20年5月1日

さわやかな初夏の日。
風は涼しく、日差しは強い。散歩に帽子が必須のシーズン到来。
散歩で八百屋に行き、大根とセロリとアボガドをしょって帰るにふさわしい。

夜中は回線がすいてるのをいいことに4時頃までジェレミー・ブレットのホームズ観てたんで、せいうちくんの朝は11時起き。
私は長時間型の睡眠薬に慣れて効かなくなってきてるのか、6時にいったん起きて、何とかもう1度寝たものの結局10時にはベッドを出ていた。

午後もせいうちくんにはちょっとだけ仕事が入り、GWなのに1人の時間が多い。くすん。
夕食は超簡単にして、ホームズとポワロとコロンボの乱戦だ~!

本日の東京都新罹患者165人(!)は、なんでこんなに増えたんだろう?
もう、毎日戦況報告みたいにするのはやめた方がいいかも…
安倍総理は会見で「1ヶ月程度の延長を軸に5月4日に方針を決定する」と言っていた。
もうひと月この生活が続くのか。
あんまり困ってない自分に、少し困る。

20年5月2日

マンションの回線混雑を回避するために申し込んだホームWi-Fi、10日待ちで今日やっと届くと楽しみにしていたら、衝撃の事実が明らかになった。
配送会社さんからの電話では、マンション部屋番号が間違っていたようなのだ。
申し込みでせいうちくんが口頭で伝えた時、言い間違えたと思われる。

これが案外リカバリーが難しい。
「再配達・宅配ボックス不可」の発送なので、受取人からの訂正だけで「じゃあここに届けてください」ってわけにいかないんだって。
発送者に連絡し、そちらから訂正してもらわなければならない。
そして本日は日曜で、Wi-Fiの会社はお休みであった…
明日電話するしかないが、発送元に戻されていて、品薄だから他の人に出荷されちゃって、また10日待つ羽目になったらどうしよう。

考えてもしょうがないことは振り切って、友人Kちゃんとせいうちくんと3人でのZOOM飲み。
あえてせいうちくんと同じ画面を使った。
それだとKちゃんと2人でのZOOMになり、時間無制限になるから。
あと、ZOOMは双方でいっぺんにしゃべると音声が切れるのでおとなしく順番に話さないといけないところ、少なくともこちら側ではかぶりまくっても大丈夫。

理性を重んじるKちゃんと、私は似ていると思う。
「あなたがあの大学に行ったのは、本当によかったと思うよ」と他大学をほめてくれるKちゃん。
確かにね、合理精神を鍛えてくれる場所だった。
当時の名古屋ではまったく知られていない大学で、英語が得意だと受かりやすそうってとこしか見てなかったが、いろんな意味でいい経験ができた。
同窓生が圧倒的に少ないため、濃すぎる感じがしなくもないが。

1時間ぐらいと言われていたけど、興が乗って1時間半。
こちらに先約がなければもっと続いたかも。
「0時から用があるとは、スゴいね!」と感心された予定は、息子のコントグループに参加してくれてる女性が主宰する劇団の「ZOOM上演」。
高校で一緒だった若い女性3人がZOOMする体裁で、20分のお芝居。
過去に何かがあったこと、今回の接点を通して未来が変わってきそうなこと、短い時間に想像の余地が沢山盛り込まれていて、大変面白かった。

今、ZOOMがアツい。
自分がこれしかやってないからそう思うだけで、他にももっとツールはあるんだろうけど、世の中でやたらに名前を聞くようになった。
テレビドラマまでこれ使ってる演出のものが出てきた。
新しい可能性が開かれてるなぁ。
せいうちくんは毎日のように「ピンチはチャンス」と言っている。
きっと仕事のこと考えてるんだろう。頑張ってください。

FBで【7日間ブックカバーチャレンジ】を始めたので、書いておく。

4月29日の1冊目はF・ブラウンの「真っ白な嘘」
小学校の時に初めて読んだ文庫だったと思う。
家族旅行の寝台車の中で、枕元のかそけき灯りで夜が更けるまで読み、遠くの街の灯を幻想的に感じた。
生まれて初めてのインパクトだった。もちろん今でも大好きな短編集。
なのに10年ぐらい前まで「復讐の女神」の存在を知らなくて、先輩にそう告白したら、「サザエさんを知っていていじわるばあさんを知らないようなものだ!」と叱られた。
「エプロンおばさん」なら知ってるんだが…

4月30日の2冊目はロバート・シェクリイ「人間の手がまだ触れない」
父親の蔵書で、中学校の時に愛読し始め、大学入学で家を離れるのを機に正式に受け継いだ。
(他の金背銀背や創刊1年後からのSFマガジン20年分ぐらいも継承した)
F.ブラウンやE.E.スミス、バロウズなど読んでいたが、初めて本当にSFの世界に触れたと感じたのがこの本だった。センス・オブ・ワンダーですね。
今でも大好きな短編集だ。私の方が3歳お姉さんなだけの、古い本。

5月1日の3冊目はゼナ・ヘンダースンの「果てしなき旅路」。続編の「血は異ならず」と共に「ピープル・シリーズ」を形成する。
子供の頃からずっと自分を身の置き所のない異邦人のように感じていた。
当然、「人間以上」「スラン」「さなぎ」などもむさぼり読んだわけだが、これと出会って、「いつか本当の仲間に出会えるのだ」と確信し、その日を夢みた。
家を出て上京したのちに確信は実現し、今も続いていると勝手に思っている。
それもまた、ただの夢かもしれない。

東京都新罹患者160人。
まだまだ多いじゃないか!


20年5月3日

心臓の点検日なので、八百屋で買い出しののち、病院。
一応「基礎疾患持ち」の新型コロナ対応をドクターに聞いておかねば。
やはり公知されてるとおりの「37.5℃が2日間」で連絡してこいとのことだが、そのあとがやや不満。
結局のところ、
「PCR検査は受けたくても受けられない状態」だそうで、
「病院で肺レントゲンは撮れますよね?」と尋ねても、
「撮れるが、病院が感染源になるので、来ないで電話で相談してほしい」と言われるのみ。
本当のことって、それだけ言われると足りなく聞こえるもんだなぁ。
「ちゃんとパイプになるから、安心してほしい」って言われたいよ。

パルスオキシメーターの購入を相談するも、
「今、売ってないでしょう」と否定的。
Amazonでは一応まだ買えるぞ。
「機種によっても違いますし、専門家が見ないとなんとも言えませんしね」と、「素人が勝手に測って騒ぐのが面倒の元」と言いたげ。
手術のあと血圧計を買って毎日測れと言われた、あれと同じような感覚でいちゃダメなのかな。
患者サイドは不安を受けとめてほしい、受け皿になってほしいと思い、医療サイドはいっぱいいっぱいになることを恐れているんだろうか。
まだ前線になっていない地域のホームドクターとしては、安心感をもたらすのも大事な仕事だと思うよ。

薬局に薬を頼んでいる間に駅ビルで買い物。
メガネ屋さんが開いてて有能な店長さんがヒマそうにしていたので、だいぶ歪んでしまったフレームのフィッテイングをお願いする。
もちろん双方マスクをしたままだが、きびきびと上手にやってくれた。
「遠近両用が使いにくいとおっしゃってましたが、慣れましたか?」と、顧客をよく覚えてくれている。感激だ。
せいうちくんほどは使いこなせていないのが残念。
結局、「普段の生活」「テレビを見る時」「PCを見る時」「本を読む時」と4つも使い分けないとよく見えていない。

食料品の買い出しにスーパーに回ったら、先日やっていた入場制限の列はなくなっていた。
休日だから何をしても無駄だからなのか。
店内は「密」になる寸前。
手早く回って肉やチーズを買って帰る。

夜はホームズとコロンボ。
ジェレミー・ブレットのホームズがこんなにいいとは知らなかった。
新型コロナで図書館が閉館になる前に借りた「kotoba」という雑誌の「コナン・ドイルとシャーロック・ホームズ特集」を興味深く読む。まさかホームズ観始めるとは思ってなかったのに。
ウィキで見る限り、いろいろ持病で苦労した人らしい。
それあってこそのあの神経質そうなホームズなのか。

寝ようと思って最後にFB見たら、GくんがZOOM飲み中だ。
せいうちくんもう寝てるからこっそり書斎に行って始めてみたら、長老、Nくんと女性が1人。
「4連続ZOOM飲みやって、禁止されてるんじゃなかったのか」とGくんに笑われ、
「あんまり興奮しないならやっていいって言われてる。今寝てるし」と答える。

しかし、はしゃいで大声出してるうちに寝室のドアが開く音がした。
「あっ、起きた!」と言う間もなく、せいうちくんが顔を出す。
渋い顔で私とiPadと時計を見るから、「あなたもあなたも」とリビングに追いやった。
じきにノートPCから参加。

睡眠薬ものんだことだし、眠くなったから、1セッションと少しで、退場。
今日は「ブックカバーチャレンジ」お休みしてしまった。
東京都新罹患者は91人。
100人を切った!


20年5月4日

昼まで寝ていた。
一番近いスーパーに散歩に行き、買い物のついでに花を買いに行った。
「誰も皆 コロナを避けてこもる日よ 花を買い来て夫と親しむ」
お花配達システムに入っていて、ステイホーム中にいつも花があるのはいいな、と思ったものの、一番安いコース550円でも300円の送料がかかって毎週850円は痛い。
2ヶ月ほどで退会した。
不思議なのは同じアドレスでの再度の入会を断っている点。
無料お試し期間があるわけじゃないし、1回でやめようったって最初の4回分の金額は取るシステムだし、入ったりやめたりする人がいても別に困らないと思うんだが。
やめるまでの手続きがものすごく面倒くさいのとやたらに何度も引き留められるのは、どこの「退会」でも同じだね。

せいうちくんのポカミスでもっと遅れるかと思っていたホームWi-Fi、意外とすぐ届いた。
よかった。連休中に何とかなったじゃないか。
が、接続するも夜中のU-NEXTが全然つながらない。
明日の昼間、試してみよう。

しょうがないので録画したコロンボ。
第53話「かみさんよ 安らかに」はスゴいんじゃないだろうか。
初めて観たよ。なんで「ベスト・コロンボ」に上がってないのかな。
「別れのワイン」とか「構想の死角」ばかりよく聞く。
やっぱ、45話までの「旧作」中心に話が進んでるからかしらん。それ以降は別物、と。
それに、コロンボの私生活(?)を描きすぎてしまうと興ざめな人もいるかもね。
アイドルの熱愛宣言聞いたファンみたいな。

食事時は昨日録画した「未来少年コナン」を。
新型コロナで「キングダム」が作れなくなったからこれやるってのは、「映像研」人気のおかげなんだろうね。NHKの持ってるアニメだもんね。
世の中、不思議につながっている。
コナンコナンで生きてきたせいうちくんは「じ~ん」って生きがいを感じてる様子。
「16:9」の画角に特に文句もつけないのは、おそらく彼の中ではオリジナルの絵が勝手に動いてるからかまわないんだろう。
「人がせっかく一番いい絵で描いてるのに、勝手に端を切るとは」とつぶやいてはいたが。

友人のお宅では子供たちよりダンナさんが一番燃え上がっていたそうで、大童澄瞳がツイートで叱った「実況はワシのような5万回観た人に任せて、初見の人は真面目にコナンをみなさい」の対象者かもしれない。Twitterじゃなくてリアルに叫んでるだけにしても。
そこんちの夫人に「コナン原理主義者」と呼ばれたせいうちくんは、ダンナさんを、
「素質あるなぁ。原理主義者の後継者に育てたい」との野望を抱いたようだ。

おととい観た「ZOOM上演」に、今日やっとフリーカンパをすませた。
「OFUSE」というシステムを使うと、払った額に応じて1文字2円でメッセージが送れる。
熱い応援メッセージを送ったが、それほど字数がないので、お布施が余った感がある。
いろいろ面白いことができる世の中だ。
お返事ももらえて、とても嬉しい。

ブックカバーチャレンジ4日目。
生涯で何度読み返したかわからない「赤毛のアン」のシリーズ、全10巻に数年前新たに加わった第11巻上下。
アンの家族、ブライス家についてのウワサ話が時々出てくるという感じ。
篠崎書林から昔出ていた「アンの村の日々」「続・アンの村の日々」に未訳だった1篇と詩、ブライス一家の団欒の会話を加えて再編集し、元の翻訳よりブライス一家への言及をふんだんに取り入れている。
これ以上会えないと思っていたアンたちにまた会えて、とても嬉しい。孫のアンとかダイアナとかいるもんなぁ。
アンの一族は繁栄してますよ!

東京都新罹患者87人。
ちみっと減ってきたかな?

20年5月5日

GWもあと1日を残すのみの、こどもの日。やっぱり昼まで寝てた。
午後は、子供の姿を求めて友人ミセスAのお宅をZOOM訪問。

自転車で近くのピザ屋に行き、電話注文しておいたピザを受け取ってきてスタンバイ。
1枚600円。マルガリータとガーリックチョリソー。
食べながらZOOMで、おいしかった!
糖質制限を緩めてから体重は増加しがちだけど、これはぜひまた食べたい。
次は絶対「アンチョビ&オリーブ」食べるんだ。

「未来少年コナン」放送で大盛り上がりしたかったところ、たいそう喜んで鑑賞していたというダンナさんはいろいろ忙しめで、あまり画面に登場しなかった。
新たなコナンオタクを育てたい伝道者せいうちくん、ちょっとガッカリしてた。
「僕の推しはモンスリーです!」って言ったって、第1話で登場した時はまだ名前もわかってなかったという当たり前の事実が判明し、いやはやまったくマニアってやつは…
1時間に色とりどり様々な話題を詰め込んだおもちゃ箱のような楽しい時間だった。

ホームWi-Fiがつながりにくいので、改善。
すでにあるルーターとつなぎたいがために一緒にクロゼットに閉じ込めたのがいけなかったらしい。窓際に出したらWi-Fiさんの機嫌がよくなった。
もしかしたらもうちょっと投資しなければならないかも、と技術者せいうちくん。
おう、やってくれやってくれ。中途半端にしてもしょうがない。

ホームズを2本観て、昨日DVDが届いたテレビ版のポワロ観た。
「オリエント急行殺人事件」には驚いたな。
新旧映画版どちらとも全然違う、初めての解釈だった。
他作品では犯人を自殺に追い込んでも顔色ひとつ変えないことも多いポワロが、あれほど苦悩するとは。
そもそも徹底した合理主義者で、無神論者かと思ってたよ。ロザリオ持ってるなんて、驚いた。

やっぱり旧作映画版が一番いいとは思う。
新作版で、なんで拳銃の出るアクションシーンがあったのかどうしても思い出せない。
野村萬斎が勝呂探偵をやった日本版「オリエント急行殺人事件」の録画をなんで消してしまったのかも、自分で自分が理解できない。「黒井戸殺し」は保存してあるのに、なぜ!?
今買ったら2万円するんだぞ。
いつかBSとかでやるのを楽しみにしていよう。

ブックカバーチャレンジ5日目はジョーン・ヴィンジ「レディホーク」
大好きな映画の小説版(原作なのかノベライズなのか、イマイチ不明)
呪いをかけられ、暁に鷹に姿を変える女性と日没に狼に変身する男性。
そのあわいにだけ互いの姿を一瞬認める恋人同士の切ないラブストーリーだった。
ミシェル・ファイファーとルトガー・ハウアーの美しかったこと!
やたらに好きで、DVDも買ったよ。ゴージャスなB級って位置づけ。

東京都新罹患者58人。
3日連続減ってきたので、嬉しい雰囲気だ。

20年5月6日

終わりは来ちゃうなぁ。
なんだか寝てばっかりいたステイホームのGWも、もう最終日。
せいうちくんとたくさん一緒に過ごしたけど、考えてみればもう1ヶ月以上も物理的には毎日一緒にいるんだ。
まあ、8日間も続けて昼間仕事をしてないのは新鮮だったかもね。(ホントはちょこっとしてた日が多かった。新型コロナのせいか)

この8日間にやったことと日常外の活動と言えば、
・ずっとやらなきゃと思っていたアドレス書き換え作業
・PCまわりのコード類整理(BOX買ってから半年ぐらい経ってる)
・ホームWi-Fi設置作業
・「江戸を斬る 第三部」15話、「刑事コロンボ」12話、「シャーロック・ホームズの冒険」6話、「名探偵ポワロ」短編6話と長編2話の視聴
ぐらいなものだろうか。
大掃除や大整理はどうなったんだ。
羽根布団の入れ替えもしなかった。これは急に暑くなったので明日にはやらねば。

結局ZOOM飲みを4回ぐらいやっていた時間が大きいのかも。
仕方ない。ステイホームは、飽きる。
「船では11日間も退屈しなかったのに!」と、食事が楽しみだったとかショーがあったとか検証してみたんだが、やはり中心にあるのは「非日常」。これに尽きる。
ステイホームは日常になっちゃったからさぁ、読書やDVD鑑賞では払えない憂さがたまるんだよね。
贅沢言ってるのはわかるのでこれ以上の娯楽を求めようとは思わないものの、戦争中とか食べ物すらなくなっていくのに皆さんよく「保った」なぁ、と妙に感心してしまう。

しばらくぶりに働くせいうちくんを見て、そうかテレワークってのは働く夫をかぶりつきで見る絶好の機会なんだなぁと気づいた。
「夫や父の職場参観」があるでなし、朝、背広ネクタイで出勤し夜くたびれて帰ってくる、その間のリアルな活躍を目の当たりにするまたとないチャンス。
惚れ直す効用もあるかもしれない。じっくり見よう。

7日間ブックカバーチャレンジ6日目はおおやちき画「パズル幕の内弁当」
昔の情報誌「ぴあ」に毎号載っていたパズル。毎回頭をひねったものだ。
たまにミスプリがあって正答不可能なのもご愛敬。
のちに集大成「パズル幕の内弁当」となって出版された。
コピーを取って書き込みながら格闘するために、原本は大事に保存している。
凝ったものが多くて楽しめるよ。ステイホームの今、再版したら人気が出ないだろうか?

東京都新罹患者38人。
減ってきたねぇ。

20年5月7日

娘の誕生日。もう29歳。
生まれた時に重度の障害を持つだろうと告げられ、正直20歳まで生きてくれてビックリした。
医学と福祉の進歩のおかげだ。
これからもビックリし続けるだろう。
今も堅固に新型コロナから守られている。
面会停止が続いているためずっと会えてないが、誕生日だからと病棟に電話をかけさせてもらった。
担当さんが「とっても元気です!」とにこやかに請け合ってくれた。
Happy Birthday!

7日間ブックカバーチャレンジ7日目。最終日。
ちょうど娘の誕生日でもあり、パール・バックの「母よ嘆くなかれ」
障害のある娘を持った筆者のこの本を、29年前、激しく読んだ。
「逃れようのない悲しみ」を知ったあとでは人生は前と同じでないと、それぞれのやり方で生きていかねばならないと教えてもらった。
今でも心の支えになってる。

東京都新罹患者27人。
こう順調に減ってくると、施策が効いてるのは嬉しいものの「なんだ大丈夫じゃん」とか言って緩みそうで心配。
きっちりステイホームを守っているからこその減少なのだろうから。

20年5月8日

せいうちくんの仕事が始まってみると、これがやっぱりなかなか忙しいものだ。
当たり前なんだろうけど、1日中ほとんど口をきくヒマもなかった。
昼ごはんだけは一緒に食べたかな。
夜の散歩もさかさかっとすませ、晩ごはんもあまり食べる気がせず、なんだか地味な1日だった。

中学の時の友達とZOOMしてみた。
彼女は初めてなんだそうで、面白がっていた。
これはちょっとしたリハーサル、明後日に4、5人でやってみようと思ってる。
新型コロナ騒ぎでどこにも行けなくて、もちろん名古屋にも行けないから、ZOOMで小さな同窓会ができたら嬉しいな。

自分が初めてLINEに誘われた時は驚いたものだった。
今、ZOOMは日常の一部になってる。
上記の女友達は、
「新しくて面白い世界が開けたわ。ありがとう」と言ってくれた。
いろんな技術が生活に入ってきて、便利になったものだ。
来週は大きな集会をやるかも。ちゃんとできるのか?
息子とも来週末また家族ZOOM会の企画があるよ。

庶民レベルでこんなに頑張ってるんだから、東京都新罹患者が39人で低い数字を保ってるからって、うかつに警戒を解かないでほしい。
「3密」を避けて避けて、GWもガマンして、やっとこの数字になってるんだから。
医療サイドの人たちが少し休めるようになるまで頑張ろう。

20年5月9日

またテイクアウトのピザ買いに行ってみた。
45分前に「1時半に取りに行きたい」と言ったら、
「1時35分なら」と言われる。繁盛してそう。わくわくわく。

30分頃行ってみてわかった。
お店の前で3組ほど待ってるし、その間にも2人ほどがすっと入って予約の品をもらっていく様子。
分刻みで焼けて、売れていくんだ~!
1時35分ちょっと前に我々の分が焼けたと呼ばれたので、せいうちくんがお店に入ってお金を払い、ボックスを受け取ってくれた。
1箱に2枚のピザが、パラフィン紙を挟んで重ねてある。
今日の注文はマルゲリータとアンチョビ&オリーブ。

糖質制限はずいぶん緩くなってしまったが、仕方ない。
少しでも日常を楽しく演出する必要に迫られてるんだ。

夕方、明日の中学仲間とのZOOMにそなえて、気が進まなそうなAちゃんを「ちょっとやってみようよ」とまるでアヤシイ宗教のように勧誘した。
しかしうまくいかなかった。
不信を募らせてしまったかもしれない。

この謎は、夜中に解けた。
Gくんが開催してくれたいつものZOOM飲みに入ろうとしたら、パスワードを聞かれたのだ。
ごく初期に必要で、その後いらなくなったはずのもの。
Gくん部屋の古いアドレスを探し出し、そこに記載されていたパスワードを入力したら、入れた。

Gくんが言うには、昨日あたりから急にまた必要になったそう。
そうかー、それで昨日Cちゃんとやってみた時はまだ不要のままでスムーズだったのに、今日Aちゃんとはうまくいかなかったのかー!

あわてて中学の友達とのLINEグループに訂正版アドレスを流す。
せいうちくんも今日、来週の大きなZOOM会の案内を送ってしまったばっかりで、明日にでも新しいのを流さねばと言っていた。
Gくんや長老他6人ぐらいでやってるZOOM飲みのその最中に、Aちゃんから「うさこの送ってくれたURLで入ろうとしてみてる」とLINEが来る。
GくんZOOM飲み会をいったん抜けて、そちらに専念しよう。

自分のZOOM部屋に入ると、Aちゃんサイドでは「うさこの顔は見える」そうだが向こうの顔も声も出ない状態でLINEでやり取りし、しまいにAちゃんから電話までかかってくるという非常に様々なトライののち、ついに彼女の顔を見て話すことができた。
ZOOMの夜明けだ!

が、「スマホが古くて」と言うAちゃん、60パーセントあった充電がみるみる減って、これ以上の接続が不可能になった模様。
「また明日ね~、本番で、よろしく~」と叫びながらZOOMを終えた。

Gくん部屋に戻ったら、7人になってワイワイやってる。
せいうちくんとほぼほぼ同い年のHくんが最近カワイイ女性とのツーショットをFBに載せてくると思ったら、どうもカノジョであるらしい。
いったい何十歳年下なんだ。
遠恋であるらしいところも皆の興味を誘い、ZOOM取り囲み質問会になっていたよ。
いや~、いくつになっても恋はいいもんだねぇ。

東京都新罹患者36人。
GWにガマンした結果はまだ出てないものの、いい傾向だろう。

20年5月10日

夕方、息子のZOOMインプロコント生配信があった。
面白いかと言われれば、親だから興味を持つが、彼らの友達関係者以外の一般の人にはまだ訴求しないぞと感じた。
それでも今は、チャレンジし続けているだけでもスゴいと思う。
頑張れ、若者よ。不遇の時の過ごし方が未来を決めるんだ。

面白いのは、お題も歓迎と言われて双方向らしいので、チャットに「ナイル川殺人事件」「カーテン」と続けて書き込んだら、
「あ、何か来ました…ナイル川殺人事件って、なんかの作品だろうか。小説?」
「一番読んでそうなNくん、どう?」
「えー知らないっすね(ググって)クリスティのミステリらしいっす」
「そっか、『カーテン』いいね!話が広がりそう。みんなの(画面の)背後にもあるし」
という流れ。

結局両方ともお題に使ってもらえて他のお題と組み合わせて即席コントになったのは嬉しいが、君たち、クリスティ知らんの?!
「カーテン~ポワロ最後の事件~」知らんの?!
でもカーテンにくるまると別の世界に行ってしまうコントの終わりは「そしてだーれもいなくなっちゃった…」なんだよ、知ってるのか知らないのかはっきりしてくれ!
たぶん、「そして誰もいなくなった」はストーリーのひとつの類型として知識があるんだろうな。
ポワロは…知らんのだろうな。

息子がルパンもホームズも読まないでオトナになっちゃった時はどうしようかと驚いたが、じゃあ逆にこっちは「かいけつゾロリ」の子分の名前知ってるかって言われたら、知らないもん。
世代に文化の差があるのはしょうがない。
我が家はそれが小さめなんで、油断していた。

DVD買っちゃったポワロ、いつか息子に送りつけてやろうかな。
イギリスの戦間期のやや退廃した空気を描いた名作だぞ。
上流階級の連中が、自分には資産がないから誰かの遺産をもらおうと人殺しばっかり企んでる話でいっぱいだぞ。
所得の落ちていく日本に通じるかもしれない没落の徒花だ、見て損はない。

見てる同士でチャットできるのが面白いな。出演者にも見えてるらしいし。
グループ一部メンバーにはコアなファンがついてたりする。
私も推しの女性を誉め称えておいた。
こういう双方向性は初めて体験した。面白いもんだ。

さてと、夜は中学同窓ZOOM会。
まずMちゃんが現れ、続いてCちゃん、Rちゃんが現れる。
お誕生日なのでお祝いされるAちゃん本人は、家族とお祝い中なので少し遅れるそう。
「うさこの顔だけ大きく映ってるの~」と訴えるMちゃんはスマホ。
PCのCちゃんRちゃんはすぐに画面が4分割されて参加者全員が均等に映るやり方を会得したようだが、私もタブレットだし、スマホでのやり方はわからない。
自分のスマホでも入ってみて、あれこれやることしばらく、大汗をかいてやっと「左にスワイプして画面を変えると全員映る」と発見し、Mちゃんに伝えたら、「わ~、できた~!」。

スマホでの参加を切り、ここでいったん落ちついて(Mちゃんは飲み物を取りに行き)、ゆっくり話が始まる。
大事なことは、みんながWi-Fiにつながっているかの確認。
いや、スマホとかでWi-Fiにつながっていない人が動画を見るとすごい勢いでギガが減る(この現象が、実はわかってない)んだそうで、制限の天井にぶつかったり翌月の請求が増えたりするらしいんだ。
長老たちに注意された点。
幸い、あとから来たAちゃんも含めてみんなWi-Fiだそうなので、それはクリアしてる。

今日がお誕生日のAちゃんは保母さん。自宅でみられる親御さんには登園を控えてもらっているが、一定数の園児はいるので、毎日ハラハラだそう。マスクは暑いとこぼしていた。
役所を定年退職したCちゃんは次の仕事までの2ヶ月が「人生の春休み」になるはずで、海外旅行とか色々計画もあったろうに、「断捨離して過ごした」と涼しい顔をしていた。人間が練れている。
銀行フロアの案内をしているMちゃんはマスク以外にフェイスシールドもつけてるって。これも暑いらしい。
結婚式場にお勤めのRちゃん、4月はさすがに1件もなかったが、5月は入ってるとのこと。
「通常7人ぐらいをお勧めしてる円卓、4人ぐらいでやりましょうとかご提案しないの?」と聞いたら、「どうなんだろう、今度席の表見ておく」って。

それぞれに、苦労しながらいろんな生活をしている。
働くってのはつくづく大変なことだ。
息子には働け働けと言うが自分はちっとも働かないワタクシ。

私以外全員名古屋に住んでいるので、雰囲気がずいぶん違うのを感じる。
スポーツクラブやネカフェも開いてるとこは開いてるらしくて、車がいっぱい駐車してあるんだそうだ。
やはり東京は、人口としては全国の1割にすぎないのに全罹患者数1万6千人近くのうち5千人をたたき出す「3密」な都市なのだなぁ。

美容院どうしてるとかマスクしてると化粧が楽とか、「女子な話題」を新鮮に聞いた。
メイクするのも働く女性なればこそか。
白髪が激しく目立ってきてるのだけは私もちょびっと気にしてるんだが。

萩尾望都の「ポーの一族」、中学時代は学校中の女子が読んでると思ってたら、
「名前は聞いたことあるけど読んだことない。萩尾望都先生は知ってるけど」と言う人もいる。
そんな中でなぜか聞かれた流行りのマンガ。
「なんていったっけ、難しいタイトル。かい?き?おに?漢字が怖い」
「鬼滅の刃?」
「それそれ!すっごく流行ってるよね~面白いの?」
「子供か、マンガの好きな人でないと難しいかも。登場人物と技の名前が多すぎて、漢字が難しすぎて、勢いで読んではいるけどついて行けてない」と告白する羽目になった。
まだ孫が読む年でもなく(幼児だもん)本人も特にマンガを読まないにも関わらず知っている。
「鬼滅の刃」おそるべし。

途中で「古いスマホが熱くなって落ちちゃった」Aちゃんをのぞいた4人になっちゃったが、トータル1時間半ほどZOOMし、
「楽しかったね~」
「またやろうね~」
「新しいことを教えてくれてありがとう!」と言いながらお別れした。
私も、名古屋に行ける見込みは当分なさそうだから、こうしてみんなが会ってくれると嬉しい。

もしかしたらZOOMさえあればリアル会合はいらんかも、と思うほどの危険思想が芽生えつつある。
女性陣も「化粧がいらなくなった」「着るものにお金使わない」などと消費が冷えるような発言が多く、私としてはこういう時代を待っていた気がするよ。
少なく稼いで、精神的なものに楽しみを求める。
ちょっと昔に流行った「清貧」をもっと前向きかつ「それ以外しょうがないじゃないか」って勢いで広めていきたい。

本日の東京都新罹患者22人。
毎日記録を更新するように減ってきている。惨事はまぬがれたってことだろうか。

20年5月11日

1日遅れ(夜中だからセーフ?)で息子から「母の日のメッセージ」がきた。
「母の日、おめでとうございました」
急に思い出したんだろうか。そして、おめでとうと言う日なんだろうか、と首をかしげる。
もちろん内心ものすごく嬉しい。

「優しくて、その都度言葉を脳内で整えてから会話をすることに重きを置くお母さんのことを尊敬してます」と書いてきてくれた。
息子よ、母は、実はほとんど無意識にしゃべっているのだ。全然その都度整えてなんかいない。
そこまで言語パターンが固まるまで、反射的に言葉のジャブを繰り出せるまで、読みに読み、書きに書き、しゃべりまくってきた日々の賜物だ。
実のところ、あんまりほめられたやり方ではない。
「多く考え、少ししゃべり、より少なく書く」賢者の道に背を向けた母の道を、あなたはたどらない方がいいかも。

「20歳の頃、一度だけカーネーションもらったことがある」と言ったら、
「心意気も、誠意次第では花に劣らずのメッセージ性を込められると気づいたので!20歳の頃は言葉を紡げなかったのでしょうがないどす」と突然祇園になった。なんでだ?
アベノマスクはもう届いたそうだ。
うちの方はまだだぞ。

と言っていたら夜、届いた。
噂にたがわぬフツーのマスク。洗ったら縮みそう。
しかし、友人女性に言わせるとなかなかいい生地でできており、ちゃんとほどいて水通しすると手製布マスクの良い内張りになるのだそうだ。
そこまでする気はないからなぁ。とりあえず水通しして、ただ使うか。

本日の東京都新罹患者15人。減ってきた減ってきた。

20年5月12日

GくんのZOOM部屋で長老らと飲み会。最大6人になった。
翌日仕事のせいうちくんは早々に寝て、女性陣もほどほどに抜け、最後は3人になって朝の5時近くまで。
無職の長老とGくんと私がしゃべってるとこうなる。

22時から始めての話だから7時間ぶっ通しで飲んでいたわけで、黒霧島の水割りをガンガン作っていた私の冷蔵庫からはしまいに氷がなくなってしまったほどだ。
最後の方は何を話していたやら。
ものすごい下ネタだった気もするし、やもめの長老が涙ぐむほどの純愛の話だった気もする。
もしかして両者の間にそれほど差はないのか?

ひとつわかったこと。
深酒をすれば睡眠薬はいらない。
いつせいうちくんの横にもぐり込んで眠ったのか、まったく記憶にない。
毎晩あんなに苦労して眠ろうとしてるのがバカみたいだ。
しかしその代償の頭痛は…ガンガンガン。

本日の東京都新罹患者28人でした。急に増えたー!
しかし、落ち着け!

20年5月13日

朝の5時に寝て9時に起きた。
自分でも酒臭い。頭が痛い。
朝風呂を立ててじっくり入って酒を抜いたつもりでも、なおせいうちくんに「まだ酒臭い」と言われる。がっくり。

お昼休みに息子の郵便物を書留で転送するため、近所の郵便局に行った。
もうすっかり初夏の日差しになっている。暑いじゃないか。
テレワークを終えた夜に散歩や買い物をすることが多かったから気づかなかった。
マスクも汗をかいてしんどい季節だ。

午後はせいうちくん、仕事上の講義をしてた。2時間ずっとPCに向かってしゃべりっぱなし。疲れるだろう。
慣れた作業ではあるんだろうが、教えるってのは大変なワザだよね。
教えるのも教わるのも大っ嫌いな人間からすると、高度な人種に思える。
そもそもテレワークになってから「働く夫の顔」を毎日見てるので、惚れ直すばかりだ。
思いっきりアタマにくる時もけっこうあるから、惚れ直す機会が多いのはありがたい。
仲のいい夫婦とは言え違う人間同士だから、いろいろ思うところはあるものだ。
「みんなちがって みんないい」と感じる瞬間を大事にしよう。

本日の東京都新罹患者10人。
オーバーシュートは完全に抑え込めたようで、東京都をはじめとする8都道府県は自粛継続の方針だそうだ。
東京は5月いっぱいの予定だが、途中での患者数の推移を見ながら1週間後に再考。
もしかしたら短くなるのかしらん。
けっこう幸せだったせいうちくんのテレワーク生活も終わるのか。
また会社に行っちゃったらさぞ寂しいだろうなぁ。
「通勤時間を思うと、僕もこのままがいいよ」とつぶやく人を、送り出さねばならんのか。
明日、正式発表だってさ。

今日の東京都新罹患者10人。このペースで行けばいいのかな。

20年5月14日

ほぼ昨日聞いたとおり、東京都は5月いっぱい自粛を続ける方針。
しかし7日後に再考の余地アリ。
めんどくさいな、途中で方向転換しなくてもいいじゃん、と思うのは私が今ちっとも困ってないからだろう。
それにしたって、どっかり腰を据えるってことがないんだろうか、安倍晋三さんには。

最近せいうちくんが難しい会議ばかりしてるのを漏れ聞くので、すっかりしおれてしまった。
テレワークうつの原因は、せいうちくんが家にいる面倒くささなどではまったくない。
「こんなにちゃんと働いてる人を私が縛りつけて」との罪悪感と、「元気で働き続けていられれば私だって」との不満感が炸裂するのだと思う。
この自信のなさと傲慢さの落差が激しい。

友人KちゃんとMessengerでやり取りしてる間に、「大人として社会の一員として、責任を果たす」とはどういうことか、の話になった。
いや、とある記事を共有して話していた時、恐るべきグラフを見たのよ。
日本財団が各国の18歳を対象に行なった調査(2019年)なのだそうだけど、日本の若者の数字はオソロシイほど低い。

「自分を大人だと思う(29.1%)」「自分は責任がある社会の一員だと思う(44.8%)」「社会議題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している(27.2%)」は、インドやインドネシア、中国の若者がのきなみ8、90%の数字をたたき出しているのに比べるとお粗末だ。
アメリカやドイツだって7割8割は行く。

「自分で国や社会を変えられると思う(18.3%)」は韓国(39.6%)もドイツ(45.9%)も低いが、インドじゃ83.4%の若者が「変えられる」と思ってるらしいぞ。
そして、「将来の夢を持っている(60.1%)」はなんなんだ。
どこの国でも若者たちは夢は9割以上が持ってるってのに、どうして日本の若者は夢だけでも持とうと思わないのか。

このグラフに並べて書いてある「学習性無力感」を今の若者は持っとるのかねぇ、本当ならヤバいねぇ、と議論に花が咲いたわけ。
「18歳のあなたならどう答えたかな」と問うたら、
「おっとそう来たか(よい返し)18歳のうさちゃんは?」とこっちに振られた。
質問した側が先に答えるんかい。私ら火星人かい(萩尾望都「スター・レッド」より)

お互いコドモでいたいタイプなのはよーくわかってるにしろ、明らかになった違いは、私が「稼いでいるかどうか」で「大人で責任ある社会の一員」であることを決めるのに対し、彼女は「選挙に行く」などの役割の方を重視するようだ。
「あー、逆に、働いてた時代は投票してなかったわー」と言ったら大ウケしてた。

私にとって「大人」の第一義は、「価値(金銭)を生むことにつながる仕事をして対価をもらう」なんだよね。
価値の生み方が複雑になってて、一目で流れが追えない世の中なのは当然だけど。
自分の口を自分で食わせていないのを気に病んでる私にせいうちくんは、
「どうしても気になるなら、子育てを終わって引退した60歳専業主婦だと思ったらいい」って言うが、こんなに何にも家事も子育てもしてこなかったのに専業主婦だなんて言えないよ!
いくらKちゃんが「ほぼ100%せいうちくんの言う通りに見えるから、大丈夫」と請け合ってくれても無理だ。
障害者福祉年金とかで生きてきたと考える方が、まだしも納得がいく。
真面目に悩みすぎる点を、今日もKちゃんがクールにではあるが、慰めてくれた

せいうちくんは男性としてはとても珍しいメンタリティを持っている。
家庭を「カンパニー」と捉え、共同経営しているので働ける人が働けばいい、得られた賃金ははすべて共同資産であり、また、家事労働もできる人がやればいい。
決して外で働く人と家事をする人の分業ではない、と唱える。
また、私は自分が認識する以上にカンパニーの目に見える稼ぎ手(つまりせいうちくん)の生きがいにして潤いであり指導者で方針決定者で、余人を持って代えがたしと主張する。

ありがたすぎて涙が出ていいのかどうか悩むレベルだ。
こういう人が存在すること、その人と互いに結婚という社会的契約を交わして遵守していること、お互いに契約日以来ほぼずっと同じ価値観でやって来られてること、すべてが奇跡のようだ。
向こうもそう思って勝手に感激してるようなので、世にも幸せなペアとして知らん顔して生きていこうかな。

せいうちくんによれば、人は不幸は声高に主張するが幸福はあまり言いふらさないものだそうで、
「こういう夫婦はたくさんいるよ。サイレント・マジョリティなんだよ」とのこと。
幸福を朗々と宣言するあたり、私はちょっと修行が足りないんだろうな。
旗を立てて領土を主張するが如く、自分の幸福を他人に認めてもらわないと不安なんだろう。
認めない人は、自分の内側にいるというのになぁ…

東京都の新罹患者は30人と、ぴょんと飛び上がる感じ。
まあ平均して下がってくればいいんだ。あわてないあわてない。

20年5月15日

どうも気分が不安定。眠れない。
長時間睡眠薬を多めに服用しても6時間がせいぜいになってきた。
まあそれぐらい寝てれば死なないんで、いいんだけど。

不調の型について、せいうちくんの観察も加えて話し合う。
・何かに追われているように不安でしょうがない時→せいうちくんからも、そわそわして見える。悲観的になる。
・興奮して早口でしゃべりまくる時→楽しそうではまったくない。考えが止まらなくなってる感じ。
・何もする気がおきず、ぐったりしている時→いわゆる「うつ」な状態。それでよしとして、眠るしかない。

それぞれの状態に応じた薬をもらってはいるので対症療法的に服用しているが、興奮してる時の薬はややたくさんもらえているので、オーバードーズしやすい。
これを多めにのんで寝ようとすると、まあ狙い通り気絶したように眠れるんだけど、セットになっているかのように必ずものすごい悪夢をみる。
うなされて悲鳴を上げて起きるレベル。
目が覚めてからも正気に戻るのに時間がかかり、これがもしテレワーク中じゃなくてせいうちくんがそばにいなかったら、次の妙な行動につながりかねない。
もうちょっと控えよう。というか、これで眠ろうとするのはやめておこう。

たった今は、良くなることは考えなくてよくて、ただ1日1日を無事に過ごすこと、新型コロナにかからずに無事に生活すること、を目標にしようとドクターから言われている。
たぶんそれが正解。
心身共に健康な人でも参るよなぁ、それが「自粛期間」だよなぁ、となるべく当たり前にとらえようとはしている。
ライフスタイルとしては非常に自分に向いてると思える「新しい生活様式」も、目に見えないほこりが床につもっていくように、何らか精神状態に影響があると心すべし。

楽しいニュースも入る。
先日初めてZOOM体験をした中学友人のCちゃんが、あんまり面白かったんで自分でもアカウント取って、高校の友達と同窓会を企画してるんだそうだ。
遠く南米の人も参加するんだって。
距離に関係なく、顔を見て楽しくおしゃべりできるからね。
「貴女のおかげで新しいコミュニケーション方法が得られました!」と盛大に感謝されたよ。嬉しいな。
また私ともよろしくね、Cちゃん。

今日はスゴいよ。東京都の新罹患者は9人。ヒトケタ!
このまま行くとあと1週間で自粛解除かな。テレワーク終わってせいうちくん会社行っちゃうのかな。寂しいな。

20年5月16日

せいうちくんは年に1回、学生時代のサークル仲間内で気軽な講座を開催している。
「休日講座」と呼ばれるこれは、毎回2人の講師を募り、市役所の会議室を借りて10人ほどの聴衆を集め、趣味や仕事に関するお題について1時間半ほどの講義をしてもらう集まり。
20年以上前に、友人が卒論の話をしてくれたのがあんまり面白かったものだから、
「我々だけで聞いてしまってはもったいない、ぜひみんなに聞かせたい」と講義に仕立ててもらったのがきっかけ。

ちなみに今回その歴史をきちんと整理したら、いろいろ面白いことがわかった。
・最初の数年は年に2回やっていた
・講師の急な事情でのキャンセル。ピンチ!での代講もあった
・逆にせいうちくんが講師を頼んであった人のことを忘れて別の人に頼んでしまっていたため、あとから頼んだ人には謝って辞退してもらってた(よく考えれば、その年は講師を3人立ててもよかったような)
・インターネット界隈の仕事をしている講師が、ネット生配信を試みたことがあった
・2017年には私の手術のせいで初の1年とばしになった
・今年はコロナのせいで初めてZOOM飲みが採用された
様々なことが起こるものだ。全部で23回。
毎回誰かが講師に立ってくれるのも偉いが、主催し続けてきたせいうちくんも偉い。

今年も「タイ語」を勉強している最中の人と、「定年後は『盆オドラー』で食べていきたい」と東京中の盆踊りを見て歩いている人、2人の講師が手を上げてくれて、異色の組み合わせとなった。
いつもの市役所の会議室は早々と閉鎖がわかり、休講も考えたせいうちくんだが、ZOOMを使ってサワリだけでも、との提案を講師の方々が快く承諾してくれて、開催の運びに。

ZOOM画面で始まった講座には講師を含めて17人が参加。
iPad Proの画面には9人までしか表示されないので、急遽デスクトップPCの画面を表示用に使う。
カメラがついてないのでZOOMには使えないものの、画面表示のみならこっちの方が優秀だ。

「タイ語」って、全然知らなかったなぁ。
字の作りがシステマティック。五声調なのか。
盆踊りはどこのご町内でも盛んだそうで、夏には毎晩どこかしらでやっているらしい。
ただ、今年の夏はキビシイだろうと寂しそうに講師は語っていた。
石川さゆり・加山雄三・竹原ピストルが歌う「東京五輪音頭2020」を聴かせてもらい、基本の「炭坑節」を軽く皆で踊ったのち、大流行したという「ダンシング・ヒーロー~盆踊りバージョン」を。もちろん全部上半身だけとなるが。
いや~、炭坑節はともかく高校生じゃないから「ダンシング・ヒーロー」は厳しかった。

講座もそのあとの「反省会」と称する宴会にも、普段以上の出席者が集まり、盛況だった。
何より関西や北海道からも参加してもらえたのが画期的で、10数年ぶりの邂逅も多数起こる。
13時半に講座が始まり、16時頃からはごはん食べたり眠くなったりで出て行く人がいて、そしてまた戻ってきたりする。
背景にスターウォーズの船内使う人ありスタートレックのブリッジ使う人あり。
別荘から夫婦での映像を流す人も、ずっと犬を抱いてる人も、大学生の娘さんを紹介してくれる人も小学生の息子さんをひざに抱える人も、本当にさまざま。
夜中には急に呼ばれる新たなメンツなんかも出現してた。

人の出入りが多くなった夜中にあんまりよく知らない先輩と後輩としばらく3人きりになった人がいて、「どうなることかと思ったが、なんとか話はつながるもんだ」との感想だった。
最終的に閉会したのは夜中の1時半。講座開始して12時間後のことだった。
まるで大昔に戻ったような懐かしい展開。
いろんな意味で、ピンチをチャンスに変えることができた会合だったのでは。

「反省会」中に来年の講師を決めてしまうのが恒例で、「まだ講師やってない人は?」の声に、「じゃあ僕、BABYMETALやります!」とBMオタの手が上がったので、なんだか対抗上「じゃあ、THE ALFEEやります!」と宣言してしまった。
だってさぁ、主催者の妻なのに20年以上講師逃げてきて、限界近かったんだよ。
というわけで、来年は音楽つながりの2講座となる。
意外なほど好評だったのでまたZOOMもいいかな?とせいうちくんの野望はふくらむ。

夜中に落ちる寸前、そのBMオタ講師とせいうちくんともう1人の4人きりになったので、
「コンサート行ったことはあるの?」と対抗上相手の手の内を探りにかかったところ、
「数え切れないほど行きました」
ああああ、実は私、THE ALFEEのコンサート1回も行ったことないんだよ。
人混みもうるさいのも好きじゃないからコンサートなんか無理なんだよ。

ファンを始めた20年ほど前、「解散するかもしれないじゃないか。1度行っておいた方がいい」と多くの人たちから言われ、せいうちくんも「チケットがあれば行くだろう」と電話(そんな時代だった)でチケット取ろうと試みた時期がある。
もちろん販売開始と同時に電話はずっと話し中で、30分後にやっとつながった時は「売り切れです」と無情に言われたようだった。
だからさぁ、行かないんだってば。

アル中ってほどのディープなファンじゃない。
20年ぐらい前に「25th Anniversary」で売ってた高見沢さまのご真影を飾り、やたらにDVDを買い込み、タイトル当てクイズをやれば70問ぐらいまでは正答する、その程度のものだ。
THE ALFEEにもネットにもファン活動にも不慣れな頃に無謀にもファンの集うサイトに飛び込み、当時は「やおい」と呼ばれていたような発言をしてしまったため白眼視されて耐えられず退会した黒歴史を持ち、それ以来ホンモノのファンは怖くてしょうがないようなビビったソロのアルフィー好きなんだ。

YouTubeに「歌ってみました」を投稿したりしない。
高見沢バージョン天使ギターレプリカを注文したりもしない。
坂崎の「和硝子に抱かれて」って本を買ったり硝子展に行ったりもしないし、桜井商店に行ってマサルカレー買ったりもしないんだ。
20枚ぐらい集めたDVDを時々観て、曲数が少ないDAMじゃなくてJOYSOUND行って「幻夜祭」「シュプレヒコールに耳をふさいで」「LIBERTY BELL」を勝手に「学生運動三部作」って名づけて立て続けに歌うだけなんだ。

いや、話はそれましたが、今から緊張でチビリそう。当日、逃げ出すかもしれない。
3度ほど講師を務めた主催者せいうちくんは、
「あんまり早くから準備しようと思うとプレッシャーになるから、2ヶ月ぐらい前に始めればいい。その頃、僕も会場を取り始めるから。大丈夫、THE ALFEEが最初は4人だったこととかついこないだ明治学院大学を名誉卒業できたこととか、普通の人は全然知らないから、そういう話をすればいいだけ」とはげましてくれるからなんとかしよう。

いやあ、これまで多くの人が、
「私の話なんて面白くないですよ。仕事でやってるだけの、なんでもない話ですよ」と尻込みするのを、
「あなたにとっての『あたりまえ』が、普通の人にはそうじゃない。とても面白い。ぜひお願いします!」とせいうちくんと一緒に口説いてきたのが今、一気に我が身に返ってきている。後悔先に立たず。
皆さん、ごめんなさい。

しかし、楽しい会だった。
自粛が明けたあとも「新しい生活様式」が待っている。
絆を新たに結び直して、皆さんまたお目にかかりましょう!
本日の東京都新罹患者は14名。確実に減ってきています。

20年5月17日

1時半までZOOM宴会やっててそれから風呂入って、おまけに興奮の極地でせいうちくんとおしゃべりしまくった挙げ句に寝たのが明け方過ぎ。当然起きたのは昼過ぎ。

だってね、昨日の宴会の比較的穏当な時間帯(17時)に1時間抜けて、息子のコントグループの生配信見に行ってたのよ。
ちょうど幾人かは抜けてごはん食べに行ったりし始めてたからちょうどよかったし、戻ってきてもまだまだけっこう大勢の人がしゃべってた。
20時過ぎるとずいぶん人が減ってきて、iPad Proの9人画面でも十分対応できる程度になったかな。
18時半頃帰る人に、
「お疲れさま。うちも23時から息子とZOOMなので、それまでには帰るよ」と個人メッセージ送ったら、
「それまでってけっこうあるけど!」と驚かれた。
そう、気ぜわしいことに23時からは息子との家族ZOOM会。
「土曜は大きめの集まりやってるから、金曜夜か日曜昼間に」ってお願いしてたけど、彼には土曜夜が都合良かったみたい。
23時だったらさすがに宴会終わってるかと思ったのに、ZOOM飲み恐るべし。

「じゃあ、うちは1時間ぐらい息子と家族ZOOMやるから、皆さん、ここは退去してください。続きはGくんのZOOM飲み部屋で、よろしく」とその時残ってた7人ほどに行く先をメールする。
「我々も終わったらそっちに行くから」と言うと、口々に「息子くんによろしく~」「私もそろそろ抜けます~」などと言う中で、いつものように完全に酔っ払ってぐでぐでモードに入ってるGくんが、
「なんだ~、どうして我々がいちゃいかんのだ~!そんなに息子を会わせたくないのか~過保護~!」とからむ。
「長老だって娘さんから『ZOOMしよ』って言われたから『こっちに来い』って返したけど、来ないらしいじゃない」と言っても、
「じゃあ、みんな、あとからせいうち家に乱入だ~!!」て叫ぶGくん。

あいにく会議室を分けるってテクニックを知らないんで、とりあえずそちらの会議は終了させ、あらためて息子を呼ぶ。
メインPCの画面でGくん部屋に名義上だけ参加してモニタしてる状態。
Mちゃん夫妻が長老とGくんとおしゃべりを続けてるようだ。
他の人は帰っちゃったかな?

やがてこっちの部屋に来た息子とさっき観たコントの感想とか話してたら、PC2台使いの長老がやってきた。
「いや、Gくんがせいうち家の息子の将来を話し合う深刻な家族会議、様子見て来いって言うから」って笑う長老も相当酔っ払ってる。
彼は新型コロナ前、息子のコント舞台を生で観に来てくれたことが2度ほどあるので、息子も「その節はありがとうございました」とていねい。

「別に深刻な話はしてないよ。今さら『コントなんかやめて真面目に就職しろ』ってスタンスじゃないんだから。給付金10万円の受け取り方の相談とか、住民票どうするとか、ホントに家族の雑事を話してる」と追い払ったと思ったら、今度はGくんが乱入。
こちらはまさに乱入というのがふさわしいテンション。

息子「あ、はじめまして」
G「オマエは、オレに会ったことないのか~」
私「小さい頃から時々は会ってるおじさんだよ」
息子「そうなんですか。いつも両親と遊んでくださって、ありがとうございます。最近は特にZOOMでお世話になってるそうですね」
G「オレもな、YouTube始めたんだ。あれは、いったいどうやるとアクセス数が上がるんだ!?」
息子「こつこつ真面目に配信していくしかないですね。自分らも、配信回数を増やそうと頑張ってます」
G「発信者どうし、おたがいにケチつけ合おうじゃないか~。オマエのはな、長すぎるぞ!それにまだまだ面白くない!さあ、オレのにもケチつけろ!」
息子「自分、まだGさんの見てないですから」
私「鉄オタなんで、GoogleEarthと合わせて東京や日本のあちこちを1分ぐらいで語ってるよ、なかなか興味深いよ」
息子「それはすごいですね!面白そうです!」
G「ま~だま~だ本数が少ないんだ!40本ぐらいしかないんだ!」
私「Gくん、あとで行くから、ホントに帰りなよ。家族水入らずにしてよ」
G「ZOOM部屋のホストはな、気に入らない参加者はポーンとはじき出せるんだぞ」

って参加者から外すやり方教えてくれたから、早速その手法を用いてご退出いただいた。
Gくん面白いから好きだけど、息子との時間だってそんなに無限にあるわけじゃないんだもーん。

「ごめんね~、ただでさえ母さんたちに時間割くだけでも迷惑だろうに」
「迷惑なんて、そんなこと全然ないよ。話せて、嬉しいよ」
もちろんこれは両親、せいうちくんと私のことで、おじさんたち相手じゃないからね、Gくん。ふふふ。

その後もまた長老が「様子見に来た」のと、ずいぶん前に抜けたもんだからGくん部屋に誘導するの忘れてたBABYMETALオタが家族会になってるのを知らずに再登場したのとで、全体におじさんたちを紹介するのにものすごく時間を取られてしまい、今日はあんまり話せなかったな。
私も、Gくん部屋に戻って宴会の続きがしたかったのは否定できない。

でもね、Gくんが息子に、
「で、お母さんのことはどう思ってんの?」と尋ねてくれたから、
「優しくて、言葉をていねいに紡ぐ人だと思います」なんて言われて、嬉しかったぞ。Gくん、GJ!
それに、
「両親には、どのぐらい生きててほしい?」なんてストレートに聞かれて、
「そうですね、元気でいてほしいですけど、健康年齢の70歳ぐらいでしょうか。特に母は、ものを読んだり書いたりが好きな人なので、そういったことが自由にできなくなってからの人生は楽しめないと思うんですよね」とこれまたストレートに答える息子には好感を持った。

彼は母方の祖父母(つまり私の父母)がそろって70代で亡くなっていて、もう2回も葬式に出ているから、あんまり長生きってイメージできてないんだと思うよ。
若いんで、自分自身「夭逝を夢みる」って境地を抜けてない可能性もある。
その気持ちは、還暦までの馬齢を重ねた私にもよくわかるよ。

そんなこんなで40分のZOOMセッションを2回で終えて、1時間20分後に戻ったGくんの部屋では、長老GくんBMオタが3人でしゃべってた。
すぐにセッションが終わったらしく、切れたのでいつもの要領で戻ったら、完全に酔っ払ったGくんは戻ってこないようで、長老とBMオタとせいうちくんと私の4人になった。
「ホストがまだ参加していません」のZOOM部屋で、もう2セッション。

「この時間はたいてい長老とGくんと下ネタになるんだよ。たまに宴会で会うあなたが大真面目に語る下ネタもたいそう面白いんだが、親子愛の話と下ネタ、どっちがいい?」とBMオタに聞くと、それこそ大真面目に考え込み、しばしののち決然と、
「家族がいる空間での下ネタは違和感がありますので、親子愛で」との答えだった。
そこで、
「子供はさぁ、カワイイよね。だけど、別の人生だからあんまり影響を与えたくないよね。問題は、親が何か言うとそれが必ずある種の影響になっちゃうって点だ。『~しなさい』って言っても、『~するな』って言っても、そう言われたってこと自体が何かの影響になっちゃう。観測者がいる限り必ず観察対象には影響が出る」と語ってみる。
私も酔っ払ってるな。

「ねえ、長老。だから子供の『妊活問題』には慎重でないといけないんだよね」と振った頃には誰も彼もがかなり酔ってた。
長老がいつもの「自身の子作り体験」を語り始める前にセッションの切れ目が来たので、
「じゃあ、今回はこれで。お疲れさまでした!」とせいうちくんが締めて、かくして長い長い「休日講座と大宴会」は終わったのでした。

起きたのは昼過ぎでも、食料の買い出しには行かねばならん我々。
気づいたら最近、タラフライとステーキと豚肉しょうが焼きとプルコギ(最初からタレに漬けた肉を売ってるので、焼くだけ)以外のものを食べてないぞ。

夕方からはまたしても息子のYouTube生配信を観る。
彼らも頻繁に配信しなければならないと気づいたのか、週に3日、定期的にいろんなプログラムでやるようになったのだ。
昨日は延々「グループの紹介」と称して実際は「リーダーである息子を弄る」1時間だったが、今回はお題をもらってのインプロコントをやっていた。
まあ、いろいろやってみるのはいいことだ。
コント部分だけを編集して翌日流してたアーカイブはけっこう良かった。

息子の「生業」が不安定なのは心配だがだんだん慣れてきて、せいうちくんと、
「普通の会社勤めだったら『ちょっと会議見せてもらおう』ってわけにいかなかったねー。コントやってくれてるから、おまけにコロナのおかげで、こんなに始終顔が見られるね。仲間がいて元気にやってるのは嬉しいね」とうなずき、慰め合う。
ほとんど学芸会を見る親のレベルだ。
親も子も、こんなことじゃイカンのだろうなぁ。

でもね、昨日の夜中、大宴会のあとでとてもとても寂しくなっちゃって、
「いろいろ複雑で泣きたい夜だよ」と訴えたら、息子は、
「何が複雑なんだい?」って聞いてくれた。
「夫がいて子供がいて友達がいて幸せだけど、誰の人生にも直には触れられない様な気持ちかな。楽しすぎるのも身体に悪いね。もう寝ます」って泣き言にも、
「雨の夜には僕もそんなことを少し思って、すぐにコメディーのことで上書きしてしまうよ。そんなもんさね。おやすみなさい」と返事をくれたよ。
優しく育ってるじゃん。ちょっと突き放してくるのもいいね。

このあとせいうちくんにしがみついて、
「息子に会いたい~!電話する~!話したい~!!」とおいおい泣いたのは、彼には一生黙っていよう。
泣いただけで、電話しなかったんだから、偉いじゃん。
そんな夜もあるさね。

東京都新罹患者が5人ってのは驚いちゃった。なんとかなってる。

20年5月18日

通院日。天気がいいので自転車で行った。
結局自粛が始まってから1回も公共交通機関に乗ってない。
元々外出が少ないもんね。
せいうちくんも会社さえ行かなければほぼ私と同じ生活だよ。
今日は仕事が忙しいので同行はあきらめた模様。

ドクターはあいかわらずビニール膜の向こうにいる。
「基本、夫が家にいてくれるせいもあって何とかなってますが、不眠や不安は感じます。これは現在の状況下、誰もが同じでしょうね」と言うと、まさにそうで、そこはもうどうしようもないそうだ。
私のことを話すというよりはこれからの日本を憂える会みたいになって終わった。
息子が頑張ってる話をして、そういう息子を育てたこと自体でもう私の生産は終わってるので社会的に引退でいいですか、と聞いたら、いいって。
「60過ぎて英語の勉強をする人もいれば蕎麦打ちをしたいって人もいるけど、その人たちが若い人たちみたいに日本の英語教育を考えるわけにも行かなければこれからの農業を考えるわけにも行かない。20代と60代では、残っている時間も気力も違っていて当たり前」と言われた。

なるほど、私はこれまで、まだまだ何かしなければならないと思っていたなぁ。
人の役に立ち、魅力的な人間になり、世の中を憂えるんだと。
ある意味20代の頃に考えていた自分のままでいたわけで、それはもう、しなくていいことっつーか、やりすぎるとグロテスクになりかねない傲慢かもしれない。
いや、向上心のある人や自然にできる人はやったらいいけど、私はそこまでできない。
自分のことだけ考えていても人を巻き込めるほどの力がわいてくるってのは、若い頃だけのウルトラパワーなんだろう。

「自分は自分でいい」って百万回言われ、百万回読み、百万回思おうとした。
まだ無理だが、百万一回目のトライだ。

まずは自分に優しくしてあげよう。
お気に入りのナポリタンを出す喫茶店がテイクアウトを始めたとTwitterで知ったので、街に出たついででもあり、薬局に処方箋を出す前に電話注文しておく。
薬をもらってから、私のナポリタンとせいうちくんのポークジンジャーカレーをテイクアウトしに行く。
炭水化物祭りだ。いちおうサラダもついてるから、いい。
できる範囲で楽しく過ごさないと、少なくとも自粛期間は乗り切れない。

ちょうどせいうちくんのお昼休みに家に戻れた。
お店に行ってた頃を思い出し、特に息子といった日々を思い出して、2人で喫茶洋食のランチを楽しんだ。おいしかった。またテイクアウトしに行くぞ!

本日の東京都新罹患者は10人。
上がったり下がったりだけど、長い目で見れば確実に下がってる。

20年5月19日

女友達がPCを新しくしたいと言う。
うちと同様デスクトップとノートの両方を使う彼女(面倒だ。仮にQちゃんとしよう)で、今回はとりあえずデスクトップを新調したいそうな。
せいうちくんと3人でZOOM話をしたいと言うので、仲間内にはもっとPCに詳しい人もたくさんいるが、と答えると、自分ぐらいの素人加減だと、せいうちくん程度の素人の考えやニーズが一番近くて参考になると思うらしい。なるほど。

いざ話を始めてみると、確かにQちゃんのPCの使い方はうちに似ているかもしれない。
ゲームをするわけじゃないからそれほど速くなくてもいい、ウィンドウはそれなりに10個以上開く前提でストレスがない方がいい、ある程度信頼できて長持ちするブランドがいい、etc.

Q「お店に行くと、今は『ゲームパソコン』なるものがあるじゃん。ありゃなんじゃ、って思った」
せいうち「そうそう、それに、ディスプレイしてあるPCの筐体がオシャレすぎ。『普通の四角くて黒いのでいいんです!』って言いたくなるよねー!」

 そろそろわかんなくなってきてにこにこ聞いてたら、5とか7とか石のグレードの話を始めたり、ストレージはHDにするか他の形にするか、Windows10のPROなのかHOMEなのか、ビジネスソフトはOfficeなのかKingなのかなどと、うーむ、仕事で使ってるやわらかオタクはなかなかあなどれんな。
せいうちくん完全なる文系で、ビデオの録画できないうえ、家の電子レンジの600Wから500Wとか200Wに変えられるのも知らないのに。

うちは2人とも素人だからおっかなくてPCとかわりとすぐ買い替えちゃう方だと思う。
この30年で、デスクトップだけで6台目。(ノートはもっと死屍累々の買い替えだが、ここでは触れない)
Qちゃん曰く、
「私だっておっかないが、不思議とこのPCはよくもっている。当たり、ってやつかなぁ」
なんでも石3つのやつを8年前に買ってまだかなり無事なんだそうだ。大きな不調は1回もなし。
うん、そりゃ、当たりだよ。

Q「せいうち家がやばいと思って買い替える時って、どういう状態になるの?」
せ「停まる」
Q「え?」
せ「いきなり『ばたっ』と落ちる」
私「その時作ってた文書は全部失われる」
せ「あと、ただのフリーズじゃなくて、点滅するとか」
Q「あちゃー…そりゃ買い替えだわ」
せ「そうそう。だから、そんな現象が起こったら、翌日もうすぐに新しいの買いに走るわけ」

そこからZOOMのチャット機能を使ってせいうちくんが見ているPCメーカーの記事のURL送って、みんなでそれぞれ見た。
フォーム上で石の数とかストレージやメモリの大きさとか好きなの選んでチェック入れていくとお値段が自動的に変化していく、わかりやすくて便利な仕様。

最終的にQちゃん的には「これぐらいのお値段か。うん、だいたいこういうスペックで行こう」ってあたりが決まったみたい。
「いやいやありがとう。せいうち家に聞いてみてよかった」とお礼を言われたよ。

そこから、関係なくもない四方山話。
よく思うんだけど、これから20年間生きるとすると、まあ我々は今んとこPCなしでの生活は考えてないから、あと3、4台は買うことになるじゃん。
その分の貯金は生活費とは別にちゃんとよけておかねばなぁと思うわけだ。
もちろん、蔵書を全部自炊した人間としてはタブレットも買い替えるだろうしスマホも欠かせまい。
もしかしたら自分が70歳超えるころには全然違うギアが出現してるのかもしれないが。
10年前にはスマホ買うとは思ってなかったわけだからね。
少なくともなんらかの機器を使う、その出費分は生活に必要不可欠だ。

あとさぁ、私としてはせいうちくんと2人分、1人当たり10本で計20本分のインプラント代をキープしておきたいと切に思うんだよね。
歯が抜けて、それをそのままにしておくのもつらいしブリッジや入れ歯等、取り外しがきくものって気になって仕方ないんじゃないかと。
身体の欠損が気になるタイプなんだ。(見た目健康なら実は不健康でもかまわない、ってやつか)

といったことをQちゃんに語ったら、「そうかー」と深々とため息をついていた。
「確かに大変だ。考えておかねば」のため息なのか、「しかしうさちゃんも因果な性格だねー」のため息なのかは定かでない。

まあ、「死にたくない」以外の「先に備える」件で何か気になることがあったら何でも聞いてみてください。
取り越し苦労ならかなり人後に落ちない妙な自信がある。「杞憂」の杞さんにも負けないぐらいの。
子供もいる夫婦者のくせに、「身寄りのない場合の葬式の出され方」を調べてみたりするぐらいだ。

「楽しかった。またZOOMしようねー」とQちゃんと別れ、さて、本日の東京都新罹患者は5人。たいへん優秀。
これぐらい少なくなると、「なる人もいるんだな、大変で気の毒だな。かからないように気を引き締めて行こう」って気分になるかな。
しかし第二波第三波が…いや、今は粛々と第一の波と向き合おう。

20年5月20日

土曜日につぶれるほど飲んで日曜ほとんど1日寝ていたらしいのに、水曜の今日またZOOM飲みを公知してくるなんて、Gくんはとっても頑丈な酒飲みだ。
せいうちくんに「僕は今日、無理。とても無理」って言われても、
「私だけ行ってもいい?ちょっとだけ!」と勇んで参加してしまうロンリー・ハート。
でもGくんしかいないから10分で帰ったブロークン・ハート。
大勢いると、楽しいのになぁ。

そう言えば、息子にGくんの「津軽海峡」鉄道ネタYouTubeを紹介したんだよね。
「博識な人だねー」って感心してたから、そう伝えたら、Gくんの返事は、
「まあ私もGoogle先生は結構博識だと思いますw」
そりゃ確かに大いにググって内容作ってるんだろうけど、着眼点とかセンスとかあるじゃん、Gくんのそのへんがスゴいと私も思うんだよ。

ほめられるのが嫌いな偏屈なところも私にはない良さだね。
私はもしかしたら、ほめられるためなら三遍回ってワンとか言うかもしれない。

20年5月21日

本日の東京都新罹患者は15人。
1週間で59人ということで、解除の目安が「10万人あたり0.5人程度」だとすれば東京都は70人程度なので、下回ってることにはなる。
しかし、本日の発表では大阪、京都、兵庫の3府県で緊急時代宣言が解除されたのみ。
すでに5月14日に39県で解除されているので、残る東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県と北海道が現在も緊急事態宣言下にあるわけだ。
様子をみて5月25日に解除もあり得ると言われているが、さてどうなるか。

と、こんなことは私が書かなくてもネットや新聞、テレビを見れば皆知っているだろう。
ただ、残しておきたいんだ。
5年後、10年後の自分に、そしてもしかしたら30年後の子供たちに。
「3.11」の時に何が起こり、まわりがどうなり、自分がどう思ったかだって、今、貴重な自分の記録になっている。
さほどの被害を受けたわけでもないこの東京でもだ。

世界的にウィルスが猛威をふるい、人々は会社にも学校にも行けず、店は閉まり息子はバイトを首になる、そんな時期の記録を何かの形でちゃんと取っておきたい。
おそらく多くの人たちがそうしているのと同じように。

なので情報共有、の名目で今日もZOOM飲み。
YちゃんのリクエストでGくんが主催してくれたようだが、いつものようにGくんと長老しかおらず、結局23時から2時半までやってもYちゃんは現れなかった。寝落ちしてたんだろうか。

三人三様にコロナを語り、生活の話をするが、スーパーの見切り品についてとか株や経済となると、私にはちょっと手に余る。
あの2人はプロのケチだからだ。
徹底的に余分な金を使わない男どもが、
「何時のタイミングで刺し盛が半額になる」
「いや、それより元旦に休む店の大晦日の夕方が狙い目だ」
「しかしリーマンショック以来の経済崩壊だと思っていたが、意外と大した波がまだ来ない」
「まあこれからだろ。ハイパーインフレは確実に来るからな」
と話してるのを聞くと、みみっちさから世界経済までのスケールの揺れが激し過ぎて船酔いしそうだ。

きりがないので2時半に終わる頃、長老はGくんに、
「もっと早く始めてくれないと、年寄りは酒を飲み始めて寝ちまうんだ」といつもの文句を言っていた。
(酒飲んで酔っ払って睡眠薬までのんで寝る準備してる人がこんな時間まで何やってるんだ、と問いたい)

私としてはGくんの宴会の突然始まるスタイルにはついていけないことが多く、せっかく宴会があってもFBを見逃していて終わってしまってたりするので、いついつやります、ともっと前もって告知してほしい。

その両方の苦情に対するGくんの答えは、
「わしは、いつから何をする、とか決めたくないんだ!夕方早くとかは酔っぱらって寝てて、目が覚めたら誰か集めてみる、そういう飲み会をしたいんだ!」であった。
要するに、大学時代棲んでいた学寮の雰囲気、酒を抱えて誰かの部屋を訪ねる、ないしは寝ていると誰かが来て始まる宴会、を現代に蘇らせたいらしい。

それならそれでできる協力はするから、と話し合い、とりあえず「元まんがくらぶの人間が集まる飲み会は、何曜日の何時からが適当だと思うか、オレにもひとこと言わせろ」という趣旨の飲み会が行われることになった。

せいうちくんの意見はどうだろうか。
私同様友達が少なく、プライベートはほぼほぼ大学サークルの付き合いだけで生きている彼は、最近のZOOM飲み傾向を大いに歓迎はしているものの、休日とはいえ夜中に渡ると翌日が溶けてなくなるのと、それが怖くて早寝をすると私が1人居残って深酒をし、興奮したり落ち込んだりして生活が破綻気味になるのを心配しているため、連日のZOOMにはあまりいい顔をしないのだ。

まあ、参加者が増えれば、職無し明日無し節操無しの無頼3人組が明け方まで飲んでいるなんて無法な宴会も減り、週1とかの穏当な感覚の飲み会が穏当な時間に穏当に終わる平和な時代が来るかもしれない。

20年5月22日

今日はせいうちくんのテレワークお休みの日なので、昼まで寝ていた。
いや、正確には起きたのは15時だった。

ここのところ睡眠不足だそうで、ストレスも少なからず感じていると言うので、前夜23時に寝かせ、寂しくなって起こしてしまいそうな自分にも明け方4時に寝る時ものすごい勢いで安定剤をドーピングした。
その甲斐あってか、お互い時々目覚めてトイレに行ったり水を飲んだりしながら、夕方近くまで寝たわけだ。

「お休みの1日が、消えてしまった」とさぞや悲しむかと思いきや、せいうちくんは大爽快だそうだ。
「すっごくよく眠れた!睡眠負債を返し切った気持ち!」
うーん、この人の思考回路はよくわからない。
「身体に、キーンと溜まってるものがあったんだよ。それがすっかりなくなった」
身体感覚が自然で豊かな人だなぁ。うらやましい。
自慢するわけじゃないが、自分の体の声なんかどうやっても聞こえない。

まあいいや、どっちにしろ、今日は素敵な計画を立てている。
こないだスーパーの帰りに近所の美味しい中華レストランの前を通ったら、テイクアウトを始めてるじゃないか!
店を閉めようとしていたおにーさんがテイクアウトのメニューチラシをくれた。

それを検討して検討して、遅めのお昼と言うか早めの夕食と言うか、中華のテイクアウトだよーん。
せいうちくんは海鮮あんかけ弁当、私は油淋鶏弁当を電話でお願いして、17時に取りに行く。
作りたてで温かい。

帰って開くと、おお、それぞれメインのおかず以外に春巻き半分と中華炒り卵とデザートの胡麻揚げ団子が入ってる。ごはんには黒ゴマがぱらり。
(あ、もちろんお弁当の日は糖質制限は中止です。て言うか、最近相当無視してるかも)

お弁当は非日常、テイクアウトは世のため店のため人のため自分のため、作る面倒がなくておいしくて豪華な気持ちで嬉しくなって、顔を見合わせて笑っちゃいました。
 
今日の東京都新罹患者はなんと3人。これまでで最小の数字。
お弁当のこともあって、よかったよかったと思う。
気になっていたフランスアニメ「失くした体」もやっと観た。Netflixさんありがとう。
こんな風に「よかったー」と思える日が、人生には大事なんだろう。

20年5月23日

Gくんが気が向いたとき不定期に開催してきたまんがくらぶの飲み会。
いつ起こるか分からないとおちおちテレビ鑑賞もできない、開催日を決めてほしい、と前から要望を出していた。

しかし、彼の美学においては、気が向いた時酔っ払ってる時に開催するからこその飲み会であって、予定を決めてやるようなものじゃないそうだ。
それでも熱心な参加者のYちゃんと私から「今日はないのですか?」とせっつかれるのに嫌気がさしたせいか、「関係者諸君においては何曜日何時からの開催が好ましいと思うか、それぞれ意見を述べる飲み会を行う」、と宣言があった。

19時に始まった宴会は24時近くまで続き、最大時は12人が参加していた。
先日の休日講座の反省会を別にすれば過去に類を見ない大型飲み会で、私のiPad Proでは9人までしか表示されないため、急遽PCで画面だけ見なければならないほど。
実に盛会で楽しかった。

結論として、土曜日の20時から23時ぐらいまでとし、毎週Gくんが告知を出してルームを開いてくれる。
「新しい生活様式」において、こういった飲み会が継続的安定的に行われる事は非常に好ましいと思われる。
何より私としては、週半ばに何度も「そろそろまた飲み会あるんじゃないか?」との疑心に駆られてたびたびGくんのFBを覗く手間がはぶける。

長老の「日付が変わる前に飲み会が終わるとは珍しい!」との驚嘆の声とともに終わった、大変有意義な飲み会だった。
明日の生活にもあまり影響のない時間に寝られる。
もちろん、最後長老とGくんの3人きりになって初めて始まる下ネタ大会も楽しいのだが、人間まともな時間に寝なくちゃね。
長老は、
「夜中の3時ごろになってせいうちくんから出てくる下ネタが実に楽しいんだが」とのたまわっているんだけど、会社員はなかなかそんな時間にフラフラになって下ネタ口走っているわけにいかないのよ。

20年5月24日

日曜夕方恒例になった息子たちのコントグループの即興コントを楽しみ、20時からは「麒麟がくる」を見た。
「穏やかな、良い週末だったね。やっぱりZoom飲み会が平和でよかったかもね」と言い合っているところに、息子からのMessengerに気づいた。
「今電話できる?」
もう15分も前じゃないか。気づかずにいて悪いことをした。

家族三者通話を始めてみると、なんだかため息をついている。
人気番組の出演者がSNSで誹謗中傷を受けて自殺したと思われる事件に心を痛めているらしい。
「嫌な気分だよ。こんな時は実家に帰りたいなぁ」と言われて大いにほろりとし、いろんな話をした。
カノジョとはとてもうまくいっていてそこは心配ないんだけど、やはりSNSの恐ろしさについて考え込んでいるようだ。

「母さんなんか、気に病む方だから、あんまりSNSにのめり込まないほうがいいよ」と言われ、
「受信も発信も気をつけるよ」と答えたら、
「まあおもに受信だよね」って。
この野郎、誰でも発信者になれる時代だってのに、母さんのことなめてるな?

彼らのコントについてアドバイスをしてすごくうんうんと頷かれたり、映画の話をしたり、すごく楽しく過ごした時間だったが、最後に彼はこう言った。
「ところでさぁ、申し訳ないんだけどお金の話がある」
今就いてる仕事が思ったほど稼げず、支援金の10万円が入るまでに試算よりも5万円ほど生活費がショートしてしまいそうなので、「本当に本当に申し訳ないんだけど、またお借りしたい」そうだ。

せいうちくんと2人、盛大に吹き出してしまった。
「やっぱお金の話があったんじゃん。最初に言えばいいのに!」
しんみりしたこと言われて、特に「実家に帰りたい」あたりで、
「今は会えないもんね。また泊まりにこられたらいいね。父さんのチャーハン食べさせてあげたいよ」とか勝手に盛り上がっていたのに、そうかそうかやっぱりお金の話なのか。
何でもないのに電話してくるようなタマじゃないよなぁ。

父「そういう話は最初にしてよ」
息子「はい、そうすべきでした」
母「途中で突然思いついたわけじゃないんでしょうに」
息子「うん、ずっと、いつ言おうかと思ってた」
母「そんな気苦労しないでさぁ、最初から『金がない。困ってる。心も寒いが財布も寒い』って言ってくれたほうがずっといいよ」
息子「ごめんね…」
父「了解です。後でまた書面でも借金のお願い出してちょうだい。あれ読むのも楽しみだから」
息子「はーい」

その後よせばいいのにせいうちくん、やっぱり生活の安定をまず第一にとか仕事の探し方をもっと真面目にとか説教垂れてた。
新型コロナでみんな大変な時で、息子がパチンコ屋と居酒屋のバイトを失ったのも新しい仕事がうまく回らなくて生活費に詰まるのもしょうがないことだと思うんだよね。
出すのは舌を出すのも嫌いそうな政府が、助けてくれようかって勢いだよ。
コント師志望もいわゆる「堅い仕事」の人生でないことも受け入れているはずなのに、なんでそういう説教をするかなぁ。
それじゃ、「応援してるよ。頑張ってね」のセリフが宙に浮いちゃうじゃないか。

案の定、その後きた息子からの「借金の申し込み状」の中にはこんな文面があった。

「“安定”という言葉をお父さんが口にするたびに、枯れかけた心に血が通う思いです。
お父さんお母さんの優しさの根底にはおそらくこの安定が根ざしていることだと思います。
僕もその安定に立脚したいと、強く感じました。

安定のために、僕がしたいことがいくつかあります。
まず、毎日コントを書くことを続けます。
その上で、どのくらいの時間、そこに時間を使うかしっかり逆算したいと思います。
そこから、疲れない仕事をしっかり選択したいと、そうして行きます」

最初に受ける印象は「怒ってんなぁ」だった。
「枯れかけた心に血が通う」のではなく、「頭にかっと血が上った」んじゃないのか。
親のいる彼が甘えていないとは言わないが、自分の力でやっていきたいが思うにまかせない時に、今はどうしてもかなわない相手から言われたいことではなかっただろう。

後刻、さらに優しい印象の文章が来たので、向こうもいろいろ考えているんだと思う。
親の家に暮らしながら働く人、結婚式や新居の費用を親が負担してくれる人もいることを思えば、いつ、どうなることを自立と呼ぶかはなかなか難しい問題だと思う。
離れて暮らすようになってから彼が親への感謝の気持ちを始終口にし、実際に思いやりいたわってくれることをもって、とりあえずの自立と呼びたいと思っている。
多分最初の期待レベルが低すぎるんだろう(笑)

20年5月25日

右手親指と人差し指が猛烈に痛い。時折稲妻のように痛みが走る。
マウスを右でクリックすることを思うと、おそらく腱鞘炎だと思われる。
おとといの飲み会でその話をしたら、腱鞘炎経験者が3人いて、みな「それはきっと腱鞘炎。ほっとくしかない」と口をそろえていた。

SEの多い場らしく、あとはマウス談義に。
マウスの役を果たすボール状の器具が、手に負担がかからなくてなかなかスグレモノとのこと。
この人たちは新しいオモチャが大好きだからなぁ。
さすがに新しいものを買うほど気持ちのゆとりがなかったので、とりあえずせいうちくんが使ってるマウスと交換してみることにした。
小さな動きの違いが、あんがい大きな変化を呼ぶかもしれない。
全然PC使わないってのも無理だしね。

専門と思われる整形外科には先週ひざを診てもらいに行ったばかりで、ちょっとバカバカしいので医者には行かないつもりでいたが、今日の夕方に緊急事態宣言解除が行われたら医療機関が混んでくるのではないかと不安になってきた。
今日のうちに行っとこう。

10人ぐらいの待合室で1時間以上待って受けた診断は、やはり腱鞘炎。
「あんまりパソコン使わないようにね」と言われ、鎮痛消炎クリームを出してもらった。
まあ仕事じゃないしなぁ、なるべく控えようと思い、とりあえず音声入力メインで書いてる。

面白いから無修正で出そうかとも思ったが、それはさすがに意味がわからない爆笑マチガイ大量発生なので、ところどころで修正。
いいですか、皆さん、今週の日記に誤植が多かったら、それは音声入力ソフトが間違えて変換したんですからね。
校正時に見逃した私にも罪はありますが、基本的に間違えてるのはソフトさんです。そこをよろしく。

しかし右手が使いづらいと言うのは生活には不自由になるものだなぁ。
友達に愚痴を言って、
「いやもちろん足を骨折した人に言うことでもないんだが」と謝ったら、
「手は不便だよ。特に、自粛下においては、足よりも」と励ましと慰めの言葉を送られた。
そりゃそうかもだけど、こういう時は人の思いやりがジーンとくる。

ちなみに整形外科で大変長い時間治療室にいた母と子供が出てきたと思ったら、小2ぐらいのその男の子は腕を骨折したらしい。
なんだかうれしそうに、紺の骨折帯で腕を釣っていた。
昔は白い三角巾だったが、あちこちに調整用の小さなベルトがついてて、ちょっと見カバンみたい。

待合室で待っていたお父さん、レントゲン写真をスマホで撮ったらしきものを見せて「ほら、折れてる!」と報告するお母さんに、「ほんとだ、ポッキリ!」と、両親とも興奮してるのか妙にハイである。
そして骨折ハイは息子にも及び、彼が病院の壁をバックに腕を吊った写真をお母さんのスマホで撮ってもらい、意気揚々と記念写真に収まったあと、家族全員何やらうれしそうに帰っていった。
骨折もまた、子育てにおいては大きなイベントであろう。
ことに、刺激の少ない自粛生活中に骨を折るとは大物だ。
悲嘆に暮れず、楽しんでいるところが非常にナイスであった。
こちらの胸もなんだかほのぼの晴れ晴れしたものだ。

病院にいる間に先日TSUTAYAに申し込んでおいた「野村萬斎版オリエント急行殺人事件第一夜第二夜」のDVDが届いたとスマホに連絡があったので、自転車で取りに行って帰宅。
お医者さんに勧められた手指マッサージをせいうちくんにしてもらいながら見た野村萬斎がとても良かった。第二話も楽しみ。
買ってしまう暴挙まで考えたけど、一生にあと何回見るかと考えればここはTSUTAYAで借りて我慢だ。
ていうか、全然我慢してる点はない。満足。

夜、緊急事態宣言全面解除の通達があった。
元通りの生活とは行かないが(そもそも元ってなんだったんだろう?って感覚。すでに)、3週間ごとを目安に段階的に進んでいく「ロードマップ」に従い、徐々に生活施設が開かれていく。
たった今の自分は、もうカフェでおしゃべりをし、市営プールや映画館に行き、旅行に行き、友人たちとカラオケを楽しむ、そういう生活が戻ってくることを想像できなくなっている。
けっこう多くの友人たちが言ってる「今の生活は、多少不便だけど快適。あまり困らない」に同感。

せいうちくんも会社員としてできるだけ「新しい生活様式」でやっていきたいらしい。
毎日3時間近くの通勤から一度解放されたら、あんまりそこには戻っていけないだろうなぁ、私だったら。
テレ会議の方が進む話もあろうし、いろんなことを見直す機会にはなるだろう。
何年経ったら「新型コロナの時代があったよね。あの時はすごかったね」と言えるようになるのかな。
想像力が追いつかなくて、今はその日が思い浮かばない。

20年5月26日

自粛生活でしばらく会えていない友人に、読んでもらいたいマンガを箱で送りつけた。
最近買っている雑誌ハルタも3冊入れたし、彼女が喜びそうな新刊をたくさん入れた。
先日組み立てたハルタの付録の豆本も、小さな箱に入れて間にプチプチを詰め、厳重に梱包して隙間に入れた。

ブックケース付5冊の豆本が小さな本棚に収まった様はとても可愛らしい。
しかし私はこういうものをどう愛でていいかわからないので、とりあえず彼女に何年か預かっていてもらって考えようと思った。
何より、彼女の子供たちが喜んでくれると思うと胸がはずむ。

今日、届いたと連絡があった。
マンガがたくさん詰まった段ボールを「宝箱」と呼んで喜んでくれる友人も嬉しいが、子供たちが豆本をとても面白がったらしい。
ちょっと前まで怪獣的にやんちゃだった次男くんが「面白いー!」と手に取っている写真は嬉しいものの、けっこうドキドキした。
そうか、彼ももう手に取ったものを破壊したりしないのか。初めて会った数年前の印象が強すぎる。
むしろ手先の細かい芸術家肌の彼だけに、一番喜んでくれていたりするのかも。

長女ちゃんが「これ、せいうちさんが描いたの?」と言っていたとの報告には笑ったが、さて、せいうち夫妻のどちらが描いたと思ったんだろうか。
彼女とは似顔絵を描き合ったことがあるから、私の方だと思ってくれてるといいな。

20年5月27日

週に3回息子のコントグループの面々が、いろんなメンツでいろんな試みをする。
今日は「お題をもらって15分でコントを1本書く」日だった。
最初にやってくれた時は、挑戦者2人が1時間の番組中45分もコント書いてるのは長いし、その間司会役の子としゃべり合ってるのに無理があった。

せいうちくんの意見が入れられたものか、翌週はそこをあらためて「書く時間は15分」とし、書かないメンバーを2人配しておしゃべりをさせておき、おまけに出来上がりのコントをその2人が演じる、というなかなかいいスタイルに変化していた。

そして3回目の今日は、書く人が3人に増えていた。
あと、コント実演後に採点するコーナーも。
3人分のコントを読み合わせして採点まですると、実は時間が足りなくなり、最初の予定ではお題ふたつやりたかったようなのだが、残り時間が10分になってしまってた。
書くだけでも15分かかるのに。

勢いで延長を勝手に決めて突っ走る若者たち。
おかげで2本聞けたが、今日は君たちに1時間半も割いちゃったよ。
我々を含めておおよそ6人が視聴していたとわかるYouTubeは案外残酷。

私は毎回出る女性コント師のファンなので、先週「Uさんのコント、かわいいです!」とチャットで声援を送ったら、あとから息子が「見てくれてありがとう。コメントも」と言ってきたので、
「あのハンドルネーム母さんなの、バレてる?」と驚いた。
「知らなかったけど、Uを好きなのはきっと母さんだろうな、と」
「うえーん、恥ずかしい!Uさんにはナイショにして」
「ほいほい」
それなのに今週も声援を送ってしまった。
だってUさんのコントは短いけど起承転結がしっかりしてて完成度が高いんだもん。

それにくらべると今日初めて登場のSくんのはミョーな世界観が目立ちすぎる。
息子に至っては、「コント小説の書き出しの練習をずっとやっている」と出だしだけ何本も書いているのがたたってるのか、全然「落ちてない」。
スタートダッシュの練習してるんで、途中の走り方がわかんなくなってるんじゃないのか?
きちんと完走せよ。

まあ、文句ばかり言うリスナーだが、毎回必ず進歩の跡があり、見せ方聞かせ方企画その他がぐいぐい伸びてきてるので、コロナ禍のもと不自由な配信をした経験はきっといつか君らの役に立つと思う。
また聞くから、頑張ってくれ!

20年5月28日

気持ちが荒れて眠れず、首を吊る場所を探して家中をうろうろしてしまった。
実行しかける時の気持ちは、なんだろう。
悲しみと諦念と、そして確かに歓びがある。
もうこれ以上生きていなくていいんだとの歓喜が。
異常な精神状態にあるので、遺書を書いてないことには気づかない。

体重で家の一部を破壊して初めて我に返る。
派手な物音がしてもせいうちくんが起きてこないことでさらに我に返る。
「そうか、今、私は『狂言自殺』をしたんだな」としょげながらベッドにもぐり込むと、半分寝てるせいうちくんが身体に腕を回してくれながら、「眠れないの?」と寝ぼけ声で聞く。

「死にたくなって、首吊ってみた」
これはさすがに、飛び起きるよねぇ。
「ダメだよ!なんで僕を起こさないの!?」
そうだな、死のうと思うぐらいならせいうちくんの明日の会社なんて些細な問題だ。
本当に妻が自殺したら会社行ってるどころじゃなくなるんだから。
こういうことを考えつかなくなるのは、いわゆる「切羽詰まってる」のか「思考停止状態」なのか。

睡眠薬を盛大に追加してもらって、とにかくその晩は寝た。
そのせいか翌日はずーっとぼーっとして過ごし、お昼ごはんに何を食べたかも覚えていない。
夜は野村萬斎版のオリエント急行殺人事件第二夜を観て、楽しかったので、録画の山の中から三谷幸喜の「マジック・アワー」を観たあとで睡眠薬をのんでおき、さらに「清洲会議」を観始めた。
1時間以上経つと睡眠薬が切れてしまいそうな気がして、眠った方がいいと思う。
せいうちくんとたくさん遊んでお話をしたせいか、今夜はずいぶん落ちついている。
「明日は会社休みの日だし、もっと遊べるよ。キミが眠くなって寝落ちしちゃうまで観られるよ」と言ってくれるせいうちくんとベッドに入って、なんとか寝た。

毎日毎日眠れないのが怖くて、寝る時間を迎えるのが怖くて、ぐるぐるのループに入るともう死ぬしかないような気分に陥って、バカだなぁ。
「狂言自殺をしてしまうんだ」と激しく泣きじゃくる私を、
「そう言って責めてるのはキミのお母さん。キミが死にたくなるたびに『本気じゃない』『狂言』っていじめてきた。本気なのは僕にはよくわかってるし、いつ死んでしまってもおかしくないんだから、もうしないでね」とせいうちくんが説得してくれた。

「死にたい」わけじゃないのかも。「これ以上生きていたくない」だけで。
誰でも毎日は戦いだろう。
私は、毎晩やってくる眠りとなんとか折り合おうと、無意味な戦いを続けている。
いっそ寝るのやめるかぁ!

20年5月29日

刺激的な日記を書いてしまったことは反省しよう。
しかし、病的な衝動と日常のささやかな幸せを楽しむ気持ちの両方を常に経験している身として、自分のために記録しておきたいと思う。
もし同じように(もっと大きくても小さくても)そんなギャップに悩んでる人がいるなら参考にしてほしい。
日はまた昇る。ただし、死ぬ日まで。

息子から、「給付金の10万円が振り込まれていたのを確認した」と連絡が。
じゃあ、こないだの5万円の無心はほぼ無駄になってしまったのか。
彼なりに結構悩んだ末のことだったろうに。
まあひと息つけると思い、良しとする。
我が家の口座にも届いている分は彼への援助金としてプールしておこう。

今日はせいうちくんお休みだったので、テイクアウトを始めたと知った隣町のカレー喫茶にチキンカレー2つを予約しておき、取りに行く。
晴れ上がった空の下、自転車で20分の距離は暑く、帽子とアームカバーで防御していても皮膚がチリチリした。
熱中症予防のため、人と充分距離がおける戸外の移動の際はマスクをつけなくてもいいそうだ。
マスクしてると呼吸が苦しくなるし、身体に熱がこもりやすくなるらしい。
お店の人と話す時だけマスクをつけたら、体感としてもそう感じた。

帰り道のスーパーで福神漬けとらっきょうを買って、遅めのカレーランチ。
久しぶりに食べたなぁ、ここのカレー。
新型コロナで一時は休業していたようで、今はテイクアウトのみだが6月からは店舗も再開するらしい。
ただ、マスクをしての入店となる模様で、飲食店にマスクをして入って食べる時だけ外してささっと無言で、というのもつまらないので、我が家は当分テイクアウトで行こう。

満足して食べ終わり、「清洲会議」の続きを観ていたら2人とも猛烈に眠くなってしまったのでこれまた遅い昼寝。
バスで遠くに行って帰れなくなる夢をみて、走って帰る道のりがあまりに大変だったので「そうか、これは夢だから、目を醒ませばもう走らなくても家なんだ!」と気づいてぱちっと目を開けたのが1時間半後。
昼寝だと不眠症は関係ないのが不思議だね。

せいうちくんもよく寝られたようで、
「夕方の昼寝は身体がドロドロに溶けるような不思議な深い感覚を味わうことになる。甘くて酸っぱい。なぜだろう。決して悪い感覚ではないが」とつぶやいていた。
私の方は、なんとか夜の「眠れない恐怖」にこの「軽~く寝てみる」気分を持ち込めないかと新しい試行錯誤を決意する。
今宵の眠りよ、安らかなれ。

20年5月30日

心臓の通院日。
やはり血液サラサラのワーファリン2.5mgは効き過ぎていた。許容範囲の上枠をかなり突破していた。
前に試した、2.5mgと2.25mgを毎日交互にのむやり方しかないらしい。

しかし今回ドクターは新しい提案をしてくれた。
「一包を、試されたことはありますか?」
聞いてみると、今のんでいるワーファリン以外にも心臓の働きを助ける薬や別の種類の血液サラサラ薬など5種類ほど1日1回のんでいる薬があるのを、ワーファリン2錠半と全部一緒に封入し、日付を印字してくれるのだそうだ。
そうすれば、たとえば明日5月31日の袋には2.25mgのワーファリンが入り、あさって6月1日の袋には2.5mgのワーファリンが入り、交互に繰り返される。
もちろん他の必要な薬も全部封入されている。
日付さえ確認してのめば、面倒な管理が必要ない。

薬局で「一包」処方で作ってもらいながら、実はちょっと腹を立てていた。
前々回この面倒くさい服用法を提案された時に、なぜ「こういうやり方もあります」と言ってくれなかったのか。

昔、娘が時折自宅に外泊できていた頃、持たせてもらう薬は常にそういう形で、名前と日付と朝・昼・晩まで印字されていた。
それだもんで、「1日おきに薬の量を変える」処方をするからにはそういう形を取ってくれるものだと思い込んでいたんだよ。
28日分の処方で、2.5mgのワーファリン14日分と2.25mgを14日分もらった時は途方に暮れてしまった。
それを自分で毎日交互にのめるよう、元から使っていた1週間用の薬ケースに収めていくわけだが、毎週頭に、「はて、先週の終わりは2.5mgだったか2.25mgだったか?」というような混乱が起こる。
4週間経って、ドクターに「やっぱりこののみ方は無理です。難しすぎます」と告白した時はほっとしたものだ。

それで「じゃあやっぱり多めで行きましょう」と2.5mgを処方されたのが先月、そして今月の血中濃度は適正値を大きく振り切って、過去最大に高かった。効き過ぎだ。
「高すぎますね。やっぱり交互にのんでいただくしかないです」と言われ、そこでやっと最初の「一包」発言となったわけ。
やっぱり「最初から言ってくれ!」ってなるじゃないか!

他の薬もヒートから7錠出しては1週間分の薬ケースにころんころんと1錠ずつ入れていた手間が、全部省けた。
薬局には多少のご苦労をかけるが、向こうさんはまあ機械でまとめてやってることだからね。

ここまでたどり着くのに手術後3年。
今後も薬の効き目が安定する保証はない。
つくづく、面倒なことに手を染めてしまったものだ。
他に選択肢はなかったにもかかわらず、あいもかわらず「手術しなきゃよかったよぅ」と愚痴を言ってはせいうちくんに怒られている。

夜はマンガサークルのZOOM飲み会。
20時に始まって1時前に終わる地味なものだった。
終わる寸前に、三度寝して備えたという長老が、
「わしはまだ元気なんだけどなぁ」と寂しそうだったのが印象的。
また来週やりましょう!
土曜の夜を健全に終わると、1週間が気持ち良く回るんだよ。

20年5月31日

去年、半年間だけバイトをした。
もちろんほぼ最低時給、月に2、30時間の在宅仕事で、手にした現金は15万円。
とは言え、私にとっては実に25年ぶりに労働の対価なわけだ。

どう使おうか、せいうちくんと旅行にでも行こうか、いずれにせよ一気に使いたいものだと思っていた折に新型コロナ来襲。
ああ、しばらくはどこへも行けない。
あれこれ考えていたら、コロナの影響で生活費に窮した息子から5万円の借金の申し込みが。
これだ!とひらめいた。

これまで「残金が足りずにカードの引き落としができなくなってから初めて金策に走るタイプ」だった息子から前倒しな依頼がくるとはなぁ。
つまりは生活費の見当、来月の生活への見通しが生まれてきたってことだ。
初めて出会う彼。
これはもしかしたら「貯金」なんて芸当もできるようになってるんじゃないのか。

「彼に余分なお金、しかも慣れない大金を持たせたら、気が大きくなってあっという間にパチンコで溶かしてしまうかもしれないじゃない」と反対するせいうちくんをあの手この手で論破した。
パチンコ屋の店員まで勤めた息子だ、もう今さらそういう散財はすまい(いや、別の散財はするかもだが。競馬とか。しかし、やってるのを見たことないからとりあえず考えない)

15万を手にした経緯も含めてMessengerで説明し、銀行振り込みするのが順当だろう。
でも私は現金にこだわりたかった。
それなりに苦労して稼いだお札を、使い方の怪しい息子に送るのだ、何らか重みをつけたいじゃないか。
ネットで結ばれた全国の銀行口座の電子数字の山に並ぶわずかな数個のゼロに変化するかと思うと、泣いても泣ききれない。

迷惑は承知で、現金書留を送った。
同封した肉筆の手紙でさらに泣かせたいところだが、腱鞘炎でペンが持てないのでしょうがなく、音声入力したものを校正しプリントアウトして、「母さんより」と署名だけしておく。

普段何か受け取りの面倒があるものを送る場合はきちんと知らせておくところを、わざと何にも言わずにおいた。
もちろん「母さん、こんなものを送ってくれて!」と驚き喜ぶ声を万感の思いで受けたかったからである。

しかし、よこしまな期待はまず意外なところからほころびた。
案外働き者だった役所が息子の懸命な給付金申請にさくさくと応え、10万円が振り込まれていたと彼から連絡が来たのだ。
「父さんに5万円貸してくださいと言ってきましたね。ということは、収入がギリギリではあるものの、生活費を前倒しに計画的に考えられるようになったのでしょう。それ自体はいいことなので喜んでいますが、まったく余分の備えがないとするとちょっと不安だし気の毒です」とわざわざ書いた「親心」は、政府に救済されてしまった。いや、喜ぶべきことなんですが。

「あーあ、ありがたみが失せちゃった」とこれまたよこしまに嘆いていたら、ほころび第二弾。
息子からウンともスンとも言ってこないじゃないか!
郵便局の人は「明日には届きますよ」と言っていたのに、2日経っても音沙汰がない。
仕方なく、「母さんからお手紙届かなかった?書留なんだけど」と問い合わせる羽目に。
「区の郵便局で1度止まっているみたい。今日、再配達の依頼をして、明日受け取れるようにするよ」との返事に、やっと見つけた仕事は在宅だと聞いていたから1日家にいると思っていたのにいったいどこをほっつき歩いていたのか、配達時には家にいてくれ!と見当違いに怒る内心。
善意や親心から出たはずの話の、いったいこどこから怒りがわく余地があるのか。怒りっぽすぎるぞ、自分よ。

翌日の晩、待ちかねていた驚きと喜びのメッセージが飛んできた。
「お母さん、今お手紙とお心遣いを確認させていただきました。本当にいいのかい?なんだか心めたい気持ちがあるよ…」
こう答えるしかないだろう。
「もちろんいいよ~!できればもっと長文のお礼欲しい。あと、『心めたい』は日本語として面白すぎる」
思わぬ仕送りに、うろたえたんだろうなー。

夜のコント生配信等を終わってゆっくり書いてくれた返事は、貪欲な私の予想すら遥かに超えたド長文だった。
中でも特筆すべきは、私が「通帳の中でゼロのカタマリにしてしまうのが惜しくてね」と記した意味を十全に受けとめてくれたこと。
「この重さは、電子上のデータに反映されてしまった瞬間、消えて無くなるはずの重さでした。だからこそ、お母さんの心遣いがほんに嬉しいのです」
15枚の万札を何度も数える、重さを量る、ぐらいまでしか予想してなかった私の思惑をやすやすと柵越えしてバックスクリーン直撃。
彼が取った行動は、「バックログとしてこの15枚の日本銀行券に掲載されている通し番号をメモする」であった。

これは、驚いたなぁ。
ここまで私の気持ちを受けとめ、さらに先に伸ばして見事な軌跡を描いてくれるとは思いもよらなかった。
キーボードで打ち記された、15枚分のアルファベットと数字の羅列。初めて見るよ。

おまけにその途中、面白い発見が。
15枚中の2枚が、連番なのに気づいたそうな。
彼はその事象を、どこからどう集まったお札がいかなる偶然で母の手を経て息子にたどり着いたのか、どれほどの確率なのか、想像も及ばないと驚いていた。
「親と子の強いつながりを感じざるを得ない」とまで書いてくれた。
「僕はこの2枚を、最後まで絶対使うことはないでしょう」とつづり、もし使う時が来るとすれば、父と母が天国に召され、2人の墓を訪ねる時だろう。墓前に供えようと思う、と。

親が死ぬことを軽々と話題にする息子でよかった。
自分が先に死ぬことなど考えず、また、墓参りする気持ちがある人を育ててよかった。
私なんか、父が死ぬ前に購入したものとは言え、7年前に母を納骨したのを最後に、いったい名古屋市のどこに父母の墓があるのかすら知らないからなぁ。
受動的に姉の車で連れて行かれただけの参加だった。それ以来行ってない。行きようもない。

息子には散文的に、「我々は墓を持たない予定だよ。どうするかねぇ」と返してしまった。
返事は「家宝にする」
あきらめずに球を拾うヤツだな。粘り強い。

私が思うにこの2枚の続き番号は「集まってきた」のではなく、「銀行を出てからずっと離ればなれになることがなかった」のだろう。
発行され、札帯を解かれて他の新札たちと別れていく過程で、この2枚だけは常に寄り添い、最後まで一緒にいた。
私は勤務先からのバイト料を全額下ろしてそのまま送ったわけではなく、家にあった万札をすべて集めてその中から「できるだけ新札に近い状態のもの」を選り抜いて息子への現金を作ったため、「ピン札」のまま寄り添ってきた2枚はその束に入ることになった。

息子の偶然説も面白いが、「離れなかった説」もまた、現実の中でもみくちゃにされても離れ難い縁でつながっている親子の絆を表すのにふさわしいのではないだろうか。

「お札が1枚1枚がユニークな存在だと、初めて知りましたよ。稼ぐのも、使うのも、真剣に向き合わなければね。実生活いろいろ頑張りましょう」と返したら、
「そうだねー」

いろいろと、嬉しい晩だった。
興奮して眠れないのか、満足してぐっすり眠れそうなのか、まったくわからない。
ただ、人生最良の日のひとつだったと思う。

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