20年4月1日

入社式も何もかもできない新年度の始まり。
せいうちくんのテレワークも、最低でも12日まで続く。
通勤や会議のための場所の移動がないため、とても動かなくなってると思う。
時々ベランダに出て身体を伸ばし深呼吸すること、朝か昼に散歩をすること、会議ごとにノートPCを抱えて部屋を変えてみることなどを提案する。
少なくとも毎日仕事部屋を変え、リビングと書斎を行ったり来たりしてもらおう。

息子に宅配便を送るのに、火曜は外出するけどそれ以外は在宅してると言われ、水曜の今日、午前中の指定で送った。
午後に「届いたか?」と聞いたところ、すっかり忘れて外出してしまい、まだ家に戻っていないので不在連絡票が入っているかも確認できてないそうだ。
「しっかりしてくれ」と叱責し、ペナルティーとしてどこに行っていたか白状してもらったら、朝、近所の会社に出勤するカノジョを送って行ったあとお笑い企画の知り合いと会議をし、その後は漫喫で作業をしていた模様。
日時指定配達時に不在だと配達員の方に本当に迷惑だ。
日頃、店員さん等にとても丁寧な息子だけに、本当の意味での思いやりや心遣いを学んでほしい。

夜は、昨日のZOOM飲みメンツの1人だった女性と、個別の宴会をした。
女子会にしようと思ったけど、主催者Gくんも特例で入れてあげた。
だがやはり盛り上がりに欠けるので、明日は本当に女子だけで、朝からお茶会をしようと約束して退室。
どうしてこんなに女性が好きなのか、自分。本質は百合なんだろうか…

戦況報告のようになってきたが、本日の東京の新たな感染者は66人。
やはりおとといの13人は一時的なものだったようだ。
だからといって「全世帯に布マスク2枚を配布」は…最初聞いた時は「洗い替えを含めて『1人』2枚」だと思ったよ。
どっちにしろ、エイプリルフールだと誰か言ってくれ。
変わらず夏に開催のオリンピックについても。

20年4月2日

夕方速報が出た。
「東京都で95人以上感染」!過去最多だ。

今の気持ちを正直に書いておこう。将来笑い話になるとしてもだ。
この災厄を生き延びることができるかどうか、真剣にわからん、と思う。
60歳は高齢というほどではなく、基礎疾患の心臓の状態もそう悪いわけではない。
それでも、誰がジョーカーを引くかわからない神のババ抜きだ。
とりあえず、書こうと思って買っておいたエンディングノートに真剣に手をつけよう、とせいうちくんと話し合う。
息子に伝えるべきことを全部書いておかねば。
とてもとても心にかけているよ、あなたの人生を全うしてくれ、というのも含めて。

と言いつつ、午前中はzoom女子会でウワサ話に興じ、夜は夜で6人のzoom飲み会。
すっかりヒマになった長老が長年撮りためた写真の整理を始めたそうで、カビの生えたフィルム面を麺棒でこすって綺麗にし、データ化したものを開陳してくれた。
膨大にあるのでまずはまんがくらぶ関係をやっているらしく、なつかしい野尻湖合宿や同窓会館でのすき焼きなどの写真をたくさん見た。

いかんせん、長老は私より3歳年上だし私は2年生からの学外入部であるので、先輩方はわかんない人ばっかり。
3年後に入部してくるせいうちくんなど、まだ影も形もない。
20歳の自分が案外可愛かったのでびっくりだ。まだタンクトップが着られた頃。
別室ノートPCで参加していたせいうちくんもしきりに「かわいー!」と熱狂していた。
長老秘蔵の写真集なので、初見のものばかりなんだよね。
今後が大いに楽しみである。

ただ、自分が女性部員を口説いたり腕をつついたり肩を抱いたり、あまつさえ顎クイしてちゅーしてしまってる写真がけっこう何枚も出てきて、軽くショック。
当時のことだし対女性だからセクハラになってなかったが、本質的には大問題かも。
zoom飲みはそういう危険がなくてありがたい。
今でも女性と話してる時の方がやたらとキンチョーしたり盛り上がったりしちゃうんだよね。
やはり軽く百合なのか…?

20年4月3日

ホント戦況報告で悪趣味かと思いつつ、ついつい言う。本日の東京都、新たに89人の感染者。
3ケタに届いたら何か起こるのかなーみたいな気分でいる。

なんだかんだで毎晩ニュースばかり見ていて、ほとんどドラマ録画や映画を観られない。
せっかくテレワークで通勤時間が浮いたのに。

いざ外出禁止になったら糖質制限とか言ってられまいと思い、昨日のうちにお米と乾麺だけ買ってきた。
どこでもパスタ類が売り切れてて驚いた。日本人がこれほどパスタ好きになっていたとは。
うどん買ったからには揚げ玉も欲しかったのに売り切れだったのもびっくり。
お米とサバ味噌缶があれば生きていけるから、まあ大丈夫か。

自分は明らかに落ち込んでいる。「コロナうつ」なるものがあると聞くが、そうなってると思う。
死ぬかもとか考えるのは全然大丈夫なんだが、多くの人を襲う大混乱やつらい経験を考えてしまうと、ずーんと暗くなる。
実は自分のこと、もんのすごく偉大な存在だとでも思ってるのかな。人類を憂えるべき、みたいな。
我が身のこともきちんとできないのに、人の心配してる場合だろうか。
せめて洗濯でもしよう。週末は晴れだ。
テレワークになるとね、毎日のワイシャツとアンダーシャツとステテコが出なくて、とっても洗濯量が少なくなるんですのよ、奥様。

20年4月4日

昨夜はGくんが立ててくれたzoom飲み。家ではもうすっかりブームだ。
4時間も続いた今回は最大の場面では9人が集まり、9分割されたiPad Proの画面にはそれぞれの飲み物を手にした友人たち+自分の顔が映し出されていた。
驚くべき時代だ。

今日も長老の作業の結果である懐かし写真の開陳がメインだった。
前回よりまた増えていて、せいうちくんも登場するようになった。
今度は逆にせいうちくんよりずっと若い部員のあたりの名前がわからなくてみんな困っていたら、小学生の頃からサークルに出入りしていたマスコットガール、私よりちょうどひとまわり年下の女性が、若い連中の顔と名前はほぼ全部把握していた。
上の代に強い長老と下の代に強い彼女がそろったので、30周年宴会といった特殊なモブシーンに写っている部員たちのかなりの顔と名前が一致した。

まあすぐに忘れちゃうんだが。
やはり、自分が入ったころに先輩としていたあたりと4歳年下のせいうちくんが5年間駒場にいたあたりまでが限界かも。
なつかしい人、友人って言えるのは前後10年の間ぐらいに固まっているかなぁ。

新型コロナ、新たな罹患者は118人。初めての3桁突入。
いろいろびっくり。
自分は本当に本当の世界に生きているのかしらん。

心臓の定期検診では、予定していた肺の検査は息を強く吹くことになり飛沫が飛んで検査技師に感染の危険があるとのことで、中止。
まあ先日のCTを見てもそれほど重大な異常はなさそうだしね。

ワーファリンを2.5mgと2.25mg毎日交互にのむってやり方は功を奏したらしく、数値はばっちり安全圏内におさまってた。
しかし、こののみ方はあまりに面倒くさい。
先月、「自分で管理できますか?」と聞かれた時にうっかり見栄を張って「はい!」と元気よく答えてしまったが、やっぱりやめときたい。
何より、3mgが有効だった時期もあるぐらいで、追いつめて追いつめてたどりついた「2.5mgと2.25mgの間の数字」ではないだけに、信憑性が薄い。

先生にそう言うと、残念そうに、
「じゃあ、どっちにしましょうか…2.25mgでいくかな」と来たので、血栓ができやすいよりは出血しやすい方を好む患者として、
「高めでお願いします!」とお願いし、2.5mgを勝ち取った。
きっと今後しばらくの私はあちこちにあざができるぞ。

喉が痛いのも訴えたら、このさなかに患者の口開けさせて喉までは見たくないだろうから、喉チェックなしに「わかりました。風邪薬出しておきます」となるのはいいとしても、
「こんな時ですから多めにお願いします」と念を押したにもかかわらずすっかり忘れて、処方箋には書いてなかったため、薬局から先生に電話かけてもらうなどひと騒動あるのはいかがなものか。
せっかく準備してパソコンも入れたんだから、早く電子カルテ化してくださいよ。
そうすれば誰かが何度も書き写すとか字が読みにくいとかの問題なしに、薬が出せるんだから。

去年の7月に台風が来た時、ワーファリン等を1か月分多めにもらってストックとしている。
今回、もっとたくさんのストックを要求してみた。
しかし、「毎回、量も変わりますしねぇ。私が罹患しても代理の医師はいますし病院は開け続けます。いざとなったら郵送などの手段もあります」と断られた。
郵送する、そんな事態になってたら血中ワーファリン濃度は測れない状態なわけで、その時のんでる用量を手持ちで調整してのむぐらいはできるんだけどなぁ。
絶対毎日のまなきゃいけない薬が手元にたくさんない、ってのは、こういう特殊な日々の中ではたいそう不安なものだよ。
そもそもそんなものをのまなきゃいけない身体を呪うぐらいだ。

そんなこんなで暗くなっていたので、Zoom飲みはとても良かった。
クセになって毎日やっちゃいそうだ。

20年4月5日

コロナ143人。ちょっとビビる増え方。
毎日の数字に一喜一憂してもしょうがないんだけど、分析する職業の人たちはここから何かを読み解かんと必死に考えてくれてるんだろうなぁ。
東京都の小池百合子知事は「緊急事態宣言」を早く出してくれるよう安倍総理に要請していると言う。
まあ、放ってはおけない数字になってきてるってことだろう。

昼間の我々はそんなになってるとは露知らず、歩いて20分ほどの大きな公園に行った。
せいうちくんんのテレワークの昼休みに軽く外に出るのが大切な日課になっている。
数人ずつのグループ、2人連れ、1人歩きの人々が、それぞれに間をほどほどにあけて歩いたり運動したりしていた。
子供を2、3人連れた人々が何組かいたのは、家に閉じこもっていてストレスがたまる幼児や小学生に運動をさせてあげるつもりなんだろう。

長い棒を持った中年男性を見つけ、興味を持ってあとをついて行く。
広いスペースに出たところで棒を両手に持って体を曲げたり伸ばしたりの準備運動ののち、端をもって振り回し、さらには両手でかまえて回し始めた。
やはり棒術の人か。
遠くから眺めていて、もっと面白くなりそうなところで、せいうちくんは離れた隣のベンチに座った老夫婦に話しかける男性に気を取られている。
どうやら元ボクシングの有名な選手らしい。

その人が今度は我々に話しかけてきて、目線をそらすわけにもいかず礼儀正しく聞き、話が終わる頃には棒術の先生は消えてしまっていた。
ああもったいない。

元ボクシング選手はと言うと、
「会社に社長は1人、家の中にもあるじは1人ですよ。男がしっかりしなきゃ家はまとまらんでしょう。男は男、会社で頭を下げて働く、家で女房にまで頭を下げていたらどうかなっちゃうでしょう。今の家庭は、そのへんがおかしいんです」とフェミニストが聞いたら卒倒か激怒かするような持論を快調に展開されていた。
うしろで傾聴する私にも如才なく、
「ねえ、おねえさんは気を悪くするかもしれませんが」と気配りするので、
「いえ、いろんな方のいろんな意見を聞くのは本当に面白くてためになります」とまあまあ本音を答えておいた。
実際、ここまであからさまな家父長論を正面から言われるのって珍しいんだもの。

せいうちくんは「工夫を重ねた彼のボクシング」が大好きだったと熱っぽく語り、最後には、
「記念に、一緒に写真を撮らせていただけませんか」と申し出る。
快く応じた元ボクサーはマスクとごみ拾いのためにつけていた軍手を外し、こぶしを握った腕を軽く上げて、せいうちくんの隣で写真におさまった。

午後は初めて女友達と2人きりでZoom。
彼女とは昨日もやったけど、ホスト(ID取得者)のGくんも特別に入れてあげてたから、今日がホントの女子会。
彼女の一代記とか人のウワサ話とかマスクの作り方とか、楽しかった。

あんまり楽しいのでGくんにやり方を教わり、自分でもIDを取ることにした。
実験的に長老を誘ってやってみたら、うまくいった。
向こうもGくんの教えに従って始めて見ようと思ってたらしく、「先を越されたー」と叫んでいた。
ふふふ、これでこれからいろんな人に声をかけてみよう。
昼間せいうちくんは在宅だが仕事中で、私としてはヒマでしょうがないんだ。

SNSに上げるのはさすがに、とせいうちくんがためらう元ボクサーとの写真を、私が個人的に長老にZoomで写メかざして自慢したところ、
「わしはボクサーは具志堅用高しか知らん」とにべない返事。おまけに、
「濃厚接触だ。人気者ならそこらじゅうで握手してるだろう。ウィルス持ってるぞ」
そこまでの心配はないのでは。一瞬並んだだけだよ。触ってない。
同じ写真を息子に送ったら、「カエルパンチだ」と知ってる様子。
長老より物識りであったか。

自分にとっては本命中の本命、Kちゃんを、
「Zoomできるようになったので被験者を求めております」と照れを隠しつつ誘ったら、仕事の締切前なのでゆとりなし、とのことだった。残念。
「でも引き続き、遠慮なく声かけてください。それ自体嬉しいし、話もしてみたいので」と、修羅場のど真ん中にしては優しいじゃないか、Kちゃん。ありがとう。

20年4月6日

本日の東京都、83人。
こうやって毎日数字で始めるのって、書きやすくはある。
友達の1人が言っていた。「これは戦争だったのですね」
日常が侵食され、当たり前と思っていた生活が一変し、重苦しい気持ちで日々を送る。

明日は何か特別な発表があるようだ。
ますますテレビはニュースオンリー。
最近ドラマも映画も何も見られない。

友人女性SさんとZoomでお茶会。
楽しくてだんだん習慣化してきた。
2人でやる分には時間制限もなくて、ホントにカフェでおしゃべりしてるような気分。

明日は息子とやろう。
こういう方法が開発され一般化してるだけでも、ありがたい時代ってことだろう。

20年4月7日

今日の新たな感染者は80人。
そしてついに出ました、特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言。
安倍晋三氏の演説を20分以上たっぷり聞いた。

気になるのは視線がちらちら動くこと。
あちこちのカメラに目を向けてるんだろうが、どうしてひとつのカメラで撮影して、それを各テレビ局で分けられないのだろう。(マイクの束が突き出される時にもいつも思うことだ)
ドイツのメルケル首相やイギリスのエリザベス女王のようにまっすぐ国民と言うか、テレビの前にいる人を見据えて話してくれたらどれほど安心感が増すか、と感じる。
「人の眼を見て話さないやつを信用するな」ってな気分になるじゃないか。

まあまあ頑張ってくれた、根回しに時間がかかっていた、日本人は「特別なことが起こった時に政府が強権発動することに対するアレルギーが強い」ので苦労してる、等々考えると、「発令が遅きに失した」と非難するのも気の毒なような。
すべてはこれからの患者数の推移と医療の状況次第だろう。
だが結果は2週間遅れてやってくる。吉と出るか凶と出るか。

息子と初めてZoomで話した。
せいうちくんは書斎でノートPC、私はリビングでiPad Proと、普段のZoom飲み仕様。
2人以上だとワンセッション40分の制限は、Gくんたちと体験したのと同じに初回はサービスで外してもらえたようだ。1時間以上話せた。
すでにZoom慣れしている息子は、コントグループの仲間で技術担当的な人がホストやってくれてて、
「有料バージョン使ってるから、時間無制限当たり前だと思ってたわー」と言っていた。

在宅勤務に入ってから試みに伸ばしてみてるせいうちくんの髭はなかなか好評。
「似合うじゃん」とほめる息子自身は、伸ばしてみたことはないんだそうだ。
無精ヒゲはしょっちゅう見てたが、そうか、あれはまだ髭じゃないのか。

同じ部屋にいるはずのカノジョは何してるのか、参加する?と聞いてみたところ、こないだ渡した「帯をギュッとね!」って柔道マンガ(30巻の大部!)を読みふけってるそう。
私「てことは、その前に読んでた『鋼の錬金術師』は読み終わったんだ?」
息子「うん。おーい、ハガレンの感想は?」
カノジョの声「面白かったです~!」
そうだろうそうだろう、帯ギュも面白いよ。
邪魔しないから、そのまま読んでて。

息子と話すことはいろいろあった。
こっちの住所に来ちゃってる引き落とし不可だったケータイ料金は立て替え払いしとく。
今まで働いた分の給料が月末に入るけど、4月になってからほとんど仕事がないので来月からはほぼ無収入。
飲み屋のバイトは人員削減されたうえ都知事の要請が出れば閉店だろうし、なんとか働けていたパチンコ屋もおそらく休業だろうと。

頼みの綱は安倍総理が約束してくれた1世帯あたり30万円の補償金だけだ。
しかしこれきっと、もらうのがものすごく面倒だよ。
息子みたいに最近世帯が分かれ、しかも収入が不安定で書類がそろうかもおぼつかないタイプはどうなるんだろう?

そんな実務的な話をする間にも、息子はずいぶん落ち込んでる様子。
無理もない、バイトはことごとく潰れ、本業と決めている舞台も中止や延期の嵐。
コントを含む芸能の世界は今、ものすごく崖っぷちだ。いや、もう墜落してるのかも。
話してる最中に何度も玄関わきの換気扇下に移動してタバコを吸っているようで、
「今日は本数多いね」とせいうちくんが声をかけると、
「やっぱりストレスだろうね」
思わず、
「いざ新型コロナにかかった時、喫煙者は重症化しやすいと聞いてる。今だけでもやめる気はないの?」と聞いたら、
「それは『たられば』の話だからねぇ。特に行動を変える気はないよ」とのこと。
まあこちらもそれほど真剣に止める気はない。オトナが好きでやってることだ。

「1人だったら、心が折れていた。やめていく人も出るだろうなーと思った。オレは幸い、仲間と話し合えてる。生の舞台ができない今、何をしていくかが大切なんだと思う」とネット配信で新作を出していこうと相談してる話などをしてくれた。
明日から毎日更新していくつもりだ、と語っていた。

こちらとしては「1人でない」つまりカノジョと暮らしていてくれるのが本当にありがたい。
前にいたシェアハウスだったら感染が心配だったろうし、生活を共にしてくれるパートナーがいるのは精神的にも安定すると思う。
収入不安定な息子が転がり込んできたのを、よくぞ受け入れてくれたカノジョ様。
「感謝してもしてもし足りないよ」と拝んでみせると、息子も、
「僕も、感謝のしるしを何か表そうと思って、こないだカノジョのためだけに短い映像を編集して作った」と言う。
「あー、それはさすがに見せてくれとは言えないねー」と感嘆の息をついたら、息子も、
「うん、ご利益がなくなるからね」と生真面目な顔だった。

思わず語ってしまった、この閉塞的な世界を我々は個人的に味わったことがあるって話。
せいうちくんが大学7年目の冬、結婚を反対されて家出して私のアパートに転がり込んできていた頃だった。
就職こそ何とか決まっていたものの卒業できなければすべて水の泡。
たまっていた60単位を一気に取るべく閉じこもって試験勉強に励む彼の横で、体調を崩して休職していた私はずっと本を読んでいた。
ほとんどどこへも行かず誰にも会わず、ガスストーブの上のヤカンからしゅんしゅんと湯気の立つ音と森田童子ばかりが小さく流れていた。
2人で遭難しているような、先の見えない不安と一緒にいることの確かさだけを感じていた。
我が子にその話をする日が来るとは想像もしていなかった。
しかもこんな状況で。

どれぐらい理解してもらえたかわからないが、けっこう長く話してしまったのでダレてきた。
息子LOVEと過去トランス状態になってハイな私を隣の枠からせいうちくんが制して、
「長くなったから、これぐらいにしよう」と言うと、息子が、
「じゃあ、全員、最近あったり考えたりした面白いことを発表して終わろう」と言う。

これでまた長くなってしまった。
息子の、
「夜道を散歩してる時にいろいろ妄想する癖がある。4つ角のそれぞれに、いきなり壁が出現するんだよね。道を歩いてきた自分の前に突然壁ができるわけ。全部に扉があるんだけど、自分の前には一つしか見えない。それを開けて入ると、中には4人の勇者がそろうわけさ。そしたら何するんだろう。やっぱり麻雀かな、って、そこまでしかいかないのが何なんだけど」はひと息に語れたわけではなく、途中では私に道と壁の位置関係や構造が伝わらなくて、ついに彼は手元の紙に絵を描いてくれた。
なるほどなるほど、そういうことですか。

それで思い出した私の話は、
「こないだのZoom飲みで9人そろってた時、SE男性が『最近ぺんてるの筆ペンを買ったんです。何の気なしに。そしたらやたらに書を始めちゃって』とあれこれ書いてくれたのが面白かったけど、どれもこれもここで言うのがはばかられるほどの卑猥な下ネタだった」。
ああ、こうして書くとちっとも面白くないぞ。「でるざーめん」って言えばよかったのか。

せいうちくんは壁から思い出した話。
海辺の製鐵所に護岸のための壁を作った。
すると、船がやってきても見えない。上陸するにも、ハシゴで壁を乗り越えてもらわないといけない。
扉をつけたいと申し出たら、NGが出た。
開けてる時に津波が来て町が水浸しになったら責任が取れないからだという。

息子、腹を抱えて大笑い。
「そういうのが面白いよね」
せいうちくんも笑いながら、
「人が大真面目にやることほど面白いんだよ」
「いやー、世の中ってそういうもんだよね」
で、和気あいあいと終わることができました。

ちなみに終了後、「今すぐ次のミーティングを予定するなら、次回も40分制限は外します」とアプリ側から提案されたので、ついつい来週の金曜にまたスケジュールを入れてしまった。
あとから息子に知らせたら「たぶん大丈夫」なので結果オーライだが。

20年4月8日

うつうつとして楽しまず。
やる気が出なくて攻撃的。
明らかにストレスにやられてる症状が出てるぞ。

本日の東京都はこれまでの最高人数144人の新感染者。
80人台が2日続いたので少しほっとしていたが、油断大敵。
さてさてこれからどうなっていくのであろうか。

天皇陛下がお手元金から1億円を寄付されたと聞いた。(「子供の未來応援基金」と「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク」とのこと)
「ありがとう天皇陛下!」と思うか「そんなに自由になっていいね」と思うかは人それぞれだろう。
私はもちろん前者なのだが、皇室ファンであることと天皇制に対する立ち位置はまた違ったものかもしれない。
とりあえず今のところ全然出番がないのが残念。
イギリスのように、かなりのピンチになった時には話しかけてくださるのだろうか。
せいうちくんは、
「王様は神様の代理人だけど、天皇は神そのものだからね。政治的にいろいろ難しいと思うよ」とコムツカシイことを言う。
この人と暮らしてる醍醐味を感じるのはこういう時だ。

あんまり気分が滅入るので毎晩見続けてるニュースがいけないのかと、他のものを観ることにした。
BSでなぜかやっている「刑事コロンボ傑作選」を録画してるんだ。
第1弾は「殺人処方箋」
驚いたことにデジタルリマスターでものすごく綺麗なうえ、140分放送。
オープニングから始めて見る雰囲気で、せいうちくんは、
「昔のテレビ放映は130分ぐらいで、オープニングもなかった。さらにどこかに5分から10分ぐらいのカットされたシーンがあるってことだ」と興奮してる。

果たして、途中のシーンで犯人役の声が変わった。
コロンボも、小池朝雄から石田太郎になった、とせいうちくんは言う。
私ゃそんなに耳が良くないんでねぇ、言われなきゃわかんないですよ。いっつもカミさんにも言われるんです、「耳が悪い、耳鼻科行け」ってね。
つまりこのシーンは当時は放送されず、今回付け加え、吹き替えたものなのではないかと。
確かに丸ごと外しても話は通じる8分ほどだけど、それなりに重要なシーンだと思うんだが。
よほどのミステリオタクでない限り、我々が馴染んでるコロンボはこういう「ショートバージョン」なんだなぁ。ああ恐ろしい。

もっと恐ろしいのは、若い頃から何度も観ているはずのコロンボ、しかも初回の「殺人処方箋」という人気作、最初は誰が殺されるのかも覚えてないし、後半まで見てきてもコロンボの落とし方が思い出せない。
犯人が絶対捕まることだけはわかりすぎるぐらいわかっているのに。
人間の記憶とはかくも儚いものか。

ちょっとだけ朗らかな気分になって寝る。
明日は朝から散歩をするよ、キミも起こすからね、とせいうちくんは妙に張り切っている。
せっかく長時間タイプの睡眠薬を処方してもらって少しは長く眠れるようになったのに、なんで早起きしなきゃいけないのか。
熱意ってのは時としてたいそう迷惑なもんだねぇ。

20年4月9日

夜明け近くまで眠れない体質の私をせいうちくんが無情に起こし、朝の散歩に連れて行かれた。
テレワーク生活に変化をつけるためにはたいそう有効だと思うが眠いじゃないか、文句モードだったけど、しばらく歩いてみたら気分がすっきりして180度変わって、連れ出してくれてありがとう、って気分になってきた。

家から10分ほど歩いたただけでけっこう自然があり、思わぬ花の群生に出会えたのだ。
川べりに菜の花が群生し、濃い紫のアヤメのひと群れも見られた。
家の近くでもあんまり歩いたことのない辺りは多い。
もっと歩いて足を鍛え、さらなる花々に出会う機会を増やそう。

帰りはぐるっと回ってバス通りの方に出てみた。
いつもせいうちくんが出勤する時間帯なわけだが、車は少なく、バスを待つ人の列もいつもより短いそうだ。
発令された特措法が効いてるってことだろうか。
今日も1日、皆さんの安全を祈りたい。

夜、Gくんに「最近Zoom飲みないじゃん」と催促すると、どうやら別口の仲間を7人ばかり誘ってZoom飲みを企画したら参加者が0人だったって結果に終わったらしい。
「参加者0人事件で心が折れたので、飲み会はそっちで企画してくださいw」って、末尾だけはGくんらしいものの珍しく弱気じゃないか。
それでも23時半から彼のZoom部屋に誰か来るらしいので、お邪魔して一緒に飲み会に突入した。
オンラインになってる友人たちも誘って、せいうちくんももちろん入って、最大6人になった。
充分大きな飲み会だ。

明日仕事のある面々が1時ごろに途中で解散したのちも1人残ってくれた女子とGくんと飲み続け、彼女が2時半ごろに離脱したのちも結局Gくんと4時過ぎまでしゃべってた。
無料のZoomでは3人から時間制限がついて40分でいったん切れるんだが、2人だとエンドレスなんだよねー。
相当酔っぱらっていろんな話をしまくったが、どうもお互い勝手な話をしたいようにしていただけで、会話してたとは言い難い。
Gくん、くだ巻いて、すまん!

それにしたって突然の181人はあんまりだ。
爆発するのかなぁ。

20年4月10日

今日は過去最多の185人。じわじわ増えてる。
小池都知事から休業要請の話も出たようだ。
対象業種のひとつにパチンコ屋がはっきり入ったので、息子は飲み屋のバイトに続いて生活の糧を得る手段を失ったことになる。
あとは休業補償が頼みの綱か。

私はちょっと勘違いをしていて、都知事は方向転換し、もっと広く企業や会社に休業要請を出し補償をする、新しい方針を出してくれるんだと思っていた。
サラリーマンが通勤してて「3密を避けよ」も何もないもんだ、テレワークにするか一時休業しないと人の動きがおさまらないのに、と。
どうしても生活を動かしていくのに必要な業種以外は思い切って休んで、1日も早く収束させなきゃ。
そうでなかったら「不必要」と切られた娯楽や芸能の人たちもかえって救われない。
少なくともほぼほぼ「普通の会社員」である息子カノジョが会社で感染の危機にさらされている限り、有効な策とは思えない。

ということをまだ知らない日中、明け方までZoomしててせいうちくんの恩情で昼まで寝かせてもらっていたが、彼の昼休み中に急いで一緒に買い物に行った。
テレワークが終わってからの夕方や夜だと、肉類が売り切れなんだもの。
3日分ぐらいの肉料理の材料を仕入れて、お昼ごはんには簡便にそのスーパーで評判の「焼きたてピッツァ」を買ってきた。
ああ、糖質OKで暮らしたらおいしくて簡単だなぁ。
生鮮食品が手に入りにくくなってきてやむを得ず糖質制限を完全中止し、備蓄の米や缶詰やパスタで食いつなぐ自分を夢みるほどだ。
今はまだ、時々の娯楽としての糖質。

昨日のZoom飲みでも「スーパーの棚にはほどほどに物があるが、パスタや袋麺など、からっぽのところも目立つ。日本人、どんだけパスタ好きやねん(笑)」みたいな話になった。
あと、せいうちくんが「お客同士の距離あけ」に気づかず、どんどん前の人について詰めて行ってしまうので困った話がウケた。

そもそもZoomの自分の背景を「どうぶつ宝島」のワンシーンにしているくせに、他の参加者から、
「せいうちさんの、その後ろの絵は何ですか?」と聞かれ、すまして、
「明治時代の版画家の作品です」って言うから何かの冗談だと思うじゃないか。
続けて、
「新橋駅の風景です」
おいおい、いくらなんでもどこが新橋なの?ツッコみにくくなってきたぞ、と悩んでたら壁にかかってた版画を外して画面に映そうとする。
確かにそれは京都で買った小林清親の「新橋ステーション」だ。

みんな、大笑い。
「本気で後ろの壁にある絵の話だったんですか~!背景スクリーンに選んでる絵について聞いたつもりでした~」
普通そう思うよね。
本人にも自分の画面は見えてるはずだが、「後ろの絵」と言われたとたんにリアル背後の絵のことしか考えられなくなったらしい。

「せいうちくんは、天然なんだよ」とため息をついて見せると、あまり彼を知らない若めの女性が、
「全然そんな感じの方だとは思ってませんでした!本当に真面目な方だとばかり」
いや、真面目が素の天然なんです。

最近テレワークのおかげで彼の別の一面を毎日見てるわけだが、真面目で天然なだけでは務まらないようで、思ったより怒りっぽく思ったより感じ悪く思ったよりキレやすい。
働くって、大変だなぁと思うよ。つくづく。

20年4月11日

休日につき、1時間超の散歩。
公園もそこへ続く道もほどほどにひと気がなく、見事に「3密」解除がなされてた。
50年ほども前の住人たちはこんなに静かな環境で暮らせていたのに、あとから大勢来てしまったかな、とちょっと申し訳なくなった。

春はきちんと来ていて様々な花が咲いていた。
赤、白、ピンク、紫、黄色、それぞれに咲き誇って美しい。
今を味わい、未来を楽しみにしようと思わせてくれる。

家に帰って昼食を終えたあと、友人Aさん一家とZOOMで会合。初めての試み。
我が家はノートPCとiPad Proに分かれたが、向こうはスマホ1台で夫婦から子供たちから順々に映してくれた。
同じフロアで働くAさんに届けばミセスAに渡るはずの、せいうちくんに託したマンガや「映像研」全12話を焼いたDVDは、たまたまその日テレワークだったAさんにピックアップされず。
そのあと思いがけなく始まった長期(しかも延長中)の全員テレワークによって、フロアに置き去りにされっぱなし。
この物資がAさん宅に届く平和の日はいつだろう。

ご夫婦もお子さんたちも元気なのをこの目で確認できて嬉しかった。
オトナ2人が適当に暮らせばいい我が家と違って、毎日のルーティンが決まってくるまでを考えるだけでも大変だろう。
各家庭、それぞれのやり方で乗り切ろうとしている今だと思う。
A夫妻、頑張ってください!

夜はGくん主催のZOOM飲み。
あいかわらず長老が懐かし写真を披露してくれた。
引きこもり中に毎日ちょっとずつ新たにデータ化したのが増えてるらしい。

合宿が湖のほとりなので長老のコレクションには女子の水着写真が多いのだが、オレンジのビキニ姿の私をほぼ股間から見上げて盗撮したように見えるグラビアまがいは許せん。
一瞬見たせいうちくんが大喜びして「もう1回見せてください~データください~」って言ってるのに、長老は「だ~め~」と拒否。
そんな態度続けるなら、肖像権を楯に戦うぞ、こっちは。

東京都の新たな感染者数、197人。
200人に王手がかかっている。ちょっとぞわっとする増え方だ。

20年4月12日

天気がイマイチだったので終日おこもり。
NHKBSで始まった「名探偵ポワロ」のシリーズを観始めた。
まずは「コックを探せ」。すごく面白い。
ジャップ警部もミス・レモンも総出演。
デヴィッド・スーシェは世界的に有名なポワロ俳優らしい。
別に、CSで録り貯めたのがけっこうあるから、これからしばらく楽しめる。

これまたNHKBSの「刑事コロンボ」のシリーズもいい。
デジタルリマスターの美しさにはびっくり。
CSで録った分にけっこう抜けがあり虫食い状態なので、穴が埋まるといいな。

夜は、昨日ZOOMに誘われても来なかったNくんが来てるってGくんから連絡をもらい、せいうちくんと急ぎ参加。
せいうちくんにとってはサークルで一番の悪友で親友なんだよね。
本人からは、
「せいうちは18、9歳の頃からホントに変わらないバカだな」とか無茶苦茶言われてしまう、それもまた嬉しいらしい。

NくんのリクエストでKちゃんを誘ってみたが、既読にならなかった。
なんとなくほっとする。
私の大好きなKちゃんを、他の人にあんまり会わせたくなかったりして。

夜中にその報告がてら、ついにKちゃんと2人きりでのZOOMお茶会に成功。
1時間半も話しちゃった。
「このあと、世の中は確実に変わるね」と話し合う。
お互い引きこもりがちなので生活があんまり変わっていないあたりは共通。
ただし彼女は私と違ってちゃんとフリーでお仕事してるので、困ること不便なことも多いようだ。
せいうちくんはテレワークで家にいてくれるし、ほぼほぼいいことしか起こっていない自分はちょっと肩身が狭い。

会話を終了した時は、Wi-FiにもZOOMにもiPad Proにも寝てるせいうちくんにも、すべてに感謝したいほど舞い上がった。
Kちゃんありがとう。またやろうね。

東京都の新感染者は166人といったんの落ち着きを見せた。
昨日心配したように一気に200人超えといかなかったのは幸いだ。
しかし特措法から2週間たたなければ本当の流れは見えてこないはずだからなぁ。

20年4月13日

息子がZOOMを使った「インプロ×コント」の新しい映像を配信した。
なかなか面白い。
こっちがZOOMを飲み会ばかりに使っている間に、いろんな試みをしているなぁ。頼もしい(失業中だけど)
星野源の「家で踊ろう」もそうだし、様々な「ZOOMコンサート映像」が流れていると聞く。
みんな、「家で」それぞれに楽しみ、絆を大切にし、コミュニケートし合うべき時。

散歩ができなかったので、家の中を少し歩き回ってみた。
下の家に響きそうですぐにやめておいたが、あとはうーん、ストレッチとかスクワットとか…年季の入った運動不足の私でさえ閉塞感も手伝ってか煮詰まってくる。
小さいお子さんや小学生とか、大変だろう。

NHKBS放映のポワロ、第2話の「ミューズ街の殺人」を観てしまったのでもう来週まで次がない。
突如やってきたポワロブームに対処すべく、昔CSで録っておいたものを観始める。
まずは定番の「アクロイド殺し」
何度読んだかわからないうえ、去年あたりに野村萬斎主演の和製ポワロもの「黒井戸殺し」を観たはずなんだが、途中まで誰が犯人か完全に忘れていた。

このシリーズの「オリエント急行殺人事件」と「黒井戸殺し」、なんで消しちゃったかなぁ。
少なくとも「黒井戸殺し」は今FODで観られるようで、私は無駄にあちこちの配信サイトと契約してるので有名な無能主婦なのだ、この機会に観ずしてなんとする。
せいうちくんのお休みに、観よう観よう。

東京都コロナ160人。
このまま止まって、少しずつ下がってくれたらいいなぁ。

20年4月14日

せいうちくんのテレワークが終わるのを待って20分ほどの散歩&買い物。
1日1回は外に出て外気を吸うようにしている。
「帰りは階段を使って上がろう。運動が必要」と話し合っていたのに、気づいたらぬる~っとエレベータに乗ってしまっていた。習慣恐るべし。

年季の入った引きこもりの私はともかく、せいうちくんは絶対運動不足でストレスたまるし体力が落ちるから、同僚を見習って朝、軽いランニングをするように勧めているところ。
ついでにシャワーを浴びてさっぱりしたら、いかにも仕事がはかどりそうだ。
この騒動が終わったら、全国民の体力が低下してることだろうなぁ。

夜は最近お気に入りの「名探偵ポワロ」、前にCSで録画したやつを観る。
今日は「黄色いアイリス」。
ポワロの襟元にいつも小さな花が飾ってある。
最初は「ラベンダーを挿した花瓶を模したラペルピン?」と思ったが、回によって花が違うじゃないか。

気になる時はググれ!
当時「花瓶型ピンブローチ」というものがあり、小さな筒になっていて、水を少し入れるか濡らした紙を入れるかして小さな花を挿す。
ポワロは紫っぽい花が好きみたいだけど、白いスーツの時は思いきって真っ赤な薔薇を挿してたりする。

襟元に挿す花は元々「ブートニエール」と呼ばれ、紳士のお洒落。
花束を捧げてプロポーズした時にOKだったら、女性がその1本を取って男性の襟に挿したのが起源なんだって。
ロマンチックですね~!
ポワロのピンブローチも、ベルギー警察時代に事件がらみで知り合い、憎からず思っていた女性からプレゼントされたものだそう。
ブートニエールの元の意味を考えると、「私にプロポーズしてください」の意味だったのかも?!
あー、いろいろ勉強した!

ポワロがあんまり面白いので「もう1本観よう!」となったところでちゃちゃっとFBチェックしたら、Gくんから招集がかかっている。
「またやるのー」と半分悲鳴を上げているせいうちくんを、
「あなたは0時に寝ていいから!」と叱咤し、テレビを消してそれぞれのマシンを準備。

Gくん以外にも、先日のNくん、猫を抱いたS嬢、ひと回り年下の女性などが来ていた。
最近顔を見ていなかった男性が来たので、みんな気になっていた彼の女性関係を猛烈な勢いで取材してしまった。
照れながら、それなりにいろいろ話してくれて大興奮。大輪の恋バナが咲いたよ。
いったん話したらもっと話したくなるのが人の常だから、次はもっと突っ込んだ話が聞けるものと期待している。

今夜も1時を回って、通勤時間がなくなった分を睡眠につぎ込んでると言うせいうちくんだが、絶対かなりの部分をZOOM飲みに持ってかれてると思う。
それはそれで本望だろう。

本日の東京都コロナ感染者161人。
そのあたりでじりじり止まっている。
毎日がスリリングすぎる。

20年4月15日

息子から連絡あり。
営業を続けるかもしれないパチンコ屋は思いきって離れ、新しい職を探すつもりとのこと。
すでに失っている飲み屋でのバイト代も合わせ、生活費を稼ぐのは並大抵のことではない。
政府の補償金を受けられるまでの間、これこれの金額を貸していただけないでしょうか、というなかなかに胸を打つ長文のメッセージ。

せいうちくんはすぐさま返事を打った。
「他ならぬ君がコロナで困っているのに助けない親はいないよ」と、快く借金を承諾していた。
さらには「コロナが収束するまでは非常事態なんだから、それで足りますか?同居のカノジョとの関係で肩身が狭くならないよう、必要な額を言ってください」と熱心な援助を申し出る。

「本当にありがとう」と感謝する息子に茶々を入れるように、私は、
「借金の申し込みには名文が多いと言うけど、あなたの真心と技量を充分に見せてもらった。感動しています」と不謹慎。
それに対して彼は、
「石川啄木もその文才を催促の文に使っていたらしいです」
それは有名なエピソードだが、仮にも自分を文豪に並べてないかい?

吉田兼好にも借金にまつわる洒落た逸話がある。
生活に困った時、友人にこんな歌を贈ったそうだ。

「夜も涼し
 寝覚の仮庵(かりほ)
 たまくらも
 真袖も秋に
 隔てなき風」

頭の文字を順に縦読みし、末尾の文字を逆から読んでいくと、「よねたまへ ぜにもほし(米給え  銭も欲し)」となる。(お米ちょうだい、お金も欲しいな)

友人からの返事がまた凝っていて、

「夜も憂し
 ねたくわが背子
 はては来ず
 なほざりにだに
 しばし問ひませ」

同様に読むと「よねはなし ぜにすこし(米はなし 銭少し)」と、ほー、少しは援助したんだーと妙な感心をするものであります。
(出典:蛇蔵&海野凪子「日本人なら知っておきたい日本文学」)

ともあれ息子は困窮し、困惑し、摩耗し、嫌な思考が増えてしまう自分と戦っているらしい。
「健全に生きることがどれだけ大変か、今回の渦中で嫌と言うほど感じました」
いろんな試練があり、いろんな変化がある。
我々みんな、これが終わったらちょこっとは成長して、少しはマシな生活と世の中を築けるといいね。

今日の東京都は127人。
だんだん減ってるじゃないか。
安部政権、最大の危機を脱しつつあるのか!?

20年4月16日

あまりに運動不足が深刻なので、心臓が悪い私はともかく、まだ若くて健康なせいうちくんには朝のジョギングを勧めることにした。
通勤時間が1時間半近く浮いてるんだから、30分走って1時間風呂にゆっくり入ってもかまわないじゃないか、という理屈。

せいうちくんはおとなしくいつもの6時半に起きてジョギングを粛々とこなし、入れておいてあげたぬるめの湯につかってのんびり本を読み、半身浴を楽しんだ(はずだ)
なかなか悪くない体験らしく、
「いいね。さっぱりする。これから毎日心がけようかな」

非常時なんでね、少しでも有効そうなことは色々試してみるがいい。

夜は「もう『絶対零度』シリーズを旧作から観るのはあきらめて、これを観たらFOD退会しよう」と言って(無料期間を過ぎてもなぜか継続してしまっているのだ)野村萬斎主演のクリスティ特別ドラマ「黒井戸殺し」を観ようとする。
しかし、始まってすぐから何度も画面のぐーるぐるが止まらない。
おそらくマンションの全住人がNetflixかアマプラかU-NEXTを観ようとしてて、共同回線に負担がかかっているに違いない。
昼間でも、全住人がテレワークをし学校休みの子供がYouTubeを見てるので重くてしょうがないんだぞ。

もっと誰もPCやタブレットを使ってない時間に観よう、とあきらめ、安定感ある録画に頼る。
昨日「刑事コロンボ」のまだ観てない回が増えたはずだ。
おお、映画監督デビューする前のスピルバーグが演出を手がけたことで有名な、コロンボシリーズで常に人気上位にいる「構想の死角」ではないか。
快適に観始め、そうそう、この小説家ペアの片割れがね…と思ったところで、21時になって時間切れ。
今日もGくん主催のZOOM飲みがあるんだ。行かなくちゃ行かなくちゃ。
(せいうちくん曰く「僕は『行かなくちゃ』とはひとつも思わないんだが、なぜキミはすべての宴会に出たがるんだろう?」)

おとといも会ったばかりのメンツ3人ぐらいに加えて、何度か来てた人が3人、初めて来てみたと言う女性サークル員が集まり、そこに我々がいるので9人。
どうやら私のiPad Proの仕様では3×3の9人までしか小画面が増えないようで、もう1人Kくんが入ってきて10人になった時、彼は表示されなかった。
左にスワイプしたらかろうじて自分の画像が消え、Kくんを含む他のメンバー9人全員を見られるようになったので、それで続行。

40分制限で切れるたびみんな入り直してきて宴会は続き、途中で何人か離脱し始めたのが22時半頃か。
最後0時半頃に「ZOOM飲みのハシゴだ、さっきまで親戚と飲んでた」と長老が現れ、残っていた5人でここには到底書けないようなお下劣な話を繰り広げた。

あと、せいうちくんと私が「1980年代合宿における私のオレンジビキニ姿、ローアングル激撮写真」と思い込んでいたのは実は長老の亡き妻であったことが判明。
「絶対うさこさん!」と譲らなかったせいうちくんもこれにはびっくりし、長老も、
「うさこだと思って、あんなに2人して写真よこせよこせ言ってたのか!なんでオレのカミさんの写真をそんなに欲しがるのかと不思議だった!」と納得。
いやあ、人の誤解ってオソロシイですね。
せいうちくんが「背景は青空でした!」と主張してたのも間違いで、実はただの壁だったし。

本日の飲み会で長老が得た心理学的考察。
「グラビア写真をチラ見した男子は股間だけしか見ていない。背景も、モデルの顔すらも認識できていない。顔も背景もその直前に見ていた写真のものと同じだと誤認識する」
これで論文1本ものにできると思うので、誰か論文ネタに困っている心理学の大学院生に教えてやってもらいたいのだそうだ。

2時ちょっと前に終わって、おう、5時間近く飲んでたじゃないか。
ZOOM飲みは金も手間もいらないが、学生時代並みに時間を消費してるかもしれない。

本日の東京コロナ149人。
爆発的に増える気配はなく、このままじりじりと押し返せればと手に汗握っている。

20年4月17日

ついに東京都の新たなコロナ感染が201件出てしまった!200越えしてきた!
あんまり一喜一憂してもしょうがないから冷静になろうと思うが、少しショックな数字。
ここまでやや落ち着きを見せてきていただけにね。

せいうちくんがお休みなので(テレワークにもお休みがあるのだ)、通院につき合ってもらった。
やはり不安が高まっているのだろう、抗うつ剤と睡眠薬をすこーし余分に消費してしまい、10日後の予約日では手持ちがショートしてしまうのだ。

予約は昨日のうちにすんなり取れて、天気がいいので自転車で行った。
別にバスが怖いわけじゃないけど、まあ運動にもなるからね。

朝早い時間のせいか待合室には誰もおらず、受付カウンタには透明ビニールの遮断壁ができていた。
すぐに呼ばれて入った診察室でも、ドクターの前には同じガードが。
しゃべるからねぇ、お互い。両者マスクしてても、飛沫は飛ぶよね。
ちんまりとおとなしく座ったせいうちくんを横に、最近の状態を話す。

せいうちくんがテレワークで家にいてくれるので基本安定していること、しかし、多くのテレワーク家庭で起こるイライラやストレスが皆無でないこと(私の場合は『どうして家にいるのに遊んでくれないの。話ができないの』という子供並みの主張なんだが)、誰もが今そうであるように不安で重苦しい気分になりがちなことなどを話す。

ドクターは正直、この事態をなんだか楽しく受けとめているようだ。
「世の中はこれから変わるよねぇ。5Gやドローンの時代だもん、人がいちいち会う必要なんかないよねぇ。それが、よーく証明されたと思うよ」と、「おのれ根はアナーキストだな」って感じのウキウキさ加減。
反体制だとは思っていたが、これほどとは。

私の病状も、
「ダンナさんがいてくれるのがいいみたいだね。心に空いた寂しさの穴はそのままでも、注ぎ込まれる量が増えてるんだ。今はそれでしのいで。とにかく1日1日をやりすごすのが大事な時なんだから」とのこと。
「死ぬのがイヤだと思ったことがなかったんです。でも、今この新型コロナにかかって死ぬとなると、重症化したとたんに夫にも会えず、手を握って看取ってもらうこともできず、たとえ同時に罹患しても同じ病院に送られるかどうかもわかりません。ずっと夢だった、友人たちを集めての生前葬も今はできません。だから、生まれて初めてぐらいの感覚で、『ああ、これで死ぬのはイヤだな』って思ってます」と語ったら、
「うん、あなたが考えるように、つらい死に方だよね。ここはひとつ、死なないようにしよう」と優しい目で言ってくれた。

薬がショートしたことは怒られなくてすんだ。
1ヶ月分の薬をもらって、次はまた来月。
「お互い無事で会いましょう!」と約束した。

「あんがい街に人がいるよねぇ。もちろん金曜の昼間にしちゃ少ないけど、ゴーストタウンなわけでは全然ない。NYとかの写真も、実はものすごく人がいない瞬間をねらって撮影されてんのかねぇ」と話しながら、ブックオフが閉まっているのを横目で見ながら自転車でとなりの駅まで移動。

ガタガタになってきしむ私の自転車を駅前の自転車屋さんに見てもらったら、もうチェーンを換えないと無理とのことで、1時間ほどかかると言われ、これ幸いと元々の用事であった郵便局での送金などをする。
施設にいる娘、うつぶせ姿勢で過ごすと体調が改善されるので特製のマットを使っており、それを新調したのだ。
完全なオーダーメイドなのでけっこうな額がかかる。
でも大丈夫、彼女は彼女の年金をもらっており、出費はそれで充分まかなえる。
我々が代わりに送金してあげてるだけ、って格好。

駅ビルで紅茶と新鮮な鰯を買い込み、本屋兼文具店で買い物をし、ここでも意外と人が多いのに驚いてる間に1時間は過ぎた。
3千円足らずで、自転車はすーいすいのなめらかな快調さになっていた!

小さな信用金庫に寄るのが本日最後のミッション。
去年半年ほど働いた、塾の事務の報酬が振り込まれてるのを下ろしに来たんだ。
平日の開店時間内なら、小銭まで回収できる。
わーい、15万円ぐらい働いたぞー。20数年ぶりの労働報酬だぞー。
あまりにささやかだけど、嬉しかった!

自転車で走り回っていろいろ雑事をすませ、どの用事も必要だったと胸を張れる半日。(本屋の件だけはちょっと怪しい…)
くたびれ果てて家に帰る。
このぐらい運動すれば日頃の運動不足解消には充分だろう。
それでなくても少なくとも私は最近、前よりずっと健康的な生活を送っているし。

夜には息子とZOOM家族飲みが企画されている。
まったく、ZOOMなしに我々はどう生きてきたのか?!
仕事でTEAMS使ってる方々もZOOM飲みに来ると必ず「ZOOMの方がいいですね!」と感心している。
情報漏洩と爆弾は多少心配なものの、今、時代はZOOMであると言ってよかろう。

20年4月18日

昨夜は息子とZOOM家族会。
一緒に暮らすカノジョの方も会社の人とZOOM飲みだそうで、居室部分とキッチンの仕切り扉を隔ててたみたい。息子の領域はキッチン側。
換気扇の下でタバコ吸うからちょうどいいんだろう。
カノジョ側を気遣ってか、終始やや小声だった。
小さな部屋は仲良しの元だが、楽なことばっかりじゃない。頑張ってるね。

「カノジョとの間で最近作って、流行ってる遊びがある」と言う。
百均で買ったお絵描き帳にサインペン、これまた百均の15色カラーペンで色をつけた絵を描き合っては、相手の絵にタイトルをつけるんだそうだ。
もちろん事前に何の相談も話し合いもしない。
何でもない絵に突拍子もない題がついたりするのが楽しい。

息子の絵はなかなか味のある良い絵だ。カノジョのも素直な人柄が表れている。
中1の頃だったか、反抗期真っ盛りの息子が学校の課題で「小さな絵本(てか、マンガ?)」のようなものを作ってきたことがある。
「牛乳の大好きな子豚が、『ぎゅうにゅうはどうやってできるんだろう。牛乳池から汲み上げるのかなぁ。牛乳工場から次々出荷されてくるのかなぁ』と悩んでいたら、お父さん豚が『牛乳はね、牛さんが出してくれるんだよ』と教える」といったほのぼのした話で、悩む子豚の絵もとてもよく描けていた。

せいうちくんと2人、「いいね!」「すごいね!」と取り合うようにして読んでいたら、息子はやおらその小冊子をひったくった。
「で、どうしたと思う?」と現在の息子に聞いたら、
「さあ、全然覚えてないや。ビリッと破いた?」
「そんなもんじゃない。ベランダ窓をガラッと開けるなり、窓の下を流れる小さな川に向かってそいつを投げた。『あっ、あっ、あ~!』と叫ぶ我々の目の前で、子豚マンガはひらひらと夜の川面に消えていった。翌日探しに行ったけど、当然見つからなかった」と語る私。
「ひどいね、そりゃ。こじらせてたなぁ」と笑ってくれるようになって、よかったよ。

今や、自分から「作品」を見せてくれて、カノジョとの仲良しをアピールする。
「2人でいくらでも遊べる。大好きな人といるのはいいもんだね。オレ、子供欲しくなっちゃったなぁ」
「えっ?」
「いや、こんなコロナでさ、いつどうなるかわかんないわけじゃん。自分にとっての守るもの、大切なものが確かにあったら、きっと生きがいになるだろうなって」

うーん、志は立派だし時期によっては歓迎しなくもないが、君は今、本業的にも副業的にも無職だ。
もし職業欄に何か書くとしたら「ヒモ」となってしまうかもしれない。
我々もできる援助はするが…孫か…うーん…いや、この話はやめやめやめ!
何はともあれ、今、この時を切り抜けよう。

1時間ほど話して終わり、閉じこもり生活のわりにはさわやかに元気に暮らせてるようで安心した。
今日の東京都新罹患者は123人。
200人よりはずっとマシだが、収束に向かっているとは言い難い。

20年4月19日

息子の幼なじみが入籍した。めでたい。
FB友達である母親本人の報だ。しかもおなかにはすでに新しい命がいるという。
こんなご時世だから式は当分お預けだが、婚姻届を2人で持ったマスク姿が今風である。
デキ婚がこんなにめでたくなる時代が来て、本当によかった。
うちだってデキ婚で全然かまわない。

もちろん息子にすぐ伝えた。
「え!めでた!」が第一声。
さっそく保育園時代からの仲間達と連絡を取って、お祝いを言うようだ。

我々としては昨日の話の流れもあり、息子がミョーに張り切っちゃったらどうしよう、と不安半分期待半分な、それこそミョーな気分だ。
そもそも「ステイホーム」が続いたら、人口は増えるしかないと思う。

天気のいい日曜だが、洗濯だけ盛大にして、家のまわりをひと散歩して、あとはずっとおこもり。
最近ずっと「コロンボ」と「ポワロ」と「江戸を斬る」で暮らしている。
あとはNHK大河の「麒麟がくる」。

帰蝶(お濃の方)が女性ながらにたいそうな男前。
「金に糸目はつけぬ」とばかりに砂金をさらさらとこぼす姿は、「推しへの課金は惜しまぬ」のキャプションをつけたい。
ファザコンでマザコンのややこしい信長はすっかり帰蝶の膝枕が気に入っちゃって明智十兵衛光秀に見せつけてるし、いつか起こる本能寺の変、実はこのへんが理由なんじゃないか。
去年の「いだてん」の現代劇路線から全然戻ってこられなくて、「侍装束もちょんまげも、ヘン!」と叫んでいた1月末はどこへやら、すっかり毎週楽しみにしてしまっている。
人間は、弱いものよのう。

本日の東京都新罹患者は107人。
減っている減っている。このままどんどん減っていけ~

20年4月20日

昼間に皮膚科に薬をもらいに行った。
1人で歩いて行くつもりだったが雨がざかざか降っていて、予約時間がちょうどせいうちくんの昼休みだったので車で連れてってくれた。すぐ近くなんだけどね。

今は、前もって電話でお願いしておくといつもの薬なら診療なしで処方箋を出してくれるシステムになっている。
しかも最大60日分。(普段は4週間、28日分)

手術痕のケロイド緩和薬なのでなしでもすませられるかとこのひと月ぐらいガマンしていたけど、やはり赤く腫れて痛みが増すので、もらうことにした。
いつもは予約制でもかなり混んでる待合室はほぼ空っぽで、思わずケロイドを鎮める注射もしてもらおうかと思った。これまで月1回してもらってたから。
でも、今、医療者にいらぬ負担をかけるのは得策ではあるまいと思い直す。
どうしても対面しなければならない患者さんを診るだけでも感染リスクとの戦いなんだから。
私は薬だけで何とかなるだろう。
好みのタイプの女医さんに会えなくて寂しいけど。

隣の薬局に処方箋を出して、60日分の薬をもらう。
オンライン診療を始めてる病院では自動的に処方箋が薬局に送られ、「病院→薬局」と両方行く必要がなくなっているらしい。
ここの皮膚科さんもそれ始めないかなぁ。

薬を飲み尽くす60日後、6月後半には世の中どうなっているのか。
コロナは収束しているのか、まだまだ外出自粛が続いているのか。
もう誰も5月6日に終わるとは思ってないような気がする。
今日は東京都で102人とやや低い数字だが、特措法が出て2週間が過ぎようとしているのに100人超えはまずくないだろうか。

20年4月21日

家のWi-Fiがあまりに重い。
昼間に2人でそれぞれのPCやタブレットを使うせいかと思ったが、そんなのは普段の土日にずっとやっていた。
かつてない重さだ。
Amazonも開けやしない。ググるなんて、無理。

マンションが築15年を越えているのでやや仕様が古く、集合回線でみんながNetflixやらYouTube見るようになるとは想定してなかったサイズなのではないだろうか。
しかもここに来て多くの家庭でテレワーク、同時に学校や保育所に行けない子供たちがタブレットで動画を見まくる。
重たくなるわけだよ。

2人ともアタマにきて、ホームWi-Fiを買うことにした。
マンション管理費に含まれている回線使用料は無駄になるが仕方がない。
この数ヶ月だけ、と思っても、たいていのWi-Fi会社は2年とか3年のシバリをかけてくる。
一瞬の入会・使用は許さんぞ、との姿勢がはなはだしい。

しかもすでに時遅く、品薄で10日待ち。完全に出遅れた。
2週間ぐらい前からPCの重さについては不満があふれ始めていたのに、なぜもっと早く手を打たなかったのか。
本当に悔しくて悔しくてたまらない。
知れきったデフレを逃した相場師のような気分だ。

せいうちくんの仕事には会社用のWi-Fiを支給されてるから、これはまったく困ってない。
ただギガの制限があった(今は青天井になったらしい)ので大事にするつもりで最初は家のWi-Fiでやってたんだが、あんまり重いので閉口して切り替えたのだ。

それでもやはり家のWi-Fiの負担はちっとも減ったようには見えず、PCとタブレットは重く、Amazonでの買い物すらWi-Fi内蔵のスマホに頼る有様。
特にFODとか見ようとするともういけない。
いろんな時間帯に試してみたところ、朝は6時からだと快調だが(さすがにそれ以上早起きしてやってみる気にはなれなかった)6時45分頃になるとぐーるぐるが出て止まり始める。
昼間はほぼほぼ全滅。
12時に一瞬改善されるのは、子供たちの昼食の時間だからか?テレワークサラリーマンの昼休み?
しかしこっちも昼ご飯を食べたり散歩に出て日光を浴びたりしなければならない。
(今日は晴れたので、せいうちくんのテレワークが終わるのを待って散歩兼買い物。うつに対抗するセロトニン作るのに日光は大事)
で、また混み始めて、19時頃いったん軽くなる。みんなテレビでニュース見てるからか。
うちがお風呂とご飯を終わってFOD見たい21時にはもう重くてぐーるぐる。

なのでここ数日、途中になってる野村萬斎のクリスティ劇場「黒井戸殺し」がちっとも進まない。
泣きながら、影響のない録画の「江戸を斬る」ばかり見ている。

本日の東京都は123人。
じりじり巻き返されてる。

20年4月22日

あんまり退屈してしまって、前のZOOM飲みからの日数を数えたらまだたったの5日。
しかし背に腹は代えられず、Gくんと長老に「ヒマだからZOOM飲みしましょう!」と誘いをかける。

Gくんは本日20時からZOOM部屋で1人飲みしようと思ってたそうだし、長老は新たな作業の成果が出て写真データが増えたのだとか。
しかもファイルのいくつかは年代特定ができないので、皆に見てもらって「誰々がいるから198Xのどの合宿か」といった判定を手伝ってもらいたいそうだ。
いいじゃんいいじゃん!
GくんがFBに掲示上げといてくれるって。

せいうちくんの仕事のあと、家のまわりをぐるっと散歩してお風呂入って、ごはん食べる時間まではなかったのでそれぞれのお盆に夕食を乗せて、20時にZOOM飲みに突入した。
Gくんも飲みながらごはん食べてた。
3人が、別々の場所にいながらおしゃべりしつつそれぞれの食事。当然飲み始めてる。

やがて長老がやってきた。
彼は食事は済ませてきたらしく、「みんな、メシ食っとるな」と驚いていた。
そのうちせいうちくんの同期Nくんが来た。
女性Sさんも来た。
本日は最大6人。

年代特定はけっこうさくさくと進んだ。
せいうちくんたちが入部した82年頃になると、長老は部員の顔が今ひとつ判別できないのだ。
入学年度で7年も離れてて、つきあいがあんまりなかったから。

せいうちくんやNくん、Sさんにとっては1、2年先輩だったり後輩だったり同期だったりのあたりはお互いなつかしい顔ばかりで、顔の輪郭や体格、姿勢まで判断材料になるのだ。
また、合宿には限られた服しか持って来てないので、何枚かの写真での服装の整合性も大いに参考になった。
「おまえら、こんなぼやけた心霊写真みたいなのでよく誰が誰とか区別がつくな!やはりAIが人間の識別能力に追いつくにはまだまだ時間がかかりそうだ」と驚く長老。

彼の作業ミスで全然違う年の写真があるファイルに紛れ込み、そのファイル全体の特定が難しくなっていたところ、問題の1枚に写っているダイジェスティブ・クッキーが別年代ファイルの他の写真にも写っていること、横に転がってる私のメガネのフレームが特徴ある形をしているところなどから、その1枚を正しいファイルに戻し、他のかたまりを別の年代と判断することができた。
いやあ、考古学は大変だ。

浴衣姿で合宿に登場したSさんは、高校時代に作った浴衣だと言って昔の写真を見せてくれた。
しかしデータの画面共有ではなく、自分のカメラの前にアルバムをかざすやり方だったので、今ひとつよく見えなかった。
バブル真っ盛りの頃の肩パッド写真も同じく。残念。

ガンダムの話になり、Nくんによれば富野由悠季が当時を回想した記事の中で、
「家族の問題を扱って初めて、女子大生から山のように手紙が来るようになった」と書いていたそうだ。
「母をたずねたマルコ」とかの単純な家族の離散ではなく、ザビ家の確執やアムロの生い立ちなどが新しい時代の「家族問題」として、ある層を刺激したのだろう。
大変興味深い。

面白いと言えば、「オレオレ詐欺」の話をしていた時のGくん宅での実話。
2階にいたお母さんが電話を受けて、
「あ、オレオレ。風邪ひいて声がヘンなんだけど」と言われ、電話を切って階下でゴロゴロしてるGくんに風邪薬を持って来てくれたんだって。

「オレオレ詐欺」では、最近ネットで呼んだやつが面白かったな。

オレオレ「オレ今困っててさ」
父「オレも困ってる。金貸してくれ」
オレオレ「会社の金を横領しちゃったんだよ」
父「でかした!」
オレオレ(黙って切る)

そんな話を深酒しながらしているうちに、40分のセッションを3、4回繰り返しており、やがてSさんとNくんは去り、せいうちくんも0時には翌日の仕事があるからとおやすみなさい。
残ったGくんと長老と私は、そのあと午前3時半近くまで壮絶な下ネタ話を繰り広げた。
「こんな夜中に男性2人と猥談をしている私は、女性側からのセクハラではないでしょうか?」とすっかり酔っ払っていい機嫌の長老に問うたら、
「幼なじみみたいなもんだ、全然やましくない。かまわんかまわん」だって。
まあよかった。

翌日せいうちくんにすっかり話したら、いろいろ疑問な点があるそうで、近々また彼らと下ネタ談義をしたいのだそうだ。
今度はお休みの日にじっくり昼寝をしてから事に当たるつもりなんだそうである。

20年4月23日

せいうちくんが大ファンの、繊細な感性で有名な先輩N野さんをついに個人ZOOMに引っ張り出すことに成功した。
メールのやり取りの中でN野さんが「事態が落ちついたら、かつて巨大からくり人形が暴れる農民一揆漫画を描いた長老にぜひ」と出したアイディア、

「新型コロリ大流行で農民一揆が各地で発生し、半世紀ぶりに甦った幻の魔神を操るオタク少年が腐敗したお友だち幕府を打倒する大活劇漫画」

をせいうちくんから長老に伝えたところ、たいそう気に入った様子だった。
大勢でのZOOM飲みの中でも、私が「カムイ伝」のギャグを言ったりすると、
「おい、それは新しいマンガに使えるぞ。せいうちくん、メモメモ」と大笑い。
本当に描いてくれるといいなぁ。
40年前も大勢での合作だったから、今なら長老が脚本を描いてN野さんが制作指揮を執り、データを共有してキャラや背景、効果を分担すればわりと簡単に合作できるんじゃないだろうか。

そう言ってせいうちくんがN野さんをかき口説いてる真っ最中で、問題は、まだ誰もそこまでクリスタとかのソフトを使いこなせないこと。
せいうちくんも去年の夏にワコムの板タブ買って長老別荘での合宿で集中指南を受けたけど、やっとレイヤーの概念を理解したところで止まっている。
技術も理論も、私にすら伝わっていない。
ああいうものは使って使って描いて描いて描きまくるしかないのだが。
スマホを買うまでFACEBOOKもTwitterもまったく理解せず、インスタグラムというのはただの写真加工用のアプリだと思い込んでいた私が保証する。
(SNSの一種だと知るまで1年間ぐらい、せいうちくんの写真を晒しっぱなしにしていたほどのアホである)

N野さんもZOOM飲みそのものは思ったよりお気に召したようで、私が入って3人になっても特に文句はなかった。
ただ、環境が整わないというか、自宅リビングでお子さん達が降りてこないであろう夜中にこっそりとしかできない(やりたくない)らしい。

私「降りてきたっていいじゃないですか。『お父さん、友達とZOOM飲みしてるんだ』って言ったらダメなんですか?」
N「お父さんはあんまり家で電話とかもしない人なんですよ。友達とか、いないと思われてるんじゃないですか?」
私「『お父さん、友達いるよ~』って自慢すればいいじゃないですか!」
せいうち「昔、N野さん自宅にデッサン用の石膏像とかありましたよね。今はないんですか?」
N「ありませんよ」
せ「お子さん達に『お父さんは、昔すごく絵が上手だったんだよ』って知らせないんですか?」
N(ほとほとあきれた口調で)「そういうこと、知らしめて何か楽しいことがあるんですか?」

思うんだけど、N野さんと私の愛するKちゃんはこういうとこがすごく似てるよなぁ。
「言ったら楽しいじゃないか」と思う私に対して、
「言って何が楽しいんだ」と考えるタイプ。生き物としての種類が違う。
自分の現在や過去を子供に伝えることに、なぜそんなにためらいがあるのかN野さんよ。

「今度、長老も入れてやりましょうよ。マンガの話し合いしましょう」と熱心なせいうちくんが、
「また、ご都合のいい日時を伝えてください」とN野さんに言う。
だからさぁ、向こうは「いつ都合がいいかわからない」って言ってるじゃないか。
「そのうち連絡ください」なんてやり方じゃ、永遠に何も言ってこないかもしれないぞ。
しょうがない、私が仕切ろう。

私「じゃあじゃあ、今週の土曜の夜遅くなんてどうです?長老と我々が始めてますから、ご都合のいい時に入ってきてくれれば」
N「そうですね、そうしてもらうのがいいかもしれませんね。じゃあ、土曜の23時以降とかなら行けるかもです」
せ「うさちゃん、さっすが~!」
うんうん、もっといくらでも感心してくれていいよ。

40分のセッション終了直前にN野さんにさよならを言って会議を終了し、さっそく長老にその旨伝えて誘っておいた。
返事はすぐさま「大丈夫!」
時間的には今朝の3時半まで飲んでいたので、二日酔いで夕方目覚めてから迎え酒中らしい。
N野さんは23時からとか言うけど、長老とはもっと早くやり始める予定。
あとはいろいろナイショ。楽しいお話になる予定。うふふ。

しかし本日の東京都新罹患者は134人。
押されがちで、ハラハラする。

20年4月24日

息子がまた「絵を描いた」とMessengerで送ってきてくれた。
今のこの世界を現わすような不安定さと、そこにも存在する小さな幸せや美しさを描いたしみじみする作品。
カノジョがつけたタイトルは「ペットボトルの中の線香花火」

今読んでいる「サピエンス全史」「ホモ・デウス」両上下合わせて4巻が面白いそうだ。
図書館は休みだしブックオフは行けないし、Amazonでもまだまだけっこう高いので、よそに払うのも業腹だから息子に読み終わったら売ってくれ、と交渉。
「いいよー」と軽く了承され、送料負担をかけたくはないが受取人払いだと宅配の人との接触が生じて迷惑をかけるから、あとで何らか調整するから発送人払いで送ってくれ、ってとこまで頼み終わったところで、
「あ、大前提、人に借りたものだってこと忘れてた」と言われた…
この調整の努力は何だったの…

今日はとてもいい天気だったので、気持ちよく洗濯物が乾いた。
でも、私は昨日の朝まで7時間かけて1.5リットル600円弱の赤ワインを半分方飲んでしまったので、頭痛がひどい。
朝も昼も散歩ができなかった。不健康な日。

しかし、子育て激務の合間を縫ってLINEを交わしていたミセスAと、わずかな合間にZOOMすることができた。
向こうもお子さん達がタブレットを使いまくってるのでWi-Fiが重く、しまいに止まってしまってあわててLINE電話で会話の続きをした。
「音声も不安定だし、我々は電話だけでも全然かまいませんね~」との結論には達したものの、やはりたまに顔を見てお話できるのは嬉しい。
お時間ある時にまたよろしくお願いします、ミセスA!

こうして夜を迎え、せいうちくんは「週末だ~」と叫び、ネット接待と言うかTEAMS飲み会をしている。
週2ぐらいでZOOM飲みもしてるし、飲酒環境はこれで全然かまわないなぁ。
少なくともお財布にはとてもやさしい。
あと、飲んだあととぼとぼ家まで帰る必要がないのと、終電が絶対的に無関係になるのがいい。
私はたいてい家の近くでの飲み会しか参加しないでタクシーで帰るから大丈夫だが、終電に乗って眠り込んで青梅まで行ってしまうGくんや、京王線終点まで行ってしまう長老は喜んでいる。
用意のいい長老などは、そもそも家飲みを主催することが多いほどだった。
このZOOM飲み時代の到来は、彼らにとって最高の福音だろう。

本日の東京都新罹患者は161人。
や~な雰囲気になってきた。
特措法以降の2週間はもう過ぎている。彼らは、いや我々は、賭けに負けたのか?

20年4月25日

清らかな乙女以外からは脱兎の如く逃げてしまうユニコーンのように繊細なN野さん(しかし、男性)を、ついに集団ZOOMに捕獲した。

長老が過去に描いたパロディマンガをベースにしたN野さんの新しいアイディア、

「新型コロリ大流行で農民一揆が各地で発生し、半世紀ぶりに甦った幻の魔神を操るオタク少年が腐敗したお友だち幕府を打倒する大活劇漫画」

は長老のお気に召したようで、全員酔っ払いながらパロディ小ネタをいろいろ考えて遊んだ。
「小池百合子も出したいですね」
「謎の大きな覆面マスクの女!」
「紫頭巾!」(松坂慶子の出る「江戸を斬る!」が大好きなせいうちくん)
「キシリアさん!兄弟ともソーシャル・ディスタンスを取ってる。ギレンとドズルはあさって向いてる」
「役人も家にいて、伝書鳩で書類をやり取り」
「南部藩は関所が厳しくて、新型コロリが入り込まない」
「将軍の奥方は『桜が見られないなら、神社に行けばいいじゃない』『神社の参拝は密にならない』と言い放ち、人心が離れる」
などなど。

夜中にN野さんが去ってからは、せいうちくんがこないだの下ネタ飲み会の時寝ていた無念を晴らすように長老とGくんにいろいろ聞きまくっていた。
前立腺とかオカズとか、難しすぎてよくわかんなかったですわ(大嘘)

今日の東京都新罹患者103人。
減ったとは言え、まだまだ特措法発出時より多い。
これはいったいどういう波を描いていくのか。

20年4月26日

雑誌のハルタ(年10回発行)を2回とハルタコミックスを買って、「全員プレゼント『ハルタの豆本』」を手に入れた。
森薫・長蔵ヒロコ・入江亜季・大武政夫・大上明久利の作品が豪華ブックケースのついた豆本になり、全5冊を収める本棚までついている。
オール紙製、ハサミ・ノリ不要。

美麗な大型封筒に筆記体で書かれた「Thank you for your application!」の辞も素敵。
GWにゆっくり組み立てようっと。

このおまけ目当てに最近買い始めたばかりでまだ4冊なんだが、実に1冊1250g。1キロ超えている。
もっとオソロシイのは、10年以上前から愛読しているレディースコミック雑誌たち、いわゆる「ご近所スキャンダル」のたぐいが1冊400gを切り、重量・中身共に軽くて軽くて仕方ないのに、値段はハルタが680円、ご近所が710円であるという現実。

さらにオソロシイ事実があるとすれば、ご近所マンガ雑誌だけでファイル数が700を超え、うちのメモリのうち130GB以上を喰っている点だろうなぁ…
そもそもその物量を解決したくて自炊を始めたようなもんだし。
買い始めの頃、たまってきて仕方なく捨ててたものが惜しくてしょうがないよ(泣)

東京都新罹患者72人。
じりじり下がってきてるかな。でもまだまだ。

20年4月27日

東京都新罹患者39人。
これは希望の光なのか、滅亡へと誘う罠なのか。
「政策が効いた」とすっかり気をよくして自粛をといたら、GW開けの街は人で埋まるかもしれない。
自粛の効果が確かにあるものの、それは医療側がひと息ついて装備を固め、検査態勢も整えて迎え撃つための時間を稼ぐためだろう。

20年4月28日

前にCSで録画しておいたコロンボのシリーズ、途中から時間設定が変わったか間違えてたかしたらしい。
いざ謎解きが始まり最後に犯人を追い詰めるシーンあたりで、録画が終わってしまう。
最初にこれに遭遇した時は(46話「汚れた超能力」だった)きゃーっと叫び、うろうろとググった挙げ句、その場でU-NEXTの31日間無料お試しコースに飛び込んだ。
テレビでの設定が面倒くさかったので、最後の5分ぐらいをiPad Proで見ることとなる。
ああ、スッキリした!

今、ホームWi-Fiを申し込んでいるが、3日で10ギガの制限があり、動画を見まくるわけにはいかないかもしれない。
NHKBSのおかげでコロンボとポワロにはまり込んでいるのに。
両方とも45話までは放映してくれるようなので、コロンボはこのままそこ以降の録画を見ていくつもり。
上記のように最後5分が欠けてるから、そこだけU-NEXTで補う。
つまり、31日間の無料期間中にあと15話ぐらい見てしまわないといけない。
大丈夫なのか、はらはら。
U-NEXTはけっこう高いので、無駄に払い続けたくはないぞ。

どこの配信会社もキラーコンテンツというのか、目玉商品をガッチリ押さえている。
「ここでしかやってないから、契約しろ!」ってこと。
何年の間にはCSでやるとかBSでやるとかいろいろ機会があるんだろうけど、待っていられない。
U-NEXTはポワロとコロンボを見放題。しかし両方とも字幕版のみ。
NHKBSは吹き替えでやってくれるんだよね。熊倉一雄のポワロと小池朝雄(一部石田太郎)のコロンボはホントはまり役。

うちに録画が10本ほどしかない、熊倉一雄が好きすぎる(彼の「ボン!」と「モナミ」は絶品)の2点から、NHKBSでやらないと思われる第7シーズンから先(「名探偵ポワロ ニューシーズン」と呼ばれる)のDVDボックスを5シーズン、衝動買いしてしまった。

ついでに、CSで取り損ねた「江戸を斬る」の第2シーズンもぽちっと。
だって、第1シーズンは全然別の話だからいいけど、第2から第5までは松坂慶子の「おゆき」が遠山金四郎と結婚して夫婦捕り物で活躍する話で、その第2シーズンがないもんだから、どうして水戸公の姫である彼女が魚屋に養子に出され、どうやって金四郎と知り合ったのか、すべて謎なんだよ!
録画してある第3シーズン見てるけど、もう結婚しちゃうしお父さんの水戸斉昭も森繁久弥で出てくるのに、第2シーズン見ないとそこらへんの事情がわかんないじゃないか!

いいんだ、今年はどこにも旅行行けないし、外食しないし飲み会もお金かかんないし、家計簿上は支出が少なくなるはず。
GWはDVD見て過ごすよ。

そして、たった今の今まで、世の中にレンタルDVDショップがあることをすっかり忘れていたと気づく。
いいよ、「名探偵ポワロ」第7シーズンから先がツタヤにあるかどうかわかんないうえ、「江戸を斬る」第2シーズンがあったとして、見てる途中に「誰かがずっと借りている」1枚が挟まったりしたら地団駄踏んじゃうから。
昔はよく「金八先生」とか「ツインピークス」でそういう思いをした。
マンションの回線が遅いのにガマンできず、借りたいDVDが借りられちゃってるのにガマンができず、こうやって人はどんどん堕落していくんだ…

本日の東京都新罹患者112人。
テレワーク中のせいうちくんに、手旗信号よろしく指を1,1,2と出して数字を伝えたら、ネット会議しながら無言で気絶していた。
いきなり増えたよ。どうしよう。

20年4月29日

GW1日目。
まずは昼まで寝た。昼間はマンション回線も混んでおらず、テレワークも学校もひと息ついたかとほっとする。

夕方FBのぞいたら、Gくんの急なZOOM飲み会招集がかかってる。
入ったところ、
「1人でビール飲もうと思ってただけなのに、見つかっちゃったか」とため息をつかれた。
目ざといのは我々だけではないようで、女性が1人来て、そのあと長老が来た。
結局5人で2時間飲んでた。午後の椿事。
夜はちゃんと予定されてたZOOM会を。

せいうちくん主催で毎年5月に行なっている仲間内の「休日講座」、今年は新型コロナの影響でとてもじゃないが開催できそうにない。
予約してあった市役所の会議室も、「自粛の方向に関わらずその時期は閉館となります」と断ってきた。

今年はHくんの「タイ語講座」とSさんの「盆踊り講座」の予定で、特に後者のために皆で踊れるよう音も出せる広い部屋を取っておいたのに、残念だ。
出席希望の人たちはその日を空けておいてくれてるだろうから、いっそZOOMを使ってさわりだけでも講座をやり、そのあとZOOM宴会になだれ込めないだろうか、と考えたせいうちくん。
講師のお2人と打ち合わせ兼実験のためのZOOM会。主催者の妻として私も出席。

4人でのZOOMは面白かった。
Sさんとは他のZOOM飲み会で何度も会ってるが、HくんはZOOM自体初めてだと言う。
(会社ではSkype使ってたらしい)
まずHくんが画面に出ている自分の名前を変更できるのかとか全員の顔を均一の大きさの画面にするにはどうするかとか聞いてくる。

私自身ZOOMにはまだまだわからないことが多い。
一番の問題「(盆踊り講座のために)動画を共有できるか」という点は結局未解決に終わった。
大内くんのノートからはできるがSさんのタブレットやスマホからはできない状態。
皆、使っている機械や仕様が違うので難しい。
Sさんが次までに自力で解決しておくとのこと。

2人とも忙しいようで40分のワンセッションで去ってしまった。
寂しくなり、急に長老を呼び出してみる。
2人でのZOOMは時間無制限だ。
横でPC作業をしていたせいうちくんも全部聞いてて、時々会話に参加してたから実質3人なんだけど、長老のPCと私のiPadしかつながってないので、ずいぶん長いこと駄弁ってた。
11年前に亡くなった奥さんののろけばかり聞かされてた気がする。

本日の東京都新罹患者47人。
昨日の数字は何だったんだろう。一喜一憂。
政府は緊急事態宣言を1ヶ月前後延長する見通し、との報道あり。
いつ、どのように正式発表があるのか?

20年4月30日

カレンダー上は平日だがせいうちくんは休みなので、役所や銀行関係の用事を片づけにあちこち回った。
これは「要・急」であります。

テレワークが始まった時に、なぜ定期を払い戻そうと思わなかったのか!と1ヶ月たってやっと気づいたせいうちくん。
交通費を会社が払ってくれてる人はいいが、自前の場合、考えてみた方がいいよ。
今度会社に行く必要ができた時にまた定期買えばいい。
そもそもその時は週に1、2回の出社になってて、いちいち払った方がお安いかも。

安倍総理の会見をテレビで見る。
要約すると、
・5月7日に緊急事態宣言の必要性がなくなるとは考えにくい
・よって延長が必要(期間については言及せず)
・専門家の方たちの意見を聞いて、GW終盤に方針を決定する
ということだったと思う。

初めて、ちゃんとカメラを見て、国民に正面から話しかけていた。
メルケル首相やエリザベス女王のビデオを見て勉強してきたのかもだが、それでもなおどうしても身体や目線がふらつきがち。ついに横目になってる瞬間も幾度か。
視線恐怖症なのかしらん。
気持ちはわかるが、しっかりしてくれ。

今日の東京都新罹患者46人。初めて書く気がするけど、全国では216人。
これが100人を切らないと「抑え込めたことにはならない」らしい。

夜は息子とZOOM家族会。同居のカノジョは「MOTHER2」やってるから寂しい思いはしてないそうだ。
「2人の健康状態はどうなの?」と彼の方から気遣われてしまった。
いやはや、オトナになったなぁ。

幼なじみの急なデキ婚を、もう2人の幼なじみMちゃんとKくんを交えたZOOM飲みで祝福したそうだ。
保育園時代、問題の花ムコと「けっこん、けっこん」と腕を組んでスキップして「婚約」していたMちゃんがどう思っているのかは想像もつかない。

「ママ友飲み会で、他の男の子たちはあんまりカノジョいないから、『ウチの息子は職はないがカノジョはいる。とりあえずそっち方面のレースは先頭を走っている』と思っていたらいきなり結婚された。ゴール寸前で差し込まれたと言うより、空から他の馬が降ってきたような気分だ」と言ったら息子は、
「なんだそりゃ。オレたちは競争馬じゃねーよ」と一蹴した。

そこから30分、別の話題の間中くよくよ悩み、やっと、
「さっきの言い方はゴメン。あなたの人生を無視してた。これじゃおばあちゃんとおんなじだ。だけど、自分がレースを走ってるとは思ってないよ。馬と自分が別物だって自覚ぐらいはある」と謝ったら、
「全然気にしてない。それに、わかるよ。ジョッキーだよな」と寛大だった。
「いや、それどころか高見の見物かも。馬主?それも10分の1馬主ぐらいな感覚」
むしろどんどん失礼になっていってるかもの自分。

カノジョはほぼほぼテレワークになったそうで、ひと安心(でも明日は半日出社だって)
息子は次の職の当てができたようだが、「5月からだって」と言われたって、明日はもう5月じゃないか。
「半ばぐらいからかなぁ」って、それは確かな話なんだろうか。
「そっちが進んでるから、こないだ面接通りそうだった方は断っておいた」って、内定まで行ったって断られることもあるから、こっち側でもいくつかタマは持っておくもんだぞ。
彼の職探しは非常に危うい。
ただ、「社保完備」のありがたさはフリーの間に身に沁みたそうなので、まあせめて年金滞納の督促状がこっちに来ないようにしておいてくれ。

「このあと世の中は変わるだろうね」を中心に話は進む。
やはりコントをやって生きていきたい彼としては、人々にどういうエンタテインメントを届けたらいいのか、とても悩むようだ。
「やっぱり情緒が一番大事だよね。落語とか、本当に強いと思う」と語っていた。
今後のテレビドラマなども、人をハラハラさせたり脅かしたりするんじゃなくて、しみじみと情緒に語りかけるものに戻っていくのではないかと。

「生活なんて質素でいいんだよ。自分の大切な人と楽しく寄り添って暮らして行ければ」と言われ、
「あなたの言う質素って、どのへん?現在のインフラは必須じゃないの?母さんはつい『大草原の小さな家』から始まっちゃうんだよ。ボタンや窓ガラスなどの工業製品がすでに贅沢品だって世界」と語り始めたら、
「ごめん、ちょっとなに言ってるかわからない」と息子。

あとからせいうちくんに、
「例え話が長すぎる。あれでは息子は飽きる。質素はイヤでしょう、って言いたいなら、『汲み取りトイレじゃ困るでしょう』で通じる。大草原まで持ち出す必要はない。キミは人と物事を完全に共有しようとしすぎる。ある程度は踏ん切りをつけなさい」って注意された。
久井諒子の「ひきだしにテラリウム」に出てくる、鼻や耳に指揮棒みたいなのをスポッと入れると相手の考えがすべて共有できる道具があればいいのに。たすけてドラえもん。

それでもマンガや本は大きな共有物たり得る。
最近読み返した河合克敏の「帯をギュッとね!」の話をしてたら、

息子「途中でさ、粉川と斎藤が仲悪くなるじゃん、全国大会のあたりで」
私「うんうん、楽しく柔道やりたい粉川と、目標定めて厳しくやらなきゃ強くなれないって斎藤の意見の対立ね」
息子「コントについて、オレは粉川なんだよね。楽しくなかったら続けられないじゃん」
私「グループの他のメンバーはどうなの?」
息子「全員、粉川だね」
私「誰か1人ぐらい斎藤がいないとダメなんじゃない?」
息子「やっぱ、そうかぁ」

と何だかスムーズに話が通じた。
10年ぐらい前に読んだきりすっかり忘れているせいうちくんは話に入ってこられなかったんで、2人して盛大に謝って別の話を始めたが、うん、やっぱり世界観の共有は大事だよ。
国だって家族だって恋人だって友人だってそれで成り立ってる面が大きいんだから。

息子が最近描いた絵や、カノジョの誕生日を祝って描いた絵を画面越しに見せてくれた。
2人の服が掛かった部屋の様子が映り、背後にはドラゴンボール全巻を始め、息子が愛読し彼女にも勧めるマンガの数々が並んでいる。
幸せにやってるんだな、と胸が熱くなった。
彼らの生活の平安を願い、幸せを祈るにしても、鼻の差でもトップでレースを駆け抜けろ的にこっち側でゴールを勝手に設定するのはやめよう、と堅く心に誓う。
人の幸せにはいろんな形がある。
社保完備は便利で芸人はとりあえずそれだけでは食えない。
共有していいのはその事実だけ。

終了後、いろんな感情があふれてきて久々にわあわあ泣いてしまったので、せいうちくんから、
「ZOOMは少し刺激的なのではないか。まだまだ慣れないツールだからね。結局昨日から4ZOOMもしてるわけだし。GW中はちょっと控えた方がいいよ」と注意される。
確かになぁ、「人はなぜ生きるんでしょう?なぜこんなに寂しいのに生きるんでしょう?」とか問いかけるには向かない通信手段かもしれない。
言葉は聞こえてる表情も見えてるのに触れられない。
空気を共有してる気分も錯覚かも。
なんだかガラスの箱に入って自分の呼気だけを吸っているような閉塞感に襲われてきた。

こんな時は無理矢理寝るよりわかりやすい古典的なドラマでも観た方がいい。
友達に勧められたジェレミー・ブレットのホームズ観よう。

最新「年中休業うつらうつら日記」
クルーズ航海日誌
胃弱夫と足弱妻のイタリア旅行記
「年中休業うつらうつら日記」目次
「おひるね倶楽部