18年4月1日

今日は井の頭公園花見でのお花見。
例年は私の大学の昼桜、井の頭公園の昼桜、同公園の夜桜、と3回お花見をするんだが、今年はちょっとキビシイんで夜桜を割愛しよう。
公園を回ってゆっくり散歩して帰れるように、自転車で出かけるのはやめてバスに乗って行こうね。

年末以来行ってなかった「まめ蔵」で、もう廃止になる「カレーひと皿無料」のスタンプカードを使って1人分を浮かす。
いろんなことが変わっていくなぁ。
らっきょうがなくなって福神漬けだけになったり、カレーのテイクアウトが平日の夕方以降だけになったり、今度はスタンプカードもなくなった。
でも、40年通ってる間には盛り付けが変わったり味が変わったりお店を改装したり、そりゃあもう様々な変化があったわけで、お店があって大内くんがいる限り、一緒に通い続けたい。

来週末から始める予定の「糖質オフ」準備のため、「ハム」と「チーズ」と「くるみ」を手に入れたいと思った。
しかし、駅ビルの優秀な肉屋で見たロースハムの塊は1キロ3800円もする!
「ハムってこんなにするんだねー」
「塊をじゃんじゃん切ってマヨネーズつけて食べようと思ってたのにねー」と言いながら、敗退。
今度、業務スーパーに行って見てみよう。
あとは楽天?

「チーズ王国」に行って、
「糖質制限をしてるんですけど、おススメのチーズはどれですか?」と聞いたら、
「こちらですね。脂肪分も少なくなってます」と教えてくれたのはいいけど、無茶苦茶高い!
なんとか平静を装って、
「どうやって食べるといいですか?」と聞くと、
「薄くスライスして、パンにのせて召し上がってください」。
糖質制限だってば!
やんわりそう言ったら、少しあわてて「では、そのままでも」とのことだけど、この値段でチーズだけばかすか食べるってのは無理ですね。
お礼を言って立ち去った。
スーパーで雪印の6Pカマンベールを買おう。一番コスパ良さそう。

くるみは、乾物屋さんとか自然食品のお店とか見たけど、高い高い。
「少ししか入ってなくて高いものなんだねぇ。しょうがないから、買ったら?」と大内くんが言うのに、
「輸入食材屋に大袋で売ってそう。カルディアとか」と答えると、
「カルディアなら、確かこっちにあったよ」と手を引っ張ってどんどん路地裏に入って行く。
おお、あった!あいかわらず凄いナビゲーションだ。
そして私の思惑もズバリ当たって、450グラムの大袋を980円でゲット。これまでの最安値。
良いコンビネーションだ、と自画自賛の気持ちになった。

しかし、100均ショップでシャワーキャップを探している時に、私の腰に異変が起こった。
かがんだひょうしに「ぐっきり」とイヤな感触がして、激痛が走ったのだ。
「これは、ぎっくり腰!」とあせる。
脂汗がにじんできたが、とりあえず花見だけは敢行したい。

よろよろと公園に降りて行く道をたどると、ものすごい人混みだ。
あたり一面にブルーシートが敷き詰められ、足の踏み場もないほど人が座りこんで酒やつまみを広げており、なぜかドンキホーテの鮮やかな黄色い袋がたくさん、場違いな花束のようにあちこちに点在している。
皆さん、なに買ってんの?

池をぐるっと回って桜を見てついでに人混みをたっぷり見て、今年の花見はおしまい。
しめくくりに、池のほとりに去年できた老人ホームを見に行く。
落ち着いたいいとこだ。
所用あって訪れた大内くんによると、私が生涯のむワーファリンも普通に処方してくれるんだそうだ。
ホームの真ん前にはマッサージ屋さんがあって、訪問施術もしているらしい。

掲示してあるポスターをよく読んで、入居費用や月々の支払いを考える。
ふんふん、小さな2人部屋ならなんとか暮らしていけそうだ。
私が70歳になったら申し込みをして、近隣に新築の別の施設ができるのをにらみながら順番待ちをして、空いたらここに入居、という流れを心に決めて大いなる達成感を味わった。
2人とも70歳を超える頃には気に入ったところに落ち着けるだろう。

ここらへんで腰が限界になったので、大通りに出てバスに乗って帰った。
すんごく痛くて横になるのもままならないけど、実りあるお出かけで、満足満足。

そうこうするうちに、息子がツィッターで5月初めの「単独公演」を発表した。その翌日、渡米するのだそうだ。
まさかエイプリル・フール?!
(その後チケットを2人分頼んだら「おう」と言われたので、どうやら本気らしい)

18年4月2日

夜中に息子から、
「今日の朝、行ったら迷惑?」とメッセージが来たが、ぎっくり腰が痛くて眠れないでいたので、
「母さん、ぎっくり腰になって寝てるから、また今度ね」と返事しておいた。
たまには断らせてくれ。
君も「じゃあいいや」って返事をくれたじゃないか。

なのに、来た。
お構いできない、と言ったら、「いいからいいから」と言って勝手に冷凍スパゲッティ―あっためて食べてる。
それは私の晩ごはんになる予定だったんだ。

「シャワー浴びるね」と気持ちよさそうにしてたが、私が今朝、痛む腰をおしてうんうん言いながら洗濯してすっきりしてたのに、また洗濯かごにバスタオルが入ってしまった。
それだけで胸にひそかに湧き上がってくる軽い殺意を、彼は知らない。

こざっぱりして腹いっぱいになって帰って行ったなぁ。
心配していた渡米費用の無心をされるでもなし、さて、いったい何がしたくて来たんだろう?
「目が痛い」と言うから「どれどれ」と近づいたら、「いや、見なくていい」って、じゃあ何でいちいち言うんだ!
病院代は「貸して」と言われたが。

ちなみにあとで、
「眼医者さん、どうだった?薬もらった?」と聞いたら、
「もらった。ふたつの意味で」と返ってきたので驚いて、
「え?病気もらったの?」と聞くと、
「ものもらいね」とのこと。
母さん、良くない病気のことかと思っちゃったよ。
アメリカでも気をつけてくれい。

18年4月3日

息子の元カノに卒業祝いのメッセージを送ったら、「遅くなってすみません」と返事が来た。
家庭の事情その他もろもろでこの春には卒業せず、6月卒業になるようだ。
フリーで働き始めているという。
今日は息子と会ってアメリカ行きの話をくわしく聞くんだそうだ。
今でも友達づきあいがあるのはいいね。

「Mちゃん、6月卒業になるんだね。別れたのがストレスで調子悪かったのかと、心配になるね。しかし、みんな不安定な生活に飛び込んで行くなぁ・・・応援しよう」

と大内くんに打ったつもりが、間違えて家族グループに。
すぐに息子から返信があった。
「あら、そうなのね」
・・・超・誤爆じゃないか!

陰で大内くんに、
「うわー、息子が読んだよ。うー」と泣きついたら、
「ギリギリ辛口と言えるのでは」となぐさめてくれた。
まあ、裏で悪口を言っている、というわけではないんだが、思ったからって言うようなことでもない気がする・・・
傷口を広げるだけだから、無言で通そう。

複数のラインやメッセンジャーのグループを持っている人は、こういうことよくあるんだろうか。
愛人に送るものを妻に送ってしまった、なんて話をネットでは見るが、私は交信相手が少ないんでまさか自分が誤爆するとは思ってなかったよ。
これからうーんと気をつけなきゃ・・・

18年4月4日

朝9時から始まる美容院、マッサージ、皮膚科、の3連発。
明日人に会うのに髪の毛ぼさぼさで、ぎっくり腰で、皮膚科だけはひと月前から予約が入れてあってもう薬がなくなってしまう、という事情がミックスされるとこうなるんだ。

美容院は、4月から担当さんが育休明けて戻ってくると思ってたのに、保育園が見つからないのでまだ復職できないんだそうだ。
働く女性の道は険しい。
現在は毎回テキトーに違う人に担当してもらってるので気軽なおしゃべりもしにくいんだけど、新しい人の新しい情報を入れてしまうと、私は絶対忘れるからなぁ。

「担当者の復帰が遅れるようでしたら、よろしければまたご指名ください」と名刺をくれたのは営業努力なんだろうが、わりと融通の利かない一夫一妻主義みたいな傾向がこういうところにも出てしまい、「担当さんだけを待ち続けたい!」と心の中で意味なくきりっと決意している。

この場合は戻ってくると思うのでまだいいんだけど、美容師さんってよくお店を変わるじゃない?
気に入った髪型にしてもらう、というコミュニケーションがド下手なんで、いったんわかってくれた担当さんと、離れたくないんだよね。
大昔に、お店を変わる担当さんを追っかけてるうちにどんどん遠くの美容院に行く羽目になり、大内くんと車で走ってる時に、
「あ、ここ、私がいつも行ってる美容院」と言ったら、
「こんなイスカンダルまで来てるの!?」と驚愕されたことがあるよ。
確かに、自転車で30分以上かかるとこだった。

そもそも、髪を切りに行きたくないんだよ。面倒くさくて。
大内くんにバリカンでベリーショートにしてもらってた頃は楽でよかったんだが、実は短いヘアスタイルの私はあまり好きじゃないらしいということが判明し、毎回、
「あんまり切らないでね。ちょっとそろえるだけにしてね」と懇願されている。
西原理恵子言うところの「髪を切った日に、『髪、伸びたね〜』と言う夫」よりは数段マシなんだろうが、妻の髪型にあんまりうるさい男ってのもなんだか手間がかかるね。
世の中には面倒なことが多いなぁ。

マッサージは、安いクーポンがもらえた時だけ行ってたところ、なんと大内くんの会社には年間3万円を限度に旅行やマッサージ等の補助をしてくれる制度があるらしい。
「それ、今年から発生したの?」と聞いたら、
「いや、前からあった」
「じゃあ、今までずっと、無駄にしてきたの?」
「そう。こないだ、知らなかった人たちが集まって、『うわ〜!』って驚いた」。
バカモノ!福利厚生手帳を隅から隅まで熟読せよ!
というわけで、今回から領収証をもらいます。

マッサージがあんまり気持ちよくって、完全に寝落ちしてしまった。
ここ2日間、腰が痛くて眠れなかったんだもん。
「終わったらヨガ教室が始まっていて、『床で蛇のポーズをしているおばさんたち』を踏まないようにそーっとベッドから降りて帰る」という夢をみていたんで、「はい、お疲れさまでした」と声をかけられた時は思わず床を始めとした室内を見回してしまいましたよ。

「まだ痛かったら病院を受診してくださいね」と言うのは誠意なのか自信のなさなのか、と首をかしげながらお礼を言って出てきて、実に美しく時間キチキチに、自転車で次の予定へ。

手術から1年近くたつ胸の傷が赤く腫れてケロイドになり、痛くてかゆいので、皮膚科で治療を受けている。
月に1回、傷跡に沿って細い針で注射を打つのと、アレルギー止めの飲み薬をもらって。
女性は乳房で両側に引っ張られるから傷が開きがちなんだそうで、シリコン入りのテープで留めることを勧められたんだが、皮膚が弱くてそれはそれでかゆくなる。
今は「ケロコート」という「塗る包帯」、原理的には「乾くと透明になるボンドみたい」な薬剤を塗っている。

注射打ちながらおっぱいつついて、
「大きいから引っ張られちゃうのよね。胸を真ん中に寄せないと。さらしでも巻いといたら?」
って言うの、女医さんでなかったらセクハラなのでは?

「ケロコート、どう?」と聞いてくれるのは嬉しいが、
「これもシリコンテープ同様かぶれる気がしますが、本来、そういうことはないんですよね?」
「いや、あるわよ」
先生、「テープがかぶれるなら、かぶれない『液体包帯』使う?」って言ったじゃん!

もともと大内くんのアトピーの主治医で、カワイイので我が家では人気の先生なんだけど、どうも私には冷たい気がするなぁ。
しょうがないので我々夫婦の間では、
「大内くんに気があるうえ貧乳を苦にしており、巨乳(?)で夫をたらしこんでいる妻に嫉妬の念を隠せない」という解釈にしている。
先生、ごめんなさい!

薬局で薬をもらって帰り、今回も華麗に予定を消化したことを寿ぎつつ、まだ腰が痛いのでぬるま湯のお風呂にゆっくり入って快癒をはかる。
切ったばかりの髪を濡らしたくなくて100均で買ったシャワーキャップをかぶったら、美容師さんが苦労してブローしてくれたスタイルは台無しになった(涙)
まあ、マッサージ台でよだれをたらして寝込んでる間にすでに台無しだったとも言えるんだが。

大内くんが定時に帰ったので一緒にごはん。
2人とも食事が悪いのか、どうも体の調子がふるわない。野菜不足だろうか。
「一面のクローバーの野原で、手当たり次第に苦い草を摘んで口に入れたい」という点で意見が一致した。
私は特に手抜きのインスタント食品、とりわけでんぷん質の摂取が多すぎる気がする。お好み焼きとかパスタとか。
早く糖質オフを始めてみたい。

18年4月5日

大内くんがまんがくらぶの友人たちとの「政治談議の会」に出たので、ノンポリの私も野次馬として聞きに行った。
これについてはくわしく書きたいんだが、お出かけが堪えたのかぎっくり腰が再発し、痛くてパソコンの前に坐れないので、来週お届けします。
面白かったよ!

18年4月6日

昨日の夜、大内くんが友達の呼びかけに応じて参加した「新年度政治談議 混戦吊るし上げの巻」に、完全ノンポリの野次馬という立場でついて行った。
ヒマなのでスフレで腹ごしらえしたのちに定刻20分前からお店に行ってたんだが、開始時刻に大内くんが現れるより早く他の2人が来てしまったことに驚愕した。まんがくらぶなのに。

本題に入る前に会社経営のKくんが商売上のトラブルを口にしたら、法務畑30年の大内くんが大真面目に相談に乗り始め、けっこう真剣に「なるほど!」とメモをとるKくんに驚く。まんがくらぶだったのに。

大内くんが会場に選んだパブはほぼ貸し切り状態で「過激な話し合いもOK」ではあったが、照明が暗くて老眼の4人が資料を読むのは少しつらかったのと、BGMのジャズがややうるさかったのは誤算であったろう。

さて、私は大いなるカンチガイをしていた。
言い出しっぺの反安倍派、Gくんは「ネトウヨ」だと思ってたら、「全然違う!」と怒られた。
Kくんも、
「あこちゃんはネトウヨを誤解している。『ネットにうようよしてる人たち』とか思ってませんか?」と笑っていた。
すまん、Gくんはいつもネット上で政治の難しい話をぶち上げているから、こういう人は「ネトウヨ」なんだろう、と思っていたんだ。
「反安倍派」はむしろ左翼。よし、覚えた。
しかし、今回の話し合いでは皆さん、「特に右だ左だと言う気はないが」って前置きが多い気がした。
これが紳士の話し方というものか。

大内くんは、
「私は新聞もテレビも全然見なくて、朝、ヤフーニュースのヘッドラインをながめるのと通勤電車で中吊り広告を見るだけがニュースソースです」と言って呆れられてた。
横で聞いてる私ですら、こんな人が支持してる安倍ってのは大したことないんだろうなぁ、と思うぐらいだ。
前の晩、ツィッターで耳年増になってる私から、
「これだけスキャンダルまみれの政権のどこを支持してんの?!」と詰め寄られて、
「少し安倍支持が揺らいできた。皆さんのお話をよく聞いて考えたい」と転向の意思を示す穏健派。

予想通り難しい話になってわからんところばっかりなんだが、エキセントリックな芸術家気質だったKくんから、
「子供を戦争に行かせたくない」と言われて、ノンポリの私もそこには大いに賛成だ。
ただ、これを大声で叫ぶだけというややこしい人にはなりたくない。
冷静で現実的なKくんからいろいろ学んで、少しでも良い日本を次世代に渡したいと思った。
師匠、ついて行きます!

一方私も少し大内くんを指導せにゃならんと思ったのは、彼がツィッターもFACEBOOKも全然理解できてないところ。
「FBにはコメントがつくが、ツィッターにはそれがないところがいい」と思っていたらしい。
ツイにはリプライがつけられるし、そこで泥沼になり炎上することもしょっちゅうあるぞ。
ツィッター始めたまえ。つぶやかなくてもいいから。

18年4月7日

糖質制限を始めようと、朝から買い物に走りまくる。
優秀な八百屋で、ほうれん草、ブロッコリー、大根、キャベツ、レタス、カブ、アボガド、ネギ、大葉、生姜などを買い求めた。
パセリの大束50円なんて、本当にお買い得だったと思う。

続いて業務スーパーに行ってみてびっくり。
昔よく来ていた頃より断然品揃えが良くなっている。
牛乳パック的なものに「抹茶プリン」「チーズケーキ」などと書いてあるので、「これはいったい何だろう?」と驚きまくったのだが、どうやら液体ではなくそれぞれ固体らしい。
「こんなの見つけちゃったら糖質制限できないじゃないの!」と叫びつつ、今日明日で食べてしまおうと大内くんが大好きな「マンゴープリン」を買った。

歓喜に震えたのは298円の見事な「ぶりのアラ」。当然2パック買う。
人工甘味料を使ってぶり大根作ろう。
かつおの大きな冊も安い。
2キロ2千円の豚ロースかたまりはゆで豚に。
よしながふみのレシピでピリ辛ネギごまだれ作ってつけて食べたい。

ハムもベーコンも超安値。キロ単位で買う。鶏ももとささみも2キロずつ。
6Pタイプのチーズをいろいろ。カマンベールも好き。
ツナやサーディンの缶詰も安いので買っておこう。
くるみの最安値も見つけた。この間カルディアで450gを3パック買ったのがなくなったらここに買いにくればいいね。
大内くんと焼酎で晩酌しようと思って買ったのが1.8リットル1300円の巨大ボトル。
お会計で万札が飛ぶことよりも、荷物の重さで糖質制限の大変さを思い知った。

午後は息子を呼んで坦々麺ご馳走しようと思ったのに、1時に来るはずが、
「ごめん、勘違いしてた。5時ごろ行く」と言われてがっくりしながら、とりあえず昼ごはん。
晩ごはんのつもりだった「カツオのたたき」を昼に回そう。
ほうれん草のおひたしとカブの味噌汁つけて、うーん、こーゆー食事だったら、コメの飯さえのぞけば糖質制限しなくてもダイエットにはなるかもね。

大内くんのお昼寝を見守りつつマンガ読んでたら、息子から「少し遅れる」とメッセージ。イラッとするなぁ。
「用事が長引いた」って、どうせアパートで寝てたんでしょ、と邪推しちゃうじゃないか。
来たのは結局6時だよ!

「アメリカでストリートしたいのは石塚真一の『BLUE GIANT SUPREME』読んだ影響?」と聞いたら、
「まあ、それもあるかな」と正直だね。
「せっかくバイトが見つかって生活も落ち着きかけてるんだし、東京とか大阪でストリート・コントしてからにしたら?」という意見の大内くんに対し、私は、
「まあ、やりたいようにやったら?行ってから後悔しないように計画はちゃんとたてておきなよ」と言っておこう。
保守派の意見あっての革新である、とありがたく思う次第。

「来週から母さんたちは糖質制限だから」と、残っていたインスタントラーメンや冷凍うどん、冷凍パスタなどを全部持たせた。
あったかくなってきたので薄い布団を出してあげて、みんなまとめて車に積み込んでアパートまで送って行く。

3ヶ月ぶりに入った息子の部屋はそれほど無茶苦茶なことにはなっていないが、あまり生活していないからではあろう。
「シーツとか1回も洗濯してないんじゃないの?」と聞くと、「カノジョがしてくれてる」だそうで。
ヒモへの道が一番早いか?実は私はそれもひとつの職業だと思っているのだが。

ずっと返せと言っていたタッパーを毎回忘れたと言いわけしていたのは、中身が入ったまま1階の共同冷蔵庫に入れっぱなしにしていたからだと判明。なぜせめて自室の冷蔵庫まで運んでこない?
家で始末するからと言ってもらってきたが、ところどころ緑やピンクの物体が発生している「きんぴらレンコン」や「鶏鍋の汁」を見て、もう二度とおかずを持たせたりすまいと決意した。
中身を捨てて洗ってくれた大内くんによると「有毒ガスが出ている。目にしみる」とのこと。生物兵器。
3ヶ月前に見た時からずっと中身が分離したままの「午後の紅茶ミルクティー」のボトルも回収してきて捨てた。

3か月間日本を離れる間アパートを引き払うことも考えているって、こういうものを含めた家財道具をまた実家に持ち込もうとしていたのか。
帰ってきてすぐ生活を軌道に乗せるためにも、何とか家賃を工面して住み続けてもらいたい。
正直なところ、一度荷物ごと帰ってこられるぐらいなら3ヶ月分の家賃を負担してもいいと思うほどだ。
教育上悪いのでこちらから言い出すわけにもいかない事案ではあるが。

18年4月8日

友人女性が久しぶりに遊びにきてくれた。
「寝坊したので遅れる!」と連絡がきたところから始まり、早朝起きで豚ロースかたまりをゆでたりぶり大根を仕込んだり野菜を刻んだりして「糖質制限1週間目」にそなえていた我々は「まったくもう、Kちゃんたら」と頭を振っていたのだが、彼女が他の予定をすべて割愛して大急ぎですっ飛んできたので、実際にはほぼほぼ予定の時間に「たこ焼きパーティー」が始まったのであった。

いつものようにいろんな話をしても、やはり目玉の話題は息子のアメリカ行き計画。
自由を愛する彼女は息子を支持してくれるものの、そこはやはりオトナなので、心配もしているようだ。
私は「理解ある母親」とも思われたいし、「常識的な判断をしている」とも思われたい、ビミョーな立場。

2時からたこ焼き食べて6時にはカオマンガイを食べ始めるという無茶なスケジュールだったが、「ゆっくりだけどそれなりに食べられる」ゲストのおかげでつつがなく食事は終わった。
糖質制限を始める前に、エスニック料理の好きな彼女にどうしてもカオマンガイを食べてもらいたかったし、「たこパ」もしたかったので、詰め込んだ午後になってしまったよ。

さらに彼女が持ってきてくれたお菓子を食べ、今日中に片づけてしまいたい甘酒を飲む。酒池肉林。
ほぼしらふでもたいそう話が盛り上がって、楽しい。
何かの拍子におくめんもなく、
「私って、いいこと言うなぁ、と思う」と告白したら、なんだかとっても彼女にウケてしまった。
やけになって、
「日頃、人に会わないから、もっとほめてほしいんだ!」と言うと、向こうもちょっと真顔になって、
「わりと人をほめる方なんだが、まだ足りないかぁ。もっとあこちゃんをほめるようにするよ」と言ってくれた。

5月の「休日講座」でまた会えるし、それまでにも、糖質制限が許す範囲でイタリアンでも食べに行こう、と約束して、6時間もの饗宴を終えて帰って行った。

私によく似ているような、正反対の性向のような、30年以上つきあっても正体不明な女性なんだ。
大内くんはおおむね誰にでも愛想がいいが、彼女のことは特にお気に入りであると思われる。
妻に死に別れてやもめになった場合の「茶飲み友達候補」として私からお願いしたこともあるんだけど、にこやかに却下されたのは惜しい。
また遊ぼうね。

18年4月10日

息子が「明日、車を貸してほしい」と言ってきたので「何に使うの?」と聞いたら、
「近所に住んでるサークル時代の後輩とよく行った銭湯に入りに行く」んだそうだ。
ちょっと遠いから、自転車がない今は車が必要なのか。
普通料金なのに露天風呂やサウナもあって、けっこうあちこちから人が来るとこなので、駐車場もあるんだよね。
まあいいよ。

「ぶり大根とかサラダとかゆで豚とかあるから、ついでに食べて行きなよ」と大内くんが返すと、
「じゃあ、18時に伺って19時に借りて行くね」。
大「わかった。父さん、明日は会社休むから、いるよ」
息子「何時までに返せばいいとかある?」
大「特にないけど、23時ごろには返して」
息子「遅れそうなら連絡する。2時までには返す。そいでカギはポストに入れとくわ」
大「お風呂にしては遅いね」
息子「まあわからない。もっと早いかも」
大「なるべく23時ごろには返してね。心配だから」
息子「うん」

また今週も息子と顔を合わせてしまうなぁ。
渡米の準備は進んでいるかとか聞きたいことはあるからいいんだけど、だいたい彼と会うとろくな目に合わないからなぁ。
とってもイヤな予感しかしない。

18年4月11日

所用あって大内くんがお休みを取ってくれたので、まずはゆっくり朝寝して、ベーコン3枚に卵3つという超ぜいたくなベーコンエッグを食べてから出かける。
自転車で駅前に行くんだ。
のんびりしすぎちゃって、あんまり時間ないよ。

マンションの駐輪場で、大内くんびっくり。自転車がないんだって!
「僕、前に朝イチで出張に行く時、バスが動いてないから自転車で駅まで行って、帰りはすっかり忘れてバスに乗っちゃったかも!」
「それだと自転車はどこにあるの?」
「駐輪場に置きっぱなしだ・・・」
「うーん、とにかく用事のある三鷹までバスで行って、それがすんでから電車で吉祥寺の駐輪場を見に行こうよ。もしそこにあったら、あなたは乗って帰って、私はバスで帰ればいいよ」
「キミは本当にフローチャート書くのうまいね・・・僕はもう、びっくりしてドキドキして何にも考えられないよ・・・」
と言いながら、急いでバスに乗り、三鷹に向かう。

バスの中で大内くんはやたらに手帳をぱらぱらめくって焦りまくっている。
「いつの出張だったかなぁ・・・もしかしたらひと月近く前かもしれない。駐輪料金がむちゃくちゃかかってるかも・・・でも、息子がこないだ来た時に勝手に乗って帰っちゃったのかもしれないし・・・聞いてみようかなぁ・・・」
と今にもメッセージを送ろうとしているので、
「駐輪場にないのを確認してからでいいじゃない。いつの出張だったかも、今調べたってしょうがないよ。駐輪場にあったら清算してみるしかないでしょう」と厳しく言うと、
「てきぱきしてるなぁ・・・こういう時には本当に頼りになる。ありがとう・・・」と、もうなんだか青息吐息だねぇ。

えーと、用をすませまして、電車に乗って見に行きました。
結論なんですが、ありました。
「長期放置は禁止です」という貼り紙がついていて、日付を見るとどうやら3週間置きっぱなしたもよう。
ただ、料金は3日分しかカウントしないでくれてたようで、精算機が出した金額は「3千円」。
「よかった〜、フルに取られてたら2万円以上になるところだった。新しい自転車が買えちゃうよ」と大内くんは胸をなでおろしていたが、3週間も放置されていたママチャリはカゴにゴミは入れられてるしなんだかうすら汚れて、すっかり性格がすさんで世の中をナナメに見るようになってる風情だった。可哀想に。

それでも無事に発見できてめでたかったので、帰る前に大内くんに新しいウェストポーチを買ってあげた。
こないだ病院のついでに1人で来た時、今使ってるのと同じブランドのいいのがあったんだよ。
「僕はこの早稲田カラー(えんじ色)のやつが気に入ったんだけど、キミはどれがいいと思う?」
「冬場にあなたがえんじ色のパーカーを着て上半身全部早稲田色になるところを想像すると、他の色の方がいいと思うんだけどね。この水玉の青いやつはどう?」
「キミがいいと思うのでいいよ。自分じゃ見えなくて、キミの目にどう映るかが重要なんだから」
「こっちの『どピンク』のはどう?」
「僕もそれ、ちょっといいと思ったんだよ。でも、こういう鮮やかな色はすぐに汚れちゃうからねぇ」
「じゃあ、やっぱり青いのがいいよ。ほら、こっちに鏡あるから自分でも見てごらん。今日の青っぽいのパーカーとGパンによく似合うよ」
「そうだね、これにしよう!」

というわけで、新品のポーチにすっかり元気を取り戻した大内くんは自転車に乗って帰り、私は1人でバスで帰った。
家で再び顔を合わせたら、とっても機嫌が良かったので私も嬉しい。
「ここんとこ仕事が忙しかったから、休みを取ってよかったよ。すごく楽しかったよ!ありがとう!」と言われて、思わず口をついて出た言葉は、

「今日は、いい骨抜きになったでしょう!」

・・・はい、「骨休み」と「息抜き」が合体してました・・・言い間違えました・・・
こんな「大内くん的マチガイ」をするなんて!
穴があったら入りたいので、息子の話はまた明日。

18年4月12日

昨日、息子が来た。
めずらしく約束の時間より早く来たし、わりと機嫌よくいろんな話をしていた。
彼には冷凍ご飯をレンジしてつけて食事出してあげたんだが、でんぷん抜きのメニューを胡散臭そうに見て、
「糖質制限なんて根拠ないだろう。糖分とらないと頭が働かないぞ」とあまり感心しない様子だった。
野菜がたくさんあったのは嬉しいようだったし、ゆで豚とピリ辛ネギソースには「うまいねー!」と言ってたけどね。よしながふみに感謝。

大内くんとは比較的友好的で、
「オヤジの会社にも新入社員きた?」
「ああ、大勢きたよ。みんな背筋がぴんと伸びているから一目でわかる。1年もすればくたびれてしおしおになってくるんだけどね」
「ふーん、どんな人を採用するの?」
「人柄のこと?出身大学のこと?」
「まぁ、人柄かな」
「どこでもそうだろうけど、『冷静な頭脳と熱いハート』の人が欲しいって言うね」
「なるほどー」
とか話が弾んでた。

アメリカに行く計画は進んでいるそうで、資金繰りは今考えてるけどまだ見通しが立たないらしい。
そろそろエアチケットも買わなきゃいけないだろうに。
「もうオトナなんだから何をするのも自分の責任において自由だけど、人に迷惑をかけないことは当然だよ。この場合の『人』には親も含まれるんだからね」とだけ言っておいた。

予定通り車で後輩と銭湯に行くらしく、サンダル履きでは運転しにくいから、と大内くんのスニーカーを借りて履いて行った。
よく考えてるのか、アパートを出る時に考えが足りないのか、判断に苦しむ。

「帰りは11時ごろ?母さんたちは11時には寝るから、遅くなるようならその前に連絡入れてね」と言っておいたのに、時間になっても音沙汰なし。
大内くんが寝てしまった11時半ごろになって電話があって、
「まだ風呂屋にいる。乗せてきた人を送るから、家に帰るのは1時ごろになる」と言う。
結局、1時過ぎにやっと帰ってきた。

この時点で既に「ルーズだなぁ」と嫌気がさしているうえ、もともとはポストに車のカギを入れておく、と言ってたぐらいだからすぐ帰ると思っていたのに、ソファーにごろんと横になる。
泊めると朝起きなくてまたお互い嫌な思いをするから、と思い、
「泊まってくの?」
「どうしようかなぁ」
「帰りなよ」
「歩いて?」
(旅先で自転車を捨ててきたのも、バスがない時間まで帰ってこなかったのも自分じゃん、とムッとした私)
「車で送って行くから」
「歩くから、いいよ。しばらくしたら帰る」と会話して書斎に引っ込んだが、帰る様子がないので、
「いつ帰るの?」
「15分ぐらいたったら」
(15分後)
「まだ帰らないの?」
「そのうち帰るから。お気になさらず」
「母さんは気になるんだよ」と押し問答になった。

「まだ自分のうちだと思ってるのに追い返されるから、イヤなの?」
「はあ?もう10分したら帰るから」
「もうずっと前に『15分たったら帰る』って言ってたけど、帰らないじゃん。それとどう区別するの?」
だんだん声が大きくなって、とうとう大内くんが起きてきてしまった。

いつものループに入って私がこじれてるのをすぐに見てとり、書斎に連れて行って話を聞いてくれたので説明すると、息子と話しにまたリビングに行ってくれた。
しばらくしたら帰る気配がしたので玄関に行ったら、
「ほら、母さん来たよ」と大内くん。
息子が私にさよならを言おうと待っていたらしい。

「さよなら。気をつけてね」と言うと、息子は急にニコニコして長いハグをしてくれた。
「じゃあね」と帰る後ろ姿を見て、なんだかとっても悲しくなった。

「予定が立たないと不安な私と気分のままに動きたい息子は、対立する生き物なんだよ。共存できない。倶(とも)に天を戴かず」と泣くと、
「彼に『母さんは君が嫌いで言ってるんじゃないんだよ』って言ったら、『わかってるよ。ちょっとイラッとしただけで、大丈夫だから』って言ってたよ。あの子はキミによく似て頭がはっきりしてるから、30歳を過ぎる頃になればきっと親の気持ち、キミの気持ちもわかってくるよ」と慰めてくれた。
あなたも板挟みで大変だねぇ。

わかってる。私は料簡が狭くて融通が利かない。
本当によくわかってるからこそ家に閉じこもって暮らしているのに、息子は私のテリトリーに入ってきて好き勝手をするから、憎みそうになってしまう。
せっかく別居してるんだし、お互い自分の生活を大事にして、思いやり合える範囲で会えばいいと思う。
そんなふうに思う私は母親としては失格なんだろうけど、とりあえず不自由なく健康に育てたことだけでいいとしてもらいたい。

問題はきっと、「私の家」は彼にとっても「自分の家」だってことだ。
それも含めて、彼がもっと自立するのを待つしかないのかな。

18年4月13日

今日は2度目の北島亭。
よしながふみの「愛がなくても喰っていけます」で読んでどうしても食べたかった「牛ほほ肉のはちみつ入り赤ワイン煮込み」を作ってもらえるよう、事前にシェフに頼んであるんだ。

その前に新宿マルイ本館に新しくできたApple Storeに行って、古いiPadの下取りと新品購入を。
うまく動作しない時もあるんだが、検品の際に問題なく動いたのでいい値で買い取ってもらえた。
その金額を足して、古くて重いiPadを使っている大内くんに軽い新製品を買ってあげられてよかった。

色はスペースグレー。
何色でもいいよ、と言われたが、ディスプレイのまわりが黒いのはこれだけで、私のiPad Air2は白いので、区別がつけやすいと思って。

四ツ谷に移動して会社帰りの大内くんと待ち合わせて、北島亭へ。
前回と同じく、4品選べて量はそこそこ多いコースを頼んだ。
冷たい前菜はそれぞれ「生ガキのマリネ」「アカザエビのマリネ」をもらって半分こ。
温かい前菜から先は2人同じ料理を頼むことになっているので、「フォアグラのポアレ」。
魚は「アマダイのポアレ」、そして肉料理は「牛ほほ肉」。

糖質制限をしていることは電話で相談してあって、
「フレンチは基本的に糖質はほとんど使いませんから大丈夫ですが、牛ほほ肉煮込みは引っかかりますよ」と言われたけど、
「いや、それだけはどうしても食べたいので」と押し切った。
パンは最初からお断りさせてもらった。

「フォアグラはかなり脂肪分があってカロリーが高いですが、いいんですか?」と聞かれ、
「脂肪はいいんです。炭水化物だけ、気にしてます」と答える。

アミューズの「焼き蛤」からもう、凝縮された塩の旨み。
よしながふみの言う、「塩が効いてる、でも濃すぎない」の境地だ。
生ガキ、こんなに大粒のふっくらしたカキは見たことない!ビネガーソースが脳天を駆け抜ける。
アカザエビはちょっとしかないのに割増値段で、「高いものなんだねぇ」と言いながら食べたが、ねっとりと甘い官能的な舌触りにフランボワーズソースがさわやか。
アマダイのポアレ、つけあわせのゆでキャベツがしゃくしゃくしてて、カリッと焼きつけた鯛の皮が香ばしく、粒マスタードソースがぴりっとしてて、食感と味のハーモニーが素晴らしい。

そしてそして、夢にまでみた牛ほほ肉はちみつ赤ワイン煮込みは、とろけてた。
甘くて柔らかくて濃くて深い。
食べにきて、よかった!

すべてのお料理にあんまり感激したんで、禁断のデザートにも手を出してしまいましたよ。
だって、コースのお値段に含まれるんだもん。
糖質制限がついえても、一片の悔いなし。

しかし、前回とずいぶんお店の雰囲気が違うんだよねー。
食材を見せにきてくれないし、若いホール係さんたちの表情が、硬い。
食後のエスプレッソを、こないだは、「おかわりをどうぞ。10杯でも20杯でも!」と言ってくれたのに、2杯目すら勧めてくれなかった。
御勘定書きを持ってくるのも妙に早い。

食事の途中から大内くんが背後のオヤジ3人連れを気にしてたんだが、どうやら「相当に有名で大物な政治家」が混ざっていたようだ。
手を洗いに立った時に顔を確認できたそうで、「やっぱり!」と興奮してた。
もちろん私には全然わからなかったけど、テレビでおなじみの声だなぁと思っていたんだって。
「こんないい店知ってるとはねー」と紹介者らしき連れにでかい声で言いながら、ワイン飲んでいたI氏。いや、知らんのですが。

そもそも前回の隣の席は「赤ん坊が生まれたことをシェフに報告にきた結婚記念日の若夫婦」だったし、窓際の席の若いカップルの男性は大内くんが会社でお世話になってる弁護士事務所の人らしかったし、フレンチは基本カップルで食べるものか―、と思わされるぐらいラブラブな雰囲気。
しかも例外の老人1人をのぞけば我々が最年長かと思えたのに、今回は3人連れの60歳超ばかりで、聞こえてくる話題はとても生臭く、「朝まで生テレビ」のスタジオにいるようだった。

「これはね、13日の金曜日だから、カップルはデートしにこないんだよ!」と断じると、大内くんが「そうか!」と大きくうなずく。
帰り際に見送ってくれたシェフに牛ほほ煮込みのお礼を言う私の横で、
「今日は大変でしたね」と意味深長な大内くんに、
「いやぁ、めんどくさいッスね!」と苦笑するシェフだった。
フロア係さんたちも、本当に緊張していたようだ。
「SPとか、いないのかね?」とお店のまわりを見回しながら帰りましたよ。

お料理はまったく非の打ちどころがなく、6月の結婚記念日にはまた行きたいものだと熱望する。
たぶん春のメニューを2回食べたんだと思うので、次は夏のメニューになってるといいなぁ。

食べるのを控えておいたお茶菓子のクッキーはお持ち帰り用に包んでもらい、予告しておいた通り帰りに息子のアパートに寄り道して、部屋のドアノブにかけておいた。
今日は夜中まで帰らないらしい。

「お菓子おいてきた。果物も入ってるから、傷まないうちに食べて」とメッセージ送っておいたら、「ありがとう」と返ってきたのはいいが、12時近くなって、
「今日、柔道着を取りに行っていい?」と聞いてきた。
大内くんが、
「明日の朝9時ごろでよければ届けるよ」と打ったら、これまた「ありがとう」。
なんだかちまちま交流があるのは、いいのかイカンのか。

18年4月14日

買い物に行くついでに頼まれた柔道着を届けようと思っていたら、息子から電話。
「もう家出ちゃった?」
空手着も持ってきてほしいらしい。

シェアハウスの前に車停めて大内くんが届けに行って、戻ってきた。
「部屋にいた?」と聞くと、
「いたよ。『母さんは来なかったの?外で待ってるの、そう。母さんの身体の具合はどうなの?』って聞かれたよ。僕から言ったんじゃないよ」という答え。
あの人は、健康上のことだけはとっても気づかってくれるんだ。

八百屋行って業務スーパー行って、今日の買い物は先週ほど大量じゃない。
これなら糖質制限してても食費は予算内でおさまるかも。
図書館回って帰ってきたあとに、息子から、
「黒帯なかった?こっちの部屋にはない」と連絡があり、探したら息子の部屋のクロゼットに残ってた。
「もう1回出かける用事があるからついでに届けようか?」と聞くと、
「そうしてくれると助かる。申し訳ない」と返信。
アメリカで柔道着を着てパフォーマンスするのかなぁ・・・

午後はまた車出して、私の月イチ検診。
2階の検査室で採血・検査した結果をもらい、6階の診察室に行くエレベータの中でチラ見したら、「1.8〜2.2」が適正な血中ワーファリンの値が2.2だったので「今月はOKだな」と思い、念のため先生に、
「ワーファリンの値は大丈夫でしょうか?」と聞いたら、
「ん?いや、低いですね!これは・・・誰が書いたんだ?!」。
なぜかカルテに検査結果を書き写す時に間違えたらしくて「1.2」になってたみたい。
先生、「なに、これ!誰が書いたの!?」って隣の看護師さんたちの部屋にねじ込んでた。
とっても怒ってたなぁ。

でも、先生もこないだ4週間分の薬を2週間分しか出してくれなかったですよ。
どうでもいい胃薬だからよかったようなものの。
1回、ワーファリンの量を間違えられかけて、これはホントにシャレにならないので私も目を光らせてるんだ。
実は病院ってとこはけっこうマチガイが起こるので、患者側も自衛おさおさ怠りない。

先月撮ったエコーの結果によれば、心臓のパフォーマンスは少し上がってきたらしい。
「それでもまだ普通の人の数値には全然届かない」と大内くんは不服そう。
そうねぇ、あなたのお母さんの数字の方が断然よかったねぇ。
「いや、あれは毛が生えてるから、比べないでほしい」んだそうだが。
正直、親世代の方がよっぽど元気だ。自分の老後が心配でならない。

息子の部屋に黒帯届けて、本日のミッション完了。
やれやれ、やっとゆっくり休日を楽しめるぞ。
でも最近大内くん忙しくて、あんまり遊んでもらえない。
読書ばかりがはかどってしまうじゃないか!

18年4月15日

年下の友人が貸してくれたはるな檸檬の「れもん、うむもん」というお産・育児マンガを読んだ。
すごく面白かった。
明日出張の大内くんに「ホテルで読んで」と勧め、スーツケースに放り込んでおいた。

この頃育児エッセイマンガを描く人が多く、もっと記録を取っておいてそれをもとに描いてみればよかった、とちょっと思う。
日記フェチな私と言えども、つわりがひどすぎたり切迫流産で絶対安静になったり、手書きの日記を書くには限界があったので、切れ切れな記載しか残っていないのだ。2回ともだよ。
「あの頃、何してたんだっけ?」「さあ?」という会話しか起こらない。
2番目の時は病院を転々としたとか、縫い物はしなかったとか、夫婦の記憶をつなぎ合わせてみてもあまり具体的な状況は浮かばない。

「息子が小学校に上がるぐらいまでは、フィルムを現像に出してた」という大内くんの証言もあり、ケータイで写メ撮って人に送れるなんて夢のよう。
ラインの文章が残るのもいいね。

なにしろ保育園時代にやっとポケベル使ってたぐらいで、ケータイなんてまだなかったのよ。
(いつでも連絡が取れる、って、我が家にとってはかなりマストだったから、もし普及し始めていたならケータイ使っていただろう)
そうそう、私から会社の大内くん呼ぶ時の数字は「093(奥さん)」で、急いでたら「09349(奥さん至急)」だったなぁ。
ポケベルには各自のそういった「暗号」がいろいろあったものです。

息子が2歳半の頃からはパソコンで日記をつけ始め友人たちとのMLに流していたこともあって、かなり詳細な記録が残っている。
今、息子が難しい状況になってから、「なにか育て方が悪かった?」と思い、読み返してみたんだが、とりたてて後悔したりやり直したいところはないなぁ。
何度でも、大内くんと今の息子を育てたいし、10年たったら「いろいろあったけどやっぱりこれでよかった」と思ってる気がするんだ。

ただ、本当に胸が痛むのは、唯生を妊娠していた頃の自分の写真を見る時。
初めての子供を身ごもった31歳のまだ若い私は幸福の絶頂におり、すべてを手に入れた思いで光り輝いている。
未来に何が待ち受けているかを知らず、バカバカしいほど無知で傲慢な笑顔をふりまいている。
唯生の誕生以来、人智を超えた運命があることを知り、避けようのない不幸に打ちのめされ、私はずいぶん謙虚になった。
こういうのもきっと「人間の幅」を生むんだろう。

それに、「何事もなく生まれていれば」と思う気持ちは確かにあるんだけど、なぜだか今の唯生を他の唯生と取り換えたいとは思えない。
唯生にとっては普通の健康な人生の方が良かったかもしれないけどね。
人間は生きているうちにどこかで運命論に屈服してしまうんだと思う。
そうでなきゃ、生きてこられないじゃないか。

18年4月16日

大内くん泊まりの出張。
夜に宴会あるから夜中になるけど終わったら帰る、って言うのを、ホテルに直行して泊まって朝イチの新幹線で東京帰ってそのまま会社に行きなって言ったら、最近はけっこう素直に「へーい」と折れる。
「寂しいけど少なくとも身体は楽だ」と、少しずつ学習しているらしい。

ぎっくり腰がひどくて散歩はおろか書斎に行ってパソコンの前に坐るのもままならない。
ほぼ寝たきりで終日読書。
老人には出歩かず日中はほとんどテレビを見たり本を読んだりして過ごす人が多いようなんだが、私はすでにその境地に入っているかも。

ネットの発達著しい昨今、タブレットでSNSを見たり5ちゃんねるや発言小町、はてなブログなどを見ているといくらでも時間が過ぎる。
図書館で借りた本を読んだりデータに落としたマンガを読んだりするのもいいんだが、ネットに接続していると生き生きした人々の営みを直に感じる。
「こんなふうに思うさま他人にものが言えることって、あんまりないよなー」と感心してしまう。
言いたいことを言って生きていると思われている私でも、感情を爆発させることなんて普通はめったにないからね。
ちなみに怒ると「抑揚のない低い声でネチネチと問い詰めるタイプ」の嫌な性格。
大内くんのご苦労がしのばれる。

ぬるいお風呂に2回ものんびりつかって汗をかいてデトックス、食事は切ってある野菜やハムを冷蔵庫から出してマヨネーズかけて食べたり大内くんが作っといてくれた「鶏レバーの生姜煮」つまんだりで終わった。
今日は比較的快調で、本を3冊とマンガ多数、U-NEXTで映画を1本観て充実してた。
合間に昼寝も試みたんだけど、最近眠りが1、2時間しか続かない。
まあ死にゃしないからいいか。

夜は、息子からメッセンジャーで「クレジットカードの審査に落ちた」と相談をされたのと、ホテルに入った大内くんから電話で、
「息子は困ったね。どうしよう」と言われ、
「審査に通るほどの貯金も収入もないのにアメリカ行こうっつーのが図々しいよね!」と悪口で盛り上がる。
(自分らの子のことなので、言ってて虚しい)

「大好きな人の声が聴けて嬉しい。電話は偉大だ。会えなくて寂しい」とやたらに言う大内くんは、きっと酔っ払っている。
「うんうんそうだね」と相槌を打っていたら、
「僕がいない方がすっきりするんだろうね」と恨みがましく言われ、思わず「そうだね」と言いそうになったのをおさえて、
「そんなことないよ。私だって寂しいよ。腰も痛いのに揉んでくれる人いないし」と、最後だけが本音っぽい。
いや、本当は寂しいけどさ、それ言うともっと寂しくなるじゃん。

電話を切ったら1日中ただよっていた静けさがどっと塊になって襲ってきたのを振り切るように、ブルサンアイユチーズ100g一気食いしつつ焼酎の水割りをあおった。
飲めないのにね、なんとなく飲んだら寂しくなくなるような気がしたの。
猛烈にハイになってきて、幾度となく読んだ羽海野チカ「3月のライオン」をまた通読してから寝ます。

息子には2人して、てんでに、
「日数もないんだから、早めに次の手を打って」(私)
「審査が通るとこ探すしかないでしょう」(大内くん)と言い聞かせたら、
「航空券とESTAっていう観光ビザに代わるものの申請に必須だから、カード必要だしね」と返事が来て、うんうん、けっこう研究してるじゃん。その調子で頑張ってね。

施設で今頃はぐっすり眠っているだろう唯生も含めて、家族4人がそれぞれの持ち場でそれぞれの生活をかなり一生懸命守っている。
人間の営みはいつも真剣。たとえ少々酔っ払っていても。

18年4月17日

昨日泊まりだった大内くんが帰ってくるのを待っていた夜10時ごろ、息子から電話があった。
「今日行っていい?」と言うので、
「もうじき父さんが帰ってきてお風呂に入るから、11時ごろなら」と答えておく。
で、帰ってきた大内くんにその旨話すと、
「なんだろう?クレジットカードの審査に落ちたって言うから、何か助けてほしいのかな?」と首をかしげてた。

息子が来たので、スパゲッティー作ってやって食べるのを眺めながら聞いてみる。
「今日はどうしたの?」
「別に。ちょっと疲れ果てちゃったから」
大内くんが、
「特に用はないの?帰り際になってお金貸してって言わない?突然、3千円貸してって言わない?」と聞いても「何もないよ」と言っていたのに、何度目かにやっと、
「ひとつだけお願いがある。審査に落ちたけど、航空券とESTAっていうビザの代わりになるものを取るために必要だから、カードとお金貸して」と言い始めた。
一番大事な用事じゃないか。早く言え!

「まだ、どうしてアメリカに行くのか、何をしに行くのか、滞在中はどうやって過ごすのか、他のお金はどうやって集めるのか、全然説明してもらってないし納得もしてないよ。そこを聞かないと」と大内くんが言うと、
「行かなきゃと思うんだ。インスピレーションだよ」
「それが勘違いじゃないって、どうしてわかるの?」
「オレはお笑いのことに関しては勘違いしないから」という会話になったので、口をはさんだ。

「会社を辞める時に演劇の学校に行くって言ったじゃん。どうして行かなきゃいけないか説明してたけど、結局オーディションに落ちて入学できなかったから、学校行く必要ないって言い始めたよね。行かなきゃいけないってのは勘違いじゃなかったの?」
「学校に行かなかったことでいろんな出会いがあった。オレは運命論者なんだ」
そんなあやふやな運命論で人が説得できると思わないでほしい。

「飛行機代を貸したとしたら、向こうでの生活費はどうするの?前にクラウドファンディングって言ってたけど、お金は集まりそうなの?」と大内くん。

「集まるかどうかわからないけど、向こうではそんなにお金かからない」
「宿代も生活費もかかるでしょう」
「路上生活する」
「様子のわかってる日本ならまだしも、治安が良くないとされているアメリカでそんなことするのはまったく勧められない。誰かそういうことした人の話を聞いたの?調べてみたの?それじゃあ行かせるわけにいかないよ!」

大内くんには申し訳ないが、ここでまた口をはさんだ。
「もう大人なんだから親が行かせるも行かせないもないけど、お金は出せないね。それにあなたはアメリカに住んでる父さんの従姉と連絡取って、彼女に相談してるんでしょう?日本から親戚の子が来て路上生活するって言ってるのを、彼女が止めないでいられると思うの?もし何かあった時に、彼女が責任を感じないと思うの?もっと言えば、あなたが事故にあったり事件に巻き込まれたりしたら、日本にいる私たちに連絡が来るよ。父さんは会社を休んでアメリカまで出かけなきゃいけなくなるんだよ」

本音を言えば、息子が大けがをして一生残る障害を負ったりしたら、その後の彼の人生に責任を持たなければならないのは我々だ。
そのすべてをカバーするほどの保険にちゃんと入って行く覚悟があるとも思えない。
さすがに冷徹に過ぎる気がして、そこまでは言わないでおいたが。

息子もちょっと気を呑まれたように「まぁ、そうだね」と黙ったけど、事態がのみ込めているようには見えない。
「お金を出したくなるだけのプレゼンを聞くまでは、出せないよ」と大内くんが言い、私も、
「クラウドファンディングを募っている人たちには何て言ってるの?まさか『なんとなく行きたいから金出して』って言ってるわけじゃないんでしょう。その人たち向けのアピールでいいから、母さんたちにも聞かせてよ」と言うと、
「今度サイトを見せるよ。まだ公知してないんだ」とのこと、
そこで今日は物別れ。

ノートパソコンを開いてしまったので書きかけのショートショートを完成させてブログに上げてから帰る、1時間ぐらい、と言う息子を置いて我々は寝る。
でも、私は眠れなくて、1時間おきぐらいに見に行っちゃったんだけど、全然帰らないじゃないか。
結局朝までいたよ。

3時頃に、
「5時に父さん起きるから、アメリカ行きのプレゼンして行く?」と聞くと、
「今小説書いてるんだから、他のこと考えられないよ」
「何もここで書かなくたっていいじゃん」
「うん、来なきゃよかった、って思ってるよ」

呆れて立ち去った1時間後、もう1度行ってみたらなぜか、
「何か飲み物作ってくれる?紅茶とか」とのリクエスト。なんでだー?!
もしかしたら私には全然わからない彼なりの仲直りのサインなのか?といぶかしがりながらも淹れてやる。
こういうのがいかんのかな。

で、5時になって大内くんが起きる直前にブログにショートショートがアップされ、メッセンジャーの家族グループには、
「アメリカ行きの理由はうまく説明できてないな。申し訳ない」と始まる、彼なりの思いが少し綴ってあり、「ブログの作品見てね」とも。
大内くんととりあえずそれ読んで、リビングに行って3人でベーコンエッグ食べた。

我々が借りた図書館本の山を見て、なぜだか「ダイアナの謀殺」上下巻に「面白そうだねー」と興味を示し、持って行きたがる。
図書館からの息子宛て督促メールが毎度毎度家のパソコンに来るのを見てる大内くんが、
「やだよ、なかなか返してくれないから」と断ると、むっとして、
「返すよ。2日で返す」と口をとがらせる。
そこは普通、自分で図書館で借りるんじゃないんだろうか。

「ちょっと待ってよ。金曜は父さんが日帰り出張で遅くなるから、来られても母さん困るよ」と私が抵抗し、結局、土曜に返す話で決着して持って行った。
じゃあ鍋でも囲んでアメリカ行きのプレゼンを仕切り直ししようじゃないか、とつい何か食べさせることを考えてしまうのは親のサガなのか。
オトナの自由とコドモの無責任を持ち合せたこの生き物を、どうしていいのか実際まったくわからない。

18年4月18日

朝早く息子を帰したあと、大内くんが会社に行くまで、2人で頭をくっつけてうんうんうなってた。
「どうしたらいいんだろう。すごく気分が悪い。こんなにすべてがいい加減で、不真面目で、でもやっぱりできるだけ応援してあげたくて、親ってのはまったく因果な商売だ!」と思ってる点でほぼ意見は一致してるんだが、なかなか結論が出ない。

私も昼間中考えてたが、大内くんも会社でこの問題が頭を離れなかったらしく、晩ごはんを食べながらかなり憔悴した様子で語り始めた。

「僕はね、彼が自分で一部なりとも費用を作ってやる気を見せれば別なんだけど、もしお金が作れないようならやっぱりアメリカには行くべきでないと思うよ。親のお金で行っても、全然彼のためにならないよ。帰ってきてからの生活も考えてないなんて、それじゃいくらいい経験をしてきたつもりでも、この先『会社をやるからお金出して』とか言って親をあてにするようになるよ。土曜に話は聞くけど、そこでダメだと思ったらきっぱり断るからね」

うん、私もそれでいいと思う。
たとえ親としてはそこで嫌われても、しょうがないよね。

そんなふうに考えていたら、寝る頃になってツィッターに彼の渡米前のコントライブのフライヤーが出ているのを見つけた。
デザインの達者な仲間が作ってくれたらしい。
柔道着を着た息子の写真を使っていて、そうか、それで週末に柔道着と黒帯を探してたんだね。
「おや、でもこれは、柔道着じゃなくて空手着だよ」と大内くんが気づいた。
息子は柔道こそ黒帯だが、空手は少ししかやってなくて、白帯なんだよ。

大内くんはメッセージを打った。
「フライヤー見たよ。黒帯するなら、道場名入りの道着はいけなかったね」
すぐに返事が返ってきた。
「考えがあってのことなので」
「先生の許しは得たの?有段者でないのに有段者の姿になっていいの?」
「いや、すごいな。コント自体が虚構の産物なのに。そんなこと言ったらコンビニの店員じゃないのにコンビニの格好してたら突っ込むのかね?」

しばらくなんだか議論してた。
息子の言い分にも若干の理はある気がするけど、大内くんが言ってるのはモラルの問題だからなぁ。

最後は、
「道場名の部分が『商標』にあたると思うよ。あの部分をせめて隠せばよかったね」という大内くんの意見に息子が渋々うなずいたけど、
「後出し後出しで攻め手を考えてるのが、腹が立つ」と苛立ちを隠せないようだった。

言い負かした、なんて満足は微塵も感じられない様子でぐったり疲れた大内くんが寝てしまったあと、メッセージが入った。
「商標のところだけ不敬だったってことだけ心に刻んでおく」
「息子なりに反省して、譲歩してるよ」って大内くんの寝顔にささやいたら、うーん、と大きく寝返りをうってた。
心安らかに眠ってください。

18年4月19日

まったくもって眠れない。
12時には寝る大内くんと一緒に寝ようと試みてはいるんだが、たいてい3時頃まで眠れず、なんとか眠っても2時間ほどたった5時前には目を覚ましてしまう。
5時になると目覚まし時計が鳴って大内くんも起きるので、簡単な朝ごはんを作って一緒に食べ、7時頃に出社するまで私はベッドで本を読んでいる。

1人になったら昼寝しよう、と待ち構えているのに、眠れてもやっぱり1、2時間。
いやぁ、なんで長年睡眠薬を大量に飲んでいたのか思い出したよ。不眠なんじゃないか!
せっかく薬をやめたので、眠れないのをガマンする方向で、とは思うが、眠い。

今日もそんな調子だけどいろいろお出かけを設定している日で、2時には家を出るからそれまでに少しでも寝ておこうと思ったのに、結局ほとんど眠れないまま時間が来てしまい、ふらふらと家を出た。
まずは近所の歯医者。
「半年に1度の検診と歯のお掃除の時期ですよ」ってお葉書くれるんだ。

歯科衛生士さんのお掃除はていねいでやさしい。
設備が新しい歯医者さんのせいか、機械のタッチもソフトでちっとも痛くないのが嬉しい。
おおむねキレイに歯磨きできていて、歯間ブラシの使い方も適切で問題ないとのこと。
虫歯も歯周病も今のとこ大丈夫。

こないだ来た時はまだ手術後半年もたっていなくて、やたらに歯を食いしばったり体力がけずられて歯がうずいたりしてたので心配だったんだが、そういうのはずいぶん落ち着いた。
ただ、歯を食いしばり過ぎてかみ合わせが変わってしまったのか、前は当たらなかったところが当たるのが気になっており、相談してみる。
ドクターは、当たっているところを削るという手段はあるがヘタに手を加えるとかえって不具合が出る場合もあるので、もうしばらく様子を見てはどうか、という意見だった。
ではそういうことで。

あとは少し歯が欠けてしまったところが見つかったので、今度プラスチックで埋める治療をすることにして、予約を取ってさようなら。

クリニックのすぐ前のバス停からバスに乗って、吉祥寺へ。
こないだ行った整体院(特にスピリチュアルなとこではないです。念のため)から「半額キャンペーン」の案内が来たので、ぎっくり腰を診てもらおうと思って予約を取ったんだけど、ちょっと歯医者との間が短すぎてギリギリのジャストタイムですべり込んでしまった。はあはあ。

2か月前に1回来たきりの私のことをよく覚えていてくれる若い先生は、
「足も腰も固いですねぇ。大内さんは、背中の緊張が強くて反ってるんですよね。これを和らげると腰や足の痛みが少し楽になると思いますよ」との診立て。
ここんとこリラクゼーション紹介サイトの「初めてのサロン縛りの値引きキャンペーン」ばかり利用しててジプシー状態だったから、少し決まったところに真面目に通おうと思い、お得な10回の回数券を買うことにした。20パーセント引きなの。

1時間の施術を終えて「またお願いします」と言いながら整体院を出て、シップもらいに行きつけの整形外科に行こうとして思い出した、木曜はお休みじゃないか!
そこで時間がかかる前提で会社帰りの大内くんと待ち合わせて、一緒にケンタッキー買って帰ろうと思ってたのに。

ライン入れたら、
「ショック!じゃあ、先に帰ってる?チキンは僕が買って帰るよ」と返事が来たけど、
「定時に上がれそう?一緒に帰りたいから、買い物して待ってる」と返したら、もうじき出るって。
ブックオフ寄ったり、高級スーパーの紀伊国屋で「糖質制限ポン酢」探したり(なかったけど)、唯生の介護にかかる費用のうち親負担の分を振り込んだりして、快調に時間をつぶした。
最後は普通のスーパーで豆乳1本買っておしまい。
ケンタッキーで少し待ってたら、大内くんが来た。

夕方の街で会うとなんだか嬉しくなる。
外食して行きたい気もするけど、こうして見ると世の中のお店は糖質であふれているもんだね。
しばらくは厳しめの制限でやってみようと思ってるから、外食はもうちょっと我慢我慢。
「糖質制限は、ケンタッキー食べてもいいってとこが素敵だね。ダイエットに閉塞感を感じた時、こういうジャンクなものを食べるととっても風穴があくから」と浮かれつつ、チキンを6ピースも買って帰った。
スープとサラダつけて、夕食。平和だ。

そして今夜も眠れない・・・パソコンに向かっていて眠れるわけもないが・・・
大内くんが起きる時間まであと2時間。
少しは寝る努力をしましょうか。

18年4月20日

糖質制限を始めて10日ほど。
本で読んでたとおり1週間目ぐらいにかなり強い「甘いものが食べた〜い!」という衝動が生まれたが、「糖質依存」による禁断症状だと思って糖分ゼロのペプシ飲んでガマンしてたら、治った。
肉や野菜をたっぷり食べて、アボガドなんてとってもおススメ食材で、脂分も積極的に摂った方がいいのでフライドチキンもOK。
こんな食事をしてたら、早くも2.5キロやせた!

一緒にやってる大内くんも2キロ減り、2人とも大喜びで今後も意欲的に続けていくつもり。
ただなぁ、私の減量っぷりについては、
「あんなに大量に砂糖ぶち込んで作った『甘酒』飲むのをやめたら、そりゃあ、やせるよ」とややシニカルな目で見られております(涙)

18年4月21日

日付変更寸前に遠距離の日帰り出張からようやく帰ってきた大内くん、今夜のうちに報告書を出さないといけないんだそうで、空港でバス待ってる間にも頑張ったのに書き上がらなくて、終わるまで寝られない。
朝からマンションの理事会と消火訓練というお仕事があるのに。
理事メンバーも来月で任期が切れるから頑張れ。

正直全然ゆとりない真っ最中に、息子から電話。
昼間話し合いに来るはずなんだけど、今夜のうちに来たいんだって。
「家に行って作業したい」んだそうだ。もう12時すぎなのに。
「父さん、今晩すごく忙しいんだよ。悪いけどバタバタしてる」と答えた大内くんに、
「親がバタバタしてる横でのんびり作業したかった。でも、もうそーゆー場所じゃないってことだね」とうらめしそうなので、
「怒ってるの?」と聞いたら、
「うん・・・いや、怒ってない。認識を改めるよ」と言って切ったらしい。
「ヤなこと言うなぁ」と頭をかきむしりつつパソコンに向かう大内くん。

しばらくしたらメッセージが来た。
「急な電話でごめんなさい。ただ、少し寂しかった」
カワイイが、こっちもゆとりないんだよ。
お互い気持ちよく会える時に会うんじゃダメなのかな。

息子「明日、どうしても見に行きたいお笑いライブがあるから、約束の時間を早めてもらおうと思ったんだけど」
大内くん「じゃあ日曜日にしようか」
息子「明日でいいよ。見に行くための手銭もない状態なので」

大内くんには一刻も惜しんで仕事してほしいので、私が代わって相手になろう。
私「どうしたいの?」
息子「お金をお借りしてライブに行きたい」
私「アメリカ行きのことを話し合うためにくるはずだよね。その時間は無いようだけど、どうするの?」
息子「伺ってお金をお借りして、日曜に話し合いはどう?」

また時間通りに来るかとか気を揉むし、正直面倒なので、
「買い出しのついでにあなたのところに寄ります。2時ごろならどう?」ときつきつと詰め寄る。
「んぁあ、すいません。大丈夫。ありがとう」と意味不明な文字で返してくる彼に、
「おやすみ。良い小説書いてね」と送っておしまい。
2パーセントぐらい皮肉が入ってるけど、98パーセントは純然たる親心であります。

書斎に戻ると、パソコンで仕事しながらやり取りを見ていた大内くんが、
「キミがりりしくスパッと片づけるんで、気持ちが良かったよ。今夜の一件だけでも、もうアメリカ行きを応援するのは無理だね。お金がないのにライブ見に行くし、無計画すぎる。僕らが出したお金でアメリカの僕の従姉にたかりに行くと思うと、相手にも申し訳なくて行かせられないよ」と沈痛な顔をしていた。

結局、仕事が上がったのは6時ごろ。
2時間だけ寝て、起きて理事会に出かけて、休む間もなく週末の買い出し、図書館にまわってから息子にお金を渡しに行った。
「明日は昼ごろ来て」と言うと、
「昼に用があるから無理」とのことなので、
「じゃあ、遅い昼ごはんにするので、3時。いいね?よろしく。じゃっ!」と帰ろうとしたら、なんだか戸惑った顔で、
「もう帰るの?一緒にメシでも食わない?」とめずらしいことを言うが、いつものロイヤルホストは高くつくし糖質制限中だから無理!って帰って来ちゃった。

明日の会談はどうなるかなぁ。
ああ、気が重い。

18年4月22日

午前中に家の片づけをし、午後は1週間分の常備菜を作りつつ鶏鍋のしたく。
ここ2週間さわってなかった炊飯器を稼働させ、息子のためにご飯を炊かなくっちゃ。
2時半には準備万端整って3時を待っていたら、
「今日って5時半ごろ伺うんだっけ?」とメッセージ。
その瞬間に怒り心頭に発しながら「3時です」と返すと、
「晩ごはんの時間だからそのぐらいだと思っていた。ごめん」。
「昼ごはんの時間に来られないって言うから、遅い昼ごはんにしたんだよ。何度も確認したよ。どうしてメモを取らないの?」と大内くんがさんざん叱って、しまいに、
「夕方は都合が悪いからもう来なくていいよ」と言ったんだけど、
「ごめんなさい。今日はもうそれ以外に都合のいい時間はないの?」と低姿勢なんで、私が折れて、
「お米も炊いちゃったからごはん食べにおいで。5時半でいいよ」となった。
でも、さらに「準備に手間取って、6時過ぎになる」と言って来て、結局来たのは7時近く。
ここまででこちら側はかなり話す気が失せている。

鶏鍋を食べる間は他愛のない話をしていた。
正直、私は気になる話題を避けて世間話をしてるのが苦痛だったんだけど、あとで聞いたら大内くんはやっぱり食事をしながらツラい話はしたくないらしい。
人間、弱点はいろいろ違うもんだ。

食べ終わって片づけて、やっと本題に入る。
おもに大内くんが、
「何のために行くのか、計画は立てたのか、お金は作れたのか。そこの説明を聞いて納得できないとお金は出せない」と話してくれた。

息子サイドでは、
・サンフランシスコ在住の大内くんの従姉とまた連絡を取ったところ、家族での旅行の計画などがあり留守にするので、7月に来てほしいと言われた。
・そこで5月と6月はニューヨークに滞在するつもりだが、安い宿でもひと月1200ドルぐらいかかる。
・飛行機代と宿代、食費、日本に帰ってから仕事に就くまでの生活費等で100万円ぐらいはかかるので、貸してほしい。
(ここで、「渡米中の日本での費用、部屋代、健保、税金等は計算に入れたの?」と私が聞いたら入れてないんだそうで、さらに20万ばかり上乗せする)
という説明だった。

大内くんは、せめて半額ぐらいは自分で貯めてやる気と誠意の証を見せてほしい、そうしたら差額を出すことも考える、7月まで従姉の家が都合がつかないならなおさら出発を遅らせてバイトに励んだらどうか、と説得しようとしたが、息子は、
「どうしても今、行かなきゃいけない。何カ月も待ったら行く気がなくなってしまうかもしれない」と主張する。
気が変わるぐらいなら最初から行かなくてもいいじゃないか、と言う我々と、盛り上がってる時に行かなきゃ意味がない、と言い張る彼の間で平行線。

よせばいいのに大内くん、何度も、
「まわりに言っちゃったから引っ込みがつかないんじゃないの?」と聞くんだが、1回「ちがう!」と言われたらやめればいいのになぁ。
たとえそうだとしても、本人が否定してる以上、認めさせることはできないよ。

実は大内くんには、前から温めていたアイデアがあった。
上野のアメ横やお台場の自由の女神、東武ワールドスクエアのホワイトハウス、アメリカ大使館やアメリカンスクール、米軍基地など、「東京近郊のアメリカ」をまわってストリートパフォーマンスをし、アメリカからYouTubeで流すはずだった武者修行の代わりに流してはどうか、と言うのだ。
もちろん「ここは日本です」と種明かしをしたうえでのこと。
各施設のURLを調べて企画書を書いていたが、残念なことにそれを息子には伝えていなかった。
その状態で、この局面でいきなり、
「アメリカに行かなくても、行ったことにすればいいじゃない。つまり・・・」と話し始めたもんだから、息子は顔色を変え、テーブルを拳で「ドン!」と殴りつけた。

「最低だ!ここまでくだらないヤツだとは思わなかった!」
激怒して帰ろうとするのを、私が、
「違うんだよ、父さんが言いたかったのは、『見立て』なんだよ。ごまかして行ったふりしろなんていう意味じゃないんだよ!」と必死で説得したが、彼の荒い息はおさまらない。
「そうだとしても、全然センスがない。聞くに堪えない」と罵りながら、嵐のように出て行ってしまった。

残された我々はちょっと茫然。
「あれはないんじゃないの?思いつきで口走ったんじゃない証拠に、今のうちに企画書を送っておいたら?あとからだとあわててでっち上げたみたいだよ」と言うと、「そうだね」とパソコンから彼のケータイに送っていた。

5分後、持って帰るつもりの私物を忘れて行ったからと戻ってきたマヌケな息子はまだ三白眼で、
「あんなの書いてたのかよ。趣味が悪すぎるよ」と文句を言いつつも、
「もうちょっと考えてごらん」との我々に、こぶしの親指をぐっと立てる今風な「いいね!」をしながら帰って行った。
やれやれである。
いったいどうなるのか。考えると力が抜けて立っていられなくなりそうだ。

18年4月23日

勝手な金策を始めそうな息子に困り果てた大内くんは、前々から息子を可愛がってくれていて今も彼に会っては話を聞いてくれている昔の塾の先生に相談しに行った。
昨日の今日で会ってくれるそうだが、これまで何かと両親雁首そろえてお話してきたところ、めずらしく「今回はお父さんとだけお話をしたいと思います」と指定があった。

夜、塾が一段落する頃に会いに行って1時間ぐらいお時間いただいた大内くんは、きっぱり、
「行かせるべきでしょう!」と断じられたらしい。

なぜ母親の私を外したかと言うと、
「お母さんは反対するでしょうから」との配慮だったそうで、
「いや、実は妻は行かせる方向の意見で、私の方が反対派なんです」と説明された塾長は、
「普通はお母さんが反対しそうなんですけど、やっぱり大内家はちがいますね!」と驚いていたらしい。

「息子さんは、誰よりもご両親に認めてもらいたいと思っていますよ。やりたいようにやらせてあげてはどうですか。僕も応援します!」と言われ、塾長ほど大胆になれない父親は当然のように悩んでいる。
しかし、他人の塾長がここまで親身になってくれているのはまことにありがたく、人間力の差をひしひしと感じながらも我々なりに頑張らねば、と身の引き締まる思いだ。

私としては、どうせいったん「人生の夏休み」に入っているんだからこの際ゆっくり時間をかけて自分を見つめ、今後の進む道を見定めたらいいと思ってはいるが、問題は息子が自分の生活を立てることもままならず、さりとて親にきちんと頭を下げて説明して援助を請う、というような客観性・計画性・自制心に欠けているところなんだ。
それまで「若気の至り」と寛容に受け入れるほどにはこっちも人間ができてない。

塾長もまた息子と話して見てくれると言っていたし、家でも大内くんと話し合い、とりあえず、
「3ヶ月の観光ビザでは単にお金を浪費する物見遊山で終わってしまう。難しいけど就労ビザを取り、もっと長期に滞在することを考えてはどうか」という提案をすることにした。
アメリカの従姉が受け入れてくれる7月まで出発を延ばして準備をすることも含めて息子に伝えるつもりだが、昨日の今日ではこっちが折れてあれこれ言ってる印象を与えそうなので、一両日ほど間を置くことにした。

親になるとこんなに人の人生に関わりを持ち、翻弄され、心配するものかと今さらながら愕然とする。
しかも向こうはあんまりかまってほしくない、だが金は出してほしいという「お前のものはオレのもの、オレのものはオレのもの」の精神で向かってくるんだ。
自分も親にそうしてきたし、その恩はひたすら次の世代に返すつもりだったから仕方ないが、もうちょっと話が通じたらなぁ・・・

18年4月24日

朝起きたら、ちょうど息子から新しいショートショートをブログに上げたという連絡がきた。
まあまあのレベルだと思った。
いち早く知らせてくるということは、我々に読んでもらいたいと思っているんだろうか?
昨日塾長が言っていた、
「彼は、誰よりもご両親に認めてもらいたいと思っているんですよ」という言葉がよみがえる。

感想を返そうかと思いながらも、アメリカ行きの計画をどう扱うかまだ決めあぐねて、大内くんは会社に行き、私はまた朝から病院のハシゴ日だ。
ちょっとずつ行けばいいようなもんだが、出不精なのでまとめてすませてしまいたい。

まずは歯医者。
先日の検診で見つかった「ちょっとだけ欠けてるところ」を、ちょちょいっとプラスティックで埋めておしまい。
「30分ぐらいかかります」と言われてたけど10分もかからなかった。
舌先にぷつっと口内炎がよくできる、と相談してみたら、前歯があたるせいかも、とこれまたちょっとだけ削ってくれた。
「次は半年後の検診」と言われてさようなら。

メディカルコートと呼ばれる病院が軒を連ねた建物の、3軒先の皮膚科へ。
いつもの女医さんにいつもの傷跡のケロイドをおさめる注射をしてもらい、ここでも口内炎の相談をしてみると、「亜鉛不足かも」と言われたので血液検査をした。
と言っても採血をするだけで、結果は1週間後。
毎月心臓のクリニックで採血をし、今週の金曜は1年前に手術をした病院で検査を受けることを思うと、血液サンプルを持って歩きたい気分になった。
いくら採血がキライじゃないとは言え、いささか飽きてきたんだ。

すぐ前のバス停からバスに乗って吉祥寺へ。
腰とひざを診てもらう整形外科。
うーん、ものすごく混んでる。
診察券だけ出して買い物に行き、自然食品の店を3軒さまよってやっと「おからパウダー」を手に入れた。
これで糖質制限中でも鶏のから揚げが食べられるよ。ハンバーグも作れるし。

病院に戻って、また待つ。
昼をまわってしまったのでリハビリメニューが受けられず、シップだけもらって帰ることになってしまった。
いかんいかん。今度はもっと早い時間にこよう。

こうして病院めぐりの日は終わった。疲れた。
それでも静養だけしていられる身分は本当にありがたい。
大内くんはほとんど病気にもならずに30年間働きっぱなしだ。頑丈だし、エライなぁ。
ありがたすぎて涙が出るよ。
「できる人ができることをすればいいんだし、キミからは充分にお返しをしてもらっているよ」と言ってくれるダンナさんって、実はけっこう稀少なんじゃないかしらん。
若い頃に掘り当てた鉱脈で一生安楽に暮らす、超ラッキーな私。

18年4月25日

息子が1人暮らしを始めるために家を出て半年、彼の部屋がずっと空き部屋で余っているのが気になっていた。
ちょくちょく泊まりに来るけど残してあるベッドは全然使わずリビングに布団敷いて寝てるし、あんまり無駄で苦痛なのでもうひと部屋少ないマンションに引っ越したいと思うぐらいだが、あいにく今はプチバブルで物件が高く、現実的でないもんだから、泣きながら空気の入れ替えや掃除だけをしている状態だった。

大内くんは問題に直面すると「受け入れる」「慣れて行く」タイプなんだそうだが、私はどうしても「解決」をはかってしまう。
そこで、空間を有効活用すべく、「ホームシアター」を作ることにした。
今、プロジェクターもDVDプレイヤーも非常に安い。
一番高いのがスクリーンであるという不思議。

こないだ息子が来た時に、リビングのマッサージチェア(75キロ!)を動かすのを手伝ってもらったんだが、
「オレの部屋に?なんで?オレの部屋に?!」と2回驚いていたところを見ると、あんまり嬉しい変化じゃないんだろうなぁ。

ためしに寝室の壁に映してみた時大内くんがどうしても音を出すことができなかったHDMI接続、1人の昼間にマニュアル読んで操作したらちゃんと音が出た。
たいそう驚かれ、
「さすがは、35年前に部署で誰も使えなかったロータスをマニュアルだけで使いこなした女!」と感心してもらえた。
昔取った杵柄。けっこうそういうの得意なんだ。

高さのある引き出しを引きずってきて、間に合わせに広辞苑とかを積み重ねて機器を設置したり、書斎であまり有効活用されてなかった小型のマッサージチェアを大内くん専用席にすべく動かしたり、昼間のうちにスクリーン以外のシアタールームを完成させてしまったので、すごく驚き喜んでいた。
スクリーン用のネジを打つのと取りつけは体力の問題で大内くんに手伝ってもらった。

できあがったシアターは狭いながらもなかなか居心地が良く、大内くんが専用席に座るとなりゆき上どんと鎮座ましましている息子のベッドもオットマン代わりに足を乗せるのにぴったり、目の前に大スクリーンが広がっていて、想像以上に満足できたらしい。
私も、息子の部屋を始めとして家中の「なんとなく使われていないもの」を如何なくよみがえらせることができて、たいへん嬉しい。

機器を置くための小さなボックス家具とか、とりあえず荷造り紐で吊るしてあるスクリーンを見映えよくチェーンで吊るしたいとか、野望がふくらむ。
連休中にドライブに行くので足を延ばしてIKEAに行ってみよう、そしてDVDをたくさん借りてきて1日中観よう、と話し合いながら、今夜は「大脱走」を眺めて満足して寝るのだった。

しかし、息子が変わり果てた自分の部屋を見たら泣くかもなぁ。
3人仕様ではないシアターだがなんとか場所を作るから、君も一緒に映画観ないかね?

18年4月26日

うちの電話は着信の時に相手の情報を音声案内してくれる。
登録してあれば名前言うし、非登録の相手なら発信地を告げるので、まあありていに言って、出たくない電話には出ないですむわけ。
最近では用がある人はケータイにかけてきて、家にかかってくるのはほぼセールスだけだし。

で、なんで神奈川県から電話がかかってくるんだろう?
子供たちの出生地が神奈川県なもんで、何かオフィシャルなお知らせ?と思って出てみたら、お墓のセースルだった。

「もうお墓のご用意はしていらっしゃいますか?」と若い女性に聞かれて、うーん、近所に探した時期もあったんだけど、もう大内くんも私も散骨でいいやって思ってるし、息子は勝手に自分や配偶者、子供(いれば)のお墓を作ればいいし、買いません。

ではあるのだが、ヒマな主婦は人恋しい。
思わず「散骨を考えてますので」とか自論を展開したくなる。
しかしぐっとこらえて、
「はい、実家の墓がありますので」と口から出まかせ。
いや、まるっきりの嘘じゃないな。大内くんの本家のお墓とやらはちゃんとあるんだから。
我々が入る気がないだけで、それはこの際言わない。

「お近くですか?」
(えーと、どこだっけ?とにかく都内だろう)
「はい、東京です」
「そうですか・・・お忙しいところ、たいへん失礼いたしました」
「いえ、ご案内ありがとうございました」と電話を切りつつ、心は(そんな、全然お忙しくないんですよ。お仕事のお役に立てなくて、申し訳ないですぅ)という感じ。

お墓っていうのはマンションとかと違って「投資用に買うといいですよ」「もうひとついかがですか?」とはならないので断りやすい。
もっとも、「お近くですか?」は遠ければ近くに買って改葬するといいですよ、というサゼスチョンとセールスにつながる質問なのだろう。油断ならない。
でも、そんな会話でもしてみたい気分の日もある。

思えば小さい頃から母に「あんたはおしゃべりすぎる」と言われ続け、長じて人見知りになってからも緊張するとかえってしゃべってしまうもんだから、およそ私のことを無口だと思う人はいないんだが、それで30年も引きこもってて大内くん以外に話し相手がいないんだから、時おり突発的にぶわっとおしゃべりしたくなるよ。
「電話身の上相談」とかにかけてみようかと思うぐらいだ。

そもそも大内くんが無口になってしまったのがいけない。
うるさいぐらいおしゃべりなところが気に入って結婚したのに、
「キミに会うまでは、人恋しかったからねぇ。キミがいくらでもしゃべってくれるもんだから全然寂しくなくて、聞いてるだけで満足しちゃう」んだそうで、こっちの満足はどうしてくれるんだ。
私だって「うん、うん」と相槌だけうってぼーっと聞いていたい時はある!
あ、でもお墓のセールスや身の上相談員とでも語りたいぐらいだから、結局私がしゃべり倒したいだけなのか。

しかし、今日は大学時代の友人と久しぶりに会う大内くんが、お店を決めてくれるという相手に「糖質制限を始めた」と伝えてないと聞いてびっくりしたよ。
「なんで言わないの?お寿司屋さんとか中華屋さんを選んでくれたら、困るじゃん。隠しとくつもり?」と聞いたら、
「いや別に。会ったら言うと思うけど、前もって言うって発想が全然なかった」ときょとんとしている彼は、やっぱりなんかコミュニケーション能力に問題があると思うなぁ。
「情報を与えないことの意味は?」と問い詰められて、
「今さら、と思うだろうけどね、言っておくべきだったと思うよ。キミのように軽やかにできないのは本当によくないね」と、ちょっとしょぼんとしていて気の毒だったけど。
おいしいお酒を飲んできてくれ。焼酎にしといてね。

息子には昨日メッセージを送ったら、今日、
「とりあえずライブ見て考えて欲しい。まだ5月中に行きたいって思ってるから」と返事が来た。
連休の終わりに計画されてる「独人ライブ」、チケットはお願いしてある。
うん、見せてもらおう。
あまりの才能に感動して、我々が100万や200万ぽんと出す気になるかもしれないし、お客さんからおひねりが集まるかもしれない。
彼がそうやってパトロンをつかむのはひとつのやり方というものだろう。
問題はね、世の中、そう甘くはないってことだよ。

明日は心臓の1年点検。
大内くんはお休みを取って付き添ってくれるので、我が家は1日早くGWに突入する。
基本のんびり家にいる予定。ホームシアターを活用しよう。

18年4月27日

心臓の1年点検なので大内くんが会社を休んで付き添ってくれる。
10連休の始まりだ。
朝イチで榊原記念病院。
もう手術から丸1年もたったんだなぁ。
その間全然来てないのにまったくナビに頼らず車で乗り付ける大内くんの記憶力はかなりすごい。

駐車場からもう、胸が重く、ドキドキする。
大内くんも、
「ずいぶん心配しながらここに来たことを思い出すよ」と言っていた。
受付の人が親切で、検査のシステムが流れるようで、いろんな意味で一流の病院だとあらためて思う。

検査着に着替えて心エコーやCTを待つ椅子に座っていたら、なんだか検査が終わったらこのまま病棟に戻ってまた味のしないご飯を食べるのかと思えてきた。
入院はいろいろつらかった。ずっと大内くんがいてくれて嬉しかったけれども。もうしたくないな。

あんまりドキドキして気分がふさいできたせいか、心エコーの検査ベッドに横たわってたら胸に締めつけられるような痛みが断続的に走った。
あわててエコー技師さんにその旨訴えると、いささかも動じるふうなく、
「これまでもそういう痛みはありましたか?」と聞いてくるので、
「いえ、初めてです」と答えたら、
「続くようなら教えてください。大丈夫ですか?」と言ったなり検査に入った。

こっちも何しろ専門病院で専門家の前に寝てるんだから、何かあったら病棟に担ぎ込んでもらえるだろう、とリラックスしてそのまま検査を受けたよ。
しばらく痛かったけど、治っちゃったなぁ。
何だったんでしょ。過緊張?

そのあとはCTを10枚ぐらい撮って、あっけにとられるほどすぐにすべて終わり、結果は3週間後にまた来て診察を受ける時に聞くことになる。
待っていてくれた大内くんに「もう終わったよ!」と言ったら、同様に少しびっくりしていたみたい。
何もかもがスムーズでなめらか。
高いプロ意識を感じた。良い病院だ。入院食はシャレにならないぐらい不味いけど。

次は車で10分ぐらいの距離の唯生の病院に行って面会。
午前中は入浴やシーツ交換で少しざわついていて申し訳なかったんだが、看護師さんたちは唯生のベッドのわきに坐っている我々に挨拶しながら気持ちよく作業を続けていた。
重度の人たちばかりなので、スタッフの声以外は起こらない。
唯生も時おりにやりと笑うけど、基本的にはすました顔で無言でいる。

しばらく足やおなかをマッサージして顔を眺めながら話しかけ、さよならを言って帰ろうとしたらドクターから少しお話があった。
腸ろうから栄養液を注入したあとうつ伏せ寝の姿勢を取ると十二指腸への流れが良く、逆流を防げることがわかったのでそれ用のマットを作りたい、保険が効かないため費用が掛かるが、了承しますか?とのことだった。
食事の時以外にも仰臥位を取ることで身体の緊張が少し緩む効果もあるそうなので、一も二もなくお願いした。

去年のカンファレンスの時に話に出た「気管切開」について聞いてみたら、ドクターは少しためらうように、
「唯生さんにどこまでしてあげるかという問題もあります。すでにデバイスを多くつけていることもありますし・・・」と説明してくれた。
ここまででも充分に不自然とも言える唯生の生を、あらためて思わされた。

唯生のもしもの時に無理な延命はしないことをすでに決めて書類にサインしている。
私たち自身、お互いの緊急時に「なんとしてでも」という治療はしない意思を確認しているし、いずれは書面に残したいと思っているぐらいだ。
いろいろな考え方の人がいるのは知っている。
自分も、いざその時が来たらうろたえ、違うことを言い出すかもしれない。
まだ「死」が見えない遠くにある今はアタマで考えてものを言っているような気もするんだが、去年の手術以来、生死については少し前とは異なる感覚で向き合うようになったと感じている。

難しい考え事になったので頭を振り振り病院を出て、これまた10分ほどの駅前で映画「レディ・プレイヤー1」を観よう。
出不精な人間はいったん出かけたら近くで複数の用事をこなすことに快感を覚えるんだ。
久しぶりのロードショーはすんごい面白かった!

映画館のビルの中で、糖質制限中でも食べていいケンタッキー・フライド・チキンを買い、3時間無料の駐車時間を超過しそうだったのであわてて車を出して、少し走った気持ちのいい道端に停めて食べた。
それから買い物にまわり、連休中の食材を買い込む。
肉類、野菜を山ほど。
チーズや糖質オフのビールも買ったよ。
観たかった新しめのDVDを8枚も借りて、シアタールームで観よう。
あまり遠出はできないけど、連休を楽しみたい。

18年4月28日

息子がきて、豚鍋を食べながらアメリカ行きの話をした。
「出発を延ばし、6月なかばまで日雇いのバイトに励んで旅費の一部を作るので、公演を観ることも含めて、お金を貸すことを検討してもらいたい」と言われた。

渡米中の家賃がもったいないからアパートを引き払うことを考えているが、家に戻ってくるつもりはないんだそうだ。
でも、荷物を家に戻すの?倉庫借りてくれ。
退去金や新しいアパートの敷金礼金不動産屋へのお礼、引っ越し費用、探す手間を考えると無駄ばかりでもないよ。
「今度1人暮らしを始めるカノジョのとこに身を寄せることも考えている」と言うのはある種の甲斐性で、立派かもだが。

小説や映画のことを楽しく話せたし、彼のコントに対する考えや、今後どうコントをやっていきたいかなどを聞けたのは良かった。
「本やマンガのデータ化、タブレット、SNSなどのおかげで母さんの生活はとても便利になったよ」と言うと、
「それで失われたものが多い気がするけど」と言う自称懐古趣味の息子。
なんとなく、文明に疲れたと言ってオートキャンプ場でカップヌードル食ってる人の言い分を聞いてるような気がするなぁ。

大内くんは、息子がトイレに立って話が途切れたのを潮に、
「やはり従姉の家に落ち着いてから他の都市に行く計画を練ってもらいたいので、出発は7月まで待ったらどうか」と提案しようと思っていたのに、戻ってきた彼が、
「じゃあ、もう帰るわ」と言ったとたん、言うのをすっかり忘れてしまったんだそうだ。
いきなりとり残されて茫然としてた。

今日、彼に真正面から、
「両親を別々の2人だと感じたことがない。2人がまったく同じ意見と価値観を持っているので、わざわざ別に話しかける気にならなかった」と言われたのは新鮮すぎた。
「私は『母親』という生き物ではなく、独自の考えと感情を持った一個の人間だ」と常々言ってきたつもりなのでなんだか盛大に落ち込んだけど、想う相手に想われ、わかってもらえるとは限らないからしょうがないね。
完璧な人間なんていない。

帰ったあとで、
「親が自分のことでケンカをしている時の子供の、あのいたたまれない、存在を消してしまいたいような気持を味わったことがない彼は幸せだよ」とつぶやいた大内くんは、ごていねいにも、
「父親を『男性』だと思ったことがない」と言われていたなぁ。
これもある種、失恋だね。あなたはそういうの気にしないのか。

息子に何か言い返したくなってメッセージ打とうとしたんだが、「やめときなよ。キミがさらに傷つくだけだよ。ほっとこうよ」と止められたので、
「何もかもさらけ出す主義の私がそれをやめたら、卑怯でしょう」とごねたら、
「パンツはいて外に出てる以上、今さら卑怯なんて言ってもしょうがないよ」といさめられた。
大内くん、今年一番の名言かもしれない。
おあとがよろしいいようで。

18年4月29日

この連休はあまり出かけないので近場で楽しもうと、去年できたばかりでまだ行ったことのない市民プールに行くことにした。
こないだセシールで水着買ったんだ。
生まれて初めてのフィットネス型。
今じゃ少なくとも通販のカタログからは昔風の「普通」の水着が消えているのに驚きながら、3分パンツと半袖の上着タイプを選んだ。

プールでもう1回驚いたが、上着こそノースリーブが多いものの下はほとんどの女性が3分パンツ。
私のような上下別のタイプもよく見かけた。
前開きの上着とパンツ型なので着替える時から楽だし、あちこちから余計なお肉がはみ出すのを気にしなくていい。
画期的なことに、プールに行くからと言ってムダ毛のお手入れもしなくていいのだ。
女性が、自分のためだけに身に着ける水着、と深く感じ入った。

どピンクの上着は派手すぎるかと思ったが、泳げない私が水中ウォーキングのコースを歩く間にとなりのレーンでゆるゆると平泳ぎをしていた大内くんには大好評で、すれ違うたび手を振ってくれると思ったら、
「とっても目立って識別しやすい。いい色を選んでくれた」と喜んでいたんだそうだ。

1時間ほど運動し、家のお風呂並みに温かいジャグジーでのんびりして着替えてから、ついでに施設の見学をした。
同じ建物にはフィットネスルームや体育館があり、今度、マシントレーニングをしに来ようかと思う。
医者からもひざのために太ももの筋肉を鍛えるよう言われており、散歩や体操が面倒くさいので、いっそきちんとトレーニングして筋肉つけようかと。
「いいんじゃない?係の人がとってもヒマそうだから、『心臓が悪くても足を鍛えられるマシンの使い方』とか聞いたらきっと喜んで教えてくれるよ」と大内くん。
そのうち1人で来て、相談してみます。

同じ建物の上階には生涯学習室や美術室、調理室などがあり、市民を3人以上含む6人以上の団体なら使用可能だそうだ。
前から市役所の会議室を使っての仲間内の講座などを主催している大内くんは、さっそく次の集会時に有志の名前を借りて団体を作ると張りきっていた。
(息子の名前も借りれば私と大内くんで市民3人の要件を満たす)
美術室を借りての「人生画力対決」(西原理恵子先生、すまん)、調理室を借りての「作って食べるお料理集会」などを開催してみたい。

家に帰る頃にはすっかりくたびれていた。プールから上がると身体が重いんだ。
マッサージチェアに坐るのを兼ねて、シアタールームでDVD鑑賞会。
間に置いた小テーブルがわりの丸椅子に冷たいノンシュガーのペプシを用意し、カーテンを閉め切ると、なかなか素敵な映画空間だった。
立て続けに2本観て、大満足だ。
「素敵なシアタールームをありがとう。これからはもっとたくさん映画を観ようね」と、企画立案をほめられた。
まあ、機材の購入からセッティングまでほとんど全部やりましたから。

ひとつだけ誤算だったのは、映画とマッサージチェアの組み合わせはきっと極上パラダイスだろうと思ったんだが、2時間ずっと機械にゴリゴリやってもらうのはちょっとツラい。
そして、マッサージしていない時のマッサージチェアは、意外と坐り心地の良くない椅子なのであった。
そこだけがこのシアタールームの瑕疵かも(涙)

最新「年中休業うつらうつら日記」
足弱妻と胃弱夫のイタリア旅行記
「年中休業うつらうつら日記」目次
「510号寄り道倶楽部