17年12月2日

息子が引っ越して4週間。
ほぼひと月たって初めての「まったく息子とかかわりを持たない週末」だ。
思えば毎週なんやかんや、ごはんを食べたりアパートを見に行ったり彼が訪ねてきて泊まってったり、先週はついに懸案だった公演を観に行った。
今週は彼に会う予定がない。
自由だ!

さらに画期的なことに、毎日毎日持ち帰り仕事のあるせいうちくんが、この週末は家で仕事をしないと言う。
休みの日も午前中とか夜に数時間パソコンに向かっていて、
「これじゃ『半ドン』と変わりないよね」と反省していたんだが、とうとう決意してくれたか。

なので、今朝はゆっくり寝た。
「朝早く仕事するから、キミは寝てて」なんて言われるのは悲しかったんだよ。
6時に起きたらせいうちくんは熟睡していた。よかった。
8時半頃までガマンしたけどやっぱり起こしてしまった。すまん。

2人とも運動不足が身体を蝕んでいるので、とにかく散歩をしようと思う。
晴れ上がって心地良い風が吹く中を、駅まで。
私は絶対汗をかくので七分袖のTシャツに軽い上着をはおって出かけたが、10分もしないうちに脱いで手に持って歩くことになった。
息が切れる。
心臓の機能の問題ではなく、慣れだろう。
心肺機能を鍛えるためにもできるだけ歩かなくては。
数年前は30分で歩けた道のりを、40分以上かかってやっと着いた。

いつもの整形外科に行って、しかしいつもとは逆の右足が痛むのを診察してもらったら、こちらも変形性関節炎が始まっているらしい。
ストレッチや筋力アップを勧められ、とりあえずシップをもらった。
痛み止めにはワーファリンに影響のないボルタレンがいいそうなので、薬局でゲルも買った。
すでにかなり痛くなっているので、帰りは歩きは無理かも。

タイ料理の店でいつものように「パッ・タイ」を頼んだが食べ切れないので、「カオソーイ」を完食したせいうちくんに少し手伝ってもらった。
今日は「カヤシマ」でナポリタンとハンバーグの「わくわくセット」を食べることも考えたんだけど、ナポリタンは自分でも作れるからね。
久々の駅前での外食だなぁ。

ロフトでカレンダーを買い、ブックオフで本を買い、ヨドバシでせいうちくんの誕生日プレゼントに新しいiPodを買おうと思ったが、
「高いし、基本iPhoneと同じなので面白くはない。家に余ってるiPad miniを流用することを考えよう」と結論して帰ろう。
駅ビルに魚を見に行ったら、実に大きな「黒ソイ」が2尾で670円。
せいうちくんは「煮つけたい!」と大興奮。
売り子のおねーさんに特に大きなやつが載ってるザルを選んでもらって2尾買った。

夜食にソーセージ、明日の朝ごはんにミートパイも買って、
「やっぱり駅前には贅沢でおいしそうなものがたくさんある!」と幸せをかみしめながらバスで帰った。
せいうちくんも身体ががくがくして、とても歩いて帰るのは無理なんだそうだ。
何年か前には往復歩けたのにね。
私にとってはいい気候になったから、週末には少し歩いて足腰を鍛えよう。

昼寝して、起きてからはずっと「ダウントン・アビー」。
私はもう観終ってしまったが、テレビ放映してる頃に途中まで観ていたせいうちくんも続きが観たいと言うのでシーズン2の終わりあたりから一緒に観ているんだ。
今日はシーズン4に入ったけど、もう彼は観ないと思ったのでさんざんネタバレしてしまっていて、かなりのことを知った状態で観ているのが気の毒。
シビルさまの時もマシューの時も、
「なんか、キミがヤなこと言っていたのを思い出した。展開が不安だ」とつぶやいていたよ。

残り物のカレーを片づけながら12時頃までずっとダウントン・アビー。
とても楽しい。幸せだ。
ベッドに入りながら、
「ずっとこうだといいのにね。年末までまた忙しいよ」とぼやくせいうちくんは、月曜からさっそく1泊2日の国内出張なんだ。
来週は1日しか家でごはんが食べられないらしい。くすん。

12時過ぎたところで「誕生日おめでとう!」と盛大に言う。
日付が変わったらすぐ言いたい、よしながふみ「きのう何食べた?」のケンジと同じタイプの私。
出会ってから35年、ずっとずっとありがとう。
もう30年ぐらいよろしくお願いします。
プレゼントは節約することになっちゃったけどね。
息子にもメッセンジャーで「父さんの誕生日!」と打っておこっと。

17年12月3日

せいうちくんの誕生日!
寝る前に「おめでとう!」って言ったけど起きたらまた言おう、と思ってたら、7時半に息子からメッセンジャー。
「昼ごはんでも食べる?」
せっかく彼の顔を見ないですむ週末だと思ったのに、「父さんの誕生日」なんて知らせたのは余計なことだったか?!

せいうちくんを起こして相談したら、
「まあ昼ごはんぐらいいいんじゃないの。家でなんか作るよ」と言うので、すぐに返事する。
「チャーハン食べたい。10時ごろ行く」と言う彼に、
「私たち、娘ちゃんに会いに行くから、11時ごろにして」と伝えて、予定が急変したので頭がぐるぐるするなぁ。

昨日、駅前でケーキ買えばよかった。
チャーハンに入れる豚肉も買わなくちゃ。
ブックオフにも行きたい。
街道沿いのイタリアンレストランでケーキ買う?いや、あそこは11時開店だ。
イトーヨーカドーにコージーコーナーある。
11時までに買い物すませて帰ってくるためには、10時開店のイトーヨーカドーに行くヒマあるか?
ネットで調べたら、東館は9時開店だって!
食料品とコージーコーナーは東館だ!

というわけで、まずはイトーヨーカドー、と9時前に家を出たところで、マンションの廊下を歩いてくる息子に遭遇した。
「もう来たの?先にごはんにする?」と聞いたら、
「いや、家で作業してるから、ごゆっくり」と言われて、予定通り買い物に行くことにする。
機械式駐車場を操作しながらせいうちくんに、
「チャーハンのごはん、炊いた?」と聞いたら、「あっ、忘れた!」と急いで家に取って返した。
車を出して通用口に横付けして待ってたら戻ってきて、
「『ごはんの炊き方知ってる?』って聞いたら『知ってる』って言うから、『3合炊いて』って頼んできた」と言う。
家庭科に感謝か、1人暮らしに感謝か。

イトーヨーカドーで豚肉買って、明日からの私の食事用に菓子パンもたくさん買っておこう。
コージーコーナーでは「ホールのケーキは高い」とお誕生日本人に却下されたので、ショートケーキとチョコレートケーキを2つずつ買って、娘の施設へ。

最近、娘の健康状態については担当の看護師さんの顔が曇りがちだ。
胃からの排液が多く、体重が増えないらしい。
食事の注入の時の体位を工夫してくれているようだが、プロたちでも難しいらしくて、
「病棟の誰が介助してもできるように、今、いろいろ試行錯誤です」と言っていた。
機嫌は良く、笑顔もたくさん出るのがありがたい。
「パパの誕生日なんだよ」と言ったら、きょとんとしていたけどね。

こないだ持ってきた新しいプレイヤーは好調のようだ。
娘の顔を見るといろいろ考えるよ。
さまざまな形ではあるけど、2人のコドモがそれぞれ家を出て暮らしてるんだなぁ。
親としては引退のステージだ。
しばらく2人で足やおなかをなでていたが、
「急に弟がくるから、急いで帰らなくっちゃいけないんだよ。ごめんね」と謝って、看護師さんに挨拶し、いらなくなった服や壊れたCDプレイヤーを受け取って帰る。

ブックオフに寄ったが、欲しかった田中芳樹の「銀河英雄伝説」文庫版は見つからず、11時に滑り込みで帰りついた。
息子は掛け布団を出してソファに寝転がっていた。
せいうちくんがチャーハンを作ってくれながら聞いたところでは、バイトの面接は落ちたのでまだ働いていないらしい。
「就職の方もやってる」と言うが、12月から勤める、というわけにはいかないようだね。

私「こないだ中野で公演があったから、前にあなたの誕生日に行こうと思っていたイタリアンに父さんと行ってきた。ほら、あなたが具合悪くなったから家の近くに変更になった時の。でも、代替わりして味がつまんなくなってたから、もう行かないかも」
息子「オレだったら、店が『つまんない』とは言わないな。自分じゃ作れないんだから」
私「どうして?作れないからこそお金を払ってプロの店に食べに行くわけじゃん。期待していた味より落ちていたら、つまらないと思うよ」
息子「べつにいいよ。オレなら言わない、ってだけ」
なんかカチンとくるなぁ。
あなたは母さんの言うことにはかなりの確率で否定的だね。
「母さん、空の巣症候群にはならないみたいだよ」
「近くに住んでるからでしょ」
ああ言えばこう言う。ムカムカ。

チャーハンを食べながら3人で話した。
息子の生活は、
「映画観て、メモ取って、書いて、また映画観る」という感じらしい。
芝居やコントをやる仲間たちに関して、やや上から目線なのが気になる。
「コントのことばかり考えてるんじゃなきゃダメでしょう」って言ったって、みんな働いてるんだから、しょうがないんじゃないの?
コントを考え、演じるその頭や身体は自分で稼いで養わなきゃいけなくて、あなたはその点ではまだモラトリアムが許されているだけだよ。
しかも、それはもう長くは続けられない猶予期間なんだし。

このあとも3月のコントライブの打ち合わせに行くと言うので、急いでケーキを食べる。
「コンビニのケーキだけど」と言ってせいうちくんの分だけだが買って来てくれたらしい。
息子と私はイトーヨーカドーで買ったのを食べよう。

それにしても息子がいちいち偉そうなのには驚く。
「まわりが、まだまだなんだよね。若いからしょうがないけど」と言われた時は思わず大笑いしてしまった。
せいうちくんも吹き出したので、息子が「なに笑ってんの?」と聞き、せいうちくんは、
「いや、父さんも24歳の頃はそんなふうだったなぁ、と」と答えると、私に「母さんは?」と振ってきたので、
「私は、50代の人間から見ると20代の人は等し並みに若いなぁって思って」と答えたら、即座に、
「いや、そうじゃないね!」と断じる。
「どういう意味?」
「言いたいことはそうじゃないでしょ」
「そのままだよ」
「ふーん、じゃあいいよ」
それはどういうことだよ、と詰め寄ろうとしたら、せいうちくんが別の話を始めてしまった。

仕方ないからじりじりしながら話題の切れ目を待っていたけど、こういう時に限って長い。
10分ほどもたってやっと口をはさむ余地があったので、
「蒸し返して悪いけど、さっき『母さんの言いたいことはそうじゃないでしょ』って言った時、本当はなんて言いたいんだと思ったの?」と聞いたら、あっさりと、
「忘れた」と言われた。

「あなたは、母さんがウソをついてるって決めつけてる。人の言いたいことを勝手に推測して、ウソ言ってるなんて言わないで。母さんはウソはつかないよ」と主張したが、「ふーん」と言うだけで本気にしてない。
せいうちくんまで、
「まあそれはいいじゃない」と言うので、キッとなって、
「よくない!正面切って、ウソついてるって言われるなんて、心外!」と気色ばむと、せいうちくんもやっと真面目に息子に向かって、
「母さんは、いろいろ欠点があるかもしれないけど、ウソだけはつかないよ。ここはウソをついた方がいいのに、と思うような場面でも、本当のことしか言わない」と援護射撃してくれたが、息子は「あっ、そう」と言ったきり、さっさと帰りじたくを初めて、あっという間に帰ってしまった。

次の用事の時刻ではあったものの、明らかに言い逃げされて、私は非常におかんむりである。
せいうちくんに、
「最初に彼が私の言いたいことを邪推した時に、なんで他の話を始めちゃったの?!」と怒ったら、
「キミが、あきれてものも言えないんだろうと思って…」という答えだったので、ますます激怒。
「私が他人に対して『あきれてものが言えない』なんてところを見たことあるの?こてんぱんに言い負かしたいと思いこそすれ、ものが言えなくなんて、絶対ならない!」
「そうだね、キミは、そういう人だね…だから僕も弁護したじゃない」
「遅いッ!足りないッ!」
誕生日なのに怒髪天を突いた配偶者から激しく糾弾される羽目になり、せいうちくんの顔には大きな字で、

「とんだとばっちりだ…」

と書いてあったよ。

まあそれでもダウントン・アビー観てお風呂に入って黒ソイの煮つけを食べて「おんな城主直虎」観終わる頃には私の怒りもせいうちくんの悲しみもおさまり、
「息子が元気なのもわかったし、いい週末だったね」ということになった。
ただし、2人とも次に息子に会うのはお正月で充分だし、3が日ずっといたりしたらイヤだ、と思っているよ。

さてさて、もう12月。
今週はせいうちくん大忙し。
そのあとも忘年会等の用事が目白押しで、ダウントン・アビーの続きはいつになるのか。
「直虎」もあと2回で終わっちゃうしなぁ。
来週は「本能寺が変」。
サブタイトルが素晴らしすぎて、日曜が待ちきれない。

17年12月4日

1泊の出張用トランクを転がしてせいうちくんが朝出て行ったあと、昨日の息子とのやり取りを思い出しては1人でムカついていた。
せいうちくんとも「息子に面と向かって言ってやりたいこと」をいろいろシミュレートしたんだが、正直言って彼に実際言えるかというと、理不尽に怒られるのがイヤで、言えないんですねぇ。
もうちょっと話の分かる人間に育てたかったし、育てたつもりだったんだけどな。
「キミに似てアタマのはっきりした人だから、彼が30歳になる頃には話が通じるようになるよ」とせいうちくんに慰められても、思春期が長すぎるだろう!

まあそれはさておきで、菓子パンをかじりながら、ツイッターでゆうべ観た「おんな城主直虎」のハッシュタグを検索したり、「本能寺」つながりで三谷幸喜の「清須会議」を観たりして午前中を過ごす。
お昼はミートパイの残りを食べ、歴史小説をあれこれ読みさして過ごした。

ずっと睡眠時間が短くて、1回に2時間以上は眠れなかったんだが、ここしばらくだんだん長くなってきた。
昨夜は6時間ぐらい通して眠れたのが画期的だ。

11時頃、ホテルに戻ったせいうちくんから電話がかかってきた。
仕事からそのまま会食になり、宴会にもつれ込んで遅くなったらしい。
「じゃあ、博多ラーメンは食べられなかったの?」と聞いたら、「うん」と悲しそうだった。
少し仕事をして寝るそうで、飲みすぎてはいない。よかったね。
私ももう少し本を読んで寝るよ。おやすみなさい。

17年12月6日

ツィッターで読んだ「クソ処方箋オブザイヤー」が面白かった。
「カロナール(鎮痛解熱薬)を500錠出す」
「胃酸を抑える薬と胃酸の分泌を助ける薬をいっぺんに出す」
「毎食後のレンドルミン(睡眠薬)」
「朝食後のバイアグラ」
「抗不安薬 【服用】ママ友と会う時」
ツッコミどころが多すぎる。爆笑。

人間の身体を薬であれこれ刺激していろいろ分泌させるのが面白くて、もし理系科目ができたら薬学やりたかったなぁ。
高校の頃にすでに理系は全滅だったので無理なんだが。
せいうちくんのように、高3の時に理系か文系か選んだ、という人の話を聞くと、尊敬するより先に「どっかおかしいんじゃないの?ケッ!」という目で見てしまうのは、程度の低い人間のやっかみです、ハイ。

人間の適性はなかなか測りがたい。
大学で学ぶことが仕事に役立つとも限らず、「何に向いているか」はやってみないとわからない。
高校までで英語ができたので自分は語学が好きなんだと思っていたが、最近わかった、英語は「忘れる」。
きれいさっぱり、忘れる。
私が得意だったのは語学ではなく、「意味を理解すること」、ひいては「筋道を理解すること」だったような気がする。

せいうちくんは法学部を出て会社で法務の仕事を30年近くやっているんだが、自分でも実に向いてないと思うらしい。
横で見ていて私もそう思う。
向いてない仕事でこれだけお給料がもらえるんだから、ジェネラルに優秀な人なんだろう。
彼から見て私が「呼吸をするように」事態の粗筋をつかみ、理屈の流れのおかしなところを発見し、人を言い負かしたいと思う、そのすべてが法務家に向いているのだそうだ。
「キミに記憶力さえあれば、強い弁護士になったと思う」
向いてないせいうちくんを法学部に押し込んだ親の情熱が、私の家庭にあればよかったのだろうか。

それに、飽きっぽいと親や姉から言われて自分でもそう思い込んでいたが実は妙に粘着質な私は、「並べる」「測る」「記録する」が苦にならないタチでもあったので、オトナとして憧れる職業は「血液検査技師」だったりする。
そもそも世の中にどんな仕事があるのかもあまり知られていないのがイカンと思う。
献血をするようになって「血沈を測るおねーさんの仕事の美しさ」に惹かれた時は、もう理系科目を習う歳ではなかった。

というわけで、コドモに職業選択をさせるまでに必要なことは、
・職業全般についての広い視野を持たせる
・彼ないし彼女の能力を限定しない
ということかと。

もっとも、タガのゆるみきった我が家ではそこに成功したのか失敗したのか、息子は現在コント職人目指して迷走中なので、人に偉そうなことは一切言えないんだが。

もしコドモの幸福は度外視して「親が憧れる職業」に就いてもらいたければ、そのまったく逆をやって、
・「世の中でなっていい仕事はこれだけ」と言い続ける
・「あなたはこういう人だから」と言い続ける
ある程度以上優秀なコドモで、かつ、つぶれてしまわなければ、結果は出るかも。

せいうちくんと恐る恐る、「息子にこれはやってないよね?」とささやきあっている今日この頃。
だがしかし、自然界に「完全な無干渉状態」は存在しないのでした…

17年12月7日

今年の8月に亡くなった高校時代の友人Oくんの誕生日。
生きていれば私と同じ歳になっていた。

mixiが誕生日だと通知してきた。
FACEBOOKで「亡くなった人の誕生日を知らせてくるのが悲しい」と言っている人を見たことがあるが、mixiでも同様だ。
SNS時代が続いて、そろそろ亡くなる人も出てくる、ってことだね。
人の生命と関係なく動き続けるシステムの寒々しさ。
私のFBにもあるじの亡くなってしまったアイコンが2つ、残っている。
家族が削除したりはしないんだろうか。

本の好きだった彼は我が家の「自炊」のお師匠さんで、お互いにデータを預け合い、年に1回会う時にハードディスクを交換していた。
せいうちくんはそのシステムを「バックアップ・パートナー」と呼んでおり、今後も友人の中に増やしていきたいと言っていたのだが、まずは増やす前にゼロになってしまったよ。

OくんのHDを見ると、実に彼らしく雑多な内容の本が並んでいる。
正直、私が気軽に読みたいと思うようなレベルのものはほとんどない。難解すぎる。
(そのかわりせいうちくんには垂涎ものであるらしい)
向こうでも、我が家のHDを覗いてみて喜んでいたのは唯一、テニス・プレイヤー、レンドルの「ミュシャ・コレクション」だけだった気がする。

本と言えば、最近新しい電子貸本屋に入会し、30日無料プラン中。
マンガをダウンロードするかたわら、ラノベをいくつか読んだ。
やはりラノベはラノベと言われるだけのことはあり、会話とト書きのような最小限の描写だけでストーリーが展開され、ひと言で言って「すかすか」。
もっと重厚に書いてあったら面白いんだろうなぁ、と思うものもあるが、あまりに軽くて足元がふわふわと頼りない。
どうやら私の小説の最低ラインは清水義範あたりのようだ。

なんとか読み切れたのは、いくえみ綾「あなたのことはそれほど」のノベライズ小説上下巻ぐらい。
(連ドラになり、料理がおいしそうだと評判になっていたので、いつかDVDを観てみたいものだ)
もちろんこれも「すかすか」には違いないけど、若い人向けの「ご近所スキャンダル」みたいな四角関係がもつれてもつれての低俗さに目が離せなくなって、一気に読んでしまった。

料理が上手で気持ち悪い夫って、ワタシ的には全然セーフだなぁ。
結婚は1人の人としかできないので現世ではせいうちくんしか救済できなかったが、一妻多夫制ならばもっと多くのオタクをなんとかできたかも…いや、人が一生に幸せにできるのはたぶん1人が限度なんだろう。
少なくとも私には1人が限界だと、近頃では自分の無力を思い知っているのだ。

せいうちくんの身内から「東大生と結婚したくて東大のサークルに入っていた」と言われた時は怒りで目の前が真っ赤になったものだけど、そうでないことはせいうちくんが一番よくわかってくれている。
「キミが僕との結婚を決めた時、僕は卒業も就職もアヤシイ7年生で、海のものとも山のものともつかなかった。条件で結婚するならもっといくらでも選びようがあったと思う」
結果的に理想の夫を手に入れたわけだが、つくづく先のことはわからない。

もしOくんと結婚していたら早々に寡婦になっていたのか。
せいうちくんでよかった。
彼は長生きの家系で、今とても心配なのは「80歳を超えたら確実にボケること」なのだそうだ。
遡れる限りの祖先に80歳に届いた人のいない短命の家系の私にはわからない悩みだなぁ。

17年12月8日

予約した病院のハシゴ。
赤い筋になって盛り上がっている胸の手術痕が痛くて痒いので、月に1度、皮膚科で傷跡に沿って注射をしてもらっている。
女性は乳房に引っ張られて傷が左右に伸びがちなのでシリコンのテープを貼るように言われたが、1日貼っていると赤くかぶれてしまう、と訴えたら、「液体状のテープ」を勧められた。
想像するに、乾くと保護力のある「透明ボンド」みたいなものか?
あいにく今在庫を切らしているそうなので、次回に試してみよう。
2千円ぐらいするそうだ。高価!

痒みを抑える飲み薬をもらって、次は婦人科。
更年期障害に効くホルモン治療、心臓のクリニックの先生は「全然かまいません」とむしろ興味なさそうだったのでそう言ったら、婦人科の女医さんは困っていた。
「何の病気で、どこの手術をしたのか、診断書がないと」と言う。
「弁膜症で大動脈弁の置換術をした、ではダメでしょうか」
「やっぱり医師の診断書が…」
どうやらホルモン治療をするとワーファリンで予防している「血栓」ができやすくなるらしい。
診断書出せ、って言ってくれればこないだ行った時にもらってきたのに。

「更年期障害かどうか確信が持てないんですが、ホルモンの値を測るとか、できますか?」
「血液検査すれば、できますよ。今日、しますか?」
はい、してください。
前回の診察の時、どうしてしてくれなかったの?

何もかもが後手後手に回るのを残念に思いながら心臓のクリニックに電話して聞いてみたら、次に行った時に診断書を書いてくれるらしいので、それをもらってから婦人科に血液検査の結果を聞きに来て、ホルモン治療に入る、ということにしてもらった。

この半年ばかり、身体のあちこちが不調なんだが、胃が悪ければ内科に行って内視鏡を呑み、胸の傷が痛ければ皮膚科に行って治療し、汗をかけば婦人科に行って更年期障害の検査をする、という状態で、総合的に私の身体を診てくれる医者はいないもんだろうか。
毎月血液検査をしてワーファリンを始めさまざまな薬をもらわなければいけないので、心臓のクリニックが主治医ということだと思うんだが、いかんせんそこの先生は心臓以外のことにあんまり興味を持たない。
胃腸の薬から痔の薬、頭痛薬から肩こりのシップまで、言えば処方箋書いてくれるけど、彼の診断に基づいてるわけじゃないからなぁ。

「もういっそ心療内科に行って全身の不調を訴えて、しかるべき専門の科にふりわけてもらうしかないのかも」とせいうちくんにこぼしたら、
「せっかく睡眠薬とかやめられたのに、また対症療法で薬だけ出されちゃうかもしれないからなぁ…」と二の足を踏む様子。
うん、それは私も避けたいところなんだ。

今日も午前中2軒病院行ったらくたびれて午後は寝こんでしまい、なんだかマッチポンプの様相を呈している。
身体が衰弱しているのは感じるし、ここ1ヶ月ぐらいやっと食欲や睡眠が戻ってきたので、やっぱり無理をしないで様子を見るしかないのかな。
気がつけばもう年末、手術から8カ月もたっているけど、自分で意識できないだけで、かなり体力を奪われていた気がする。
「だからそう言ってるじゃない。やっと回復の兆しが見えてきたところなんだよ。あせらないで、最低1年はかかると思って寝ててほしいんだけど」とせいうちくんは不満そうに口を尖らせる。
身体は弱いが気は強い。そういう人間なんだ、仕方ないじゃないか!

「弁置換術と発汗の関係」を見つけられないかとググっていたら、mixiの「心臓弁膜症コミュ」に行き当たった。
汗をかく話は出てこなかったけど、弁置換が大きな手術であること、何年も苦労している人が大勢いることがわかった。
「心膜に液体がたまって再手術になった人」や「ワーファリンを飲んでいる人」がたくさんいて、こんなに仲間が集まっている場所があるとは思わなかった。
参加して相談してみようかとも思ったが、FACEBOOK以外のSNSは基本ROMな姿勢なので、今回も眺めるだけ。

大病や大きな手術をした人の人生観が変わることがある、とは聞いていて、自分自身いろんな要因で手術以来別人のような気がする。
弁膜症コミュで読みかじったところでは一時的に人工心肺すら停めての手術だし、全身麻酔や、そのあと麻薬を投与されることもあって、ほとんど臨死体験なのかも。
入院中の奇妙でリアルな長い夢を、いまだに忘れることができない。
意識を取り戻してからというもの、別の人間の人生を生きているような気がするよ。

ともあれ、アタマがものすごくはっきりしてきたので、元気になったら働きたいなぁ、と思うこともないではない。
今、40代だったらパートに出るかも。
しかしもう60近くて社会的にはゆるやかに引退だし、そもそも30年間働いていないくたびれやすい中年女を雇ってくれる人もいまい。
「在宅の仕事を探したら?」と言うせいうちくん、何の資格も経験もないのにそんないい話は転がっているものか。
あらゆることに未経験なんだから、身体を使うしかないと思うよ。
そして私は基本的に怠け者だ。ごめん。
いずれにしてもまだ健康状態が何も許さないので、おとなしく寝ていよう。

17年12月9日

せいうちくんは職場の若い人の結婚式。
ご祝儀をいくら包んだらいいかググったら、「直属の上司じゃない場合の相場は3万だが、40歳を超えているなら5万包みたい」と書いてあったらしい。
念のため呼ばれている同僚に聞いたら「5万」なのだそうで、そろえておくのが無難でしょうね。

昨日コンビニのレジで、
「2万〜3万の時相当のご祝儀袋に5万円入れても失礼にはならないでしょうか?5万円用の袋もあるんですが、なんだか仰々しすぎて恥ずかしいので…」と相談したら、おじさんとおばさんとバイトの若い子が3人で頭くっつけて相談始めて、結局、
「5万の袋に5千円入れたら問題でしょうが、金額が多い分にはかまわないのでは?」と言われたので、3万円用の袋を買うことにした。

ついでに銀行に行って新札を用意する。
あ〜、いい妻やってんじゃん!とめずらしく満足感にひたった。
「たくさん用意しておいたよ!」と自慢したら、
「この先そんなに出すことがあるかどうかわからない。あったら困るし」と言われたけどね。

朝から黒服で出て行くのを見送り、背広フェチの私は少し嬉しい。
しかし、フォーマル度の高い礼服よりも普段のグレーの背広の方が男前に見えるのは、せいうちくんの品格が足りないせいなのか私の好みが庶民的すぎるのか。
それでも背広フェチは、毎朝の出勤時に惚れ直すという幸せ特典がついてくるからお得だよ。

たらふくフランス料理を食っておみやげ下げて帰宅したのが午後4時。
休日はつぶれたが、人のでも結婚式はおめでたくて嬉しい雰囲気がついてくるので、好きだ。
若いカップルの話を聞いて楽しんだ。

「ホテル・ウェディングはお金がかかるよね。私はケチだから、今もう1回結婚するとしてもやっぱり国民年金会館かも」
「僕だってそうだよ。でも費用が安すぎて申し訳ないから、『安い結婚式です。ご祝儀は各自調整してください』と断るか、会費制にするか、どっちかだなぁ」
「そうねぇ、会費制がいいんじゃない?私は結婚式が2回とも安上がりだったから、ご祝儀で黒字が出たような気がする」
「そうか!キミの大学の、小さい方のチャペルで式挙げて学食で披露宴すればいいんだ!キミが前に式を挙げた大きい方のチャペルと別なら気が引けないし。なんで28年前に思いつかなかったのかなぁ」

「もう1回結婚式する気満々」の50代夫婦…
再来年は30周年なのでローマに行こうと思ってるが、現地の教会でちゃちゃっと「2人だけの挙式」でもやってこようかな。
そういうことは式を挙げてない夫婦が考えるんだろうけどね。
何度も何度もやってどうする。

15周年で新調した結婚指輪がふたたびきつくなったために私は今はめてないので、また作るか。
死ぬ時は結婚指輪していたい、と思う今日この頃。
FBで流れてきた北欧の「ヒュッゲ」の指輪の広告に踊らされているだけかも。

ずっと「恋愛至上主義」を標榜してたんだが、それって、「結婚してても恋愛の方を重視」ということになるらしいと知って、宗旨替えを考える。
「結婚にあたって恋愛を最優先し、結婚後も配偶者に恋愛し続ける主義」のつもりだったんだ。
ウソが大キライなんで不倫は向いてない。
日常生活を共にする人にウソをつき続けていたらストレスがハンパなくて、無理だと思う。

時々、せいうちくんに大真面目に聞いてみる。
「不倫してない?」
毎回、答えは同じ。
「してないし、しないと思う。したら、自分でも自分がわからなくなる。ずっと無縁でいたい。既婚男性の多くはそう思ってると思うよ」
「一般にはけっこう盛んらしいんだけどなぁ。ネット記事の読みすぎかしらん…まわりに、してる人、いない?」
「僕はそういうことに疎いから、全然気がつかない。職場結婚が発表されて、みんな知ってる、もう秒読みだった、と言われていても、僕だけまったく気がついてないんだ。ラスト・パーソン」
自慢するようなことかね?

毎日会社に行っているせいうちくんと違って、私は家で寝て暮らしている。
宅配便と郵便局の人、ダスキンのおにーさん、西友の配達のおじさん、カイロプラクティックの先生。
2人きりで会う可能性のある人は誓ってそれだけ。
狩り場が狭すぎて婚外恋愛する隙もない。

「結婚式で撮った写真」と言ってせいうちくんがケータイを見せてくれた。
幸せそうな若いカップルを、職場の上司たち4人が取り囲んでいる。
最近少し太り気味だとは思うものの、やはりせいうちくんが一番ステキに見えるので、この人生を続けたい。

17年12月10日

午前中は9時からマンションの理事会があって、せいうちくんが行ってくれた。
「成人してるんだから息子に代わりに行ってもらいたい」とぼやいてたけど、もう住んでないじゃん。
「住民票は移してないんだから」って言っても、アパートに移ったって管理人さんに言っちゃったよ。
そもそも住んでる頃だって代わってくれなかっただろうに。

駅前にごはん食べに行こうって言って終わるの待ってたんで、11時頃帰ってきた時に「終わり?」って喜んだら、「まだ終わらない。トイレに帰ってきただけ」って言われてガックリ。
結局11時半までかかった。
散歩で行くほど時間に余裕ないね、バスで行こう。

私「11時からの『まめ蔵』や11時半からの『クルン・サイアム』はもう行列ができてるよ。『カヤシマ』なら12時前に着ければ大丈夫だと思う」
大「うーん、ナポリタンはキミが作る方がおいしいからなぁ…カレー食べたいな。少しぐらい並んでもいいから、久しぶりに『まめ蔵』行かない?」
私「いいよ〜」
って、12時ちょっと前に店の前に着いたら、おお、10人以上並んでる。
「たまには並んで食べるのもいいじゃない?」と言われて最後尾についたら、見る見る後ろに列が伸びて行くよ。

まあそれでもモノがカレーだからそんなに時間はかからなくて、30分ぐらいで店内に入れた。
2人ともチキンカレー。ランチセットの飲み物もつけよう。
また少し値上がりしたね。
「らっきょう」が姿を消してたし、カレーのテイクアウトは前から平日のみになってたのがさらに午後4時以降だけ。
もう息子に買って行ってあげることもないからいいけど、だんだんシバリがきつくなる。
お店というものは、残念になって行くことはよくあるが良くなることは滅多にないのだった。
やっぱりカレーおいしいからまた来ちゃうけどね。

ブックオフ行って欲しかった「銀英伝」の文庫版を歯抜けで買って、パルコのブックセンターで家計簿買うついでに足りないとこ買い足して、シアワセ。

ブックオフで文庫を10冊以上買う時に、レジで「よいしょっ!」と本の山をひっくり返して出したら、おねーさんがとっても喜んで、
「あっ、どうも!ありがとうございます!」って言ってくれた。
値札が読み取りやすいようにと思ったのが通じたらしい。
せいうちくんからも、
「僕はいつも表紙を表にして出してたよ。キミは本当に細かいことに気がつく。常に何事か考えている。ミセスQCは健在だ」とほめてもらえて嬉しい。

駅ビルのアトレ内の紀伊国屋でサンドイッチスプレッド買って、魚屋でブリとタコ買って、こないだおいしかったミートパイを3つ買って、なんだか買い物だらけになってバスで帰る。
日曜午後の繁華街は混み合っているけど、師走の街の生き生きした様子を肌で感じて楽しいね。
そろそろ小さな子たちがむずむずしてきて泣き出したり、バギーでぐったり眠り込んだりし始める時間。
子供連れの若い夫婦と老人が多い気がする。
我々はぼちぼち後者だ。

かなり足ががくがくになって帰りついたけど、もうひと仕事で、市役所に行って手続きしなきゃいけないことがある。
車を出してせいうちくんが運転してくれた。

市民ホールで柳家喬太郎さんの独演会があるたびに友人2人を誘って聴きに行ってたんだが、あんまり人気があるもんだから、2枚限定のチケット申し込みが「会員お1人様1回限り」になってしまったの。
仕方ないんでせいうちくんに続いて私も会員になって、次からは4枚取れるようにしようと思って、入会手続きをしに行った、というわけ。

窓口のおねーさんが不思議そうに、
「1回2枚ですけど、もう1回申し込めば取れますよ?」と言うので、
「いえ、今回から『会員1人につき1回の申し込み』になったんですよ」とせいうちくんが言ったら、ファイルを見て、
「あっ、本当ですね!不勉強ですみません。すぐに満員になっちゃうからですね。これは、喬太郎さんにお願いして、大ホールの方でやっていただかないとダメですね…でも、音響の問題もあるし…」と悩み始めた。
市役所の方で、よく話し合ってみてください。

来年5月にせいうちくんが主宰する「休日講座」のための会議室もお願いして、役所の用事は終わり。
近所の本屋に寄ってもらって、取り置きのレディース・コミックを受け取るついでにレジのおばさんと「おんな城主直虎」についておしゃべりしたが、イマイチ話が合わない。
高橋一生が表紙のTVガイドを買った時には熱烈に話しかけてきて、一緒に「政次ロス」を語り合った仲なのに。
どうやらその後の「直政」役の菅田将暉が気に食わないらしい。
「阿部サダヲの家康はいいカンジじゃないですか」と言っても同意は得られなかった。

車に戻ってせいうちくんに、
「本屋さんをやってるぐらいだから本人も知的な人だとは思うのだが、知性にもさまざまな幅があって、必ずしも話が通じるというものでもないようだ」と言ったら、
「キミもずいぶん進歩したね。いろんな知性がある、と思うようになるとは」と笑っていた。
最近、進境著しいんです!ぷんぷん。

その直虎を観るべく風呂に入り夕食を食べて備え、「本能寺が変」。
面白い。面白すぎる。コントかよ。
あと1回で終わっちゃうなんて!
来週我々を待っているのは大々的な「直虎ロス」だろうなぁ…DVDボックス買っちゃうかも。

ダウントン・アビーも残り3話になって、せいうちくんはなんだかアンニュイになって寝てしまった。
明日は九州出張で朝4時半に家を出るからね。
私は今からツィッターで直虎のハッシュタグを読むんだ。わくわく。
(昔、気難しいボーイフレンドから「オノマトペの多い女だな!」と言われたことを急に思い出した)

17年12月11日

せいうちくんは朝3時50分に起きた。
一緒にミートパイを食べ、4時半に家を出るのを送り出し、帰りは12時近くなるんだそうで、あまりに忙しいので半分泣いている我々。
まあ私はヒマなんだけど、寂しいね。

イマイチ体調が良くならず、気力が出ないので書斎が散らかってきた。
自炊する予定の本が積み上がり、家計簿つけるつもりで取ってあるレシートがあちこちにあり、1日中家にいるんだから何とかしたいんだけど、まとまったことができない。

そうだ、昨日買った家計簿を荷物から出してくれたせいうちくんに、
「いつもと違う家計簿買ってない?」と聞かれたんだ。
「いや、安い方にしようかとは思ったけど、結局いつものやつを買ったよ」と言いながら見てみたら、ああっ、間違えてるじゃないか!どうして!?
確かに迷った覚えはあるが、、毎年買ってる「お料理家計簿」を手に取ったつもりだったのに!
「僕みたいなマチガイをしたねぇ」と笑われて、後悔と屈辱に身体が震えた。

「明日、レシート持って本屋に行って取り換えてもらう!」
「本屋さんはあんまり取り換えてくれないよ。あきらめて、買ったやつ使えば?これも家計簿なんでしょ?」
「使いにくそうだから、ヤだ。取り換えてもらえないのは、読んじゃった本を返品されても困るからだと思う。1巻持ってきて2巻に換えてください、とかね。家計簿や日記帳は、使ってないのが一目瞭然なんだから、換えてくれると思う!」
「なるほど…」

言い負かしたのは気分がいいが、本屋に行く気力は出なかった。
明日以降に期待だ。
今日は菓子パン食べて「直虎」もう1回観て、ごろごろしてる。

17年12月12日

買い間違えた家計簿を取り換えに、パルコのブックセンターに行く。
せいうちまで自転車をゆっくりこいで20分ほど。
やっぱり汗をかくので途中で上着を脱いでカゴに入れ、薄い七分袖のTシャツ1枚だ。
コートを着込んでマフラーを巻いたすれ違う人々が、振り向いて見ているような気がするのは自意識過剰か。

レジで聞いてみたら、
「額面が上の商品とでしたらお取り換えします」と言ってもらえたので、差額を払って高い「お料理家計簿」にしてもらう。
よかった。
結婚以来30冊目の家計簿になる。
今年は4月の入院からずっとつけてないが、レシートは全部取ってあるので、年内になんとかキャッチアップしたい。
今、月額いくらで暮らしているのか実態をつかんでいないのがものすごく不安なんだ。
息子を追い出したのはいいが仕送りをしているという現実を、金銭的に把握したい。

面白かった「和菓子のアン」の作者、坂木司の他のシリーズを買いたいと思ってブックオフに行ったら、けっこうあるじゃないか。
しかも100均の棚に。
ついつい高価な棚にも手が伸びてしまうのは店側にやられているとは思いながらも、結局予定になかった酒井順子のエッセイまで買って10冊。
積読の山がどんどん高くなる。
早く自炊しちゃおう。

せっかく繁華街に来たんだからランチを食べて行きたいところだが、「クルン・サイアム」や「まめ蔵」でぼっちメシ食べてるとこを想像したら気が滅入ったし、何よりもったいないじゃないか!
さっき使った本代を少しでも取り返すべく、西友で食料品を買うついでに安いお寿司を買い、「ランチで千円かかるところを、500円以内ですませた」という満足感を得る。
いやまあ、きっと錯覚なんだけどね。

歩きながら、iPodのイヤホンから流れるユーミンの「まちぶせ」を知らず知らず口ずさんでいた。
気づいて赤面。
キモいおばさんだと思われたかも、とあたりを見回したが、たぶん誰も見てない。
だから、自意識過剰なんだってば。
こんな時はいつも「次郎物語」の中の三十一文字を思い出す。

「われをわが忘るる間なし道行けば硝子戸ごとに我が姿見ゆ」

駐輪場から自転車を出す時に、1台分空くかと喜んで近づいてきたおじさんに、
「今、出ますよ〜。出しますからね〜、空きますよ〜」と全身でアピールしてしまいながら、またこの歌を思い出していた。
人は、適度に他者に見られていないと精神に失調をきたすのではないだろうか。
専業主婦歴30年なのに今さらこんな状態になるのは、息子という他者が身近から去ったせいか。
せいうちくん以外の他者を必要としない自分でありたいのに。

帰りの自転車はさすがに息が切れてきた。
汗をだらだら流して、口を半分開けてふらふらと自転車をこぐ。
家に帰り着いた時は倒れそうだった。というか、実際午後は使い物にならなかった。

夜、せいうちくんに「もう少し身体を鍛えたい」と訴え、
「回復に1年はかかると思って養生して。外出するのはいいけど、無理はしないで」と諭された。
精神の活動と身体の性能がつりあっていないのを感じる。
「どんどん覚醒して、自分の心が強く、透明に、平らかになって行くような気がする」と頑張って言葉にしたら、せいうちくんは、
「キミはもともとそういう人だった。長い不調の時を抜けて、自分を取り戻しているんだと思うよ。あせらないで、ゆっくりね」と嬉しそうだった。
サナギの中にいる時の蝶の気持ちを聞いてみたい。

17年12月13日

パジャマのままベッドでのんびり本読んでた午後3時頃、いきなり玄関のカギを開ける音がした。
また息子か。
「よっ!いきなり来てごめんね。なんか、メシある?」
私の静かな午後を、なんだと思っているのか。

「坦々ごま鍋の汁の残りで雑炊作ろうか。冷凍食品のラザニアとかあるよ」と言うと、少しガッカリしたようだったが、
「うん、両方食う」。
実家の冷蔵庫には常に何か作り置きが入ってると思ってるのかなぁ。
そんなの、幻想だよ。
せいうちくんが忙しくて晩ごはんを家でほとんど食べないので残り物すら出なくて、私はインスタント食品と菓子パンとサンドイッチで命をつないでいるのだ。

簡単に作って出したら、大好きな牛乳をグラスに3杯飲み干しながらがつがつと食べていた。
彼がいなくなってから、週に8本買っていた牛乳を2本しか買わなくなってすんでどれだけほっとしていることか。
「楽しくやってる?」
「うん」
「食事はちゃんとしてる?」
「うん」
「お金はある?」
「まだある」
「バイトは見つかった?」
「まだ」
「仕事は?1月から勤めるって言ってたけど」
「そのために今やってる。今日も、会社に行ってきた」
(就活か?)
「なんで来たの?」
「図書館に来るついでに、ちょっと寄ってみた」
「母さんは、よくよくいつも家にいるって思われてるんだね」
「いるじゃん」

映画を観て、本読んで、コントの脚本書いて過ごしているらしい。
ヒッチコックが面白いんだって。
「父さんと母さんは『ダウントン・アビー』と『おんな城主直虎』ばっかり観てる」と言ったら、
「ああ、面白いらしいね」と言ってもらえて胸をなでおろすのは、卑屈というものだろうなぁ。
最近の地上波のテレビは面白くないこと、とんと映画が観られなくなったこと、本も映画も、外国モノより国内モノ、SFより歴史物が好きになってきたことを打ち明け、
「まあ、歳なんだよ」とくくっておく。
今の君にはわかるまいが。

次は1月に合同公演があると聞いているので、チケットを取ってくれるよう頼む。
「仲間とはうまくやれてる?」
「オレも、それほど傲慢じゃないよ。ちゃんとやってる」
「たとえ意見が違っても、長い間には仲間や友達は貴重な財産だから、大切にね」
何を言っても年寄りくさいと、自分でもイヤになってきた。

そこそこ和やかに食事を終えて、寒くなったから「はんてん」を持って行けと息子のを袋に詰めたら、「うん」と受け取りながら、
「食い物、持ってっていい?」と聞いてきた。
食料品がタダじゃないということに気づいたか。進歩だ。
「自炊もずいぶん慣れた」と言うので、インスタントラーメンとかキャンベルのチキンスープとか、家にあるものを山ほど持たせてやり、
「名古屋のおばあちゃんが昔、いらないものをたくさん送ってきたもんだけど、親ってのはそういうもんだとわかったよ」と言いつつ、袋のすきまにチョコレートを4箱ぐらい押しこむ。
「こんなに、いいの?」と苦笑しながらも、彼も遠慮する気はさらさらないようだし。

書斎をのぞいた彼は、自炊(6行上の自炊とは意味が違いますww)待ちの本の山に乗っている「このマンガがすごい 2018」を目ざとく見つけるや、
「これ、ちょっと貸して」と持って行こうとする。
「母さんも要るから、すぐ返してよ…うーん、まあいいや、また買うよ。あげるから、持ってっていいよ」
「ほんとっ?悪いね!」といそいそしまう現金なヤツ。
こういう本があたりまえにゲットできてしまう実家を、ありがたいと思ってもらいたい。

「じゃあね〜」と30分ばかりで嵐のように帰って行った。
「次は正月まで来なくていいよ」とは言っておいたが、こないだもそう言ったのに来たなぁ。
闖入されて、不愉快とまでは言わないが、穏やかな生活を乱されたような気はする。
会うなら落ち着いて会いたい。
「家を出てよかった?」
「うん!」と答える君だって、自分のペースで生活する気持ち良さを知ったんだろうに。
せめて「シェアハウスこぼれ話」を披露するぐらいのサービス精神が欲しい。

帰ってきたせいうちくんにあらましを話して、
「どうやら私はコドモに対する愛情が薄いようだ」と言ったら、
「そう自覚している点で、合格点だと思う。親子の悲劇は『こんなにコドモのことを考えている!』という思い込みから始まる」と言っていた。
私のことを「客観的で自制心が強い」と評価してくれるのは、この世にせいうちくんだけかも。

1回の訪問で、息子はたいそう食費が浮いたことだろう。
なくなったラーメンとチョコレートを西友の宅配で補充するついでにお米とインスタントみそ汁を買っておいて、正月に帰省した息子に持ち切れないほどの食料品を持たせる、という様式美にひたることにしよう。
おもちもデフォルトかしらん?
たとえ「サトウの切り餅」だとしても。

17年12月14日

数か月前に買った宮部みゆきの新刊上下を、やっと読み始めた。
著者得意の、少し超自然な時代物ミステリ。面白い。
興奮して、でも読み終わるのがもったいなくて、行ったり来たりしながら丸1日かけて読み終わる。
はー、幸せ。

本を読むのも体力なのか、ほぼ寝たきりのこの半年以上、まとまった読書ができない。
仕方ないから長編マンガばっかり読んでる。
読み返しならできるんだけど、「まだ読んだことのないお話」をたどるのが難しいのは歳を取ったせい?と悲しくなっていたので、新しい話にのめり込めたのはとても嬉しかった。
この高揚感をしばらく保って、積読になってる本の山をなんとかしたい。

こんなにヒマなのに、1冊2冊の本が読み通せない、ってのが自分でも信じられない。
眠ってばかりいた1年前ならともかく、頭は覚醒しているはずなのに。
1日中何してるのか、じっくり振り返るとコワイ。
寝たままタブレットでツィッター見るのはやめた方がいいのかしらん。
せめて起きて書斎に行って、パソコンの前に坐るべきなのか?

たまった家計簿つけて、住所録整理して、年賀状印刷しなくちゃ。
5、60冊たまっている本やマンガを自炊するのもひと仕事。
息をして、食事して、最低限の活動しかしてない。
気がつくとFBへの書き込みも少なくなってる。
身体のどこかから気力が漏れてるみたい。
「空の巣症候群」だけは違うと思いたい…

せいうちくんが帰ってくると生き返る気がする。
日中は冷凍保存されていて、夜の数時間だけ解凍されるような。
やっと一緒に「ダウントン・アビー」全6シリーズを観終わった。
私は3回観たわけだけどね。
「薦めてくれてありがとう。すごく面白かった。明日からどうやって生きて行こうかなぁ」と嘆息するせいうちくん、「直虎」も今週が最終回だよ。

てっとり早く新しい海外ドラマを何か観始めると言う手もあるし、「直虎」の勢いのまま、「真田丸」でももう1回観る?
お正月休みには、「U-NEXT」の31日無料お試しを観てみようか。「真田丸」あるみたいよ。
とにかく、ゆっくりしたいねぇ…

17年12月15日

「直虎」が終わり近い今日この頃、U-NEXTの31日無料体験で「真田丸」もう1回観ようと思う。
どれどれ、見放題のプログラムに含まれてるかな?と、申し込んでみたら…

えっ…私、もうU-NEXT契約してる…しかも半年も前から。

先日、1年前からNetflixに加入してたのに誰も観てないのが判明して、泣きながら一生懸命「ダウントン・アビー」観たばっかりなのに、U-NEXTまでも?!

あわてて確認したら、ポイント充当してNHK見放題にすれば「真田丸」も「直虎」の最初の方も観られることがわかり、また、大河ドラマがたくさん無料なので、せいうちくん大喜び。
「U-NEXTは優秀だね。古いドラマや邦画もいっぱいあるし。お正月休みはいろいろ観まくろう!」と、半年も無駄に料金を払っていたことはいっさい責めないのでした。

「ここ3ヶ月ぐらい正気に戻ってきたけど、手術直後のキミは錯乱してた。全身麻酔もそのあとの痛み止めの麻薬も、本当に身体に負担だったんだと思うよ。ずっと心配だったのが、だんだん普通の生活に戻れて、よかった。でもまだまだ辛そうだから、無理はしないで」
ありがとう、せいうちくん!
昨日は「真田丸」の第1話を観て楽しんだ。なつかしく、面白い。先が観たくてたまらない。

Netflixは今月で解約しなくちゃ。
U-NEXTで毎月1200ポイントもらえるボーナスポイントをもう4ヶ月分も流してしまっていたことは、お墓まで持っていく秘密だ。
って、今朝、しゃべっちゃったけどね。

夕方から電車に乗って東京駅に向かう。
せいうちくんと待ち合わせして、パレスホテルで会社のお友達ご夫婦とローストビーフを食べて「12月のお誕生会」をするのだ。
同じ部署のHさんがせいうちくんと同じ12月生まれなので、ここ5年ほど毎年一緒にお祝いさせてもらっている。

30分も早く着いてしまうとせいうちくんにラインを入れ、駅構内のアンデルセンの前でアイスコーヒーを飲んで待つ。
通路を隔てた壁際に椅子が並べてあってタダで座れるんだが、喉も乾いていたし、せっかくのディナーだから優雅に待ちたかった。
若い頃は少しでもお金を節約したくて、こういう時に飲み物を頼むなんて考えられなかったなぁ、と、ストローくわえて小さな幸せに酔っていたら、王子さまがやってきた。

なんだか「ぷっ」と吹き出しながら近づいてきたので「どうしたの?」と聞いたら、
「とってもカワイイ人がいるなぁ、とは思ったんだけど、ものすごい薄着なんで、思わず笑った」のだそうだ。
電車の中も駅の構内も暑くて、家を出る時こそいつもの七分袖のTシャツの上にコートを着てきたものの、とっくに脱いでわきに置いてある。
行きかう人々皆着ぶくれていて、せいうちくん自身、分厚いコートを着込んでいるので、首も腕もむき出しで座っている私はさぞかし場違いなんだろう。

「しょうがないじゃん、暑いんだから!これでも厚い方のコートを着てきたんだよ」とぷりぷりして答えると、
「コートもカワイイね。でも、そのコート買ったの、20年前だよね。なつかしいなぁ」。
私の物持ちも相当いいが、あなたの記憶力もいいね。

KITTEのクリスマス・ツリーを見に行って、ケータイで写真を撮ってから、パレスホテルに向かう。
1年に1回しか来ないせいうちくんの職場付近はビルが林立し灯りがまばゆい。
車窓からそれを眺めると不思議な気分になる。
私にとっては35年前からずっとただの「せいうちくん」だが、いつの間にか妻をタクシーに乗せてローストビーフおごってくれる姿に無理のない、さっそうとした壮年サラリーマンだ。
「せいうちくんを 上司と呼ぶ人のいて」と、俵万智の短歌をもじってしまう。

パレスホテルでお友達ご夫婦を待つ間も、なんだか夢心地。
せいうちくんはきっと接待で来ることも珍しくないんだろうけど、私は「田舎のネズミ」の気分だ。

Hさんの奥さんが先に来て、1年ぶりのご挨拶を交わしておしゃべりしていたらご主人も来た。
2人とも私の手術のことをとても気遣ってくれて、
「もう大丈夫なんですか?」「大変でしたねぇ」とあれこれ聞いてくれる。
奥さんのお母様も今、心臓を悪くしているそうで、心配なことだ。

グラスでシャンパンを頼み、「お誕生日おめでとうございます〜!」と乾杯。
しかし、ここで誕生日を迎えてしまうと50歳になるHさんは、
「私は49歳のままです。折り返して、歳を取りません」と頑強に主張していた。
せいうちくんだって54歳になったというのに(笑)

それぞれに前菜を選び、メインは全員ローストビーフ。
ワインに造詣の深いHさん夫婦はソムリエさんと楽しそうに相談して、「コストパフォーマンスのいい赤」を1本選んでくれた。
下戸の私も勧められて1杯だけ飲んだが、うーん、たぶん、おいしいんだろうなぁ。
「わからないのも、このぐらいわからないといっそすがすがしい」というレベルのワイン音痴なので、私の喉を通り胃の腑に収まる分はすべて無駄になると思うと、本当に申し訳ない。

ローストビーフはいつもいつもとてもおいしい。
毎年同じ場所同じメニューでそろそろHさん夫婦も飽きるのではないかと心配だし、自分自身飽きたらどうしようと思っていたんだが、食べてみたら全然飽きてなかった。
来年もさ来年も食べたい、と心から思ったよ。
ソムリエさんもどうやら年に1回お誕生日を祝ってはワインを一緒に選ぶHさん夫婦を覚え始めているらしい。

各自デザートを選んで、お誕生日のHさんとせいうちくんの前には細いロウソクを立ててチョコで名前を書いたプレートが運ばれてきた。
それぞれのバースディ・ソングを歌ってもらって、ソムリエさんとウェイターさんが2人で見事にハモり、レストラン中のお客さんが拍手する中でロウソクを吹き消すせいうちくんの画がちゃんと撮れた。
(Hさんは顔出しNGなのだそうだ)
このミニ合唱団は、年々上手くなってる気がするなぁ。

2時間近くかけてディナーを終え、上階のラウンジに席を移してまた懇談。
Hさんとせいうちくんは仕事の話ばっかりしている。
昔は同僚だった奥さんも加わりたそうなのだが、私に気を遣って、軽いおしゃべりにつきあってくれた。

いや、私も、
「せいうちさんはとても忙しく、難しい案件をバリバリ片づけている」と語るHさんに、
「私の愛する『ぼんやりせいうちくん』がいったい会社でどんなふうに働いてるんでしょう?」と聞いてみたいのはやまやまなんだが、非常に礼儀正しい語り手は無理やりにでもほめちぎってくれるだろうからなぁ。

今回、残業で日付が変わることの多いHさんの奥さんから「夫がいない時間をどう過ごすのが有意義か」を教わったので、これから私も自分の時間を豊かに使おう。
今まではせいうちくんのいない時間が寂しくて仕方なかったが、手術以来人生観が変わって「新型」になったと驚かれている私は、残業も出張もかなり笑って待てるようになったのである。えへん。

結局、忙しいHさん夫婦に4時間もつきあってもらって、今年のお誕生会も楽しく無事に終わった。
奥さんとお別れするのがいつも名残惜しく、せめて家が近ければ昼間に訪ねあうこともできるのに、と思うのだが、東京駅をはさんで東西にかなりの距離を通勤する夫たちであるので、Hさんの奥さんと私は年に1回しか会えない牽牛織女。
また来年、このレストランでお会いしましょう。

17年12月16日

午前中、せいうちくんがカイロプラクティックにつきあってくれた。
2週間に1度ぐらい通っているんだけど、言われた体操を全然しないので、業を煮やした先生が、
「今度、ご主人と一緒に来てください。ご主人に体操を覚えてもらって、家でうさこさんの身体を動かしてもらいます!」と言うのだ。
初めて会う先生にていねいに挨拶し、真剣にメモを取っていた。

1時間の施術を終えて、
「ではご主人、よろしくお願いしますね」と言う先生にお別れして、駅前の吉野家に牛丼食べに行く。
「ねえねえ、先生をどう思った?」と聞いたら、せいうちくんは、
「熱心で上手そうだね」
「若くてイケメンでしょ?」
「うん。あのイケメン先生が密室でキミの身体をあちこち曲げたり伸ばしたりしてると思うと、いろいろ考えなくもない。施術者というのも大変な職業だ」と真面目な顔で牛丼をかきこんでいた。
あんな若い先生に雑念を起こさせないのが、おばさんという者の功徳なのだよ。

駅ビルで買い物して、明日の昼はスパゲッティ・ボンゴレ・ビアンコ、夜は水餃子に決まり。

夜の「保育園くじら組忘年会」にそなえて昼寝でもしようか、いやいやもったいない、明日の「おんな城主直虎」最終回前に、ほぼ1年前なので忘れてしまった始まりの部分を少しでも思い出そう、とU-NEXT観てたら、いきなり息子が帰ってきた。
だからさぁ、電話ぐらいしてから来い、って言ってるじゃん!
「近くまで来たから寄ってみた。チャーハン食いたい」つったって、そもそもご飯がないよ。
母さんたち、今夜は宴会で明日の昼はパスタだから、夜までご飯炊く予定がなかったんだもん。

「スパゲッティでいい?ボンゴレ食べる?」とせいうちくんが聞くと、
「レトルト?」
「いや、あさりをたくさん買ったから、作るよ」
「じゃあ、食いたい」
なんだか贅沢な人だね。

パスタを茹でながら「仕事は決まった?」とか聞いても、息子は書斎から勝手に持ってきた私の本を読んでいて、生返事ばっかりしている。
(まだ無職らしい)
「その本、持ってっていいから」と私が言っても、
「食べる間ぐらい話をしてよ」とせいうちくんが頼んでも、本から目を上げずに「うー」とうなってるだけ。
何しに来たの?

あんまり会話にならないので、食べさせるだけ食べさせたせいうちくんが「もう帰りなさい」と追い返してくれた。
お正月にあげるつもりだったお米とインスタント味噌汁を持たせたのが、かろうじての親の立場。

私「大みそかに来るなら、年越しそば食べる?」
息子「わからん」
私「大みそかには来ないの?」
息子「わからん」
私「予定が立たないなら来なくていいよ。元旦に来る?」
息子「正月中には来ると思うけど、いつかはわからん」
私・せいうちくん「…」
ものすごーく、来てほしくなくなったんですけど。

忘年会の話はまた明日。

17年12月17日

午前中も行った駅前に自転車走らせて、幹事のせいうちくんが予約した小洒落た居酒屋に。
おう、7人のメンツのうち、3人のお母さんたちがもう来てる。定刻前なのに、パンクチュアルな人々だ。
我々が入って、あと2人。
5分過ぎに現れて、飲み放題メニューから好きなものを頼んで、乾杯!

先に来ていた、息子とボーイスカウト一緒にやってたしゅうくんママとけいすけママ、女の子なおみちゃんママは隣の卓、こっちの卓は、息子の永遠のライバルりょうたママと女の子まふゆママ、そして我々。
コドモたちはみんな同じ保育園で大きくなり、小・中学と一緒。
りょうた一家だけは中学に入るタイミングで実家のある千葉に引っ越してしまったんだけど、その後も男子たちのお泊まり会をやってたので高校ぐらいまではりょうたの顔も見てるし、お母さんはくじら組の飲み会のために年2回こっちまで来てくれるのでずっと会っている。

今回、大学院のりょうたも就職が決まり、プーなのは我が家の息子だけだ。
その彼が家を出て1人暮らしを始めた話でひとしきり盛り上がる。

夏の飲み会に不参加だったなおみママとしゅうママには私が手術したことを言ってなかったので、驚かれた。
しかし、全員が、
「元気になった!」とたいそう驚いてくれた。
夏に会った時はまだ青息吐息だったからだろうか。
体重は最近リバウンドして結局2キロぐらいしか減ってないんだが、「すごくやせた!」とも言われる。
せいうちくん曰く、
「目つきがシャープになって、表情が生き生きしてるからだよ」。

こっちが驚いたのは、20年以上のつきあいなのに、
「こんなに饒舌な人だとは知らなかった」
「もっと無口な人だと思っていた」と言われたこと。

今年の後半に会ったせいうちくんを始めとする大昔からの友達からは、
「昔に戻ったようだ」
「ビシバシした口調が戻ってきた」と言われるんだが、そうか、生まれてから30年以上よくしゃべっていた私は、そのあと25年ぐらい口数が少なく、舌が回らなくなっていたのか。
ママ友たちと、いったい何をしゃべってきたのだろう?
まあ、今回、20年分しゃべり倒してきたからいいけど。

「りょうたが、『みんなに会いたいなぁ』って言ってたわよ。コドモたちだけで、会ったらいいんじゃないかしらね。こっちまで来なくても、新宿でもどこでも、行けるでしょ」とりょうたママが言っていたのに大賛成。
かつて親が持ち運んで保育園に集まっていた幼児たちが、今ではみんな24歳だ。
同期の女性陣にはすでにママになった子もいる。
(総じて女の子の方が甲斐性がある、というのが我が家の意見)

今回会ったママたちの中で、家を出ている子はまふゆちゃんとうちの息子だけ。
特に男性陣はまだメシを作ってもらっていることを思うと、卒業し、就職したからと言って急にオトナになるものでもないようだ。
息子も本当に独立するにはまだまだかかると思われ、「30歳成人説」をあらためて噛みしめた。

飲めないはずなのにジンジャーハイボール4杯を飲みまくり、しゃべりまくるところまでは行ったが、カラオケで歌いまくる予定のところをせいうちくんに連れて帰られてしまって果たせず、酔っ払って家の風呂場で歌いまくっていた。
白一点の立場によく耐え、私が隣の卓でゴシップ三昧している間に元社宅妻やら現役サラリーウーマンやらの相手を務めたせいうちくんは、まことにご苦労さまであった。

そして寝ようと思ったら、息子からメッセージ。
「明日、ビデオカメラ借りに行っていい?」
どうやら月曜にコントライブ出演するので撮影したいらしい。
「映像見せてくれるんなら」とせいうちくんが条件を出したら、
「1月の合同ライブでやるネタだから」との答え。そんならいいや。
「昼ごはんに水餃子食べる?」と聞くと、
「8時に行くから」と言う。そのあと練習があるのかな?
「寝てたら勝手に持って行って」と伝えておいて、カメラ充電しておく。

ところが翌朝、私が8時過ぎに起きてカメラを見に行ったらまだ書斎にある。
また遅刻?
「来ないの?」と打ったら、「今から行く」と言って、来たのは9時過ぎ。
次の予定に遅れてるんじゃないかしらん。
メシを食わせてもらいたそうにしてるところを、せいうちくんが追い返してくれたが。

家を出て一番ありがたいのは、彼が何かと時間を守らないところを目の当たりにしなくても済むこと。
たぶん起きられないのは変わらないんだろうけど、いちいち目撃しないでいられる。
だから、朝早く来る、とか言うからには来てほしい。
わざわざだらしないところを見せるな!
とっとと練習に行け!

17年12月18日

「おんな城主直虎」を観終わって直虎ロスになるのを避けるためもあり、U-NEXTで最初から観ている。
コドモ時代の「鶴」は可愛くもすでに「政次」の性格だし、前髪は胸キュンだ。
そのせいか、この役でブレイクした高橋一生の夢をみてしまった。

せいうちくんと一緒に暮らす横に、「私を好きな年下の男の子」という設定で彼もいる。
「私のこと、好きなの?」と聞いたら、少し怒ったように、
「好きですよ。何度も言ってるじゃありませんか」と答える。
あああ、鼻血が出るかと思った。

お母さんが離婚して苦労して育ててくれてるという大学生の彼は、今一番怖いのが留年なのだそうだ。
「留年なんかしないで、良い会社に就職したいです」と言う高橋クンに、せいうちくんは苦笑いしていた。
「こんなお姉さん(いや、おばさんなんですが)に関わってたら留年するよ」と言いたかったのかしらん。

目が覚めてしばらくぼうっとしてた。
「ゴメンっ、せいうちくん!」と叫んで高橋クンと手に手を取ってカケオチしようかと思い、よくよくあたりを見回したらせいうちくんががーがー寝てるだけ。
私も、世にあふれる「イッセイ・クラスタ」、略称「イセクラ」の1人となったらしい。
せいうちくん、早く会社から帰ってきてよぅ、「直虎」をどんどん観ようよぅ。

17年12月19日

U-NEXTの見放題がいろいろあるので、TBSでやってた宮部みゆきの「名もなき毒」をぶっ通しで観た。
「杉村三郎シリーズ」の「理由」と「名もなき毒」を一緒にやると言うので、
「2つの作品を混ぜるの?脚本家は、もしかして小説家よりスゴイ才能なのか?」と期待にふくれあがって観てみたら、なーんだ、第1部「理由」、第2部「名もなき毒」ってことね。

小泉孝太郎主演なんだが、ムロツヨシと本田博一郎が出てるところが「おんな城主直虎」風味。
室井滋とか大杉漣とか木野花とか、シブいなぁ。
古いとこでは伊藤かずえや烏丸せつこが出てた。
せいうちくんに言わせると、
「古いから、ムロツヨシとかまだギャラが安いんだろうね。大杉漣が予算を食うので、他で安く上げてる」のだそうだ。

小説のドラマ化には必ずしも賛成しないが、これはなかなか面白かったので、続編の「ペテロの葬列」を観始めた。
見放題料金の元を取りたい一心だ。
映画を観るのは体力が必要でどうもまだ無理のようだから、良くも悪くも腹もたれのしないドラマを観よう。

と言っていたら、「ペテロの葬列」には高橋一生が出ていた。マジか。
私は神に愛されている。
また鼻血がでそうだ。

17年12月20日

リラクゼーション予約専門サイトからのクリスマスプレゼントで、初めて行くサロンという条件で4千円無料クーポンが。
せっかくなので駅前のマッサージ屋さんに「足もみ」してもらいに行く。
ついでに病院行ってひざを診てもらい、大量のシップをゲット。
さらについでなので息子に会って、読みたがってるマンガの最新巻を渡そう。

「明日、母さんカレー食べに行くけど、一緒に食べる?」と誘ったら、
「面接に行くから、午後なら」。
おお、無職の息子を持つ青沼貴子が「その後の育児マンガ」に、

ニートの親が嬉しいセリフ
その1.「仕事が決まった」
その2.「面接に行く」
その3.「背広どこだっけ?」

と書いていたが、「面接」の響き、いいぞ!
じゃあその前に、と9時にカフェで。
マッサージは10時からだから、大丈夫だろう。

8時45分に着いて、整形外科に診察券を出して「11時過ぎに来ます」と言っておき、マッサージサロンがカフェの近くであることを確認し、己の手際良さに感心しながらコーヒー飲んでたら9時に息子からメッセージ。
「ごめん、15分ぐらい遅れる」
オーマイガッ!寝坊してるな!?

9時15分にやってきた彼にカフェラテを奢って、「どう?」と聞くと、「まあまあ」。
面接なのにいつものネルシャツかよ、ネクタイしないの?
「今日はどしたの?」と聞かれて、
「マッサージとか病院とか、いろいろ」と答えたら、「ふーん」と言いながらノート広げてパコパコ打ってる。
それでも普段よりは話がはずんだかな。

息子「病院、大変だね。どのぐらい前から具合悪いの?」
私「結婚してからずっとだよ。もう30年近い」
息子「母さんも、苦労の多い人生だったんだなぁ…」
私「みんな、それぞれの苦労があるよ。『神さまは耐えられない試練は与えない』って言うように、普通は自分の苦労に慣れていくよ。あなたはあなたの苦労をするんだよ」
息子「オレは、まだまだだから。やりたいことが見つかってよかったと思ってるけど」
私「うん、応援してる。頑張って」

9時50分になったので「じゃあ、母さん行くわ。あなたはもうちょっといる?」と聞くと、
「うん、ごちそうさま。起きられるようになってよかったね。出てくるんなら、また誘って」
「それなら明日も病院行くから、カレーは明日にしようかな。つきあう?」
「うん」
で、行きつけのカレー喫茶に行くことにした。
出不精の人間は、1度外に出る予定があればなるべく多くの用事をすませたくなるもんなんだ。

マッサージ経由、整形外科経由で家に戻ったら、ケータイの契約プランを変えたかどうか確認するのを忘れてたなぁ。
メッセンジャーで聞いてみたら「まだ」だそうで、12月に変えるって言ってたじゃん。
私のケータイからだとショップの予約が取れるので、明日の10時に彼とお店で待ち合わせ、に変更。
ついでに支払いも彼の口座からに切り替えてもらおう。

3ヶ月ぐらい前に我々のプランを変更してもらって、ケータイ代が安くなったんだよね。
息子の分は本人が行かないと変更できないと言われたので、行かせたら、
「今切り替えると高くなる。12月になったら変える」って言うから、待ってたんだ。
自分の分は自分で払ってもらいたいし。
いろいろ面倒くさいのはわかるが、オトナへの道だ。しょうがない。

17年12月21日

朝の9時から婦人科に行って更年期障害の相談。
やっとホルモン療法を受けることができる。
あさって心臓のクリニックの定期検診に行ったら、診断書をもらって婦人科に提出しなければならないが。

ホルモン療法は、血栓ができやすくなるリスクがあるらしい。
心臓に機械弁を入れている私はそれだけで血栓が生じるので、血液をサラサラにする薬のワーファリンを飲み続けるわけで、そこにさらにホルモン療法はいかがなものか、なんだが、あくまでリスクの問題なので、誰かが責任を取ればいいようだ。
そして、心臓の先生も婦人科の先生も責任取りたくない、と。
双方、「あっちの先生がいいって言うなら」という姿勢を崩さない。

ママ友たちのご意見は、
「更年期障害なんか、必ずおさまるんだから、治療しない方がいいよ〜。副作用とか出たらコワイじゃない!」というものだったが、この半年以上、異常な汗に悩まされた。
日常生活に支障をきたすレベルだ。
なんとかこの汗を止めたい。

というわけで、おなかに貼る女性ホルモンのパッチをもらいました。
1ヶ月続けてみて、症状が消えないようであれば治療をやめる。
両方の病院で定期的に検査を受けてフォロー。
汗が更年期障害のせいなら、ホルモン治療を始めて1週間ぐらいで改善がみられるはず、なんだそうで。
楽しみだなぁ。

9時30分に婦人科を出て、息子に電話してみたけど、出ない。
また寝てるのかしらん。
自転車で15分のケータイショップに着いて、再び電話するも、応答ナシ。

憮然として開店前の道路に突っ立ってたら、メッセージ来た。
「ゴメン、今起きた。11時頃になる」
今からシャワー浴びて身なりを整えて、なんだろうか。
「母さん、することもないし行くところもないから、ケータイ屋さんで待ってる」と返信して、10時の予約を11時に切り替えてもらって、店内の椅子に座ってiPad読んで待ってることにする。

そして11時に息子が来て、すぐに受付してもらえて、ケータイ料金の支払いは彼の口座に変更できた。
ただ、プラン変更については、いろいろ説明し始めた店員さんをさえぎって、
「あ、また今度やります」と息子が言って、さっさと店を出てしまったので次回になった。

カレー喫茶に向かいながら、
「プラン変更しないの?」と聞くと、
「オレ、あれこれ説明聞くのキライなんだよ。どうせケータイ屋がもうかるだけなんだしさ。プラン変えたってたいして変わんないよ」とずんずん歩いて行く。
まあいいよ。
今まで家の口座から引き落としていたから安く上げたかったけど、君の口座から支払う以上、君の問題だ。

老人はケータイを使いこなせてるんだろうか、という話になったので、
「私はなんとか使ってるけど」と言ったら、
「名古屋のおじいちゃんが生きてたら、いろいろ使ってそうだね」と言う。
「あの人は、趣味の切手の整理をするのにパソコンを駆使してたからね。インターネットも早いうちから使ってたし」
「そういうタイプだよね。今、おじいちゃんと話したかったなぁ!」

息子は、中学生の時に死んでしまった「名古屋のおじいちゃん」とオトナとして話したことがないわけだが、顔とか性格とか、非常に似ている。
ついでに言えば細木数子の六星占術で我が家は息子以外の全員が「金星人のマイナス」で、彼だけ「土星人のマイナス」なところ、これが実は「おじいちゃん」と同じ。
遺伝的形質が「秘密主義の孤独好き」の星回りで強化されてる。
合理的な冷血漢であるところは私にも色濃く遺伝してるが、息子にとっては母親より「早くに亡くなったおじいちゃん」の方が感情移入しやすいだろう。
きっと自分を理解してくれる、という思いが強いようだ。

彼は今、孤独なんだろうか。
精神的支柱を必要としてるんだろうか。
「名古屋のおじいちゃん」について、娘として知るところのすべてを語っておいたが、何かの足しになっただろうか。
「頭のハッキリした、人に要求することの少ない立派な人だったよ。勝手だったけど、その勝手に人がついてこないことにまったく怒らないので筋が通っていた。あなたもそういう人になるかもね」と言ったら、うんうんとうなずいていた。
娘と18年一緒に暮らす間に原稿用紙1枚分ぐらいしか会話をしていない、と当の娘が感じているのはいささか問題だと思うが、それはまだ息子にはあまり関係のない分野だろう。

久しぶりのカレーを「おいしいね」と言って食べながら、それなりにいろんな話をしてくれた。
コントを書いて行きたいんだそうだ。
お世話になった「おじちゃん」が先日亡くなったので「おばちゃん」に会いに行ったら、たいそう喜ばれて「おじちゃん」の話をたくさんしたのだと言う。
「おばちゃんに、『面白い、本物のコントをいっぱい書いてね』って言われた。オレ、頑張るよ」って。
大勢の人に育ててもらった君なんだ、あちこちに恩返しをしてくれ。
生きてるだけで、親に対する恩返しはすんでるんだから。

今、息子が中学生の頃の私の日記を読み返してるので、
「忘れてたけど、父さんが『落ちこぼれたら困る』って必死に勉強させてたよ。母さんは『落ちこぼれてからでも間に合う』って言ったんだけど。中学受験で秀才校に入った父さんとしては、あなたが小5ぐらいの時から身体感覚がうずいちゃったみたいね」と話したら、
「オヤジ、そんなだったのかぁ。そう言えば、朝早くに英会話のラジオ聞かされたりしてた。あんなん、意味ないよね」
「父さんは『継続はチカラなり』の努力の人だから」
「うーん、オヤジって、アホだよね」
「あなたや私の頭の回転とは違うタイプだね。あれはあれで頭いいんだけど」
「いいんだろうけどさ、まあ、アホだ」
「まあねぇ」
ははは、いないところで地に落ちる父親の権威。せいうちくん、ごめん。

「でも、母さんは父さんのこと、大好きだからね。父さんと生きて行くから、あなたはあなたの人生を勝手に生きて」
「オヤジが死んだら、後を追う?」
「うーん、昔はそう思ってたけど、今は母さんも生きる気力がわいてきたから追わないよ。1人で暮らす。あなたもたまには会いに来てくれるでしょ?」
「うん、そりゃまあ」
「じゃあいいよ。どっちにしろ、父さんの方が長生きするよ。母さんの家系は一族郎党80歳に届いた人のいない早死にの家系だから。父さんの方は超長生き。あなたはどっちに似るのかな」
「どっちでもいいよ」(そろそろ飽きてきた)

「銀英伝」の文庫本の揃いを買ったから自炊しないで置いておく、今度持って行って読め、とか、野田サトルの「ゴールデンカムイ」は質が落ちてきた、とか話して、切り上げることにした。

「ごちそうさま」と言って私の駐輪場の近くまで自転車を押して送ってくれた親切な息子であった。
外で会うとこんなに好青年なのか。本当に外面がいいなぁ。
また今度、ごはんに誘ってみよう。
家にメシ食いに来る彼よりも、外で奢られている彼の方がはるかに好感が持てる。
正月に帰ってくるんだろうが、お互い、イヤになっちゃいそうで心配だ…

17年12月22日

夕方、突然、昔お世話になったシッターさん「おばちゃん」が訪ねてきた。
先日亡くなった「おじちゃん」にお線香あげに行った時に約束してくれたお米を持ってきてくれたらしい。
おばちゃんの田舎から送ってくるお米は、本当においしいんだ。

「あがってお茶飲んでってください」って腕を取らんばかりに勧めたんだけど、このあとあちこちにお米を届けてまわるんだそうで、玄関先で帰ってしまった。

でも、
「息子くんが来てくれたのよ〜!」ってすごく嬉しそうだった。
「昨日たまたまごはん食べた時に言ってました。『おばちゃんに励まされた。いいコントを書きたい』って。どうもありがとうございます」
「『あなたが道を決めたからには、パパやママも応援してるわよ。頑張んなさい!』って言ったの。きっと、いいものを書いてくれるわよ。私にとっても孫みたいなものなんだから、楽しみにしてるわ」

お香典のお返しだろうか、お肉の詰め合わせももらってしまった。
「今度、主人(せいうちくんとはさすがに言いにくい)がいる時にまた来てくださいね。私たちも、近所に行くたびに寄ろうかと思うんですけど」
「私が、飛び歩いてるからね。お父さんが亡くなっちゃって、元気なくしちゃいけないと思って、あちこち顔出してるの!」
「息子も近くに住んでますからまた顔を出すと思いますよ。よろしくお願いしますね」
「はい、またごはん食べよう、って言っといてください。また来ますね。ご主人によろしく〜」
あわただしく去ってしまった。少し寂しい。

息子にお米をわけてあげよう。
お肉も冷凍しておいて持たせようかな。
地域には彼を可愛がってくれる人がまだいてくれて、本当にありがたい。

17年12月23日

せいうちくんと、ケンカをしているわけではないが、もめている。
忙しすぎるからだ、と彼は言う。
ゆっくり話すヒマがないのは確か。

何がきっかけか忘れてしまったけど険悪になってしまい、たぶん私は怒ってたんだろうなぁ。
でもせいうちくんは明日も会社があるから寝なくちゃならない。
「明日、話そう。勝算はある?」と聞いたら、「あるよ」。
「ふーん、予告編はないの?」
「あるわけないでしょ。秘中の秘だよ」
何か、起死回生の秘策があるらしい。

翌日、会社から帰ってきたら、いつの間にか私のベッドの上に手紙が置いてあった。
「なるほど、手紙作戦ですか。あんまり目新しくはないなぁ」と思って開けたら、息子からだった。
ワープロで打ってある。

「お母さんへ

うっす、息子です。お元気でしょうか。
まぁ、昨日も会ってるからあんまり久しぶりだなぁ、とは感じないと思うけど。体調はいかがでしょうか。

寒くなってきたし、外には出ずに家で本を読むか映画を見てるかが吉だと思います。
室内で寒くない上に、エンタメで脳を潤すこともできる、一石二鳥ですな。僕もなるべく外出はしたくない。寒いので。

ここで話題の転換をば。僕が家を出てもうそろそろ2ヶ月が経とうとしてますな。引っ越してからの生活はそれはそれは楽しいっす。若干の乱れはありつつも、かなーり勉強になってると思う。主にコントのことしか考えてないけど。

最近は自炊や洗濯、掃除をする余裕も出て来ますた。(原文ママ)
それらをこなす度に思うことがあります。

『人のためにこんなメンドくさいことしたくねぇ』

これ一択。しかし、こんなメンドくさいことを24年間もやってくれてた人がいますね。
それも2人。

サイモン&ガーファンクル ノン。

両親。ですな。

ありがとうございます。
まあ、そのお礼というわけではないけれど、『息子が何を考えているか』これを伝えるのは親孝行になるかなぁ、という思いで今回は筆をとりました。」

以下は、1人暮らしを始めてから映画をたくさん観られるようになったこと、さまざまなジャンルの本を読んでいることなどが書いてあった。

最初はね、せいうちくんが書いたんだと思ったのよ。
息子からの手紙がここで登場するって、タイミング良すぎるもん。
しかし、タテからヨコからナナメから3回読んで、さすがにこれは違うだろう、って思った。
「サイモン&ガーファンクル ノン」
せいうちくんはこんなしゃれたこと、書かない!いや、書けない。
(息子の脳みそからつるっとこのデュオが出るのも驚くが)

でも、とりあえず、
「あなたが書いたんでしょ!」と詰め寄ってみた。
「違うよ!」
「なんで彼が私に手紙書くのよ」
「僕が頼んだんだよ!」
「それをプリントアウトした?」
「そう。僕にそんなの書けるわけないでしょ」
「…そう思うけど。仲直りしたくて、私が喜びそうなプレゼントを考えたの?」

「うん。息子に電話して、『母さんとケンカしたから、喜ばせたい』って頼んだんだよ。映画や本の話を書いてきたから、『僕の趣味は母さんの影響を多大に受けています』って書いてくれって言ったら、『そうは書けない。無意識のものだから』って言われた。あと、家事をしてくれたのは両親、じゃなくって、母さん、って改竄しようかと思ったけど、あとで息子に照会されて手を加えたのがわかるとマズいからやめといた」

正直すぎるじゃないか…
なんだか大爆笑しちゃって、せいうちくんの目論見通り、仲直りしたのでした。

サプライズ。
常々、その大切さを説いてきたが、35年間のつきあいで5本の指に入る見事なサプライズだった。
しかも一銭もかかっていない。ほぼアイデアだけの勝負。
「誠意はゼロの多さで測る」と言う人もいるが、私は意外性で測るんだ。
(きっと手練れの詐欺師にはだまされちゃうんだろうなぁ)

週末の晩が許す限りゆっくり話をしてわかったことは、せいうちくんは、私の意識レベルと生活が激変したのについてこられないらしい。
「1日中起きてるし、薬をやめてはっきりした頭でいろいろ考えている。息子が家を出たこともあるだろうけど、『新型うさちゃん』になって別人のようだ。というか、出会った頃に戻っている。日々惚れ直しているけど、悲しいことに僕には時間がなさすぎるし頭も悪いので、キミの変化に対応できてない」

そうね、あなたは忙しいね。
そして、日がな寝て暮らしていた私は、1人で起きて考え事をしている時間がものすごく増えている。
考えたことを全部あなたに伝えたい。
これからもずっと一緒にいるなら、私たちにはそれなりに老後があるんだろうから、何度でも出会い直そう。

それにしても、若い頃の恋に「息子からの手紙」というファクターはなかった。
息子とは、遠くにあって使うものナリ。

17年12月24日

クリスマス・イブだがそれとは何の関係もなく、駅前まで散歩。
例によって七分袖のTシャツに羽織った上着を、すぐに脱いで手に持って歩くことになった。
すれ違う人の5人に3人ぐらいは呆れた視線を投げてくる気がする。
自意識過剰かと思ったのでせいうちくんに聞いてみたら、彼も同じように思うのだそうだ。
「5人に2人ぐらいだとは思うけど」とのこと。大差ない。

昔は30分で歩けた道のりに40分かかってカレー喫茶に着いてみて驚いた。
開店10分前なのに、10人以上の列ができてる。
「らっきょうがつかなくなったのに」と恨みがましいせいうちくん。

幸いお気に入りの席に座ることができて、チキンカレーを食べる。
20個たまるとカレーがひと皿ただになるスタンプカードが今年いっぱいで廃止になるのだそう。
今日の時点で残り2個。
惜しい。
いっぱいになれば、来年7月まで有効なんだが。
お会計の時にレジのおねーさんに、
「あと2つなんですよねー」と言ったら、
「ぜひ今年中にまたいらしてください!」とにっこり言われた。
水曜に美容院に来るついでに、息子を誘って来ようかなぁ。
カレーの写メを添付して、
「今日は父さんと来ました。水曜にまた食べない?」と誘ってみたけど、返答ナシ。

ブックオフに回って駅ビルをのぞいたあと、2人ともまだ歩けることを確認して、バスには乗らずに頑張って徒歩で帰った。
最後の5分ぐらいは息が上がってもう無理かと思ったし、ものすごくくたびれたけど、なんとか往復歩き通すことができた。

帰るなりお風呂を沸かし、「バブ」を放り込んで、疲れた足をいたわる。
昔は胃痛も風邪も全部お風呂で治してきた「風呂万能主義」なんだ。
「あー、極楽!温泉に行かなくても、家でお湯にゆっくりつかるだけでいいねぇ」と見た目が乳白色なだけでプラシーボ薬効の自宅温泉。

「今日はもう出かけないし、ごはんも簡単なものにして、のんびりテレビ見ようねぇ」と昼間っからパジャマでごろごろしてたら、せいうちくんが、
「キミのケータイが、鳴ってる」。
え?息子から電話?

「もしもし?まだ駅前にいる?」と前置きなしに聞かれた。
「もうとっくに家だよ。どうしたの?」
「今駅なんだけど、アパートに財布忘れて、これからライブに出演しに行かなきゃいけないのに、金がなくて電車に乗れない。3千円ぐらい、持ってきてくれない?」
「はあ?自転車で戻れないの?」
「自転車は、こないだ単独事故起こして再起不能になった」
「はあ??こっちはくつろいじゃってるんだけど」
「頼めないかなぁ」
「…休日の午後で道が混んでて、駅までアプローチするのは難しいから、なるべく西の方に徒歩で移動してて。そうだなぁ、紀伊国屋まで。車で行くから」
「ありがとう!」

途中でもう察して着替え始めてるせいうちくんに簡単に説明して、私も着替えて出かけた。
こういう時、我々の家を出るまでのスピードは尋常じゃない。
特に私は、露天風呂に浸かっていた5分後にフロントに現れて、仲居さんに、
「お客さま、支度が早いですね!今まで見た、どんなお客さまより早いです!!」と驚かれたという過去の持ち主なんだ。

せいうちくんの運転で向かったがやはり混んでいて、最後は息子にこっちがわにさらに歩いて近づくように指示して、なんとか出会うことができた。
「3千円がいい?1万円がいい?」と手短に聞いたら、向こうも短く「1万円!」。
お札を1枚渡すと、「ありがと!」と叫んで、身をひるがえして駅に向かってダッシュして消えた。

車に戻ったらせいうちくんが、
「走って行ったねぇ…」と惚れ惚れしてる。
メロスは友情のために走ったが、息子は出番に向けて信用を賭けて走ってるんだろう。
なんだか無言で家に帰り、ぐったりした。

「ありがとう。本当にお手数かけて申し訳ない」とメッセージが来たが、我々が家にいなかったらどうするつもりだったんだ?
交通事情その他の不測の事態を視野に入れて、ゆとりを持って行動すべし。

結局、水曜のカレーについては返事がないので、年末休みに入ったらせいうちくんと行こう。
正月まで、息子の顔は見たくない。

17年12月25日

クリスマスプレゼントだろうか、ものすごい量の「ねぎ」をいただきました。
3年前にイタリア旅行をした時一緒のツアーだった群馬のおばさまと仲良くなって、お菓子のやり取りなどをしていたのがしばらく途切れていたと思ったら、まだ覚えていてくださったようだ。
むやみに感激した。

40歳独身の息子さんと一緒に来ていて、晩ごはんのテーブルで、
「何か、いいお話(縁談)はないでしょうか?」と聞かれたんだが、若いつもりでいてももう50代に足を突っ込んでいる我々には、ちょうどいい年まわりの知り合いの持ち合わせがなかったのが悔やまれる。
群馬の大地主の長男、スキーとバイオリンに堪能なITに強い孝行息子とのご縁に興味のある方はいませんか?
ねぎの箱に、生産者としておばさまんちの名前が書いてあるんだぞう。

お礼のメールを書き、年賀状を追加して、速攻でお菓子を送りつつ、思いつく限りのねぎ料理を脳内検索中。
おせち料理に、よしながふみ「きのう何食べた?」に載ってた「ねぎのスープ煮」(からしマヨで食べるとおいしい!)を加えよう。
京都在住の友人から「白味噌と貝柱でつくる『ぬた』」も勧められた。
Let's COOKPAD!

17年12月26日

4月の手術以来手つかずだった家計簿を、なんとか今年のうちに回復させることができた。
山のようにとってあるレシートを前にうんうんうなっていたこの月日、せいうちくんからは幾度となく、
「もう、なかったことにすればいいじゃない。また来年からつければ」と言われたんだが、あきらめきれなかったんだ。

結婚してから29冊の家計簿が残っている中で、娘が生まれたあとの半年間だけ空白になっている。
さすがにこの間はレシートも残していなくて、リカバリーはできなかった。
今見ても、自分たちにとってつらい時期だったんだと実感される。

およそ主婦として家庭に貢献していない私だが、せいうちくんが会社で聞いてきたところでは、奥さんに家計簿をつけてほしいダンナさんはけっこう多く、いくら言ってもつけないのでとうとう自分でつけ始めたという人までいるのだそうだ。
「だから、結婚してからずっと家計簿つけてるってだけで、すごいんだよ。『うちの妻は市販の家計簿と自作のエクセル両方で家計を管理しています』って言うと、とっても感心されるよ」とほめられて、たいそう励みになる。

今回も、1年分のエクセルシートを作成し、やっと今年の収支を把握してひと安心した。
息子が大学を卒業して4月から4カ月はサラリーマンをしていたので、その間は支出が激減していて嬉しい。
4月5月はせいうちくんもつきそいで入院してる日々が長かったせいで生活費がかかってないし、6月7月は術後で寝込んでいて遊びに行かないので娯楽費がほとんどない。
8月頃からむやみに外食費と交際費が増えているのは、いわゆる「反動でハジけている」状態なんだろうか?
このへんから息子の収入がなくなって、また支出が不穏になってきた。
しかし、大きな旅行に行けなかったせいもあって、医療費をさっぴいても全体に貯金がたくさんできた、良い年であったようだ。

夫婦2人だけなら、私が夢にみていた健全な経済生活が実現できそうだ。
息子には早く経済的に自立してもらいたい。

9ヶ月分の家計簿を一気につけたあと、しばし放心。
レシートをにらみ、電卓を叩き、テンキーをブラインドで打ち、エクセルシートを埋めていくのは本当に楽しい。
「1ヵ月分を〆ると、すごい達成感が襲って来ると思わない?すべての欄を数字で埋め尽くすと、しびれるほど気持ちよくない?」とせいうちくんに聞いたら、
「全然思わない。僕だったら絶対やりたくない」ときっぱり言われたので、人間の好き嫌い向き不向きはそれぞれなんだなぁ。
まさか自分が数字を打ち込むのが好きだとは思わなかったよ。

「誰か、家計簿つけさせてくれないだろうか。もっとつけたい」と訴えたら、
「僕が将来教えたいと思ってる塾で、帳簿つけるのがタイヘンなんでやってくれる事務の人が欲しいって言ってたよ」と耳寄りな話を聞いたが、簿記とかできないからなぁ。しょせん家計簿レベル。
「僕も世界史の勉強とかして準備するから、キミも勉強して備えて、一緒に就活しようよ」と誘われた。
2年ぐらい先の話らしいから、ちょっと真剣に考えてみようかしらん。
記憶力と体力に難はあるが理解力と事務処理能力に優れた、名簿の整理とお金の計算が好きな60女を、誰か雇ってくれませんか?

少しショックだったのは、我が家の定期貯金額を数え間違えていて、あると思っていた額より実際には2割も少なかったこと。
通帳を前にせいうちくんと「うーん」ってアタマくっつけて、
「どっかにもっとないかなぁ」ってしばらく言ってたんだけど、現実は現実だった。

あと、このマンションを売って少しお金足してもうちょっと駅に近い物件に買い替えることを夢想してみたんだけど、あらゆるマンションは仰天するほど高かった。
どうやら今は「プチバブル」らしい。
いくら何でもこれはないだろう、としっぽ巻いて撤退し、オリンピックが終わってバブルがはじけてからまた考えることにした。
ヘタな考え休むに似たりなら、私は迷いっぱなしの休みっぱなしだ。
せいうちくんの定年にはまだ間があるのだけが救いかしらん。頑張って貯金しよう。

17年12月27日

お正月を迎えるにあたって気合を入れようと、美容院に行くことにした。
長年、せいうちくんにバリカンでベリーショートに刈ってもらってたアタマを手術後伸ばしっ放しにしていたら、これが案外オット心をくすぐったらしくて、
「昔みたいに伸ばしてほしい」と懇願されたので、美容院で整えながら伸ばしてるの。
ボブにしようとまでは言わないが、とりあえず段カットの段差をなくしつつある状態。

「どんなふうにしてほしいの?」と聞いたら、
「こんなふう。似合ってて、キレイだったよね」と昔の写真を指差されても、その髪型に戻せばキレイになるわけじゃないよ、そこに写ってる私は35歳若いんだよ。

朝、会社に行く時に、
「あんまり切らないでね。整えるだけにしてね。帰ってきたら可愛くなってるんだね。嬉しいなぁ」と浮かれているんで、思わず「刈り上げてきてやろうか」と思う程度には、人間というのは天邪鬼なものなんです。
しなかったけどね。

年に1回ぐらいしか行かなかった美容院に、夏以来3回も行っている。
あいにくと、かろうじて存在していた「担当さん」が育児休業中で、毎回違う人にテキトーに担当してもらっているので、
「うさこさん、最近マメにいらしてくださいますね!」と喜んでくれる人はいない。
2カ月に1度では、マメなうちに入らないのかもしれないが。

美容院は苦手だった。
美容師さんと話さなきゃいけないだろうか、ずっと雑誌を読んでいては無愛想な客だと思われやしないか、と心配になるし、話したら話したで、担当さんの個人情報を忘れたり間違えたりしてないだろうか、この話は前回したんじゃなかっただろうか、と胃がキリキリした。

ところが、自分でも驚くことに、最近の私は愛想がいい。
苦痛なく、自然に(いや、きっと不自然なんだが)話しかけることができる気がする。
何と言うのかなぁ、他人に前のめりに突進しなくなったと言うか、オトナとしてほどほどの距離からボールを投げることもできるようになったんじゃないかしらん。
ちょっとフォームが変なきらいはあるけどね。
今日は、シャンプーのおにーさんに「上手ですね!」と言いたくて、でも自然に言うのが難しくて、結局薄笑いを浮かべてシャンプーされてるだけだったのが残念。

カラーリングの待ち時間も苦痛だったけど、出してくれるコーヒー飲んだり前はキライで絶対食べなかったアメちゃんをなめたりして楽しめるようになった。ガマン強くなれた?
これに関しては、白髪を染めると自分でもたいそう若返った気分になれるせいも大きい。
「女を捨ててる」状態から、「拾おうと中腰になってみる」ぐらいのやる気は出てきたかも。

こうして1時間で少しキレイに近づいたので満足して美容院を出た。
せっかく駅前に来たから、今夜のお茶うけにシュークリーム買って行こう。せいうちくんの大好きなエクレアも。
おう、お茶屋さんがある。
ほうじ茶が切れてたのをいいタイミングで思い出したぞ。

ものすごく効率良く、午後の診療が始まる直前の眼科の待合室に。
5分と待たずに診察を受けられた。
緑内障の治療で眼圧を下げる目薬を使ってるんだけど、手術以来思うように下がらなくなって新しい薬をいろいろ試してるので、ひと月に1度眼圧を測りに来ないといけない。

幸い、今回の薬でやっと少し下がり始めたそうなので、
「じゃあ、引き続きこの目薬を使うということで、次は3か月後でいいですか?」と勢い込んで聞いたら、年増だが美人の女医さんに、
「うーん、できればやっぱりひと月に1度は測りたいのよね〜」と言われてしまった。さめざめ。

そりゃあ私はヒマな主婦ですけど、通わなきゃいけない病院が多すぎるし、そもそも基本的に病院はキライなんですってば。
心臓さえ治せばすむと思っていたら、身体の組成が全て変わってしまったかのように全身のあちこちが好き勝手な方向に不調を訴え始めて8ヶ月。
どこかの病院がまとめて全体の状態を診てくれないものか。

吐き気と呑気症に悩めば内視鏡を呑み、手術の傷跡がケロイドになって引き攣れれば皮膚科でステロイドを注射してトラニラストカプセルを飲み、汗が止まらなくなればホルモンパッチを貼り、ひざが痛ければヒアルロン酸の注射を打ち、もちろん強心剤とワーファリンは欠かせないし、そのうえ緑内障ですか。

さすがに眼科や整形外科に心臓を診てくれとは言わないが、ケロイドと発汗ぐらいはメインの心臓のクリニックで相談に乗ってもらいたい。
ところが主治医の先生は、どうやら私の心臓以外の部分には全然興味がないようなのだ。
適切な時期に心臓外科では日本一の病院を手早く紹介してくれた恩義は充分に感じているけど、一生クリニックに通って検査を受け、薬をもらわなければならない人生をゆだねるには、ちょっと冷たくないですか?
いかんいかん、あまりに不調が多いので、愚痴っぽくなっている。

会社から帰ってきて私の髪型を見たせいうちくんは、嬉しくて「ぴょん」と飛び上がった。
「エクレア買ってきたよ」と言ったらさらに「ぴょん」。
「エクレアは、僕にとって特別なんだよ」
「『金泉堂』でしょ」
「『チョコレート戦争』を覚えててくれるんだね!キミは僕のことを何でも知ってるねぇ」
「エクレア食べたきゃ、100点取るんだよ!」
「がーん!そうくるのか!」
大石真の名作が忘れられないせいうちくんでした。

17年12月28日

「老人ホームに入りたい」とお母さんに強く希望され、せいうちくんが伝手をたどって紹介していたこの半年。
結局、お父さんが絶対うなずかないのとお母さんもやっぱり決心がつかなかったのとで、話が流れた。
今朝、うちの近所の営業所にお断りの挨拶に行く、と言うせいうちくんを車で送って行った。

お母さんたちに紹介していたのは都心だが、この近辺のホームに行ったので、ついでにいろいろ聞いてきてもらう。
もう15年ぐらいしたら私たちも入りたいかもしれないから。

私は傷病保険に入れなくて、この先個室に入院とかすると費用がかさむので、静養程度ならホームで面倒みてくれるのかどうか、また、一生病院に通ってワーファリンもらって飲まなければならないので、そういうケアが受けられるかどうか知りたい。

帰ってきたせいうちくんが言うには、看護師さんは点滴はできないけど看護はしてくれるらしいし、通いのお医者さんが医療的ケアをしてくれて、ワーファリンはメジャーな処方なのだそうだ。
なんだか安心したよ。
池のほとりの静かで小ざっぱりしたたたずまいに、せいうちくんもすっかりそのホームに入りたくなったんだって。
2人で散歩したり本を読んだりしながら、人の作ってくれたごはん食べてのんびり暮らせたら、いいなぁ。

そのことで頭がいっぱいになってしまって、費用について寝床の中であれこれ考えていたら、寝ていたはずのせいうちくんに突然、「どうしたの?」と聞かれた。
「悩んでるの」と答えたら、「何を?」とさらに聞かれたので、
「老人ホームに入る月々の費用は年金で賄うんだとしても、iPadが壊れたから新しいのを買うとか、下着を買うとか、外食するとか、そういう費用はどうやって捻出したらいいのかしらん」と答える。
「反省するんだよ」と言われて驚いて、
「反省したらお金がもらえるの?」と聞いたら、「そうなんじゃないの?」と問い返された。
寝ぼけているらしい。
どうして寝ぼけているのにわざわざ人の悩みを聞こうとするのか。
「もう寝なよ」と言い置いて、起き出して書斎であらためて1人悩む。

今日からせいうちくんのお正月休みで、初日は朝一番に八百屋に買い出しに行くのに、眠れなくなっちゃったよ。
どうしよう。
午前4時半。
洗濯機を回しながらまだ悩んでいる。

30分後、洗濯物を干したのでベッドに入って寝ようとしたら、せいうちくんが、
「身体が冷え切ってる」と言う。
「ベランダで洗濯物干してたから」と答えると、
「背中に札束をしょって、かついでいくんだよ」と言われた。
「はあ?」
「土壌の性質を調べなきゃいけないからね」
「どじょう、って?」
「土の中に良くない成分が入ってないかどうか、が肝心なんだ」

複雑に寝ぼけているようだ。
寝ている人の寝言に返事をすると相手の寿命が縮むらしいから、放っておこう。
おやすみなさい。

17年12月29日

朝起きたせいうちくんは、3時間前に盛大に寝言を言ってたことは覚えていなかったが、その前に私の悩みに中途半端に突っ込んで来た時のことは記憶にあるようだった。
だからと言って、
「キミの悩みを聞いたのがいけなかったんだね」とまとめるのはやめてほしい。
正確には、「半分以上寝ているのに、人の悩みに答えようとするな」である。
きちんと起きている状態ならば、聞いてくれればむしろ嬉しいんだから。

こうして、お正月休み第1日。
6日間のスケジュールを立て、食事の献立を考え、必要な物資をスーパーの宅配に注文してから、朝一番で近所の優秀な八百屋で買い出しをする。
早く行き過ぎて思ったよりすいていたので、DVDを借りに行こうと思っていたのに開店時間まですることがなくなってしまった。
U-NEXTで「黄金の日日」を観たいせいうちくんは、
「帰ろうね。DVDはまた今度ね」と私の背中をつんつん押す。

「どこかへ寄って時間をつぶそうよ」と言ったら、
「10時まではどのお店も開かないから、行くとこないじゃない」と言われた。
一瞬考えて、「コメダ!」と叫ぶ。
言葉に詰まったせいうちくんも、次の瞬間、「いい考えだ!」と認めてくれた。
窮地に陥ると名案が出る、ミセスQCの面目躍如なのである。
コメダでモーニングとシロノワール食べて、1時間弱のおしゃべりデートを楽しんだのち、レンタル屋で新作DVDを4枚借りたよ。
大掃除の真似事がすんだら、観よう。

息子から、
「来月の分の生活費を振り込んでください」と連絡がきたので、
「新年に来るなら手渡ししましょうか?」と返す。

息子「あー、どちらでも」
私「新年いつ来る?できれば元日の朝にお雑煮を祝いに来てほしいけど。10時頃来られない?」
息子「まだよめないな」
私「1日の午後は娘ちゃんに会いに行くから。それと、2日の夕方にあなたが会いたいって言ってたマンガ家のMさんが来て新年会するから、来る?」
息子「それもわかりませんな」

わからないのかよ、とイラッとした。
こっちにはこっちの算段があるんだ。
他の予定がなければ行く的な後回しは失礼だろうに。
親とか実家とか言うのは、約束の対象にはならんのだろうか。

メッセンジャーではらちが明かないので電話をかけて、
「はっきりしないんなら来なくていいよ」と言ったら、
「いや、行くよ。10時ね」と態度を軟化させていた。
ただ、自転車が壊れたから駅から歩いてくる、と言うので、久しぶりに部屋も見たいし、車で迎えに行くことにした。
元日の朝、1人暮らしの息子の部屋を見る。
嬉しいのかびっくりするのか。
「それほどひどいことにはなっていない」という言葉を信じたい。

17年12月30日

朝一番に自転車で駅に向かい、買い出しを。
まずは駐輪場に自転車を停めて、200円ナリ。

9時からやっている「おでんだね屋さん」でおでんの材料を買う。
私は練り物全般がキライなので食べないが、せいうちくんは「ごぼう巻き」「紅生姜揚げ」「肉ボール」などをいろいろ選んでいた。
「でもね、練り物は入れ過ぎないのがコツなんだよ」と言いながらだけど。
10種類ぐらい買って、1360円ナリ。

駅ビルの肉屋と魚屋で我が家流おせちの材料を買いたいのに、10時まで開かない。
しょうがないからドラッグストアでも眺めようかと思っても、やっぱり10時から。
本屋が開いていたので、入って冷やかす。
「普通の本屋で買おうとは思わなくなったのが問題だけどね。文庫本ですら、高すぎると感じるものね」とつぶやくせいうちくん。
話題の本として並んでいるものの多くをツィッター上で見たことがあるのに感心する。

駅ビルが開くのを待って並んでいる多くのお客さんで混雑する中を入場。
八百屋でサーモンマリネに入れる香草「ディル」を買っている間に、肉屋と魚屋はたいへんな人混みに。
人をかき分けるようにしてローストビーフ用の牛ももかたまり肉とスライスサーモンのパック3つをカゴに放り込み、レジへ。
例年6千円以上を投じる高価な和牛ブロックではなく、1パック2700円程度のオージービーフですませたので予想より安く上がったが、ディル1パック480円は暴利であろう。
〆て5261円ナリ。

混んで人また人の1階を避けてエスカレーターで上がったがら空きの2階フロアを通り抜けて、また1階へ降りたすぐ目の前に「とらや」。
せいうちくんの誘導に感謝しながら、新年のご挨拶用の「最中」を買う。
喪中の人宛なので「年賀」ののしは断って、白地で。
2052円ナリ。

お客さん相手に必ず作る「タラモサラダ」と一緒に食べるバゲットを入手せんと、パン屋めぐり。
神戸屋キッチン:まだ焼けてない。15分待ちと言われる。
ドンク:ここは、ペストリーのイートイン専門なんじゃないだろうか。見たとこ、バゲットは、ない。
AntenDo:「確かこっちにあった」と言うせいうちくんに手を引かれて井の頭通りまで行ったら、バッチリあった。なんて有能な人だろう。他のどんなところが足りなくても一緒にいようとしみじみ思った。細めのパリジャン2本ゲット!
560円ナリ。

大目的のカレー喫茶の開店までまだ間があるので、ブックオフに寄る。
文庫の2階に行くせいうちくんと別れてマンガの4階へ。
どの棚に何があるのかわからなくて迷ってる間に時間切れ。
かろうじて吉田貴司の「やれたかも委員会」第1巻だけ入手して、おしまい。
510円ナリ。

時々行く天丼屋の前にすごい行列ができているので「!」と焦りながら開店5分前のカレー喫茶に行ってみたら、こっちは6人ほどしか待ってなかった。
やっぱり年末年始は天丼なのかしらん。
ゆっくりチキンカレーを食べて、スタンプ2つもらったらカードがいっぱいになった。
これで来年の7月末までカレーひと皿をサービスしてもらえるけど、もうスタンプカードは廃止なんだよね。
「なんとか間に合いました!」とレジのおにーさんに言ったら、
「よかったですね。また来年、よろしくお願いします」とにっこりしてもらえた。
1800円ナリ。

自転車を引き出して帰り、もう足がガクガクして歩けなくなっていたので、バブのお風呂を入れてゆっくりつかる。
せいうちくんが大掃除をしてくれて、今年の用事はほぼおしまいだ。
夕食後に1年よく働いてくれた2足の靴を磨くせいうちくんとレコ大を見て、
「紅白にアルフィー出ないかなぁ」とか言ってたら企画賞に「カンレキーズ」で出てきたのでびっくり。
60年代GSのアレンジが素晴らしい。あんなにスピード感のある「ブルー・シャトー」もアリか!
「生きてるといいこともあるもんだね!」と励まされ、なんだか来年は良い年になりそう。

明日は1日お料理デー。
私は担当のサーモンマリネとタラモサラダ(第一陣)を作り、1日中それをつまみながらお茶を飲んでテレビを見るのだ!
夕方に年越しそば用の天ぷらを買いに行ったら今年の買い物はすべて終わり。
家計簿〆て最終収支を出し、それを肴に今年を振り返りつつ紅白を見る。
ああ、楽しみだ。

17年12月31日

せいうちくんが大掃除の続きを簡単にしてくれて、さて、お互い担当の料理を作るか。
と言いつつ、まずはせいうちくん担当ではあるものの「おでん」のゆで卵をむく仕事を手伝う。

名古屋の友達Cちゃんがおでんを作る際に、やはり卵に苦労するのだそうで、
「素直な卵と性悪な卵があるのかもしれない」と言っていたのが永遠の名言なんだが、今年の我々はバッチリ「性悪な卵」に当たってしまった!
むいてもむいても薄皮とともにぼろぼろと白身が貼りついて剥がれてくる。
せいうちくんが三浦大根の皮むきに逃避したので、私はほとんど1人ででこぼこのむき卵を26個も量産した。

さて、まな板が空いたから自分の担当の「タラモサラダ」と「サーモンマリネ」にかかるか。
じゃがいもをゆで、たまねぎをスライスして水にさらし、ディルを切り、たらこをスプーンでかき出す。
せいうちくんにはたまねぎとにんにくをおろすところとレモン搾りを手伝ってもらった。
途中で右足の関節炎がひどくなって痛くて立てないので、折り畳みの椅子兼脚立を出して、座って作業。
「このマンションに引っ越す時にキミがカタログで選んで買ったものだけど、いい商品だよね。畳んで冷蔵庫と壁の隙間に収納してあるところが素晴らしいね!」と絶賛されて、いい気持ち。
夫からのほめ言葉は妻の原動力ですね。口はタダだ、もっとほめていいよ。

ゆでじゃがいも以外には火を使わない2品なので、わりとすぐにできてしまった。
「和風ローストビーフ」(牛肉のたたきと言った方がいいか)は昨日のうちに仕込んでしまったし。
私はこういう簡単で見栄えのする料理が好きだ。
しかも大量に作って大量に食べるのが醍醐味。

せいうちくんも大鍋いっぱいのおでんを作成し、生春巻きの具を切ってタッパーに入れて、明日の朝に巻くばかりにした。
お雑煮用の塩ブリも漬けて、全部終わってのんびり映画を観ているうちにもう夕方。
スーパーに天ぷらを買いに出たけど、かなり足を引きずるなぁ。
お正月休みでなければ病院に駆け込むほど痛いぞ。
なまじせいうちくんにゆっくりマッサージしてもらったのがいけなかったのかしらん。

毎年、天ぷらのお徳用パックを買って、年越しそばに使う分をよけた残りを晩ごはんのおかずにするんだが、完全に夫婦2人の夕食とおそばの分としてはパックの中身が多すぎる。
「小さい方でよくない?」と提案されて、晩はほぼおつまみだけですませることにした。

買い物がすべて終わったので今年の家計簿を〆て、エクセル上にまとめた年間収支表でプレゼンをする。
(テンキーをブラインドで打つところに驚いていただけた。30年前のOL生活で取った杵柄)
今年は医療費がかかったが、その分旅行とかは行けなかったし入院中は意外と生活費がかからないので、結局支出の少ない年だった。
息子が自分で稼いでいた時期が数ヶ月あったのも大きい。
彼への援助も記帳したら貯蓄額がまた減ったが、それは来年不要になる支出だと思いたい。

「将来、老人ホームに入るとして、月々いくら支払えるか」が現在の課題なんだけど、収入がないので支払う税金は少ないとか、今は多い保険料の支払いが少なくなるとか、マンションを息子に貸すなら彼に管理費払ってもらおうとか、いろいろ細かく出費が減らせる。
さらに、私は見落としていたけど、食費と光熱費がかからなくなるんだ!
なんとか予想年金額にまで支出を絞り込んで、入居一時金さえ用意すれば月々の払いは年金でOK!ということを確認して満足した。
もらえる年金が少なくなる危険は重々予想しているが、「とりあえずOK」の安心感が好きなだけの、案外お手軽な私なのである。
おおまかに大丈夫、になったら、先のことはまたいずれ考えよう。

家計検討会に時間を取られ過ぎて映画は観終わらず、来年(笑)に持ち越しとして、紅白を観始める。
作りたてのおつまみを並べて、下戸の私も気分でビール飲むんだ。
紅白の新システム、1ラウンドごとの視聴者投票はやや気ぜわしいが、片足欠損のダンサーしかも義足を外してのパフォーマンスや、三浦大知の無音ダンス、郷ひろみと登美丘高校のコラボ等、思わず見入ってしまうステージのひとつひとつを評価できたのはよかったと思う。
ウッちゃんの司会をはじめ、イントロから引き込まれた今年の紅白であった。
せいうちくん的には昨日のレコ大で初めて知った「乃木坂46」「欅坂46」をさらに紅白で楽しめて、満足だったようだ。

今年も無事に暮れて行く。深々と喜びのタメイキ。
おそば食べて、除夜の鐘がゴーン。
せいうちくん、あけましておめでとう。今年もよろしく。

最新「年中休業うつらうつら日記」
足弱妻と胃弱夫のイタリア旅行記
「年中休業うつらうつら日記」目次
「おひるね倶楽部