14年2月1日
息子の部屋のエアコンのリモコンがなくなった。
そこらじゅう探したのに、見つからない。
この2日ほど、彼が我々の寝床にもぐりこんできていたのは、エアコンが使えなくって寒かったのだ、と理解する。
(それを知る前は、「大学生にもなって?!」と思ったが、緊急避難だったのね)
最悪、エアコンを買い替えるつもりで近所のコジマへ行くも、うちのエアコンに使えるリモコンだけで3種類も売っていたので、まるっきりOK。
古い方の行方は杳として知れない。ベッドわきのゴミ箱に落ち、そのまままとめて捨てちゃったものと思われる。
息子のベッドと机の間に置いてある細長いゴミ箱は、実はたいそう危険な場所で、過去にも充電中のケータイが落ちていたことは何度もあるし(充電 コードでそれと知れるので惨事にはならない)、見当たらなくなってとうとう新しいのを買ったゲーム機も、そんな目にあってるんじゃないかなぁ。
リモコンといえば、先日、寝室の模様替えをするついでに電灯を買い替えた。
これまでのはペンダント式で部屋の真ん中にぶら下がっていて場所ふさぎな感じがしたので、直径50センチほどの、天井につけるLED式にした。
これがたいそうなスグレモノで、明るさや昼光色の度合いが変えられるし、気に入った明るさ・色を登録しておける。
いつでも一番好きな明るさにできる、というわけ。
さらに素晴らしいのは、リモコンをベッドの枕元に取りつけたので、これまでのように電気を消してから布団に入るのではなく、布団に入ってから電気を消せるのだ。
要するに、昔人々が畳に布団で寝ていた頃、電気のスイッチひもに長いひもをつけて、寝たまま消せるようにした、あの頃と発想はほぼ同じで、技術力がすごいだけではあるんだなぁ。
生活のあちこちにひそむ「リモコン」。
本当に役に立つ。
人間がどんどん不精になっていく、というデメリットもあるんだが、私は快調に暮らしているよ。ありがたや、技術進歩。
14年2月2日
唯生に会いに行った。
先日買った「きゃりーぱみゅぱみゅ」を持って行って、さっそく唯生の枕元に置いてあるデッキでかけたら、どうやら気に入ったらしく、にこにこして聴いていた。
今回持ってったのには、私の好きな「にんじゃりばんばん」は入っていなかったので、今度入手して持ってきてあげよう。
きっと唯生も好きだと思うよ。
息子がせっかく運転免許を取ったので、片道30分弱の軽いドライブでハンドルを握ってもらいたかったんだが、本人曰く、
「午前中は用がある」。
でも、我々が出かける時まだ寝てて、帰って来てみたらまだ寝てたので、結局、何の用もなかったんじゃないのかなぁ。
無理矢理起こして連れてったらよかったんだろうか。
こういう時、いつも思うのは、私が、
「唯生のことにあまり息子を巻き込みたくない」と考えていること。
大内くんに尋ねたら、彼もまた、同じように考えるらしい。
唯生が今いる施設に移ってもう8年ほどになるが、息子は1度もそこへ足を踏み入れたことがない。
外泊で帰って来た時だけ会っているけど、それも、おととし唯生が大きな手術をしたあと、2年以上外泊をしていないので、要するに彼は2年以上自分の姉に会っていないし、姉が生活している場所を見たことがないわけだ。
それじゃいかんよなぁ、と思ったり、ま、しょうがないだろう、と思ったりで過ごしてきた2年だった。
息子本人としては、
「会いに行こうとは思ってるけど、そのうちね」という感じらしい。
最近物わかりが少し良くなっている彼に、
「唯生ちゃんに、会いたい?」と聞いてみればいいんだろうか。
やっぱり、「そのうちね」と言われるような気がする。
息子の幼なじみのしゅうくんには、唯生より程度は軽いがやはり脳性マヒのお兄ちゃんがいる。
しゅうママとは今でもつきあいがあって忘年会等で会うので、そのへん聞いてみたら、しゅうくんは、
「トイレの介助とかはしてるし、いろいろ助けになっている」らしい。
保育園の頃からしゅうくんちに出入りしている息子は、在宅の障害者であるそのお兄ちゃんをずうっと見て大きくなってるわけだが、自分ちと比べて、 どう思うのかなぁ。
親として、比べようがないほど向こうさんの方がえらいんだけど、兄弟として比べてみても、息子はずいぶんしゅうくんに劣るぞ。
今後、たとえば結婚するような歳になったら、唯生の存在というのは決してプラスにはなるまい。
「というわけなので、見合いの話はまず来ないと思って、せっせと恋愛結婚するように」という意味のことは小さい時から言っているが、どのくらい真面目に聞いているのか。
だいたい、こないだ紹介してくれたカノジョに、唯生の話はしてるんだろうか。
それとも、隠す、とまでは行かないが、あまり積極的にしたい話題ではないのかもしれない。
そこが何となく聞きにくい、というところから、すでに我々はあまりフランクでない状態かもね。
唯生、キミの弟は、なんだか放蕩者のドラ息子にできあがってしまって、キミに会いに行くのは難しいようだよ。
すまんねぇ。
また新しいCD持って行くから、それでカンベンしてやってくれ。
14年2月4日
我が家に残された数少ない本棚のひとつに、「自炊前の本を置いておく」場所がある。
今はそこに、団藤重光の「死刑廃止論」と郷田マモラの「モリのアサガオ番外編」が並んでいる。
大内くんがアマゾンで買ったものだが、非常にわかりやすい人だ、彼は。
「モリのアサガオ」を読んで死刑問題について少しだけ真面目に考えた。でも、結論は出なかった。
大内くんと少しずつ話をして、
「たぶん、『無期懲役』じゃなくて『終身刑』があればいいんだと思う。無期だと、なんだかんだ言って出て来ちゃうから」というところにおおむね落ち着いたよ。
「恩赦」とか、何であるのかわからない。
今、自分が普通に暮らしてて、犯罪に手を染めることはないと思ってるから他人事に思えるんだろうな。
一番怖いのは交通事故だけど、それだって「酒気帯び運転で人をひき殺す」ことがなければ交通刑務所にも行かずにすむんじゃないかしらん。
酒気帯び運転をするしないは、自分で決められることだし。
あと、テレビのドラマとかであるじゃないですか、口論しててもみ合いになって、相手が倒れた拍子にどっかの角に頭ぶつけて死んじゃうやつ。
あれを、ごまかそうとするから罪が重くなるんで、すぐに警察なり救急なりを呼べば、死んじゃってたとしても、過剰防衛かせいぜい過失致死。
初犯で自首なら、執行猶予がつく可能性が高いし。
どうしようもなく加害者になることはあるのかもしれないけど、「犯罪」はできるだけ避ける努力はした方がいい。
もし浮気とかして、現場を押さえられて恐喝に合ったら、たとえ離婚されようが、大内くんに話した方がマシ。
恐喝するような人は、1回お金を渡したぐらいじゃ引っこんでくれないと思うし。
そもそも、浮気は犯罪じゃないけど恐喝は立派な犯罪なんだから、相手の方が分が悪いはず。
勇気を持って、警察に駆け込もう!
14年2月6日
息子が突然「遊星からの物体X」を見始めたので、一緒に見た。
やはりもんのすごく面白かった。
私の生涯のベスト映画だけのことはある。
夜中にこれまた唐突に「レ・ミゼラブル」を見始めた彼の横にいさせてもらって、これも全部見た。やっぱり面白かった。
彼は手元でケータイをいじったりしながらだったのでロクに見てないんじゃないかと思ったけど、終わったら、「面白れぇ〜」とため息をつく。
「こういうの、作ってみたいよな」
キミは、映画監督志望なの?
正面切ってそう聞いても、「いや、特に」という答えが返って来るだけなんだよね。
要するに、何かを作りたいのかなぁ。
問題はだ。
「原作は読んだことある?」と聞いたら、
「へー、元は小説なの」と言われたこと。
「『ああ、無情』とかってフランスの小説、知らない?」
「聞いたことはあるかな」
世界文学全集ぐらい読んでおけ。
そもそもジャベール警部が何で自殺しちゃったかわかってんだろうか?
「なんで?唐突に死ぬなぁ、と思った」程度の感想しか持たないらしい。
悪人だと思っていた人に命を助けられ、彼の中でのレゾン・デートルがなくなっちゃったのだよ、と説明しておいたが、さて、わかるんだろうか。
いいからいっぺんユゴーを読んでみろ!
14年2月7日
最近続いている息子との映画鑑賞会、今日は、日中リビングに行ってみたらDVDの山をあさって「アビス」を掘り出していたので、一緒に見る。
これはこれで面白い。
エド・ハリスが好きだ。
最後の竜宮城は余分だと思うぞ。
「もう1本、なんか見ようか。『ビューティフル・マインド』見たことある?」と聞いたら「ない」と言うので、それにした。
ケンタッキーをおごって昼ごはん兼晩ごはんで。
結局途中で、
「ライブ行くから、帰ったら続き見よう」と言って出かけてしまったが、彼の方でもこの「鑑賞会」はそれほどいやでないらしい。
こっちにもエド・ハリス出てたぞ。
もう、「スターリングラード」見るしかないか?家にないけど。
途中までで、
「これは、妄想でしょう!」と言い切る彼だが、最後の方までどっちかわからないところがいいとこなんだよ。
「ナッシュ理論」ぐらいは聞いたことがあるようだし。
それにしても、ソファに横になるためのクッションを貸してくれたり、
「最近、身体の調子はどうなの?チキン、こんなに食べて、また吐いちゃわない?」とか、
「ごはん食べてるせいか、顔色がいいね」とか気遣ってくれたり、大内くんが聞いたらうらやましがるだろうなぁ。
この頃、彼は親に親切になってきた。気持ちに余裕があるんだろう。
その割に、バイトの面接はよく落ちる。
先日は、寿司屋の面接に落ちた、と語っていた。
履歴書に「柔道2段」と書かないことと、面接に2分ほど遅刻したのが原因と思われる。
時間厳守は大事だよ。基本中の基本だからね。
「働き始めても、すぐ遅刻やサボりをするんじゃないだろうか」と思われるのはものすごく損。
気をつけるように。
早くバイト見つけないと、稼ぎ時の春休みが終わっちゃうよ!
「コンビニや居酒屋の『底辺感』がイヤだ」なんて言ってる場合じゃないよ!
14年2月8日
記録的な大雪が1日中降っていた。
まだ降り始めの早い時間に当座の買い物をし、帰って来てもまだ寝ている息子を起こす。
さすがに、
「雪だよ」「ホントっ?」と飛び起きるほどコドモじゃあない。
「寒いわけだよ」と、むしろブーイング。
何となく「降り込められた1日」で、珍しくリビングにみんなそろって、ソチ・オリンピックの開会式をサカナにボーっとすごした。
ずぅっとiPadでゲームをしたり、ようつべでお笑い見たりしてごろごろしてる息子に、
「さすがにサークルの仲間も帰省しちゃって、遊び相手がいないんじゃないの?」と聞いたら、
「帰るやつはあんまりいない。今日だって、大雪にならなきゃ予定はあったんだ」。
妙に威張るねぇ。
晩ごはんは午前中の買い物で「ヒラメの煮つけ」に決まっていたが、息子がいるとなれば話は別だ。
明日食べようと思っていた水餃子をしよう!
2人で食べるつもりだったため餃子がやや少ないので、白菜やえのき、ネギ、豆腐をいれて「鍋」風にカサを増やす。
なんとか3人分のごはんができた。
夕食を食べながら鑑賞したのが、ジャック・ニコルソン主演の「カッコーの巣の上で」。
5年ぐらい前、息子が高校入試のラストスパートをかけようかという頃、大内くんと2人で見ていたら、横でたいへん興味を持った顔で見始めちゃったんだよね。
「ハイ、勉強しといで」と追い払ったことを、大内くんは今でも悔やんでいるそうだ。
「親は何も言ってないのに、アカデミー作品賞に興味を持つ、その芽を育ててやるべきだった。今からでも、僕は見せたいよ」というのが大内くんの意見。
私はどっちかというと、その頃、映画も見ないで真面目に勉強したのが今日につながっていて、映画は、今見ればいいんじゃない?という意見です。
けっこうすぐにケータイを握ったりiPad見始めたりしちゃうし、「面白くないのかな?」とハラハラする。
でも、終わってみたら、
「あー、いい映画だった」と言ってくれたよ。
雪のおかげでオリンピックをたくさん見られたし、夜は息子も交えて水餃子食べられたし、長年見せてやりたいと思っていた「カッコーの巣の上で」を一緒に見たし、いい1日だった。
14年2月9日
雪もあがって、地域の皆様が懸命に雪かき作業してた。
大内くんも昨夜頑張ってたんだが、あいにくなことに朝まで降り続け、雪かきした部分もまた雪に消されてしまったのだ。
「夜の間に降り続ける、というのは犯人の誤算ではないでしょうか。せっかく現場から母屋まで竹馬に乗って移動したのに、肝心の偽の足跡は消えていたのです」
ミステリごっこしてる場合じゃない。
昨夜は珍しく息子が夕食時に家にいたので、食後しばらくして彼が自室に引き取ってから、大内くんを、
「せっかくいるんだからさぁ、一緒に飲もうよ」と誘って、あとは大内くんが息子に言いに行ってくれた。
「ふーん、じゃあ、飲むかな」と食卓に着いた彼に、塾長からもらった「唯生の生まれ年のラム酒」をあける。
いや、本当は唯生がいる時に飲むのが正しいんだろうけど、実は唯生が帰ってきてる、ということは、いつ何時病院に運ばなきゃいけないか、って問題があるんだ。常在戦場。
なので、唯生がいない時こそ飲めるわけ。
息子はラムのオンザロックをすすって、
「うわっ、何これ!ものすごく強いねぇ。平気で飲んでる親父もすごいな」と早くも逃げ腰。
普段は何を飲んでいるのだろうか。
日本酒はけっこういける、と言うので、家にあった1升ビンを出してくる。
息子「オレさぁ、来期から一生懸命やるわ」
大「それはよかった」
息子「今はとにかく広く浅く教養を広げたいと思って、本読んだり映画見たり、自分なりに知識を増やしてる」
私「母さんたちが留年にあんまりこだわらないのは、あなたは成長が遅くてコドモっぽいから、4年で卒業しちゃうと『大学を味わう』ことなしに終わっちゃうと思うからなんだよね。2留も3留もされたら困るけど、あなたの大学生活は、今ぐらいから始まるんじゃないかな」
息子「オレもそう思うんだよ!」
そんな話も含めて、友人たちの様子、就活中の先輩の情報、面白いことが多かった。
カノジョとも順調なようだし。
いつも感心するのは、彼が事実をちゃんととらえることができる、ということかな。
彼なりに、社会情勢や国際問題にビジョンを持ってる感じ。
もっと、もっと本を読みなさい。
本には知識が詰まっているよ。
そう言いつつ、
「SFは、これ読めば充分」と言って、データで持ってるのに本の形で買い直したキイスの「アルジャーノンに花束を」を渡しておいた。
「ふーん、面白そうだね」と自室に持っては行ったが、彼の場合、常に「これから読む本」が積み上がっているのだ。
「順番」がまわってくるのはだいぶ先になりそう。
泣けるよぉ。泣いてくれ。
「アイ・アム・サム」に涙するキミなら、きっとわかってくれるだろう。
14年2月10日
昨日は都知事選の投票日だった。
我々は、大内くんが昔お世話になった先生に当然の一票を投じ、結果を見ると、我々の票は無駄になってはいないようだった。
こうして、我々の結婚式は、未来の都知事が来てスピーチをしてくれた、という結果オーライなものになったわけだ。
やる気も行動力もある都知事を迎えて、さて、我々の生活にはどんな影響が出てくるのか?
「ゆりかごから墓場まで」を実現してほしい。
息子も用事で大学に行く前に初投票をすませて行ったらしい。
我々とは違う見解に基づくものだったようだ。(「親父の先生には入れない」と言っていた)
誰に入れたんだろう?
何しろ雪が残っていて道がつるつる滑るので、選挙以外は外出せず、オリンピックのアイスダンスを見て過ごした。
フィギュアのペアより、アイスダンスの方が好きだ。
わかりやすい色気が良い。衣装がカジュアルな感じなのも。
いつも、フィギュアの衣装が気に入らないんだよね。ピラピラのラメラメで。
難しいリフトとか見てると、パフォーマンスの素晴らしさにテレビの前でスタンディング・オベーションしちゃいそうだ。
冬季オリンピックは、スノボもなかなか面白い。
スポーツ選手だ、というのでなければ、渋谷にいるヤンキーのにーちゃんたちみたいな日本の選手たち。
実際、使うわけでもない「階段」がコースにあったりするのは、競技中に滑り降りたりする横の「手すり」を「手すり」と認識させるためだけになんだろうなぁ。ストリート系だ。
11歳からプロ、とか、スゴイと思う。
一番スゴイのは、彼らが、うちの豚児よりも若いということところだろう。
いつの間にか甲子園球児を超えているなぁ、とは思っていたが、オリンピック選手も年下か。
柔道もやめてしまい、馬齢を重ねる豚児。(動物の名前がたくさん)
知らない間にお笑いのライブに出て来たらしい。見に行きたかったなぁ。
オリンピック選手の親も嬉しいだろうが、普通のコドモの親であるだけで、人生は充分にエキサイティングだ。
日本勢の健闘を祈りつつ、息子のライブにも客が入れ、と祈る。
ついでにかつての恩師の都政の成功も祈っておこう。
14年2月12日
毎晩、12時を回った頃帰ってくる、ないしは帰ってこない息子に、これまた毎晩、11時半ごろになると大内くんがメールを打っている。
文面はほぼ毎日一緒。
「今日は帰ってくるの?」
これに、大して嫌がりもせずに「帰るよ」ないしは「帰らないかも」と毎日返事してくる息子もちょっとエライ。
そんな彼が、ますますエラくなった。
今日は大内くんが九州に日帰り出張だったんだけど、羽田に向かうために早朝、家を出ようとしていたら、玄関わきの部屋に寝ている息子がぱちりと目を覚まし、
「こんなに早く行くの?」
「九州だからね」
「たいへんだねぇ」というやり取りがあった、と9時半ごろ帰って来た大内くんから聞いたので、メールを打つ時に、
「日帰り出張だから、少し疲れたよ」と正直に書いておいたら、と言ったところ、息子からの返事は、
「お疲れさま。ネタ合わせ(まあ、お笑いの練習だ)だから、帰らないかも」というものだった。
彼から、「お疲れさま」という言葉を聞こうとは、と、大内くんはとても驚き、かつ、喜んでいたよ。
親を喜ばせるなんて、簡単なものだなぁ。
しかし実際、息子は日々オトナっぽくなっている。
最近では私も親切にしてもらうことが多くなってきたし、会社に行って働いてる大内くんは、一定の尊敬を受けているようだ。
「もう、僕らの手を離れる日も近いのかもね。成人だしね」と食卓で語り合う両親はややキモい、というのはわかるんだけど、とりあえず夫婦の間では、「作品」としての出来上がりが近い息子の話は、心弾むものなんだ。
しかも「お疲れさま」なんて言われちゃうとね、本当に嬉しい。
彼が自立して家を出たあとの趣味でも考えておかないと、コドモに溺れちゃいそうで、怖い・・・
実際、最近の親の大きな課題は「子離れ」らしいしなぁ。
「紅茶いれて」「はいはい」なんてやってる場合じゃないぞ!
14年2月14日
先週末に続いて、今週末も雪!?
大内くんから自転車に乗ることを厳しく禁じられたため、午前の予定をほぼ全部ぶっちぎっちゃた。
マッサージとか歯医者とか、全部予約を組み直さなくっちゃ。とほほ。
今週も、積もるのかな。
積もると後が大変だから、盛大に降るだけで積もらない、というのが当方の願い。
14年2月15日
先週に引き続き、記録的な大雪。前日から降って盛大に積もった。
土曜日の今日、駅前の病院に行くために、大内くんがチェーンより簡便な「タイヤ・ソック」を着けた車を出してくれる。
マンションの駐車場は、朝のうちに大内くんを含む住民の皆様が熱心に雪かきしたので無事に出られたけど、駅前の駐車場は20センチほどの積雪で目も当てられない状態。
用事が終わってバックで出ようとした時、タイヤがスリップして、もう出て来られないかと思ったよ。
道路の水はけ口を雪がふさいだのか、明け方に降った雨と溶けた雪で車道は冠水し、氷水の水たまりに足を突っ込んでスニーカーはずぶ濡れ。風邪ひきそうだった。
最低限の用事をすませて家に帰り、とりあえずお風呂に入って暖まる。
もう、外出はやめておいた方が無難だろう。
昨日のうちに「無理に帰らない方がいいかも」とメールしておいたので外泊だった息子も、夕方には無事に帰った。
「靴が濡れなかった?」と聞いたら、「別に」。
そっけないなぁ。
珍しく家族で夕食なので、テレビの前でホットプレートで「お好み焼き」を焼いたけど、息子は、
「焼けたら呼んで」と言って食卓に座り、iPadで映画を見てた。これまたそっけない。
各人2枚のお好み焼きを食べながら、スノボー・クロスを観戦した。
我々がそんなのどかな時間を過ごしている間に、世間では道路が渋滞したりスリップ事故が起こったり集落が孤立したりコンビニの棚から食品が消えたり、もうスゴイ騒ぎ。
北海道ならいざ知らず、関東近辺は雪に慣れてないんだ。
甲府の方なんか、かなり悲惨だったようだね。
近所のスーパーでも、少し物流が滞ってる気がしたよ。
「3.11」の時ほどじゃないけど、「非常事態宣言」な雰囲気がただよってた。
感心したのは、駅前の道路なんか、商店街の人々が総出で雪かきしてたこと。
先週も今週も雪かきした大内くんに言わせると、
「すぐにやらないと、凍って動かせなくなる。いったん凍った雪をかくのは大骨だ」とのこと。
おかげで駐車場のすみには雪の山ができていた。
コドモたちが滑り降りて遊んでいて、その中から未来のオリンピック選手が出るかもしれないなぁ、と、先週も思ったことを思い出した。
デジャヴな感じ。
週中にもまた雪が降るかもしれない、と天気予報は言う。
「これ以上の雪かきはカンベンしてほしい」、と大内くんは言う。
私も、昨日ぶっちぎった予定を週の後半に入れたいので、自転車で動けないと困る。
息子にとってはどうでもいいらしい。
雪が降ると楽しかった、ってのは、小さい頃だけだったなぁ。
雪合戦したり、雪だるま作ったりしたよ。
今のコドモたちもそこは変わらないと見え、駐車場にはいくつか雪だるまが見受けられた。
実を言うと、私もベランダに積もった雪で、小さなのをこさえてみたんだ。
10分の1サイズの童心、ってところだろうか。
あとで発見した大内くんが、
「息子かと思った!」と驚いていた。
彼はそんな風流なことはしないんだよ。
改めて「何事もない生活」のありがたみをかみしめる。
各地の皆さんが早く積雪の被害から回復しますように。
14年2月17日
息子が、iPadの有料アプリ契約をしたいらしい。
映画が、観放題なんだって。
この件は、以前に1回退けた。
月額980円分、映画を見るかどうか怪しかったし、何より試験中だったのだ。
物事を深く根に持つタイプの彼は、その後一切その話はしてこない。
春休みに入って彼がかなりヒマそうであるのと、映画をけっこう見たがるところから、大内くんに相談してみた。
「やっぱり、あのアプリ、契約してあげた方がいいんじゃない?」
さて、大内くんは、根に持つタイプではないが、いったん終わった話をもう1度考えるのはとてもめんどくさい、というタイプだ。
「いいんじゃない?その後、何にも言ってこないんだから」
いや、そういうもんじゃないんだ。
息子はプライドが高く、1度断られたことを再度頼む、というのは猛烈に嫌がるんだ。
「ほっといたら?」と言う大内くんを尻目に、私は勝手に交渉を再開する。
「ねえねえ、こないだ使いたいって言ってたアプリ、契約してあげるよ」
「そうなの?じゃあ、勝手にやって」とiPadをよこす息子。
「ああいう態度の人に、やってあげなきゃいけないわけ?」と大内くんは軽く怒るが、何度も言うように、彼は、繰り返し頼んできたりしないんだよ。
彼の中でいったん終わったことになってる話を持ち出す以上、こっちが低姿勢にならないと進まないのだ。
で、私のクレジットカードを使って、契約しました。
今は、「16日間のお試し期間中」。
大内くんの報告によると、彼が見始めた映画は「シャイニング」。
「ジャック・ニコルソンが好きみたいだね。『カッコーの巣の上で』のせいかなぁ」と妙に嬉しそうに言う大内くんに、
「アプリ入れるの、反対してたくせに」と文句つけると、
「ごめんごめん。喜んで見てるみたいだね。キミは正しい目的のためには我慢強くて、妙なプライドに邪魔されない、稀有な資質の持ち主だよ」と持ち上げにかかる。
そんなにほめてくれなくてもいいよ。
その後も、ホラー映画を中心に、いろいろ見てるみたい。
「映画や本で、広く浅く見聞を広げたい」と言う彼には、ちょうどいいだろう。
今朝起きたら、伝言やメモを残すのに使っている「お絵かきボード」に、
「『宇宙人ポール』、面白いよ」と書き残してあった。珍しい出来事だ。
起きてきた彼に、
「アプリで見たの?」と聞いたら、「いいや」と短い答え。
2カ月ぐらい前にツタヤで借りてた気はする。
何で今頃急に勧めて来たのかはナゾ。
ただ、彼が我々と話題を共有しようと思った、というあたりで勝手に感動する。
私のiPadでも共用できる(もちろん別の映画を)、と言って息子が操作の仕方を教えてくれたので、1人で退屈な時にはなんか見てみようかな。
iPadでマンガを読み、本を読み、インターネットをのぞき、映画を見る。
これが全部ベッドの中でできちゃうんです。
さすがにベッドの中で日記を書くようにはならないと思うんだが、いろいろに使えるiPadにちょっと感動。
今は、青池保子の「エロイカより愛をこめて」40巻近くある中の、13巻のあたりを読んでる。
これに関しては、本のデータ化を推進してくれた大内くんに感謝。
お互い、持ちつ持たれつだね。
息子と、また映画の話をしたいなぁ。
こないだ3、4本一緒に見た時は楽しかった。
彼は最近、穏やかになって来たよ。
長い反抗期を、ついに抜けつつあるのか?
そうだとしても、それは我々とは別の人生の始まりだから、あんまり干渉しないようにはしないとね。
コドモも自立、親も自立。
その道のりは、少し険しい。
14年2月18日
ソチ・オリンピックももうじき終わる。
ここまで、アイスダンスやスノボーを楽しんできた大内くんだが、
「オリンピック中に、1度は何かに夢中になり、リアルタイムで夜を徹して見たいものだ。そうでなければオリンピックの甲斐がない」と言うので、
「男子ジャンプ団体戦」を見ることにした。
会社から帰って来て、すぐにお風呂、晩ごはん(「坦々ごま鍋」。女子スノボー・クロスの録画を見ながら食べた。藤森残念!)をすませ、10時就
寝。
夜中の2時15分に起き出して、2時間みっちりジャンプ中継を見た。
うーん、結果は良かったのかイマイチだったのか。
興奮はしたけれど。
大内くんは、
「2時15分に目覚まし時計が鳴った時は、何で起きるのか、すぐには理由が思い出せなかった。でも、『良い睡眠がとれる時間帯』にぐっすり眠ったから、よく寝られた。結果については、これだけメダルが取れないと言われている中、メダルを取る瞬間を見られたので、満足だ」と語っていたよ。
夜中まで起きていた息子もちらっとテレビを眺めて、
「礼留飛(れるひ)、ってのもすごい名前だな」とつぶやいていた。
オーストリアのスキーヤーから取ったらしいよ。
やっぱり、お父さんがスキー選手だったんだね。
暴走族みたいではあるけど、一流のスキー選手になった今では困らないだろう。
41歳の「レジェンド」葛西は、次の平昌(ピョンチャン)冬季五輪には、解説者として活躍するのだろうか。
できれば現役で出てもらいたいもんだが、スキーのジャンプ競技というのは、どのくらいの歳までやれるのか?
14年2月19日
「明日の朝、9時ごろ起こして」と言い置いて息子が眠った翌日。
11時から恵比寿の広告代理店でバイトの面接なんだそうだ。
実際には8時半から彼のiPadがガンガン目覚まし時計を鳴らすので、そこから起こし始める。
いつものように、完全に起きてシャワーを浴びるまでには1時間半ぐらいかかった。
10時15分に家を出る。
恵比寿まで、45分で行けるとは到底思えない。
また、遅刻して面接落ちだろうか。
ところが、夜の10時頃に帰って来た彼に聞いたら、「受かった」と言われた。
週3日、朝の9時から時給900円で働くらしい。
今は春休みだからいいけど、4月から、授業との兼ね合いは大丈夫なのか?
語学はどうなる?!
大内くんも一緒に、お祝いね、って口実でビールを飲む。
「つまみ、ないの?」と聞く息子にソーセージを温めて出してあげたが、ビールは2缶しかなかったので日本酒に移行した後、すぐに「もういい」。
話はほとんど聞けなかった。
(サークル関係ではない友達の紹介だ、ぐらいしか)
目のふちを少し赤くして、部屋へ行ってしまったよ。
さて、どんなとこで、どんな仕事をするのだろう。
もちろんコピー取りとか雑用だと思うが、「広告」ってとこがマスコミっぽくて気に入ったのかなぁ。
これまでの彼の生活にはあまり関係ないジャンルだぞ。
バイトバイトに明け暮れた挙句、「早稲田中退、広告代理店勤務」ってことになる可能性はあるのかしらん。
食べて行けるのであれば、それでもいいのかも。
最近、何となく「就活」の話が好きなんだよね、彼は。
大内くんが会社の採用事情なんかを話すと、けっこう食いついてくる。
留年が決定してる彼とは違い、サークルの同期の子たちはもう半年もすると就活始めちゃうもんね。
出遅れた彼は、どんな就職先を考えているんだろう。
どういう仕事でも、「お笑い芸人」よりはマシだと思うよ、ホントのとこ。
とりあえず、おこづかいを親から借りる生活とはおさらばして、借金を返してくれ。
ひと月に2万円返してもらったとしても、全額返済までには1年以上かかるぞ。
関係ないが、予報されていた雪は全然降らなかった。
ほっとひと息。
もう春も近いかなぁ。
14年2月20日
最近、息子が可愛くて仕方ない、と大内くんが言う。
「いや、前から可愛いけど、ここのところ拍車がかかってるんだ。もう、メロメロだよ」という意見には、実は私も「禿同」なのだ。
なんだかんだ言って、成人した去年の10月から、「ちょっと一緒に飲む」機会が多い。
そうなれば、舌がほぐれて何かと彼の生活ぶりを聞くチャンスもある。
実際、年に1度あるかないかの会話が、月に1、2度は実現するようになってるよなぁ。
今夜も、珍しく息子が1日中家にいたので、
「晩ごはんにおいしいソーセージ焼いて、軽く飲まない?」ともちかけてみたら、
「ああ、いいよ」と気軽な調子で受けてくれた。
大内くんに連絡して、帰りにビール買って来てくれるように頼み、ソーセージ、サラダ、フライドポテトの簡単な夕食。
ヱビスの350ml缶を、ビールを5本ぐらいあけたかな。
息子はいつものとおりあんまりしゃべってはくれなかったが、
「バイトは、授業とぶつからないように入れるよ」とか、
「お笑いのネタが書けない」とスランプを告白したりして、楽しく過ごした。
生まれて初めて、自分のコドモから、
「父さんの、どこが良くてつき合ってたの?」と聞かれた。
普段はどちらかというと大内くんの方が、
「こんなデブスのどこが良かったの?」というニュアンスで言われることなんだが、ついに私にお鉢が回って来たか。
「大好きだったからだよ。だいたい、この人はひどくて、ウソはつくわ、遅刻はするわ、約束は守らないわ、高いものを買ってくれるわけでもないわ、もう、好きでなかったらとってもつき合いきれなかったよ」と本当のことを言うと、
「へー、親父って、ウソつくんだ」と感心された。
よっぽど人畜無害だと思われてるな。
「ひどいんだよ。『テニスコートの抽選のハガキ、出しておいてくれた?』って聞いただけで、『うん、出した』ってウソつくんだよ。本当は忘れてたくせに」
「デートの日に、他の人たちに『飲みに行こうぜ』って誘われたら、私は行きたくないのに、『ちょっとだけ。あとで送って帰るから』って言って、いざ私が帰ろうとしたら、『もうちょっと飲んで行くから、1人で帰って』だよ」
「ママのアパートに遊びに来るって言うから待ってたら、他の人と飲んで終電逃した挙句、途中までのタクシー代しか持ってないからって降りて、あとは歩いて来たんだよ。着いたの、夜中の3時だよ。当時はケータイなかったから連絡も取れなくて。普通、公衆電話からかけてきて、『タクシー代がないから、着いたら貸してもらえる?』って聞いて、タクシーで来ない?ママ、OLやってたのに、しょうがないから翌日会社を休んだよ」
ぶちまけるにつれ、息子はおかしそうに笑う。
「親父、そんなふうだったんだぁ」
うん、まさにそんなふうだった。
本当に、好きでなかったら別れてたと思うなぁ。
そんな話をしたあと、息子は、
「じゃあ、今日はこんなもんで」とあっさり離脱した。
すっかり酔っぱらった私が、
「あー、アイス食べたい」って言ったら、先ほどまでのヒドイ恋人像を払拭したくてか、もうお風呂に入ってパジャマ着た大内くんが、
「コンビニ行って、買って来てあげようか?」と言う。
「それより、息子に頼んでみたら?あんがい『ほいっ』って腰が上がることもあるかもよ」と私が言ったら、息子の部屋に言いに行って、驚いたような顔をして帰って来た。
「行ってくれるって。どうしたんだろうね。1日家にこもってたから、外に出たくなったのかな。今日の息子はなんだかものすごく愛想がいいね」。
ホントだね。
で、買って来てくれたアイスがハーゲンダッツだったので(スーパーカップでよかったのに)、
「このブルジョアめ」とそのように育てたことも忘れてつぶやいてしまったが、本当に親切だった。
彼も、親がうっとおしくてたまらない時期は過ぎたのかな。
そうだとすれば、これが、彼の長い長い反抗期の終わりかもしれない。
また、バイト始めたりしたら別の苦労があるかもしれないけど、とりあえず、今の穏便な彼を喜んでおこう。
「バイト、朝の9時からだそうだけど、起こしてあげなきゃダメかな」と聞いたら、
「いや、バイトとなれば、自分で起きられるよ」と言っていたことも含めて、オトナになってきたねぇ。
親はもう、目頭が熱くなって、涙で前が見えないよ。
14年2月21日
そんなふうに満足して寝た夜中、ふと起きてみたら、息子がいない。
伝言板に「友達のところに行きます」と書いてある。
12時半から2時ごろの話。
ちょっと驚いて、
「起きてビックリしたんだけど、誰のとこ?」とメールを打ったら、すぐに、
「かずや」と、大学のサークル仲間の名前が来た。
そうか、中野近辺のアパート(マンションかもしれんが)に住んでるかずやくんとこか。
「遅いのにご苦労さんだねぇ。よく寝なさいね」と返事してすませておく。
大内くんもトイレに行くため起きたようなので、事の次第を伝えた。
「へー、こんな時間から出かけることもあるんだ。まめだねぇ」と感心しているようだった。
親と語らい、友達と語らい、息子にとっては充実した夜だっただろう。
それとも、我々が暑苦しいので、友達に愚痴をこぼしに行ったのだろうか。
何にせよ、友達がいるのはいいことだ。安心して寝よう。
14年2月22日
テレビのチューナー部分が壊れてしまったようなので、日立のメカニックさんに来てもらう。
最近の修理は迅速で、電話した翌日にはもう来てくれた。
昔、日立のHDDデッキを2台使っていた時、両方ともものすごく不調が多く、何度も修理に来てもらった挙句に直らないので2台とも返金してもらっ た、という過去があり、その時にすっかり顔なじみになってしまったメカニックさん。
その後デッキはパナに買い換えたので、ちょっと気まずい。
でも、「お久しぶりです〜」と言って来てくれて、「ちょっと変なご挨拶ですね」と自分で突っ込んでいた。まるっと同感だ。
テレビは、買ってからもう10年ぐらいたつので、部品がなく、チューナー部分だけを別の機械で代用する、という形になるようで、それだとラックに
入れる機械の台数が増えてしまう上、入力は1つ減ってしまうらしい。
それは少し困るし、うちでテレビを見る時は99パーセントビデオデッキを通して見ているので、テレビのチューナーが壊れていても実害はあまりな
い。
大内くんも「今度壊れたら買い換えよう」と以前言っていたことだし、メカニックさんも、
「今は安いですよ。昔は『インチ1万円』でしたが、今は20インチ以下だったら『インチ千円』です。42型なら、10万円台で買えます」と言うので、直すのはやめておくことにした。
メカニックさんは、とても申し訳なさそうに「出張料だけ、いただきます。4750円です」と言い、領収書を置いて、
「またよろしくお願いします!あ、でも、もうお会いしない方がいいんですよね!」と明るく言う私にうなずいて帰って行った。
もう、10回ぐらいは会ってる気がするなぁ。
修理はとりあえず見送って、さて、次は新しいのを買うかどうかだ。
買えないわけじゃないけど、今、2人ともくたびれてて、大きな決断が難しくなってるんだよね。
大型テレビを買い換える、というのはけっこう大きなプロジェクトなので、もうしばらくこのままにしとこう。
近所のコジマに通って、研究しなきゃ。
14年2月23日
いつもレディコミ雑誌を届けてもらっている本屋の奥さんか電話がかかって来た。
「今月、もう4冊たまりましたけど、今日、配達しましょうか?」
ありがたくお願いする。
だがしかし、ついでに、
「内田春菊さんの新刊出てますよ!これも持ってきましょうか!」と言われると、
「あああ、完全に把握されてるなぁ」と思う。
ありがたいような、恥ずかしいような・・・
買ってる物の傾向値としては、「ややエロ」だもんなぁ。
いや、レディースも内田春菊も、エロさ加減の少ないものしか選んでないんですけどね。
何となく、言い訳めいているぞ。
自分の買ってる物が恥ずかしくて、どうする!>自分。
14年2月25日
先日、息子と自分のiPadに「Hulu」というアプリを入れた。
映画やドラマが、限定された本数ではあるがかなり自由に選べる。
息子の方はiPadでゲームしてることが多く、まだ十分に活用できてないようだが、実はめずらしいことに、私の方が活用しちゃってるのだ。
昔なつかしいTVドラマ、今は、「私の運命」を観てる。
これは、1995年の物だから、ほぼ20年前だ。
貴島誠一郎の時代だったね。
段田安則はまだ若くて昔の大内くんにそっくりだし、常盤貴子はワンレンボディコン。
佐野史郎がブレイクしちゃったのもこの頃。
主演の坂井真紀は、そう見場がいいという女優さんではないが、老けにくい童顔のタイプなのでお得。
最近、警察モノのゲスト犯人みたいな役で出てたけどあんまり変わらなく見えた。
これね、連ドラには珍しく、2クールぶち抜きだったんだよね。
おかげで全21話。最終回は2時間拡大枠。人気あったんだなぁ。
当時もかなり夢中になって大内くんと観てたけど、今、個人的にもう1回夢中。
目がちかちかしてくるまで観てる。おかげで、5日ばかりの間に20話まで観て、あとは最終回を残すのみ。
内容はかなり忘れてるんで、新鮮に面白いよ!
これが終わったら、同じく佐野史郎ブレイクものの「ずっとあなたが好きだった」を観る予定。
続編的な「誰にも言えない」もいいね。
「渡る世間は鬼ばかり」の第1シーズンもあるぞ。
こんなにいろんなものが観られるなんて、本当にいい時代になったものだ。
ただ、昔を振り返るのもいいが、出来のいいドラマというものは、今、この瞬間にも放映されているかもしれない。
あー、新旧どちらにしても、観るべきものは多い。
我々は、本当にテレビの申し子なんだなぁ。
14年2月26日
古いドラマ「私の運命」を観ていて思い出したのだが、これ、確か、最終回を見逃したんだよね。
大内くんの会社の後輩の人たちが大勢で遊びに来てくれて、ワイン飲み過ぎて記憶がなくなって、気がついたら2人ともベッドで寝てた。
幸い、お客様に失礼はなかったようだったけど、宴会後の片づけもしないで寝てしまったので、当時2歳ぐらいだった息子が勝手に起き出して、
テーブルの上のパンかじってるし、赤ワインのボトルを倒してカーペットにしみはつけるし、そのおまけとして、ドラマの予約録画も忘れてしまったの
だ。(当然、リアルタイムでも見逃している)
今回、その思い出を大内くんと語って、楽しかった。
ドラマの方は、録画してた友達に頼んで貸してもらい、早期に解決したよ。
いやあ、昔って、よくドラマを録り忘れたとか、野球の延長で録画できなかったとか、そういうトラブルがしょっちゅうあって、仲間内のメーリングリストか直接電話かで録画してる人を探し出して、テープ貸してもらいませんでした?
我々もしょっちゅう借りたり貸したりしてたよ。
どっちかというと、録画はきちんとするタイプだったので、貸してあげる立場の方が多かった気がするのは都合のいい忘却?
今は、そんなこともめっきり減ったよね。
ビデオデッキはたいがい「野球延長対応」だし、見逃した番組はビデオオンデマンドでも見られるし。
電話もかかってこない。全部メール。
MLですら、フェイスブックに多くの人たちが移動しちゃって、あんまり動かなくなっちゃった。
通信の仕方が変わったから?
それとも、若い頃ほどお互いに連絡取り合わず、自分や家族、仕事のことで忙殺されてるから?
後者かな、とは思うんだよね。
息子はめったに電話してないけど、その分LINEやツイッターで仲間とは連絡取りまくってる雰囲気だから。
ケータイ依存かと思うぐらい、始終ケータイ見てるよ。
通信方法が変わっても、「誰かと繋がっていたい」という若者の切望は変わらないような気がする。
ただ、とても不便なのは、コドモの頃から家電を通さず友達と繋がってるから、どんな友達とつき合ってるのか、わかんないこと。
昔は、家に電話がかかって来て、親がとることもあり、
「最近、○○って子からよく電話かかって来るなぁ」
「△△くんは礼儀正しい話し方をする。ご家庭がしっかりしてるんだろう」
みたいな感想を持つことも可能だったのだが、今は、全部ケータイに直だからね。
ま、若者がプライバシーを取り戻したと言えなくもないし、親子の対話さえあれば、だいたいどんな生活で誰とよく話してるか、ぐらいのことは察することができるから、息子と他人、の関係より、息子と我々の関係がどうか、って問題だよね。
高校の頃なんかは、楽しかったなぁ。
4、5人の友達が泊まりに来て、リビングが布団の海、なんてこともよくあった。
大学に入ってからも、1度だけ、サークルの仲間が大勢で来てくれた。
おかげで息子の大学生活のほとんどを占めるサークルの仲間も、若干「顔が見える」。
(本人は、連れて来ちゃったのを後悔してるかもしれないが)
これから、いよいよ最終段段階の「職場の人間関係」に入って行くんだろうし、そうなると親の出番はまったくないので、自分で頑張ってほしい。
それだけの力はもう充分に蓄えたはずだから。
14年2月28日
BSで「鬼平犯科帳」の71年版をやってることに気づき、最終回でもあるようなので、録画しておいた。
この手の時代劇が大好きな大内くんが、喜んでいた。
鬼平役はどうやら先代の「松本幸四郎」らしい。
でも、我々の大好きな鬼平の「中村吉右衛門」にもそっくりだ。
確か兄弟なんだよね。今の松本幸四郎と今の中村吉右衛門って。
つーか、「うさぎ」役の「尾美としのり」とか「犬」の1人である「蟹江敬三」もそっくりな人がやっており、キャスティングや演出の人は、かなりの楽をしていると思われる。
役者さんに古いのを観てもらって、「ハイ、この通りに演技してください!」って言ってるような感じ。
今に変らぬスタンスで、鬼平の硬軟両方の魅力をあますところなく表現しているのに、感動した。
シリーズ、もっと早く撮り始めればよかったな。
もう、ドキドキの恋愛ドラマにはまったく食指が動かない。
これが、年を取るということか。
寂しく、大内くんと、「必殺仕事人」でも見よう。
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