14年8月2日

渋谷の友達んちでパーティー。
渋谷まで行くことってかなり珍しく、たいがい吉祥寺で止まってしまうので、今回は、頑張って井の頭線に乗って、下北で途中下車してみました。

「変わってないなー」と言いたいとこなんだけど、全然違う。
小田急線が地下にもぐっちゃった関係で、ずいぶん通りやすくなってた。
今はまだ工事そのものが邪魔だけど、全部終わったらかなりすっきりしそう。
自転車が走りまくってる下北、なんて初めて見たよ。

30年前の私が、大内くんと結婚する頃まで住んでいた街。
OLとして自立し、銭湯行ってビール買って帰った街。
甘酸っぱい想い出の本拠地だ。

今回、「a亭」の「ラーチャン」が健在で、チャーハンはあいかわらず刻んだチャーシューの紅色に染まっているのを見て嬉しかった。
「アンゼリカ」のカレーパン、最高!
そしてわれらが喫茶店、「カフェ・ド・パルファン」も。
もう72歳になられるというマスターは、細身の締まった身体にGパンがよく似合う。

「息子の高校がこの沿線だった頃は時々来たんですけど、もう卒業して大学行っちゃたんで・・・」と頭をかく大内くん。
「もう大学生、ほうほう、そりゃあそりゃあ」と言われながらお別れして、次はいつ来られるか、下北。

渋谷に着いて、酒屋さんでおみやげのビールを買おうとしていたら、イタリアで買うつもりだったレモンのリキュール、「リモンチェッロ」を発見。
1リットル千円は安いのか高いのかわからないが、日本で買えるんだったらわざわざビン物をおみやげに買うこともなかろうと、買ってみた。
冷蔵庫で冷やして、今度、水割りにして飲んでみよう。

友達のマンションに着いたら、もうほぼそろっていて、うちのあと、1人を残すのみ。
プロジェクター持ってくるという、一番大事なお仕事だったその彼女が5分後に現れ、ほぼ定時にパーティーが始まる、というめずらしい状況だった。

先日、マンガクラブの仲間と、自衛隊についてのお話を聞いたのが好評で、当日来られなかった人を中心に「休日講座 夏の特別補講編」が行われることになったんだよね。
我々は前回も見せてもらったんだけど、主催者の権利なのか、ありがたく呼んでいただきました。
そして、2回目は1回目より、さらに面白かった!

3時間ぐらい、飲みながらスライド見たりお話聞いたりしてるうちに、ワインや日本酒がどんどん出てきたなぁ。
うちのおみやげはビールだし。
勉強会モードが終わって一気に飲み会になだれ込むと、もう・・・
50代ってのは意外と大変だぜ、ということがよくわかった。
あちこちで倒れ始めている人たちを踏まないようにしながら、大内くんと私はお先に失礼。
つったって、もう10時半ごろよ。パーティーが始まって4時間半。
幸い、ソフトドリンクしか飲んでいないので、まったくOKです。
大内くんは、「ぽわーんとした顔」になってる程度。

井の頭線快速に座って帰れてラッキー。
他の人たちも何とか無事に帰れたようだし。
(一番意識不明になっていた女性も、タクシーで帰宅できたみたい。山手線の内側に住む人々がうらやましい)
古い友だちってのは本当にいいね。
老後もどうぞよろしくお願いしたい。

14年8月3日

近所にある「コメダ珈琲」に行ってきた。
11時までに行くと、「モーニング」としてゆで卵とトーストがついてくるのだ。
あいにく今回はお昼ごはんを食べに行ったので、モーニングの時間は過ぎていた。

大内くんと2人、「みそカツサンド」と「コロッケバーガー」を食べた。
みそカツサンドはおいしい。
コロッケバーガーの方は、パンがとても大きいのにくらべて中身のコロッケが小さい。
だが、どちらも完全に「軽食」を超えて1食のボリュームだ。

あたりを見回すと、お客さんはかなり入っている。流行ってるんだなぁ。
隣に座っていた30歳ぐらいの男性の2人連れは、どう見てもオタクだ。
そんな彼らが、「日経トレンディ」を読みながら、
「この自転車はサイクリングにぴったりで、買いですな」とか言ってる。
「スマホのキーボードの使いにくさには、殺意すら覚えますな」
「萌え〜」と言わないのが不思議だ。

何でも過剰に量の多いこの店には、温かいクロワッサンパンケーキにソフトクリームをのっけた「シロノワール」というデザートがある。
「ここに来たら、これを頼まないわけにはいかんでしょう!」と言いながら、男2人でスイーツに行くかな、普通。
しかも1人に1つずつ。
オタクな体型になっているのもむべなるかな、という状態だった。

お昼ごはんを終えて、近所の図書館へ。
やっぱり本館はいいなぁ、分館よりいろんな本があって。文明度は図書館で測られると思うよ。
大内くんは最近、図書館の本を借りてはフラットベッドのスキャナで取り込んでいる。
隣町の武蔵野図書館の方が品揃えがいいそうだ。
あっちは住民が金持ちなので、施設は何でも上等らしいよ。

警察署の前を通り、「警察柔道の時代がなつかしいね」と言いながら歩いていたら、まさにその柔道仲間のお母さんとバッタリ。
そこんちの息子は昔から「鉄ちゃん」だったが、鉄道の専門学校に行ったらしい。
同期で4人ほどいた警察柔道の仲間たちは、中学卒業と同時に警察も卒業し、その後はそれぞれの道を歩んでいる。
高校に入っても柔道を続けていたのは息子だけで、あとはみんな、ラグビー部に入ったりワンゲル部に入ったり。
上述の鉄ちゃんは「鉄道研究会」だったらしい。そして今の彼があるのか。

息子も大学では柔道をやめてお笑いの道を歩んでいるが、今後はどうか。
本人が言うように「警察官を目指す」なら、もう1度、柔道をやることになるんだろう。
大内くんとしては、「息子のコドモが町道場に通うようになる」のが悲願のようだし。
ま、警察に行くかどうかもわからない。
先のことはあんまり考えてもしょうがないだろう。
とりあえず、大学を卒業してもらわないと・・・

14年8月4日

食卓で、息子がレポートを書いている。
なんてたまにしかみられない光景なんだろう。
締め切りは本日真夜中なので、あと20分というあたりで、大内くんが、
「突然パソコンがイカれちゃって、データ消えちゃったら、とか思わない?」と聞いてみたら、
「そんなことが起こっていたら、みんなもっと留年している」と、妙に威張った答えが返ってきた。

ま、無事に提出できたらしい。出来栄えは知らんけど。
今期は試験もレポートもけっこう頑張ってた。
やる気だけはあったみたいだったよ。
これで、2カ月にわたる夏休みが始まるのだ!

その翌日、珍しく晩ごはんを一緒に食べたので、食事時の話題として出してみた。
「まあ、ビールでも飲んで話そうよ」ってのがほぼ効果ナシと知った大内くん、ラタトィユで勝負!

大「夏休みだね。この夏が終わったら、お笑いサークルも一段落?」
息子「ああ」
大「刑事になりたい、ってのはどうなったの?」
息「どうもなってない」
大「やめたの?」
息「そうでもない」
大「決まってないってこと?」
息「そう」
大「キャリアのための試験、受けるの?」
息「さあ」
私「受けるんだったら、予備校とか、どっか行かないといけないんじゃないの?」
息「そん時、考える」

この程度話しただけで、息子は「ごっそうさん」とつぶやいて食器をカウンターの方に押しやって、自分の部屋に行ってしまった。
記録モノの「愛想悪さ」だなぁ、近年まれに見る感じだ。

後で大内くんと話したんだけど、やっぱりこの夏が彼の「お笑いに燃え尽きる夏」になるのかもね。
そいで、来年からは勉強するなりなんなりするのかも。
彼を育ててきて20年以上たつが、この「本人がやる気になるまでは、何を言っても無駄」という感覚とはもう、おなじみだ。
彼は、自分が納得するまでは、ゼッタイ譲らない。
そのかわり、やるとなったら、「無理でしょ?」ってとこを現実にしてきた。

後はもう信じるだけだね。
「大学はもう留年しない。就職留年もしない」と言ってるんだから。
今は、今しかできないことに打ち込んでくれ。
なにせ、働く年月は、それまでの人生よりずうっっと長いんだもん。

でも、やっぱ警察は危なくて心配。
そこだけが気になる。
無難にメーカーかなんかのサラリーマンになってくれないかなぁ。
うちは、そのへんが両方の祖父の頃からの「家業」なんだから。

14年8月6日

朝、起きたら家にはもう誰もおらず、掃除しながら定点チェック。
おや、リビングのクロゼットが開いている。中のデカい引き出しも開いている。
大内くんが草野球で使っていた、ユニフォームがないよ。
また、何かコント?

彼が帰って来てやっと明らかになる衝撃の事実は。
大学のサークルで草野球をやったらしい!!
楽しそ―!

大内くんが昔、清里の草野球で入っていたチーム「カントリー・ジェイクス」のユニフォームを着て、満塁ホームランをかっ飛ばしたそうだ。
さすがの息子も嬉しそうだった。

清里での最後の草野球の日、息子はまだ小学校5年生だったけど、当時のオーナーの息子さんの子供時代のユニフォームを借りて、最初で最後の親子三遊間を守ったのだ。

打席に立てば、ストライクゾーンが狭すぎて相手のピッチャーも苦笑い、フォアボールを選んで塁に出て、味方の援護で2塁に走るも、遅い遅い・・・ というような時代があったわけです。

楽しかった。
この頃、毎晩のように大内くんと、「本当に楽しい」と言い暮らしている。
暑いし、息子はあいかわらず遅いし、別に楽しいことがあるわけじゃないんだが。
我々は、一緒にいるだけで楽しい。
コドモが小さかった頃のことなんかを思い出しながら夫婦で過ごす時間は、お金のかからない良い趣味であろう。
きっと、大内くんのご両親も同じ趣味を楽しんでいることと思う。

14年8月8日

人生で何度目かわからないが、「赤毛のアン」シリーズを読み返す。
アニメは大好きだ、という大内くんに、
「シリーズはどこまで読んだの?」と聞くと、
「さあ・・・結婚して灯台に住むところぐらいまでかなぁ」。
やや誤解している。
それは第6巻の「アンの夢の家」で、普通の家。
灯台のある岬の近くに住んで、灯台守と親しくなったりするだけだ。

思えば、田舎の村とは言え、「医者の妻」となり、豪邸に住み、「雑役女中」をやとう、というゴージャスな生活に落ち着いたんだなぁ、あの、小さな孤児だった「赤毛のアン」が。
最後は「第一次世界大戦」だし。
少し頭がクラクラした。

今、読みたい本がいっぱいあって忙殺されているというのに、こんなものに手を出してしまって、どうしよう。
1巻を読めば10巻まで読んでしまう。
大内くんから、
「他の本を読みたいなら、すぐにやめて、読みたい本を読めばいいじゃない」と言われ、
「じゃあ、あなたは、庄司薫の『赤青白黒』の赤に手をつけたら、全部通して読むしかない、ってことない?」と聞いてみたが、
「別に、そういうことはないなぁ」と言われた。
聞いた相手が悪かったに違いない。この野蛮人め。

しょうがないから急いで読んで、ついに「第10赤毛のアン『アンの娘リラ』」までを読み通した。面白かった。
どうして、少女小説というのはこんなに面白いのであろうか。
歳が行って、SFを読めなくなった、と感じる私だが、少女小説だけは、いついかなる場合も読める気がする。
「少女の心をうしなっても読める少女小説」、案外スゴイ物かもしれない。

何度読んでも発見がある。
多分、死ぬまで愛読書だろう。
一番古い本は、私が生まれる前に母が買ったものと思われる。
自炊してデータになってるから読めるけど、紙としてはもう、粉になる寸前、といったところだ。
ほかの文庫本も、私が高校生の時分に買ったもので、そうとう古い。これが歴史の重みか。

アンを読み終えたらすかさず他の流れに移るつもりだったが、「銀の森のパット」につかまってしまった。
もっとも、「他の流れ」というのが宮部みゆきだったりするわけで、別にどっちでもかまわないんじゃないの?と自分の心さえ突き放したことを言う。
あー、朝の連ドラ「花子とアン」もまだ1回も観ないでひたすら録画だけを続けてる状態だし。
我ながら、中途半端なり。

14年8月9日

夏休みに入って「コンテストがたくさんあって忙しい」と言いつつも、合間にはヒマそうな息子。
日暮れ時からドライブに誘って、運転教習ね。
今日の課題は首都高だ。ちょっときついよ。

家を出て高井戸で首都高に入り、新宿にさしかかるぐらいまでは、久々にハンドルを握ってキンチョーはしているものの、機嫌は良かった。
私のiPodを持って行ってFMに飛ばしてカーステレオ鳴らしてたら、
「アニメの歌、聴きたい。『アンインストール』」と言われて、しばらくアニメやマンガの話で盛り上がる。
「『ぼくらの。』とか、いきなり人が死に過ぎて怖くない?『ふっ』って感じなんだもん。『進撃の巨人』もそうだけど」と言ったら、
「いや、けっこうリアルに描いてると思うよ。ちゃんと、死ぬのがコワイ、って描いてるじゃん」という返事。
そんなもんか。

水樹奈々をひととおり聴いたあとは、
「中島みゆきの、『空と君の間に』が聴きたい。いい歌詞だよね」。
助手席の大内くんが一生懸命出してあげると、流れているのに合わせて鼻歌を歌っている。
「この人と、井上陽水がスゴイと思うね」という意見らしい。
「陽水は、みんながフォークソングで平和だ仲間だ連帯だって歌ってる時に、『そんなことはどうでもいい。僕は、僕とカノジョのことしか考えてない。傘がなくて困ってる』って歌ったのがすごく新鮮だったんだよ」と大内くんが言うので、
「そこから『愛だ恋だ』が始まって、みんなが『今ここにいるキミとボク』みたいなことばっかり言ってる時に、『地上の星を誰も見ていない』って世界観を訴えたのが、神さまになっちゃった中島みゆき」と私が言う。

「それ、どういうこと?」
この人は、大内くんが言うことには素直にうなずくのに、私の言うことはいちいち聞き返すなぁ。
彼に言わせると、私は、「話が面白くない。わからん」のだそうだ。
正直、他の人には言われたことがなく、むしろ大内くんから「キミの話は面白い」と言われているのにあぐらをかいての25年間だったので、虚心坦懐に耳を傾け、「面白い話」を心がけている。
だが、そう努力すればするほど、「確かに私の話は面白くない。わかりにくいし」と思えてくる。
大内くんですら、、
「結論を先に言わないで、細部まで言おうとするからそうなるんだよ。誠実な話し手だからだよ」と、消極的にだが、息子の意見を後押しするようになってきたぞ。

というわけで、「中島みゆきがなぜ神なのか」を説明する羽目に。
「『大切なものは地上にあるのに、人は空ばかり見て、ありもしないものを探している』って言ってるんだよ。大切なものは、身近にあるんだよ。個人的な恋愛ソングじゃなくって、そういう真実を語ることで、中島みゆきは『神の視点』を持ったんだよ」
「なるほど」
よかった!納得してもらえた。今回は、そう難しくなかったぞ。

だが、これに懲りてしばらく口を慎んで後部座席から2人の話を傾聴していた。
自分をを抑え、聴き手となる。
確かに私にはそれができない。
「自分が自分が」と己が前に出過ぎる人は、決して人の心を動かすことができないのだ、とあらためて思い知る。
子育てってのは、偉大だなぁ。
ただ続けているだけでどんどん自分の欠点が露呈してくる。それを矯めることもできる。
「夕食作りって偉大だよ。それだけで案件1本片づけるぐらいの充実感を味わえるなんて」という感じだ。(by よしながふみ「きのう何食べた?」)

「松任谷由実ある?」
「あるよ。父さんは、荒井由実時代の方が好きだなぁ」
「ジブリのアニメの歌、かけて」というやり取りのあと、数曲聴いていた。
イマドキのコでもユーミンと中島みゆきを両横綱ととらえるのか。
どっちも好きだそうだが。
「教養がないとダメだけどね」って、自分で言うか?

「ずぅっと行くと、レインボーブリッジになるよ。小さい頃、名古屋の甥っ子と一緒にディズニー・シーに連れてったね。レインボーブリッジを通る時、 『封鎖できませ〜ん』って2人で言ってたよ」
「だせっ!」
言ってたんだから、しょうがないじゃないか!

話してるうちに渋谷近辺を過ぎ、渋滞が始まる。
てきめんに機嫌が悪くなる息子。
「めんどくせー。もう、降りちゃっていい?」
大内くんが、
「工事渋滞だね。下の道は下なりに混んでるけど、別にいいよ」と言ってる間に出口を通り過ぎてしまった!
また渋滞。

ようやく赤坂のあたりで首都高を降りる。
「このへん、おばあちゃんちの近くだよ」
「あ、ホントだ。通ったことある」
お正月に1人で行ったからね。地下鉄の駅のあたりとか、見覚えがあるんだろう。

幸い、下の道はけっこうすいていて、スムーズに自宅近辺まで帰ってくることができた。
息子「下の道の方が面白い。高速は、退屈。むやみに速いし」
大内くん「まあ、首都高は1度やっておいてもらいたかったんだよ。父さんもいまだに慣れないけどね。分岐は多いし、狭くて速いから大変だね。普通の道は信号もあるし歩行者も自転車もいて、また別の種類の危険があるよ。今日はとりあえず高速教習ということで」
息子「ツタヤ寄ってっていい?」
大「いいよ。もうこのへんは見覚えあるでしょ?」
息子「うん」

でも、ツタヤの一番奥に車停めようとしてたらむちゃくちゃになり、大内くんが降りて誘導してたんだけど、わけわかんなくなっちゃって、ワクから半分はみだしたまんま、
「ごめん、あとやっといて」と苦笑いしながら降りてしまった。
「車庫入れはもっと練習が必要だね。これもDNAかな」と言いながら、大内くんが入れ直しておいてくれた。(私は車庫入れがとってもヘタなんだ!)
こないだ1人でカノジョ乗せて海まで行った時とか、どうしてたんだろう?

ちゃっかり親のカードでDVD借りてもらってマンガ買ってもらって、
「どうもありがと〜!オレ、歩いて帰っていい?じゃっ」と、車を乗り捨てて帰ってしまいましたとさ。
家まで徒歩15分ぐらいかな。
「いいかげん、車に飽きちゃったんだね。最後、家の駐車場まで入れないと教習が終わったことにならないんだけどね」と大内くん。
でも彼は、この手の「近所まで来ましたさようなら運転」がとても多い。
今度、家の車庫入れを徹底的にやってもらおう。

我々が帰ってしばらくしたら、彼も帰ってきた。
さっそく買ったマンガを読んでいる。

ほっといてお風呂に入って寝ることにしたが、楽しかったなぁ。
大内くんとベッドに行っても、その話ばかり。
「楽しかったねぇ・・・」
「ほんと、楽しかった。いろいろ話をしたね」
今日が、こんなにステキな1日として終わるとは、想像してなかったよ。
日々、新しい発見があるもんだ。

大内くん、運転指導、ありがとう。
私も、「聞き上手」になるよう頑張るから、そちらの指導もよろしく頼むね。

14年8月10日

ドライブの最中、息子がディズニー・シーで欲しいものを買ってもらえないので大泣きした、という話をしたら、あっさりと、
「あれは名古屋でしょ」と言われた。
いや、ディズニー・シーだよ。
ご記憶の通り、名古屋でも、小5の春に行った愛知万博の付帯施設のおみやげ屋さんで、ひと抱えもある「ホエルオーちゃん」のぬいぐるみを買ってもらえなかった時もおいおい泣いていたが。

シーでは、「ぬいぐるみみたいな帽子」(かぶって、くわえたパイプを吹くとてっぺんや耳の穴から数本の「吹き戻し」がピロピロピロと出てくる代物)だったんだよ。
もちろん、お金の無駄なので買ってあげなかった。
手ばなしで泣かれたなぁ。ホエルオーちゃんの時もそうだったけど。
でも、名古屋で仏心を出して買ってあげた真っ赤な「グラードンのぬいぐるみ帽」は、その後、柔道部のイベントに使いたいと言う後輩に貸してそれっきり。
結構なつかしい思い出の品だったんだけど。
「もういらないし、返してもらわなくて、全然かまわない」と言う息子よ、「思い出」というものの価値が、キミと我々とでは「900度違う」のだよ。(ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」より)

それでも、息子が小さい頃のことを覚えていて、かつ、「泣いた」というような話をされても怒らなかった、ということに、深く感動した。
数年前だったら、怒ったと思うんだよね。
それだけ、彼にとっても過去が、きちんと過去になってるんだなぁ、と感じた。
記憶が連続している分、別人じゃなくて、ちゃんと同一人物を育て続けている、という確信が持てたし。

誰でも、「あの時、怖くて寝しょんべんをもらした」とか、家族の伝説になった話をされて激怒したことがあるんじゃないかと思うんだけど、だんだんそれを乗り越えて行く。
「自分の過去」を家族にいいようにされても、「ま、親孝行のうちか」と大目に見られるようになる。
少なくとも私はそうだった。
それが、成長というものだと思ったものだ。

いずれ、息子も「全裸で突っ立って自分のパンツかぶってVサイン出してる5歳の頃の写真」をカノジョに披露されても怒らなくなるだろう。
今はまだ怖くて見せてないんだけど、今回の件で、一歩ゴールが近づいたような気がするなぁ。

14年8月11日

夏休みの終わりに10日ほどアメリカにステイしに行く予定の息子が、ステイ先の大内くんの従姉と「LINE」で話したらしい。
「日程も決まったし、LINEについては今度、使い方を教える」と言っていた。

一方、従姉からもメールが来て、
「息子くんと話したが、WOW、ものすごくナイスガイな感じ。子育てでいい仕事したねぇ。直に会うのが楽しみです!」という内容だった。
数年前に、一族の宴会で当時高3だった息子に会った大内くんの妹さんからも、
「すごくいい感じ。人にいい感じを与えるってのは、大変なことだよ。お兄は、子育てに成功したねぇ」と言われたことがある。

我々としてはむしろ、「なんて裏表のある息子を育ててしまったんだろう。この外面の良さは相当なものだ」と思うのみなんだが、まあ、よその人が 「いい感じ」だと思ってくれるんならそれに越したことはない。

で、結局、その日のうちに従姉と「LINE無料通話」(ホントに?!)で話すことができた大内くん。
いつものメールのたどたどしさは一切なく、日本語120パーセントOKの従姉と、日本語で話せて助かったらしい。
「すごくクリアな音で、もう、普通に電話かけてるのと全然差がない。これで無料って、信じられない」と部屋の中で走り回って喜んでいた。

息子は、ロサンゼルスのディズニーランドで従妹一家と落ち合うか、直接彼らの住むサンフランシスコへ行くか、を相談し、どうやら本人が それほどディズニーファンでもなく、普通に遊びに行って普通に卒業した感があるので、直接シスコへ行きたいらしい。
飛行機の便を探し、従姉のOKも出て、大内くんが旅行社にエアチケットを頼んでる最中みたいね。

パソコンの関係でメールだと英語でしかやり取りできないが、電話でなら日本語ペラペラの従姉で、本当に助かった。
実現すれば、10日間の渡米になる息子。
お笑いコンテストのスケジュールと真剣に照らし合わせてみたら、当初の予定よりずっと短くなってしまった旅だが、きっといい経験になることと思 う。
英語でお笑いができるぐらいになって帰ってきてもらいたいものだ。
もっとも、大内くんも私も理解できないだろうが・・・

結局、仕事で使うんでない限り、英語なんてすぐ忘れてしまうのである。
さて、息子がアメリカで英語を勉強してくることに、意味はあるのか?
まあ、海外体験をすることそのものに意義があるんだろう。しっかり頼むよ、日本男児。

14年8月12日

大内くんがお盆休みを取ってくれたので、今日はお休み。
明日出社して、あさってから4連休の予定。

とりあえず朝寝をして、息子が起きて出かけてから、2人で吉祥寺の「アムリタ食堂」というタイ料理屋さんに行こうということになった。
先日1度行って、気に入ったお店なんだ。

こないだは12時の開店時間の15分前に行ったら、並んでて危うくひと回り目に入れなくなるところだったので、お盆休みの時期でもあることだし、 大事を取って20分前に行ってみた。
そしたら。
平日は15分早い「11時45分開店」なんだそうだ。もう行列ができている。危なかった!

とは言えさすがに平日で、列はとても短く、店員さんに仕分けされながら全員入っても、まだゆとりがあった。
それに、「平日限定の日替わりランチセット」には、お得なサラダとスープのビュッフェがついて来る。
私は何と言っても本日のセット「カオマンガイト」、大内くんは「激辛カレーと麺のセット」にした。
サラダは、レタスと豆腐とプチトマトとわかめ。2種類のタイ風ドレッシング。
スープは、何で出汁取ってるのかなぁ、鶏とかの脂っこい感じが全然しない、さっぱりした野菜スープだった。サイの目に切った大根がグー。

「カオマンガイト」は、大好きな「カオマンガイ」の「2倍版」。
ライスの上に蒸し鶏と揚げ鶏の2種類がのせてあり、ソースも2種類。片方は、うちにもある「スィートチリソース(生春巻き用)」かな、甘辛くてとろっとしてる。も う片方は少し酸っぱい。
どっちもおいしい!

大内くんのカレーと麺も味見させてもらった。
(その分、カオマンガイトを食べさせてあげた。取られ過ぎたような気がしてならない)
どうも、スープはどれもさっぱりしているので、卓上の調味料(4種類。辛い油とか、甘酸っぱいソースとか)で勝手に味付けすればいいのかも。
大内くんは辛くしすぎて、大汗かいて食べていた。カレーもけっこう辛いし。

うーん、今度、タイ米買って来て、ナムプラーか何かで適当に味付けした鶏のから揚げ作って、スィートチリソースかけて食べてみようかな。
なんとなく自信がある。
そもそも、カオマンガイ自体、ググればレシピはありそうだね。

スープは2回、サラダは3回おかわりして、とてもおいしいランチだった。
ここは、平日来るのがいいんだな。
昔は平日が休みだと「ステーキ盛り合わせ(略称ステ盛り)」がおいしかった西荻の洋食屋「キャロット」に行ったものだが、店をたたんでしまって久しいので、今度から平日の休みは「アムリタ食堂の日」にしよう!

14年8月14日

大内くんのお盆休みが本格的に始まった。
4日間、というのは長いのか短いのか。
少なくとも、大学が丸2カ月休みの息子には、
「サラリーマンになると、『えっ、知ってはいましたが、夏休みって本当に数日しかないんですか?!』っていう状態になる。人生の大部分はそんなふうだ」と言い渡してある。

とりあえず、近所の優秀な八百屋に買い出しに行く。
この店も明日からお盆休みなんだ。
こないだ買ってみた1/4切れのスイカがとてもおいしかったので、また買おうと思って。
「中玉が、1個1500円は高いよ。大玉1/4切れの方がコストパフォーマンスがいい」と、大内くんも喜んでくれたんだ。

もう1回ラタトィユを作ろうと、ナスときゅうりとタマネギを買って、トマトを半箱(7個)、398円で買おうとしていたら、お店のにーちゃんが、
「おねーさん、ひと箱、どう?700円にしとくよ!」と誘惑する。
何しろおいしいトマトなので、たいそう魅力的なお誘いなのだが、
「ごめんなさい!冷蔵庫に、入んない!」と断って、駐車場に車停めて待ってた大内くんのところに戻った。
「トマト、ひと箱買えばよかったかなぁ。冷やしトマトとかにして、どんどん食べられたのにねぇ」と言うと、
「そんなにトマトがあっても困るよ。ラタトィユにいくつ入れるの?4個?じゃあ、残りを冷やしトマトにしよう」と言いながら、車を出す。

1分走らないうちに、私は大事なことを思い出した。
「スイカ!買うの忘れた!」

「やっぱりトマトも買いたいし、お願い、車、戻して!」と頼んだら、快く戻ってくれた。
ちょっとの間なので、駐車場に入れずに、路肩に停めて。
「おにーさん、さっきのトマト、やっぱりもう半箱ちょうだい!」
「あいよ!税込み326円ね」
おにーさんも、こういう客には慣れているのか、計算が速い。

で、青果部とは別の果物売り場へ。
こないだと同じ1/4切れを両手で持って、レジのおばさんのとこへ行こうとしてたら、おばさんが、
「今日はひと玉1300円!甘いよ!」と言いながら、中玉よりひと回り大きなスイカをぽんぽんっと叩く。
「ほらっ、いい音するでしょう!」
あああ、魅力的すぎる〜

車を停めていた大内くんから見ると、
「キミが、トマトを持って現れた。1/4切れのスイカを手に取ったので、安心して目を離し、しばらくしてもう1度見たら、大きなスイカを丸ごとぶら下げてとぼとぼとやって来た。どうしたことかと、ものすごく驚いた」のだそうだ。
「断り切れなかったんだよ・・・すごくいい音がしたんだよ・・・」
「どういう音がするとスイカが甘いのか、キミは本当に知っているのか?スカスカで乾いたやつが『いい音がする』のかもしれないじゃないか!」
それでも、1300円だったと聞いて「安い!それならしょうがないかもね」と何とか認めてもらったよ。

結局ひと箱買ってしまったトマトも含めて、冷蔵庫に入るかどうか不安な大内くんは、
「スイカは、とりあえず少し冷えるまで水風呂に放り込んでおこう」と言う。
だが、昨日から入っている水はもう温まっているし、万が一にも間違えてそのまま風呂をわかしてしまっては大変、と説得し、半分に切り、ラップで包んだものを重ねて入れることにして、どうにかすべての野菜を冷蔵庫に押し込んだ。

今、冷蔵庫に入ってるラタトィユを食べちゃったら新しいのを作ることにしよう。
先週から、ずっと何度も冷たいラタトィユを食べている。
1滴の水も加えない、ブイヨンも入れない、ローリエさえ入れないこの野菜だけのラタトィユが、おいしくてしかたないのだ。
時々夜食に食べている息子は飽きっぽいから、次に出す時にはカレー粉を入れて「野菜カレー」にしてみようかな。
スイカは1/4食べた。甘かった。大内くんも、ひと玉買ったことを心から許してくれるぐらい甘かった。
今年はスイカの当たり年だ。

14年8月15日

大内くんのお盆休み2日目。
昨日、じゃがいもをたくさん買ってきたので、消費方法の1つとして、前から作ってみたかった「ビシソワーズ」に挑戦してみた。
とはいっても、なんてことない。
クックパッドで一番簡単そうなレシピを見て、じゃがいもとタマネギの薄切り、水、牛乳、コンソメ、塩、を耐熱容器にどばっと入れ、レンジで30分ぐらい加熱。
あとはプロセッサにかけて漉すだけ。
乱暴な作りなのでいささかなめらかさに欠けるが、味としては申し分ない物ができあがった。
レシピには書いてなかったけど、こしょうをたくさん入れたのがよかったと思う。

夕食に出したら、大内くんは、
「すごくおいしい!どういうレシピなの?生クリームを入れるやつもあるの?カロリー増やしてどうするんだ、って感じ。うちのビシソワーズはこれでいいよ。また作ってね」とほめてくれた。

今朝、バイトから帰ってきた息子に、残り物メニューで、
「夏野菜カレー(ラタトィユにカレー粉混ぜたもの)とビシソワーズ」を出したら、「うまいね!」とこれまた大喜びで食べてくれる。
ああ、やっぱり、ごはん作ってて一番励みになるのは食べる人の「おいしい」の声だなぁ。

と言うわけで、この夏はビシソワーズとラタトィユに明け暮れる。
飽きっぽい息子は早晩文句を言い始めるだろうが、我々はおいしいと思うかぎりこのメニューを続けるだろう。
とりあえず、今日は両方とも冷蔵庫から消え、明日は大内くんが煮魚を作ってくれる予定。
たまには和食もいいよね。
「味噌汁の具は何がいい?」と聞かれ、よしながふみを思い出して、「トマト!」と言ったら、「それはちょっと・・・」と躊躇の色を浮かべていた。 やっぱ、ゲテモノ?

無難にキャベツになった味噌汁。
もうひと品、副菜が欲しいな、切り干し大根でも作るかな、と思っていたら、大内くんは湯豆腐がいいと言う。
「ゆずこしょう」に目覚めて以来、我々は週に3日ぐらい湯豆腐を食べているような気がする。もう1年ぐらい。
飽きないのも、限度というものがあるのかもしれない。

でも、また大鍋いっぱいのラタトィユとビシソワーズを作るぞう!

14年8月15日

電化製品が次々壊れかけている。
テレビは時々「ぷつっ」と音がして消える。
幸い、すぐに復活するが、いつ消えたままになるか、わかったもんじゃない。
洗濯機は頭脳にあたる部分が壊れかけているらしく、なかなかスイッチが入らない。
だましだましスイッチを押しているうちに、大内くんは「洗濯機のご機嫌をうかがう」という作業の達人になってしまった。

どちらも買って10年目なので、「これが10年目シンドロームというやつか!」と思いながら、まあ、特に洗濯機はずっと買い替えを検討していたので、あきらめて近所のコジマへ。
乾燥までできる「斜めドラム式」がずっと欲しかったんだ。

テレビの方は、もう2、3年使って、今話題の「4Kテレビ」が成熟してから買おう、と思ってたんだが、壊れてしまったら1日もなしでは暮らせない我が家なので、思い切って買う。

どちらも明日配送だ。
楽しみなような、怖いような。
特に、大物家電はサイズの問題があって、ちょっと間違えると命取りだからなぁ。

そんな大買い物をしているうちに、我々は、やや正気を失ってしまった。
前から気になっていた、お掃除ロボット「ルンバ」を衝動買いしちゃったのだ。

これはお持ち帰りできたので、家に帰ってさっそく充電して、動かしてみた。
「かわいい〜!」というのが一番の感想。
お掃除が終わると自分でホームベースに戻って充電を始めるとこなんか、本当にカワイイ。
思わず名前を付けそうになるけど、「ルンバ」というネーミング自体が秀逸なので、そのまんま「ルンバ」と呼んでいる。
 
数日たってみないとどのぐらい掃除できているものかわからない。
とりあえず部屋から部屋へと追っかけまわして、机の脚とかにぶつかってゴンゴンいってるのを見守っている。
ペットを飼う人の気持ちが、ほんのちょっぴりわかる気がした。(いや、全然違うんでしょうが)

マンション買って10年、その時買いそろえた家電も寿命か。
イタリア旅行と重なって、今年はものすごい出費。家計簿つけるのがコワイ。
でも、ずっと欲しかったものばかりなので、ボーナスが思ったより良かったことなどにも感謝して、消費生活を楽しむ予定。
息子にもまだまだお金がかかるってのになぁ・・・

14年8月17日

大内くんのお盆休みも最後の今日、昼頃に電器屋のにーちゃんたちがテレビと洗濯機を持ってきてくれた!
古いものの引き取りもお願いしてあるので、どんどん運び出して、どんどん運び入れて、あっという間に両方とも設置して、すぐに使える状態にして風のように去って行ってしまった。
引越し屋さんより素早かったぞ。

洗濯機なんてねぇ、置けるのかどうか、最後まで心配してた。
と言うか、家の防水バンのサイズを測ったうえで、よく電器屋さんで眺めてたんだが、「収まらない」と思って半分あきらめてたんだよね。
今回、大真面目に買う気になって初めて、「外寸」と「置くスペース」は違うということを知った。
つまり、ガワはでかいが、脚の部分は小さく、うちの防水バンで充分置けるのだった。
そうだよね、10年前に新築で買ったマンションに、今売り出してる標準形の洗濯機が置けなかったら、絶望もんだよ。
ちゃんと調べずに、「置けないんじゃないかなぁ」って悲しくなっていたここ数年だった。
なんでも、本気出さないとわからないね。

テレビも、今使ってる日立の「Wooo」42インチはけっこうガワがでかいので、去年修理に来てくれたなじみの日立のメカニックさんに、
「今だったら、50インチぐらい置けますかね?」って聞いたところ、
「いや、ちょっと無理でしょう」と言われていたんだが、余裕で置けたね。
50インチのパナの「4K対応」を買ったけど、もうちょっと真剣に討議したら、52インチとかいけたかも。
これは、大内くんと、
「あんまりでかくても困るよねぇ。それほど遠くから見るわけじゃなし、50インチもあればいいでしょう」と合意したので、さほど無理はしなかった。
実際、置いてみたらほどほどにでかくて、よかったよ。

まずは「全自動で乾燥まで終わる」モードで洗濯をする。
2人してリビングと洗面所を行ったり来たりして踊りながら、テレビを見ては「大きいね〜、キレイだね〜」、洗濯機を見ては「回ってる回ってる!」。

テレビの説明書を読んで、あまりにいろんなことができるので驚いた。
全然考えてなかったんだけど、2台あるHDDデッキが両方ともパナの「DIGA」なんだよねl。
今回買ったテレビもパナ。
そうすると、「ビエラリンク」ってものが使えてお得なんだ。
危うく、店頭で少し安かった中国製を買ってしまうところだった。
パナの方を薦めてくれた店員さんに心から感謝する。
我々は幸運だ。

接続に必要なケーブルを買いにコジマに行き、つないでみたら、あら〜、「入力1」のビデオは、テレビのリモコンで動くのね〜、テレビのスイッチ切ると、自動的にビデオの電源も切れるのね〜。
テレビの「番組表」は字が細かくて情報量ぎっしりで、予約録画はどんどんビデオに送ってくれるのね〜。
今までiPadで見ていたアプリ、ひと月千円弱でたくさんの映画やドラマが見られる「Hulu」が、テレビの大画面でも見られる。しかも、画がすごくキレイ。

その気になれば、パソコンもつなげるし、もっともっとその気になれば、外出先から録画予約をすることもできるらしい。SFだなぁ。
これに関しては、大内くんが「その気になる」のは少し先になりそうだけどね。
取説読んで興奮する私と違って、大内くんは殆ど取説読まないうえ、
「いっぺんにいろいろやろうと思うとくたびれる。ちょっとずつ」というタイプなんだ。
「Hulu」を見られるようにするだけでも、彼的にはずいぶん「くたびれた」みたいだし。
パソコン関係はおまかせしてあるので口を出せないが、何となく「元・電機メーカー勤務」の血がうずく。

そうこうしている間に、洗濯が仕上がった。
乾いてる!カゴいっぱいの洗濯物が1度に!ほんの3時間の間に!
もうハンガーに掛けたり洗濯ばさみで挟んだりしなくていいんだ。
貧乏性だからもしかしたら人力で干しちゃうかもしれないけど、まずはしばらく、乾燥までやってもらおう。
さすがにたたんでタンスにしまったりはしてくれないんだけど、ずっとあこがれていた夢のメカであることに変わりはない。

あっ、時間予約しておいたルンバも勝手に掃除を始めた!
ぐるぐる動き回ってる。
いっぺんに家事が楽になってしまった。まるでメイドさんを雇ったようだ。

こうして興奮しきって終わったお盆休み。
テレビの設定をあれこれ試しながら眺めてたニュースによると、台風の影響で地方によっては大変な災害が起こっているうえ、帰省の足が止まった人々が大勢いるらしい。
東京は雨も降らないし、我々、うちにいるし、全然困らない。
つーか、よその土地で人が困ってるのに、こんなに安楽にしてていいの?!って、申し訳なくなっちゃった・・・

名残り惜しくテレビと別れて、ボタンひとつで沸いたお風呂に入って、エアコンの効いた寝室でベッドに寝転んで、スタンドにつけたiPadで入眠前の読書をする。
どれぼどの贅沢を、私はしているのだろう。
空恐ろしい、とは、こういう気持ちを言うんだろうなぁ。

ちなみに、昨日買ったルンバをさっそく見つけて、
「へー、買ったんだー」と言っていた息子は、遊んで帰ってきて、テレビと洗濯機が新しくなっていたのを発見しても、あまり動じてなかった。
私は、何となく彼に怒られちゃうような気がしてたんだが。
彼が色濃く血を受け継いでいる、今は亡き「名古屋のおじいちゃん」が、我々の新婚家庭を訪れた時に買ったばかりの冷蔵庫を見て、
「2人暮らしには少し大きすぎて、贅沢ではないか?」と意見してたのを思い出すからだろうか。(ケチ、というより、合理的な人だったので)
それとも、
「私がコドモの時は、井戸から水を汲んで薪でお風呂を沸かして・・・」とよく言っていた、これまたもういない「名古屋のおばあちゃん」のせいだろうか。
こういう生活を当たり前に受けとめる今のコドモたちの将来って、どんなものだろう?

14年8月18日

新しいテレビで「Hulu」をチェックしてたら、先日自殺してしまったロビン・ウィリアムズの出てる「グッド・ウィル・ハンティング」があったのでぼんやり眺めてた。

起き出してきて画面をひと目見た息子が、くすりと笑って言い放った。
「単純だねぇ」
悪うございましたね!

ちなみに、このタイトル、大内くんも私も、「善意を探して」という意味だと思ってた。
単に、主人公の名前が「ウィル・ハンティングくん」なのね。
私の大学4年間は、いったい何だったのだろう。

大内くんには、「ダンス・ウィズ・ウルブス」を観ていて、
「で、一緒に踊ってくれる『ウルブスさん』は、いつ出てくるのかなぁ」と思っていた、という過去もある。
確かに「ウルフ」の複数形は「ウルブス」だが、そんなとこまで忠実にタイトルにつけなくていい!「ダンス・ウィズ・ウルフ」で充分だ!

14年8月20日

夏休みで比較的ヒマそうな息子と、新しいテレビをみんなで見ながら焼肉を食べることにした。
大内くんが作ってくれた「カルビ・クッパ」が大好評。
でも、息子はあんまりしゃべってくれなかった。
焼肉がおいしくて夢中になっていた私も、あまり気にしなかったし。
何しろ、焼いたり食べたり、忙しくって。

エアコンつけてホットプレートつけて炊飯器つけて電子レンジつけてもブレーカーが落ちなかった。
マンションは偉大だ。
社宅に住んでいた頃は、そんな狼藉をしたらたちまち「ぶつっ」と何もかもが消えてしまったものだが。
うっかりホットプレート使いながら電子レンジつけるだけでもアウト。
よく、焼肉食べてたらいきなり真っ暗になって、録画していたビデオデッキも何もかも消えてしまったよ。
そしてそのあとは、地獄のような「すべての時計のついた機械の時計合わせをやり直す」作業が待っていた。

アンペアを上げようにも、建物自体の限界が小さくて、30アンペアがやっと。
今は50アンペアもあるうえ、10個ぐらいの細かいブレーカーに分かれているから、台所とエアコンが別なんだよね。

こういう点に、10年たってもまだ驚く。
大内くんを好きな気持ちが薄れないのと同じように、自分の生活が贅沢になっていくのに、なかなか慣れないんだ。
「貧乏性」なだけかもしれないけどね。
私は、「ありがたい、ありがたい」と言いながら年老いて死んでいくよ、きっと。
それは、いいことなのか?悪いことなのか?

14年8月22日

日付け変わって誕生日。
LINEで息子にそう告げたら、「おめでとう」とレスが。
今年最初のお祝いの言葉は息子からかぁ。
大内くん、もう寝ちゃったしね。

夜中の2時に帰ってきたから、もう1度、ナマ「おめでとう」。
素直に嬉しかったけど、「55のゾロ目」と言ったら、「意外と若いね」と言われたのには少しヘコんだ。
いったい今までいくつだとおもっていたのだろう??

朝、起きてきた大内くんにその話をしたら、
「そうだ、誕生日、おめでとう!昨日の晩、12時過ぎたら言おう、と思ってたのに、忘れて寝ちゃった」と言っていた。
うん、私も、12時過ぎたら言ってもらおうと思ってて忘れてたんだ。
今年はイタリア旅行も行くし、家電を山ほど買ってもらったので、誕生日プレゼントはそれで代用。
(12月の大内くんの誕生日もチャラになる予定だ)
銀婚式、55歳、ああ、加齢を感じる・・・
さっき買ってきたよしながふみの「きのう何食べた?」によれば、筧史朗さんも50になって、たいそう落ち込んでいる様子だね。

去年、大内くんが50歳になった時、
「どんな気分?」と聞いたら、
「別に特に。40歳になった時の方が、『もう立派な中年なのに、仕事に家庭に、いかほどのことができているか』と考えると落ち込む」とか言ってたのに、50は50で、やはり「なってしまう」というのはリアリティのあるものらしく、
「かなり重たい。歳だ、と感じる」と言っていた。

今回、私は四捨五入すれば60歳、というとこまで来たので、
「60、っつーと、すごい『老人感』がない?」と聞くと、
「うん、僕も、キミが本当に60歳になったらいろいろ考えると思う。『カワイイおばあちゃんだなぁ』とか。老後の備えをしつつ、楽しく暮らそうね。しかしそうか、その頃には、もしかしたら本当に『おじいちゃん、おばあちゃん』になってるかもしれないんだなぁ・・・」と、いきなり遠い目。

常日頃、人のことを「妄想が行き過ぎ。そんなにいろいろ想像しなくてもいいのに」と言ってるくせに、自分だってけっこうな妄想屋さんじゃないか。
私は、とにかく息子が大学を卒業できるのか、就職してくれるのか、そればかりが心配だ。
でも、カノジョいるわけだし、我々は明日、
「おじいちゃんとおばあちゃんになるんだよ」といきなり告げられるかもしれないのだ。
うーん・・・やはり、妄想は身体によくない・・・

この歳まで、無事に来ました。
若い頃に思ってたよりずっと平凡で、ずっと幸せな暮らし。
それでいいんだよ、と素直に思えるようになったところが一番の「年の功」かも。
でも、気を引き締めて精進しないとね。
これからの我々は、うまくいけば長〜い老後を過ごすことになるんだから。
まずは、配偶者と仲良く。そこが基本。


14年8月23日

今度イタリアに行く我々は、吉祥寺で友人女性とランチをして、彼女のイタリア旅行の話を聞いたり写真を見せてもらったりしてお勉強。
「せっかく行くのに、ツアーなんてもったいない!」と言われてもなぁ、何度も行ってるあなたと違って、何しろ経験値がむちゃくちゃ低いんだから。
自分で電車を調べたりホテルを予約したりなんて、無理ですよ・・・

あと、我が家が新しく買った家電の話を少々。
彼女のお母さんが1人暮らしをしていて、「ルンバ」に興味を示しているらしい。
ルンバ、いいよぉ。
まだ使い始めて10日ぐらいだけど、おなかからスゴイ量のほこりのカタマリが出る。
それだけ、よく吸ってるってことだ。

洗濯機に関しては、彼女は趣味かと疑うぐらい洗濯に手間をかけている。
今どき、防水バンを買い替えてまで、二漕式洗濯機を買うぐらいだ。
ずっと全自動洗濯機の世界に引きずり込んでやろうと目論んでいるのだが、完全自動洗濯乾燥機に関しても、
「乾燥はまあいいんだけど、洗濯の部分がブラックボックスなのがねぇ・・・」と煮え切らない。
忙しいのに、洗濯機の横にずっとついてることない、と思うんだけど。

テレビは、10年ぐらい前に「ソニーのブラウン管」のものをあげたことがあり、今でもそれを使ってくれてると言う。
そろそろ買い替えを検討しなくもないようなので、
「今のテレビはキレイで安い!」と大宣伝しておいた。

上記家電を全部自信を持っておススメできるか、もうちょっと使い込んでからでないとわからないが、まあ、どれもいい買い物だったと思うよ、Kちゃん。
お母さんに、「ルンバ」をそこはかとなく薦めておいてください。

お昼を食べて、喫茶店に行ってお茶を飲んで彼女と別れ、我々は、息子のお笑いの大会を見に行く。
場所は野方市民ホール。
120組で予選を争い、決勝に進んだ20組が競う「優勝賞金10万円」のこの大会で、息子と、同じサークルの後輩であるカノジョと、両方がそれぞれのユニットで出ているのが興味深い。
どっちかが優勝しちゃったりしたら、祝杯をあげるのか亀裂が入るのか。ドキドキ。

5組ずつやっては少し休憩して、第4部まで。
カノジョは第2部の始め、息子は第4部のトリ前だった。
トリを務めるのは同じサークル(早稲田から、4ユニット出てた)の先輩で、学生お笑いの世界ではちょっとした顔の2人組。
4年生の彼らは、それぞれ就職の内定をもらったり公認会計士の試験受かったりしており、プロへの道を進むかどうかは、この夏のコンテストの結果如何らしい。

カノジョの舞台は、先輩女性との漫才。
「ジョンとヨーコ」のネタだった。
イマドキのコでも、そんなこと話題にするのか。
カノジョが途中でセリフを忘れて、アドリブも効かず、相方の助け舟もなく、座礁してしまったのは残念だった。

息子は、学ランを持ってったようだから、もう何度も見た「曲がり角で転校生とぶつかる」のネタかと思って不安だったが、背広も持って行ったらしく、相方に学ランを着せて、「電車の中で、座りたいサラリーマンがヘンな高校生に座席を荷物で占領されて困っている」というコントだった。
あいかわらず息子がせっかちにしゃべるし、構成がくどい。同じことくり返し過ぎ。

それでも今回は全体にレベルが低かったので、もしかしたら3位入賞ぐらいはあるかな?!と期待してたところ、けっきょく選外だった。カノジョも。
プロを目指すかどうか、のサークルの先輩は、2位。やっぱ、安定はしてるんだなぁ、実力が。

くたびれきって帰って、息子に「今日は帰るの?」とメールしたら、なんと、「バイト」。
吉祥寺の病院で、週1ぐらい、深夜の受付をやってるんだ。
大学1年の後半から半年ぐらい、慶応病院に勤めていたので、医療事務は得意分野になったらしい。

ちょっと驚いたのは、ラインで、「面白かった?」と聞いてきたこと。
見に行くと機嫌が悪いかと思っていたのに。
それに、大内くんが、
「新ネタ見れてよかった。なかなか面白かったよ。1つだけ言わせてもらえば、やっぱりキミはツッコミじゃなくてボケだと思うよ。1度、相方と役割 交代してみたらどうかなぁ」と、怒らせるのを覚悟で意見したら、すぐに、
「なるほど、ボケか。ありがと」とレスが来た。
「バイト、頑張ってね」「はーい」
素直だなぁ。びっくりだ。

いろんなことを経て、成長していくね。
20歳過ぎて、反抗期もずいぶんおさまってきた感がある。
ぶっきらぼうなのは親への甘えか。
ラインでは妙に素直で、私は思わず泣いちゃった。
だって、すっと内懐に入ってくるような、素早い大内刈りをかけるようなタイミングなんだもん。

号泣してる私に、大内くんは少しあきれていたようだが、たまには大泣きしたいんだ。ほっといてくれ。
健やかなコドモが世の中に出て行こうとしていて、一方で寝たきりのコドモが、あと何年生きられるかもわからずに家以外のところにいる。
私は、息子のことで嬉し泣きをする時いつも、唯生によってたまっている悲しみを一緒に吐き出してるんだ。
そういう意味でも、息子を産んどいて本当によかった。
ありがとう、息子よ。


14年8月24日


1カ月ちょっと先に迫ったイタリア旅行の説明会があるので、目黒まで出かけた。
予約を入れて聞きに来ているお客さんたちは、我々より少し年配の夫婦連れ、という感じが一番多かった。
定年を迎え、とりあえずヒマになったがまだまだ元気がありあまっている、といったところだろう。
同じツアーに行くとは限らないが、もしかしたら一緒になる人もいるかもしれない。

一般的な話、「るるぶ」などの情報誌から得られる情報、も多かったが、やはり添乗員さんが話してくれることは参考になる。
「イタリアは、それほど治安が悪いわけではないので怖いことはありませんが、スリ、置き引き、非常に多いです。注意してください。貴重品は、ウェ ストポーチだと危ないので、斜め掛けのバッグがおススメです」と言われ、ウェストポーチなら安全だろうと思っていた我々は驚き、質問の時間に「なぜですか?」と聞いてみた。

「下の方にあるので、よそ見をしていると、すっと開けて盗られてしまうんです。身体の上の方にあるバッグが安全です」
そうか、斜め掛けと言っても、ショルダーバッグじゃなくて、ボディバッグのようなものを言うのか。
パスポートやカード類は常に持ち歩かないといけないので、バッグを買おうと、帰りに吉祥寺のロフトへ行ってみた。
なるほど、胸の上部に開け口が来るボディバッグなら、取られそうになったら気がつくね。
もうちょっと検討して、今度買うことにしよう。

「遠出して、くたびれたね〜。今日はもう、何にもしないでごろごろすごそうね〜」と話しながら帰ろうとしていたら、息子からライン。
「今日、カノジョ泊まりに来る」
突然!また!もう3回目!
2カ月ばかりの間に3回のお成りとは、よくよく仲良しと見える。

ゆっくりしたかったのに大変だ、とは言うものの、面白いから、来るのは大歓迎。
すぐに返事を送る。
「何時ごろに来るの?晩ごはんは、焼き肉とカルビクッパでいい?」
これまた素早いレスが来た。
息子「6時ごろ。ごはんは7時ごろにして」
私「ごはんまで、何してるの?」
息子「ごろごろ」
私「どこで?」
息子「家で」
私「どの部屋?」
息子「自分の部屋」
私「ところで、何のイベントで来るの?」
息子「なんにも」
問答はとりあえずそこでおしまい。
息子が先日来食べたがっていたカルビクッパの仕込みがしてあるので、肉を買ってきて野菜を準備すれば支度はOK。
急いで帰って、買い物をしなくっちゃ。

夕方の早い時間に我々はお風呂まですませてしまって、彼らがお風呂に入るかどうか聞いてからお湯を張りなおそう、と、少していねいに風呂洗いをしておく。
まだ来訪までは時間があるのでリビングでぐったり。

「しかし、何でいきなり来るのかねぇ。いいけど」
そうなんだ、それがわからないんだ。
初回は、家にあるブルーレイのデッキで、カノジョがフェリーニの映画を観て授業のレポートを書きたいから、という理由があった。
訪問したことだけはあるカレシの家に、泊まってみたい、と思ったのかもしれないし。
ひと月後の2回目は、同じ授業を取っているので一緒に夜中締め切りのレポートを書く、という。それもわからんではない。

だが、3週間後に、何もないのにまた、というのはどういうことだろう。
カノジョが実家ならわかるんだが、独り暮らしなんだよ?
わざわざ親のいる窮屈なカレシのうちに泊まりに来なくても、カノジョの部屋でいくらでも2人で過ごせると思うんだが・・・
息子の、あの散らかった狭い部屋でごろごろねぇ・・・

いや、本当に、来てくれるのは嬉しいんだが、理由がわからない。
「聞いたら失礼かなぁ?」と大内くんに言ったら、
「歓迎した上でのことなら、失礼、ってこともないんじゃない?」という返事。

2人は、6時半ごろやって来た。
「こんにちは!」と玄関まで出迎えると、カノジョは、
「こんにちは。これ、どうぞ」とお菓子の箱を差し出す。
「ありがとう。冷蔵庫に入れておいて、あとでお茶にするね」と言ったら、「はい」と、玄関わきの息子の部屋へ入って行く。

大内くんのいるリビングに戻ると、すぐに息子がTシャツとブリーフ姿で現れた。自分だけ、勝手にシャワー浴びる腹らしい。
カノジョが来てるってのに、いきなりGパン脱ぐかねぇ。
ブリーフはいただけの姿でカノジョの待つ部屋へ戻って行くし。
遠慮のない仲なのはわかるが、もうちょっと気恥ずかしそうにしていてもらいたい、というのは、ぜいたくな要望だろうか?

7時になったので、2人を呼んで、焼き肉を始めた。
なぜか、肉の油が猛烈にはねる。
いつもはそんなことないのに、どうしたんだろう。
カノジョが「あつっ」という様子で身を引くし、テーブルクロスにもどんどん油の点が。
カノジョの服まではねが飛んでしまった。

「ごめんね!」と、ホットプレートの温度を落としながら、もう、私はあせっちゃって、何を言ったらいいのかわからない。
大内くんが、
「昨日のお笑い大会の決勝、見に行ったけど、○○ちゃんも出てたね。面白かったよ」と話を振る。
私も、一生懸命、
「今の若い人が、ジョンとヨーコの話をするとは思わなかったなぁ。私が○○ちゃんの歳の頃、ジョンが殺されて、寮に住んでたから、そこらじゅうの部屋 からビートルズの曲が流れててね、泣いてた子もいっぱいいたよ」と話す。
「へえー、そうなんですかぁ」
「今でいえば、うーん・・・○○ちゃんは、誰が死んだら驚く?歌手とかで」
「安室奈美恵、とかいう感じでしょうか?」
「なんて言うのかなぁ、もっと、カリスマ的な、伝説的な・・・」
「マイケル・ジャクソンの時、驚きました」
「うん、そんな感じかも」
だんだん、何言ってんだか、わかんなくなってきたぞ。

大内くんは、昨日カノジョがセリフつっかえて、舞台の上で立ちすくんじゃった件について話していた。
「ああいう時、相方まで黙っちゃうと、お客さんも引いちゃうよね。『あんた、今、まっ白になったね』とか言ってくれた方が気楽かも。お客さんは脚本知らないんだから、飛ばしちゃっても分からないし」
「そうですかぁ」
私はちらっと息子を見る。特に機嫌を悪くしてるわけではなさそうだ。

「ところで、今日はどうしてうちに来ることになったの?」と聞いてみたら、
「映画見に行こう、って言ったら、『そのあと、うちに来ない?』って誘われたので」という返事。
息子が誘うのか!って、驚いた。
親に介入されるのなんかすごく嫌がりそうなのに、家に呼ぶのかぁ。
カノジョも、そう気詰まりでもなく泊まりに来るのかぁ。
2人とも、実に「何とも思ってない」のだな。昔とはずいぶん感覚が違う。

肉も食べつくしたし、カノジョも退屈だろう、って、会話を撤収して、大内くんがカルビクッパを作ってくれる。
「おいしいです!」と、喜んでもらえたよ。

食後は、また2人が部屋に引っこんでしまったので、後片づけをして、我々はテレビの設定等。
しばらくして、お茶にしようと呼びに行く。
「○○ちゃんはコーヒー?紅茶?」
「あ、コーヒーでお願いします」
「オレは紅茶」と息子。
買って来てくれたプリンとシュークリームをそれぞれ食べて、あとはお若い2人におまかせだ。

お風呂を入れて、布団を出して、2人にお休みを言って、我々は寝室にこもる。
たいへんくたびれた週末だった。
最大の収穫は、カノジョが実は「剣道2段」だと知ったこと。

息子をさして、
「この人は、こう見えても柔道2段なんだよ」と言ったら、息子は、
「関係ねーだろ。今はお笑いやってんだから。柔道なんか邪魔だよ」と言っていたが、カノジョは、
「柔道やってたとは知ってましたが、段までは知りませんでした。私、剣道2段です」とさらっと言う。
一気にカノジョのポイントが跳ね上がったなぁ、我々の中で。
単なるきょとんとした「不思議ちゃん」なんだと思っていたよ。

しかし、1年以上もつき合っていて、家に泊まりに来るほどの仲で、そんなこともお互い知らないでいるってのは、普段どういう会話をしてるんだろう?
不可解でしょうがない。
何やら、我々とはまったく違う行動原理で動いているようだ。

将来、もしこの2人が結婚したら、夫婦ゲンカは派手かも。
コドモが生まれたら、どっちを習わせるんだろう?
いずれにしても、武道はいいよ!

14年8月25日

若い2人に朝ごはんを出さなくては、と思ったが、緊張して寝られなかった私は寝不足でつらい。
息子からは「起こさなくていい。9時ごろ、適当に起きる」と言われていたので、7時前出社の大内くんを見送ったあと、ベッドの中で本を読んで待つ。

9時過ぎ、息子の部屋で寝ている2人のうちどっちかが起きてトイレに行った気配がしたので、しばらく待って、部屋をノックしてみた。
「はぁい・・・」と答えたのは、カノジョ。
そっと扉を開けると、息子はがーがー寝ている。
カノジョはいつも同様、ベッド下の狭い空間に無理矢理敷いた布団で寝たようだ。
「おはよう。もう起きる?」と聞くと、そっと息子の足をつついて起こそうとしてくれたけど、全然起きる気配なし。

「起きないみたいです」と言われたので、
「私、徹夜なんで、とりあえず寝ます。彼が起きたらごはん作るから、起こすように言っといて」と頼んで、iPadで映画を見ているらしいカノジョ を残して扉を閉め、自分のベッドに戻っておもむろに寝る。
さすがに眠くて、ぐっすり寝てしまった。

息子に起こされて、時計を見たらもう12時近い。
「ごはん食べる?」「うん、頼む」という会話のあと、「ごはん、味噌汁、納豆、サラダ、卵焼き」の朝食をささっと作った。
簡単で悪いが、まあ、朝ごはんなんてこんなもんだ。

あっという間に食べ終わった息子は、まだもそもそ食べているカノジョを残して部屋に行ってしまった。
本当に勝手な人だ。私が彼女だったら、速攻で別れたい。
まあ、絶好の機会なので、カノジョにいろいろヒアリング。
「息子の、どこらへんが好きなの?」
「えー・・・やさしいですから」
この状況で、そう言ってもらえるのか。すごいなぁ。普段、どんだけ優しくしてるんだ、息子よ。
少しは親にも優しくしてくれ。

やがて食べ終わったカノジョと戻ってきた息子がテレビの前で談笑し始めたので、皿洗いをして、お邪魔虫はもうちょっと寝ることにしよう。
カノジョはこのあとお笑いのライブを見に行き、息子は別件で出かけると言う。
「私、寝るから、もうこれでお別れだと思う。また来てね。おやすみなさい」とカノジョに言って、また寝た。

2人が出かける気配で目が覚めたのが3時ごろ。
ずいぶんのんびりしてたんだね。
わざわざ起きて挨拶するのもヘンだろう、ってしばらく静かに横たわり、完全に出かけたと思われたあとで起きてみる。
息子の部屋に布団は敷きっぱなしか。
カレシの家に泊まりに行ったら、布団ぐらい畳んでおくのではないか、そう言えば、「お皿は私が洗います!」という声は聞かれなかったなぁ、などと、早くも姑めいたことを考える。

いずれにせよ、いろんな点で「イマドキの若いカップル」だ。
家人が寝たあとの真夜中のこととは言え、一緒にお風呂に入ってるらしいのもオドロキだし。(こないだもそうだったので、もう慣れたが)
息子が初めてカノジョを連れてくる時、高校のクラスメートのママ友にメールで報告したら、上に2人のお兄ちゃんを育てたそのお母さんから、
「今の子たちは、親の前でも平気でイチャイチャするから、驚くわよ!」とレスがあった。
ハイ、確かに驚きました。

まあ、カノジョがいないよりいた方がずうっといいのは明らかなので、うるさいことは一切言うまい。
家に泊まりに来てくれる理由が今ひとつよくわからないが、また来てくれるよう、祈る。
そして、できたらそのまま結婚してほしい。
本当に、よろしくお願いします。

14年8月26日

カノジョを交えた夕食で、息子は、さすがにビールと焼き肉で舌がほぐれたか、バイトのこととかいろいろ話してくれた。
「前の慶応病院と違って、小さなとこだから、患者はひと晩に3人ぐらい。自分も1人だし、ヒマで、ゆっくり本が読める」

私「母さんが、夜中に具合悪くなったら駆け込んでいい?」
息子「医者が1人しかいないから、その日によって診られる患者が違うよ。整形外科と内科と消化器と脳下だけ。このへんなら、日赤に行った方がいいよ。転んだババアぐらいしか来ない。明け方に胃腸炎なんか起こすなよ、昼間になれよ、って感じのヤツとか。いる先生によって、オレが救急車の振り分けすることもある」
私「深夜の病院なんか、何を見ちゃうかわからない、って、心配してるんだけど」
息子「今は大したことない。前の慶応病院はね、けっこういろんな患者が来たね」
私「血がぴゅーぴゅー出てるような?」
息子「うん、新宿近いから、ケンカしたヤツとか来たな。顔面血だらけ。あと、警察の留置診療もあった。捕まったヤツで、ケガしてると、縄で縛られて連れてこられる。死体見たこともあるよ」
私「つらくなかった?」
息子「知らない人だからね。別に何とも」
それはそれで困る感じ方のような気もするのだが。

息子「今日、『ドラえもん3D』観て来たけど、やっぱ、藤子Fはすごいね!」
私「うちに、『SF短編集』の愛蔵版、分厚いやつが3冊あるけど、あれ読んだら、もうSF小説は読まなくていい、ってぐらいだよ」
息子「ホント!今度読もう。キイスの『アルジャーノン』もすごいと思ったけどね。ポップだね。あと、宮部みゆきの『火車』もよかったな」
私「それでも、母さんおススメの『小暮写眞館』は読んでくれないわけ?」
息子「今、読んでる本があるから」
大内くん「何読んでんの?」
息子「父さんがくれた『社会学の方法』。入院してるおじさんで、バイオ関係の会社の人がいるんだけど、社会学をこてんぱんに言うんだよ。統計的じゃないとか」
大「議論吹っかけられたの?」
息子「そう。『今度、遊びに来なさい』とか言って、名刺くれた」

ずいぶんしゃべってくれたなぁ。
大内くんも私も、お互い、薦めた本を読んでもらって嬉しいわけだし。
どうして人は、自分の推薦図書を人が好むと嬉しいんだろう。
それが自分のコドモだと、なおさらなんだ。

こっちも、少しは歩み寄ろう。
「からくりサーカス」という長編マンガについて、彼が、
「伏線を回収しきった部分が漫画界一面白いと思うけど、そこまでの20巻ぐらいが、地獄のひとつに入るくらいきついんだよなぁ」と言っているので、きついにしてもぜひ1度、読んでみなくては。

いろいろ勝手に経験値を積んでいろんな体験をしている。
あまり話してくれないので、彼が何を考えてるのか、さっぱりわからないことが多い。
そうかと思うと、いきなりカノジョを泊めちゃうとか、無防備なとこもあるし。
大内くんは、
「悪い奴じゃないよ。なかなかいい奴だよ。ほっといても、ちゃんとしたオトナになるよ」と言っているので、私も心配するのはよそうかな。

14年8月27日

夏のなごりのスイカを買う。
いや、まだ季節的にもうちょっとあるのかもしれないが、野菜全般、こないだより高かったんだよね。
もう、野菜がじゃんじゃんできる季節は終わりなのかなぁ、と。
大内くんは、
「暑すぎてあんまりできないだけで、まだまだ野菜の季節は続く」と言っている。
(でも、いきなりすごく涼しくなって、秋みたいだよ)
なんにせよ、私的にはラタトゥイユも今年最後な感じ。

で、野菜がいっぱい入ったレジ袋2つとでかいスイカをぶらさげて、よたよたとマンションの廊下を歩いていたら、いきなり、転んだ。
奇跡的にスイカもトマトも無事だった。
やはり、買い出しは週末に大内くんと車で行けばよかったかなぁ。
自転車の前カゴと後ろカゴにいっぱい積んでふらふら帰ってくるだけでも危なかったから。

そこをなんとか乗り切ったのに、廊下を歩くだけで転ぶって、なに?
半年ぐらい前に家の中でいきなり転んで肋骨にひびが入ったことを思い出した。
今回はひじをすりむいただけだが、大内くんにしこたま怒られた。
そう言えば、2カ月ぐらい前にも自転車で転んで(幸運なことに荷物は何もなし)ひざを思いっきりすりむいたもんなぁ。
老化?バランス感覚の衰え?
そろそろ、「三輪車」にした方がいいのかしらん。

というような苦労をして買ってきた大玉のスイカを、まずは半分に切ろうと思ったのだが、まな板の上で切るには、スイカをサポートしてくれる人が必要。
(半分になったとたんに転がり落ちるから)
とても1人で切る自信がなかったので、風呂場に持って行って、床の上で切った。

それで思ったんだけどさぁ、人を殺して、風呂場に引きずって行って、刃物とかでバラす、って絶対無理だ。
包丁を持って風呂場に入る、それだけでも違和感で気分悪かったもん。
たとえ切る相手がスイカでも、だよ。
人間なんて、無理無理無理。
やっぱり、そういうことをしちゃう人って、フツーじゃないんだな、って、胸が重たくなった。

殺伐とした事件も多いが、気を取り直してスイカ食べよう。
学童さんのディ・キャンプで、「スイカ割り」したなぁ。
あれって、食べるために割るんじゃないんだよね。
列に並んだコドモたちに、「スイカ割り」を体験させてあげるためにやるの。
(食べるスイカは2千円ぐらいしそうな大玉を別に切っている。私はその「当番」だったので、じゃんじゃん切った。割るやつは580円ぐらいの小玉をたくさん用意)

だから、スイカがぐしゃぐしゃになるまで叩き割って・・・あああ、やっぱり猟奇なとこから離れられない!
スイカは夏の風物詩、のどかな食べ物なんだってば!

14年8月29日

コントに欠かせないのは「学ラン」と「背広」。
どっちも記号的にものすごく意味があるというか、学ランを着ていれば「ああ、高校生だな」と思うし、背広を着ていれば「ああ、サラリーマンだな」 と思わせることのできる、お役立ちアイテムなのだ。

幸い息子は学ランの高校だったので、彼の制服はいまだにものすごく役に立っている。
背広も、バイトの面接に行くよりコントで着る方が圧倒的に多いようだし。
ま、一番正式に役に立ったのは、成人式の時だったけどね。

問題は。
彼が、これらの「衣装」を大事にせず、リュックに丸めて放り込んで、そのまま2、3日放置しておくこと。
たいがい私が発見してハンガーに吊るしておくが、しわだらけだよ。
だらしないのもたいがいにしてもらいたい。

今日もリュックに学ランを詰め込んで出かけたようだ。またライブか。
「ネタは、すごくたくさんある」と言う息子よ、我々は、そのごく一部しか見たことがない。
しかも、「街角でぶつかる」話と「ラ王」の話はもう3回ずつぐらい見ている。すごくつまらないのに。
今度、学園祭のステージでやる時は、別のネタで頼む。見に行くから。

あと、夏はコンテストが多いと聞く。
予選を通過したら見に行ってもいい、というのが我が家の「おうちルール」だ。
じゃんじゃん勝ってくれ。
でも、「プロになりたい」と言われても困るので、優勝とかはしなくていいよ。

14年8月30日

息子と、録画してあった「世界柔道73キロ級」を観た。
彼は、高校時代その階級だったんだよね。
今ではすっかり身体がだぶついてしまって、80キロ近くあるんじゃないかなぁ。

なんだか興奮し、軽く運転の練習させようかとドンキホーテまでのドライブに連れ出したら、エレベータの中で、大内くんの腕をひねり上げながら、
「あ〜!やりてぇっ!」と叫んでいた。
高校まで続けた柔道の、血がたぎったらしい。
もう少し身体を絞らないと、とてもやれないよ。
そのかわり、ちょっとトレーニングしたら「81キロ級」のいい身体になりそうな気がするんだが。

「高校時代は、技とかの細かいことはわかんなかったでしょ。キミは、精神年齢が低いから」と言う大内くんにはうなずくのに、
「母さんたちが大学の留年にあんまり文句つけなかったのは、あなたはコドモっぽくて、そのままだとコドモの間に大学卒業しちゃうから、ってのが大きかったんだよ」と私が言う頃には、熱くなってたのもすっかり冷めて、
「それは何度も聞いた」とぶっきらぼうだ。
ホントに、気が変りやすいうえに、私の言うことには決してうなずかない。
母親って、そんな存在?
よくよく気が合わないだけ?

夜遅いドンキは、ヤンキーなにーちゃんたちや頭に花輪をかぶった昔のフラワーチルドレンみたいなねーちゃんたちが大勢いて、面白い。
9月は、3日間のサークルの合宿に、4日間の同期仲間との沖縄旅行に、10日間のアメリカ旅行を控えている息子に、
「靴下とかパンツとか、買っておきなさいよ」と何度も言っているため、
「なんでそんなにオレに靴下買わせたいんだ?!」と詰め寄られたが、それは、洗濯担当者として、キミの下着類が心配だからだ。
よれよれのパンツ履いて合宿や親の従姉の家に行ってほしくない。
大きなお世話なのは重々承知の上で、スポンサーがついている今日、必要なものは買っておきたまえ。

なんとか下着類を買い込んでもらい、我々は安い食料品を買う。
ついでに、車の中でiPhone聴けるよう、コードを買った。
いや、今まで、ドライブの時は家で使ってるiPodを接続コードごと持ってこなきゃいけなかったんだけど、いつも持ってるiPhoneに音楽も入れたことだし、ただつなげばよくなっ て、iPodは寝室専用にできる。
よく、iPodやコードを忘れてきて、車で音楽が聴けなかったんだ。もう心配ない。

「ローソン寄っていい?」と言いながら家の近くのコンビニに寄り、車を実にヘタクソに停める息子。
「これ買って」とカップめんを渡してくるので、
「こういうのは、ドンキで買ってもらいたいね。値段が倍ぐらい違うよ」と文句言ったら、
「すまん」と素直であった。
夜食に食べたいのかと思いきや、あさってからの合宿に持って行きたいらしい。
ふーん、合宿用の夜食かぁ。我々、どうしてたかなぁ?

家に帰り着いて、
「今日こそ車庫入れまでちゃんとやってもらうよ。それやんないと、いつまでたっても車貸せないよ」と脅して、いつもはいない隣の車がいる苦しい状況で、 狭いスペースに入れさせる。
大内くんが降りて後ろで誘導していたが、息子の駐車は目が当てられないほどヘタだ。
隣の車との間が狭すぎて不親切だとは言うものの、何とか白線内におさまったので、今日の教習は終わり。
5階まで階段を駆け登る息子をほっといてエレベータで上がりながら、大内くんは、
「車庫入れは、DNAだね。どうしようもない」と首を振っていた。
すまん、私のヘタさが遺伝して。
運転そのものはわりとうまいんだけどねぇ、息子も私も。

今日は結局夕方からヒマそうにしていて、高校受験が終わった時に買って始めたはいいものの、いまだ完成してないジグゾーパズルを、
「いいかげん、完成させてよ。ほこりまみれだよ」と言いながらソファの下から引っ張り出したら、
「あっ、やるやる!やりたい!」って言ってたけど、その実、全然やらないで寝ちゃったじゃないか!
昨日、夜勤のバイトだったもんね。そのあと遊んできたんだから、眠いだろう。
あんまりバイトできない9月の分、少し根を詰めてシフトを入れてるようで、まあ感心だ。

で、ジグゾーですが、私が、軽い気持ちでピースを1個、穴の開いてるとこにはめたら、あら!入っちゃった!
気分良く眠れるなぁ、こういう日は。

14年8月31日

ぐーすか寝てる息子はほっといて、自転車で吉祥寺に。
いつものカレー喫茶でチキンカレーを食べたあと、やや本気でイタリア旅行の買い出しを。
ボディバッグやパスポートケースなどをロフトで買うんだ。

私が欲しかった、身体にフィットする形のボディバッグを見つけたし、大内くんも、フタをぺろんとかぶせてカチッと留める式のショルダーバッグを選んだ。
昨日ドンキで買った、「美術館等の行列待ち時間に座る」ための折り畳みチェアがすっぽり入る大きさ。
大判のガイドブックなんかも入る。(もっともこれは、「自炊」してしまおうか?という声も高い)
あとはタオルやティッシュ、小銭入れぐらいを入れるウェストポーチを持って行く、と言っている。
うん、現金は分けて持て、とみんなから言われてるんだ。少し別にしとくといいね。

大内くんがスマホで調べてくれたので、吉祥寺にも100均(ダイソー)があるのがわかり、小物を買いに行く。
小銭入れや首から下げるケータイストラップ、機内での化粧水用のアトマイザーから液体ボトルを入れるジップロックまで、100均で買いまくる。
その前にメガネストラップをメガネスーパーで買ってしまったのは大失敗だった・・・(値段は、語りたくない・・・)

私のスニーカーは、古くなっていたのでこの際買い換えることにして、さすがにこれは100均では売っていないだろうと、心置きなくニューバランスを買った。でもセール値段だったので、OK。

「ひざが痛いんですけど、今度、10日ぐらいの海外旅行に行くので、たくさん歩くんですよね。スニーカーと、ウォーキング・シューズと、どっちがいいでしょう?」とお店のにーちゃんに聞いたら、
「私は、ウォーキング・シューズをお勧めしますね。インソールを入れたら、ずいぶん楽ですよ」と言うので、
「これは革製ですが、蒸れやすいですか?」
「いえ、空気穴が開いていますから、大丈夫です。インソールを洗って乾かしていただくだけでずいぶん違いますし」という問答のあと、気に入ったのを買った。

「どんな気候のところに行かれるんですか?」
「イタリアなので、日本より少し涼しいそうです。行くのは10月初めですし。それまでに履き慣らしておこうと思って」
「ああ、その方がいいですね!」
という会話をした。
なんだか、そこらじゅうで「イタリア、行く行く!」って言いふらしている私。だって、生まれて初めてなんだもん。るん。

そう言えば、ロフトで買い物をした時、我々がイタリアに行くのに先立って、息子がサンフランシスコの大内くんの従姉のおうちに10日もお世話にな るので、おみやげを買った。
そんなもん、息子本人に買わせろ!という声が多いのは承知の上だが、本人に、
「おみやげを、買って行かなきゃいけないよ」と言ったら、ひと言、
「『とらや』でいいでしょ!」。

小さい頃から、赤坂のおじいちゃんちをお正月に訪ねる時に、3が日も開店してるうえお義母さんが「とらや」の最中が好物だ、と大内くんが言うので、いつも店の前に車を停めてお菓子買ってたんだよね。
そのせいで、息子にとっては、親戚を訪ねるとなれば「とらや」なんだ、というのが刷り込まれてしまったらしい。
あとから、大内くんと2人で大笑いした。

だがしかし、アメリカのおうちに10日も、となればやはり家族全員におみやげを買うべきだろう。
前々から考えていたし、ロフトには何でもあるので、あまり迷わずにすんだ。
ピクサーに勤めていて、息子を社食に連れて行ってくれる予定のダンナさんにはトトロのミニサイズのジグゾーパズルとフレーム、従姉には和風の手ぬぐい、中学生のお姉ちゃんにはキレイな布のがま口、小学生の双子にはスライムの形をした色違いの缶(スライムとスライムべス?)にお菓子が入った もの。
喜んでもらえるといいのだが。
先々週は売っていた「扇子」が、季節替わりのため売り場になかったのは痛恨だ。いいアイディアだと思ったのに。

どっさり買い物をして、スタバに寄ってキャラメル・マキアートのホットとアイスをそれぞれ飲んで(大内くんは寒がりなのだ)、帰路につく。
大内くんが、戦果を並べて写真を撮っていた。FBにのっけるつもりなんだろう。
息子のアメリカ旅行、我々のイタリア旅行、それぞれの装備がおおかた集まった。
あとはパッキングだなぁ。
息子は黒い布のデカいカバンに何でもつめこんで行くつもりらしい。明日からの合宿も、中旬の沖縄も、アメリカも、ぜ〜んぶそれで通すんだろう。
パスポートケースから買っちゃう我々とはえらい違いだ。

我々のスーツケースは、レンタルで、旅行の3日前に届くことになっている。
だからまだ荷造りはあまりできない。
寝室に置いてあるカゴに、必要そうなものは片っ端から放り込んであるんだ。
まあそれでも、機内持ち込みの荷物ぐらいはそろそろつめ始めるかな。

本当に、準備段階から疲れる。行ったらもっと疲れるんだろう。
毎日通勤して外で働いている大内くんですら、
「すごくくたびれそうな気がする。毎日ホテルに着いたらバタンキューだ」と言っており、ましてや引きこもりの私をや。
楽しみだけど、怖いなあ。
FBで聞いたら、「友人(たまに本人)がスリにあった」という報告をいっぱい聞かせてもらっちゃって、ますます怖い。
大内くんのリフレッシュ休暇の間、ずっと家で寝ている、ってわけにいかないのだろうか。
だがしかし、旅行社の人から、「キャンセル可能(全額返還)の時期を過ぎました!」と高らかに言われてしまったし、当たり前だけど、ここまで来たら、行くんだろうなぁ・・・

関係ないが、買い物から帰ったら息子はどっかへ行った後で、いなかった。
なぜか、ジョギング用のトレパンが洗濯に出てた。
大内くんの推理では、昨日、柔道の試合を見て、けっこう血がたぎり、思わず走りに行ってしまった痕跡なのでは、と。
ありそうなことだ。
そもそも、柔道見ながら、日頃はめったに手に取らなくなっていた3キロのダンベルを握ってたもんなぁ。

身体に柔道がしみ込んでいる。
大内くんのように、いまさら柔道をやってほしい、とまでは思っていないが、もう少ししぼったら、きっといい筋肉がつくよ!
たまにはガンバレ!

最新「主婦の本懐」へ
「主婦の道」へ