20年2月1日

土曜日に友人2名とせいうちくんと4人で、落語を聞きに行った。
年に2回、市の施設でやってくれる柳屋喬太郎さんの「勉強会」を欠かさないようにしているのだ。
出不精ゆえ、なるべく近くで済ませたいだけではあるが、追っかけを続けていつの間にか10年以上経過してるのに思い至る。
最初に気に入ったのは、市が所有する施設での高座。初めて畳の部屋で聞いた。
その後私の足が悪くなったため正座は無理と判断し、普通の公民館での会に移った。
そう思うとなにやら「継続は力なり」的な面白さも増してきて、ちょっと常連気分で反り返ってみたりする。

前座の橘家門朗(もんろー、と読むらしい)さんがたいそう出来が良く、滑舌が良すぎて風情に欠けるぐらいしか悪口の言いようがなかった。
てきぱきして元気で妙な愛嬌がある。(ああいうのを「フラ」と呼ぶのか)
「元犬」をやってくれて、あんまり元気な犬なんで可愛くなっちゃった。
目をつけておこう。スピード出世しそうだ。
中入り後の柳亭市童さん、そして絶好調の喬太郎さんと、皆さんずしんと来る噺だった。

今日の喬太郎さんは過激だった。
「こうして三鷹市で勉強会をやらせてもらってます。ありがたいことでございます。しかしね、ここは『来るのが大変』なんですよ」
どっとわく。
駅から遠くてバスも中途半端なのを、お客さんはみんな知っているのだ。
「武蔵野はいいですよね。きれいな公会堂が三鷹駅の北口にある。同じ駅前なのに、北と南でずいぶん違いますね。あれ、北は武蔵野市で南は三鷹市だそうですね。仲、悪いんですってね」

この辺まで聞くと、よそから来てる人たちはどうか知らんが、地元民たちは面白過ぎてひくひく痙攣している。
実際、駅ひとつ、道ひとつへだてた両市は雰囲気もたたずまいもずいぶん違い、噂では住民税も住人の民度も違うそうなのだ。剣呑剣呑。

続けて聞いていて一番楽しく思うのは、年々老けていく彼もそれに馴染んでいく我々も、1つの世界を作っていく点。
三鷹市と武蔵野市のそこはかとなく仲の悪さを面白がる喬太郎さんも、火事にあった花魁がお化粧半分で逃げ回ってるからって「あしゅら男爵じゃないですよ」とちょろっと挟むオタクな喬太郎さんも、みんないとおしい。


恒例、駅前に移動して蕎麦屋飲み。今回は新年会となった。
2月からのメニューに替わったばかりで、冬だからと期待していた牡蠣が先月で終わってしまったらしくて、なかったのは残念だったが、どうも北海道系ではないかと思われる魚介と野菜の美味しいお店。
〆の蕎麦までぱんぱんに食べた。
途中から店員さんの演奏でゆったりしたギターソロ。
ビートルズ
どの曲も知ってるなぁと皆でうっとり。
忘年会も同じメンツだった。これまでもこれからもよろしくです。

20年2月4日


1月15日から2月14日まで、ほぼひと月、東映動画の名作が上映される。
最近知った「ユジク阿佐ヶ谷」って50席ほどの小さなシアターだ。
前に「ロング・ウェイ・ノース」見に行って初めて知った。
50人のオタクが静かに静かに集結してくる、本当に好きな人が集まる静謐な場だった。

このイベント情報を入手した時すぐにせいうちくんに転送してあげたんだが、「わー、わー、わー、涙」というシンプルな反応が返ってきた。
「行こうよ。チケットは取っといてあげるよ」と言って、昨日、足が地につかないぐらい浮かれているせいうちくんと行ったわけです。

壁の黒板アートに描かれた東映キャラの集合図、並べてある画集などの販売物サンプル、ポスターや壁の掲示など、何もかも写真に収めながら「夢のようだ、幸せだ」と繰り返して熱にうかされている50男ってどういうもんだろうか。
まぁ、お互いまったく見知らぬ同士ながら多分似たようなタイプなんだろうなって人が何人も来てた気がする。

なんでも時間厳守せっかちなんで売り出し直後にネット予約したら、整理番号1番・2番が取れてた。
前から3列目が一番いい席と思っているのでそこに陣取り、「さすがに私にも懐かしいな。小学校の時父親に連れて行ってもらって以来だもんな」とか思っていたら、始まるやいなや、隣の席から怪しい音が聞こえてくる。

「ずびっ」「ぐすっ」…もう泣いとるんかいっ!(怒)
だってまだ、謎の少年が謎の狼たちと戦っているだけで、何にも起こってないと思うんだけど、せいうちくんにはこれが素晴らしい冒険物語へのプロローグにしか見えないようだ。
そんなに泣いてたら鼻水が枯れちまうぜ、との思いを込めて、ポケットティッシュを渡しておいた。

「白蛇伝」は、ぽわんとエロかった。
昔にあんなにそこはかとない色気が描けるとは想像してなかった。
しかも「少年向け」なのである。
わからない。

どうしてどいつもこいつもペットを肩に乗せたり連れて歩いたりしているのか。
一人旅の間に話す、相手なんだろうか。(そのわりに2匹いると勝手にいろいろいたずらをする)
あとからせいうちくんに、
「しゃべらない肩のりタイプの小動物は『母をたずねて三千里』のアメディオが最後だなぁ」と言われたので、「ナウシカのテトはどーなる!」とツッコんでおいた。

終映後、壁に貼ってある様々な資料を見ていたら、なんと、「太陽の王子ホルスの大冒険」をやった時のイベントの名前は、私が50年以上思い込んでいた「東映まんがまつり」ではなく、「東映まんがパレード」だった!

夏休みの父親の義務として姉と私を連れて行ってくれて、日頃から子供の扱いなんか知りゃしないからひたすら隣の席で寝ていて、小3の私に日記に「さいなんだったのはおとうさんで、れいぼうであたまががんがんするといっていました」と書かれた、あれは「まんがパレード」だったのか。
併映が「ウルトラセブン」「魔法使いサリー」「ゲゲゲの鬼太郎」であったことは全く覚えていなかった。

むしろ、前年の夏休みにやっていた「東映こどもまつり」のサイボーグ009と併映だとばかり思っていた。こっちはこっちで重ねて貼るとカラーになる3色のシールが嬉しかった記憶ばかりで、「たぬきさん大当たり」なんて覚えてないぞ。
それなのにせいうちくんは、
「えっ、たぬきさん見たの?あれはすごく評判のいい、幻の15分作品なんだよ!」と言う。
ああ、オタクなんて大嫌いだ!好きだけど。

「ありがとう、本当に感謝するよ。キミは僕の好きなものをなんでも知ってるんだね。こんなにいい映画館のふかふかな椅子で、大好きな映画を大好きな人と見る。夢みたいだ!」って涙ながらに訴えられるのは嬉しいが、実のところ、この人が「何が好きか」はよくわかってるんだけど、「なんで好きか」は実のところ、よくわからないんだよね…「映像研」を紹介してあげたときも、そこまでの確信はなかったよ。

だいたいさぁ、涙もろい私と違って、結婚してからと言うか出会ってから、この人が泣くとこ見たのって両手両足で数えられるぐらいしかない、と断言できる。
しかもそのうち最も忘れ難い1回は、長女が生まれて重い障害を持つだろうと言われていた時、退院後の主治医になってくれたドクターが、
「私はそうは思いません。正常に発達する可能性があると思います」と力強く断言してくれた際に、会計待ちの長椅子で、娘を抱きしめて泣いてた時だよ。
本人でさえ、
「ひたすら泣いた。今でなければいつ泣くのか、と思ってことさら泣いた」っつーぐらいの勢いだ。
(ただし、頭囲が伸びてこなかったので3ヶ月後に見放され、専門施設を紹介されたというおまけがつく)


その後はあなた…「銀河鉄道の夜」を見た時にうるさかったとか「ホルス」で泣くとか、涙腺と感情のつながりはいったいどうなっているのか。

木曜に「少年猿飛佐助」「わんわん忠臣蔵」を、日曜に「わんぱく王子」「長靴をはいた猫」を観てコンプリート。
せいうちくんは「全部見たいから全部見る」な清々しい姿勢だが、私のは単なるコンプ癖だと思う。
なんとなく気が引ける。
熱意のありすぎる人を目の当たりにする時、人間はなんとなく居心地悪く感じるものなんだろう。

気持ちのいい晩だったので、阿佐ヶ谷でご飯を食べて帰ることにした。
せいうちくんは井之頭五郎ばりに「怪しいホルモン焼き屋」を提案してきたが、そーゆーのは無理なんだってば。
雰囲気も中身も、難度が高い。あなたみたいに「モツならなんでもいけます」って看板は出してない。

駅に近いところまで来たら、店の扉を半分開いておにーさんが「いかがです?」と客引きしてきた。
普段だと客引きされると逆に引いちゃうんだが、なんだかいい雰囲気のお店で、それにここが大事なんだが、おにーさんも清潔感のある若いハンサムだった。いいじゃん。

小さなイタリアンの2階に通されてみると、思った以上にいい雰囲気だ。
糖質制限だからと頼んだ肉の盛り合わせと野菜のバーニャカウダも非常に美味しかった。
ついでにグラスで頼んだ白ワインも美味しかった。

「これは、行っちゃうね!」と小声で叫び、ナスとベーコン(あまり厚切りだったんで、ベーコンというよりパンチェッタみたいだった!美味しかった!)のパスタを頼んで2人でシェア。うーん、いい店だ。

日曜の昼間に「東映動画まつり2020」の我々的最終日を飾りにきた時、ここで豪遊しよう、と約束して、混んだ電車もバスもなんのその、ほろ酔い機嫌で手をつないで陽気に帰った。
今朝になって反動で気が重いのは、まあいつものことだから仕方ない。

20年2月5日

時々、バス停までせいうちくんを迎えに行く。
「寒いから、いいよ」と言われる夜も多いが、日頃ほどんど外に出ない暮らしなので、1日に1回ぐらい外に出るのはいいことだろうと、なるべくお迎えをしている。

持ち物はケータイとタオルハンカチとイヤホンだけ。
自律神経失調で妙な時に汗をかくのでタオルが手放せないし、音楽セットは、もちろん歩いてる時の退屈よけである。
たいがいポルノグラフィティかアルフィーを聴いている。なんとなく歩く助けになるのだ。谷山浩子や森田童子だと足が止まってしまう。

イヤホンは1年ぐらい前に買った気に入りのワイヤレス。
10センチぐらいの円筒の両端にイヤホンがマグネットでくっつき、自動で充電してくれる。
もしかしたら私は耳が小さいのだろうか、支えなしに耳に突っ込んでるだけタイプのイヤホンが合わないのが悩みの種だが、落ちそうになった時は「あ、外れる」との感覚があり、落ちる前にキャッチできるため、今まで大事には至らずにきた。

ところが。
バス停の大通りへの小道を曲がろうとしていた時、右耳にその「あ、外れる」の感覚がきた。
あわてて右腕と右肩を上げ、落ちるかものイヤホンをカバーする。
ところが、耳からは外れる感覚があったものの、腕にはなんの感触も伝わってこない。
「コートの袖で止まった?」と腕をもぞもぞ動かしたとたん、コーンと乾いた音がした。地面に落ちたのだ。

まだ私はあわててなかった。
落ちた音は確かにしたし、場所もだいたい見当がつく。
薄暗い場所ではあるが、歩道の表面は大方見えている。
小さな黒い影を生んでいるだろう直径2センチほどのイヤホンは、さがせばすぐに見つかると思われた。

なんとなく自分で浅く埋めた宝物を掘り返すような「楽勝楽勝」な気分で始めた捜索は、すぐに頓挫した。
どこにもないのだ。
ちょっと焦ってきて、せいうちくんに、
「イヤホン落とした。途中の角で探してるから、どんどん帰ってきて」とLINEを打っておき、ちょっと苦労してiPhoneの機能から懐中電灯を呼び出して、本格的に探し始めた。

老いた女性とは言え、煌々と明かりをつけて路面を這い回るような姿は立派に不審者である。
独り言は言わない主義なので、「あれー」「おかしいな、どこに落としたんだろう?」などは恥ずかしい。
だから、せいうちくんが角を曲がってきて「どうしたの?!」と探し物に加わってくれた時は心底ほっとした。
ライトをつけた人間が2人、
「どのへんなの?」
「落ちた音は聞いたから、そう遠くじゃないよ。弾んで飛んでったのかなぁ」
「じゃあ、植え込みかもしれないね。よく見てみよう」
「これは、無理だね。明日、明るくなってから探しにこようかな」
などと真剣に語り合っていれば、時折通りがかるご近所の人々も怪しくは思うまい。

しかし、せいうちくんが本当に役立ったのは、そんな小芝居の相手としてではなく、半ば以上諦めて「買いなおしになるかも。気に入ってたのに。ちぇっ」と実際に思い始めていた小さな小さなイヤホンを、見つけてくれたことであった。
「あったよ!」
探し物の天才だ。
さっきから私が散々探した路面に転がっていたらしい。暗くて見えなかっただけか。

こうしてイヤホンを取り戻し、配偶者に対する信頼も大きく取り戻して、平和に家に帰ったのだった。
人間、いつどこで何を無くすかわからない。失せ物には注意、ですぞ。

20年2月6日

東映動画まつり2020、我々の2日目。
今日は「少年猿飛佐助」と「わんわん忠臣蔵」だ。

こないだも思ったんだが、初めて来た「ロング・ウェイ・ノース」は50席足らずの劇場が満員になり、補助椅子が出るほどだったのに、このイベントはどの回もそれほど混んではいない。
期間が長いからなのか?
せいうちくん曰く、
「『ロング・ウェイ・ノース』は日本であの時しか見られなかった。ホルスやわんわんは、なんだかんだ言って見たい人はみんな、すでになんとかして見ている」
ちなみに彼は、高校生の頃に公民館での自主上映会で見たそうな。

「少年猿飛佐助」は、初めて見た。せいうちくんもほとんど見たことないらしい。レアだ。
なんつーかもう、人間の中には何でもいいから絵を動かしたい性癖の人がいるんだなーと口があんぐり開く。
話の必然性より何より、動かしたくて仕方ないのが見て取れる。
もしもお上が取り締まろうとしたら、これはちょっと手を焼くレベルだ。

「わんわん忠臣蔵」はさすがに何度か途切れ途切れに見たことある。丸顔の犬や凶悪そうなトラ、見覚えがある。
しかし驚くよ、最初にトラと戦ってるの、「お母さん」なのか。オスだとばかり思っていた。
みんなが「シロおばさん」って惜しむシーンで初めて合点が行った。
いかん、やはりジェンダーの刷り込みに侵されている。
トラの名前が「キラー様」で、雪の日に討ち入りがあるの、笑った。

いやいや、よく動いてたし、面白かったよ。
猿飛佐助から見てくると、トムとジェリーが侵略してきた過程がうかがえるけど。
ドタバタの描き方とか、ちょっと動いて反対方向に戻る動きとか。

東映まつり最初の「ホルス」ほどは泣かなくなったせいうちくん、特に白蛇伝や猿飛では全然泣く気配がなかったが、わんわんではやはりほろり。
いったい何が彼を泣かせてるんだろう?

とてもとても楽しかったので一昨日のイタリアンレストランでまたご飯食べようかと思ったけど、それは日曜のラス日に取っとくことにして、天下寿司食べて帰った。
久々に食べるお寿司はすごく美味しかった。糖質はいいなぁ。
もうちょっと歳を取ったら、もう体重のことなんか考えずに食べたいもの食べて暮らすんだ。
問題は、それが何歳ぐらいからなのか、高齢化時代の我々にはしかと判別できないあたりなんだよねぇ。

20年2月7日

昨日はせいうちくんが早く帰ってくれたので、病院に一緒に行ってもらった。
私はどうやら、ドクターに向かってもわりと「わかってるんです。大丈夫です」的なスタンスを取ってしまうようで、前からせいうちくんに心配されていたのだ。
面談の、実態を見てもらうことになってしまった。

せ「うさこはずっと苦しんでいます。つらいのにいつもの診療の時は『つらい』と言えず、てきぱき、理性的な話をしてしまっているように思います」

先生「そうなのか。ここに来たら苦しいって言わないと」

せ「おとといは調子よかったですが、昨日は悪かったです」

私「そうです。昨日は薬も少し多めに飲みました。苦しかったです。死んでいいと言われたらどんなにほっとするか、と思います。先生にそんなこと言ったら叱られそうですけど」

先「500人ここに来ている人がいて、3人くらいは本当に具合が悪いですね。一人は小さい頃に親に捨てられて、もう一人は親が偉すぎて、始終怒鳴られた人です」

せ「うさこはそれらの人に匹敵しますか」

先「勿論です。だから話しているので」

私「私はその3人には入らないで、500人中せいぜい20人くらいだと思いました」

(せいうち心の声「そう思ってるんじゃないかと思ったよ…」)

先「その3人の一人です」

せ「うさこの母はうさこが母以外の人に感心したり、母のお陰でなく楽しくなるとそれが耐えられなくて、威圧したり、見捨てたりして圧迫していたように思います。また、始終怒鳴られていたようです。うさこの甥っ子が実際長い時間怒鳴られているのを見ました。きっと同じような目に合っていたんだと思います」

先「なんでそんなことするかね。親は子供にやさしくするのが仕事なのに」

せ「うさこはそれでも、母の育て方が『かしこい育て方だ』と思っていたんです。例えば、うさこが小さい頃、転んで泣いていると、『お母さんが目を離したからあなたがケガをした。泣き声を聞きつけて、お母さんの責任だからって警察が来る。あなたが泣いていたら、お母さんが捕まってしまうの』と言って脅して泣き止ませようとし、うさこが一生懸命ガマンして泣き止むとか」

先「ひどいね」

せ「うさこの中にいる『私(母)がいなくても楽しい気持ちになるなんて許さない。私以外の人に感心するなんて許さない。そんな子は悪い子で、私はそんな子は大事にしない』といってうさこをいじめる何かを、先生に手伝っていただいて消したいんです。もしかしたら先生が前におっしゃっていたように、3歳を超えて言語化できる前にそのような概念が心に刻み込まれてしまって、うさこのいろいろなことを感じる心と一体化してしまっているかもしれません。それをぷちぷち少しずつはがして、始末して欲しいんです」

先「それはそうかもしれないね。自分とお母さんのそういうところが一体になってしまっているんだね。自分から離れることをお母さんが許さないんだね。そのお母さんが心に一体化してしまっているんだね」

せ「どうすればいいでしょう」

先「精神病院に入って怒りを爆発させてしまって、その混沌の中から抜け出すことができれば、それで解決するかもしれないね」

せ「でも、それはできません。出てこれなくなるかもしれません」

先「そうなんだ。だから私のところに来てくれているんだからね。私がやります。でも、来てもらって『はい、治りました』とはならないよ。時間がかかるよ」

せ「判っています。1ミリずつです」

先「そう。1ミリずつ。でもそれをやっていくのが俺の仕事だしな。とにかく少しずつはがしていかないとな。時間はお互いが生きているかぎりかなり長くあると思ってくださいよ。じっくりやりましょう。時間はあるから」

私「(泣きながら)でも、どうしても自分が病気だって認められなくて」

先「だからあなたは500人に3人の重い症状なんだから」

私「夫に依存していいんでしょうか」

先「子供に依存しちゃあダメなんだけどね、夫ならいいんだよ」

せ「1人に頼るリスクはあるかもしれません。私に万一のことがあったらよろしくお願いします」

先「それはねぇ・・・とにかく、また来てください。話しましょう」

せ「お邪魔じゃなかったですか?」

先「そんなことないです」

とまあ、こんな話になった。長くてすみません。

自分の中に、自分を責める声がある。
「仮病なんか使って、人に迷惑かけて」と叱る声。
耳をふさいで、気絶していたい。
薬を飲みすぎて倒れているのはそんな時だ。

なんだか暗い話で終わってしまった。
そういう日もある。

20年2月8日

いつもの心臓の検診。
数値は落ちついてる、と先生は言うんだが、息苦しいのがおさまらない。
主観的には弁と血管を換える以前の、少し歩くと息が上がってしまった時に似ている。
「そうは言っても、もう血管も交換したわけですし」と先生。

あの頃、肺活量は人間ドックで計測不能なほど低かった。
開胸されるまで知らなかったが、大動脈の動脈瘤はただの「瘤」ではなく、血管全体が弾性を失ってしぼんだ風船のようになっていた。
それが肺を圧迫していた可能性がある。
何度も「カラオケで、前は歌えたワンフレーズが息継ぎなしに歌えなくなった。日常しゃべっていても、途中で息継ぎが必要」と訴えたんだが、先生は私がこれ以上しゃべる必要を感じなかったのか、「まあ様子を見ましょう」と言い続けていた。
「心肺機能」って言うぐらいなんだから、肺のことも少しは心配してほしい。洒落じゃないぞ。

上記のようなことを話したら、突然、「じゃあ、肺の検査をしておきましょうか」と言われた。
検査、できるの?!
てっきり、ここではできないから様子を見てるんだと思ってたよ。
今日はいちおうCT撮って(しかし、3ヶ月ほど前にも心臓のCTは撮ってるんだよね。ついでに肺も撮れないのかしらん)、次回に肺の検査。

どうもこの先生は、心臓が好きすぎて、心臓以外の身体の部分品の不調にはあまり興味がないんじゃないだろうか。
それはそれで研究や治療が進みそうだが、患者の側としては、自分の身体をトータルに診てもらいたい、とついつい思うのだ。

ワーファリンの値が9ヶ月ぶりぐらいに正常値に入ったのは喜ばしい。
また来月検査して、今度は低すぎたらどうしよう。
機械弁から生じる血栓防止のため血液をサラサラにして、脳梗塞を防ぐ薬なんだが、効き過ぎると内出血が止まらない、効きが悪すぎると血栓ができる。
いったんできた血栓はなくならないで身体中をめぐっているそうなので、私としては青タンだらけになってもいいから、血液は薄めをお願いしたい。

20年2月9日

ユジク阿佐ヶ谷の「東映動画まつり2020」、我々的最終日はいよいよ「わんぱく王子の大蛇退治」「長靴をはいた猫」を観て、6作品コンプリートだ。
時系列には「白蛇伝」「少年猿飛佐助」「わんぱく王子の大蛇退治」「わんわん忠臣蔵」「太陽の王子ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」と来るようだ。

「白蛇伝」と「猿飛」は、もうとにかく絵を動かしたかったんだなぁとあっけにとられる。
何であるとも言いようのないストーリーで、ただただ幽玄だったり勇ましかったりの人物が動き回る。
正直、なんのために動いてるのかわからない時も多かった。ああ、動かしたいのか、と理解しておいた。

わんわん忠臣蔵あたりになると、トムとジェリーの要素が入ってくる。
動きが、いったん一方向に向かいかけて次の瞬間逆に動く、いわゆる「ため」とか「戻り」とか呼ぶものが出てきた。
お話も明るく、テーマ性がはっきりしてくる。

興行的には大失敗だったとせいうちくんがいつも悔しそうなホルス。
私は父親に連れてってもらって封切りで見たから、動員数の1人だよ。
マンガだってだけで面白くて、特に高畑が周りを悩ませたほどの重いテーマが邪魔になってるなんて、思いもしなかった。
でもヒルダの歌は陰気だった。「私はヒルダ。陽気な歌を歌うヒルダ」って聞いて、生まれて初めて自己認識の間違い、ってものを知った。(そんな言葉で理解するのはもっとずっと後だが)

わんぱく王子について、ここまで触れてこなかったのは忘れたからじゃない。
最後、日曜に見たのが「わんぱく王子」と「長猫」だったわけだが、わんぱくは非常に特異な作品だった。

まず、客が多い。
これまでの2日は平日夜だったので、あまり混んでなかったのかもしれない。
実際、この映画館を知ったきっかけの「ロング・ウェイ・ノース」が平日夜なのに満員だったのを思い出し、
「あれはやはり、日本で現在ここでしか観られないから、みんな観に来るんだねぇ。東映のアニメは、なんだかんだ言って皆さん人生のどこかで観ちゃってるんだろう」とせいうちくんと話していたんだが、わんぱく王子は、「ロング・ウェイ・ノース」並みに混んでいた。
補助席も出るし、ロビーはいっぱいになった。
おそらく、大昔に観たものの、その後観る機会があまりに少なく、希少価値だったんだろう。

特筆したいほどの、芸術と楽しさの境界線上にあった。
あんまり芸術的だと退屈だし、楽しすぎると美しさとの両立が難しくなる。
両者のバランスがとてもいいと言うか、拮抗していて、見応えのある作品だった。
しかし実は私は天照大神の岩戸隠れがあったかどうか覚えてないぐらい、途中で寝ていた。
いい映画は、あまりに桃源郷なので眠くなることもあるんだ。
あと、スサノオとヤマトタケルを混同していたことも、せいうちくんから優しく指導された。

そして長猫。
これはもう、文句なく面白い。
普段は決していないだろう親子連れが何組か来てて、小さな子供さんたちははっきり言って上映前は騒がしかった。
しかし、私にも親にも映画館の人にも自信があったのだ。絶対静かに観るだろうと。
そして予想通り、彼らは固唾を呑んでスクリーンを見つめ、「あれなーに?」「なんでとんでるの?へん!」とかは一切言わなかったのである。
優れたフィクションは、子供をも黙らせる力を持つ。

ただ先にも述べたように、面白いってことは「高尚じゃない」ってことで、わんぱく王子のもの悲しさと静かな気品は望めなかった。
ワタシ的には「面白きゃいいじゃん」なスタンス。
繰り返しのギャグ、くどいほどのお約束、人物がつぶれるとひらひらと宙を舞うトムジェリの手法もさらに目立つようになり、エンタテインメントの基礎を全部押さえてくれていた。
絵も、ほぼ文句のつけようがないぐらい好感の持てる絵で、猫のひげをぴんとのばすと小さな星が散る、それだけで美しかった。

この作品で一番深く感じたのは、女性の地位の変化だった。
お姫様は、ほとんどずっと「まあ」とか「あら」とかしか言わない。
魔王の求婚を(父王がそれなりにその気になってるにもかかわらず)「イヤです!絶対にイヤ!」と断ったところは立派だったが、それ以外のほぼすべての場面で男の後ろに隠れている。
悪魔城で、目の前に魔法のドクロが転がってきても拾いもせず、ぼーっとしてた。
おかげでそのあと空前絶後のチェイスが始まるからいいんだが。
女性は、「男性を目覚めさせる存在」であり、自らはまだまだ「眠り姫」だったのだなぁとつくづく思った。

もちろん最後、独走トライよろしく雄々しくドクロを抱えて走ったところは見上げたもので、そのあとカラバ公爵ことピエールと合流するまでは、1人でボール、いやちがったドクロを守り切った。
このとき姫は、自立の美酒を飲み干したのかもしれない。
結婚生活はどうなるかなぁ、ふふふ。

あとは、そうねぇ、王様は自分の城のすぐ近くの土地の所有者を知らないのかとか、そもそも「我が国の貴族名鑑に『カラバ公爵』というのはいないが…」とかなぜならない?
王様の生活質素。執事も召使いも見当たらない。
たぶん、いい王様なんだろうな。

そんな雑然とした感想を抱えて帰ろうとしたら、せいうちくんは相変わらず魂を抜かれたような顔をしている。
まあそうだよね。
コドモの頃から憧れていた、特に彼の場合、親から厳しく禁じられていた類いの物事が、銀のお盆にのって「さあどうぞ」的に差し出されてるわけだ。
オトナになるって、本当に素晴らしい。

ひとつだけ素晴らしくなかったのは、前々回美味しかったイタリアンにまた行ってパスタとバーニャカウダを今度はたらふく食べようと思っていたのに、営業が夜からだったこと。
しょうがないから別の店で、それはそれで美味しく昼ご飯を食べて、ブックオフで興奮を冷ますべく激しく狩りをして、大満足で家路についたのであった。

ああ、こんなにいい時代にまだ20年ぐらいも生きていられるんだとしたら、いったいどうしたらいいんだろう!?

20年2月10日

こないだたまたませいうちくんと一緒にメンタルの主治医のところに行った時、
「いい時にクルーズ行きましたね。ちゃんと帰ってこられて」と言われた。

いやー、こんな怖いことになるとは思ってなかったですわー。
もちろん船は違うんだけど、それなりに近い経験をするところだったのだと、ぞわーとした。
部屋からも出られず、楽しい船旅を期待していたのにすべてが台無し。
おまけに世間からは「贅沢してるから、あんまり同情しないなぁ」的に見られる。

それとは別に、旅行の時は常備薬を必ず余分に持ち、お薬手帳や薬の説明書を携行するのが大事だと思い知った。
世の中には自分の薬を「血圧の薬。白くて丸い錠剤」ぐらいしか把握してない人もいるらしい。
私はいちおう、常時お薬手帳携帯型だ。
スマホアプリにも入るようになったが、これは本人が意識を失っている時ロックが開けないので結局役に立たない、との意見を読み、なるほど、やはり紙も重要な情報源か、と考えを新たにしている。

しかし、もう1回どっかに旅行に行こうなんて気になるのは一体いつの話だろう。
本人がくたびれてることを別にしても、世の中が落ちつくのにまだしばらくかかりそうだ。

20年2月11日

建国記念日。祝日はいいなぁ。
週末と週末の間にお休みがあるってのは、とても心が豊かになる。

娘に会いに行こうと思っていたら、病棟で目下インフルエンザが発生中らしく、出入りが禁止になってしまった。
どのみちコロナウィルス騒ぎ中の面会はどういう扱いになっているか心配だったんだ。
しばらく様子を見よう。
娘自身はとっても元気なんだそうだ。
彼女はインフルエンザやノロが流行って看護師さんたちがてんてこ舞いな間は症状が出ないことで有名なんだよ。
「娘さんは、待っててくれるんです」
そして、終わって皆さんがひと息ついたところで倒れるので、たいそう感謝されているんだって。

久しぶりに新築マンションの情報が入ったので、見に行ってきた。
低層なのと少し駅から遠いのとで購買意欲は薄いが、勉強しておかなくちゃと思ったところ、これが思ったよりずっとオモシロイものであった。

敷地の一部がずっと塩漬けの道路計画にかかっていて、どうもこれが動き出しそうな気配で、道路が出来上がっちゃった暁には共有ガーデンは道路の向こう、北の方の棟では共用部分とはいえ自由に使えていた庭が、道路(の一部。歩道)に持ってかれちゃうんだそうだ。
ただし、国が買い上げるとなれば住人には頭割りの土地代が入ってきて、上記の諸事情からただでさえこの辺ではちょっとお目にかかれない低価格であることと合わせると、ね、オモシロイでしょ?
宝くじつきマンションだよ。

いろいろ我々のニーズには合わないところがあるので見ただけで終わりそうだが、低層地域のため3階までしか建てられず、それなら、と地下1階を作って実質4階建てにしてしまった。もちろん地下1階も住居なのである。
「パラサイト」を観たいと思っているせいか、何度もつい「半地下」と呼んでしまい、案内のおねーさんからやんわりと「地下です」と訂正された。
うん、地下です。

「皆さん、地下には悪いイメージをお持ちだと思いまして」と、わざわざモデルハウスを「地下の部屋」タイプに作っていた。
バルコニーの上に、現実の完成品にはない梁や透明の屋根がついているけど、思ったよりずっと明るくてひらけた感じ。
実は外からのぞかれる心配もほぼない、いいもののようにも思った。

ほとんどのタイプが70平米と60平米のコンパクトな間取り。
6、7年前、建築事務所に勤める友人が、
「今、マンションはシュリンク、シュリンクなんだ」と語っていたのを思い出す。
確かに、その前の頃、マンションのチラシには、90平米超とか100平米超もよく出てきたものだった。
今、そんなの買う人いないよね。
千平米ぐらいあったら、90平米を11戸じゃなくて70平米を14戸、いや、60平米を16戸作るよね。

なんかものすごく間のいいことに、モデルルームの隣は老人ホームだった!
最近さぁ、自分が入る老人ホームのことが気になって仕方ないんだ。
モデルルームから駐車券もらってるんで、
「すみません、ついでにお隣を見学していきたいんですが」と頼んだら、快く追加のチケットをくれた。
やっぱりとってもいいマンションな雰囲気だった。お取引できるものならしたい。

じゃあ、この話の続きは明日ね。

20年2月12日

さて、老人ホームの話をしようか。

せいうちくんは前に事務長さんに会う関係でここに来たことがあるんだそうだし、そもそもご両親のためにやたらにたくさん見学しており、一方私は老人ホームなるものの中を見たことがほとんどない。
急な訪問は断られるかと思ったが、
「今、説明する係の者がいないんですけれども、それでよろしければ見られるところだけでも」と女性職員が招じ入れてくれた。
ただし、情勢柄、手の洗浄と消毒、マスクは必須。

中はとても明るい雰囲気で、事の性質上ご老人ばかりなのは仕方ない。むしろこちらが急にお邪魔して申し訳ない。
食堂や談話室などを見せていただき、
「今、ちょうどお風呂は全部ふさがってますから」とのことで、空いていたら見せてくれる勢いだった。
(お風呂は相当興味のあるところ)
エレベータで上がって2階の廊下部分まで見せていただけて、せいうちくんはあとから、
「いきなりの見学を受け入れるってことは、とてもきちんとしてるからだよ。『今日は見学の人が来るから』って綺麗にしてるわけじゃない。いつも自信があるんだ」と感心していた。

全体に静かなたたずまいで、壁の掲示物を見ると様々な催し物が行なわれるらしい。
コンサートを聴くとか手作り教室とか。
もちろんごはんは毎食出してもらえるわけで、なるほど、多少ゴージャス度は下がるけど、クルーズ船に乗ってるような生活なんだな。
こういうとこでせいうちくんと2人、駅前に出てお茶を飲んだり買い物をしたり、動く気力がなくなったら部屋で本を読んだりCSやDVDで懐かしの映画やドラマをさんざん観て過ごす…なんか、夢の生活に思えてきた。

要するにね、せいうちくんさえいればいいのよ。
逆にいなかったらどうなるのか、ちょっと想像つかないし、したくない。

私の唯一の老人ホーム体験記は、3年前に急死した高校時代の友人の思い出を語るため、ご両親が暮らすホームを訪ねた時。それだけ。
奥様が病弱だったため60才からもう入居を決めたご夫妻は我々の親世代の典型的なタイプで、かなり裕福らしく、ホテルのように住み心地の良さそうな施設に入居されていた。
「早く入って楽をさせてもらったから、こんなに長生きできたんだと思いますよ」と明るく語っておられた。
友人の思い出話を交換しながら、息子さんを早く亡くされたこと以外は、うらやましかった。

私も早く入りたいクチなんだが、やはり若干生活が厳しい。経済的に。
特に、いくつまで生きるかわかんない時代だからねぇ。
近年、格差が広がり、世代間の軋轢が深まっていると聞くが、そりゃそうだろう。
私だって息子にはなんだか申し訳ない気分でクルーズとか行ってるよ。
まあ、きっとこの先、世間は我々を長く生かすことに興味を持たなくなるだろう。
その時こそ、「生きていたくないと思ったら、『命はひとつ、人生は1回』とかあんまりうるさく言われず、その望みは叶えられる」ようになるかもしれない。

20年2月13日

息子からしばらくSNSにも返事をよこさないと思ったら、ケータイが壊れていたそうだ。
しかし、壊れたケータイでも料金の滞納は発生している。
振込用紙がこっちに来てることもあり、今回はこちらで立て替え払いをすることに。
来週末返しに来て、ついでに泊まってってくれるってさ。

それより前、今週末に息子の知人の公演がある。
前に一度息子と一緒に演劇的なコントをやった、よい脚本を書く人だ。
息子のコントグループのメンバーも2人出演し、片方の女性メンバーは私、大ファンなので、ぜひこの関係者だらけの公演を観に行きたい。
前に友人が試みに書いた日記を見せてくれた中に、

「小劇場ではチケットノルマを抱えた1万5千人がお互いの公演を見ているだけだと言われているが、せいうち息子のお笑い興業も一般客が入ってる気はしないし、そーいうことなんだろーね」

とあり、まさにそういう現象なのかもしれないが、それはまあいいじゃないか。

そんな時、王貞治がCMやってた「ナボナはお菓子のホームラン王です」で有名なお菓子の店が、季節限定で「いちご大福」を出すと知った。
よし、これを差し入れに持って行こう!

念のため息子にお伺いを立てた。
「母さん、○○さんのファンだから公演観に行くんだけど、差し入れに『いちご大福』持ってったら引かれるかしらん」
返事は、「大丈夫だよー」そして、「オレも行こうかな」。

なんだ、君はまだ「1万5千人の中でのノルマ」(彼らの場合、もっと小さい輪と思われる)を果たしてなかったのか。
行きたまえ行きたまえ、そしたら君とカノジョの分もお土産のいちご大福を買っておくよ。
予定より早く会えちゃうね。

ところが、普段息子の客席スカスカの公演に慣れていたので意外だったんだが、もう満席なので息子は観に行けないんだそうである。
気の毒に。
よほどチケットを譲ってあげようかと思ったが、これは私もとっても観たいんだ。

一緒に行くせいうちくんに念のため、
「あなたの分を譲るって選択はないものかね」と聞いてみる。
「つまり、キミと息子が2人で行くってこと?」
「そうそう」
「バカバカしい。却下」
父親としては冷たいが、夫としてはホットだ。これでいいんだろう。
いちご大福買いに行く時はもちろん自分のも買うから、おいしかったら来週息子が来る時にまた買おう。

息子のまわりの若い人は、ずっと学園祭の前の状態みたいだ。
授業そっちのけで何かの「自主制作」をしている。(「映像研には手を出すな!」流行ってるなぁ)
「いいのか!」ってジタバタする親としての自分と、「そんなに好きなことがあって、いいなぁ」とうらやましい自分の両方がいる。
昨日読んだミステリに、「親に勘当されても木工職人になりたくて家出し、押しかけ弟子入りした女の子」が出てきた。
こういう人の気持ちにしみじみと思いを寄り添わせるようになっただけでも、私の人生は豊かになったに違いない。

20年2月14日

なんとなんと、今日はバレンタインデーではないか!
「好きになったら即座に言う。女の子からは言えない?なぜ?!」ってタイプで生きてきて、「毎日がバレンタインデー」だったので、あまり必要としたことがない制度。
でも、最近はもっとマイルドで、友情や義理やお世話になってますの気持ちを表現する日らしいね。

先日せいうちくんと大きなスーパーの催事場にさしかかったら、いろんなものを売っている。
「パンツ売り場」と言われてよく見ると、確かに粋なビキニブリーフ売ってるねぇ。
「しかし、なんでこんなとこでパンツ売るんだろう?」と2人してよく見たら、それはバレンタインフェアの一部で、チョコやお菓子と一緒にプレゼントにどう?とブリーフ売ってるんですねぇ。

「昔、パンティの缶詰ってもんがあって、ホワイトデーのお返しに使ってた『おじさん』たちがいたもんだよ。私のバイブル『おじさん改造講座』によれば、もらったOL側は不気味なうえサイズが違うことから(Lの人だったが、Mをもらったらしい)もちろん使用せず、だそうだが」と、うんちくを垂れる。
今だったらセクハラ案件だよね。いやあ、自由な時代だった。

ちなみに、そこに書いてあった「背後にちらちらとうごめく妻の影」も実に興味深い。
お返しとして「妻手作りのケーキやクッキーやコサージュやきんちゃく」などが登場することもあったらしい。
「OLを様々に経由して迷惑かけず、おじさんは妻からチョコもらってりゃいいんじゃん」的な解決が提案されていた。もっともだ。
締めの言葉は「おじさんは ふと我にかえれ」。

せいうちくんの職場ではお菓子コーナーに小袋菓子が山盛りになっていて、仕事が立て込んでくると皆さんスゴイ勢いで脳に糖分を補給しているそうだ。
たとえチョコが飛び交っても、よほどのワケありチョコとか高級チョコ以外は、まっしぐらにそのコーナー行きなのかもしれない。
うん、それが合理性ってもんだ。

20年2月15日

息子の知人Uくんのコント公演があるようだ。
1年前には一緒に「演劇コント」をやった人。

大好きな女性演者がメンバーに入っていたので、どうしても観に行きたいと思い、チケット入手。
ちょうど亀屋万年堂のTwitterで見た季節限定のいちご大福を、ぜひぜひ激励に持って行きたい!
「差し入れしてもおかしくないかねぇ」と息子に聞いたら、「いいんじゃない」。
そうやりとりしてるうちに、彼も観に行きたくなったらしい。
間際でもう満席だったところを、なんとか頼み込んで立ち見させてもらうんだって。

終演後は片付けとかでドタバタしてるだろうし、打ち上げのつまみになるモノでもないしで、開演前にゆとりを持って届けることにした。
大昔住んでた懐かしい阿佐ヶ谷の商店街を歩くと、南の端の方に小さなアートスペースがある。
息子もここで公演やってたなぁ。
あの頃は関係が最悪で、「はよ帰れ」みたいな目でにらまれた路上。くすん。

開演4時間ぐらい前なんで、中ではリハーサルとかやってる様子。
スペースの持ち主らしきおっさんが手前のスペースにいたので、
「今日ここでコントの公演がありますか?差し入れをお渡ししたいんですが」と言うと、
「ああ、あるよ。もう入ってなんかやってるよ。そこのドアの向こうね」と無造作。不審尋問はなし。

半開きのドアにせいうちくんが「すみません~」顔を突っ込み、「はい~」と出てきた男の子に、「○○さんはいらっしゃいますか?」と私の推しを呼んでくれた。
「はい?」と現れた彼女は、次の瞬間、コント仲間息子のことを思い出したらしく、「親です」と名乗る前に「はいはいはいはい!」と首をがくがくとタテに振っていた。
若い人だらけの会場にいつも似つかわしくない場違いな我々は、記憶にあっても不思議がない。

私は思いきって一歩踏み出し、いきなりしゃべりはじめた。
「開演前のお忙しい時にご迷惑かとも思ったんですけど、終演後はもっとバタバタしてるでしょうし、あのこれ、生菓子なんで今日中に食べていただいた方がいいので、どうぞ甘いもの食べてお疲れをとっていい舞台を見せてください。○○さんの大ファンなので、どうぞこれからも頑張ってください。今日も、しっかり見せていただきますっ!」
せいうちくんがつんつんつつかなかったら、気を失うまでしゃべり続けていたかもしれない。
「ありがとうございます」の笑顔に、せいうちくんが引っ張って連れ出してくれなかったら、「あ、あの、記念に握手を…!」とか言ってたかもしれない。

それぐらい、間近で見る彼女は小さくて可憐だった。
いや、悪口じゃないんだけど、全然美人じゃないんだよ。
演技がうまくて、舞台上では「小柄だとは知っているが大きく見えていた」のが、近くでお話しすると本当に小さくて細い。
やっぱり舞台上ではオーラが出てるんだなぁ、って、またぽーっとなる。

息子のコントグループに参加してくれてるから何度も観てるし、小さな舞台だからもうホントに目の前で見てるし、終演後に挨拶したことがないでもない、それでも差し入れを渡す時のファンってのはアガるもんだね。
ヅカな人々とかジャニオタとか、よく平気で出待ちとかするなぁ。集団だからか。

一気に疲れたので、ブックオフで狩りをする。
そしたら、開演1時間半ぐらい前にお茶でも飲もうかと言っていた息子から連絡があり、向こうももう阿佐谷に来ており、ファミレスで「書いて」るのがわかった。
「じゃあもう会おうか」と元々の待ち合わせ場所、星乃珈琲店に。
こっちはブックオフでのお会計に少々手間取って行ってみたら、少し列のできてる星乃の前で名前書いて待っててくれた。

名前見てみたら、漢字で書いてる。
まわり中カタカナで書いてるあのリストに、なんで1人だけ漢字で書くんだ。
「あれ、普通カタカナで書くもんだからね」と指導すると、「へ?なんで?」
「純粋に、お店の人がいっさい読み方に悩まずに呼べるようにだよ」
「ふーん、オレは、『みんな、個人情報にキビシイんだなー』って思ってた」のだそうである。

ちなみに席に着くなり、
「オレ、今、ズボンもパンツも破れてて、キンタマが見えてる」って言うから、
「それって、1万円札渡すからそこらの安い服屋でズボンとパンツ買う、って解決はないの?」と気絶しそうな声で言うと、
「そんなつもりで言ったんじゃないよ。人間の自然な姿じゃん」とすまし顔。
服を着てる時点で、人間は自然じゃないんだよ!
その一部が、しかもミョーな一部が見えてる人間は、自然なんかじゃないんだよ!
少なくとも阿佐ヶ谷のパールセンターじゃ、ただの変質者だよ!
ジャングル行って、バナナかじってろよ!!!

「まあ、芸術家ぶりたい年頃なんだな、いろいろと」と心を落ちつかせる。
私も20代頃は母親から「まあ、その格好はなに?」みたいに言われたもんだ。
(いや、金髪にしてたとかヘソ出してたとかじゃなくて、わりと樹村みのり的な屈折の仕方でしたけどね。それは息子もそうか)

星乃珈琲店だからなんとしてもスフレを食べる私の向かいで、息子は「ナポリタンスパゲッティ」と「ホットドッグ」をむしゃついていた。
少しあきれ顔のせいうちくんだけはコーヒーのみ。

例によっていろんな話をした。
「映像研、いいね!」とかね。
あいつはどうしてこう、何でもかんでも見てるんだろう。
「アニメを作る人の魂がこもってる。人に感動を与えるのはそれだけだ!道は違うけど、オレも頑張るぞ!」
妙なスイッチが入ってしまった。

また例によってせいうちくんが親の愚痴をこぼしていた。
50歳すぎた息子が80歳すぎの親を許せない、それが我が家の「8050問題」なんだよね。
息子はうんざりするのか、時々PC開いてはせいうちくんにテザリングを頼み、画面を眺めていた。
(今、ケータイが壊れてて、買い換える金はないのでノート頼り)
このお父さんはなぁ、子供相手に怒濤の如く、自分の親の愚痴を言っちゃうんだもんなぁ。
ま、考えてみたらこのお母さんである私もそうか。相手が生きてるか死んでるかの違いだけだ。

でも、昔話も弾んでね、今の息子は我々がずっと育ててきたあの息子と同一人物だって、いろいろ確信が持てた。
ほら、時々途中で、「別人になってる?」とか思うことってあるじゃん。良くも悪くもさぁ。

さてそろそろ会場に向かうか。
我々は座席を買ってるけど、息子は立ち見なんだろうだから(実際は椅子を出してもらえていたが)、ギリギリに行った方がいいね。先に行くよ。
珈琲も沢山お代わりして5千円じゃ不安だから、大きいの1枚置いていくよ。会計済ませて、残ったらちゃんと返してね。

さっきも差し入れ渡しに来た会場の入り口の向こうは、小さな待合スペースになっている。
3人座ったらいっぱいって感じのところに年配のご夫婦が座っていたので、遠慮して外で待っていた。
演者の誰かのご両親かなぁ。普段の我々と同じ立場だ。
入場してみたら、「前列から詰めてお座りください」と指導され、問題のご夫婦は一番端、我々の左側に並んで座ってた。

公演は、良かった。
推しのいい演技がたくさん見られて嬉しかったし、息子のコントグループのメンバーがもう1人(こっちは男の子)入っていたが、正直、Uくんは息子よりも役者の使い方がうまい。
普段は大味なのに、「あ、彼って、カッコいいんだ!」と納得のいく状態になっていた。
要するにイケメンとして扱うべきだったんだなぁ。

コント自体もエッジが立っていて、息子より上手と感じた。
彼はこういう人たちとしのぎを削っていかねばならんのか。
しかもUくんだって、喰えるレベルの水面に顔を出すためにはまだまだ相当の距離を水底から息を詰めて泳ぎ昇らなければならず、「売れるかどうか」という意味だけに限れば、多くの人々がただ溺れていくだけの世界だ。
とにかく、頑張ってほしい。

終演後、息子と飲みに行く話になっていた。
立ち見1枚をねじこむのが精一杯だったため観劇に来られなかったカノジョも、合流して参加してくれるって。
10分以上の距離を歩いて駅に着くと、夜に咲く清潔な白い花が1輪すっと立つように、カノジョが待っていてくれた。

こないだユジク阿佐ヶ谷に来た時の帰りに寄った店がいい感じだったので、また行く。
肉とか美味しいイタリアンバルだ。
私は「彩り野菜のバーニャカウダ」が気に入ったな。ラージサイズでもらおう。
肉の盛り合わせは、ギガ盛りで。あと、ナスとベーコンのトマトスパゲッティを大盛りで。
飲み物は、運転手大内くん以外はワインとサングリア。大内くん、ごめんね。
しかし息子よ、君はまだ喰うのかい。3時間ぐらい前に2人前程度喰っていたと思うんだが。

目の前の若い2人はとても仲がいい。
息子は時々とても大事そうにカノジョの腕に触ったり肩に手を置いたりする。
「外食するの、久しぶりだね」と語り合っているところに、日頃のつましい生活が見てとれる。
一番素敵だと思ったのは、2人は時々「小さな旅行」をするって話。

「ほら、父さんたちとも行ったことあるじゃない、マンガがいっぱい置いてあって、岩盤浴のあるスーパー銭湯。あそこで、1日ゆーっくりお風呂に入って岩盤浴してマンガ読んで、食事してまた風呂入って、それで最後は近くの安いビジネスホテルに泊まる」

これ、大好きな相手とじゃないとできない。
高級温泉旅館とかだったら「んー、イマイチな相手だけど、まあゴージャスだし!」って楽しめる人もいるかもだけど、ささやかにお金をかけてたっぷり時間を一緒に過ごすって、若い頃に好きな相手とだけできる贅沢。
感激のあまり、若い頃ラブホのお昼間サービスタイムを活用し、しかしなぜか「エルム街の悪夢」を観て怖くて寝てしまった話を爆発的にする。
親子の会話として、どうなんだろう。

そうだ、カノジョにマンガの本を貸してあげたんだが、最近息子の影響でやたらに読まされてるらしい。
「ジョジョ」とかだから大丈夫だろうが、先日はうちからあげた「柔道部物語」を一気読みしてカノジョも爆笑だったらしい。
「誰が一番好き?」と勢い込んで聞いたら、「やっぱり…鷲尾さんでしょうか」うんうん、いい趣味だ。
私はね、好きというか気になる人はやっぱり名古屋くんなんだよ(笑)

息子が横から、
「カノジョはね、まだ『鋼の錬金術師』を読んでない、幸せな人なんだよ」と言うもんだから、
「そ、それは当然『銀の匙』もまだ、と!」
「そうそう。幸せだよね~」
さすがにこの辺の話はわかるので、ニコニコと聞くせいうちくん。
いつかみんなで、長編マンガを徹夜で読みまくる「長編合宿」したいねぇ。

4人でたいそう楽しく話をして、
「明日は休みだから、床の中で一緒にのんびりするのが何より」と言う2人をアパートまで送って行く。
車を降りて例によってビッグハグをしてくれながら(彼女の前でも何でもおかまいなしだ)嬉しそうに、
「またね!元気でね!」と耳元で言っていた。
いい関係で会えるのは嬉しいね。
春からは自分たちのグループの公演も色々考えてる、と言う、青春のまっただ中の彼だ。
まぶしくて、幸せを心から祈るよ。

20年2月16日

おととい、コント劇団への差し入れを何にしようかなぁと思っていた時、ネットで亀屋萬年堂「季節限定いちご大福」が評判になっているとの記事を見た。
これがいい。もちもちのほっぺたをした可憐な女優さんには、いちご大福がふさわしい。

幸い我が家の近所の駅に支店があったので、電話をして、予約をしておく。
差し入れに10個と、ちゃっかり自分たちの分4個、息子とカノジョの分4個まで。
翌朝11時頃に取りに行くと言うと、ちゃんと用意しておいてくれるとの頼もしいお答え。

ところが、当日朝9時、電話がかかってきた。
工場でトラブルがあり、予定通りの数の製品が配送できるかどうかわからないんだって。
平身低頭誤り続ける担当さんは、とにかく入荷が確認されたらすぐに連絡をくれるという。
結構長いこと、人からこれほどきちんと扱われたことがなかった気がする。

幸い、しばらくのちには「無事入荷の見通しが立ちました!」との電話があり、こちらは予定を変えて買い物中だったので「13時頃に行ってもかまいませんか?」と訪ねると、「もちろんでございます!」
しびれちゃうなぁ。
おまけに、品物を受け取りに行ったらまたたいそう丁寧に遇されて小さな湯飲みの梅昆布茶とひと口菓子をご馳走になった上、
「大変ご迷惑をおかけいたしました。工場の方から、お詫びの品でございます」と包装した箱をくれた。
糖質制限にあまり負担をかけてはいけないのでいちご大福と共に息子にあげたところ、どうもやはりお菓子だったようだ。
「そこまでしてくれるんだねぇ。丁寧なお店だねぇ」と棚ぼたの息子も感心しきりだった。

ピンチの時こそチャンス。こういうお店はきっと栄える。
いちご大福も美味しかったよん。

20年2月17日

先日観に行ったコント公演の主宰、Uくんが、公演についてブログに書いていた。
「親のことを書きます」と始まり、親が観に来てくれたことへの感謝の言葉、学生時代以来4年ぶりであった、売れるまでは見てもらいたくないように思っていた自分を「ちがうな」と思ったなどと綴ってあった。

そうかー、やっぱり我々の横に座っていた、誰よりも早く会場に馳せ参じていた初老のお2人は関係者も関係者、主宰のご両親であったか。
我々は始終やってしまうことなんだが、Uくんのご両親は4年もガマンしていたのか。
日頃は仲が良くてよく会話するご家族らしいんだが、仕事や芸事は別なんだね。
「公演やるの?観に行っていい?」とすぐにウキウキ頼んでしまう我が家とは大違いだ。

息子がコドモの頃から柔道やってたのとも関係あるかもしれないな。
小学生が試合をやれば、親は当然見に行く。
中学生ぐらいからコドモ側は「来るなよ」とか言い出す。しかし、習慣のなせる技で、行く。
高校生になると完全に部活の扱いになるせいか、コドモ側の「見てほしくない気持ち」はMAXに達しているにもかかわらず、父母側に「集団で応援に行く」という別の団体気風が発生しているため、やはり見に行ってしまう。

高校部活からの出場の時は怒り心頭に発しながらもなんとか耐えていた息子も、別口で活動していた地元の道場からの市民大会などになると、絶対に来てほしくなかったようだ。
「くんなよ!」と恫喝されたせいうちくんが、
「もうちょっとていねいな言い方はできないの?」と諭したところ、襟首をつかんでぐいと頭を近づけ、
「来ないでくださーい。お願いですから来ないでくださぁぁぁい!」と耳元で大声で叫んでいた。
ていねいって、そういう意味じゃないと思うんだが。

まあそんな感じで大学お笑いサークルの公演やらコンテストやらも見に行ってしまい、平均年齢20才ちょっとで埋め尽くされた会場でやたらに目立ってしまっていたわけだ。
1度など、狭い小屋での自主公演で、MCのコンビの1人に手のひらを差し出すようにされ、
「今日は年配の方もいらしてますね!どなたかの応援ですか?ご家族ですか?どのコンビでしょう?!」まで聞かれちゃったよ。
しょうがないから息子のコンビ名を答えたら、
「ああ、ツッコミの彼ですか!似てますね!」とやたらに感心されたものだ。
勿論場内は爆笑の渦。
帰ってからせいうちくんが息子に殴られていたような気がするのは、もちろん気のせいというものだ。
(締めぐらいはくらっていたかもしれない)

そんなことを思い出し、Uくんに感謝されているご両親をとてもうらやましく思った。
今では息子も我々に感謝していると言ってくれるが、こうやって全世界に発表してほしいなーとか思う私は、一種の精神異常者なのだろう。
実際、せいうちくんは自分にだけ言ってくれれば充分、いやそれどころか、自分がそんな気分になれればいい、言われなくても勝手にそう言われたような気になれるという特技の持ち主だ。
それはそれで別種の異常者じゃないかしらん…

とにかくUくん、君は親孝行だ。
息子や、今の若い人はとっても親孝行なんだと思う。
ひるがえって我が身の不甲斐なさよ。

20年2月18日

冷蔵庫が壊れた。
自動でできる氷が、氷の引き出しの中で固まってしまうようになったのだ。
冷凍庫の温度を「強」にしてみたり製氷を強くしてみたりしてみたが、効果なし。

保証書を出してみたら、長期保証をつけて「10年保証」にしておいたものが、去年の6月できれていることが判明。
ああ、もう半年ちょっと早く壊れていてくれたら無償で直せたのに!
そこを超えて壊れるのが、家電の能力というものか。
白物は、たいがい10年を超えたあたりでばたばたと壊れ始めるよね。

仕方ないからパナさんのカスタマーセンターに電話する。
症状を伝えると、
「ああ、氷がバラバラにならずに、板チョコのようにつながってる」
「はい、それです!」
「わかりました。来週、メカニックの者を向かわせます」
通じ方が尋常じゃなく具体的で速いのは、ものすごくよくある故障だってことね。
ちょっと気が楽になる。
プロが出てきた時、人はそういう気分になるよね。
「アルマゲドン」でブルース・ウィリス他が並んで歩いてるみたいな。
そしてメカニックさんをよこしてくれたのが今日。週末を挟んだとは言え、対応はわりと早い。

朝の9時に電話があり、午後のいつ頃うかがえます、と言うのは打ち合わせ通り。
来る直前にまた連絡くれたので、
「何か準備しておくことはありますか?」と聞くと、
「おそらく製氷皿のあたりを修理しますので、水タンクまわりを開けられるように食品を出しておいていただけるとありがたいです」との答え。
いわゆる「体積的には一番大きなスペース」だよね。
週明けなんで、作り置きのタッパーや鍋がたくさん入ってるよ。ヨーグルトも7個ぐらいあるよ。全部出しとくね。

冷蔵庫の一部空っぽ、シンクまわり食品の山、といったキッチンに入って冷蔵庫を検分したメカニックさん、
「なるほど、氷がこういう状態になるわけですね」と言って見始めて10分もしないうちに、途中報告。

「この場合ですね、2つの原因が考えられます。ひとつは、製氷皿が劣化して、氷が一部皿に残ってしまう。そこに定量の水が入るので、あふれます。あふれた水が下の引き出しにたまって、板状の氷になってしまいます。もうひとつは、水を入れるためのチューブ、これも劣化によって水漏れがします。それがやはり、下にたまります。今日はとりあえず、第一の原因と思われる製氷皿を新しいものに替えて様子をみます」

出張料や技術料がかかると聞いているので、二段階いっぺんにやっちゃった方がお安いのではないかと恐る恐る聞くと、同一修理の場合はまた来ても部品料しかかからないのだそうで、
「製氷皿とチューブ、両方替えるよりも、お安く済んだ方がいいですから」って。それはどうもご配慮ありがとう。
交換は、これまた10分もしないで終わった。
「まだまだ買い換える予定はないから、3万円ぐらいまでなら直してもらって」とせいうちくんに言われていたのでさていくらか?と身構えていたら、7千円ぐらい。
しかもほとんどは上記の出張料と技術料で、新しい製氷皿自体は700円しかしないらしい。
なんか拍子抜けした。

正味30分もかからずメカニックさんが帰り、ひとつだけ気をつける点は、
「特殊な操作をしましたので、通常は扉が開いていると鳴り始めるアラーム、24時間は作動しません。その後は自動的に元に戻ります」とのこと。
そうか、修理中にピーピー鳴ったら困るからアラーム停めてあるわけで、終わったらまたスイッチ入れて鳴るようにするわけじゃないのね。不思議な仕組みの一端を見た。

最初、やはり少し氷のカタマリができたので、
「ああ、また来てもらって、今度は第二段階でチューブだ。また食品の山を出さなきゃ行けないのか!」と頭を抱えかけたが、どうも水が残っていたとかそういう問題らしく、せいうちくんと代わる代わる氷引き出しを開けているうちに、氷はキレイにバラバラになってきた。
朝には元のような氷の山が。
「やったー!直ったよ!」と冷蔵庫の前、2人で手を取ってダンスを踊った。

世の中には、自分ちの冷蔵庫が壊れたことも奥さんがカスタマーセンターに電話してメカニックさん呼んで直してもらったことも全然知らないで暮らしてるダンナさんも多いんだろうなーと、我が身の幸福を思う。
もしかしたら奥さんの方も、ダンナさんが契約書の数字間違えて叱られたとか営業先で頭を下げまくったとか知らないで暮らしてるのかもしれないけどね。
お互い、家庭内異業種報告会をちゃんとしよう!

20年2月20日

通院日。
少し早めに退社してくれたせいうちくんと待ち合わせて一緒に行く。
こないだも来てくれたな。最初から数えたらもう5、6回はドクターに会ってる。
思えば20代で先々代のドクターとカウンセリング始めた時なんか、ずっと基本は同席だった。

そのせいもあり、彼自身も親との関係が歪んでいるとの自認がある。
まあねぇ、先日一緒に飲んだ友人男性も、はっきりと、
「オレたちのまわりは毒親に悩むヤツだらけだよ!」と断言してたもんなぁ。
いい高校からいい大学にと言われて育ち、しかもずっとマンガやアニメが大好きなのを親から厳しく禁じられてきた人々が集う場所だったから。
私は別の集団から来て、同じ悩みを持つ人たちに出会い、その中の1人と強烈に魂が呼び合ってしまったんだろう。

先日お母さんから「うさこさんにマインドコントロールされてる」と言われ、30年の結婚生活もそんな風にしか見てもらえないのかと落ち込んでいるせいうちくんと、もちろんそのあおりで暗くなりまくっている私に、先生は言う。
「そんな親のことは気にしなくていい。コドモの時ならともかく、50過ぎの息子をどうこうしようなんて、思う方がどうかしてる」

せ「自分は、反抗期ってものがなかったと思うんですよね」
先「ああ、オレの友達を思い出すなぁ。全然反抗期のないヤツでね。なにもかも母親の言いなりだったよ。結婚してもね、女房と子供たち置いて、母親とグァム行くんだよ。お母さん98歳でまだお元気」
私「先生…それが一番くらっときました。まだ15年続くんですね…」
先「だから、気にしちゃダメ!お2人はせっかくこうやって出会ってお互い大事に思ってるんだから、それを第一に考えなさい」
なんか今日は、ついでにせいうちくんのカウンセリングまでしてもらっちゃったぞ。

「これは夫の問題で、私が考えることじゃないのかもしれませんが、どうも自分の母親が亡くなってしまって本人に言いようがない分、夫が代わりに自分の親との問題を解決してくれればという代償行為的な思いがあるのかもしれません」と言うと、先生は少しため息をついた。
「あなたはなぁ、わかるべきことはもうみんな、わかってるんだよね。頭ではね。ただ、現実がついてこない。そこを変えていかないとね」
はい、それも、わかりすぎるぐらいわかってるんです。

でもね、正直、せいうちくんがうらやましい時もある。
親に、「素晴らしくて天才で最高!」って臆面もなく言ってもらえるなんて。
たとえそれが子供本人の「本当の姿」とも「なりたい自分」とも違うんだとしても、そんな目で見られてみたかった。
「あなたはダメだから」「お姉ちゃんを見習いなさい」と言われ続けるのはつらいよ。
時々せいうちくんを一発殴りたくなるのは、自分のきょうだいがそんな思いをしてるって彼には芯から底からは理解できてないからだろうな。

そうかぁ、もしかしたらお姉ちゃんもそんな風に可愛がられたくはなかったのかしらん。
母親と一緒になって私を支配しようとしたのは、彼女が生きていくための最後の手段だったのかしらん。
そうだとしても許せない。
それを思うと、「同胞(きょうだい)を分断支配しようとする親の利己心」は本当に恐ろしい。

気が滅入る時は古本をたくさん買うのが一番。
カラオケもいい手段だが、今、体力がない。
送料をケチってずっしり重い紙袋(もちろん二重にしてもらってる)をそれぞれぶら下げてバスに乗る体力はあるのか、自分たちよ。

20年2月21日

週末、大昔勤めてた会社の同期会があるので、昨日せいうちくんと会う前は美容院に行ってた。
受付の、30代半ばぐらいの美容師さんが荷物とコートを預かってくれながら。
「いい配色ですね。色合いが合ってます」
「いつもおんなじような色のものしか着ないせいでしょう」
「いえ、先日のコートも素敵でしたよ」とにこやか。
担当を、替えるぞ~!と一瞬萌え上がってしまった。

しかしなぁ、私の担当で息子と同い年の、無愛想でニヒルで自信家すぎるにーちゃんは、ものすごくうまいんだよなぁ…
美意識の高すぎる彼とイマイチ話が合わないのが悩みのタネ。
向こうにしてみれば、私ほど身なりや髪型をかまわない客は眉間のシワの元らしい。
「これでもうさこさんには、美容成分の少ない話をしてるんです」と彼なりに気を遣うようで、基本無口。

唯一共通の話題はマンガのことなので、
私「『鬼滅の刃』、最新巻まで読みました!」
担「そうですか!面白かったでしょう?!」
私「登場人物が多いうえ、名前が難しくて覚えられません。あと技の名前もややこしいです」
担「そこがいいんですよ」
私「『すっごく好きになれるキャラが、いいこと言いながら死んでいく』って最強のパタンですよね。あれ、誰だったかなぁ、名前が思い出せない…」
担「煉獄さんでしょう?」
私「それそれ。あと、今出てきてて好きなのは、いつも泣いてる強い人…」
担「ああ、悲鳴嶋さん」
私「それです!」
2ヶ月に1度ぐらい会う担当さんとこのぐらい話が通じたら、それは幸せなのかも。

今日も素敵な仕上がりだった。
しまいにムースとかオイルとかつけて芸術的に仕上げたいらしいのを、「帰って寝るだけですから」って嘘をついて止める。
ホントはせいうちくんと会うんだけど、うちの夫は私以上に美容成分を理解しないの。
「横っちょの毛がハネてるのが好き」って言っても、カールつけるとかコテ使うとかそういうんじゃなくって、朝パンをかじりながら「遅刻遅刻!」って走ってる女の子の頭が寝癖でぴょんってなってる、ああいうのしか頭に浮かんでないオタクって本当に存在するの。

せいうちくんが今の担当さんを一番信頼してる理由は、普通だと1ヶ月でぼさぼさしてくる毛量の多い私の頭が、彼のカットだと2ヶ月たっても格好がついてる、その経済性かもしれない。
「また上手に切ってもらったね!」と、「素」の頭は今回も評判よかったぞ。

20年2月22日

昨日は、昔勤めていた会社の同期会。
もう入社から37年、退社して30年も経っていたか。

7年前に30年記念会に出た時はけっこう大規模だったが、今回はやや少なめ。
当初は50人以上いた出席予定者も、新型コロナウィルス騒ぎを警戒したりもちろんサラリーマンの常として急な仕事が入ったりで、結局30人ほどに。
高齢の親御さんと同居してたり施設に面会に行く関係で警戒しておきたい、と欠席を決めた女性が2人いた。
この事態は心配なことだろう。
会社は、今のところ世界中の社員の中からは1人の感染者も出していないらしい。なんとなく立派。

「というわけで、握手やハグは個人の責任と判断で行なってください」と始まった会は、会社関係の建物地下会議室で、机の上はデリバリーの食べ物と幹事団が用意してくれた飲み物でにぎやか。
親しい同期入社女子が4人来るはずが、2人が直前欠席となり、残る2人にしか会えなかった。
男性は同じ大学だった人を含めて3人ほどが「よく知ってる人」な印象だ。
他の人はまあ、何となく顔を覚えてるとか名前に聞き覚えがあるとかのレベル。

よく知らない人が隣に立ったら、たいがい「入社の時の配属はどこでした?」と聞いて話が始まる。
幹事団のMさんは経営企画にいたそうなので、思わず、
「少し上に、Jさんっていませんでした?」と別口の知り合いの話を振ってしまう。
要するにせいうちくんのサークルの先輩なんだが、よくよく考えたら私より、つまりこの場では「年下」なんだよね。
「??」な顔になったMさんにあわてて「いや、下の人でした。少し年下」と訂正したら、ぽんと手を打つように、
「ああ、Jくん!うんうん、いたねぇ!」
いや、これだけのことなんだけど、自分の知ってる人と人がつながってると嬉しいというのがどうも私の原初的な欲求のようで、それが満足された瞬間でしたよ。

ちなみにそのJさんはFB見る限りやたらに「S社の同窓会」ばっかり出てるんで、別業界のせいうちくんは、
「S社の人は同窓会が好きすぎる」とつぶやいている。
会社生活を送ってこなかった私にはよくわからん境地なので、せっかく話してる相手だし、Mさんに聞いてみよう。
私「やっぱりあれですかね、うちの社の人たちは同窓会とかパーティー、好きですか?」
M「好きだね。うん、わりと好き。そういうメンタリティなんじゃないの?」
私「どこか、アメリカーン、な」
M「そうそう」
なるほどね~。

女性陣とは、雇用機会均等法前であったこと、今は世の中が変わったわね~とか話す。
横で聞いてた男性が、
「女性の採用は多いし、女性が働きやすい会社だと思ってたけど」と驚くので、
「うん、能力のある女性を採用してくれるし、仕事もすごくさせてくれたよ。でも、私たちの入社当時は女性管理職が1人しかいなくて、女性新入社員が大挙してその人を見に行ったような時代だったの」と力説しておく。

勤め続けていればそれなりの出世が望めた男性と違い、どうしても様々に待遇が違うから、私が個人的に健康を損なったのと結婚が同時に来て退職する前に、大卒の女性はずいぶん辞めていたと思う。
同期の女子たちで、「派遣」について熱っぽく語り合ったのも覚えてる。
一時期「ハケン」と標記されちゃってた雰囲気の前、まだ「女性が働きやすくて高給が見込める」希望の場としての「派遣業界」があったんだよ。なつかしいね。

たぶん、その場の30人の中で働いてない人は私だけだったと思うよ。
いや、女性の1人は大学院に行ってると言ってたから、んーと、いわゆる「ニート」は私1人。
「主婦じゃん」と言ってもらえて納得するほど、自分の働きを過剰には評価してないんだ。
時々思うよ、今の状態って、「全身全霊でナニカを表現していたら、たまたま物好きなパトロンがついたので、顔色をうかがわないようにしながら(それが表現者の矜持)日々精進している」と言ったら一番真実に近く、かつ美しいんじゃないかって。
美しくない言い方?そりゃもう、「手のかかる寄生者」ですよ。

会は21時に終わると聞いていたが、会場を延長して使う話も持ち上がり、30分とか1時間延びそうになってた。
でも私は立ちっぱなしが限界になっていたので、お先に失礼。
後片付けとかしなくて、すみません。

楽しかったなぁ。
37年中7年しか勤めてないけど、それ以外に会社体験が絶無なので、異様に懐かしいふるさと。
早い退職でもあり同期としての縁は薄くなってたものの、近年のSNSの発達でつながりも増え、呼んでもらえることも多くなった。

今回も、辞める時同じ部署にいた男性から「毎年、元部署の集まりをしているから、都合がついたら秋にまた!」と声をかけてもらえた。
いろんなことがありすぎて退職当時のことはよく覚えていないほどなので、ご迷惑かけた当時の職場の方々にきちんとお目にかかってご挨拶できたら、私の社会的成熟度は飛躍的に増大するかもしれない。
秋が楽しみ。
いや~、勤労は尊いね~。

20年2月23日

3連休中日、友人宅を訪問。
読んでもらいたいマンガを段ボール箱2つ搬入する。
今市子と志村貴子がイマイマのオススメ。
こないだまでのイチオシだった西炯子は、やはり熱が落ちたのが原因か、袋ひとつにまとめたやつをまるっと忘れてしまった。

忙しい大家族を訪問するので、「今日はもう宅配ピザで行っちゃいましょう!」と早々に決議。
到着して荷下ろししてる時、コドモたちの大半と夫のAさんはピザの受け取り任務に出動していた。
せいうちくんがパーキングに車を停めに行ってる間、ミセスAと私はきゃいきゃいとマンガ荷物を広げる。
市が開かれた日の婦女子のようだ(腐ってない方ですよ)
今日は、「富山の薬売り方式」と称して、持って来たものの中から気に入ったマンガを選んでもらって貸し、前に貸した中から読了済みを受け取って帰る。移動図書館とも呼ぶのかしらん。

幸い担ぎ荷は全部お引き取りいただけて、返ってきたものが予想外に少ないので、Aさんちには今、うちからスゴイ量のマンガが行ってることになる。
忙しいご家庭であるので、申し訳なくて冷や汗が出るよ。
でも、「これ、面白いですよ!」と勧めたマンガが読んでもらえて、「面白いですぅぅ!!」と言われる時が至福なんだよね、ある種のマンガ読みにとっては。
「伝道者」とか「布教者」と呼ばれたい。宗教的恍惚?法悦?

一家の大半がピザと共ににぎやかに帰ってきて、さあ熱いうちにピザを食べよう。
私、微糖のアイスティー作ってきたから出すね。
おや、子供隊女子部と私の大好きなマルゲリータを注文してくれたはずが、これ、ジャガイモ乗ってるよ。
何であるにせよ、マルゲリータじゃないね。

あわてて伝票を確認したりお店に電話したりするA夫妻。
他の人は「おかあさーん、こっちは食べてもいいんでしょ?」と叫んで、悠々ともう1種類の「ウルトラチーズ」をパクつく。
恥ずかしながらせいうちくんと私もその一味。

「メイプルソースがついてるんですよ~」
「へ~、チーズにメイプルって、よくやるもんね~」とミセスAと私が話してるのを小耳に挟んだせいうちくん、
「うん、確かにメイプルシロップの味がする!」と断言。
「そう?チーズの塩味しかしないなぁ」と私が言っても、
「香りがするよ!この、チーズの上の茶色いぽつぽつがメイプルシロップなんじゃないかな」
「へえ~、私は全然わかんないや。さすがに舌がいいんだねぇ」

と言ってる間に、お店側のミスなので無事に無料でマルゲリータを届けてもらえることになったAさん夫婦がテーブルに戻ってきた。
ミセスA「え?せいうちさん、メイプルシロップ、まだかけてませんよ」(袋を見せる)
Aさん「茶色いの?ああ、これはチーズの焦げですね」
せいうちくん、チーズの穴があったら入っちゃえ!

やがてマルゲリータが届き、「じゃがいも乗せジャーマンピザ」もそのままいただいちゃっていいことになり、元々「お持ち帰り価格でしかも2枚目無料」を使って4枚買ってきた料金は、6枚で2枚分というウルトラコスパを達成してしまった。
「絶対余るから」と持ち帰りを勧められたのは固辞してしまったよ。
今日だけ「糖質完全オフ」にしたけど、クルーズ以来、体重がとっても危機に瀕しているのよ、我々。
これ以上、こんな美味しい悪魔の食べ物で誘惑しないで。
ああ、ウルトラチーズ(メイプルシロップ抜き笑笑)とマルゲリータは天国の味だわぁ…

マンガの話して、日頃せいうちくん以外に話し相手がいない私の愚痴を強烈にぶちまけて(すみません、ミセスA)、妙な知人のウワサ話などしていると目の前でお絵かきしていたはずの女子部1号がひょこっと顔上げて「それ、だれ?」とチェック入れてきたり、いや、とにかく楽しかったです。
話題の白眉はやはりソフトオタク界隈までも席巻している「映像研には手を出すな!」でしょうか。

Aさんは金森氏がお気に入りのよう。
妻にも子供たちにも先んじて最新話まで突っ走ってる多忙なサラリーマンに、
「正直なところ、7話の出来をどう思われます?」とささやいたら(未見の人が多いので、ネタバレになる)、
「頑張ってたから、少しクールダウンでしょう」とあっさり言われた。
「6話の出来がよすぎて7話ではスタッフが全員倒れた~」と我々が大騒ぎしていたほどのクオリティへの不満を、Aさんはさほど抱かなかったようだ。
もちろん「エロくない風呂シーン、スゴイ!」は絶賛共有しましたよ。

あまりにテンションが上がって話し続けてたのでくたくたになり、時間になってせいうちくんが「はいはい、帰ろうね~」と言い出しても、屠殺場に引いて行かれる絶望した家畜みたいにふらふらとぼとぼとおとなしく帰った。
帰りの車の中で、いつもみたいに興奮のあまり「楽しかったよ~!」と泣き出したりしなかった。
あんまりしょんぼりしてるので心配したせいうちくんがニトリに寄ってくれたけど、
「疲れちゃったの…」って最低限のものだけ買って帰る有様。

以来、ほぼずっと寝ております。
最近、前以上に体力がなくなった気がする。感情の体力も。
季節の変わり目の鬱が始まっているのか?田中圭一センセイの本でも読んで備えるか?

20年2月25日

図書館から予約資料確保の連絡が来た。
日曜のうちに行こうと思っていたら、くたびれてて行けなかった。まあいいや、月曜も世の中は天皇誕生日の代休で休みだ。

ところが!
我が町の図書館は月曜定休であり、たとえその日が祝日になっていても月曜休みを敢行するのだと、すっかり忘れていた。
火曜で取り置き期限は切れる。1人でも行かなければ。

というわけで、予約本を取りに図書館までぽつぽつ歩いた。
道の選択を間違えて遠回りし、帰りにひざの整形外科に行っとこうとまた遠回りしてしまい、結果的にとてもいい散歩をしてしまった。
スマホに入った健康管理アプリは5千歩を示している。いい数字だ。日頃は25歩とかだから。

整形外科、朝イチや午後イチよりは少し遅い時間がすいてるかと思ったんだが、4時半過ぎた頃になるとお年寄りが少ない代わりに学校が終わった負傷少年や首を寝違えたサラリーマンが増えてくる印象。
結局けっこう混んでた。
やっと診察を受けると、私の足はあいかわらずゆっくり進行中なので、シップで痛みを取ってなるべく筋肉をつけるべく体操や散歩をするよう指導された。
いつものヒアルロン酸の注射を両ひざに。これやると、お風呂に入れないんだよね。シャワーだけ。
注射跡だけ上げといて、入っちゃうけど。

せいうちくんと連絡取り合ってたら、シップをもらい終わった頃には向こうがもう家に向かうバスに乗ってる時間だった。
いつも迎えに行くバス停より少し駅に近い病院にいるので、ひとつ手前のバス停で降りて、ってお願いしておく。
今日も無事に会えて、お迎えミッション完了だ。

あー、歩いた歩いた。
金曜の立食パーティーで立ちっぱなしだったことから、ももの裏側のヘンな場所が筋肉痛になってる。
ひざの軟骨がすり減ってるせいだろうか、立ち方も歩き方もどうもおかしいらしい。
かといって寝てると筋肉量も骨密度も下がりそうだし、うーん。
まあ、そんなことが気になる程度には健康であるのかも。

20年2月26日

夜中にPCに向かっていたら、時々Messengerでやり取りする友人Gくんからメッセージが来た。
「なんだろう?」と開けてみたら、スマホやPCを通して行なわれる「電子会議」みたいなのの案内だ。
私宛でなく一般的な呼びかけのようで、どうしたんだろうと思っていたら、補足が来た。
「こいつで飲み会をやってみたいじゃないか。○○とか××とかちっともオンラインにならんから、うさこさんに送ってみた」
そうか、要するに起きてる人を誰彼かまわずつかまえてやってみたいわけだ。

最初PCで対応しようと思ったらカメラとマイクの操作がわからない。ついているのかどうかさえ。
メカニック担当せいうちくんはとっくに寝ているから、しょうがない、Gくんの指示に従ってスマホで応対。

こっちはパジャマのおばさんの画像が映ったら具合が悪いので最初は「オーディオのみ」でやっていたんだが、向こうの絵も見えない状態だと言ったら「何でわしの白髪だらけの酔っ払い顔が映ってないんだ!」とご不満そうだったため、カメラに切り替える。
やだよ、何で夜中におっさんとおばさんが顔さらし会ってるの?

素面じゃとても付き合いきれない気がしてきて、冷蔵庫から糖質ゼロビール持って来た。
「責任払いで、こっちがこれを飲み終わるまでは続けてよ。『はい、実験終わり。ありがとー!』とか言っていきなり去らないでよ」と画面にビール缶を映すと、
「ひと缶でなーに威張ってんだ。こっちはなぁ、もう、こんなでこんなで、こんななんだぞ!」と愛飲ビールバーリアルの青缶をカメラのフレーム外から次々取り出して、手の中のビール缶が手品のように2本、3本と増えていく。
あれ、両手で持てる最大数が4本だったから4本出してたけど、ホントはすでに8本ぐらい開けてるんじゃないかなぁ。

彼はこうやって「いつでも誰かがいて飲んでる、大学時代のキャンパス内学寮」を再構築したいらしい。
「気持ちはわかるけど、もう10年経ってからにしてよ。身体に悪すぎるよ。酒を飲むことが、じゃないよ。せっかく電話の衰退によって『夜中に友達に電話をかけてくだを巻く』私の悪習が治ったのに、技術の進歩で逆戻りじゃん。たとえばこうやって、『お、Gくん起きてる』って夜中に飲み会を招集し始めちゃうじゃない」と必死に訴えたんだが、
「ん?それの何が悪いの?何言ってるか、ぜ~んぜんわからん!」と一蹴された。

私「だからさぁ、夜中の寂しさに耐えてるわけよ。せいうちくんも起こさないでさぁ…」
G「せいうちを起こせ~!」
私「夜中の3時だよ。会社員だよ。あなたのエア寮が完成したら、『誰かがそこにいるかも』って気になって夜も眠れず会社にも行かず、人生を留年しちゃう人がまた多発するよ。リアルな寮の頃に山ほど出たじゃん」
G「もう60じゃないか!いい、いい!」
私「我々は無職だけど、働いてる人たちはいつでも集合!ってわけにはいかないよ」
G「ん~、よくわからんからじゃないけど、しょんべん行ってくる!」

Gくんのウィンドウに空っぽの椅子が残されてつまんなくなったので、本気でせいうちくんを起こしてみた。
「Gくんがネット飲み会の実験中なんだよ~」
感心なことにガバッと起きたせいうちくんは、Gくんが所用から戻ってくるまでにスタンバイしていた。
彼のノートPC参加で画像は3人分となり、音はさすがに同じ室内ではハウリングを起こすのでマイクは切って私のスマホマイクに頼る形。

しばらく話して(せいうちくんは感心にほぼずっと手元で会社の仕事をしていた)わかったのは、Gくんが完全に酔っ払っていることと、大学時代の学寮がとてもとても楽しくて、まだそこを卒業したくない気持ちだってこと。

わかるように話してるつもりが「わから~ん!」と言われるととても悲しくなってストレスになる「相互理解病重症患者」の私はそろそろ撤退だ。
もちろん明日も会社のせいうちくんも。
Gくんはとりあえず目論見が実現可能なこと、ソフト面をもうちょっとなんとかすれば少なくとも4人の会議が可能なはず、とぶつぶつ言いながらも、上機嫌で「おう、ありがと~」とビール缶を振っていた。

朝までの短い眠りに落ちる前にせいうちくんからとっくり言い渡された。
「これからも夜中にGくんが宴会開いてるかも、とか、『おっ、今Gくんオンラインだから持ちかければ宴会ができる!』とか思っちゃいけないよ」
「うん、基本、あなたがいないカラオケや宴会には参加しないのと同じ解釈でいいんだね?」
「そのとおり!」

これはね、別にせいうちくんがヤキモチ焼きなわけじゃない。
私が、人間関係の捉え方に難を抱えていて、あらゆる相手をほぼ自動的に「恋愛中か疎遠か」と見てしまうせいなのだ(オソロシイことに同性も異性かまわずだよ)
せいうちくんという重しがついてて初めて安心して他人と関わることができ、そうなると男女ともほどほどに関心の持てる「友達」に見えてくる。
この「対人関係矯正メガネ」みたいなせいうちくんを通さずに見た世界は、私にとっては危険すぎる。
そして多分、相手にもね。
これからも、友達をなくさないように生きよう!

20年2月27日

長いけど、人様のTwitterから引用。

「『自分が子どもとして育った家庭よりも、大人になってから自ら築いた家庭の方が居心地がいいし、好き』というのは一見すると親にとっては面白くないことかもしれないけど、ぶっちゃけあるべき姿だし、子どもが自ら選んで築いた家庭が幸せなものであることを親は祝福すべき」

私としてはなんでこんな素晴らしい意見がもっとバズらないのだろうと不思議なほど、真理だと思う。
読んで、目から特大のウロコが落ちた。

子供やその家庭、孫までも、自分の家庭や幸福の付属品のように扱う親がいると思うんだ。
「恥ずかしくない盛大なお式を」「将来は看てほしいから二世帯住居を」「男の子は着せ甲斐がないから、女の子の孫がほしい」「孫にも自分や息子のように一流大に行ってほしい」などなど。
生き物として、自分の遺伝子が伝わるのは嬉しいかもだから子供や孫を望むのがイカンとは全然思わないけど、その種類や能力、生活ぶりを規定・期待しちゃいかんでしょう。人が生まれてくるってのは、それだけで奇跡なんだから。

良い意見を見た時は、リプライも丁寧に読む。
「親になって育児の目的は『子の自立』だと思っています。
 子が選択した将来が幸福なら親にとっては本望なはずですね」
「↑完全に共感いたします…でも見ていると、すでにとっくに成人している子に、「引き続きずっと影響力を行使したがる」(する権利があると勘違いしている?)親ってものすごく多いんですよね」

うーん、深い。

何歳ぐらいの人が書いてるのかわからないけど、Twitter民の中には少なからず「毒親育ち」や「昭和の親子関係に疑問や不満を持っている人」がいると感じる。
図書館で識者の本を借りるのも良いが、1人1人が生身の市井の人間で、その生活の中でちょっとずつ考えたり努力をしてるんだと思うと、目に見えない群衆からの温かい力が我が身にもみなぎるようだ。
心を強く持ったり自身の子供世代への接し方を振り返ったり、いろいろ参考にさせてもらいたいと思い、今日もせっせとTwitterを読んでいる。

20年2月28日

新型コロナウィルスに関して、不安を煽る情報も出回っている今日この頃。
ただでさえ世間が狭いので、何が起こっているのかわからない。
「イタリアではすぐに学校や大学、映画館の閉鎖を決めたって」とせいうちくんに言ったら、
「いいかげんなニュースも多い。Twitterばかり見るのは良くない」と叱られた。
「日経新聞の鉄関係記事だけピックアップして読んでる人に言われたくないぞ!」と憤懣し、NEWS JAPANのソースを探し、「これでいいんでしょ!」とばかりに送りつけておいた。
もちろん一部の地域だけだろうけど、動きが速くて信頼がおけると思うなぁ。
なんで日本の動きはこうも後手後手なのか。

息子がパチンコ屋と飲み屋で働いているので、ヒアリングしてみた。
やはりそれぞれ客足は減っているらしい。
カノジョの勤める会社もテレワークが推奨されているって。

彼自身、4月と5月に数回のライブが決まってきてるので、全部開催されるか、少し不安になってきてるんだそうだ。
その頃には収束してるといいな。
「不安な世の中、今こそ笑いのチカラを見たいなぁ」と応援したら、「頑張ります!」と頼もしい答え。
互いの健康を祈って、PCを切った。

息子の仲間内で「機材にくわしい人」は、
「中止にせざるを得ないけど、ライブなど何かやりたい方、YouTubeなどへの配信をお手伝いします」と無料の手助けを申し出ている。
カメラやPCで、ある程度の配信ができるんだそうだ。
人々もあまり外に娯楽を求めに行けないし、こういうところから新しい流れが始まるかもしれないなぁ。
ピンチをチャンスに変える。
若い人たちの前向きな姿勢が頼もしい。

20年2月29日

トイレットペーパーがなくなりそう。あと4ロールしかない。
平日に私が買いに行くのは難しいから、せいうちくんがいる週末のうちに手に入れてしまいたい。

ところが!
本当に驚いたことに、どこにもないのだ。

最初はまあ、いつものスーパーで食料品のついでに買おうと思ってた。
あれ?棚がからっぽだぞ。
冷凍食品もすっからかん。これは別に必要じゃないからいいけど。
そう言えば、ここの前に寄った八百屋で前に並んだ若夫婦が、「もう○○スーパーにはお米ないよ」と話してた。
そうか、買い貯めによる物資の品薄が起こるかもとネットで言われていたのが、バクハツしたか。

この時点ではまだ、焦ってなかった。
半年に1度ぐらい行って洗剤・シャンプー等を買い置きしてるドラッグストアに行けば、なんとかなると思ってたから。
ところが、この大きなドラッグストアもトイレットペーパーとティッシュの棚は空。
紙おむつはまだ少しあるようだが、かなりスカスカ。生理用品も。
マスクがすごいことになってるとは聞いてて、そうか、紙製品全般は買い置きもきくことだし、こういう時に買い込んでしまうのか。

うちは来週ぐらいにはトイペがピンチになるから買っておきたかっただけなんだ。いつもの行動。
でも、このあたりでだんだん焦ってくるよね。
なかば感心して棚の写真を撮ってしまった考現学者せいうちくんの横にいた私に、何もない棚にため息をついていた老婦人が話しかけてきた。

婦人「どこもからっぽなのよ…あの時を思い出すわ。ああ、そのお歳だとご存じないわね」
私「いえ、覚えてます。オイルショックですよね。すごい騒ぎになりましたね。ニュース見てました」
婦「ああ、そうなの。あの時もこんな風だったのよね。大丈夫かしら」
私「あちこち売り切れてるようですけど、きっと大丈夫ですよ!」

予定ではもう1軒激安スーパーに寄って帰るだけのつもりだったけど、そこはトイペ置いてない店なので、足を伸ばして予定外のスーパーにも寄る。
ここでは「お詫びとお知らせ ティッシュ・トイレットペーパー・キッチンペーパー・生理用品・オムツ お1人様2点限り」と貼り紙があって、しかし棚は空。
すでに皆様が「2点限り」を買ってしまったあとらしい。
そのあと行ったスーパーも同じ。
もう1軒。ここも同じ。

けっこう焦ってきた。
4ロールがいつまでもつのか、と考えてみるのはなかなかスリリング。
私が日中ずっと家にいるから、それなりに消費してる気がする。
こないだ新年会でお客さんが12人ぐらい来た時、替えておいた新しいロールを翌日もう取り替える羽目になって驚いたなぁ。人はけっこう、ペーパーを使うもんだ。

いつもは行かない、家の一番近所のドラッグストアに行ってみた。
先に行ったドラッグストアに比べるとなんだか勢いのない店なので、残ってるような気がしたんだ。
しかし、やはりなかった。
ここで初めて、店員さんに聞いてしまった。
「明日には入荷されますか?」
店「明日は日曜なので、入荷はありません。でも、今日、2件来る予定の午後便がひとつ、まだ来てないんです。それが来れば、棚に並びます」
私「何時かはわからないんですよね?」
店「はい…いつもはもう来てる頃なんですが、物流が乱れていて…」
私「わかりました。ありがとうございます」

家に帰り買ってきた食品を冷蔵庫にしまいながら、2人でちょっと困る。
「小」は関係ないせいうちくんと違って、こちらはトイレでは常にペーパー使うんだ。

ちょうど「コロナウィルス対応卒業式座席配置」(ものすごく間をあけて椅子が並んだ体育館。最初は無参加者式典かと思った)の写真を送ってきてくれた先輩がいたので、トイペを求めての行脚を愚痴ってしまう。
「6軒回りました。家にあと4ロールしかないんですけど、大丈夫でしょうか…」と。
教師らしくキビシイ口調で、
「みんながそうやって買うから無くなってしまうのですよね」とお返事。
なんだか叱られた気がする。
だって先輩、4ロールが1週間もつのか、わからないんですよぉ。
おなかでもこわしたら、インド式採択を検討しなきゃいけなくなりそうで。

夜、午後便が来たかもってさっきの近所のドラッグストアに散歩がてら行ってみた。
どうやら入荷はあったらしいが、時すでに遅く、それも買われてしまったあと。
からの棚を空しく見て帰る。

散歩の足を伸ばして喫茶店で珈琲を飲み、せいうちくんは新聞、私は週刊誌でイマイマの情勢をおさらいした。
家にこもってる身には実感がなかったけど、ずいぶん緊急事態になっている。
せいうちくんはよく冷静に仕事してられるなぁ。
「海外の仕事の人は出張ができなくなったり、全社的にテレワークが多くなったり、来週からはお子さんのいる人の生活にも対応しなきゃいけない。大変な事態だけど、それはそれで日々こなさなきゃいけない日常」と言われ、あらためて社会に出ている人がかぶってる荒波、それを全部よけて暮らさせてもらってる我が身の安寧と無力を痛感する。

帰り道にあるスーパーによるも無収穫。
近所のコンビニにも行ってみた。
そこで知ったのは、コンビニにはそもそもロールのトイペなんか置かないってこと。たとえ1個売りでも。
のべ9軒回ったよ。
いよいよトイレにウェス置いて、ウォシュレットと併用しようかしらん。

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