16年11月1日

腰やらふくらはぎやらにシップを貼って寝倒すこと2日目。さすがに少し良くなったような気がする。
いちおう、大内くんを迎えに行くバス停2つ分の夜の散歩は続けているし、歩けなくなった、と言うほどではないが、かなり老化が忍び寄っているのを感じるなぁ。
積極的に身体を動かさなきゃいけないのはわかるんだけど、生まれてこの方、運動が好きだったことがないんだ。
ジムに行って水中ウォーキングしたりマシン使ったりした方がいいとは思うものの、考えるだけで心底イヤになる。

それより、ベッドで本読んでる方が一万倍楽しい。というか、「楽しい」のベクトル上に「運動」は、ない。
おまけに今、マンガの波が来ていて、いくらでもマンガが読める。
旅行前から読んでいた、清水玲子の「月の子」が再読とは言え実によかったので、彼女の作品でまだ未読だった「秘密−TOP SECRET」全12巻を読み始めたら、これがもう、すさまじく力の入った怪作なのだ。

大内くんにも薦めてみたのだが、読み始めてすぐ、
「すごいね、これは!」と賛嘆の叫びが上がり、1巻を読み終えた時には、
「いやぁ、まいったなぁ。今でもこんなマンガが描かれているのか。僕は最近のマンガは全然と言っていいほど読んでないんだけど、マンガは、生き続けているね。嬉しいよ」と軽く興奮し、手放しでほめていた。

全巻読み終えて、スピンオフが本気になっちゃったという感じの「秘密 SEASON 0(ゼロ)」に移行した私だが、大内くん、この先、1話読み切り形式の怖い話はいったん収束して、長い陰謀の話になるよ。
それを面白いと思うか、力尽きたと思うかは人それぞれだと思うけど、私はけっこういい話だと思うなぁ。
「SEASON 0」はまだ連載続いてるみたいだし。

こないだ2人で安藤ゆきの「町田くんの世界」とか東村アキコの「東京タラレバ娘」を読んだ時にも思ったけど、マンガは進化し続けているね。
(東村アキコは「雪花の虎」でまたひと皮むけるだろうし)

ああ、マンガ仲間の4児の母、ミセスAに「秘密」を薦めたいっ!あの人、けっこう猟奇は大丈夫そうだし。
でもそんなに次々マンガを薦めても、歩き始めたC太郎君の世話に追われてヒマがなかろう。
ダンナさんが森薫の「エマ」を読み始めたと聞いたけど、どのくらい進んだだろうか。
本編が終わったら、解説本の「ヴィクトリアン・ガイド」もお薦めしたいのだが。
大内くんは、
「ダンナさんも奥さんに負けず劣らず忙しいから、そんなに先走っちゃ悪いよ」と、私に「どうどう」と声をかける。
あなたは「秘密」をどんどん読みなさいっ!

16年11月2日

今日は、2週間に1度の病院めぐりの日。
治療の終わった歯が少し痛むので、歯医者さんも予定に加わっている。

三鷹駅で2軒、吉祥寺駅で1軒の病院を自転車で回る。
しかも、吉祥寺から家に直接向かわず、いったん三鷹駅に戻って薬局で薬を受け取らねばならない。
おまけに近隣で一番牛乳が安いからと言って、吉祥寺のスーパーで6本も買い、後の荷物かごに入れての道程は、なかなかツラいものがあった。
(だけど、税抜1本155円なのよ?!)

ふらふらと裏道を選んで自転車をこぎ、帰りついたのは家を出てから4時間半後だった。
この寒いのに、緊張で汗びっしょりになってるし。
本日の医療費、総額7210円ナリ。
時間もお金もかかる。病人は、まったくつまらない。

大内くんは接待だし、息子は友達と飲む、と言って3千円借りて行ったので、ごはんは1人。
ごはんを炊き、スーパーで買ったよく熟れたアボガドで「アボガ丼」を作って、2日前に作った「蓮根のきんぴら」と一緒に食べる。
海苔とわさびをふんだんに使うところがミソ。
おいしいけど、1人メシもまたつまらないよ・・・ある程度以上に手間をかける気にはまったくならないな。
ひざに注射打ったから、痛みがくるしお風呂も入れないし、本当につまらない。

大内くんからの電話によると、接待の帰りは他の人と一緒に車だ、とのこと。
1人タクシーだったら、電話してもらっておしゃべりもできるんだが・・・ああ、これもつまらない。
バス停にお迎えに行かないですむことだけが救いか。
せめて大内くんには、あったかいお風呂に浸かってもらおう。

あ、あと、息子が飲む相手が、高校、大学と同期で、大学1年の夏休みに一緒に「ママチャリで北海道へ行く旅」を敢行した子だというところが嬉しい。
10日間も一緒に自転車を漕いだ(計画通り、自転車は現地で売り払い、飛行機で帰ってきた)仲なのに、ここ数年、名前を聞かなくなってたんだよね。
地元の幼なじみから大学の友達まで、いろんな人といろんな話をしてほしい。
親の願いはそんなもんだ。

16日11月3日

8年前に急死した、高校時代の親友。
東京に出てきてつきあいの続いてる3人の男子に連絡を取ってお線香あげに行った、そのメンツで毎年集まるようになった。
その前は、10年ぐらい会わなかったりしたもんだが。

今年は、私が名古屋に行っていたので命日近くの週末、というわけにいかなかったが、代わりに初めてお墓参りをしてきたから、その報告会だ。

大内くんを含む5人のいつものメンツがそろって、いつものように亡くなったMくんにジョッキを挙げる。
お墓参りの時に撮った写真を見せたら、意外な事実が明らかに。
メンバーの1人、Mくんと同じアニメーターをしているKくんは、名古屋の実家に帰るたびにMくんの墓参を欠かさず、もう4回も行っているそうだ。
「何で言ってくれなかったの?そうとわかってたら、お墓の場所、あなたに聞いたのに。私、わざわざMくんのお母さんにお手紙書いて聞いちゃったよ!」
「いや、お葬式にも呼ばれなかったしさ、ひっそりと、自分だけで・・・」
密葬だったんだから、誰も呼ばれてないよ!仕方ないじゃん!

Kくんはややおとなしいタイプだが、ここまで慎ましやかだとは。
私だったらお墓参りに行ったら威張っちゃうな。現に今年、威張ってたし。

Kくんはまだ名古屋に実家があるんだね。
他の人は、実家が東京に引っ越して来たとか、親がこっちの老人ホームに入ったとか、とにかくもう名古屋に縁のなくなった人ばっかりなのだ。
だから、油断してた。うーむ。(何の油断?)

ともあれ、みんな元気で、魚民の油っこい揚げ物の山にもめげず、飲み放題を敢行した。
今年は、アニメーターKくんの、
「『君の名は。』って、面白かった?」という発言を皮切りに、アニメの話で盛り上がったような気がする。

しかし、皆さんが想像するような盛り上がり方でもなかったような・・・役所の夜間受付をしているNくんの、77歳の同僚の方が、
「おお、あの名作が今また」と勘違いなさったとか、SEのOくんが言うには「ハイジ」の原作には続編があって、なんと成長したハイジは大戦で従軍看護婦になるのだとか、あくまで「一般人」としての切り口で、どうも誰も「アニメオタク」ではないようだ。
アニメーターのKくんでさえ、「赤毛のアン」を最後までは観てないそうだし。
Mくんが生きてこの場にいたら、何と言っていただろう。

そんな心残りが生じるので、他のメンツ皆に、長生きしてほしい。
また来年、集まって、バカみたいに笑おう。
楽しい酒の席だった。どうもありがとう。

16年11月5日

とても楽しかった名古屋旅行から、もう1週間もたってしまった。
お世話してくれたCちゃんとはまだメル友を続けていて、女子会で会った子たちへのお礼を取り次いでくれたりした。
ああ、女子会は楽しい。
こんなに楽しいものだとは思わなかった。
中学生ぐらいからむしろ男子と話す方を好み、SFだの男女の思考形態の違いだのについて話すのが好きで、「女子」とはあんまりつきあってなかったんだよね。
オトナになってからは、どこへ行くにも影のように付き従う大内くんがいたし。
毎晩、家で、「あーーっ、女子会、楽しかったよぉぉぉ!!」と吠えまくってる。

Cちゃんたちには、
「3年後、また来るから、還暦のお祝いを一緒にしようね」と言って別れたが、もう、3年も待てない感じ。
向こうでは月に1回ぐらい何らかの女子会ランチを開いているようだから、私が出かけて行ったからと言ってそれほど面倒なこともあるまい。
今回はお仕事で忙しいCちゃんの週末を根こそぎ奪うような真似をしてしまったが、夕食をつきあってもらい、翌日、女子会を取り仕切ってもらうことは可能だろう。
今回、会えなかったMちゃんに、会ってみたくてしょうがないのだ。
どんなおばさんになっているんだろう。

ちなみに、Cちゃんはバリキャリのおばさん。
Rちゃんはきびきびしながらも当たりの柔らかいおばさん、
Kちゃんは中学時代の明るく優しい性格に根性が座った、という感じのおばさん。
その中で、私はただの太ったおばさんでした。面目ない。
みんな、おばさんになるんだなぁ。

大内くんに、
「再来年の1月にローマに行ったら、そのあと、還暦で行く前に1度行きたい。だから、ローマに行く年の秋ぐらいかなぁ。2年後だ」と話したら、
「行きたいんだったら、年に1回ぐらい行けばいいじゃない。毎年行けばいいよ。こんどはもっとCさんにお手間取らせないようにすればいいんじゃない?」という答え。

「でも、年に10万以上かかっちゃう。あなたのこと、置いて行けば半額ですむんだけど」
「!僕、連れて行ってもらえないの?旅行なのに。Cさんと話すのはとても楽しいのに。行っちゃダメなの?」
そう詰め寄られては断れない。Cちゃんおススメのイタリアン、美味しかったし。

というわけで、今のこのテンションが下がっても行きたいようだったら、来年にでもまた名古屋へ行きます。
今度は、名古屋駅の近くの「科学館」で、「東洋一のプラネタリウム」を見るのが夢。
そして高校の時の親友、T子ちゃんとまた友達のお墓参りをしておしゃべりをし、Cちゃんとディナー、そして女子会、とまたCちゃんのお世話にはなってしまうけど、よろしくお願いしておこう。
本当に、女子会があんなに楽しいとはなぁ・・・

16年11月6日

家からほんの5分ほど北に行ったところに、小さなイタリアンの店がある。
住宅街のど真ん中、しかも、フツーの家を改装したっぽい作り。
「こんなところじゃ商売にならないだろうなぁ」と吉祥寺に行くたびに前を通っていたが、実はもう5年ぐらい営業し続けているので、これは1度行ってみなくては、と思っていて、先日、たまたま2人ともちょっと空腹の時に、前を通りがかってしまった。
「どうする?」「行こうよ」と互いに横目で合図を送ること1秒、ランチを食べて行くことにした。

ホントのこと言うと、私は「初めての店」が大の苦手だ。
何となく気後れする、というか、とんでもない恥ずかしい大失敗をするんじゃないか、その店の不文律に触れてしまうんじゃないか、と心配で。
もうオトナなんだから、失敗したら「ごめんなさい」、不文律を破ったら「あら、知らなかったわ」ですますことも覚えなくっちゃなぁ。

というわけで入ってみたイタリアン、開店時間前から数人がたむろしてるのは、行列ができる店だからではなく、お待ち合わせの団体さんがいるからのようだ。
開店になったら、ドアを開けて入れてくれる。
どこまでも普通の家を改装した名残りなのか、「玄関先」で靴を脱ぎ、スリッパに替える。
店内はカウンタや座卓も入れて20席ぐらい。
家のリビングと大して変わらないかも。

2人連れの我々は真ん中近くのテーブル席。ガラステーブルだ。
予約していたらしい5人連れが、隣の6人席に。話を聞いていると近所の中3のママっぽい。
PTAの流れで来たのかも。

さっそくオーダーだが、ランチタイムなので380円でサラダバイキングと飲み物がひと品ついてくるらしい。
「ビール300円」と書いてあるところで、再び互いをちらっと見る。
どうせサラダは食べたいし、ビール300円をおまけしてくれるなら、380円は安い。
そこだけ決まって、あとはそれぞれ。
大内くんは「ペスカトーレ」、私は「ブリとキャベツのアラビアータ」、そしてビールのセットを頼む。
大内くんはいちいち「ペスカトーレ、ってなんだっけ?」「アラビアータって、辛いヤツ?」とか聞いてくる。
しっかりしろ!イタリアにも行った私たちじゃないか!

昼からビール、っていうのは私の行動様式からはずいぶん離れてるが、大内くんが嬉しそうに飲むので、いいや。
小さなお皿をもらって自分で好きなように取っていいサラダバイキングは、レタスや貝割れ大根のように生のものもあったが、一方で、ソテーしたキノコとか味つけした炒めもやしなどもある、
小さく切ったフランスパンとトマトをマリネしたっぽいやつがおいしかった。

テーブルに戻ってサラダを食べていたら、オーダーしたパスタが来た。
ペスカトーレの具は少ないが、大きな貝とエビがのっている。
ブリのアラビアータは、なるほど、パスタの具は、なんでもいいんだな、と思わせる美味しさだった。
要するに、チャーハンみたいなもん。
余っている動物性蛋白質と野菜を何か、一緒に炒めて味つけて、そこにごはんを投入するかパスタを投入するかの違いだけだ、と思う。

ゆっくりランチを楽しみながら、聞くともなしに横のグループの話を聞いていたら、
「そうなのよ、内申はもう決まっちゃってるのよ」
「成績は、2学期のものが行くわけだから、この中間テストは頑張ってもらわなくっちゃいけなかったのに、急降下なの」等々、どう考えても子供の高校受験を前にしたお母さんたちだなぁ。

「なんとかして、もう2、3点上がったら推薦受けられるかもしれないんだけど」と悩むお母さん、4科(美術・音楽・体育・美術)をなめてませんか?
そこがすでにオール5なら仕方ないけど、そこを中心に、成績を7点、飛躍的に伸ばした子もいるんですよ。
まあ、結局、推薦は落ちたけど、普通受験でちゃーんと取り返して合格しましたよ。

しかしそうか、息子が中3の頃は、3年生の1学期と2学期の平均で内申書つけてたから1学期から全滅の息子はもう上がる余地なし、と思っていたところに奇跡の7点アップだったんだが、2学期だけならいいよね。
まあ、期末で頑張ってください。4科の提出物を必ず出すことと、テストの成績を上げること。
4科のテストはそう難しくないから、教科書をひと通りさらっておくだけで全然違いますよ。

こんなことを考えながらランチを終え、お会計をしてスリッパを靴に履き替えて帰る。
「みんな、合格するといいねぇ」
「ホントにね」と言いながら、もう高校入試も大学入試も終わってしまったことをかみしめる。
息子の場合、もう2単位落とすと2年目の留年が決まるわけで、就職の内定までもらっちゃってるんだから、頑張ってほしい。
もっとも、最近の息子の行動はてきぱきとメリハリがきいており、気力横溢という感がある。

成績で選別されるのは中学生でも高校生でも同じ。
でも、社会に出るともう、ペーパーテスト受けるような気楽なことはさせてもらえない。
毎日、会社が儲かるように自分の適性を生かして努力するしかない。
その時初めて知るのだ、学校教育の甘さと、評価されない時の無力感を。
みんな、順調に高校を受け、大学を受ける人は受けて、そこまでで蓄えた力と自分の持ち味を生かして立派な社会人になってほしい。

というわけで、我々の手駒に「イタリアン」が加わった。
遊びにくる方、一緒にランチはいかがですか?

16年11月7日

ずうっと気になっていた左腕、手首近くの「ほくろ」をとることにした。
ほくろ、といっても色素沈着はほとんどなく、むしろ直径3mmぐらいの小さなものとはいえ、盛り上がったタイプだったのがイヤだったのだ。
小さい頃はなかったのに、歳とともに少しずつゆっくり大きくなってきたみたい。

左手のすぐ上とあって、授業中、ぼんやりすると眺めていた。
自分で削り取れないかとカッターで切ってみたこともあるし、爪切りで切ってみたりしたこともある。
でも、いずれの場合も、1、2週間してカサブタが取れてみたら、盛り上がった皮膚は元に戻っていた。

今回は、右腕が夏の間に日焼けしすぎてシミになってしまったので、大内くんがアレルギー性の皮膚炎を診てもらいに行った時、一緒に診察券を出して診てもらった。
皮膚は、まあ落ち着くだろうから待ちなさい、それより焼かないことの方が肝要ですよ、と叱られて、ついでに思い出したので、腕のほくろのことを相談してみたのだ。

「取らなくってもいいと思うけど、まあ、こういうのは人によっては気になるわよね。5千円ぐらいで取れますよ」と言われ、感染症とかないかどうかの血液検査を受けて、今日、手術だった。

SF映画を思わせるような白っぽい手術室の真ん中にベッドがあり、横たわって左腕を出す。
レーザーメスを使うせいか、貴金属は全部外してくるように言われたので、結婚指輪とピアスを外して来た。
ドクターが施術してくれたが、麻酔注射はほとんど感じないほど細い針を使ってるようだし、ほくろの切除も3、4度レーザーメスでえぐるように取るだけだった。
右腕に「アース」のための「板」を握るように言われ、かすかに肉の焼ける匂いがしたことだけが珍しかった。

今夜からもうお風呂に入っていいらしいし、洗って、軟膏をつけたガーゼを貼りなさい、と言われただけ。
次は1週間後に行って、予後を見てもらう。

夜になって、絆創膏を外してみたら、4mmぐらいの血のペイント。
洗ったら、ほとんど目立たなくなった。

こうして取り戻した(?)自然な身体が嬉しい。
家を出る時、たまたま息子と一緒になったので、
「何の医者行くの?」と訊かれ、ほくろを見せて「皮膚科で、取ってもらう」と言ったら、
「そんなこと、わざわざ・・・」とややあきれたように自転車で去って行った。
人には、気になること、ってのがあるんだよ!

16年11月9日

今日も息子は遅いのか。
何をしていることやら。
とりあえずラインで訊いてみる。
「して、今はどこに?」
答えがすぐ戻ってきた。
「塾長と飲んでる」

どうやら、塾の飲み会に参加してるらしく、塾長からもじゃんじゃん写真が送られてきちゃったり。
こういう、いろんな場を持っているのが彼の強みだ、といつも思う

大学入学後、息子はこの塾のバイトを半年ほどやったが、だんだんお笑いに割く時間の方が多くなり、しまいに塾長から「戦力外通達」を出されてしまった。
高校・大学と第一志望に押し込んでくれた恩師に対する態度としては、あんまりほめられたものではない。態度悪いよ!
そんな後足で砂をかけるように出て行ったバイト生を、再びあたたかく飲み会に誘ってくれるなんて、いい先生だ。
どんな話をしていたのか、どんな目をしていたか、聞きたいことはたくさんあるが、遅くとも年末の忘年会でお話しする機会があるだろう。

大内くんも、定年になったらその塾で講師として働きたいと思っているようだ。
毎晩、世界史とか勉強してる。
まずは私にもわかる易しい話からお願いします!

こうして、親子2代でお世話になってしまおうという街の塾。
冬場は子供たちが固まって出てきて、「キャーッ、寒うぅい!」の大合唱。
大量の子供ってのは、可愛いもんだなぁ。

塾長、これからも頑張って、いい塾にしてください。

16年11月10日

パーティーでもしないかぎり家には誰も来ないが、例外が、ガスや電気の点検の人。
特にガスは、「床暖房」「風呂」の2つの給湯システムについて定期的に点検をしてもらい、必要なら修理をしてもらう、という契約を結んでいるので、年に1回は点検の人が来てくれるのだ。

ベランダにあるボイラーが、去年「異音を立てる」ようになり、近所迷惑なので、このガス屋さんを呼んだ。
結局、5万ぐらい払って修理をするか、50万近くかけて新しいのを取りつけるか、どっちからしい。
まあ、今回は修理でいいだろう、と判断したが、次第に部品もなくなって行くので、どこかで決断して買い換えるんだろうなぁ。

大きな買い物で、老後にこういうのが来るとがっくりしそう。
勿論老後の計画資金では、メガネや入れ歯、壊れた家電の買い替え、等の費用は考えてはいるけど、どのくらいかかるのかわからないんだよね、実際。

家電が10年前後で不調になる、というのはさんざん体験したし、直すよりその時全盛のものを買った方が便利で安い、という経験もした。
今、一番必要な家電は、やはりPCだろうな。
冷蔵庫も洗濯機も必要だが、PCにはかなわない。
一気に孤島に漂着した感があると想像する。
ま、今はiPhoneやiPadがあるから、それほどは困らないかもしれないが。

人間は老化する。
家電も寿命が来る。
お互いいたわり合って、より良い老後をめざそう、と、機械を擬人化するくせのある私は、季節はずれなのに私と息子が風呂上がりにあたるからと言って1年中働いてくれている扇風機を、軽くぽんぽんっと叩いてしまうのだった。

16年11月12日

今日は比較的元気があるし、ひざの調子も悪くないから、もし出来れば吉祥寺に歩いて行って帰ってくる長時間の散歩をしよう、ということで、出かけた。
ところが、驚いたことに、足の運びはそれなりにスムーズなのに、現地に着いてみたら、前は3、40分で行けた距離に、たっぷり50分かかっている。
それだけ足が弱くなっている、ってことだなぁ。
考えてみたら、もう1年以上、往復の散歩はできず、帰りはバスに乗ったり、最初から自転車に乗って途中に停めて歩いたりしてるもんなぁ。
老化は足から始まる、という。気をつけねば。

いつものお店でいつものパッ・タイ。
でも、ちょっと気分が違う。
パッ・タイでなくてもいいような。
もしかしてこれは、ついに私がパッ・タイに飽きることができた証かな?
次回は「鶏挽肉のホーリーバジル炒め」を食べたいなぁ、と思いながら、しばらくはお別れになりそうなパッ・タイを食べた。

用事があるのでロフトへ行く。
バスオイルの手持ちが少なくなってきたのと、何しろ年末も近い。来年のカレンダーを買っておかねば。
大内くんは、もうちゃっかり自分の手帳は買っちゃったんだって。
私の家計簿は、毎年、講談社から出るやつに決めてるので、まだ発売になってない。

うちで使っているカレンダーは、書斎の卓上に置くものと、ひと月ごとに冷蔵庫に貼っておくもの、それから書斎の壁に大きなやつを1枚。
最後のは、1年過ぎても翌年の3月分まで一目で見渡せる優れた年間カレンダーだ。
毎年、お客さんが1人か2人の「小さな新年会」で、御年賀にと友人が持って来てくれる。
思えば息子の高校受験の年、また、大学受験の年には、まだ9月だというのに3月までびっちり予定が詰まっていたりして、たいそう役にたったものだ。
今でも、年度末の終わりまで見通せるこのカレンダーは重宝極まりない。

来年も、御年賀のご挨拶にこのカレンダー持って、彼女は来てくれるかな。
今年は妙に忙しい年で、彼女にもあんまり会えなかったな。
遅くとも来年の2月に一緒に落語聴きに行く約束をしてくれてるから、その時には会えるだろう。

16年11月13日

大内くんが、珍しいことに息子を相手に対話してる。
「卒業、できそう?」とか「8人グループの『コントライブ』はいつまでやるつもり?」といったベーシックな質問しかしてないのだが、彼の答えはなかなか「話す気、あるぞ」という意気込みで、いろんなことを語ってくれた。

12月には道を同じくするメンバーと一緒に「単独ライブ」を開催することになっており、大内くんの薦めで「貸借対照表」を作ることにし、今、準備のすべてが終わりつつあるらしい。
もちろん演技の方は直前まで練習するわけで、フライヤーを作ったとか、スタッフさんの手がそろったとか、そういう関係の、準備。
息子にとっては「いい演技を見せる・笑わせる」ことが準備の中心らしく、
「ひと月切ったのに、まだ書いてる」と半ば苦笑、半ばやるべきことをやっている人の顔になってた

いいラリーが続いていたので私は水を差さないよう後ろの椅子で静かに座っていたが、
「キミは、母さんに似て冷静なところが魅力だね。巻爪とアレルギーだけ父さんからもらって不本意だろうけど、頑張って成功させてごらん」と大内くんが言うに及んで、どうしても黙っていられなくなった。
「母さんは、あなたと父さんのことでアタマがほぼいっぱいで、もともと記憶力は悪いし、あんまりいいお手本じゃないんだけどね」と言ったら、息子が驚いたように私を凝視した。
「そんなわけないじゃん」と言いたいらしい。

息子「うん、やっぱ、オレっておふくろ似だよな」
大内くん「この人はね、具合が悪くなったから会社も辞めたけど、頭の中でいつもくるくると『どうしたら一番いいんだろう?!』って、考えまくってるんだよ。有能な人だよ」
息子「オレも、そう思うよ」
私(状況の展開にちょっと目を回して)「まあ、母さんに似てると思うと腹が立つこともあるだろうから、12年ぐらい前に亡くなった、名古屋のおじいちゃんに似てるんだ、って思ってみれば?あの人は、優秀な人だったよ」
息子「うん、そうだろうなーって思う」
私「だから、おじいちゃん似なんだ、と思っといて。母さん似じゃ、イヤだろうから」

ここで、息子は黄金のセリフを吐いた。
「似てるし、イヤじゃないし」

息子が、私に似てるのを認めた!そのことにネガティブな部分は、ない。そして、母親に似ているのが「イヤじゃない」のなら、それほど私のこともキライじゃないんだろう。

私は、例によって異様にハイになり、黙って息子の後頭部を見てるのが精一杯だった。
あとで大内くんが言うには、
「これはもう、立派に親バカの見本だけど、嬉しいのはしょうがないよねぇ。彼が、あんなふうにまっすぐキミを語ることは滅多にないことだし。でも、反抗期だから言えなかっただけで、キミの良さは充分わかってると思うよ」だそうだ。

やや、笑うようになった。
「オレって、目に光があるよね」
うん、確かに対象をまっすぐ見てる時のキミの目は光っている。
「目ヂカラ、ある?」
うん、こっちが押される迫力があるよ。
親だからかもしれないけど。

これまでいつも、地味な生徒でありながら、中3、高3の時に驚くような力を発揮してきた彼を、我々は「最終学年の男」と呼んでいる。
5年目とはいえ、今年が彼の「最終学年」だ。
仲間を見つけ、みんなでやろう!と立ち上がっている。
「単位取らなきゃ卒業できない!」と泣き言など言わず、苦手なドイツ語は「いちばん優しい先生を取った」とか、彼なりの作戦もあるようだ。
やると言えばやってきた「有言実行の男」。

「明日死んでも、後悔のない生き方をしたいし、それに近いことはできていると思う」
「オレはオレの脳みそを喜ばせてやりたいんだ」
彼の心意気を信じよう。

さて、今度のライブはどんなものか、楽しみでしょうがない。12月11日(日)下北沢です。昼の部と夜の部、2回やります。
皆さんも、1時間半ぐらい笑ってみたい方はご一報ください。
よろしくお願いします。

16年11月14日

大内くん、明日から4日間の韓国出張。
しかも今夜は接待で遅い。
幸い、9時前にお開きとなる健全な接待であったらしく、9時過ぎにはもう、一連のラインが入ってきた。
「終わった。帰る」「車」「人と一緒」
簡潔にして要ナリ。
たまにこうしてタクシーに乗せてもらえることがある。
それだけエラくなったってことかねぇ。
たいがい誰かとの相乗りだが、たま〜に相手方の接待だったりした場合、大内くん1人のためにタクシーを呼んでくれることもあるらしい。
そういう時は、ケータイでしゃべりながら帰って来られて、嬉しい。

比較的早く帰ってこられたのはいいが、韓国出張の準備をしなくちゃならない。
いつもなら日帰りかせいぜい1泊だったので、「パンツと髭剃りがあれば何とかなる」(本人談)のだそうだが、さすがに4日間に及ぶと、着替えもそれなりに持って行くようだ。
「パスポートとエアチケット、これだけあれば何とか。それにケータイと財布があれば何とでもなる」というのが口癖。
今回はさすがに荷物が多いみたいだけど、いつも使ってる小さなコロコロのスーツケースに何とかおさまったみたい。

ありがたいのは本で、まあ、大内くんみたいに仕事オンリーの人はともかく、行きの飛行でもう飽きちゃうじゃないか。
私みたいに「いつ、どこであの本が読みたくなるかわからん!」という生活をしていると、旅行荷物は本でぱんぱん。
iPadにしてから、その悩みは完全に消えた。
大内くんも読みかけの清水玲子を始め、いろんな本を持って行ったようだ。
まあ、よかったんだろう。
私なんか、年中500冊は持ち歩いてるぞ。

それでも、寂しいのは寂しいよね。
あまのじゃくな話だが、「いつも手元にあり、かつ旅行中だから持ってない」という本がひたすら狙われる。

500冊も持っていれば、まあ、その悩みも少ない。この幸せを忘れまい。
たとえ、大内くんがもっと長い出張に行っても、ガマンしよう。
(心意気だけはいいんだ、心意気だけは)

16年11月15日

私はケータイとiPad両方でラインが見られるようになっているが、これをPCでも見られるようにしてくれ、と大内くんに頼んだところ、何かの手違いで、私のケータイに入っていたラインがぜーんぶ消えてしまった。
一瞬の出来事。

大切なやり取りはPCに送信・保存してあったのでそれほどは困らなかったが、何人かの友達にはもう1度ライン復旧してくれるように頼み、サークルに入れていてくれた人にはもう1度招待してくれと頼む。
「もう1回、招待してくれませんか?」というお願いに、「はい、何度でも!」と元気よく答えてくれた4児の母、ミセスAにはお礼の言葉がない。
他の友達への橋渡しをいくつも引き受けてくれた名古屋の友達、Cちゃんにも。

さて、無茶苦茶になったラインを復旧することはできたが、悲しいことに、こつこつ集めたスタンプが全部なくなってしまった。
いろんな企業とお友達になって、少しずつ集めたのに。
頭に来て、ついに「スタンプを買う」という暴挙に出る。

しかし、使うのは「ありがとう」「すみません」「お休みなさい」と言ったベーシックなもの。
「相談乗るよ?」なんて高度な技を使うことは、まずあるまい。
スタンプを必要とするほどの精神生活、というか、人づき合いが私には、ない。

ラインくれる人、みんなスタンプをたくさん持っているうえ、ここぞ!という時の使い方がスゴイ。
再びあの仲間に入れるよう、今現在もせっせとスタンプ集め。
くやしいのは、息子にライン送った時。
「母さんのケータイ、一瞬壊れちゃったの」と、雲ひとつない青空の如くまっさらな画面(いや、設定上、薄い雲はあるんだけどね)に何の書き込みもまだないところに、とっときのスタンプ(ハイ、買いました)を送ったら、すぐさまエヴァンゲリオンの髪の毛が水色の人のスタンプを送りつけて来たこと。
お金がないはず(カードは押さえてある)なのに、どうやってあの「綾波レイ」(そうだ、思い出した!)のスタンプを入手したのか、機嫌がいい時に聞いておきたい。

今現在、「お財布とケータイ、どっちを落とす方が困りますか?」と街頭でアンケートを取ったら、多分「ケータイ派」の方が多いだろうと踏んでる。
今回、ラインが消えただけでも焦っちゃったもん。
あれは、短い間隔の連絡用で、私みたいに保存しておいて眺める人はあまりおらず、用が済んだら消えてもかまわない、と思ってる人が大多数なんだと思うけど、メールとか、アドレスとか、なくしたら困るものがわんさかと、あの小さな機械に入ってるんだからなぁ。
(大内くんはいつも、「いや、あの機械に入ってるわけじゃなくてね・・・」と何らか説明を試みるが、私には通じない。気の毒だなぁ)

その、苦労して復旧したラインで韓国から私に電話を試みた出張中の寂しい大内くんだったが、あいにく私は昼間悲しみ過ぎて、夜はさっさと寝てしまった。
なので、話はできず、翌朝私が起きたら「ホテル着いた」「よく寝てね」といったメッセージがぽつぽつと入っていた。
これはまたこれで、気の毒な話だ。
「ラインで起きなかったら、家電鳴らして」と頼んではあるのだが。
早くもすれ違いの生活か?!

16年11月16日

「父さん、出張中で寂しいから、なるべく早く帰って来て」と、たいしてあてにもせず息子に言っておいたら、キキメが抜群だったのか、たまにすごくヒマな日だったのか、いつもの午前様が9時に帰ってきた。
玄関先に出迎えたら、「ただいまー」といきなりハグだし。

「身体の調子、どう?」「疲れてない?」と訊きまくったあげくに、夕食の手伝いまでしてくれて(いや、焼くだけピザなんで、配膳をちょっと・・・)、自分の横を指差して、「ここ、ここに坐りなよ」と言って、息子が見かけていた「古畑任三郎」を見ることに。
私「あ、これ、精神科医の話でしょ」
息子「うん、そう」
私「笹山アリ先生」
息子「よく覚えてるねー」
私「泉昌之のマンガにあったよね。ケムール人」
息子(爆笑して)「あった、あった!」
こんなに話が通じる個体を育てたことには、深い喜びを感じる。
でも、古畑任三郎は、あなたが覚えてない頃に何度見たかわからないんだよ、こっちは。
ほとんど暗記してるんだよ。

一応終わりまで見て、息子は「あー、面白かった!」と機嫌がいい時の顔。
今日はいったいどうしちゃったんだろう?
やっぱり、大内くんがいないから、「オレがしっかりしなきゃ」って思ってくれてるのかな。

今やってるコント集団のことなんかもぽつぽつ話してくれて、
「はあ〜、こりゃ、本当に終わってるわ、反抗期」とニコニコしている息子の顔をまじまじと見る。
(ヒマな人は、3年ぐらい前の日記と読み比べてみてください。もう、全然様相が違うんだから)
「母さんのこと、好き?」と聞きたかったけど、それはもう終わった話なんだし、と自らを戒めて、言わなかった。

全体に、「オレはやるよ」モード全開。
彼は、何もかも遅いんだなぁ。
今、大学に入ったら、いったいどれだけのことができるだろう。
大内くんとよく、
「日本の、高校から大学に半数が行く現状、それに伴って新卒以外の雇用が安定しない状態、これはもう、高校出たら1回働いて、その中から『職業としての大学生』を選ぶしか、解決の道はない。息子にとって大学生活は面白い経験だっただろうけど、自分がどんなに恵まれているかは決してわからないだろう」と話している。

その中でさらにオクテな息子が何かを始めるとしたら、やっと今ぐらいからだ。
なんとか、コント集団を1つ立ち上げて、
「公演を、12月と3月にやって、そのあとはみんな就職しちゃうから、厳しくはなるね。でも、頑張ってみるよ」と素直に言える彼が育ってくれて、本当に嬉しい。

ちなみに、彼のハグは大安売りである。
5年ぐらい前は何か決意した時とか、遠くへ旅に出る時しかしてもらえなかったんだけど(最初にしてくれた時は驚いたなぁ)、今では、正面に立って、軽く両手を広げると、「ん」と言って、むぎゅっと力強いハグをしてくれる。
カノジョのせいかなぁ、こんなに明るくなったのは。
月末には、ついにカノジョのお父さんと会食をするらしい。
息子は何にも話してくれないだろうから、あとでカノジョからぜ〜んぶ聞き出しちゃおっと。

16年11月17日

おとといは私が寝てて、昨日は非常に接続が悪くて通じなくて、泣く泣くメッセージですませた大内くんとの会話を、やっと普通にすることができた。
韓国だろうが地球の裏側だろうが、一瞬でつながるラインというのは、いったいどういう代物なのだろうか。

実は、大内くんの会社で家族向けにやってくれる「半日人間ドック」を毎年受けていて、今日もそのために近くの病院に行っていたのだ。
「人間ドック、どうだった?」と大内くんに聞かれ、「大丈夫」と答えた、それは嘘ではないのだが、実は、思っていたより胸部大動脈りゅうが太いらしく、担当のドクターが、
「5センチってのはやっぱり相当太いですしね、胸の音を聴いても、雑音がかなりあります。この状態で、さして兆候のない『バリウムを飲んでの胃部レントゲン』と『肺機能検査』をやるのはリスクが高いんですよ。1度、かかりつけの先生に相談してみてください」と言う。
つまり胃部レントゲンと肺機能検査は割愛する、と。

バカモノ、こちらは6週間に1回、行きつけの病院で血液と尿のサンプルを出して検査してるんだぞ。肺レントゲンも年に数度は受けてるし、今度、MRIだって受けるんだぞ。
ついでに言えば、緑内障の検査・治療も受けてるんだ。
関係ないけどひざの関節痛で2週に1度病院行ってるし。

「人間ドック」のメニューに入っていて私の役に立つものと言えば、乳がん検査と子宮頸がん検査だけじゃないか!
普段やってる検査とほとんど変わらないんだよ!
便の潜血反応だって、おととし出たからあわてて内視鏡やったけど、ただの治りかけの潰瘍しか見られなかった。
いったい何のためにこの重なりまくってる検査をおとなしく受けに来てると思ってるんだ、胃部レントゲンと肺機能は検査してないからじゃないか。
来月、私が胃がんだってわかったら、どうしてくれるんだ!

というわけで、検査を受けさせてもらえないものがあった、それぐらい不健康だった、と大内くんに電話で知らせるのもどうかと思うので、とりあえずナイショだ。

ああ、ホントにもう、この検査のダブり具合を見ると、大内くんがいつも言っている、
「患者の検査結果は全部ICチップに入れて、保険証に組み入れておく。いつ、どこの病院に行っても、再検査の必要がない」と言うシステムは正しい、と思っちゃうよ。検査キット代だって安くはなかろーに。

バリウム飲むのをまぬがれたことだけはありがたいが、現代の医学に非常に不信感を持って帰った。
中性脂肪とか、細かいこと言うな。
明日、大内くんが帰って来たら、言わなくっちゃなぁ。

16年11月18日

今日は、大内くんが帰ってくる!
最終便の飛行機だから家に着くのは夜中の1時頃になると言っていたけど、とにかく帰って来るんだ!
「今日、帰るよ!」とラインをもらい、嬉しくてしょうがない・・・はず。
なのに、なんかスッキリしない。なぜ?
私は大内くんに帰って来てほしくないの?

小半時考えて、出た結論。
毎日、待ってる人がいる、というのがストレスなのだ。
朝、会社に出るのを見送って、1日、帰りを待つ。
その日によって帰る時間は違い、大内くんは毎週の予定をカレンダーに書いてくれるし、変更があれば連絡もくれるしで、待ちぼうけってことはないけど、やっぱり、1日「早く帰らないかな」と思って過ごすのは身体に悪い。
今みたいに、「どうせ明日も明後日も帰ってこないんだ!」って思える方が、ストレスは少ないような気がする。

とか言って帰って来なくなっても困るので、とりあえず道中の無事は願う。
最終的に家に帰って来ることも願う。
いつものように「真田丸」を見て終わる週末を願う。
配偶者の不在、なかなか奥が深い。

16年11月19日

昨日の夜中、大内くんが3泊4日の出張から帰ってきた。
夜中に、いつもの2つ先のバス停まで迎えに行って、「久しぶりだねぇ」なんて言いながら歩いて帰った。
さすがに翌朝の今日はなかなか起きられず、結局、午前中いっぱい、とろけるように寝た。

その後もまとまったことをする気にならず、車で買い出しに行き、帰りにツタヤでDVD借りて帰ってきたことだけが前向き。
まあまあ面白く2本を見て、残りの2本は来週返却になりそう。
今週は吉祥寺にもタイ料理にも天丼にも縁がなく、肉まんふかして食べたのが唯一のご馳走。
こういう日、1日1食主義の我々は、晩ごはんには適当に作り置きの煮物とごはんですませてしまったりするのだ。

本当は、1日1食ドカ食いは太る、3食きちんと少なめに食べるのがダイエットの王道だが、趣味嗜好からどうしても1日に1回は「ちゃんと食べた!」という記憶が欲しい我々は、やむを得ず1日1食主義に走っている、というわけ。
何にしても、やせないなぁ。
大内くんは、
「日々の積み重ねだよ。一時的にヤケになってたらダイエットは成功しないよ」と上から目線。くやしい。
しかし、たった今現在、私はわずかに彼より体重で上回っているからなぁ。
いわゆる「負けが込んだ状態」で、何も言い返せないのであった。

ああ、ダイエット生活は苦しい。
でも、ここで頑張っておかないと将来にわたって悪影響が出るからなぁ。
すでに左足に「変形性膝関節炎」を抱えている。心臓も悪い。
体重を減らして困ることは1つもないので、大内くんと一緒に頑張ろう!
「1本増量!」の4本入りみたらし団子を2人で喜んで夕食後のお茶と一緒にいただいているようでは全然ダメなんだが、そこはそれ、「潤いのない生活はかえってストレスになる」と言い切っちゃってるのよね、2人とも。

なんとか、2年前にイタリアに行った、あのときの体重に戻りたい。
イタリアンを満喫したい一心で15キロの減量に成功したとはいうものの、その後の心身のゆるみで、あっという間に10キロぐらいリバウンドが来て、今に至る。

1年後にまたローマへ行く計画なので、そろそろ本腰を入れないとなぁ・・・ズッキーニのフライ、アーティチョークのオイル煮、サルティンボッカが我々を呼んでいる!

16年11月20日

我が家は、5年ほど前から、本・マンガを完全にデータ化(自炊、と呼ぶ)しているのだが、時々激しい後悔に襲われる。
マンガはいいんだ、マンガは。どうせ無制限に増殖して行くし、事実、自炊を始めてからこっち、「全巻ドットコム」等のお世話になって、8千冊が1万5千冊ぐらいに増えた。
空間を使わず、HDの容量だけの問題なので、いくらでも買えちゃうのだ。

だが、書斎の壁に置いてあった文庫用本棚2本分の文庫まで自炊してしまったのは、ちょっと勢いに乗り過ぎてはいなかったか?
そのまま置いておこうと思えば置いておけたし、やはり本は人を語るので、開架してある分も少しは残しておきたかったかなーと、私の人生で一番の後悔のタネになっている。

というのも、息子が本を読み始めたからなんだよね。
今23歳だが、20歳ぐらいまでほとんど本を読まず、マンガだけですませていた彼の身辺に本が登場するようになったのが3年ほど前。
そもそも、ハタチのお祝いに連れて行ってあげた豪華ディナーの後、ラウンジで話をしていたら、
「オレ、最近推理小説読んでるんだ」と言われ、「何を?」と驚いて尋ねたら、「占星術殺人事件」。
「アゾート!」
「うん、アゾート、アゾート」
読んでない人には意味不明だろうが、島田荘司じゃないか!
ほとんど全部、家にあったんだぞ。自炊しちゃったけど。

それから3年。
貴志祐介のホラー等を経て、彼は今、何とハルキストになってしまった。
家の近所の市の図書館で借りてきては、持ち歩いて読んでる気配。
(気配も何も、延滞すると図書館から家のPCに「督促状」がくる、しかも息子は督促されない限り返しに行かないようなので、彼の借りた本は即、我々の知るところとなるのだ)
家ではほとんど本を読んでるところを見せず、ケータイやゲームばかり触っているけど、けっこう分厚いものをデイパックでしょって出かけて行くので、読み進んではいるようだ。

そんな彼に、できれば私たちが読んだ本を眺めてもらいたかった。
2本で2メートル四方ぐらいに文庫本がぎっしり詰まった本棚を見たら、彼はどう思っただろう?
あんまり私が後悔してうなだれてるので、大内くんは一生懸命、
「親の本棚なんて、見やしないよ。図書館の膨大な書架を見てるんだから、いいじゃない?」と慰めにかかるが、私としてはその本棚から息子がついと島田荘司を引っ張り出して読む、なんてことも期待しちゃうのだ。もう遅いけど。

しかし、本は捨ててしまったわけではない。データとしてHDに眠っている。
家ではiPad Retinaを使ってマンガ読んでる息子に、
「小説はダメ?」と聞いたら、
「オレは紙で読みたい。マンガでも、知ってる作者さんならタブレットでも読めるが、初めて読む人のは本を買っている。まして小説は、タブレットでは読めない」ときっぱり言われてまた落ち込んでいた。

しかし、落ち込んでいるだけではないのが私のいいところ。
大内くんがiPad miniで読書していて、
「何のストレスもない。いくらでも本を所有することができるようになって、自炊万歳だ」と言っているのを聞いて、もしかして息子もiPad miniなら文庫本とか読めるかも!と頭に血が上って来たんだよね。

私はiPad Air2で見開き状態でないと文庫本が読めないのだが、息子はどうだろう?
大内くんをその路線で説得し、まずは彼のiPad miniをまっさらにしてもらい、最近カノジョの影響か、演劇畑に興味がある息子のために、つかこうへいや井上ひさしを入れてもらい、あとは北杜夫とか古典を少々。
そうしておいて、miniを彼に差し出してみた。

「使いやすいから、よければ使ってみて」と渡したら、さほど抵抗の色もなく、「うん、ありがと」と言ってデイパックに詰めて出かけて行った、
そして数日後、外出中の彼に、
「iPad mini、どう」とラインで聞いてみたら、
「ああ、時々読んでるよ」
「使い勝手はどう?」
「まあ、よいよー」
「文庫本なら楽に読めると思うんだけど」
「そうね」
というやり取りを経て、私としてはいい感触をつかんだ気持ち。

大内くんは今、古い「ネクサス」を使っているが、
「やはりcpuが小さいので動作が遅い。ページめくりの時に少しストレスがある。でも、充分に読める」とのことなので、まことに申し訳ないんだが、もう1週間ぐらい貸しておいてもらって、息子のiPad miniの評判を聞き、時はクリスマス、場合によっては無理やり買っちゃって、我々の本を入れたHD、カバー等周辺機器類用に5千円ぐらいの現金をセットにして、プレゼントしちゃおう!という計画が進行中。

何しろ来春からIT業界にお勤めだ。
家で使ってる重くて不自由なタブレットを持って歩くのも大変だし、小型のタブレットをひとつぐらい持っていても全然おかしくない、というか、むしろ必需品では?

大内くんはしみじみと語る。
「これが成功したら、『親の本棚』を見て、そこから好きな本を持って行くことができるわけだ。キミの、取り返しがつかない悲願は、それで解決されるかもしれない。確かに僕らは、油断してたよね。よもや息子が小説を読み始めるなんて思っても見なかったからね。キミのいいところは、後悔しても、そのあとの『何としても持ち直す!』と言う気力だね」

私の蔵書の中から「ご近所スキャンダル」のたぐいを引き上げ、場合によっては清水義範が多すぎるので少しけずって(息子は名古屋人じゃないからなぁ)、ちょっと体裁整えてHDに入れてもらおう。
ついに親と本棚を共有するといいなぁ。
我々が自炊してる頃、彼はまだ全然と言っていいほど本に興味がなかったから。
ところが最近はカノジョからも、
「すごくいっぱい本を読んでて、頭のいい人なんです!」と手放しの賛辞を受けて、いったいどこで何をどうごまかしてるんだろう?と疑問に思う日々である。

大内くんにもiPad miniが帰ってくるし、私は家に居るばっかりだからAirで全然かまわない。
うまく行けば、この家は、iPad2台、iPad mini2台、ネクサスが2台、パソコン2台という、「本もマンガも過去のラブレターも全部スキャンしちゃった」家としては、充分に装備の整った家になるだろう。

息子よ、本をもっと読め。
読書ってのは、本当にいいものだよ。

16年11月21日

私は読書がわりと好きだ。
子供の頃から本を抱えていさえすれば機嫌がよかったものだが、最近では読み返しが多くなり、新刊は文庫になるのを待ってそれがブックオフの100均棚に並んでから買う、という気の長さ。

そんな私でも、読書がイヤになる日が来るとは思ったこともなかった。
だが、あるのだ、そういう恐怖の時が。
おそらく老眼のせいで目がくたびれてしまうからだと思うが、1冊読み通すのに半日はかかる。
しかも気力が充実している時しか読めない。

こないだまで「読書の波」が来ていたので、かなりいいペースで読めた。マンガはさらに快調。
もう、新しい本は年に4、5冊でいいや、それより、今まで読んできた本と、もっと仲良くなりたいなぁ、と思う今日この頃。

ところが。
読書の波が去ってしまった。
まったく、潮が引くようにさーっと。
浜辺にはページの切れ端も落ちていない。

大内くんにそう話したら、
「誰でも読書の波は来るよ。すごく読めたり読めなかったり。どっちにしろ、あせってもしょうがないしねぇ」
「でも、私は今晩からいったい何を楽しみにベッドに入ればいいの?!」と涙ながらに訴えたら、
「iPadで落語を聴いたり、映画を観たりしたらどう?」。
うーん、さすがは眠りのエキスパート、どうやったら眠くなるかにも詳しい大内くん、GJ!
(眠くならないコツは専門外のようだが)

今、テレビ局じゃないところでも自分とこで映像作品作って有料で視聴させてるじゃん。
huluとかdtvとか。
息子がよく見てるのでhuluは続けるつもりだが、dtvはなぁ、いったん無料期間中にやめたことがあるが、今、私がマンガを読んで気に行ってしまった「高台家の人々」のドラマを作って流しているのだ。
「あ、これ観たい」と素直にもう1回登録し(今度は最初から有料)、そして、その30分ドラマが第2話までしかないのに気づく。
これでおしまいなのか、これからぞくぞくと続きを作るのか、見当もつかない。
私は、いつdtvをやめたらいいのだろうか。

息子が就活している時に、落とされた腹いせか、
「テレビにはもう未来がない。終わってる」としきりに言っていて、私たち自身、気がつくとテレビ放送を観なくなってるんだよね。
(BSの方がまだ面白い、と言っても過言ではない)
こうやって、有料チャンネルに市場を奪われて行くのかな。

しかし、問題はそこではない。
私がいかにして安眠するかだ。
確かに、こないだ「DEATH NOTE」をdtvで観た時は、いつのまにか寝ていて、朝になったら終わっていたなぁ。
今夜はYouTuneで喬太郎さんでも観てみるか。
読書の波がまた来るまでは。

16年11月23日

仕事に疲れた時、ウィークデイにぽつんとはさまった祝日というのもまことにありがたいものだ。
大内くんは昼まで寝倒し、午後は散歩に行ってからまた昼寝→テレビ鑑賞→お風呂→食事、と一連の流れるような作業をすべてこなした。
「『真田丸』がないことだけが不満のタネだね」と言いつつ、早めにベッドに行って、互いの読書をする。
大内くんは今、私の勧めで森本梢子の「高台家の人々」を読んでいる。
「大変面白い」とのこと。

清水玲子の「秘密」をシーズン0(ゼロ)まで読み切ってのハイペース。
寝る前の30分ほどを充てているらしい。
それが終わると歴史の本とか英語の参考書とか、なにやら前向きなものを読んでいて、怖いので私は関係しない。

ただ、最近友人に勧められたマンガとか、「このマンガがすごい!2016年版」とかに助けられて、私でさえ全部読むのは大変なぐらい。
4児の母である友人ミセスAは、どうやって時間を捻出してるのだろう?睡眠時間を削っている?

1冊1冊、大内くんと、
「やっぱりマンガはいいよねぇ・・・今でもこんなクオリティのマンガが発売され続けているんだ!」と叫ぶのが楽しみ。

16年11月24日

朝、起きたらすごい雪が降っていた。
天気予報である程度は予想してたが、これほど降るとは。

4時半に起きる早起きの大内くんに6時に起こしてもらい、7時20分にリクエスト通り、1限から出席の息子を起こす。
雪のご利益なのか、いつもはなかなか起きない息子も一発で起きてくれて、全員が何のトラブルもなく定時に家を出られた、稀有な日であった。
雪が降ったことより珍しいかもしれない。
息子は長靴で足元完全武装のいでたちだった。

大内くんは最近忙しくて、今日も多分遅くなる、と言って出かけた。
結局、去年の2月から忙しかった、そのペースが事実上変わってないような気がする。
「あと数年のことだし」と53歳になろうとしている彼は言うし、何しろお給料がいただける以上、不平を言ってる場合じゃない。
自分1人で商売を立ち上げたってそんなに儲からないし、今以上に働かなきゃいけないだろう。
大内くんにとっては、サラリーマンが一番コスパがいいのだ。

ひるがえって息子のこと。
やや単位が危ないものの、本人は「6年生はない。来春卒業して、就職する」ときっぱり言っているので、まあ大丈夫だろう。
そのあとはゲーム会社の「プランナー」として働くそうで、これは、ゲームのコンセプトを作り、デザイナー、SEに渡していく仕事らしい。
くわしいことは全然教えてくれないので、困っている。
まあ、今の時点で家を出る話が全然出ないので、きっと家から通勤するんだろう、そしたら仕事の話もしてくれるかもしれない、とミョーな期待を抱いている。
この12月から休学に入り、1年、自分磨きをしつつ就活して、2018年に卒業する予定のカノジョと、彼女が働き出したら一緒に暮らすのもいいんじゃないか、と思っている。(本人たちの思惑は知らんが)

何もかも来春。
雪を見ながら考えた。
息子との別離の時期も来るかもしれない。いや、全然来なくてはその方が困る。
だんだん自立して行ってもらいたい、と思いながらも、自分の部屋さえ掃除したことがない人が、どうやって暮らしていくのか、面白さ半分、怖さ半分である。

16年11月26日

疲れていたわりにはまあまあ早起きができたので、大内くんと散歩で吉祥寺に出かけようかと思ったが、行く直前になって気持ちが萎えた。
どうもひざが痛いような気がするし、腰もなんだかあぶない。
外出すること自体はOKなんだが、途中でぎっくり腰になるのもイヤだしなぁ。

「まあ、とにかく出かけてみようよ」ということで、バスで行く。
いつも行くひざの病院は混んでいて、1時間以上待ちが予測されるらしい。
めずらしいな。今日、土曜日の午後が休診だからかしら。

大内くんに、
「待ってたら、タイ料理屋さんのオープンに間に合わないよ。私、また別の日に1人で来るから」と言ったら、彼はまったく違うナイスアイディアを持っていたのだった。
受付に行ったと思ったら、
「ちょっと用をすませて来たいんですけど、何時までに戻ればいいですか?」と聞いてくれたのだ。
「12時半までは大丈夫ですよ。お戻りになられたらひと言おかけください」と受付のおばさんもにこやかで、どうやら10時の今から12時半まで、我々はヒマになったらしい。

「すごーい!よくあんなこと、思いついたね。私はもう、待つかやめとくかだと思ってた!」と、歩きながら大内くんを絶賛。
ロフトに行ってバスオイルを買い足し、文房具売り場で切れかけていた一筆箋を買う。
飾りつけはもうクリスマスだ。こないだまでハロウィンだったのに。
「クルン・サイアム」が開店する11時半までまたゆとりがあったので、ブックオフへ。

あんまりね、行きたくないんだよね、ブックオフ。
本見ると、つい買いたくなっちゃうし、でも家にある未読の山のことを思うと、今さら1冊2冊買っても読めやしないのに、と思う。
一方、東野圭吾や宮部みゆきの新作は、とろ火であぶられるような気分で文庫化を待っている。
これまでの経験で、私は文庫本をiPadで見開きで読むのが好きで、新刊書のあの小さな活字にはどうにも耐えられないことがわかってきた。
なので、新作読みたさに新刊書に手を出しても、1年ぐらいたつともう1度文庫で買い直す、というバカげた無駄遣いをくりかえしているのだ。

私だって、経験から学ぶ生き物だ。
1800円もする新刊書なんか買わないぞ!

なので文庫のフロアをめぐって、ちょっと読みたいな、と思う本を10冊ほど買ってしまった。
ところが、家に帰ってみたら、ダブってるものが3冊もあるのを発見して、号泣。
先輩の名言、「ダブるのが何だ。俺なんかしょっちゅうトリプるぞ!」を思い出して、ぐっと我慢だ。
今度、ブックオフに持ってってみよう。多分値段つかないけど。

そして、ついに私は、クルン・サイアムで焼きビーフンの「パッ・タイ」以外のものを食べることができた。
「鶏挽肉のホーリーバジル炒め」だ。
思えばこの1年以上、ほぼ毎週、クルン・サイアムに通いながら、「パッ・タイ」ばかり食べていた私。
今回も、飽きたというよりは、他のものも食べられることを、誰かに、何かに証明したかっただけのような気がする。
ひと月もしたら、また「パッ・タイ」に戻って来そうな予感・・・

で、病院に戻って受付に戻った旨伝えたら、次にすぐ呼ばれた。
いつもの注射を打ってもらい、痛み止めのシップをもらう。
それにしても今日の大内くんはブラボーであったなぁ。

帰りに優秀な魚屋に寄る。
私としては、翌週大内くんは1泊2日の出張に行くし、息子も「単独コントライブ」が2週間後に迫っているから、あんまり家でごはん食べないかもしれないんだよね。
作り置きをしておいてくれるのはありがたいけど、私は最近ハマってるピザを食べたい。

そんな思いとは無縁に、大内くんはいろいろ魚を物色している。
「この、『なめたかれい』の切り身の大きいこと!いい煮物ができるだろうなぁ」
「豆アジ、あるじゃない。揚げて、キミの好きな南蛮漬け作ってあげよう。味つけはまかせるよ」

そんなことを言いながらバスで帰って、今度は車で家を出て優秀な八百屋へ。
ここでも、彼は里芋がでかいだのホウレンソウが安いだのいろいろ言いながら、どうやら「豚汁」を作りたいらしい。
ほぼ毎週煮ている南瓜の煮物も。

スーパーに回って肉類、お菓子類を買って、あー、冷蔵庫がいったんパンパンだ。
いったん、というのは、明日、その中身を使って料理大会を開くから。
でも、くたびれたからまずお昼寝・・・ぐー・・・

16年11月27日

午前中は大内くん仕事して、結局昼過ぎまでかかっちゃって、くたびれて昼寝。
起きたら5時。よく寝ちゃった。
大内くんは、大河ドラマ「真田丸」までにお風呂も料理もごはんも全部終わらせる、と豪語している。
「邪魔だから、キッチンから出て」と追い出された私はソファに横たわって、大内くんと話をし、いちおう調理を励ますカンジ。
確かにお風呂にも入ったし、なめたかれい4切れのうち今日食べない予定の2切れはタッパーに横たわってるし、タッパーいっぱいの茹でたほうれん草、タッパー2つ分の南瓜の煮物、鍋いっぱいの豚汁、今夜の分のカブの味噌汁、後日「アン」をかけて食べようという炊いたカブ4個、などがきれいにできあがった。

ところが、さあごはんだ、となっても、南瓜の煮物もほうれん草も食べさせてもらえない。
「あれは、作り置きだから。来週、食べて」って言われても、私は、食べ物が足りない恐怖より余る恐怖の方がでかいんですけど。
懇願して、ほうれん草はかれいの煮つけの彩りに、二口ぐらいずつ乗せてもらった。
南瓜は、まあ私がおやつ代わりにつまむからいいか。

「いただきます」と食べ始めたとたん、大内くんが大声を出す。
「しまった、豆アジの南蛮漬けのことをすっかり忘れていた!」
そういえば。

「いいよ、『真田丸』見てからちゃちゃっとやっちゃおう」と言ったんだけど、いったん火のついた大内くんは燃え盛る男。
「いや!『真田丸』は録画を追っかける。まずは豆アジを揚げちゃう!」
まあ、おかげさまでごはんは「真田丸」を気にしないでゆっくり食べられたけどね。
かれいの汁に浸したほうれん草はとてもおいしくて、乗せたのは正解でしたよ。

それにしてもなぁ、あんだけの食べ物を作って、晩ごはんにはかれいの煮つけとお味噌汁しか出ないの?
カブの炊いたのとか、食べればいいのに。
「いや、食べ過ぎは良くない」と言う大内くんは、料理を食べることより作ることの方が好きなのかなぁ。私は真逆だけど。

無事、南蛮漬けができて、「真田丸」を見て、お休みが終わって行きます。しみじみ。
明日は大内くん、出張でお留守だよ。寂しいなぁ。

16年11月28日

大内くんが出張で寂しいと思いきや、息子は授業に間に合うように1人でさっさと昼前に起きて、見送る私に「ん」と言ってハグしてくれた。
そのことでぽーっとなって昼寝してたら、7時ごろ、息子から電話。
「どう、元気?」
「うん」
「今日、カノジョ来てもいい?」
もちろんかまわない。と言うか、最近、来てもいいかどうか、いちおう形だけでも聞いてくるなぁ。
前は、「カノジョ、来るから」と一方的な通達ラインが来ただけだったんだが。
今日に至っては、本当に珍しく、電話で来たよ。
「父さんいなくて寂しいから、お客さんが来てくれる方が嬉しい。来て来て」と騒いでしまった。

数日前に、心臓の調子があまり良くないこと、もしかしたら手術するかもしれないことを話したせいだろうか。
だとしたら、ずいぶんな重荷を負わせてしまったものだ。
現実にそうなる直前に話すべきだったか。
いやしかし、彼も成人としての家族の構成員だ。
家族に起こり得ることは彼にも相談し、それなりの役割を果たしてもらわなければならない。

カノジョと一緒に帰ってきた息子は、私がカノジョに、
「今晩、お父さんいないから、寂しかったの。来てくれてありがとう!」と言ったら、カノジョが、
「あらっ、それじゃ、おしゃべりしましょう!」と言うのを身体で遮るようにして「いいから、いいから」と言いながら、私を寝室に押し込む。
押し込みついでにまたぎゅうぎゅうハグして元気を分けてくれたので、なんか、寂しいとか、解決しちゃったなぁ。
唯一無二の大内くんではあるけど、息子はけっこう代わりになるよ。

出張先でホテルに入ったら電話くれると言っていたのに、かかってきたのは何と夜中の1時過ぎ!
「飲み会なの?」
「そう。ひどいんだよ。これで、明日は5時20分発の電車に乗らなきゃいけない」
「話してる場合じゃないじゃない!すぐ寝なきゃ!」
「いや、もう、意地でもキミと話す。離れていて、寂しくてしょうがない」
「私も寂しかったんだけどね、息子がね・・・」とハグのくだりを語ったら、
「あの野郎、1人でいいとこさらいやがって・・・おまけにカノジョも来てるんでしょ?」
「そう。仲良く映画観てる」
「何やら、面白くないなぁ。しょぼいホテルだけど、大浴場が夜中までやってるそうだよ。これはぜひ入りに行かねば」
「ますます寝る時間がなくなるよ〜!」
「もう、やけだ!ゆっくりつかってくる!」

というわけで大内くんはお風呂に入りに行き、私はそろそろ寝ようかという午前2時。
恋人たちのシネマアワーも終わったようで、明日の授業は責任もって彼女が起こしてくれるらしいので、私は安楽に眠ることができる。
大内くんがいなくても安楽だなんて、私も、ずいぶん遠いところまで来たものだなぁ。

16年11月29日

あらためて考える間もなく、買っちゃいましたよ、iPad mini 4。
夜中に大内くんと2人話していて、息子がどう思おうと、1度与えてしまおうと。
とりあえず、今は大内くんのを貸してあげて、彼は初期に買ったネクサスに戻っているけど、大興奮中であろう来週の「コントライブ」が終わったら、本格的に持たせてしまおう。

息子に、
「父さんのiPad mini、つかってごらん。あんがい便利だよ」って、何か良くないキャッチセールでもしてるみたいじゃない!
私はあくまで、我が家の本が全部電子化されている現状で息子に少しでも両親の足跡をだどる読書の旅でもしてもらえたら、と思っているだけなのだ。

「まあまあ。そんなにムキにならなくても、iPad miniは使いやすいから、きっと使うようになるよ。そもそも3月からはサラリーマンになってお勤めなんだから、使う機会もあるだろうし。そうしたら、キミの夢だった『息子との本棚の共有』ができるね。キミは本当に息子が好きなんだね」と大内くん。

アマゾンさんからあっという間に送られてきた製品を見ると、うーん、やはり美しい。
機能の極致は美に行きつく、と聞くが、うなずいちゃうかも。
使えるようになるとこまでやっといてあげよう、と思って、立ち上げから実験的に本を入れて読んでみるところまでは行けた。
で、今は実験的に私が使っている(笑)

しかし、なんだねぇ、私も頑固に「本は見開きで読みたい」と言ってiPad Air 2を愛用しており、miniには心が動いたことがなかった。
miniだと片ページずつ見る格好になるんだよね、
大内くん、毎日持って歩いて、
「もう、これなしでは暮らせない。見開き?僕は、視野が狭いというか、いっぺんに端から端まで見えないので、普通のiPadで読んでいると眼球を左右に動かすことになり、非常に気持ちが悪い。なので、miniで全然OK!」なのだそうだ。

このほど、遅ればせながら私も試してみたら、うん、確かに片ページって読みやすい。
文庫本サイズよりわずかに大きい画面で、字体もきれいに出る。見やすい。
こんなんだったら、私も欲しいなぁ、とつぶやいたら、例によって大内くんは、
「買えば?」と一瞬の疑問も持たないみたい。
我々は、日頃質素に暮らしているので、こういう時に止まらないんだよね。

でもなぁ、やっぱりマンガはどう考えても見開きで読みたいし、Airは大きさ的にちょうどいいし。
病院に行く時、iPad miniを持って行ってみたが、携行性の良さからいくと、Airとは比較にならない。
小さめのバッグにもすっぽり入るし、出して読むにもサイズがちょうどいい。
しかし、私は日頃ほとんど外出しないわけで・・・文庫本より文字が小さい、新刊書とかはダメだし、やはりAirの方が・・・と堂々巡りをしていたら、大内くんがまたしても、
「買えば?両方、いいんでしょ。じゃあ、両方あった方がいいじゃない。そもそも我が家の本もマンガも全部、タブレットなしには読めない状態なんだよ。それが2万5千冊あるんだよ。出口がひとつやふたつですむと思うの?!」と強気のアドバイス。
とどめに、
「クリスマス・プレゼントに贈るよ。だったらいいでしょう?」。
あーん、もう断る口実がないー。
アマゾンにぽちっとされてしまったー!

これで、コントライブが終わったら同居家族全員が自分のiPad miniを持ち、私と息子は普通サイズのiPadも持っているという状態になる。
無駄遣いに終わりませんように・・・

今週末、ママ友忘年会で吉祥寺に行くついでに、息子のと私の、両方のカバーを買う予定。(アップルさんの周辺機器は高いですね。涙)
これをきっかけに、少しは「書を持とう、家を出よう」という心境になれるといいんだが。

16年11月30日

「息子にiPadで本を読ませる会」の活動の一環として外出している彼に、ラインを打ってみる。
「mini、どう?」
「時々読んでる」
「使い心地は?
「んー、よいよ」
「来春からいちおうIT業界なんだから、そういうのも使ってみたら?」
「あー、そうね」

これだけの会話の中から、息子が新しく手に入れたiPad miniを使いこなしているか、面白いと思っているかは全く判別不能。
どうも、あんまり使ってなさそうだな。
大内くんは、
「手元にあれば、そのうち使うようになるよ。クオリティーといい、携行性といい、僕はものすごく薦めちゃうな」という意見。

子供に本を読ませる、特に自分たちが勝手に自炊しちゃったものを今さら読め、というのはいささか乱暴なのはわかってる。
でも、息子と世界が共有できたら嬉しいんだよね。
そんなら彼の本棚の「アイ アム ア ヒーロー」を読むあたりから始めよ、と天から声がする。
あれも、そのうち読んでみなくっちゃあなぁ。

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