円ですけど」と申告する。
おねーさんは「えっ!」と驚いて、「そうですね。失礼しました」とあわててレジを打ちなおしていた。
「大変失礼しました。1425円です」と言われ、「そんなもんだろうなぁ」と1525円を出したら、「1505円ですね」と言って80円のお釣り
をくれようとするので、「20円出てますけど」とトレーを指差す。
「あっ、失礼しました!」
別にかまわないが、そそっかしいおねーさんだ。
彼女のレジは、1日に何円合わなくなってるかなぁ。
ブックオフを出てから大内くんにレジでの話をしたら、
「困った店員さんだね。でも、林真理子の900円をちゃんと申告したキミはえらいと思うよ。そういうとこ、好きだなぁ」とほめられた。嬉しい。
「あなただったらどうする?言わない?」と聞いてみたら、「うーん」としばらく考えて、
「やっぱり、言うね。そんなみみっちいことで得してもしかたないよ」と言っていた。
私もそう思う。
そのあとは、優秀な魚屋さんに行って安かったイワシとアジを買う。
イワシはこないだ大内くんに評判の良かった「オーブン焼き」にしてみるつもり。
アジは大内くんが「アジフライ」を作ってくれるという。
先週買ってフライにし、おいしかったタラも売っていたけど、大内くんとしてはアジフライが食べたかったらしい。
それはそれでおいしいよね。
先週も行った画廊に立ち寄り、また絵を見る目を少し肥やしつつ「高いねぇ」とささやきあい、でもマダムから「先週もお見えいただきましたね」と言われて常連さん気分を味わい、スタバは混んでいたのであきらめ、細かい買い物をして家に帰る。
息子はバイトからまだ帰ってこないようだ。
勤務時間はとっくに過ぎているので、どこかで遊んでいるのだろう。
くたびれて眠くなったので、2時半ぐらいから昼寝に入る。
起きてみたら夜の7時。よく寝たもんだ。
リビングに行ってみると、いつからそこにいたのか、息子が床暖房の上で気絶するように寝ていた。
晩ごはんを作りつつ起こして、食べさせて、もうこのまま寝るだろう、と思っていたら、案外丈夫なもんで、我々が「ブレイド2」を観始めたら、「オレも映画見る」と、一緒に鑑賞。妙に機嫌がいい。
しばらくしてお風呂に入ることにした我々が離脱しても、彼だけ映画を見続けていた。
我々はもう映画はあきらめて、書斎で自炊の続き。
大内くんは、今日買った本をもう自炊してしまったよ。読みもしないうちから。
あいかわらず速くてスムーズなスキャニングに、大興奮だった。
こうして、充実した休日が終わる。
毎日が楽しい。
アジフライはおいしかったし、自炊は速くなったし。
幸せだなぁ。
13年2月18日
唯生が暮らしている施設の病棟から、
「嘔吐があり、異常があるので隣接した病院に入院した」と連絡があった。
驚きながらも大内くんの帰りを待ち、一緒に車で病院へ。
「ER」ですぐに会うことができた唯生は、時々「おえっ」と音を立てて胃液を吐いているようで、担当のドクターの話ではイレウス(腸閉塞)らしい。
「腸がねじれているとか、いくつか可能性はあるんですが、当面はいろいろ検査をしてみます。試験開腹を含む手術が必要になるかもしれません」 と言って渡してくれた書類によると、一番望ましくないケースでは小腸をかなり切除しなければならず、その場合は「長期生存は見込めない」ということらしい。
まあ、医者というのは常に最悪のケースを提示してくるので、いちいちひるんでいては患者は務まらない、というのがこれまでの経験で得た心構えなので、落ち着こう。
とりあえずいつ手術になるかわからないので、いくつかの承諾書に大内くんがサインしてくれる。
麻酔や身体拘束(唯生にはあまり関係ないが)への同意書もあった。
入院手続き等も可能な範囲でやっておいたが、おそらく明日また来ないといけないだろうなぁ。
夜の11時頃の話なので、今夜は泊まりかもしれない、と言っていた息子にメールを打っておく。
「唯生ちゃんの具合が悪くなったので病院にいる。12時頃には帰る」
びっくりするほど素早く「わかった」と返信が来た。
「今どこ?家?」と返したら、これまたすぐに、「外」。簡潔だ。どこにいるのか知らせるつもりはないらしい。
ちょっとしたら、ケータイに電話がかかってきた。
ちょうどERの看護師さんに頼まれて売店(ローソン)に紙おむつを買いに出たところなので、安心して電話に出ることができた。
「やばいの?」と、何の挨拶もなく切り出され、
「いや、それほど心配することはないよ。そっちはどうしてるの?泊まり?」と聞き返したら、
「うん。大丈夫なのか。じゃっ」といきなり切られてしまった。息子健在。
「それでもすぐに電話してくるあたり、やっぱり彼も唯生のことは気にしてるんだよ。優しい子だね」と大内くんは言う。
そうね、普段は何も言わないけど、気にかけてはいるんだろうね。
ここ数年、外泊で帰って来ている唯生に向ける息子の視線はあたたかい。
もっとも、去年のお正月以来外泊できてないので、彼はもう1年もお姉ちゃんに会ってないわけだ。前からそうだが、実質ひとりっ子だよ。
夜中の病院はとても寂しい。
新築の、天井の高い立派な建物で、夜中に具合が悪くなったのだろうか、ERでは5、6人の患者さんが呼ばれるのを待っているようだった。
「明日、また来ます」と看護師さんに言って、大内くんと2人で帰ることにする。
普段生活している施設から唯生と一緒に病院に来たらしいマットやシーツを大きなビニール袋に入れたものを受け取ったので、帰りについでに返して来
た。
夜勤なのか、唯生担当の看護師さんがいて、荷物を受け取りながら、
「唯生ちゃんは、どうでした?大丈夫ですか?」ととても心配そうな顔をしていた。
ドクターに聞いたことをざっと伝えたら、「そうですか・・・」と沈痛な面持ちだった。すみません、心配かけて。
「唯生がこの先も生きて行くのは少し難しいかもしれない。去年、2回も手術してるし。やっぱり、高校を卒業してから身体の変形も大きくなったね。
つくづく学校は偉大だったよ。唯生の人生の一番楽しい時期は、終わってしまったのかも」と2人で話しながら30分ほどの道のりを帰った。
予告通り息子は帰らないようなので、お風呂に入り、寝たのは結局1時半だった。
2人とも、ちょっと言葉数が少なくなった。
深夜の病院というのは妙に静かで、声も小さくなっちゃうし、なんだかとっても心細くなるよ。
唯生が生まれて21年、夢中でやってきたけど、限界が近いのかなぁ。
長生きしてほしい気もするし、我々がちゃんと看取ってやりたい気もするし。
親心は複雑だ。
そして、同じ親心にしても息子に対するのとはずいぶん違う。
あらためてそんな気持ちをかみしめる夜だった。
13年2月19日
大内くんが早退してきてくれたので、一緒に唯生の病院へ行く。
入院手続きなどをすませ、面会してきた。
唯生は昨日よりずっと元気そうだった。
ドクターの話でも、当面、手術はしない方向らしい。
差額ベッド代のかかる個室に入っているけど、あんまり入院が長引くようなら考えてくれるみたいだし。
シャワーやトイレなど、唯生が使わないものばかりあるゴージャスな部屋なのが少しくやしい。
1日1万5千円なので、10日入院したら15万円。
けっこうな出費だが、唯生は障害者年金をもらっており、よほど長引かない限り、自分の出費は自分でまかなうことができるのだ。
こういう点、成人した彼女はとても自立している。
「案外元気そうだったね」
「こないだの手術の時も、ドクターが驚くほどの回復ぶりだったんだよね。今回も、週末には退院してたりしてね」
と話しながら帰る。
昨日の夜中の寂しい病院とは違い、患者さんやきびきび歩くスタッフの人が大勢いて、別の場所のようだった。
昨夜は「唯生は長生きできないんじゃないか、また、その方が幸せなんじゃないか」と思って寝つかれなかったが、今日は何だが気が楽になっちゃったなぁ。
やっぱり、夜考えることは陰気だよね。
「遠くにいる恋人に、夜中に手紙を書いて、朝読むと、『きゃっ』と叫びたくなる」とはよく言われることだが、病気のコドモのことも、夜中には考えない方がいいみたい。
13年2月20日
数日前の朝、会社に向かう電車の中から大内くんがメールで知らせてきた、義足の短距離選手、「ブレードランナー」ことピストリウス選手の恋人の射殺事件。
驚いてパソコンを見たら、バレンタインデーに驚かせようと忍び込んできた恋人を、ピストリウスが誤って撃ってしまったらしい。
記事をコピペして大内くんに返信したら、「犯人は本人だったのか!(涙)」という返事が来た。
ところが、数日の間に事件は大きく様相が変わり、どうやら「故意の殺人」として告訴されるようだ。
もし有罪となれば終身刑もあり得る、と報道されている。
あんなスゴイ選手が刑務所で一生をおくるのだろうか。
ピストリウスは、北京オリンピック出場をかけて「義足が、『車輪やバネを使ってはならない』としたオリンピック規定に触れる」とするスポーツ裁判に勝つも、五輪標準記録に届かず出場不可、4年後のロンドン・オリンピックでついに障害者として初めてのオリンピック出場となった。
残念ながら決勝には残れなかったが、続くパラリンピックでもメダルを取りまくり、障害者の星となった印象がある。
なので、次の世界陸上やリオでのオリンピックにとても期待していたんだが、このままでは出場できないだろうなぁ。
本当に残念だ。
うちは唯生がいるから、当然、障害者の活動には気持ちを持って行かれる。
唯生ほど重い障害を持っていると、「ただ生きて行くこと」だけでもかなり難しいのだが、世の中にはいろんな障害者がいて、ちょっとしたヘルプで健常者以上の活躍ができる人もいるのだ。
そもそも、たとえばメガネというものがなければ私や大内くんも障害者だったかもしれない。
歳をとって歩くのが難しくなれば、車いすに乗るかもしれない。
障害者と健常者の間にはとても広いグレーゾーンがあり、何をもって「健常」とするかは難しい問題なのだ。
もう1度、トラックを駆け抜ける義足の男を見たい。
とても単純に、そのことを祈っている。
13年2月22日
持っているハードカバーの本を自炊しようとしているが、迷うのが沼正三の「家畜人ヤプー」。
本に、「読む」以外の価値をほとんど求めない私でも、思い入れのある本というものがあるのだ。
大学に入って上京した時、私には3つの野望があった。
野望その1:原宿で、「バラの香料」を買いたい。(萩尾望都の読み過ぎ)
野望その2:新宿紀伊国屋の奥にある喫茶室で、マーマレードの「ロシアン・ティー」を飲みたい。
野望その3:神保町の古本屋街に行きたい。
地方の文学少女くずれが抱きそうな野望ばかりだ。
その3を達成しつつ神保町をうろうろしていたら、1軒の本屋の店先に沼正三の「家畜人ヤプー」があった。
真っ黒な紙に金文字の装丁はいかにもおどろおどろしく、石森章太郎のマンガで読んだことのあるこの世紀の奇書は、初神保町詣での戦利品としてはと
てもふさわしく思えたものだ。
値段はよく覚えていないが、1000円ぐらいだったんじゃないかな。
当時の私には、ちょっとした出費だった。
そんな「センチメンタル・バリュー」のある本を裁断してスキャンするのはあまりに神聖冒涜。
大内くんも、
「そういう本はとっておいたらいいんじゃないの?ずっと持っていたら?」と言ってくれるし。
その後出た安い装丁の2巻、3巻はさっさと自炊しちゃったけどね。
そしたら、ブックオフでその安い装丁の第1巻を見つけた。
なぜか1巻だけ。105円の棚に、かなり唐突にあった。
さっそく買って、自炊する。これで3巻ともハードディスクにおさまった。やっぱ、私って強運かも。
で、今「家畜人ヤプー」を読み返している。
あれは、どういう人を読者層に想定して書いてる小説なんだろう?マゾの男性?
作者は正体不明らしいし、右翼も左翼も怒ってるらしいし、読む価値があるのは1巻だけのような気がするし。
ちなみにマンガの方も、石森章太郎が描いてる第1巻は持ってるが、シュガー佐藤が描いてる2巻、3巻は処分してしまった。
エログロをヘタな人が描くと読むに堪えないものになる、ということを教えてくれた、貴重な作品かもしれない。
13年2月23日
イレウス(腸閉塞)で入院している唯生の見舞いに行った。
今はずいぶん調子が良くなっているようで、面会中もおだやかだった。結局、手術はしないですんだようだし。
また1日1万5千円かかる差額ベッドに寝ているが、まあ、唯生の手当てから出る支出なので気にするまい。
ただ前回と同じく、トイレやシャワーなど唯生には必要ないものがいろいろついている部屋なのがちょっとくやしいかな。
30分ぐらい顔を見て、帰ることにする。
最近の病院はキレイだねぇ。
天井が高くて吹き抜けとかあって、まるでホテルのよう。
病気で入院していても、これなら気が滅入ることも最小限ですみそうだ。
ただ、唯生の背骨の側弯からくる身体のゆがみはどんどん進行しており、ずっと元気に長生き、というのは望めない感じになってきた。
私としては、高校を卒業したところで彼女の楽しい人生は一段落してしまった、と思っている。
もちろんこの先も元気でいてくれるのが一番だけど、難しいかも。
今日はちょっと悲しくなった。
だんだん元気出てくるだろうとは思うが、やはり家族の病気はこたえるね。
今年はまだ誰も本格的な風邪をひいていないので、それだけでも良しとするんだろうなぁ。
13年2月24日
いつものように自転車で隣町まで出かけ、おいしいラーメンを食べる。
ここ1カ月ぐらい、毎週食べに行ってるかも。
私としてはカレー喫茶のチキンカレーも捨てがたいのだが、大内くんは最近ずうっとラーメンな気分なんだって。
異存はないので、つきあう。
ランチタイムは、100円余計に払うとミニごはんと餃子がついてくるし、店員さんにも勧められるんだが、どうしてもラーメン1杯が限界。
ライスだけなら無料でつくってのに。
大内くんも、
「昔は大盛りで食べられたし、サイドメニューのごはんを頼まないなんて、考えられなかった。つくづく、身体が年をとった」と嘆いているし、大盛り男子が大好きな私としては、理想のダンナさまのちょっとした傷であろう。
ラーメン屋さんを出て、最近お気に入りの雑貨店で白檀のお香とゼラニウムのバスオイルを買う。
今回の買い物は新しいものにトライするのではなく、なくなったものを補充するだけなので、速かった。
店先には花粉症対策グッズがいろいろ売られており、昨今の皆様の関心の高さをうかがい知ることができる。
あれは、いったんデビューしちゃうと治らないらしいね。
他人事のように書くが、我が家もいつ襲われるかわからない。
みんなアレルギー持ちだから、花粉症までやってるヒマはないよ。
これまた恒例、スタバでお茶。
大内くんはいつもの「ホットコーヒーをショートで、マグカップで」だし、私は、「チャイ・ティー・ラテ、トールを紙コップで」。
もう、寝てても言えるような感じだなぁ。
毎度このオーダーなんだもん。
季節を先取りした「さくらシフォンケーキ」を出したり、紙コップに薄ピンクの桜が描かれていたり、努力を感じる。
でも、ちょっとだけ気に入らなかったのは、店内のボードに、
「土日祝日は、長時間のお客様にはお声かけすることがございます。ご協力をお願いいたします」って書いてあったこと。
スタバってのは、1人でボーっとしたい人や本を読みたい人、勉強する人、ノートパソコンやiPadを使う人、さまざまな「長っ尻」のお客さんがい
て、それができるところが売りだったと思うんだよね。
そりゃあ、回転がいい方がお店はもうかるし、安いコーヒーを出している営業努力は買うが、ちょっと鼻白む気分だ。
それでも道行く人を眺めながら唯生のことやいろんな話をして、魚屋さんへ。
今日はとっても豊漁。
アジが、信じられないほどでかかった。しかも1尾290円とお安い。
こんなでかいアジは見たことない、と大内くんと興奮し、大内くんは刺身、私はたたきにするつもりで、特に大きいのを2尾選んで、さばいてもらう。
イワシも安いなぁ。
冷蔵庫にトマトあったし、こないだ好評だった「イワシのオーブン焼き」を作ろう。
大内くんはさらにブリの切り身を買って、
「お刺身と照り焼きにしよう。刺し盛り定食だね」と嬉しそうだった。
というわけで、今日の夕飯は刺身がメイン。
ブリの照り焼きと、小さな土鍋で作った「えのき入り湯豆腐」もつけた。
アジがあまりに巨大なので、刺身がたくさん取れたよ。
珍しく息子が夕食時に家にいて、しかも、
「刺身だよ。食べる?」と声をかけたら、普段あんまり魚は好きじゃないのに、「ん」と言って、そしてこれまた最近ではむちゃくちゃ珍しく、我々と同じ食卓で食べた。
いつもだとお盆に乗せて自分の部屋に運んで食べてるんだが。
小さいながら「鍋」の効果だろうか。
あー、おいしい魚を食べて幸せ!
明日はイワシだ。
青魚は健康にいいんだよ。
楽しい週末だったなぁ。
また1週間、頑張ろう。
13年2月26日
ヨドバシカメラに電球を買いに行ったら、生活家電のフロアで、お掃除ロボット「ルンバ」の実演をやっていた。
もちろんルンバだけでなく他のメーカーの機種もいろいろおいてある。
四角くしきられたディスプレイ場をさらに四分割し、、畳やフローリング、じゅうたんなど床に違いを持たせたところで、4、5台の平たい円盤状のロ
ボットが互いにぶつかりながら動き回ってはゴミを体内に掃きこんでいる。
なんつーか、ペットショップでガラスの向こう、ケージの中で子犬や子猫がじゃれ合ってるのを見てるような気分だ。
実際、群がっている数人のコドモたちはときおり近くに来るロボットをなでてみたりしていて、ペットショップ状態。
大内くんは、
「コドモの頃、母親がデパートの買い物に行くと、おもちゃ売り場に放流された。マジシャンがいたり、レーシングカーがあったり、とても楽しかった」と語っていた。
確かにこれならおもちゃ売り場の代わりとして、充分コドモたちを置いて買い物ができるだろう。
もっとも、最近は何かと物騒だから、あまり長いこと放ってもおけないだろうが。
うちでも「ルンバ」の購入は検討されている。
(お掃除ロボットの総称が「ルンバ」になっている。ウォークマンみたいなもの)
会社の上司など、使っている人はみんなかなりほめるらしい。
私としては、お掃除してくれるというより、ペットを飼うような気分。
充電が切れそうになると1人でホームに戻って座り込み、充電し始めるんだそうで、勝手に知性を感じちゃうなぁ。
もともと私は電化製品を疑似生命体だと思ってるふしがある。
大昔、1人暮らしをしていた頃、暑い日中の外出から帰ってきたら、出がけに消し忘れた扇風機が黙って首をゆっくり振っているのを見て、思わず「ごめんね!」と抱きしめてしまったからなぁ。
私よりはクールな大内くんは、
「もうちょっと待とう。競合機種も出てきて、ここから値段が安くなって性能アップの可能性もある。急ぐものじゃないから、のんびり考えよう」と言っており、「いつか欲しい」とは思っているようだ。
「僕だって、ルンバは可愛いと思ってるよ。ゴミを探して、だーっと動いてくとこなんか、泣けるよね」と、ここにも家電におぼれた人間が1人・・・
正式の「ルンバ」は後発に比べてやはり一日の長というか、性能がいいような気がする。
群がっているコドモたちが時折ロボットたちのおなかを開けて、ディスプレイ用に用意したんだろう細かい紙屑をぶちまけては喜んでいたが、ルンバは、ゴミがないところはすーっと素早く移動して、いったんゴミを見つけるとその場をくるくる回って念入りにお掃除している。
これは、他のメーカーのものには見られない動きだ。
やっぱり買うならルンバかなぁ。
乾燥までできるドラム式の洗濯機と並んで、欲しい家電のひとつだ。
でもなぁ、お掃除はロボットにやってもらって、お皿は食器洗い機に洗ってもらって、このうえ洗濯物の乾燥までしてもらったら、私はいったい何をすればいいのだろう。
「空いた時間に本でも読め。それが現代日本の贅沢を味わうということだ」って感じかねぇ。
とりあえずダスキンモップで床を掃除しながら、ルンバに思いをはせる私。
13年2月28日
友人の映画監督がフェイスブックにアップした自分ちのリビングの写真によると、彼の部屋には、ルンバがあるようだ。
部屋の写真の片隅に写るルンバを、「友人女性」が目ざとく見つけ、
「いいですね!」とコメントしていた。
さらには他の女性読者が「ケーキ持って見に行こうかな〜」と言うあたり、モテモテな雰囲気だ。(いや、ルンバが、じゃなくって彼が、ですよ)
確かに美男子なんだ。
大内くんの悪友で、曰く、「地獄のような性格」なんだが、よく理解できない。
結婚式でスピーチしてもらったことは感謝している。
ああ、あと、婚姻届の証人の1人になってもらったな。
最近はあまり会っていないが、あいかわらず「地獄のようなヤツ」なんだろうか。
学生時代の友達はいいね。
膨大な無駄な時間を一緒に過ごしたことによって、一生変わらないつきあいができる。
息子も最近外泊が多いが、友達を作っている最中なんだろう。
私の夢は、息子の結婚式に、保育園時代からの親友しゅうくんと、小学校時代の親友相沢くんと、中学校時代の親友の松村くんと、高校・大学時代の仲間のなかちゃんと寺田くんが来てくれるのを見ることだ。
しかし、それ以前に、彼は結婚できるのだろうか・・・?
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