04年1月
「灰の記憶」
ポーランドのナチ収容所の話だが、とにかく字幕がわかりにくい。
最初の10分ぐらい観て話が全然見えてこないので、多忙だったせいもあり、ワイプ。
新年初の映画は「観てないのでなんとも言えない」でした。
何やら、暗澹とした1年を予感させるなぁ。大丈夫か?
「0061 北京より愛をこめて!?」
「詩人の大冒険」ですっかり好きになってしまったチャウ・シンチーが監督・主演。
10年近く前の香港映画らしいけど、なんつーか、ゆるいですねぇ。
ゴレンジャーとかの特撮モノにちょっとエロと残酷さをふりかけるとこうなるのかも、って感じの出来上がり。
妙な迫力は感じるものの、大内家的には「観なくていいよ」。
「荒野のマニト」
「ドイツ人の6人に1人が観た!」というのが売りの「ソーセージ・ウェスタン」。
これの前に何らかのお話があるのか、全然入り込めずに、10分でワイプ。
ドイツのコメディはイマイチだ。
「世界にいない人種が4人。ドイツ人のコメディアンとアメリカ人の哲学者とイギリス人の音楽家と日本人のプレイボーイだ」という小噺を思い出してしまった。
「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」
古い作品らしく、ひまわりちゃんはまだいない。
息子の強いリクエストで借りてきたが、しんちゃんの他のものに比べると数段落ちる、というのが感想だ。
こないだ観た「栄光のヤキニクロード」もあんまり面白くなかったし、けっこうばらつきがあるか、クレヨンしんちゃん。
「HERO〜英雄」
「活きる」などで大内家的にはたいへん評判のいいチャン・イーモウ監督、初めての海外進出大作。
壮大なスケール、華麗なワイヤー・アクション、目を奪うあでやかな色彩、CGを駆使した緊迫感ある映像。
だが・・・こーんなにてんこ盛りなのに、面白くないのだ。
映画ってオソロシイ。
とても楽しみにしていたので残念だが、チャン・イーモウには地道な作品を作ってもらいたい。
「アバウト・シュミット」
怪優ジャック・ニコルソン主演。
これはまた、ごくごく小さな作品で全然派手なところなんてないのに、面白いのはなぜだろう。
大内くんと、「映画って、不思議だね」とつぶやきながら観る。
夫婦や家族の関係が等身大に見えてくる、切々としたストーリーに感動した。
「観るといいよ」ですね。
04年2月
「ムーンライト・マイル」
アメリカ映画には、「ツイン・ピークス」みたいな、田舎の小さな街の話がよくある。
これもそんな話。
ダスティン・ホフマンがいい味出しているし、どこか透明な、切ない映画だった。
「観てもいいよ」の下の方かなぁ。
「ギター弾きの恋」
大内くんが観たがったので借りたウッディ・アレン映画だが、エメット・レイという伝説のギター弾きを知らなければ話にならないかもしれない。
妙に神経質な主演男優はなかなかよかったが、音楽にも昔のアメリカにもあんまり興味のない私としては、「観なくていいよ」だ。
「サハラに舞う羽根」
主人公の気持ちがわからない。
戦争に行くのがイヤなら、臆病者の証しである「白い羽根」を受け取ってすみっこで泣いてればいいのに、なぜか猛烈に奮起し、1人で戦場に行って苦労している。
私は、こういう無駄な苦労がキライだ。
「イングリッシュ・ペーシェント」を思わせる官能的な砂漠の風景はよかったが、人間たちの心はなんだかわからないまま。
何やら大作の風格はあるものの、「観なくていいよ」。
「ラブ・レター 〜パイランより〜」
これ、90年代に日本で作られた中井貴一主演映画のリメイクだったのね。
今回は韓国映画だが、浅田次郎原作ってとこが期待大。
(ほら、「壬生義士伝」もよかったことだし。そういえば、あれも中井貴一だったなぁ)
実際、まあまあよかった。
地味だけど、切ない、いい映画。
「観てもいいよ」かな。
「めぐりあう時間たち」
難解である。
3人の大女優が演じる3つの時代のストーリーはそれぞれ緊迫感があって思わず唸ってしまったが、全体を通して暗く、神経質。
最後まで観て、結局よくわかんなかった。
もしかしたら、ヴァージニア・ウルフの「ダロウェイ夫人」を読んでないとついていけないのか?
エド・ハリスが渋くて好きだ。
「観たけどむずかしすぎる」というのが感想ですね。
「トゥー・ウィークス・ノーティス」
サンドラ・ブロックと、うちでは美男子の評判高いヒュー・グラント。
でも、ヒュー・グラントはちょっと老けちゃって今後が心配。
お話はお約束どおり、「出会う→ケンカする→やはりお互いなくてはならない存在だと気づく→ハッピー・エンド」で、特に新しいことは何も起こっていない。
デート2回目ぐらいのカップルが観に行くのにちょうどいい、ってヤツ。
もちろん「観なくていいよ」。
「ザ・コア」
ベタといえばこちらもベタ。
「地球規模の大異変→市井の科学者を含む特設チーム→命がけのミッション→次々襲いくるピンチで影の薄い順に尊い犠牲・・・」って、ほとんどネタバレじゃん。
大内くんと「誰が生き残るか」「最後のピンチをどう切り抜けるか」などの当てっこをしたところ、2人ともものすごい正解率だった。
これまでSF映画を観たことがない人ならともかく、「アルマゲドン」とか観ちゃってる人にはまったくオススメできません。
「観なくていいよ」
04年3月
「彼岸花」
小津安二郎の映画は、どうしてこう、どれもこれも同じように見えるんだろう。
たいがい「初老の男が娘の先行きを心配している」のは、気のせいだろうか。
これを観たいと言って借りてきた大内くんに、「タイトルはどういう意味?」と聞いてみたが、「小津のタイトルはほとんど意味がないんだよ。『秋刀魚の味』とか『お茶漬の味』とか」という、あやふやな答えだった。
(食べ物ばかりなのは、大内くんの趣味か?)
そう言われると、「早春」と「晩春」にはいったいどんな違いがあるかとか、気になるじゃないか。
淡々とした中にも見るべきものがあるような気はするし、面白いとも思わないのについ最後まで観てしまうのは、やっぱりどこかスゴイ映画なんだろうなぁ。
ま、教養の一環として何本かは観ておくべきかもしれないが、どれがいいとも言い切れないので、各人の好みにおまかせしましょう。
「どれでもいいから観るといいよ」ってのは、ちょっと乱暴かしらん。
シネマ日記。と言いつつ、実はドラマ日記。
最近、新作「白い巨塔」の流れから田宮二郎主演の「白い巨塔」にはまってしまい、全31話を観ていたもんだから、全然映画を観られないのよ。
まあ、レンタル屋さんでも借りられるから、シネマ扱い、ってことで、よろしくお願いします。
「白い巨塔」
現実世界で自殺しちゃった田宮二郎が有名なドラマ。
「山崎豊子の原作」「今やってる唐沢と江口の連ドラ」そしてこの田宮二郎版をちゃんぽんにしているので、もうどれがどいういうストーリーだったのかわからない。
医療過誤とひと口に言っても、時代が違うから争点がずいぶん違うと思うし。
ただ、どれもそれぞれ面白い物語だ。
「白い影 その物語のはじまりと命の記憶」
で、里見先生をやっていた山本学がSMAP中居の恩師である、という設定のこのドラマスペシャルを観たくなった、というわけ。
「研究ひとすじだったが、請われて地方病院の院長になった、患者を何より大切にする老医師」って、確かに里見先生の人生そのものかも。
観たがった大内くんは、「そうそう、これで古い『白い巨塔』のフタがしまった」と喜んでいた。
このドラマも田宮二郎が主演したことがある、とか、因縁は深く、もはやぐるぐるにこんがらかっている。
「白い巨塔」が終わって、やっとシネマに戻ってきました。
今回は最新作だよ〜ん。
「座頭市」
北野武監督・主演。
異形の座頭市にぎょっとはするものの、全体的にはあまり面白くない。
音に凝っているのは主人公が盲目のせいか。
最後の「下駄タップ」のシーンはなかなか秀逸だった。
うちでは北野武の映画は評判がいいんだけど、今回はちょっと「観なくていいよ」であった。
「リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い」
ショーン・コネリー主演のこれはまた、堂々たるキワモノ。
欧米小説界の主人公たちが集結し、悪と戦う。
トム・ソーヤになんか特技があるんだろうかとか、ハイドになっても話が通じるなら弱っちいジキル博士より頼りになるんじゃないかとか、感想はいろいろ。
私はこういう荒唐無稽なお話が大好きだし、なかなかきれいな映像であったが、それでもやっぱり「観なくていいよ」だろうなぁ。
「スパイ・キッズ 3−D」
レンタル屋さんでちゃーんと「3−Dメガネ」を3つもらえた。(返却不要)
3ヶ月ぐらいたって借りようとしたら、もうメガネはないんじゃないかしらん。
「うわあ、とびだすね!」と、息子はたいへん興奮していた。
翌日も、遊びに来たおともだちとメガネをかけて見ていたようだし。
もちろんストーリーについて語ることは何もない。
「観なくていいよ」です。
「マッチスティックス・メン」
ニコラス・ケイジには当たりが多い。
それに、詐欺師の話はたいていすごく面白いのだ。
古くは「スティング」、あと、ジャッキー・チェンの「ミラクル」、新しいところでは織田裕二の「T.R.Y.」とかディカプリオくんの「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」など、名作ぞろい。
この作品も、すごく面白かった。
「観るといいよ」です。
さあ、みなさんも、「コン・マン」たちに気持ちよ〜くだまされよう!
04年4月
「浮草」
小津にしては珍しく「ドラマティック」な作品。
旅芸人の親方の、恋愛のもつれである。
小津映画で人が怒鳴ったり他人を殴ったりする、ってのは初めて観たよ。
ちょっとすさんだ雰囲気も、他の作品では観られないものだ。
まあ、「観ておいてもいいよ」という感じかな。
「マトリックス」
3部作が完結するので、とりあえず最初から観ておこうというわけで借りてきた。
最初観た時は全然わかんなかった話が、さすがに2回目だとよくわかる。
思っていたよりずっと面白い作品だった。
前に観た時には「終わってないが、続きを作るつもりがあるならよしとしよう」という感想を書いているようだが、今後どう展開させていくのだろうか。わくわく。
結局、SFなんじゃなくてアクション映画なんだと思うよ。
個人的には、スミスさんが好きだ。
「マトリックス リローデッド」
「1」がよかったわりには印象に残らない映画であった。
「3」に向けての壮大なストーリーの続きなんだろうが、あまり面白くない。
というか、まるで「ツイン・ピークス」が途中からわけわかんなくなっちゃった時と似てるなぁ。
今にも「丸太おばさん」が出てきそうだったよ。
最後はもう、終わるつもりなんかない「To be
continued」だし。
キアヌ・リーブスがハンサムなところだけが救いだ。
「観なくていいよ」と言いたいところだが、「1」を観ちゃってる以上観ないわけにもいかないし、うーん、困った。
「マトリックス レボリューションズ」
ワタシ的にはますますダメダメ。
電脳世界のスタイリッシュな映像はほとんどなく、ハリウッド・カンフーまで鳴りを潜めての「爆発シーン」の嵐。
「デアデビル」の描写をぱくってるし、「エイリアン2」みたいでもあるし。
まあ、3作全部合わせて「観なくていいよ」と言ってしまうしかないだろう。
「ティアーズ・オブ・ザ・サン」
ブルース・ウィリス主演の戦争モノ。
いい話なんだが火薬の量が多すぎるかも。
少し観て、会社の人と食事で遅くなる大内くんが帰ったら続きを観よう、と思ってたら、一緒に食事をしたその人が「ビデオを延滞しているので返さなくては」と言っていた、まさにそのビデオがこれだったらしい。
まだ観終わっていない大内くんに彼が言うには、「ブルース・ウィリスがカッコいいですよ」だそうだ。
ちなみに、その人と大内くんはわりと同じような映画を観ているのだが、「『リーグ・オブ・レジェンド』は決して観てはいけません」と言われたとのこと。もう遅い。
私はけっこう好きだったが、大内くんは深々とうなずいたという。
「マトリックス レボリューションズ」は観なくていい、という方向で意見の一致をみたらしいし。
(と言いつつ、観たうえで言ってるんだよね、その人も大内くんも)
余談の嵐でしたが、この映画に関しては、やや単調ではあるものの「観てもいいよ」ということにしておきましょう。
「アメリカン・プレジデント」
マイケル・ダグラス主演。
大統領の話といっても、社会派じゃなくてファンタジーですね。「王様と私」みたいな。
田村正和が主演したドラマ「総理と呼ばないで」はこのへんからパクったのではないかという疑いが濃厚。
少し古い映画だけど、なかなかよかった。「観てもいいよ」
「陰陽師2」
野村萬斎の色気に期待しての第2作。
うーん「1」の方が少しよかったかなぁ。
せっかく萬斎くんがウズメノミコに扮して踊る、というおいしいシーンがあるのに、妙な撮り方をしてるので台無し。
ここはやはり、ロングで特撮なし、ただひたすら踊りを見せてもらいたかった。
今回は敵役が中井貴一なんだが、善良そうだった彼がどんどん煮詰まってくると「1」の真田広之と区別つかない。
野村萬斎は伊藤英明が好きなんだろうな。
伊藤英明はまるっきり気づいていないぼやーんとしたキャラクターだが、そこがまたいいのか。
大まけにまけて、「観てもいいよ」。
「シャンハイ・ナイト」
ジャッキー・チェン主演。
ワイヤー・アクション全盛のこの時代に、今でも身体を張ったカンフーてんこ盛りの彼の映画を、私はとっても評価している。
あんまり面白くないのもご愛嬌。
とはいえ、前作の「シャンハイ・ヌーン」よりだいぶ出来がよかった。
次は「シャンハイ・モーニング」しかあるまい。(今回の「ナイト」は「騎士」とかけてあるんだけど)
時計塔でのラスボス戦は、絶対「カリオストロの城」見てるぞ。
そのへんは「プロジェクトA」の頃から変わらない。
字幕翻訳の出来は悪いし、「観なくていいよ」クラスの映画ではあるものの、けっこうスッキリするよ。
「ジョニー・イングリッシュ」
ローワン・アトキンソンは、何をやっても「Mr.ビーン」。
たまたま「宝玉と王位の話」であるところが観たばかりの「シャンハイ・ナイト」と重なって、洋の東西を堪能した。
ストーリー的にはもう100万回やられちゃってる話でまったく目新しいところはないのだが、なぜだかけっこう面白い。
レスリー・ニールセンの「裸の銃を持つ男」とタメをはるかもしれない。
日常生活で笑う機会が少なく、くどいギャグに飢えてる方にはオススメかも。
04年5月
「インファナル・アフェア」
ヤクザと警察が複雑にからみあう香港映画。
緊迫した画面の連続で、火薬量はたいへん少ないけどなんだか迫力がある。
私は錯綜する人間関係がよくわからなくてアタマがぐるぐるし、「もしかして面白くない映画?」と悩んだが、ちゃんと理解して観ていた大内くんは「すごく面白い」と言う。
さて、どっちなんでしょう?評価定まらず。
ひとつ確かなことは、日本映画はもうアジア映画全般に追い越されてるってことだな。
「スリー・キングス」
海外ドラマ「ER」のロス先生、ジョージ・クルーニ主演。
なんてことない冒険映画かと思ったら、今現在もけっこうシビアであるイラクがらみ。
アメリカはいろんなところと戦争してるが、常にそれを意識してるし忘れてないのがエライのではないかと思う。
大内くんはとても気に入ったらしく、「ぜひ『観るといいよ』をつけてくれ」と言っていた。
というわけで、「観るといいよ」。
「ラスト・サムライ」
大内くんが会社で上司から聞いた感想は「渡辺謙はカッコよかったが、映画としては大したことない」というものだったらしいけど、大内家的には大傑作。
確かに荒唐無稽だし、日本人の中には「日本文化をまったく理解していない」と立腹する人もいるかもだが、ある種のファンタジーと思って観れば、かなりいい映画だったと思う。
(日本の山中、という設定なのにヤシの木みたいのが生えてるのはあんまりだが。渡辺謙や真田広之は忠告しなかったのだろうか?)
渡辺謙にはアカデミーを取ってほしかった。「バットマン5」に期待か。
彼と小雪が日本語で話したりしてるシーンは、もうアメリカ映画を観てるなんて気は全然しなくて、なんだかトム・クルーズが日本映画に出演してくれた、っつー感じだ。
年末の「大内家シネマベスト」の時に「特別邦画賞」でもあげちゃおうかしらん。
ぜひ、観るといいよ。
「紅いコーリャン」
チャン・イーモウ監督のデビュー作。
ずーっと観たいと思っていたのが、ついに近所のビデオ屋さんに入荷されたことをつきとめ、さっそく借りに行ってきた。
「活きる」などの名作群に共通の骨太なたくましさは、すでにこの頃から光っている。
珍しく都会が舞台の「キープ・クール」でチンピラをやっていたチアン・ウェンが、農村でもやっぱりチンピラかと思ったら、案外オトコじゃないか。
ただ、日本軍がからんでくるとは予想外。
深く考えさせられた。
彼の作品は、「HERO〜英雄」以外は全部オススメだ!
04年6月
「喜劇王」
「詩人の大冒険」ですっかりファンになってしまったチャウ・シンチー主演。
実は、知人が「ラブレター〜パイランより」の女優さん、セシリア・チャンが大好きだと言うので彼女が出てくる映画を調べてあげていたら、この映画に出くわしたわけです。
お笑い人情モノみたいなお話だけど、なかなか面白かった。
「観てもいいよ」ぐらいには入ると思う。
「白い巨塔」
田宮二郎がまだ生きてるんだから、ドラマ版より前の映画。
新旧両方のドラマを観て原作も読んだ上での話だが、さすがに2時間に押し込めるのは無理があり、ストーリーはかなり刈り込まれている。
何の関係もないけど、「壬生義士伝」がドラマも映画もよかった、なんてあたりと比べると、これはドラマ版だけ観ていれば充分、という気がする。
というわけで「観なくていいよ」。
「踊る大捜査線THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ」
織田裕二が頑張ってる。
実は途中で寝てしまったのでお話がよくわからない。
一緒に観ていた大内くんも息子も「面白かった」というんだから、きっと面白いんだろう。
寝ちゃったのはつまんないからじゃなくて、単なる寝不足だし。
時間ができたらドラマ版からもう1回全部観たいなぁ。
「広州殺人事件」
「詩人の大冒険」がとってもよかったチャウ・シンチー主演。
でも、あんまり面白くなかった。
中国映画の妙な残酷さとか、観るべきものはけっこうあったんだけどね。
2人とも途中でうとうとしてしまったためあれこれ言う資格はないんだが、ここはひとつ、思い切って「観ない方がいいよ」。
この評価がつく映画って、実は年間に2、3本しかないんだよ。
けっこうスペシャルなので、逆に「じゃあ観てみようかな」と思ってもらってもかまわない。
「WASABI」
ジャン・レノと広末涼子が共演。
テレビでやってたので録画して、朝4時に起きちゃった日になんとなく観る。
5時になったら息子も起きてきて、ゲームやりながらちらちら見ていた。
「おもしろいじゃん。ジャン・レノってカッコいいよね」というのが彼の感想。
ビデオが出た時には、ヒロスエが好きじゃないので観なかったんだけど、確かにまあまあ面白かった。
だが、リュック・ベッソンは「グラン・ブルー」と「レオン」でほとんど終わっちゃってると思う。
04年7月
「ウッディ・アレンの重罪と軽罪」
テレビで深夜にやっていたのを録画。
ウッディ・アレンらしいシニカルなストーリーで面白かったが、記憶には残らない小品。
ミア・ファーロウが可愛かったなぁ。
この2人は夫婦だったような気がするが、アレンが養子に手を出したというので裁判沙汰にまでなっていたはずだ。
いやしくも映画監督が、映画以外のことでマスコミを騒がせるのはいかがなものか。
「スコルピオンの恋まじない」
ウッディ・アレン監督・主演。
チビでド近眼メガネ、風采の上がらない彼だが、いざ映画を撮るだんになると、美人女優を連れてきてやりたいほーだい。
大内くんは時々「うらやましい」とつぶやいている。
彼の考えてることはお見通しで、もしそうできる立場になったら、松坂慶子を呼んできていろいろなんだろう。
才能がないのも、時にはいいことだ。
この映画は、全然期待しないでなんとなく借りてしまったのだが、結果的には大当たり。
ウッディ・アレン映画の常として小さな作品ではあるものの、実によくできている。
「観るといいよ」
「道頓堀川」
これはどうしても観たいと言って借りてきた夫が(妻はまったく観たくない)コメントします。
必殺仕置人の念仏の鉄、山田太一の「早春スケッチブック」やNHKの「ザ・商社」以来、山崎努が大好きで、20年くらい前に1度観た映画。
佐藤浩市と真田広之が若々しいというよりは、こんなに「ちんぴら」だったんだね、という感じ。
松坂慶子のために作った映画?と思えるくらい、ストーリーの本筋とは殆ど関係なく沢山登場している。
佐藤浩市と山崎努の、親子の物語。
おかまをないがしろにする色男役の柄本明もなかなか凄みがある。
それにしても、山崎努のひげは似合わないなあ。
04年8月
「マスター・アンド・コマンダー」
長髪もフリルのついたシャツも似合わないラッセル・クロウ主演。
船と戦争の話ばっかりだが、なかなか感動できる場面も多い。
ガラパゴス島に行きたくてしょうがない船医さんは、要するにドリトル先生なわけね。
いや、別に動物の言葉を話すわけではないが、医学者が博物学者を兼ねるんだなぁ、と思って。
全体にいい出来です。海軍魂に、「観るといいよ」。
「タイムライン」
タイムトラベルが主題で、舞台は中世で、考古学ネタ。
私のために作ってくれたような映画だ。
最初はトンデモなSFで「スター・ゲイト」の再来かと思ったが、なかなか泣ける。
それほどメジャーになりそうな映画ではないが、上記項目に思い当たる人はビデオ屋にゴー!
「観るといいよ」
「指輪物語 旅の仲間」
「指輪物語 二つの塔」
「指輪物語 王の帰還」
前に「旅の仲間」を観たのだが、その時はあんまり感動しなかったのに、今回3つ合わせて観てみて、「ぜひ観てほしい」という珍しい評価をつけよう。
ただし、「ぶっ通しで観る」のが条件かな。
よくぞみんな、この映画の続きが出るのを待ってる間ガマンできたね。
ファンタジーが苦手な大内くんは「旅の仲間」で挫折したが、私1人で3本目まで進んできて、あまりにもったいないのでラスト1時間だけ一緒に観てもらった。
いくら私がとなりで「この人はホビット族の庭師。なんでこんなに忠実なのかは、ナゾ」などと説明してあげても、ついてくるのは当然不可能で、
「こう、登場人物がアップになっていい曲が流れちゃうってことは、いろいろあったんだろうねぇ」
「皆さんが感動する気持ちは想像がつく。みんなの心がアブラゼミみたいに『じーん、じーん』って鳴ってるんだろうなぁ」という感想だった。
ワタシ的にはやはりエルフの王子さま。
2ちゃんねるの「高見沢板」を読んでいたら、「オーランド・ブルームのレゴラス」と書いてあり、誰しも考えることは同じか。
とにかく大作である。
原作をまだ読んでいないんだが、なんか、映画観たらもういいや、って気分になっちゃいました。
「ラブストーリー」
「猟奇的な彼女」の監督さんがおくる韓国映画。
前のがとってもよかったのでたいへん期待して観たが、うん、期待通り。いや、それ以上か。
なんてことない話なのに、なんか泣ける。
今やドラマ的にも映画的にも日本は韓国に抜かされてる、と感じる瞬間だ。
少なくとも、ドラマ「冬のソナタ」「美しき日々」を観てしまった我々としては、「韓流エンタメ」に脱帽だ。
「冬のソナタ」が大流行するのも、日本の人々が「ストレートなわかりやすい話。でも単純に盛り上がれる」ってのに飢えてるせいじゃなかろうか。
昔の少女マンガさながらではあるが、「いいじゃん、単純で!」と思う。
けっこう演出も細かいし。
「観るといいよ」のかなり上のほう。
「スペース・カウボーイ」
テレビでやってたのを録画して観た。
前にも観て何か書いた覚えがあるのだが、最近忙しくて映画の本数が伸びないので、活用させていただく。
元宇宙飛行士の老人たちが宇宙に行く、という、まあある種のファンタジーなんだが、ロマンスあり政治ありピンチあり泣かせどころありの、小ぶりだがバランスのいい作品。
わざわざ観るほどのものではないかもしれないが、機会があれば「観てもいいよ」な映画かも。
「ラブ・アクチュアリー」
うちではハンサムと思われていたヒュー・グラントが主演の1人であるところの、さまざまな愛の物語。
彼はなんと英国首相。
だが、美形キャラは歳をとるのがむずかしく、今やまぶたのたるんだおっさんになりつつある彼に、ちょっとしょんぼり。
登場人物が多いうえ関係がよくわからないので、最初はアタマがぐらぐらしたが、そのへんがわかってくるとなかなか面白く、人生捨てたもんじゃないと思わせる佳作だ。
個人的には「裸でギターを弾く老いぼれロック歌手」が好きだ。
ちょっと甘いが「観るといいよ」。
「レイダース 失われたアーク」
これを観たことない人ってあんまりいないんじゃないだろうか。
我々はもう何度観たかわからないし、このたび息子とそのイトコという新規参入者を捕獲した。
面白いも面白くないも、娯楽映画は全部これと「スター・ウォーズ」と「バック・トゥ・ザ・フューチャー」あたりから始まってるんじゃないだろうか。
「あの音楽」を聴くとやたらに元気出ちゃうし。
「観るといいよ」とかいうレベルを超えて、教養として「観といてください」と言いたい。
「魔宮の伝説」「最後の聖戦」はその限りではありません。
(ショーン・コネリーのファンなら、止めはしないが)
04年9月
「シービスケット」
アメリカ大恐慌の頃の競走馬の話なんだが、実にいい。
画がきれいだし、短いカットで効果的にエピソードを表現している場面が多数あり、「こういうのが映画だよなぁ」と感心しまくる。
なんてことない話なんだけど、実話に基づいているせいか、とにかく胸に迫るものがいっぱい。
トビー・マグワイアは「スパイダーマン」より「サイダーハウス・ルール」とかこの作品とかの方がイイカンジだ。
猛烈に日曜午後の競馬中継を見たくなった。
「観るといいよ」
「半落ち」
寺尾聡主演の、まあなんというか、警察モノ?
これはオソロシイ作品だ。
どうオソロシイかというと、私はこれを3回観たのだが、3回とも寝ちゃったのだ。
1回目を大内くんと観て、途中で寝ちゃって、「これ、面白くないよね」と言ったら、「いや、僕はいい映画だと思うよ」と言われたので、翌日大内くんが会社に行ってる間にもう1回チャレンジ。
気がついたらまた寝ていた。
しょうがないのでもう1回観るも、さらに寝てしまう。
起きてる時の話をつなぎ合わせたらだいたいのことはわかったが、こんなに眠くなる映画は過去に類を見ない。
淡々と、ただひたすら淡々と話が進んでいくのがいかんのだろうか。
「シービスケット」の直後に観たので、やはり邦画はしけてると思わざるを得ないし。
(もちろん、その「しけてる」ところが邦画の持ち味だ、と言われれば反論はできないが)
大内くんがやたらに気に入っていたので、「観てもいいよ」にしておこう。
「純愛中毒」
韓流ドラマ「美しき日々」で大内くんがすっかりファンになってしまったイ・ビョンホン主演。
やっぱり「ビョンさま」がカッコよかった。
あと、大内くんが「モテモテの女の人にあえて不細工な女優さんをもってくるあたりが、韓国映画の気骨だ!」と、よくわからんことを言っていた。
途中まではものすごく盛り上がって「今や韓国の方が上だ!」と興奮して観ていたんだけど、うーん、ラストが気に入らないね。
これを観て、あのラストでいいと思った人はご一報ください。
「MUSA -武士-」
「中国(明)と韓国(高麗)の関係を描いた大歴史モノ!日本は出ないのか?!」と大内くんが興奮して観ていた。
確かに面白いのだが、いかんせん、戦闘シーンが多すぎ。
別に暴力的なのがイカンとか、そういう意味じゃないんだけど、少し飽きる。
ストーリーの部分はほんのわずかで、あとは延々戦ってるよ。
もうちょっとストーリー重視にしてくれたら、年末の「大内家シネマランキング」で「アジア映画賞」ぐらいあげられたかもしれないが、まあ「観てもいいよ」どまりですね。
頑張れ、韓国映画。
「クイール」
ある盲導犬の生涯を描いた映画だが、これはね、前にテレビドラマになってるんだよね。
で、実はドラマの方が面白かった。
映画は2時間という制約があってタイヘンなんだろうが、もっとテンポよくやれば内容的にもうちょっと突っ込めると思う。
なぜ映画になると「無意味な長回し」になってしまうのか。
クイールの人生(犬生?)があんまり伝わってこなかったよ。
個人的には、ラブラドール・レトリーバーってゴールデン・リトリーバーの毛を刈っちまった、って感じで、ちょっと顔が情けないし。
非常に残念だが、「観なくていいよ」ということで。
「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」
どうもこれには「前編」があるような気がする。
話の始まり方が唐突なんだよね。
で、面白いかというと、やたらに撃ち合いをしているだけで、あんまりいい点はつけられない。
「観なくていいよ」どまりだ。
アメリカの国境付近は治安がゆるくてキケンだなぁ。
「オーシャン・オブ・ファイヤー」
原題は「ヒダルゴ」。馬の名前。
邦題は砂漠の過酷な耐久レースの名称だった。
原題どおりなら「シービスケット」と同じような構造で、よかったんだが。
というぐらい、こちらも馬の話。
映像がきれいだし、なかなか面白い。
実話に基づいているせいか、迫力満点だしけっこう盛り上がる。
「観るといいよ」ですね。
それにしても、馬って本当に役に立つ動物だ。
あんなに走らされて、人間を恨むってことはないんだろうか?
「ロスト・メモリーズ」
仲村トオルと韓国四天王の1人、チャン・ドンゴン主演の日韓合作映画。
もしも伊藤博文が暗殺されていなければ、という近未来SFアクションだ。
仲村トオルが韓国語の台詞に悪戦苦闘するのかと思ったら、全体に台詞はほとんど日本語で、ドンゴンさんの方が慣れない日本語を一生懸命しゃべってる。
(そのせいで、ちと聞き取りにくい)
年末にやってたドラマ「時空警察」みたいな内容でとてもワクワクしたが、実際には火薬量が多すぎるかも。
韓国映画の将来性は大いに買うとしても、この映画に限って言えば「観ても観なくてもどっちでもいい」感じ。
「リクルート」
アル・パチーノは「インソムニア」とか「ニューヨーク 最後の日々」ではずいぶん老け込んでいたが、また若返ってる。
けっこう化け物のようなおっさんだ。
話はとてもよくまとまっていて面白いし、演出もなかなか。
「小さな作品」ではあるものの、CIAの新人教育、じっくり見せていただきました。
もうちょっと予算頑張って、主演のにーちゃんにブラッド・ピットぐらい持ってこれたら、もっとスゴイ映画になったかも。
「ミスティック・リバー」
ジャンルとしてはサスペンスかな。
少年時代の不運が一生ついてまわるという悲しいお話。
「アイ・アム・サム」で知的障害のあるお父さんを上手に演じたショーン・ペンが今回もいい味を出しているが、話としてはやや納得感に欠けるところがあり、「観てもいいよ」のかなり下の方。
「嗤う伊右衛門」
ミステリ界にどかんと衝撃を与えた京極夏彦が原作だけど、これはミステリじゃなくて時代小説なわけで、映画も当然時代劇。
唐沢寿明と小雪はよかったし、全体にとても頑張っていただけに、エンディングに不満アリ。
小雪のメイクは変えるべきではない、というのが我々の一致した意見なんだが、異論のある方はお知らせください。
最近邦画にこれといったものがないので、まあ「観てもいいよ」だとは思います。
「コールド・マウンテン」
南北戦争といえば「風と共に去りぬ」なわけですが、やはり「女は強し」という感じ。
南部女性って、みんなそんなふう?
男はけっこうだらしなく、それでも愛ゆえに遠路はるばる。
「A..I.」や「スターリングラード」のジュード・ロウは、少し頭髪が心配になってきてはいるものの、まあカッコいい。
ちょっとファンタジーの入ったストーリーで、好みが分かれるかもしれないけどなかなかよかった。
基本的に「愛」の話には点が甘いので、「観るといいよ」。
04年10月
「ペイチェック」
原作がフィリップ・K・ディックだからもうちょっとわかりにくい話かと思ったんだけど、実にすっきりしたSF。
同じディック原作の「マイノリティ・リポート」より、こっちの方がずっと面白かった。
ただ、いくら儲かるからといっても記憶を売り渡しちまう、ってのはヤバイんじゃないだろうか。
実際、「それはヤバイよ」って話なわけですし。
伏線がすべて生きてくるような映画が好きな人にはオススメかも。
個人的には、「持ってるものが全部役に立つ」ってとこが童話「エルマーのぼうけん」でした。
「ニューオーリンズ・トライアル」
アメリカ映画には「陪審員制」がポイントになる作品が多いけど、これもその1本。
古くは「12人の怒れる男」とかね。
てっきりダスティン・ホフマンとジーン・ハックマンの対決が目玉だと思ったのに、案外違う話だったのでびっくり。
裁判の話が好きな人とか、オチで「ほう」と言いたい人向けか。
全体には、非常に「常識的な話」ではあります。
「観てもいいよ」
「解夏」
さだまさし原作の病気モノで、連ドラにもなった。
まったく面白くない。
30分でワイプしたが、無駄な苦労であったもっと早くやめるべきだった、というのが共通の意見。
大沢たかおと石田ゆり子が好きな人は観てもいいのかもしれない。
ちなみにタイトルは仏教用語で、「ある一定期間の修行が明けること」であるらしい。
MS-IMEでは「ゲゲ」。変換不能。
「ドッグヴィル」
これはなかなかスゴイ映画だった。
まず、映画というより演劇を観てるような気分になる。
全部同じ場所で話が展開され、建物すらないという背景。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」とか「奇跡の海」の監督さんなんだが、この人は人生に絶望しているのかむちゃくちゃ希望を持っているのか、さっぱりわからない。
神経がきしむような世界観を持っていることだけは確かで、今回も平たく言えば「悲惨な話」。
3時間近い長さでもあり、好きな人でないとちょっと苦しいかもしれないなぁ。
大内家的には「観るといいよ」なんですが。
「デイ・アフター・トゥモロー」
いわゆるパニック物だろうか、地球規模の大災害の話ですね。
市井の科学者から問題提起があるが国のトップはもちろん一笑に伏す、というヤツ。
(国家がアタマを下げてきた「アルマゲドン」や「スペース・カウボーイ」は、むしろ珍しいタイプかも)
と、高を括って全然期待しないで観始めたら、案外面白いじゃないか。
こういうSFは一括して「スター・ゲイト」並み、と片づけてきたが、何だか妙に迫力がある。
ネタバレになるからあんまり言えないが、ラストシーンには地道に感動。
「観るといいよ」と言っておきましょう。
「パリ・ルーブル美術館の秘密」
これは、役者さんがいて、お話があって、という普通の映画じゃない。
ルーブル美術館の内部で行なわれている活動をいろいろ並べただけの、ある種の記録映画みたいなもの。
ツタヤの「ミニシアター系」の棚に並んでいたのでなんとなくつかんでしまったのだが、ただひたすら人々が美術館の様々な仕事に従事しているだけなのに、むやみに面白い。
大きな絵を壁にかけたり、けっこうガテンな仕事が多いせいかトレーニングルームがあってみたり、もちろん社員食堂もございます。
あれだけの規模の施設になるとバック・オフィスもやっぱスゴイんだなあ、と素直に感動。
ビデオ屋さんで見つけるのが困難かもしれないけど、1時間半、ぼーっとしながら集中して観られるオススメ作品です。
「観るといいよ」
「スキャンダル」
日本中誰一人として知らぬ者がない、という勢いのヨン様主演だが、メガネも茶髪もなしに挑む歴史モノ。
正直、こんなに立派な役者さんだとは思わなかった。
映画自体はなにしろ「R−18指定」、まあつまり「18禁」なわけですが、衣装なども豪華で、お金のかかった力作であると感じる。
色恋沙汰に身を捧げる宮廷貴族のけだるい物憂さを、ヨン様が実に見事に演じきっている。
ヨン様人気に引き気味の人も、一見の価値はアリ。
「観るといいよ」と言っておきましょう。
おばさまたちは、ヨン様のヌードに気絶しちゃったかなぁ。
04年11月
「ミッシング」
うちでは非常に評判のいいケイト・ブランシェット主演。
「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフの奥方とか、「耳に残るは君の歌声」のロシア人ダンサーとか、いろいろに化ける人だ。
今回は昔のアメリカ西部で2人の娘と気丈に暮らす「治療師」役で、野性的な強い女のキャラクターを見事に熱演。
お話自体はまあ単純なんだが、けっこうハラハラドキドキ。
ひとつだけ気に食わないのは、「呪術師」が出てくるのはいいんだが、本当に呪いが効いちゃう、ってのはどうかと思う。
「治療師」にしても「呪術師」にしても、知識や経験が豊富なだけでオカルトじゃないんだから、というのが私の意見だ。
まあ、「観てもいいよ」の上の方ということで。
「トロイ」
当然、ギリシャ神話に題材を取ったあの「木馬」の話なわけだが、お金かかってるなぁとは思うものの、ブラッド・ピットや「ロード・オブ・ザ・リング」でエルフの王子さまをやったオーランド・ブルーム(あの時は高見沢さまによく似ていたなぁ)といった豪華キャストを投入したわりには「ふーん、そうですか」的な印象。
まあ、正統派バリバリハリウッドだから、楽しめることは楽しめるんだけどね。
とは言え、「観なくていいよ」な感がぬぐえない。
「ヘアー」
街角の中古ソフト屋さんで大内くんが見つけてくれて、1980円とDVDにしては安いので、買ってみた。
もともとわりと好き、というか、「教養だよなあ」と思って観ていたんだが、今回観なおして、やはりなんらかのパワーを感じた。
何年かおきに観てると、自分が今いる場がわかるような気がする。
なにせ、ヒッピーたちを見ても「自分がこうなれるかどうか」よりも「息子がこうなっちゃったらどうしよう?!」って感じだからね。
でも、とにかく力のあるいいミュージカルだ。一生に一回ぐらいは「観るといいよ」。
「ジーザス・クライスト・スーパースター」
で、その流れでこれ買ったわけですが、私が好きで好きで何度観たかわからない昔版じゃなくて、2000年にイギリスでリメイクされたものらしい。
配送されてきて間違いに気づいた時はちょっとがっくりしたが、よく考えたら8mmテープとは言えすでに持ってるやつより新作を観る方がいいかも、っていうので観始めた。
旧版より舞台色が濃いけど、音がキレイに入っているのでかけっぱなしにしてCDとして楽しむこともできる。
それに、ずいぶん解釈が違っていて、ジーザス役の人も前のは気弱そうだったけど今回のは自信たっぷりのカリスマジーザス。(あたりまえか?)
正直、青池保子のマンガ「エロイカより愛をこめて」を思い出しちゃいましたよ。
どこかで手に入るなら、ぜひ観てみてください。
「ブラザーフッド」
今や「韓流四天王」の1人、チャン・ドンゴン主演。
最初はもしかして「義兄弟の杯」モノなのか?と思ってしまったが、実は朝鮮戦争を舞台にくり広げられる汗と涙の「兄弟」のお話だ。
汗まみれ泥まみれの戦闘シーンがけっこうすごくて、「地上最大の作戦」みたい。
歴史の重みと家族愛のすばらしさがせまってくるんだけど、観ないとわかんないよね、こういうのって。
ヒマな人はビデオ屋さんに行ってみてもいいのでは?と思った。
「観るといいよ」
04年12月
「おろしあ国酔夢譚」
緒方拳扮する「大黒屋光太夫」が漂流の果て、ロシアのエカテリーナ2世に謁見を許される、という歴史モノ。
西田敏行がキライだけど、ロシアの宮殿がゴージャスでよかったのと差し引きゼロにしておこう。
ドラマ「白い巨塔」で、財前五郎をムコ養子に迎えたおっちゃんの役がなかなか立派だったので、役者さんとして評価できるようになったしね。
寒くてタイヘンだったろうなぁ、というのが最大の感想。
「観なくていいよ」でした。
「レディ・キラーズ」
トム・ハンクス主演だが、「グリーン・マイル」の時と同じぐらい太っていた。
それでも彼の演じる「教授」は半分狂気かと思えるようなただごとでない目の光で、迫力あったなあ。
ホームズの「赤毛連盟」みたいな話が笑える。
昔のイギリス映画のリメイクらしいけど、なんだかブラックユーモアの嵐で、よかった。
我々の中で一時は「もうダメか?!」と思われていたトム・ハンクスが復活したお祝いも含めて、「観るといいよ」をバーンとあげちゃいましょう。
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ」
しんちゃんの映画版はなかなか面白いものがあるので、息子に言われる前から楽しみにしていたのだが、うーん、残念ながらあまり感心しなかった。
「嵐を呼ぶアッパレ!戦国第合戦」とか「オトナ帝国の逆襲」とかにくらべると、「栄光のヤキニクロード」とかこれは評価が低い。
「観なくていいよ」と言ったら息子が怒るけど、しょうがない。
「サンダーバード」
「あの」サンダーバードだから、とっても期待して観たんだよね。
我々の世代はみんな「あの」ガクガクした人形たちのお世話になってるし、サンダーバード2号のプラモ(中から小さいメカが出てくる)には夢中になったし、「出動!」って言いながらすべりだいを頭からすべってったし、ペネロープさんカッコいい!って思ったし。
でも、今回の実写版はたいへん安っぽく、あんまり面白くなかった。
印象に残ったのは、「ER」のグリーン先生がブレインズ(しかも子持ち)をやってたのと、本当の名前は「ティンティン」なのに昔のテレビ版では「ミンミン」にされていた女の子がちゃんと「ティンティン」だったことかしら。
(やっぱ、コドモの無心な耳には下ネタに聞こえてしまうんじゃなかろうか)
いろいろ言うわりには、開始後30分でワイプしております。
今度はぜひ人形版を作ってもらいたい。
「恋愛適齢期」
ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンがいろいろある、ひと言で言えば「老人の性」の話かと。
もちろん2人ともそれほど年寄りじゃないんだが、女性側に「もう避妊の必要はない」らしいし、老眼鏡なしには腕時計の文字盤も読めないようだし、老化は確実に忍び寄っている。
最初の1時間ぐらいすごくつまんなくて、もうワイプかしらと思ったが観続けていたらかなり面白くなってきたので、観てつまんないと思った人は、後半までガマンしてみてください。
(いや、結果に責任は持てないが)
心臓発作を起こしたら、次にセックスできるのは「2階まで息切れせずに階段を登れたら」ですよ。
最近「ER」でまったく同じ「基準」を聞いたので、少なくともアメリカではそれが医学上の常識らしい。
「観るといいよ」
「ディボース・ショウ」
ジョージ・クルーニー主演の、ジャンルとしてはまあ、ハートフル・コメディといったところか。
離婚率の高いアメリカならではのいわゆる「気の利いた話」で、よくできてるなぁ、映画ってのはこうでなくっちゃなぁ、と感心した。
「ER」のロス先生とか「スリー・キングス」で観てる彼なんだけど、今回が一番「いい役だ!」と思えたのは、大げさで笑える話だからなんだろう。
あの濃い顔でシリアスは、つらい。
「ウォルター少年と、夏の休日」
久々に観ました、「A.I.」「ペイ・フォワード」などでおなじみの、「世界で一番不幸が似合う少年」オスメントくん。
もう15歳ぐらいで、ミョーに成長しちゃって少年とは言いがたい部分があるなぁ。
でも、映画自体はよかった。かなりよかった。いや、とてもよかった。
レンタル屋さんに並んでる雰囲気からするともっと「ミニシアター系」だと思ってたんだけど、普通の人の鑑賞にも充分耐えるものだった。
大内家は老人に甘い傾向があるとはいうものの、ぜひ「観るといいよ」。
オチが絶妙で、最後の最後まで楽しめる名作です。
「スパイダーマン2」
なぜかスランプに陥るスパイダーマン。
それでも正義のために空駆ける、無敵の男。つらいねぇ。
「1」を観ちゃうとあのものすごい疾走感にも慣れてしまうきらいはあるものの、空中シーンはやっぱり爽快。
アクションばかりでなく感動の方もなかなかで、電車のシーンの終わりなんか、思わず涙ぐんじゃいました。
どう考えても「3」を作るつもりとしか思えないので、今後も楽しみ。
ところで「トリビアの泉」で、「英語で『とび職』のことをスパイダーマンと言う」と初めて知って(確かに辞書にもそう書いてある!)、「そうか、造語だと思ってたけど、アメリカの人にとっては普通の単語だったんだ!!」と盛大にびっくりした。
「へぇ〜」って、なりませんか?
それはさておいて、「観るといいよ」。「1」もよろしく。
「サンダーバード 特別編」
新しい「サンダーバード」がイマイチだったので、このさい昔を振り返ろう、と、古いやつを借りてくる。
そうそう、やっぱり2号はこうでないとね。
ペネロープさんも、このぐらい威厳がなくっちゃ。なにしろ貴族なんだから。
人形って、どう動かしてるんだっけ?吊り?
大きさが何種類かある、ってのは聞いたことがあるんだけど。
でも、途中ちょっと退屈で、飛ばしながら観ちゃった。
終わってみたら何のことはない、新しいのとテーマは同じで、「末っ子の欲求不満」でしたとさ。
「ビッグ・フィッシュ」
ちょっとミニシアター系だとは思ったけど、なんとなく惹かれたので借りてきた。
途中までは「展開のたるい映画だなぁ」と思ってたんだけど、後半めきめき良くなってきて、お父さんの不思議な人生に引っ張り込まれる。
箱庭のような瀟洒な街になんか見覚えがある気がしたが、そうか、やっぱり「シザー・ハンズ」の監督さんか。
あれはいい映画だった。こっちもいいけどね。
このサイズの映画としては高いポイントをあげられる。
「観てもいいよ」の、かなり上の方。
「華氏911」
アメリカの「9.11テロ」を取り上げたものだが、これを映画と言っていいんだろうか。
いや、映画にはちがいないんだが、観て楽しむ、というわけにはいかないうえ、どこからがフィクションでどこまでが実映像なのかわからない。
たいへんショッキングな内容で、グロい映像も多々ある。
さすが「R指定」。
あらためていろいろ考えてしまった。
「ヴァン・ヘルシング」
劇場公開時から大評判だったのでビデオになったらぜひ観たいと思っていたけど、ようやくリリースされた。
内容は「ドラキュラ」と「狼男」と「フランケンシュタイン」を合体させた上に「ヴァン・ヘルシング」というキャラクターを絡ませたものだが、この人は西洋では有名な人なんだろうか?
話の説明不足加減からすると、「説明不要」なキャラである可能性が大。
まあまあ面白かったけど、CGがちょっと安いね。
あまり有名俳優が出てないし、いちばん「いいヤツ」だったのはフランケンシュタインだったし。
残念ながら「観てもいいよ」の下の方だったなぁ。
「ヴェロニカ・ゲリン」
実在のアイルランド女性記者の話。
重い。
さすがうちで今一番評判の高いケイト・ブランシェット主演で、ぐいぐい引き込まれて観たが、ラストがとてもつらい。つらすぎる。
でも、重たいのが欠点なわけではないし、むしろ短いわりには内容の充実したすばらしい映画なので、ぜひ観てほしい。
DVDで観る人は、映像特典の「本人の受賞スピーチ」を観ることをオススメする。
雰囲気がよく似ていて、ケイト・ブランシェットがいかに芸達者かよくわかると思う。
年末に観てしまったので、点が高くなりすぎるのを警戒するあまり「大内家シネマベストスリー」に入れることはできなかったが、本当にいい映画だった。
「修羅雪姫」
上村一夫のマンガを原作にした、70年代の日本映画。
私は原作を持っているし、わりと好きでもあるが、この時期の邦画はあんまり好きではない。
逆に大内くんは、上村一夫が好きじゃないくせに古い邦画と梶芽衣子が大好きなのだ。
で、両者の趣味がきわどくわずかに接したこの映画を観た、というわけ。
血がどぴゅーっと出すぎるとか画面が暗いとか、いろいろうんざりするところはあるが、何やら妙な迫力があるのも事実で、大内くんは大満足だったようだし、私も「まあこういうのもアリか」と納得する。
歌がいいね。
でも、「観なくていいよ」だと思う。
「シュレック2」
この路線のCGアニメには、本当にもう、脱帽だ。
細かいところまで、実によく動いている。
「1」の話をほとんど忘れてしまっていたが、特に困ったことはなかった。
息子と観たので吹き替えだったんだけど、浜ちゃんの大阪弁がよくハマっていた。(期せずしてシャレになってる・・・)
「長靴をはいたネコ」の声の竹中直人もなかなか。
(アメリカでも「アイフル」のCMが流れているのか?と疑う)
「観るといいよ」
「ルビー&カンタン」
ジャン・レノ主演のフランス映画。
短いんだけど、小粒でピリッとしてる。
ジャン・レノは、ハリウッドで活躍しながらもこういう地元の映画にも地味に出続けているところがエライと思う。
「パリの大泥棒」とか、よかったなぁ。
大作の合い間にこういうのも観ると、ああ、映画観た〜、という気分になれる。
「観るといいよ」の1本であった。
さて、年末恒例の「大内家シネマベスト」です。
今年は90本と例年より少なめですが、引っ越しのあった年としては充分なのではないかと思います。
実はあんまり「これだ!」というのがなくて、ちょっと苦労しました。
「どんぐりの背比べ」的にノミネートの本数だけ増えていくし。
その結果、いろんな賞を設けざるを得なくなった、というのが実情です。
でも、いい映画ばっかり選びましたので、今後のレンタルライフのご参考に、どうぞ。
2004年大内家シネマベスト
1位
「シービスケット」
馬の美しさ、人生の苦難、わきあがる歓声・・・
フィールドを駆け抜ける姿に、素直に感動。
2位
「デイ・アフター・トゥモロー」
地球規模の大災害の中、しっかりと結ばれた父親と息子の絆。
決してくじけない人間の精神力が、ラストシーンに結実。
3位(2作)
「スパイダーマン2」
「1」は02年にも3位受賞。あいかわらずの躍動感。
単純なヒーロー物にとどまらない感動シーンも。
「アバウト・シュミット」
ジャック・ニコルソンが、妻を亡くした初老の男の物悲しさと煩悩をしみじみと演じる。
アメリカならではのキャンプカー・ライフで、さまざまな出会いが。
主演男優賞
トム・ハンクス
「レディー・キラーズ」での怪演が忘れられない。
思わず指を顔の横で「カニカニカニッ」と動かしてしゃべってしまう。
主演女優賞
ケイト・ブランシェット
「ミッシング」「ヴェロニカ・ゲリン」での底力ある演技に脱帽。
「ロード・オブ・ザ・リング」でエルフの奥方をやれば気品に満ちた美しさだし、これからも大いに期待する。
アジア映画賞
「スキャンダル」
今年話題沸騰のヨン様、男の色気もたっぷりと、宮廷貴族を演じる。
「冬ソナ」ばかりではない彼の魅力を再発見。ヌードは必見かも!?
ノンフィクション賞
「パリ・ルーブル美術館美術館の秘密」
一種の記録映画のようだが、さすがに天下のルーブル美術館、記録されるだけでも風格アリ。
淡々とした中に骨太な味わいが。
特別賞(2作)
「ウォルター少年と夏の休日」
「ビッグ・フィッシュ」
ミニ・シアター系な2本だが、双方ともガラスのきらめきのような繊細な味わいが捨てがたく、特別賞を。
オトナになっても少年の心を忘れないあなたに。
大内夫賞
「スコルピオンの恋まじない」
あいかわらずのウッディ・アレン映画なのだが、主人公が老境に至り、本当の悲しみのようなものがにじむ作品になっており、またかと思いつつ胸をうたれた。(夫)
大内妻賞
「ロード・オブ・ザ・リング」
3本まとめての受賞ですが、夫は「1」と、「3の最後」しか観ていないので、妻賞になりました。
壮大なエンディングに大いに感動しました。(妻)
という結果になりました。
今年は途中から42型プラズマ大画面になり、またDVDレンタルが大幅に増えたので、たいへん美しい映像を堪能しました。
来年もいい映画との出会いが楽しみです。
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