15年8月1日
友人女性と大内くん、3人で、行きつけのイタリアン・レストラン「イル・プリモ」へ。
「行きつけ」っていうほど通いつめてるわけじゃないが、今のところ、時々行く3軒ほどのイタリアンの中で、一番よく行く。それだって半年に1度ぐらいだけどね。
街角の小さな店なのに、とてもおいしい。
よしながふみを読んでいなかったら、一生、行く機会はなかっただろう。感謝。
去年、ローマに行く時、マスターがお店に出てる日を聞いて、大内くんと行った。
「今度、ローマに行くんですが、おいしいお店を教えていただけませんか?」と事前に電話で聞いておいたので、食後、マスターが出てきて、トラットリアやリストランテの名前が並んだメモ用紙をくれた。
そのうち、「LA CANPANA(ラ・カンパーニャ)」というお店は、もう500年も同じ場所で商売してる、ということで、るるぶ、まっぷる、JTBさんのお薦めレストラン、トリップ・アドバイザー、すべてに名前が載っている、という、これぞまさにお墨付き。
他のお店は回るゆとりがなかったんだが、そこだけは行けた。
「ズッキーニの花のフライ」「ローマ風アンティチョークのオイル煮」がすごくおいしかった。
後悔のタネは、ローマまでの5日間ぐらいの行程で、意外なことに私ではなく大内くんが体調を崩してしまい、ローマの前のカプリ島泊でもう何も食べられない、という状態になっていたこと。
「ラ・カンパーニャ」のウェイターさんは、開店と同時に飛び込んできたこのアジア人カップルに、「昼前から昼食べようって、どういう客なんだ」 (イタリアの昼食は遅い気がする)って
顔してたけど、モツ料理の大好きな大内くんのために牛の胃袋のトマト煮、「トリッパ」をオーダーしたら、「トリッパ!グゥッード!」って喜んでくれた。
自慢の料理なんだね。
でも、残念ながら大内くんの胃袋の抵抗は激しく、トリッパは2、3口しか食べられなかった。私、モツ苦手だし。
下げに来たウェイターさんは、少し悲しそうな、少し怒ったような顔で、
「これは、気に入らなかったか?食べられないか?」と英語で聞いてきた。
我々にもうちょっと語学力があれば、
「すいません、ここに至るまでのレストランがみんなひどくて、おなかこわしちゃいました。トリッパ、とってもおいしかったので、元気があれば2皿
食べたいところです」って言えたんけどなぁ・・・
というわけで、食事を終ってマスターに出て来てもらってご挨拶。
日本に帰ってきてから10カ月もたって、やっとお礼が言えた。
「今度行く時は、ピッツァのおいしいお店をお願いします」と、大内くんの定年後だよ、その頃マスターまだやってるかな、と思いながらお話させていただいた。
ちなみに、レストランに同行した女友達は、一緒に行ったことこそないが、イタリアにはもう何度も行っているらしい。
(「でも、バチカン見てない」と少し悲しそうな顔をしていた)
実は、彼女からもローマのお店を何軒か教えてもらって、そのうちの1軒に行ってみた。
旅行終了2日前、大内くんの体調もすっかり良くなり、地元客でにぎわうそのトラットリアは大繁盛していた。
私はやっとローマ名物「サルティン・ボッカ」(仔牛肉とハムのソテーに香草をのっける)が食べられたし、大内くんは、「大好きになった」と言って
「ズッキーニの花のフライ」をオーダーしていた。
そんないきさつもあり、彼女には本当に感謝している。マスターにも。
次行った時も、「ラ・カンパーニャ」は変わらずあるかなぁ。
友達のお薦めだった「マトリチャーナ」にも3晩ぐらい通いつめて、ウェイターさんに「おや!」と目顔で挨拶される、そんなお客さんになりたいなぁ。
15年8月2日
「腹が痛い」と言ってむやみにトイレに駆け込む息子。
こないだみたいに「ノロ」にやられたかと思ったが、彼の夜食のオーダーを見てるととてもそうは思えない。
まず、「おかゆ」と言って、小さな土鍋いっぱいの「おかゆ」というよりは「冷や飯を煮た雑炊」のようなものをぺろり。
合間に、普段は滅多に食べないポテチを食べてる。(我々は食べないので、彼が食べたい時だけ勝手にコンビニで買ってくる)
もう11時過ぎたので、
「あれだけ食べられれば、平気だね」と言いながら寝ようとしたら、寝室のドアを開けて参上。
「悪いんだけどさ、もう1杯、作ってくんない?」
開いた口がふさがらないとはこのことだ。
「おなかは大丈夫なの?」と聞きながらまたしても「独り湯豆腐にちょうどいいなぁ」という大きさの土鍋にたっぷりと作る。
これで、やっと落ち着いて寝られるらしい。
翌日、熱があるの腹が痛いのぶつぶつ文句を言いながら、出かけてしまった。
お笑い関係の用事らしい。
「朝ごはんは?」
「いらない。紅茶だけちょうだい」(実は息子は紅茶党である。砂糖を少し入れた「微糖」がお好みのようだ)
さらにそのうえ、
「ポットに、紅茶入れておいて」ときた。
おなかが痛い時は絶対冷たいものは飲まない息子らしく、「温かいお弁当」を持って行くんだ。ほー。
以前、大内くんとおそろいの、大きさの違う保温ポットを買った。
私のが700ml、大内くんが500mlぐらいかな。
大内くんは会社で毎日、それを使って「お白湯」を飲んで仕事してるんだって。
私はめったに使わないが、これからの季節は冷たいものを用意して散歩するんだから。
さて、息子だが、本当は今夜は、「家庭内飲み会」の予定だった。
かつて私が息子に何か「貸しにしとくぜ」と言うような場面があったため、「1回、つきあって」と交換条件を出したら、「ああ、いいよ」と受けてくれたのだ。
それで、やっと、忙しい彼のスケジュールに組み込んでもらった日なのだが、おなかがピーピーなのではなぁ。
気の毒だから「飲み会は今度でいいよ」と言ったら、少し明るい顔になって、「うん、今度」。
この人は、親と遊びたいのか、遊びたくないのか。
11時ごろ帰ってきて、病人の帰宅時間にしちゃ遅いじゃないか、と思いながら聞く。
「ポットは?」
「ああ、忘れてきた」
大内くんは、
「絶対こうなると思ってた。あれは、おそろいで、会社にいる時も奥さんのことを思い出すよすがにしていたのに、忘れてくるとは!だから、そのポッ トじゃなくて、『お墓を見学に行った時』に、チラシ持ってったらお墓屋さんから500mlのポットもらったじゃない。ああいう、どうでもいいもの を渡してくれれ ばいいのに!」と悲歎してた。
とりあえず息子には、忘れてきた劇場かどっかに電話させ、「ポットの忘れ物」を探索させている。
まったく、なんでも忘れてくるよなぁ。
しかもそれは、大内くんのように「忘れっぽいから」じゃなくて、単に「めんどくさい」からなんだよね。
大人になったら、もっと持ち物を大事にしてくれるようになるのかしらん。
少なくとも大内くんは、
「会社に入ってから、会議室を出る時やタクシーを降りる時に、ふり返って忘れ物がないかどうか確かめる習慣がついた」らしい。
「跡見癖、だね?」
「そう。いったんものを忘れてくると、スゴイめんどくさい話になっちゃうので、できるだけ予防してるんだ」
会社とは大したもんだ。
右も左もわからない、忘れものだらけの新卒の大学生を採用して、これを30年給料くれて育ててくれるんだからなぁ。
息子の会社員生活は、どうなってしまうのであろうか。そもそも、朝、起きられるんだろうか?
15年8月5日
おなかはまだ少しアヤシイもののずいぶん良くなった息子が、昼頃どこやらへ行くようなので玄関先で見送っていたら、
「あ、今日、カノジョ来るから」と言われる。
え、今日?いきなり?
どうしてあなた方はそんなに何もかも唐突なの?!
一緒に下北の本多劇場で芝居を観て(9千円借金された。借金はもう、160万を超えているが、本人曰く「いつか、必ず返す」)、帰りにうちに来たいらしい。
当然のように、泊まり前提。
だからさぁ、1人暮らしのカノジョんとこに行けばいいじゃん!
別に、来るのはイヤじゃない、というか、嬉しいんだけど、家中のゴミ箱をカラにしたり、隅の方までモップかけたり、気を使うものなんだよ。
大内くんが会社から帰ってきて、
「で、まだ来てないの?」と言いながらお風呂に入り、我々は勝手に夕食を食べる。
彼らは何か食べてくるって言ってたし。
そしたら、9時頃になってやっと息子からライン。
「なんか、食うもんある?」
食べてくるって言ってたじゃないか!計画性ゼロ!
「中華炒めぐらいならできるよ」と大内くんが返事したら、「じゃあ、なんか食べて行く。遅くなるから、先に寝てて」。
何考えてるんだ。カノジョに会いたいからこうして待ってるんじゃないか!
「何か作るから、まっすぐいらっしゃい。オムライスでいいでしょ。遊びに来るっていうから楽しみにしてるのに、先に寝ててもいいなんて言われても
困る!」と、私としては強硬に言ったため、若い2人はぴゅーっとやってきた。
カノジョとは久しぶり。家に泊まりに来るのももう4回目か。
大内くんがオムライス作ってくれてるうちに、食卓に並んだ2人にいろいろ話しかける。
息子は、以前ほどじゃないけど、ちょっとめんどくさそうな顔になって、カノジョの方は気を使ってか、一生懸命返事をしてくれる。
「単位、落としてない?」「ええ、ハイ」
あー、やっぱり、単位なんてそう簡単に落とすもんじゃないよね。
真面目にやってれば取れるよね。
「息子がこれ以上留年しないよう、よく見張ってて。一緒に卒業させてあげて」と、1学年下のカノジョに頼み込む。情けない。
でも、明るく「はい!」と言われたので、ありがたいよ。
やがて2人はオムライスを食べ始め、すでに事務所と契約して半ばお笑いのプロであると言うカノジョと、
「じゃあ、卒業後は東京で仕事するんだ」
「はい」
「息子が一般企業に就職して、転勤とかなったら、どうする?」
「・・・さあ」
「遠恋かな。2人は、仲がいいから、遠恋でも大丈夫かもね」といった話をする。
(よく読めばわかるだろうが、しゃべっているのは主に私である。会話と言うより、演説に近いかも)
で、食事を終ったと思ったら息子は、
「じゃあ、あとでお茶飲む時に呼んで」と言って、2人で息子の部屋にこもってしまった。
しょうがないから後片づけをして、2人が持って来てくれたお菓子を食べることにして、「お茶だよ〜!」と呼ぶ。
素直に出てきた。
ケーキを食べながら、カノジョのお笑い活動や息子の今後を聞く。
一番嬉しかったのは、息子が、去年初めて(企業や主催者の後押し無く)自分たちだけで「合同コントライブ」をやった、その同じメンバーで、第2弾をやろうと思ってる、と聞いたこと。
息子と相方は留年なのでもう1年猶予があるけど、他のメンバーはみんな、就活中なんだって。
就活が終わったら、最後の花火を打ち上げよう!って感じかな。
こっちは話が尽きないんだが、息子サイドでは限界があるらしく、牛乳(そうなんです。みんなお茶飲んでるのに、彼は22歳になろうかというのにい
まだに牛乳なんです)を飲み干すと、「じゃっ」と言ってカノジョを連れて部屋に行ってしまった。
まあ、いいや。布団は息子の部屋に出しといたから、狭いけど、彼女にはベッドわきの床に寝てもらおう。
明日は何時に起きるかわからない、10時頃かなぁ、という2人と最終的におやすみを言ってそれぞれの部屋に引き取った。
彼らは、交互にお風呂に入ってるらしい水音がする。
大内くんはあいかわらず寝るのには困らないようだが、私は少し悔しくて眠れない。
「それが姑心というものだよ。かわいそうに、息子に失恋しちゃうんだねぇ。僕がなぐさめるから、思う存分悔しくなっていいよ」
なぐさめてくれるのはありがたいが、そんなこと言われてもなぁ・・・孫が生まれるのでも期待してみるか。
15年8月6日
一夜明けて朝になり、散々世話してあげたのに、息子の扱いはひどい。
私の頼みの綱の大内くんがいないと思って、言いたい放題だ。
「もう、いいから、あっち行って。2人にして」
そんなに2人がいいなら、カノジョのアパートに行っていくらでも2人きりでいればいいじゃないか!
泊まってこようが何しようが、怒ったことも口出ししたこともないのに!
2人が出かけてしまって夜になった頃、ラインで文句言ったら、「すいません」と低姿勢。
彼は、ケータイを通すと、ものすごく物わかりよく、親切で誠実になるのだ。
「母さんたち(おもに母さん)、うるさすぎるかなぁ」と聞いたら、
「いいや。カノジョ、楽しかったって言ってるし」とのこと。よかった。
それはいいのだが、息子としては、
「ただ、結婚とか言う必要はまだない」のだそうだ。
確かにそれは、私の勇み足かもしれない。しょぼん。「結婚」って言葉を出したつもりはないんだけどね。
「親同居のカレシの家に泊まりに来るって、普通のことなんですか?」と、多くの人に聞かれる。
うーん、標準形を知らんからなぁ。
もしかしたら奇妙なことかもね。
我々だって、カノジョが自宅生ならともかく、1人暮らしなので、2人で会う機会には事欠かないのに、なぜわざわざうるさい親のいるところへと、
ずぅっと悩んではいる?
いや、うるさいって言っても、交際に反対してるという意味ではまったくなく、むしろ、「もっと仲良くしろ」という方向にうるさいんだけど。
「ねえねえ、2人の時って、どんな話してるの?」とか、
「お互いに、相手のこと、どう呼んでるの?」とか、息子が怒りさえしなければ、聞きたいよ、私は。
自分たちが、サークル内結婚をしたので、息子にも、できればそうしてほしい。
学生時代にまで遡って、同じ思い出をたどれるし、仲間たちとの交流も続くかもしれない。
少なくとも我々は、30年前の友達といまだにクリスマス・パーティーとかしてて、楽しいもん。
いずれにせよ、カノジョを大切にしてあげてほしい。幸せにしてあげてほしい。
それができるってことを、大内くんは30年近くかけて証明してるんだから。
15年8月7日
息子が図書館から借りてきて読んでいた殊能将之の「ハサミ男」をひと晩失敬して、読んだ。
ネタバレになるので言わないが、ミステリに、完全に一本取られるのは久しぶりだ。
10年以上前に、森博嗣にやられた時以来かもしれない。
それほど名作とは思わないが、図書館の棚からこれを借りてきた、という息子の読書欲がいじらしい。
試験も終わったことだし、いろいろ推薦図書を出してみよう。
普通の小説とかよりマンガの方が圧倒的に多いのが問題かもしれないが。
こないだ、長いこと苦労してやっとめぐり会えた水島新司の「光の小次郎」。
これは、江川がモデルとされ、「金のために野球をする」という点が当時のファンには受け入れにくかったらしく、あまり売れなかったそうだ。
古本屋にもなかなか出回らない。
アマゾンでついに見つけた大内くんが、大喜びしてた。
息子にiPad貸す時、なんとなく「光の小次郎」も入れておいたら、昨日、大内くんに短い報告があったらしい。
「『光の小次郎』、面白い!すごくよかったよ!」
これだけで、大内くん的にはもう、大満足。
他に何を読もうがかまわないし、そもそも試験期間中に13巻のマンガを読んでいたというところから、叱る気は毛頭ないみたい。
「息子と、『光の小次郎』を共有できる日が来るとはなぁ・・・」
まあ、それを言ったら私だって、大好きなメイドマンガ「エマ」をiPadに入れてくれ、と言われた時は第七天国までのぼっちゃったので、大内くんだけを責めるわけにはいかない。
そもそも古いiPadを「カノジョに貸している」ので不便だろうと、私が前から欲しかったiPad
Air2を買って、それまで使っていたのを息子に貸してあげたのだが、時期が悪かったかなぁ。
ちょうど試験の前だったから。
「試験が終わって、夏休みになってから渡すべきだった?」と大内くんに聞いたら、
「なきゃないで、iPhoneでようつべばっかり見てたじゃない。関係ないよ。試験というものがあると、みんな、逃避して別のことがしたくなるん
だよ。試験前に、猛烈に本読みたくなったりしなかった?」
うーん、言われるとおりだ。身に覚え、ありまくり。
「パチンコを完全にやめたから、ヒマができた。本をたくさん読む」と言っている息子だが、
「これまで、幾度、そういう決心が消えていったか・・・」と大内くんはつぶやいている。
ま、留年はもう勘弁してくれ、と言ったら、
「うん、絶対もう1年で卒業する!」と固い決意なようで、1学年後輩のカノジョに置いて行かれるような羽目だけにはならないでほしい。
できれば就職も、真面目に頼む。
15年8月8日
松竹の肝煎りで、大学生のお笑いコンテスト。
息子と相方も出場すると聞いて、新宿まで出かけて行った。
最近、以前のように「親なんか、誰も来てない。年寄りだってことを自覚しろ。絶対、見にくんなよ!」という態度ではなく、見に行きたいと言えば
「チケットの取り置き」をしてくれるようになった。
見た後では、「感想頼む」「ダメ出しして」とラインで言ってくるほどだ。
歳月は人を変える。じーん。
ま、しかし、今回は勝てなかった。
決して悪い出来ではないと思ったけど、息子が得意とするコントは、どうしても漫才の勢いに負けてしまう。
今回の「選挙演説のコント」も、何度か見ているとよりシェイプアップされているし、勝ててもおかしくはない、と思う。
親バカですかね。
息子にとっては「暑いお笑いの夏」で、これからいくつか、大きなコンテストの予選等がある。
夏休みだっていうのに、旅行に行くでもなく、何やら毎日「ネタ合わせ」に出かけて行くよ。
同期の子たちをほとんど見なくなったのは、やはり皆さん、就活なんでしょうね。
息子は留年が決定しているので、就活は来年以降となる。いや、来年であってもらいたいものだ。
そうすると、この夏が息子最後の「お笑いに燃える夏」になるかもしれず、悔いの残らないように頑張ってくれれば、と思っている。
人は、柔道家になるわけでもないのに柔道をし、ほとんどの子が野球選手になるわけでもないのに少年野球にいそしむ。
お笑いも、プロになりたいからコンテストに出る、というわけではないのだ。
息子の場合、最初はやはりプロを目指したい気持ちはあったようだけど、なにぶん、現実的なタチなので、早々に「学生の間だけ」と決めてくれたらし
い。
だが、いったん決めると人並み以上に頑張る。
ある種の「体育会系」みたい。
少なくともステージに立つ回数は同期の中でもトップクラスだろう。
コンテストの成績も、優勝こそしないが予選ぐらいは通過する、というレベルだ。
来週は、さっそくメジャーな大会の予選がある。
いい夏になることを祈る。
15年8月9日
保育園からのつきあいのママ友たちと、毎年、「暑気払いの会」と「忘年会」を続けている。
今回は夏なので「くじら組暑気払いの会」。
ママ友っつても大内くんもいる。
というか、幹事は大内くんだ。
何の下心もなく、ママ友たちにメールを打ちまくっているよ。
我々を入れて7人の参加が決まったので、駅前の居酒屋に、7時スタートの「飲み放題4千円コース」の予約を入れる。
お母さんたちは日頃忙しくしているせいか、飲み始めるとかなり飲む。飲み放題、大歓迎だ。
私は年々酒量が減る、というか、飲めない体質が表に現れてきており、ビールを1杯、サワーを1杯、あとはお茶で、というタイプ。
大内くんは、飲めば飲めるけど、お母さんたちの前で酔っ払うのも唯一の男性としてはカッコ悪いので、かなりセーブして飲んでいるようだ。
20年ほど前に同じ保育園にコドモが通っていたわけで、皆さん、コドモは大きくなるし、本人は歳をとる。
息子と足の速さを競ってリレーのアンカーでガチンコ勝負をしたりょうたくんは、理系の大学の院に進むそうだ。
勉強がキライなことでは息子といい勝負だったしゅうくんは、1浪しているので就活は来年。化学の先生になりたいと言っている。
ゲームばっかりやっていたけいすけくんは、IT系の就活をしているそうで、男性軍では就職第一号になりそう。
すでに美容師として働いているめぐみちゃん、公務員のなおみちゃんは、すでに社会に出ているわけだ。
女の子の方が、自立してるなぁ。
いろいろ情報交換をして、それぞれのコドモたちの成長を喜び、そう遠くない将来を夢見て、話が弾んだ。
我々は一次会のみで失礼したが、あとでめぐみちゃんのママから来たメールによると、
欠席だったりなちゃんのお母さんが、「今、ヒマになった!カラオケやりたい!」と言って、りなちゃんとともにカラオケ会場に現れたそうだ。
体力があると、いろいろ面白い目に遭遇できるなぁ。
家でメールを見て、大内くんと、
「もう2、3年したら、コドモたちも一緒に忘年会とかしたら楽しいよね!うちの息子はつきあい悪いから来ないかもしれないけど、しゅうくんやりょ
うたくんと、飲んでみたいね!」と盛り上がった。
ホントになぁ、もう数年すると、みんなネクタイ締めて出勤するかもなんだよね。
月日の流れるのは速い!
15年8月10日
知人がFB上で古い「のらくろ」を手に入れた話をしていたので、猛烈に欲しくなった。
家にあるのは少年文庫版の4冊だけなのだが、知人の話では、全部で15巻あるらしい。
しかも、終わりの方ではのらくろは大陸に渡ったり軍部に呼び戻されたり喫茶店を経営したりするそうなのだ。
これを、読まずにいられようか。
ヤフオクでみつけたセットは3万ぐらいだったが、版を問わずにバラで集めたら、それよりは安く上がった。
家に、続々とやってくるのらくろたち。
オールカラーだったりするものもあり、万感胸に迫る。
手塚治虫より前に、こういうものがあったのだなぁ。
ちなみに、「入手した」むねをFBに書いたら、件の知人から「大内さん、それも、自炊するんですか?」と聞かれた。
はい、もちろん、します。
本は、本としての形で持っていられるのがベストだとは思うが、あいにくなことに、物質は劣化する。
本で持っていてくれる人も大切だと思うが、我々のようにデータ化して持っている、というのもある意味、本を保存する方策だ。
それぞれに、本を大事にできればいい、と思っている。
だが、さすがにのらくろを裁断したものを捨ててしまうのは惜しくて、友人に、裁断済みの物を引き取ってもらうことにした。
この友人は我々の近辺ではまだ珍しい自炊派で、古書店を回っては珍しい本を発掘したりしている。
実は、彼にのらくろを譲るにあたっては多少の下心があり、彼は、地方の実家に、ビッグ錠の「釘師さぶやん」を持っているかもしれないのだ。
ここで少し恩を売っておき、彼がそれを自炊する日が来たら、裁断済みのマンガを譲ってもらおうという腹積もりなのである。
ふふふ、大内くん、キミはあんがい、黒いねぇ。
15年8月11日
忙しかった大内くんがやっと夏休みを3日取ってくれると言うので、初日は、朝からサンドイッチをたくさん作って、たまった「鬼平犯科帳」や「御家人斬九郎」の録画を観ながら、「家庭内ハイキング」。
いつもは仕事で早起きな大内くんは寝かせておいてあげて、6時から、24枚の「サンドイッチ用食パン」を使って、「ツナサンド、卵サンド、野菜サ
ンド、コロッケサンド」を作った。
幸か不幸か、息子は外泊でいないので、サンドイッチは我々だけのものだ。
8時に「ハイキングが始まりますよ〜」と大内くんを起こす。
コーヒーを入れ、テレビの前に陣取って、ひたすらサンドイッチを食べて鬼平を見る。
全部食べちゃった。食べすぎだ〜。
そのまま夜までずっとテレビを見る予定だったのだが、思わぬ忙しさが舞い込んだ。
長いこと探していた西岸良平の「夕焼けの詩 三丁目の夕日」全62巻と、「鎌倉ものがたり」全32巻をネットで見つけてしまったので、迷わず注文したのが、今日、届いたのだ。
もちろん少なからぬ費用がかかったが、本当にこれ、ずーっと探していたんだよね。
「全巻ドットコム」などで探していたが、今回、初めて出くわした。
狭い書斎がマンガでいっぱいになったので、すぐさま自炊に入った。
100冊近い。
大内くんが裁断し、私がスキャンをしたが、私はすぐにくたびれて音を上げたので、ほとんど全部大内くんがやってくれた。
「夏休み、とっておいてよかったねぇ。平日にこれが来てたら、大変だったよ」と、手を動かしながら嬉しそうな大内くん。
「申し訳ないけど、私、いっぺん西岸良平を全部読んでみたかったんだよね」と言う私は、実は今、100巻を超えるジョージ秋山の「浮浪雲」の、
80巻あたりを読んでるのだ。
長編マンガを手元において、ぶっ通しで読むほど楽しいことはない。
自炊の世の中に暮らしていてよかった。
もう、一生かかっても読めないぐらい、マンガや小説を持っている。
思えば、引っ越しのたびに一番のネックは大量の本で、重たい段ボール箱が山のようにできるし、本の収納は常に最優先課題だった。
それが、今は自炊作業さえしておけば、いくらでも「所有」することができる。幸せだ。
最近、息子が少し本を読むようになってきたので、
「せめて文庫本だけでも残しておくべきだったか?」と悩んだ時期もあったのだが、なんのことはない、彼は、自分で買った本を読むだけで精一杯、図書館から借りた本は延滞しっぱなし、と、とても親からの「夏休み推薦図書」までは手が回らないらしいのだ。
「こんな人のために本を残しておいたら、いつまでたっても家は片づかない!」というのがよくわかった。
西岸良平で1日つぶれたが、一片の悔いもない。
「浮浪雲」の次は「ドカベン」を「プロ野球編」や「SS編」まで読もうと思っているし、宮部みゆきの「ぼんくら」シリーズの読み返しもやめられないので、西岸良平まで行くにはまだまだ日数がかかりそうだが、とにかく、「持っている」。そこが大事。
それにしても、いつまでたってもおなかがすいてこないぞ。
結局、夜になって「水ようかん」でお茶をいただいた以外は、何も食べずに1日が終わった。
人間は、1日1食でも生きていけるのかぁ。
それだったら、めんどくさいから、朝ごはんを大量に作って食べ、あとは食べない、ってのが効率いいな。
健康には悪いのかもしれないが。
今年の夏休みのテーマは「ごろごろ」。
年が明けてからというもの、サラリーマン生活26年目にして大変忙しくなってしまった大内くんの慰労を第一に、あと、暑い時にわざわざ外出することもないだろう、と、家で涼しくしてのんびり過ごす。
第1日目は順調に過ぎた。
明日もゆっくりしよう。
15年8月12日
夏休み2日目。
今日は、ちょっと外出をする。
私の運転免許の書き換えをしに、試験場へ行くので、大内くんにつきあってもらったのだ。
平日の昼頃なので、駐車場もほとんど待たずにすんだ。
それでも何台かは並んでいたので、車は大内くんにまかせて、私は中へ。
「今、視力検査」とかラインで報告していたら、大内くんからもすぐに「車停めた。今からそっちへ行く」との連絡が入り、無事、合流できた。
(ケータイがない頃、人はどうしていたんでしょうね、ホントに)
書類を出したり写真を撮ったりして、講習。
私はここ数年ほとんど運転しないこともあって、5年間有効の「ゴールド免許」なので、講習も30分ですむ。
タイミングよく、すぐに講習が始まるところだったので、大内くんには外でiPadでマンガでも読んでてもらって、会場内へ。
30分は、あっという間だった。
気の毒なことに大内くんには、一昨年あたりに1回、「右折禁止道路での右折」をおまわりさんに見とがめられ、罰金を払った、という過去がある。
おそらく、次の免許はゴールドではない普通の「青色免許」になるだろう。
有効期限は3年しかないし、講習は1時間だ。
その時は、私がつきあってあげよう。
講習が終わってから、出来上がった免許をもらうまでも、夢のように早かった。
昔は1、2時間待ったような覚えがあるが、今では15分ぐらいだ。
試験場から西へ20分ほど行くと、唯生が暮らしている施設がある。
面会に行った。
唯生は元気そうで、おでこやほっぺたにできていたニキビもずいぶんきれいになり、お年頃な感じ。
一緒に音楽を聴いたり腕をさすったりしてしばらく過ごし、職員さんたちによくよくお願いをして、帰る。
帰りにニトリによって、息子の枕を買ってやった。
こないだ、情けない顔をして、
「枕が、臭い」と言って来たんだ。
「カバーはしょっちゅう洗ってるけど?」と外して、本体と匂い比べさせてみたら、ますます情けない顔で「本体が臭い・・・」と言うので、
「今度、買って来てあげるよ」と約束したの。
新しい枕にカバーかけて、ベッドに置いておいたら、夜中に帰ってきて、寝る時に新しい枕を抱えて我々の部屋に来て、
「ありがとう!」と、とても嬉しそうだった。
まるで、サンタさんにプレゼントをもらった子供のようだった。
今でも、枕買ってもらったぐらいでそんなに嬉しいのか。
よっぽどイヤだったんだなぁ・・・
お休みはもう1日。
楽しいなぁ。
15年8月13日
大内くんの夏休み最後の日。
昼まで寝る。
いろいろ雑用をしているうちに過ぎてしまった。
考えていたほど「のんびりゆっくりテレビでも見る」ではなかったなぁ。
息子は、コンテストの予選。
おとといも出てたんだが、これは、めずらしい「ピン芸」で、しかも本人全然やる気出てないので、「見に来なくていい」と言われた。
じゃあ、いつもの相方と本気でやる今日は見に行っていいのか、というと、これが、「NG」なんですねぇ。
「大人は1人もいないよ。決勝には行けるから、その時、見に来ていいよ」と言われた。
大人はいない、って、キミたち、ほとんどが20歳過ぎの大人であることをどう思っているのかね?
まあ、4時間かけて60組の予選を見るのも大変なので、行けないのはいっそ幸せというものだ。
2年前に行って、息子に怒られたあげくに腰が痛くなったという不幸な過去がある。
この予選が5日あるということは、300組もの学生お笑い芸人が集合するということだなぁ。
そんな中、息子は本当に勝ち抜けるのか?そうそうたやすくないぞ。
ただね、息子が威張るのもわかる。
彼は、学生芸人の世界ではちょっとやる気がある方で、自分たちで企画するライブとか、積極的にやってるんだよね。
今回の「大学芸会」という催し物でも、決勝や敗者復活戦に抜けていくメンツは、息子がよく一緒にライブやってる「常連」が多い。
というか、勝ち抜けないと恥ずかしい、と言ってもおかしくない立場ではあるんだ。
4時に始まるこの大会、ABCD4ブロックに分かれ、「Aブロックが始まりました」などとツィッターで生中継。
9時頃終わると、すぐに結果も流れてくる。
息子は・・・落ちた!敗者復活戦もなし!
「さすがにかわいそうだね。あんなに豪語してたんだから。帰って来たら、なんて慰めようか。いっそ、何にも言わない方がいいのかもね」と話し合っていたら、「カノジョのとこに泊まる」と連絡が。
うんうん、我々より、カノジョに慰めてもらった方がいいよ。
しかしなぁ、一緒に毎月ライブ開催してる面々はかなり勝っているし、こないだ合同ライブをしたサークルの後輩も抜けている。
ちょっと、恥ずかしいかも・・・
まあ、実力があってこそ、「負けたら恥ずかしい」という世界に入れるんだから、負けるのも勉強だね。
不機嫌に帰ってくる顔を見ないですんで、ちょっとほっとした我々でした。
ラインで「負けちゃった」と言ってくるカワイイヤツでもある。
「派手な漫才が有利だ。気にすんな。キミたちのコントは、2時間が持ち味だから(3分の勝負では、良さが伝わらない、という意味だろう)」と大内
くんが励ましたら、
「うん、ありがとう。自分でもそう思ってる」と、ほかほかした親子の会話になっていた。
勝つも勉強、負けるも勉強。
「悪く勝てば傲慢になる。悪く負ければ卑屈になる」と、「エースをねらえ!」の中で山本鈴美香も言ってるじゃないか。いいセリフだなぁ。
15年8月14日
久しぶりに出社する大内くん。
見送る私も寂しい。
でも、1日行ったら、また週末で2日お休みだし、9月には「シルバー・ウィーク」もあるよ。
一緒にいてもいても飽きないので、たぶん老後は幸せだろう。
今度ゆっくり、シベリア鉄道に乗る計画でも立てようね!
今日は暑さも一段落。
いい風が入って、エアコンなしでもすごせそう。
大内くん、お仕事頑張って!
15年8月15日
コミケの会場整理のバイトに行く、という息子を4時半に起こして叩き出し、もう1回寝る。
10時頃起きたら多少涼しく思えたので、吉祥寺まで。
自転車を途中の公園に停めて、15分ほど歩く。
ブックオフで時間調整して、タイ料理屋「クルン・サイアム」の開店を待つ。
行ったらちょうど店を開けたところで、4、5人のお客さんが地下へ続く階段の前で待っていた。
「パッ・タイ」という焼きビーフンがね、飽きないんだよ〜。
ランチタイムのメニューはたくさんあるので、いろいろ試してみたいんだけど、どうしても「パッ・タイ」が食べたくなっちゃう。
月に1回ぐらいは来てる気がするけど、他の物って、「鶏挽肉のホーリーバジル炒め」と「カオマンガイ」を1度ずつ食べたきりで、その後ほぼずっと
「パッ・タイ」。甘酸っぱくて、辛くなくて、おいしいんだ。
大内くんも私と同じように、「トムヤム・ヌードル」からの脱却が難しいらしい。似た者夫婦。
結局、2人ともいつものメニューで、いつものおいしさで、いつもの満足。
若い頃は、自分がこんなに変化を嫌う人間だとは思ったことがなかったな。
座右の銘は、「やらないで後悔するぐらいなら、やって後悔した方がマシ」。
今じゃ、やって後悔するようなことは絶対したくない。
もっとも、横で見てる大内くんからすると、今でも、
「いつも地雷原を突っ切っている。心配で、見ていられない」のだそうだが。
さてさて、昼ごはんもすんだし、ロフトでバスオイルも買った。
今回はね、情けないことに、先日作ったばかりの「読書用の老眼鏡(軽い近視用)」を、寝てる間に身体の下敷きにしてぐにゃりとさせてしまったのを、修理してもらいに来たの。
もっと情けないことに、なんとかゆがみを直してもらったそのセルフレームのメガネが、気に入らないんだよね。
普段はメタルフレームを使っているので、フレームが視野に入ってきてもあんまり気にならないんだが、セルフレームは存在感がありすぎて、視野を妨
げる。
そんなの、作る時に気づけよ、って自分でも思うが、なにぶん、生活必需品のメガネのことでございます、メタルフレームでもう1個作ってもらうこと
に。
(あー、また無駄な散財・・・)
まあ、セルフレームのゆがみも完全には直らなかったし、「壊したので新調」ということにいたしましょう。
やや暑くなってきた天気を避けるように、用事が終わったら早々に帰る。
魚屋で、いいイサキが買えたし、イカを買ったので、大根と煮よう。
今夜は和食だ。
息子は、明日もコミケだそうで、4時半という早朝に起こせ、と言うので、せっかくだから、大内くんと徹夜してみる。
朝寝も昼寝もしっかりしてるし。
仕事以外で徹夜するなんて、久しぶりだな。
いろいろ話ができて、楽しかった。
朝の話は明日に回そう。
15年8月16日
4時半に息子を起こす。
さすがにバイトに行くから緊張してるのかな、素直に起きて、シャワー浴びて出かけて行ったよ。
徹夜明けの我々は、爆睡。
起きたのが昼の2時頃。
なんだかんだ言って8時間も寝たなぁ。
食材の買い出しに行って、ツタヤで珍しくCDなんて借りる。
しばらくほっといたら、聴いたことない中島みゆきが4枚ぐらいあるじゃないか。
あとは、AKB48をちょっと。
「フライングゲット」とか聴いてると、元気出るんだよね。
今日はこつこつと読書の日。
大内くんは、私と息子双方から薦められた荒川弘の「銀の匙」13巻までを読んでいる。
今日のうちには終わりまで行かなかったそうで、13巻は、明日電車の中で読むって。
私はもう何度も読んでいるので、横からいろいろ言う。
私「もう、お父さんは学校に来た?」
大「まだ。性格の悪そうなお父さんだね」
私「お兄さんは来た?」
大「うん、『焼きそばをまずく作る』って、スゴイ才能だね。普通は、どう作ってもおいしいよ」
私「お兄さんはまだ1人?」
大「1人だよ・・・なんか、ネタバレの嵐なんですけど・・・」
ごめんごめん。
でも、「ハガレン」読んだ後だから、お父さんがトーン貼ると「傷の男(スカー)」に似てるとか、体育の轟先生が「剛腕の錬金術師」そっくりだとか、いろいろ楽しめるでしょ。
私は昨日ブックオフで買って即座に自炊した宮部みゆきの「あかんべえ」を読み始める。
「これ、持ってたかな・・・ダブりになるかな・・・えーい、ダブっちゃっても、108円のことだ!」と蛮勇をふるって買ったのだが、幸い、まだ
持ってなかった。
なんとか、ケータイから家のパソコンを見て、本のリストを確認できるようにして、家の書庫をチェックしながら買えないものかな。
うちの技術力ではムツカシイらしいんだ。
でも、読み始めたら何となく「恐いお話」のような気がしてきて、今、何度読んだかわからない「ぼんくら」シリーズの「おまえさん」上巻に退避中。
いいんだ、同じ宮部みゆきなんだから。
少し態勢を立て直して、落ち着いたらまたトライしてみよう。
どうも、ホラーに弱くなっていかん。
そんなふうにすごした週末、息子も、
「あさってのコンテストのネタ合わせ(練習)」から帰ってきて、あいかわらずぶすっとしてる。
彼が家のドアをくぐるのと同時に、ものすごい豪雨が降ってきた。
よくぞ間に合うように帰ってきた。運のいい彼ならばこそかもしれない。
何事もなく過ぎて行くのが一番だ。
こんなことも、昔の私だったら考えなかっただろうな。
「混乱こそ我が墓碑銘」(Confusion will be my epitaph.)と言ったのはどこかのロック野郎だったか。
おんなじようなこと考える人がいるなぁ、と若き日の私は思ったものでした。
15年8月17日
そう言えば、息子に枕買ってあげて、ものすごく喜ばれたんだが、次の日見たら、彼は枕を床に放り投げて、リビングのクッションを枕に寝ていた。
起きてから聞いてみたら、「低すぎ。気に入らない」という答え。
しょうがないから、羽布団を買った時についてきた、大内くんの羽枕のカバーを替えて「これで寝てみて」と言っていたら、大内くんが、
「僕の枕はどうなるんだ。安物の、低い枕で寝るの?」と、めずらしく抗議の模様。
「いいじゃん。あなたは、寝ちゃったら何がどうなってても寝ちゃうんだから」と抗議は無視して、翌日。
「枕のせいで、眠れなかった?」と聞くと、
「いや、それが、驚くほど気にならなかった。僕って、本当に何でも眠れるみたい」と自分で自分に感心していた。
いわゆる、「枕が変わると寝つかれない」というような現象とは、完全に無縁なようだ。
そういうわけで、我が家では今、息子と私は羽枕、大内くんは安いウレタン枕で寝ております。
私たちのはわりといい羽枕だから、長いこと使っていても、全然ヘタらないんだよね。
でもね、そもそも大内くんは、「羽枕をたたいてふくらませる」って行為をしないから、けっこう低い枕になっていた。
私が毎晩寝る前に枕をぽんぽん叩いてふくらませてるのを見て、「何してんの?」と驚いてたからなぁ。
羽枕は、叩くとふくらむんだよ。
「私が死んだら、柩の中の枕をふくらませるのを、忘れないでね」と言ったら、
「イヤなこと言うねぇ。本当にキミは、イヤなことを言わせると右に出る者がないよ」と不満そうだった。
いいじゃん、人は、死んだ時のことはちゃんと考えなきゃいけないんだよ。
柩は、洋風で、白い絹の内張りがついたやつにしてね。
「ああ、それはいいね。ちょっと5角形みたいになってて、上3分の1ぐらいがぱかっと開くやつでしょ?僕も、和式の、観音開きの窓がついてるのは
どうかと思うんだ。その点は、安心して」
枕の話はイヤで、柩の話はいいのか。
どういう情緒の働きなんだ、それは。
15年8月19日
真夏の野菜は元気で安い!
タマネギ8個、ナス20本、トマト7個、キュウリ10本、ピーマン12個、にんにく2個。以上をブチ込んで、大鍋いっぱ いのラタトウィユを作った。
さすがに、材料を切るところから大仕事。
ボウル類を全部出して、それぞれの野菜の山を作っていく。
軽くて小さい、寝室のオーディオを持って来て、 iPodで中島みゆきをバックに、頑張った。
ラタトウィユのもっとも肝心な点は、どんなに「野菜、多すぎちゃった?!」と思っても、決して水を足さないこと。
あくまで強火で蒸らし炒め。必ず 野菜から水分が出て「かさ」減り、鍋3分の2ぐらいに落ち着く。
それなりの量の塩を入れるのも、味付け・野菜をしんなりさせるう えで、大事なことだ。
とにかく、暑い!
包丁仕事1時間、煮込み仕事1時間、計2時間台所に立っていたので、もうくたくた。体力なさすぎ?
6リットルぐらいできてしまったこのラタトウィユを、冷やしてどんどん食べるのが大内家の夏。
(息子だけは少々苦手なようで、気が向かないと 食べない)
ジャガイモとタマネギが余ってるから、今週中にまたビシソワーズを作ろう。
15年8月21日
眠れないし、じゃがいもとタマネギが大量に余っていたので、徹夜でビシソワーズを作る。
4リットルもできてしまったのに、昼ごろ起きてお笑いのコンテストに向かう息子に薦めてみたら、「もう飽きた」と切り捨てられた。
確かに、この夏4回目ぐらいの大量ビシソワーズだが、おいしくできたんだから、食べてくれてもいいじゃん!
今日のお笑いは、同期のかずやくんと漫才。
息子はユニットを3つか4つ持っているが(そして、それはそう珍しいことではないらしいが)、1年生の頃からやってるわりに、この2人の組み合わせは見たことがないんだよね。
「どうしても見に行きたい!お願い!最後のチャンスかもしれない!」とラインで懇願するも、「嫌だ」のひと言。
本当にキミは、他人に厳しいね。
このコンテストは、15組ぐらいのブロック4つに分かれ、4時間にわたる。
それが6日もあるのだ。
我々もツィッターで速報をチェックしている。
そこでわかることなのだが、息子はかなりコアな「上位」だ。と言うか、上位の子たちとの交流が多い。
それに、実際には負ける時も多いものの、たいがい予選ぐらいは通るし、優勝に絡むことも多い。
めったに優勝まではしないけどね。
こないだ1回、大学サークルの枠を超えて10組ほどの実力派の子たちが競う、自主的なライブで1位を取った時は、そうとう嬉しかったようだ。
「新ネタ限定。毎月1回」のこのライブで1位になると、次回の香盤(出てくる順番)を決めることができるし、MCもやらせてもらえるし、更には最
下位のグループに「罰ゲーム」を与える権利も発生する。
息子してはめずらしい、陽のあたる機会だ。
絶対、見に行かねば。
いやしかし、今話題にしているのは400組近くの「学生お笑い」の件だ。
すでに他のユニットで2つほど予選に出た息子だが、どちらも敗退。
さすがに彼も、「上位」の沽券にかかわる事態なので、今日のかずやくんとのペアが最後の望み。
ひとつも決勝に行けない、というのはかなり恥ずかしいことらしい。
現場から、ツイッターに生中継が送られてくる。
「ただいま、Bブロックが終了しました。Cブロックは、7時30分からの予定です」
そして、9時頃終わると、あっという間に集計し、その場で順位、本選出場、敗者復活戦出演者を発表する。
ドキドキするなぁ。息子の大学受験の時のようだ。
そして発表。
かずやくんと息子は、まったく勝てなかった・・・
もちろん他にもいろいろな大会があり、息子の「お笑いの夏」は始まったばかりだが、サークル内の他のユニットが何組も決勝や敗者復活戦に薦めたのに対し、あまりいい始まり方ではない。
来年は就活で(してくれなければ、困るぞ)、今年が最後かもしれないってのに。
とは言え、その間に他のお笑い会社主催の大会では、ライバルたちを尻目に3位通過で決勝に行く、なんてこともある。
これは、見に行く許可が出た。
「予選を突破したら、見に来てもいい」というのが「おうちルール」なのだ。
さて、どこまで頑張れますか。
楽しみなような、怖いような。
ああ、やはり受験の時に似ているなぁ。
15年8月22日
今日は私の誕生日。56歳かぁ。言ってしまうとつまんないね。
「いくつになったかは、マル秘で〜す」と言えたらいいんだが、これも性格というものだ。
さすがに体重だけは絶対秘密にしようと思っているが、面と向かって聞かれたら、言ってしまうかもしれない。
それぐらい、私は「秘密」がキライだ。
さて、誕生日だからと言っても面白いことは何も起こらない。
大内くんなんか、接待で、晩ごはんを一緒に食べることすらままならない。
「つまんないよ〜」と思いながらふと見ると、キッチンのカウンタにおいてあるはずの電話の子機が見当たらない。
「どこかへ持って行ってしまったか?今日、電話って使ったっけ?」と思いながらあちこち探してみるが、見つからない。
内線通話で音を鳴らしてみて見つけようとしたが、家のどこからも着信音は聞こえない。
「今すぐ困るわけじゃないけど、やっぱり困るなぁ」と悩むこと30分。
ふと気づいて息子にラインを入れる。
「コントのネタに、電話の子機を持って行ってない?」
答えは、「もってった」。
そんならそうと言ってくれれば、家中を大捜索しなくてもすんだのに!
ブチ切れそうになりながら、
「家の物を持ち出す時は、ひと言ことわってからにしてね」となるべく平静なメッセージを打つ。
向こうも、「ほーい」と、緊張感無いなぁ。
このように、家の物が見当たらない時は、「まず息子を疑え」が我が家の常識になりつつある。
こないだも、ステージを見てたら息子が「金八先生」のDVDを持っていた。
それは、高いんだよ!絶対持って帰ってよ!と、コント見てる場合じゃなくなっちゃったよ。
よくやるネタに「ネクタイたくさんしてるとエライ」というのがあって、彼がそのコントをやるたびに大内くんは、
「あーっ、またやられたーっ!」と叫んでいる。
大内くんのネクタイをほとんど全部持って行くからなぁ。
2本ばかり残してあるのが、せめてもの良識か。
私の青いタートルネックのフリースも、「小説家」を表現したかったのか、合同ライブに持って行ったのはいいが、もう2カ月ぐらいたつのにちっとも
返してくれない。
もう、玄関で待ち伏せして持ち物検査をし、持ち出し禁止にするよ!
15年8月23日
金曜の夜、突然、息子がサークルの後輩を「泊まるから」と連れて来た。
実は、7時頃にラインに入っていたそのメッセージに私が気づかないまま、大内くんが接待で遅いので眠り込んでいたところ、まったく無許可で息子が後輩
と一緒に帰ってきた、ということらしい。
大内くんが帰ってきたので目を覚ましたら、
「今、後輩が来てるんだよ。この間も来た古田くん。ごはんは適当に食べたようだから、もうかまわなくていいよ」と言われた。
まあ、いちおうご挨拶はしておいたが、
「すんません、今、起きたので」というのは、一家の母親として相当に恥ずかしい行為ではあるまいか。
古田くんは、家が近いので、泊まりに来るのは2度目。
息子も泊めてもらったりしてるみたいだ。
外で仲間を持ってるんだなぁ、そんな仲間を我々の目の前に連れて来ちゃうぐらい、我々のことを信頼してくれてるんだなぁ、と、嬉しいよ。
翌朝、起きるつもりなんか全然なさそうな2人が、ドアを締め切った息子の部屋で何をしてるんだか、のぞいてみるわけにもいかないし、まあ、寝てるんだろうね、ということで、吉祥寺に買い物に行く。
昼ごはんはまたタイ料理。
永遠に終わらないのではないかと思われる私のオーダー「パッ・タイ」。
ブックオフ行って本買って、私のメガネ(読書用)ができているのを受け取り、あー、もうやることない。
暑いし、帰ろう。
1時半ごろかなぁ、帰ってみたら、息子が1人でリビングのソファに寝転んでいる。
「古田くんは?」と聞くと「今、風呂入ってる」という答え。
うーん、朝シャワーは息子だけの風習かと思っていたが、当節の男子大学生は、みんな、朝から髪洗ってドライヤーかけるのか。
勉強になった。
息子のリクエストでチャーハン作り、食べさせて、ほっといたら、しばらくして2人とも出かけると言う。
「お世話になりました」と丁寧にあいさつしてくれる古田くんに「また来てね」と言い、玄関で見送った。
彼は彼で自分のお笑いの相方がおり、早稲田祭のステージで見たことあるし、コンテストでもけっこういい成績を出している。
有望株だ、頑張ってもらいたい。
くたびれたので昼寝して、あとはDVD観て過ごしていた。
これが、悲劇の一部であろうとは。委細、翌日!
15年8月24日
日曜夜、大内くんが早寝しちゃったけど私はまだ眠れない、という11時頃、ふと、パソコンでヤフーニュースを見た。
「男子100メートル、ボルトが2連覇」
ああああっ、「土曜の朝、男子マラソンからじっくり観ようね。楽しみだね」と2週間ぐらい前から言っていた「世界陸上」、始まっちゃってるんじゃ
ないかぁぁぁぁ。
男子マラソン、とっくに終わってるじゃないかぁぁぁぁ。
思わず、寝ている大内くんを揺り起こし、
「大変!世界陸上、始まってる。男子マラソン、終わっちゃった!」と叫ぶと、大内くんもびっくりして飛び起き、
「忘れてた!た〜いへん〜!」と嘆く。
この週末は、なんだかまとまらなくて多忙感だけ募っていたからなぁ。
大内くん、仕事忙しかったし。
「過ぎたことはしょうがない。最終日の、女子マラソンに期待しよう!」とあくまで前向きな大内くん。
私はとりあえず今日からの見どころを録画だ。
時差が少なくて1時間しかないから、たいがいの競技は昼間にやってしまい、夜にダイジェスト版をやるんだろうな。
夜の方が、予選とかすっ飛ばして観られるから時間の節約にはなるけど、
「うーん、予選から、誰が上がっていくかなぁ!?」と見つめるのも世界陸上の醍醐味なので、なるべく昼間の分を予約しよう。
予選、準決勝、決勝・・・なんだかなじみのある感覚だと思ったら、最近の息子は、お笑いの大会で予選落ちしたり3位で決勝に進んだり、いろいろな
のだ。
手に汗握る感覚が離れないのは、そのへんが原因か。
彼のステージを見逃したりしないよう、そこだけは注意、ということで。
世界陸上もこれから毎日観るぞ〜!
15年8月26日
イヤホンの左右を識別するためだろう、片方のコードの一部にプラスチックのバーがついている。
大内くんは長年iPhoneを使って通勤しているが、今までまったく気づかなかったそうだ。
この人のこういうところを見ていると、「もっと便利な工夫を」とか考えてる人たちが気の毒になる。
アマゾンさんの箱なんか、ちゃんと開けるところが書いてあるし、そのために頭を絞っている人たちがいるはずだ。
それにしても、なんとかiPodの中身をiPhoneに移す工夫をしないと、お出かけの時はほとんど同じような機械を両方持っているというマヌケな状態になる。
めったに出かけないのでのばしのばしになっているミッションだ。
ビデオの録画以外のメカ関係は全部大内くん頼りなので、そのうち時間を作ってやってもらおう。
15年8月27日
行きがかり上、古いマンガを引っ張り出して読んでいる。
今は萩尾望都あれこれ。
「スター・レッド」は、彼女の作品中でもっともSF的である、とい う点で、大内くんと意見が完全に一致した。
「銀の三角」とか「モザイク・ラセン」なんかは本当にもう、SFどころかお話になってないから。
一連の「バレエ・マンガ」は、中途半端に古いと言うか、新しいと言うか。
萩尾望都が肉体の何かに惹かれて一生懸命描いた成果だとは思うんだが、バ レエをわかってないのか、ダサすぎる。
「メッシュ」を経た「残酷な神が支配する」は、彼女の作品中、最も長い。
気持ちがヘンになっちゃってる時代でもある。彼女がキャラクターたちの精
神も肉体もふたたび健全に描けるようになるまでの、産みの苦しみの時代だと思う。
ホモ話の苦手な大内くんに「読んでみたら?」と薦めたとたん、 「いや、その系統は、ちょっと」と言ってお尻を押さえて退散。
少しは「穴がある」立場に立ってみろ、と思った。
その後、ゆるゆると描いている「ここではないどこか」シリーズや「レオくん」などは穏やかでいい。
(しかし、なんで独り暮らしの女性はネコを飼う、に行きつくんだろうか?)
抒情作家としての萩尾望都が心地よく緊張しながら、異世界をゆるく描いている。
まあ、多くの人が「訪問者」のあたりを一番いい時期だ、と言うね。
ちょっと顔が丸すぎるけど、絵と、内容のバランスがよく、人気シリーズである 「トーマの心臓」のスピンオフとして、読みやすい作品だ。
大内くんは、これと「マリーン」が大好きなんだそうだ。
私は中学時代はともかく、オトナになってから萩尾望都をいいとは思っていないけど、チャレンジングな部分も多く、少女マンガ界を牽引してきた人だ
と思う。
一番好きなのは、「ポーの一族」の最後の方かな。
テレビのサブカルチャー番組で、コミケ運営陣の大御所が、「ポルノ一族」というパロディ
同人誌がコトの起こりだった、というような話をしていたが、それ、買って持ってたぞ、高校時代に。
「僕たちは・・・大きくならない」「インポ?」 (「リデル・森の中」より)とか、覚えてるもんなぁ。
やはり、萩尾望都を批評してはならない気分。少女マンガ界の手塚治虫かも。
今、50代の元少女たちのほとんどが様々な形でお世話になって来ている と思う。
中学生の頃、「別コミ」が出た翌日は女子みんなで「ニンニクなど怖くはない。現にわしは今朝、餃子を食べた」等のメモを書いては、教室中
まわしていたよ。
今の子供たちは、「押さえておかなければならない」ものが多すぎる気がする。
早くから個人の傾向別に分かれて行かざるを得ないだろう。
パソコンを
叩き、ケータイで短い情報をやり取りし、ゲームをし、カードを集め、「NARUTO」と「ワンピース」を読み、ポケモンをなでて、エヴァンゲリオ
ンにはまる。
そして、何らかのスポーツ団に所属する。
全部やっていたら忙しくてかなわない。
萩尾望都と竹宮恵子さえ知っていればよかった女子中学生は、幸せだったなぁ。
今、本屋に行くと、私は毎度めまいがして気持ちが悪くなる。
こんなにいろいろあるマンガを全部読むなんて、不可能だ。
私の子供時代なら、勉強を
ほっぽり出し、おこづかいをたくさんもらっていさえすれば、出ているマンガ全部を持っていることもできたかもしれない。
今、自炊によって物理的な
本の質量と戦うことをやめた私は、ハガレンを読み、エーベルバッハ少佐を堪能し、ベルばらに再び驚嘆し、萩尾望都のすべてをたどることができる。
結局、この話になっちゃうんだ。
私は、自炊を、奨励する。
2千冊のマンガを抱えて10回以上引っ越しをした私の人生が、そうさせるのだ。
そして、 マンガは、すばらしい。
15年8月28日
息子のお笑いコンテスト。
野方だったので、会社帰りの大内くんと西武新宿線の高田馬場駅で待ち合わせ、一緒に行く。
なかなか魅力的な街だ。私鉄沿線はいいなぁ。
下北沢で1人暮らしをしていたOL時代を思い出した。
思わず野口五郎を口ずさむ。
140組の中から予選を勝ち抜いた20組のお笑いを観る。
息子のコントは新作だったので、嬉しかった。
見慣れたネタに磨きがかかっていくのもいいが、やはり、「見たことないやつ」を見られるのが楽しい。
だが、キミたちはなぜ、ネクタイをし、サラリーマンのコントをやるのか?
ネクタイなんて、数年すればイヤでも毎日しなきゃいけなくなるし、サラリーマンを始めたら30年近く、やめられないんだぞ。
MCのにーちゃんたちがあっさり終わり、いきなり本番開始。
けっこうレベル高い、と感じた。
さすが、各大学のサークル内で選び抜かれ、さらに予選を通ってきたグループなだけはある。
前半10組の後、少し休憩が入って、後半10組がおわったところで、前・後半それぞれで面白かったと思う3組に〇をつける。
これはどのコンテストでもほとんど同じ形式だ。
全部おわったところでスタッフが回収し、楽屋裏では大急ぎで集計が行われているはずだ。
舞台の方では、MCのにーちゃんたちを含めて、主催の芸能会社に所属するプロの芸人さんが3組、漫才を見せてくれた。
それが終わっても集計が終わらなかったようで、とりあえず全出場者を舞台に呼び出す。
目立つヤツを「いじって」いくのだ。これも、コンテストではよくあること。
息子はすみっこで小さくなっていたので何も言われなかったが、こういう時に目立っで場をさらうぐらいでないとなぁと、あいかわらず頼りない面を見
て、ため息。
と、結果が出たらしく、もうその場で優勝者だけさっぱりと発表。
もしかして、時間が押してるのかしらん?と思うぐらいのあっさりした感じだっ た。
結論。息子は全然ひっかからない。
我々から見ても面白かった、秀逸な出来の漫才師たちが優勝し、賞金10万円と副賞の「香水」をもらっていた。
帰り道、大内くんと、
「今日はどれも面白かったねぇ」
「うん、でも、息子のだって面白かったよ。ただ、彼のは、オチがちゃんとついてないんだよね」
「そうね、『終わった!』って感じがしないね」
とか話しながら家に着き、息子に、
「面白かったよ。お疲れさま」とラインを入れたら、すぐさまレスが来て、
「どこがよかった?どうするともっとよくなる?」と訊いてきた。
最近、この人は、親に見に来ていいと言ってくれる回数も増えたし、何より、こうして素直に批評を求めてくる。
毎度、驚く。
大内くんと話した通りに、「オチが弱い」と伝えた後、
「父さんは、『観客を小さく裏切れ』って言ってるよ」と送ると、
「どういう意味?」と返ってきたので、
「予想した通りの終わり方だと、観客は納得しない、だそうです」と言っといた。
なにも私を通さなくったって、2人ですればいい話じゃないか。
だがまあ、実際面白かった。誰も彼も。
最後にMCのにーちゃんが、
「この中で、プロになろう!って思ってる人はどんくらいいますか?手ェあげてください!」と言ったら、40人ほどが佇む舞台で、誰も挙手しなかっ
た。
「やっぱ、そうですよね。学生さん、しかもいいとこの大学出てたら、芸人にはならんですよね」と引き取ってくれたので無事に終わったが、いいのか?みんな、ホントにやる気ないの?
まあ、個人的には、息子が手を上げなかったのでほっとしてる。
だが、あの人は、なりたい時は我々にもMCのにーちゃんたちにも断らず、勝手になってしまいそうな気がするよ。
15年8月29日
大内くんが唐突に「喬友会」と名づけた落語鑑賞会。
柳家喬太郎さんの、「みたか勉強会」が家の近所のホールで行われるので、チケットを4枚取って、友人男女2人を誘った。
チケットを取るのはあんがい大変で、申し込み当日、時間きっかりから電話しててもずっと話し中。
やっとつながったのは15分後ぐらいで、すでに4分の3がふさがってしまっていた。
「まあ、アルフィーのコンサートよりはいいね。あっちは、1時間ぐらい話し中で、つながった時には『完売』だから」とその修羅場を知る大内くんは語る。
だからさぁ、コンサートは行かないって言ってるじゃん。
人混みがキライで立ってるのがキライな私が、総立ちになって拳を突き上げるの?
「チケットがあれば、行く気になるかもしれない」ってお心遣いはありがたいのですが、もうけっこうですから。
それより、落語聴きに行く方がいいよ。家から近いし、総立ちにならないですむし。
前座の方が出て、「たらちね」。
続いてもう喬太郎さん。「死神の名付け親」。
私、これに似た落語は聞いたことある。
小さい頃、夜中に1人でラジオのイヤホーンで聴いていて、「ぞわっ」とした。
喬太郎さんのも、同じぐらい「ぞわっ」と来たよ。
休憩をはさんで、また前座の方。この時点でも前座、って言うのかな?
おう、今ググったら、この場合は「二ツ目」らしいぞ。「かしこさ」が1あがりました。
こちらは「鰻の幇間」。鰻が食べたくなったよ。
ついでに真っ赤なステテコでの「ステテコ踊り」を披露してくれた。
そのあと、これが「真打ち」だ。
再び喬太郎さんが出て、演目は、聴いたことのない噺だった。
「ついたて娘」。博学な同行者が言うには、小泉八雲の作から取った新作落語だそうだ。よく知ってるなぁ。
終わってから、博学であるのみならず粋な呑み助である友人が評判を聞きつけた「蕎麦屋」に行く。
私は、蕎麦屋で飲むのは初めてだ。蕎麦を食べに入ったことしかない。
「焼き味噌」や「牛すじ煮込み」が非常においしい。
私は飲めないのでビールをちびちびやっていたが、それ以外の3人は「ぬる燗」だの「冷や」だのを楽しんでいた。
酒が飲みたいと思うことはないが、こういう時に、「ぬる燗でね」なんて言えると雰囲気出るなぁ、と、ちょっとうらやましかった。
〆に蕎麦を食べる。私は「つけとろ」。
大内くんは大胆に「天盛り」を食べていた。(海老天1本もらったが)
2時に始まる落語の会を観て、5時半に開く蕎麦屋でちょいと飲んで、解散したのが7時ごろ。
うーん、なんとも「イキでオツな」集まりだった。
大内くんはすっかりこの「喬友会」を続けるつもりになって、「毎年1回、やりましょう!」と言う。
それだったらさぁ、季節を変えた方がいろんな演目が観られるよ。
「じゃあ、次は2月!」
そうね、また勉強会があるみたいだもんね。頑張ってチケット取って、また2人を誘おう。
追記だが、大内くんには何かというと秘密結社のようなものを作ってしまうクセがある。
今度、友人の映画監督を誘って飲みに行き、息子に「プロの現場」の話をしてもらおうと思っているのだが、飲む場所が吉祥寺の「いせや」という店なので、あっという間に「伊勢屋組」という団体ができた。
団体っつったって監督の彼と、我々夫婦と息子しかいないんだけどね。
いや、妙な趣味の人だなぁ、と思って。でも、瞬時にでっちあげる団体名には、なかなか不思議なセンスを感じる。
こないだスクエニの人と会わせてもらった時は、「スライムの会」だった。うーん・・・
15年8月30日
数日前に、マンション全体で加入してるテレビの元締めの話がどーたらこーたらで「J-COM」という会社のおにーさんが来た。
何らかの工事をすると、何らかいいことがあるらしい。
私に理解できるのはそこまでだったので、次の日曜、大内くんがいる時間帯に来てもらうことにした。
留守居役も務まらない私・・・
で、夜、おにーさんがきて、あらためて大内くんに説明してくれたのが、KDDIとauとJ-COMさんの不思議なつながり。
みんな、まとめてJ−COMさんが面倒見てくれるらしい。
auケータイ使ってる我々には割引があり、固定電話代は安くなり、さらに、なんと500円ほどでスカパーのほぼ全チャンネルが観られるようになっ
てしまうのだ!
すでにご存知のとおり、私はこういう「お得」な話がとても好きだ。
おまけがつくと聞けばいらない物でも買ってしまうし、スタンプを集めるとお皿がもらえる、と聞くとダイエット上食べない方がいいサンドイッチを熱心に買うし、「レンタルDVD、4枚で千円なので、3枚で千2百円なら、もう1枚借りるとお得ですよ」と言われれば観ないDVDでも借りてしまう。(しかし、このDVDの件だけは、借りたがらない大内くんの方がおかしいと思うのだが・・・)
大内くんは、
「どうせスカパー全部なんて観やしないよ。こっちの、3チャンネルだけ観られるやつにしておきなよ。それだったら、数百円、キャッシュバックにな るよ」と言うのだが、私はお得な方がいい。
「映画が大好きな息子が喜ぶよ」
「huluで充分見てるじゃない」
「huluって、そんなにいろいろやってないんだよ」
「じゃあ、息子が映画に夢中になって卒業できなくなってもいいんだね!?」
何てイヤなことを言う男だろう。こんな男と結婚してしまうとは!
と、思うぐらい、ムカッと来たぞ。
まあ、最終的には合意してくれて、
「頑張ってスカパー観るんだよ」と手続きをしてくれた大内くん。
契約を済ませて、途中から加わった若手のおにーさんと2人のJ-COM部隊が帰ったあと、大内くんは、
「今は僕も会社にも行ってるし、ギリギリついて行けるけど、ああいう話が詐欺かどうか、なんて、もうすれすれでわかんないや。1人暮らしの老人を狙って詐欺が起こる、なんて当然だね。退職したら、早めに老人ホームに入りたいなぁ」とため息をついていた。
頼みの綱の大内くんにそんなこと言われると、20年以上家庭にこもりっきりの私の方がよっぽど不安になるじゃないか!
いちおう、「ご近所スキャンダル」とか読んで「勉強」はしてるけど、新手の詐欺に引っかからない保証はないぞ。
確かになぁ、スカパーで映画そんなに観ないかもなぁ・・・
やっぱり、大内くんの言うとおりにしておいた方がよかったかなぁ・・・
せめて、息子が観てくれれば・・・でも、そしたら夢中になって夜更かしして、授業の時間になっても起きられないかも。
今期も6つも単位を落とした息子が、1留ですませてくれるかどうか、今のところ、首の皮1枚でつながってるんだよね。
ああ、何もかもいやになった。昼寝でもしよう。
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