20年7月1日

株主総会の慰労会があるんだそうで、「何もしないで休ませてくれるのが一番の慰労」との私の言葉を背中で黙って受けとめて、午後3時頃出勤(?)した。
会社には行かず、渋谷の会場に早めに入ってノートPCで会議の仕事をひとつこなすのだそうだ。
何やらITの先端っぽいじゃないか。
しかしやるこたぁ慰労会なんだ。
1人メシを喰うことになった私の機嫌は、そう良くはない。

総会は、高校3年生にとっての修学旅行のようなものかも、と前に書いたが、違うね。
よく考えたら、いささかも楽しくはなくひたすら事故がないように終わらせねばならず、しかもやってもやっても毎年開催される、ってところは、さしずめ「高校の先生たちにとっての修学旅行」だろうと思い至った。
あらゆる事態に備え、実際面倒なことばっかり起こって、なんとか遺漏なくとどこおりなくお客様を帰して、「ああ今年も無事に終わった」とがっくり力が抜けるんだろうなぁ。

かなり断固としてテレワークを続けているせいうちくんはほとんど出社していなくて、でも会社でマンガをどんどん貸してるAさんは本日出社なので何冊か返却本を持ってきてくれた様子。
「僕、会社は行かないからなぁ」と悩んでいたら、同じ会に出るHさんが昼間会社にいて、
「お届けしましょうか?」と提案してくれたようだ。
ありがたいです。ぜひお願いします!

このように有志のリレーを経て、10冊ものマンガが戻ってきた。
「今朝聞いたのは6冊だったけど?」と思ったら、先週のうちに会社まで来てそのまま滞っていた4冊が加わっていたらしい。
Hさん、重かったでしょう、申し訳ありません。

それぞれのテレワークが続くと、これまでのようにスムーズにお薦めマンガが貸せないなぁとちょっと憂えているところ。
いやそもそも会社はそういうことする場所じゃないのかもですが。
(しかしせいうちくんの昔の上司もやたらに本を貸してくれたものだった。「この本ね、とってもつまらないんだよ!」と嬉しそうに「麒麟の翼」を貸してくれたことが忘れられない)

20年7月2日

暴風雨までやってきた梅雨空の合間をぬって、今日も無事に洗濯。
最近の天気予報は優秀だ。
0時までかなりの雨が降っていても「3時には上がる」とのご託宣は霊験あらたかにぴたりと当たる。

昔の天気予報は「当たらないもの」の代名詞みたいに扱われていて、気象庁に寄ってからフグを食べに行き「これで当たりません」なんて落語で言われていたような気がする。

0時前に洗濯して浴室に吊るしておいた洗濯物を、2時半には出すことができた。
全自動乾燥洗濯機も浴室乾燥機もあるんだが、使うとホコリがたまっていずれは修理の元になるからあまり使いたくない。
何より、ドラム内でぐるぐる回って乾いた洗濯物のくにゃくにゃ具合はたたみにくくて苦手だよ。
吊るした衣服を昼間のお日様でぱりっと乾かすと、たたむ時ピシッと決まるんで、熱が入るんだ。

もちろん、こんな贅沢が言えるのは夫婦2人分の洗濯物しか出ないからで、日に3回まわしてた25年前とか、毎日大物の柔道着から始まるTシャツやボトムズの山を浴室乾燥に押し込んでいた10年前とかは、干し方にもたたみ方にも美学の出る幕はなかった。
中4日ぐらいで天気の加減を見ながら洗濯できるようになって、本当に嬉しい。

大物のシーツや布団カバーを陽の下に干そうと思うと、梅雨時は、私の理想と現実が折り合うぎりぎりの間隔が守れず、むしろせいうちくんのそれに少し近くなるのは遺憾だ。
まあ本気でせいうちくん基準だと「半年ぐらいは気にしない」のだそうで、眠れないけど横になってるのは好きでベッドの清潔と安心を重んじる心情からすると、とてもとてもうなずくことはできない。
さあ皆さん、本当のところを教えてください。
シーツって、何日に1回洗濯するのが尋常なんでしょう?

しかし都内で107人の新規罹患者ってのはどうなるんだろう。
選挙が終わるまで何も手が打てないんだろうか。
困った!

20年7月3日

最近コミック雑誌を電子で買ったりサブスクで読むようになってきたが、けっこう負担。
話が細切れで翌月まで覚えてられない、同時に並行してたくさんの話を読むのでこんがらがる、サブスクは最新号しか読めないので話を振り返れない、などの不都合。
中には惚れ込んで紙で買ってしまう「ハルタ」が重すぎて扱いづらいとか1話が短く作家さん多過ぎ、とか嬉しい悲鳴もある。

萩尾望都の連載を待って買い続けてしまった「月刊フラワーズ」はKindle、重さがクセになる「ハルタ」は生本、「フィール・ヤング」はauの契約についてきた読み放題。
あとは自分で買っているレディースコミック誌が月に4冊。
最近、近所の本屋のおばちゃんがそのうち1誌を取り置き忘れて普通に売り場の棚に入れてしまう事故続発中。
取り置き棚見て、「あー、またか」って自分で売り場の棚から持ってくる有様なんだ。
もしかしたらまだノートに手書きで管理してるところに無理があるのではないでしょうか?

昔から雑誌と出版社の関係を覚えられなくて、「りぼん」が集英社なのと「花とゆめ」が白泉社なのしか覚えてない。
ブックオフでコミックスを買う必要上、最低限の「出版社ー雑誌ーコミックス」の関係を覚えようとしてるとこなんだが、非常に難しい。
せいうちくんみたいな受験秀才が、
「エンターブレインは角川に吸収されてKADOKAWAエンターブレインになった。出してた雑誌ビームスはハルタになり、ビームスコミックスは今ではHARTA COMICSになってる」なんてぺらぺら言うのが、本当に面憎い。

そうそう、サブスクで女性週刊誌2誌と週刊文春を必ず読んでると、電子版はスクープや「いいとこ」が載ってない構造なので、ゴシップで頭がパンパンになった挙げ句に肝心な記事を読んでないというイヤーな状態になる。
元々ゴシッピィな性格なうえ驚きやすいので息子から「SNSはあんまりやらない方がいい」と言われてるが、「電子雑誌の読みかじりもやめろ」と言われるのは時間の問題かも。

そして都内の新規罹患者は124人。びっくりしすぎて言葉にならない。
ワクチンの話とかかまびすしいが、何かの手は打たないとなぁ…選挙が終わったらそれはそれで大混乱になりそうだ。

20年7月5日

東京アラートも去り(去っていいのかどうかはおくとして)演芸や音楽の集まりも人数を絞って再開されるようになってきた。
毎年2回行っている柳家喬太郎さんの落語会も席数を半分に限定にしての公募が行なわれた。

昨日の朝、いつものようにせいうちくんと書斎に集合し、応募開始の時間ぴったりからそれぞれのPCからそれぞれのアドレスで申し込みを始めた。
会員1人あたり最大2枚、昼夜2公演のうちどちらか1つしか申し込めないキビシイ決まりに毎回手こずっているが、今回はさらにその半分の席しかないのだ。
友人たちと我々4人分の席を確保するのは難しいかも。

果たして、「つながりにくくなっております」のメッセージに繰り返しの申し込みをたたきつけ、その都度また跳ね返される。
と、せいうちくんのPCが幸運にもガードをくぐり抜け、アクセスできた。
とりあえず2枚ゲット。

私の方は相変わらずの空振り。
今やせいうちくんも私のアドレスを使って一緒にアクセスの扉を叩いている。
そのうち昼の部には「残り席数わずか」の△マークが出てきた。
「作戦を誤ったか。最初から夜の部にしておくべきだった?!」と後悔しかけるが、すでに昼の部が2枚取れている以上、今さらの方針変更はあり得ない。

やがて、昼も夜も両部△マークのまま、「満席です」のメッセージが出て、戦いは終わった。
13分間の出来事。
隣同士の間隔を1席開け、前後も重ならないよう「市松模様」に席を販売していった結果、「満席でないのに売り切れ」って現象が起こったんだろうな。
普段は自動的に隣同士に取れる2枚券も、かなり離れた場所になっていた。

最初からの取り決め通り、取れた2枚はとりあえず我々が使わせてもらうことにし、友人たちのためには木曜日の「一般販売」(今日は会員販売)に再チャレンジだ。
勿論更なる激戦、狭き門であろうから、勝算はきわめて薄いと言わざるを得ない。
ダメだったらね、まあ8月の暑い時期だし、近所の我々以外は1回お休みをしていてもらおうかな。

午後は選挙に行く。
今回はいろいろ思い入れが強い。
選挙権を得てからずっとほぼ東京都民(1年半だけ神奈川県民)だったが、東京都知事 の選挙にこれほどの思いで出陣したことは初めてな気がする。
住民票は実家だが都内の別の場所に暮らす息子は、早々に期日前投票を済ませている。

結婚するまで選挙に行ったことがなく、友人Mちゃんから「せっかく婦人参政権を勝ち取ったのに、行かなきゃダメ!」と叱咤されて目が覚め、わからないからと逃げるのはやめて1票を少なくとも有効化しようと、せいうちくんの言うがままに投票して30年。
今回はものすごく話し合った。
1年ぐらい前からしたら、結婚以来初めて政治関連のことで私が向こうを説得したかもしれない。

そんなもん別々でいいじゃん、との意見の人はそれでいい。
我々は、夫婦・家族でオルグし合うことをヨシとしている。
せっかくの票が割れるのももったいないし、互いの意見を聞くことはいかなる時も有効で大切だからだ。

お風呂から上がったらもう20時過ぎてた。
あわててテレビをつけると、画面にはすでにでかでかと当確が出てた。
前評判や想像も及ばない、話にならないほどの、圧勝。

Twitterだけ見てるといつもいつも国民の選挙熱は高い気がする。
関心を持ち始めてから、常に「今度の投票率は過去最高かも!」と思うんだが、これまた常にガッカリする。
たいがい前年より低い。「過去最低」だったことすらある。
オリンピックもそうだが、私の情報ソースは偏っているのか?
やはりTwitter見てる人なんてごくごく一部なのか?

「ネット投票なら行くのに、という意見をたくさん見た。
 だからネット投票にならねーんですよ!!!
ネット投票だと当選しない人がネット投票できない層のための政策をしてるんですってば!!!
ネット投票を実現するにはまず足を運んで選挙結果を覆すしかないんですよ……!!!」

とのツイートがまことに的を射ていると言えよう。
息子に、
「無力感いっぱいなり」とメッセージを打つと、
「ちょっと、せんきょはかたのちからがおちたといいますか、、」と言葉少な。漢字変換脳も死んでる様子。
こんな時に日本語としては「肩の力が抜ける」もしくは「肩が落ちる」が順当で、意味的には後者を使うべきであろう、と指摘するのもナンだから、黙っておいた。

代わりに、
「しかし、明日からもこの現実の中で生きていかねばならないので、しっかりやりましょう」とエールを送る。
まあ、都政に慣れてる人がコロナピンチの舵を取ってくれる、と考えるしかないよ。

20年7月6日

仲の良かった友人と、意見の相違で互いに「距離を置いた方がいい」と判断した。
ソーシャル・ディスタンスだ。

Twitterで

”「思想の偏り」は悪、と思われがちだけど、意見の異なる人間に出会っても、決して自分の思想を押し付けず「ふーん、ユーはそういう考えなんだ」と流せるなら、全然偏っててもいいと思うんですよね。”

という意見を読んだ。
今は深々とうなずくばかり。

互いに偏りの大きい我々で、その振り幅の違い、間を隔てる感じ方の異なりように長年驚き、「普通だったらこういうタイプとはつきあわないだろうなぁ」と思いつつ、それほどの距離を超えられる互いの「言葉と論理の力」を信頼してきたような気がする。
少なくとも私の側は。
彼女は、私の世界の極北であった。
手を伸ばせる限りの遠い果て。
それより先には、私の理解できるもの、呼吸できる空気はない。

かなり落ち込んでいる。
緊急避難措置とはいうものの、事実上の失恋のよう。
愛する対象を喪い、「愛している」と言う権利を喪った気分。
恐らく彼女は「権利」という言葉ですでに反論してくるだろう。

「あなたが傷つきやすすぎて、傷つけてしまう。そして自分も傷つく」というのが彼女の言い分だ。
確かに私は「彼女が私を傷つける」と思っている。
ディスタンスは、妥当であろう。
自分のせいで自傷とかしかねない人と近くにはいられまい。

でも寂しいなぁ。
自らまいた種とは知りながら、毎日抗うつ薬を飲んでぼんやり過ごしている。

油断すると泣いて泣いて止まらないので、気をそらすため、退屈しのぎ、人生修行の3つを兼ねた荒行として、ジョジョを第1巻から読んでみることにした。
最初読んだ時はけっこう好きだと思っていたスピードワゴン、ツェペリさんといった初期登場人物をすっかり完全に忘れていたと知り、驚きが止まらない。
「スタンド」が出てきたのは第3部からだったのか!
そこまでは「波紋」が話のキモだった。
(スタンドも、最初は「幽波紋」と呼ばれている。じょじょに(洒落じゃない!)単なるスタンドと呼ばれるようになって行く)

スタンド。
Stand by me.
彼女にかたわらにいてほしい。
もう長いことそうではなかった現実を無視して、心はいつも勝手な願いを叫ぶ。

ああ、これじゃホントに失恋じゃないか。
他人に自分を与えすぎる。無防備に。
好きになってくれない人など、キライになってしまえばいいのだ。
こっち側にも選択権があるってことを頭っから忘れている。
彼女の世界に私が不要なら、私の世界からも彼女を消してしまえばいいのだ。
いなくたってちっともかまいはしない、そもそも知り合う前は「いなかった」他人じゃないか、と。

なのに、割り切れない。
恋の歌みたいだね。
「あなたのいない世界で幸せでいるより あなたのいる世界で悲しんでいたい」
すごく現実的に考えたら、私はただのストーカーで彼女に気味悪がられているだけなんだが。

昔、河村隆の「Love is…」という歌があった。

「You are my only You are my treasure.
   I'd give you my whole thing even if you don't want.
   Love is my only Love is my treasure.
   Please close to me more and don't leave me alone.

で始まる、ドラマチックでロマンチックな歌だが、読めばわかるようにもちろんストーカーソングである。
なにしろ「いらんといってもすべてをあげる、受け取って」なんだもん。
日本語部分には、
「いつまでも 離さない たとえキミを傷つけても
   いつまでも そばにいて この世界が壊れるまで」という部分もあるぐらい。
そうか…、やはり私はストーカー気質か。
せいうちくんがそういうの得意なタチで、本当に良かった。破れ鍋に綴じ蓋。

20年7月7日

息子たちのコントグループの生配信、「ラジオを聴くように楽しんでください」と謳う回で、毎週メンバーの紹介をしている。
今週はサブリーダー格のSくんの番だ。
22歳のころに最初の単独ライブを一緒にやって以来の仲としか知らないが、つきあいはもっと長いはずだ。
そのへんの秘密にも迫れるかもしれない。

ところで今回は話の都合上、息子の「芸名」が必要となるので(「リーダーの息子くん」ではおかしいから)、その場しのぎの偽名の芸名をつけよう。
息子は「林賢(りんけん)」と呼ばれていることにする。
ちなみに彼の誕生時に考えていた名前の第三候補だったよ。「竹林の七賢人」からとったの。

話を聞いてるとやはり大学お笑いのコンテストなどの上位常連同士であり、他大学ながら互いの存在は知っていた模様。
Sくんによれば、顔は知っていたしもちろんコントも見たことがある林賢が、ある大会の帰り道で突然、
「なあ、一緒に面白いことしようやぁ」と誘ってきたのだそう。
アヤシイ勧誘にしか思えない。

そこから大学卒業までに単独を一緒に2、3本やり、流動的だったメンバーがほぼほぼ7人ほどに固まってできたのが今のグループ。
いちおう言い出した林賢が「リーダー」となっており、舞台や生配信のメンバー紹介では自ら「リーダーの林賢です」と名乗っている。
しかし、2度の渡米で長く留守をしたこともあり、グループ内の人望と実権はもう1人の優れた脚本書きであるSくんに移動しつつあるのではないか、と我々は見ていた。

今日、「視聴者の皆様からのご質問をお待ちしています」のチャットに、核心を突いた質問が飛び出した。

「前々から聞きたいと思っていましたが、真の実力者、Sさんからすると、林賢さんをリーダーと呼ぶことについてはどんな感じなのでしょうか」

同じように思っていた人が、他にもいたのか!

それに対するSくんの答え。
「最初から本質的な問いなので、困ってしまいます。実は最近、林賢のことをリーダーと呼ばなくなっているんです。ところが、配信を始めたら本人が自分でリーダーと名乗り初めて、驚いています。なんと呼ぶか、みんなで相談したのですが、なかなか決まりません(笑)」

そこで私がチャットに書き込んだ。
「主宰という美しい日本語がありますよ>林賢さん」
これにもすぐにSくんが答えてくれた。

「これね、僕らも考えたんですよ。主宰。ところが、よく調べてみると通常は劇団を率いる人のことみたいなんです。ただでさえ、チラシにライブって書かないで公演って書いた時に『演劇だと思ってたんですが、演劇じゃないんですか?』と聞かれちゃったことがあったぐらいで、コントと演劇の境目は難しい。なので、主宰という言葉を避けて何とかならないかと考えてるんです。発起人、とかね」

メンバーU「そもそも主宰、ってどういう意味?」
メンバーN「主菜、でいいんじゃね?野菜の菜。おかず」
メンバーT「いや待て待て、調べてみたら主宰の『宰』って字は、
1.仕事をとりしきる。つかさどる。家臣の長、また大臣
2.肉を料理する。料理人
って意味らしいぞ!」
S「あー、じゃあもうそれでいいや。『主宰(肉)』とか書いとこうぜ」
林賢「ひでーなー。でも、それいいかも(笑)」

いや、それならむしろ「主菜(肉)」の方が…
こうして林賢のグループ内での立場はどうやら「肉」がいいとこらしい。
頑張って太るしかないのか。今でももうぽちゃぽちゃだけど。

20年7月8日

自転車集積所から通達が来た。
息子の自転車が回収されてきたらしい。
しかし、家から持って行った自転車は2年以上前に自損事故で大破させてしまったはずだ。
それ以前の自転車の防犯登録証は家にある分を全部チェックしたが、該当しない。

そうなると残る可能性は、自損事故の後しばらく自転車なしで暮らしていた息子が箱根方面サイクリング旅行を思い立ち、やすい自転車を買って東京から向こうまで行って海辺をぶらぶらしたりしながら一泊した挙げ句、向こうで盗まれてしまったと言っていた、それしかない。

まさかそんな遠くの自転車がこの近くまで戻るわけもなし、しかももしそうならまったくの偶然てことだよね。
ちょっとあり得ないぞ。

とりあえず今週末息子が来るから、集積所まで車で連れて行ってやって見てもらおう。
乗れるようなら1時間ぐらいこげば彼の住まいに帰れるだろう。
ハガキの写メを送ったら本人も、
「いつの、どの自転車?」と驚き、
「せっかくだし見てみようかな」と乗り気なようだ。
2500円払えば返してもらえるよ。

20年7月9日

先日会員申し込み日に2名分しか取れなかった柳家喬太郎さんのチケット、友人たちの分もなんとかするため、一般申し込みにもチャレンジした。
もちろん会員以外の方々が大勢申し込むだろうし、我々のように会員申し込みにもれた人々も再度挑戦に詰めかけると想像される。
自分がやることは、たいがい人もやるもんだ。

申し込み開始時刻の直前、まだチケット取れてない私のアドレスでせいうちくんと2人してログインし、スマホの時計が10時きっかりを示すのを待つ。
10:00。
キーボードも飛べよとばかりの猛烈な勢いで開いたばかりのアクセスの扉を押すと、な、な、なんと、入れた!
せいうちくんの方は「ただいま回線が混み合っております」のメッセージに阻まれて進めないようなのに。

はじめっから出ている「残席わずか」の△マークを押し、許されている最大枚数である「2枚」を入力し、えいっ!
取れたぁぁぁッ!!

先日は13分の熱戦だったが、今回はわずか10秒ですべてが決まってしまった。
ラストチャンスの向こう側をのぞくこともかなわなかったせいうちくんは、呆然と「予定枚数が終了しました」のメッセージを見ていた。
まことにミラクルだ。
人生でこんなについていた日があるだろうか。

友人たちに勝利の報告をし、「すごい!」「ありがとう!」と賛辞を浴びる。
チケット取れなかった方々には申し訳ないが、皆さんの分まで楽しんできます。
あとは、公演中止にならないよう祈るのみ。
んー、それと、8月の話なのであんまり暑くない日だといいな~

先日、「柳屋喬太郎の笑って免疫力アップ寄席」というテレビ番組を見た。
喬太郎さんを中心に、まるで寄席に行ったように落語や紙切り、江戸コマ回し、講談漫談などを楽しませてくれる。
しかしやっぱり無観客での演芸は難しいようだ。反応が読めないっつーか。
こちらも、「ここはどっと沸くところ!」と思いながら、たたらを踏んでつんのめるような間の悪さを感じてしまう。
それでも2週続けての番組で、喬太郎さんを2回見ることができたのはよかった。

大好きな「午後の保健室」を画像つきで見たのは初めてだ。今までずっとYouTubeの音声だけだったから。
「BSじゃから、これぐらいかまいはしまいて。私はね、これをNHKでやったこともありますよ!」と豪語していた。
それよりもすごかったのが「擬宝珠」。
「ぎ、ぎほうじゅ?」と舌を嚙みそうなせいうちくんに読み方と意味を教えてあげる。
でかいのは、爆風スランプが歌う武道館の上の「大きな玉ねぎ」だよ。
なぜか擬宝珠が舐めたくなる男を、べろんべろんと舌を出して怪演していた。
時々、喬太郎さんはなかば狂気の人になる。女をやらせても上手いんだが。

8月の盛夏に会う彼は、手弱女か半狂人か。
久しぶりに友人たちともリアルに会える。楽しみだ。
頼むから感染者増加の勢いも止まって。
いくら市松模様に座ってマスクしておとなしく聞きます絶対笑って飛沫を飛ばしたりしません、って約束しても、やってくれない時はくれないんだろうからなぁ。

20年7月10日

息子が泊まりに来るので自転車集積所に連れてってやろうと思っていたら、用事の都合でこちらにくるのが集積所が閉まったあと、明日も開く時間より早く帰らねばならないらしい。
じゃあ、とりあえず代わりに見に行ってやるか。
もしまだ使えそうなら、せいうちくんと2人だけなら後部座席をトランクとつなげれば積んでこられるかも。
修理が必要にしても直すまで家においておけばいいし、そのうち息子の家に配達してやってもいいし。

ハガキを頼りに車で20分ほどの集積所に行ってみた。
受付のおじさんはとても親切。
「えーっと、6月29日に集めたヤツはこの辺に…。書類によると、銀ですね」と言いながら、探してくれる。
こちらもついて歩いて自転車の列をながめ、「これまだキレイだな。これだといいな。こっちも使えそう。そのまま乗って行けそうじゃん」とか思ってる。

「ないなぁ…」と詰め所に戻ってもう1人のおじさんを連れてきて、2人で相談している。
と、「あっちじゃないか?」と別のコーナーに。
え、「機能喪失品」って書いてあるよ。

そこに、あった。ボロボロの、サドルからは詰め物がはみ出した自転車が。
錆びたチェーンが外れ、歪んだカゴに折れた傘の骨が突っ込まれたまま絡みついて取れなくなっており、シルバーだった車体は黒ずみ、とどめに当然のように車輪は前後ともパンクしている。
シャーシが息子の好きなタイプの扁円形パイプだなぁとは思うが、見覚えは全然ない。

家を出てから自分で買って箱根で盗まれたものだろうと勝手に思っていたが、家の最寄り駅の見慣れた駐輪場シールが貼ってある。2017年10月までのだ。
ってことは、家を出てから自分ですっ転んで大破したとされているものか?
家に防犯登録証がなかったのは、息子が家を出る時に関係書類一式を持たせたせいか?
うん、それは大いにありそう。

とりあえず写真を撮って息子に送ると、コントのコンテストに出ているはずだが待ち時間なのか、すぐ返事が来た。
「うわ、僕のだ。いつのやつかは覚えてないけども…」
両輪パンクを始めとした状態をざっと伝え、直すのには多分1万円ではきかんだろう、と送ると、「うーむ、悩ましい」
駐輪場シールの写真には、
「懐かしい」
懐古してる場合じゃないんだってば。

集積所のおじさんは本当に親切で、
「直す方が買うよりお金かかりますよ。今日、引き取って行かれるのにも2500円かかります。もし置いて行かれるなら、一切かかりません。このハガキ持ってお帰りになって、よく考えてから後日いらっしゃっても大丈夫ですよ、期限までまだ1ヶ月ありますし」とアドバイスしてくれた。
それに従うことにして、息子にも、
「今日のところは置いて帰るよ。どうするか考えといて」と伝える。
「うん。お手数おかけしました」と言う彼は今夜家に来るので、相談しよう。

やはり箱根から自転車が運命にひかれて戻ってきたストーリーにはならなかったか。
妙に残念。

今のところ、2018年2月の時点で「自損で大破」と息子が語ったのが大嘘であり、「いつものようにヘンなところにカギをかけずに置きっぱなしにしてて盗まれ、盗んだ人が乗り回してて最近放置した」説が有力。

あっ、思い出した!
新品を買うとたいがいついてるリング型のロック(小さなカギで開け閉めする)がそのままだったなぁ、今日の放置自転車。
家から引っ越す時に息子が乗ってたにしちゃ見覚えないと思ったが、大学時代からずっと使ってる自転車だったら、絶対我々はあのカギを自転車屋さんで外してもらって、チェーンを使わせてたはず。
リング状ロックの小さなカギは、彼が自転車に乗り始めた小学生時代から何度もなくしたりカバンの底に紛れたり、さまざまなトラブルのタネになってきたので、うちでは存在を許されていないのだ。

うーん、17年11月に家を出てから自分で買った?
そうだとすると17年10月までの駐輪場シールの説明がつかない。
せいうちくんの仮説は、
「家にいる時分から、彼が勝手に自分で買っていた。我々も彼の生活にタッチしなくなっていたので、知らなかった。カギも、『もうオトナだから自分で管理するぜ』とリング式のままでいたのではないか」というもの。

さて、あと15分ほどで息子がやってくる。
自転車ひとつとってもこれほど謎に満ちた生活だ。
今日はどんな冒険のお話が聞けるかな?

20年7月11日

昨日の夜の8時に来た息子は、少し話したあと8時半に頼んであるテイクアウトの中華を取りに行ってと頼むと、快く行ってくれた。
すぐに帰ってきて軽くシャワーを浴びるのを待ち、せいうちくんは「エビチリ弁当」息子は「青椒肉絲弁当」私は「油淋鶏弁当」を食べる。
単品で頼んだ「魚のさくさく揚げニンニクだれ」が一番高いというちょっとした違和感。
弁当はコスパ良く作っているなぁ。

胡麻団子の中のこしあんが美味しいので絶賛し、
「名古屋出張のおみやげだった赤福餅を思い出すよ。赤福、覚えてる?」と聞くと、息子はキッチンのカウンタの端、電話の横の部分を指で指して、
「覚えてるも何も、いつもあそこにあったじゃない。決まって、あそこ」と笑う。
「木のへらで1コか2コ切り離して食べちゃえ、ってやったことある?」
「何百回もやった!」
買ってきてくれていたせいうちくんも、嬉しそうだった。

気になっていた自転車の件は、話を総合すると、
「塀にぶつかって大破し、泥よけが曲がってタイヤと接触して動かなくなったから、翌日取りに来ようと思い、駐輪禁止地域でないのを幸いそのまま置いて用事先に向かった。取りに行った時にはもうなくなっていた。『あんな自転車に乗って行っちまうヤツがいるのか?!』と驚いた」ということらしい。
傘の骨は彼が突っ込んでおいたものがそのまま残っているみたいだ、とのこと。
(ビニールは年月にさらされて消え失せたようだ。白骨みたい。骨だけに)
それが2年後に回収されて通知が来る。世の中にはいろんなことが起こる。
もう処分してもらう、つまり何もしないことにするって。

私が人間関係が苦手と言うかヘタクソなんだとこぼしたら、さもありなんと言いたげな顔になった。
人とうまくつきあうコツを聞くと、
「オレはあんまりつきあいが広くないんだよね」と前置きして、
「いやな人との会話はしないなぁ。たとえば自慢とか、愚痴。聞いて身になるものはいいけど、本人のためにも何にもなってないと思ったらその場で帰るね」

その後、しばし即興コント劇場。
せいうちくんを相手に「いやな自慢をするやつ」との会話を繰り広げる。
会社を辞めるという人のキーワード、
「まわりが無能」
「しょせん実体のない仕事だから」
「自分の世界を広げたい」を織り込んだ「愚痴とも自慢ともつかない台詞」をこぼしてみせる。
それに対して、
「あ、叱られたんだ。ミスして、叱られたんだね」と返したせいうちくんに、息子は笑いながら、
「それ一番イヤなやつ。上から見てるセリフだよね」と降参していた。

一緒にタバコを6本ぐらい吸った。
息子がテーブルを立つたび、私はウキウキして換気扇の下について行き、とても楽しそうだった、とせいうちくん。
マルボロは強すぎてしまいには胸が悪くなったが。
これから30年も40年も生きるわけじゃなし、習慣にもなりそうもないから、たまに楽しく吸うのもいいかもね。
禁煙で苦労したのがウソのように、こだわりがなくなった。そしたらかえって吸うのも吸わないのも楽だ。

いろいろな話をする中で、
「善なるものでありたい。人の心に、善なるものを呼び覚ます何かを成したかった」といささか知恵熱を発しながら言う私に、息子の答えは、
「僕はコントでそういうことをしようとは思わないんだよね。善なるものは、人によって違うでしょ」
そこで、その人にとっての善を召喚するのが芸じゃないか、とか、熱っぽく理屈っぽく語ってしまった。

息子は、私とのキャッチボールが上手い。
向こうにその気がある時だけではあろうが、私の投げるボールは彼のグローブに吸い込まれ、すぱーんといい音を立てる。
ほどほどのタイミングで、こっちが投げた意図を十全に汲み取ったタマが返ってくる。
時折クセ玉を混ぜたり少し遠くに放ったり、緩急をつけた気持ちいいコミュニケーションが展開される。
きょうだいの声は似ていてハモりやすいと聞いたことがあるが、親子の会話にも言えるのかも。
息子は考え方や気づくポイントが実に私に似ているので、心地よく感じるのだろう。
せいうちくんは、まず「ダブルミーニング」が通じない人なので、言外の意味や洒落が全然わからないんだもん。

来年の休日講座で「BABYMETAL×THE ALFEE」ファン対決講義になりそうだ、もちろん母さんはアルフィーだよ、と話すと、彼もBABYMETALは好きで、武道館コンサートに行ったこともあるそうだ。
いつの間に。全然知らんかった。
家にいた頃は、水樹奈々のライブに行ったとかプロレス見に行ったとか察せられる時が多かったんだが、外の人のやることはわからないね。それでいいんだけど。

何を思ってか、家に来るとよく冷蔵庫や戸棚を開ける息子。
私は実家を離れたあと、他人の家のようにひと声かけてからしかそういうことはできなかった。
大学の寮に収まったとたんに実家が引っ越してしまったせいもあるかもしれないが、子供時代は家の中の記憶があいまいで、高校時代に住んでいた家では「自分の部屋」以外は自分の場所でない気がしていた。
息子は、家族の一員としての魂が健やかなんだなぁと思う。

我が家でずっと愛用しているフルーツフレーバーのティーバッグ、彼は「とてもおいしい」と気に入っていた。
「断捨離しなきゃと思ってるんだよ。ミシン、とかも捨てようかな」
「え、ミシンもう使わないの?どこにしまってたんだっけ」と言いながら開けた戸棚にそのティーバッグ100コ入りが4箱ぐらい突っ込んであるのを見つけ、
「わぁ、いっぱいあるねー」と驚いていた。
(ミシンのことは頭から吹っ飛んだらしい。もちろんあげてもいいんだが、若い人は使わんだろう)

「1人1コ使って、2人で日に5杯以上飲むからね。すぐなくなっちゃうんだよ。でも買い置きたくさんあるから、ひと箱持って行く?」
「うん、もらうもらう。いいねー、オレたちなんか、2人でティーバッグ1コだよ」
「若いうちはそうだよ。母さんだって一人暮らししてた時は3つぐらいためてそれでもう2杯は淹れてたよ」
せいうちくんと暮らし始めて、いつ頃からかなぁ、マグカップひとつにティーバッグひとつを投入できる気持ちになったのは。
息子と3人が飲んでた頃はもしかしたら2人に1コずつ入れて、最後に2コをまとめて自分の分を淹れてたような気がするよ。

来年またアメリカに行きたい、長期で、生活をまかなうバイトもできるよう、学生ビザで行くことを考えている、と言われた。
過去2回の渡米のたびに勧めたことだ。ついにそこまで真面目になってくれたか。
私も昔使った手で、何の学校でもいいんだよ、現地の「学ぶ人」になれさえすれば。
彼の場合、コントとか芝居とか道化師とか、勉強したいことはいくらでもあるわけだし。
去年は「カノジョに会いたくて寂しくなった」と早々に帰ってきてしまった点も勘案したらしく、「カノジョと一緒に行く」方向で検討してるそうだ。
金銭的な面と、あとこっちも大問題、新型コロナによる世界情勢がどうなるかだね。

めずらしく途中で映画鑑賞を挟んだりせずに、5時間ノンストップでしゃべりまくった。
親の意を汲んでくれたんだろう、成長を感じる。

彼の部屋はシアタールームを通り越して物置化し始めているので、リビングの床に敷布団一枚広げてタオルケット掛けて寝てもらった。
タブレットでマンガを読んでいると思ったら、次にせいうちくんがトイレに立った時にはもう寝ていた。

今朝も8時に起こしたらさっと起きて、いつものうな丼食べて出かけて行った。
生活のリズムも安定しているようで、さらに安心。
仲間のコントグループが初単独ライブをやるので、昼の部から手伝いに行くらしい。

そのせいだろう、夜の生配信の時、息子はいなかった。
もっと正確に言うと8人のグループメンバーのうち3人が本日単独ライブをやる別のコントグループなので不在、息子が照明を、配信のプロ化しているメンバーが音響を務めに行き、1人は見に行ったのだろうか、2人しか残ってなかった。
彼らは開き直って、生配信始まって以来初めての飲み会「二人酒」を展開していた。

実質リーダーのSくんと「見習い上がり」の一番若いメンバーNくんがサシで話すのは初めて見たよ。
話題が豊富で感性の似た(なにしろSくんや息子の書くコントを見て、「入りたい」と来てくれたNくんだ)年の差3歳ほどの2人は、実に面白い対談を繰り広げてくれた。
この人たちは30歳ぐらいまでに「卒業」しちゃうのか、それともこのままどこまでも走っていくのか。楽しみだ。

途中で夜の部の単独ライブが終わった下北沢から3人グループとお手伝いの2人がスマホでわいわい映像を送ってきて、にぎやかな場面も。
技術の進歩はスゴイ。一般人が配信に「現地からの中継」を入れる。
YouTubeやZOOMを使う方はなんとか息も絶え絶えについて行っているが、時代と技術という奔馬から振り落とされる寸前。

20年7月12日

息子及びグループの半分以上が抜けた生配信「二人酒」はてんで不真面目に音消して見て(だってPTAだもん。基本、息子を見てるんだもん)、実は翌日にアーカイブできちんと。
その間、こっちはこっちでサークルの定例ZOOM飲み会だった。

今日のハイライトは、超年下カノジョと遠恋中のHくんが現れたこと。
7人ばかりいたその場の誰よりも早く、せいうちくんが叫んだ。
「で、カノジョは無事なの?!」
相手は、1週間前から大雨で大変な地域に住んでいるのだ。
全員がうんうんとうなずく。
みんな、気になって気になって仕方なかった点だったのだろう。

驚いたことに、Hくんは照れたように、
「連絡は取ってないんですが、被災地からは少し離れていますし…何かあれば言ってくるんじゃないでしょうか」
複数の人間がいっぺんにしゃべっても聞こえなくなるだけ、ってZOOMの掟を忘れ、全員が一斉に叫んだ。
「LINEして!今すぐ、今、LINE!!!」

しかしHくんはどっちかと言うと「カノジョを模したアバターの自分」を出したくて、PCと格闘している。
「アバターで新しい技ができるようになったので…」
アバターカノジョの方が大事なんかい!
リアルカノジョの安否を確認せよ!!
いやー、いくら直撃でないとしても、私が名古屋にいて伊勢湾台風が来てるとして、遠恋のせいうちくんがうんともすんとも言ってこなかったら絶対に許さないぞ。

あんまりみんなにやいやい言われたので、Hくんも重い腰を上げた。
「今、打ちました」
「なんて?」と調子に乗った私が聞いたら、「それはちょっと…」
まあそうだよね、プライバシーだよね。
なんだか場が静まり返っている中、
「あ、既読つきました。返事がきました。大丈夫だそうです」
場の空気が、ぷしゅうううと一気に抜けた。安堵のあまり。

どうしても聞いておきたい。
「あのさHくん、私とかYちゃんとかいるに決まってるこの固定メンツの中に現れるにあたってさ、カノジョの安否を確認してなかったら猛烈にいろいろ言われるとか、当然予想しなかった?」
「いや、考えつきませんでした…」
イマジネーションレベルせいうちくん並み、とただちに認定だ!

ZOOMを終わって寝る頃になって、だんだん心配になってきた。
Hくんにはイマジネーションが足りないのではなく、ありすぎるのではないか?
カノジョは、イマジナリーガールなのではないか?
ネットの世界で、我々は会ったことのない人と話をし、行ってない場所を訪れたと思い、関係性と価値を判断する。
いやもちろん一緒にごはん食べた写真も見せてもらってるし、いろいろ根掘り葉掘り聞いてしまって、私の側ではこの件をよく知っている気になっている。
「存在する」人の話を聞いてるのに他ならない。

実在と虚構の壁がぐらりと揺れて薄らぎ、気の遠くなる心地がする。
横で寝ているせいうちくんのことを、実際に私はどれほど知っているのだろうか?
彼が私の脳みその中にだけ住んでいるんじゃないって、いったいどうやって証明したらいいの?
ああ、眩暈がしてきた。寝よう。

20年7月13日

通院日。
珍しく雨も降らず湿度もたいしたことなく、ほどほどの涼しさが心地よい。
自転車で行こう。

今日はなんの警戒なのかわからないが、おまわりさんがいっぱい出ていた。
特に行き先の駅前では10人以上が歩道を巡回しており、事故や事件があった感じでもないんよね。うーん、なんだろう。
歩道を自転車で通ると怒られないか、耳に突っ込んだコードレスのイヤホンを見とがめられて叱られたらどうしよう、など様々に不安になる。
息子が小・中と警察署で柔道を習っていたせいもあり、おまわりさんは市民の味方だと思って生きているが、「歩行者<自転車<車」と立場が変わるごとに段階的におっかない存在と化す。
「一般市民<泥棒<強盗」とやることが変わったとしたら同じように感じるんだろうか。

ドクターとの面談は少し長くなった。
せいうちくんがテレワークで家にいてくれることがとてもいい環境で、落ちついてきたのではないかと言われた。

主なトピックは2つ。
友人と「距離を置く」ことになった話をする。
「誰だって違うことをしていて歳をとれば、立場も考え方も離れてくる。合わない部分は『そんなもんだ』と思うしかない。『距離を置こう』と言ってくれるだけ、誠実で良い友達。たいがいの人は何も言わずに離れていく。大事な人ならまた会えるよ」と言われた。

この件だけに限らず、私が社会経験が少ないため対人スキルが上がらず20代の感覚のまま暑苦しく人との距離を詰めようとする欠点が、今回浮き彫りにされたと思っていると話す。
「いいじゃん、あなたには夫という良い友達で理解者な人ががっちりついてるんだからさ」と言われたので、
「1人では、リスクマネジメントの観点から不安ですね。夫が先に死んで1人で老人ホームに入ったあとでも話せる人が欲しいです」と言ったら、少し笑われた。
「その友達はいくつなの。同年配?若い友達を作らないと、老人ホーム後は難しいね。自分より長生きする世代の人でないとね」

ここ数年に知り合った20歳年下の友人2人のことを考えた。
彼女らの子育てが終わったら一緒に温泉に行ってみたいなどと勝手な夢を抱いているが、その頃私は80歳。もう旅行はできないだろう。
せめて老人ホームを訪ねてくれるよう、今度お願いしてみよう。

もうひとつは息子との関係。先日書いた「包丁問題」とか。
「息子を不安にしてしまっていた。毒親の連鎖を止められなかったのではないかと思うと、くやしく悲しい」と告白する私を、ドクターは笑い飛ばした。

医「いい話だなぁ!『殺されるかもしれん』と思ったって言語化し、あなたに伝えられる息子はすごいよ。全然問題なし。『親としても好きだし、尊敬もしている』って言ってもらってるんでしょ?十分じゃない。夫はなんて言ってた?」
私「① 「そんなことはなかった」と彼の記憶を否定しなかった
  ② 「自殺しようとは思ってたかもしれないけど、あなたを殺そうと思ったことはない」とちゃんと説明できた
  ③ 「怖い思いをさせてごめんなさい」と言った
の三点で、正しい対応だったと言ってくれました」
医「いい判断だね!やっぱりあなたの夫は頼りになるよ。息子も実に立派に育ってる。現代の家庭のお手本だよ」
私「息子、お金がないですけど」
医「若いんだから、いいよ。やりたいことがあって、親が否定してない、それだけで若い人には充分」

苦にするべきことは何もないので、今のペースを守って平穏に暮らすこと、を宿題に出された。
こちらとしては、少し落ちついて客観的になれている今こそもうちょっと詰めてお話をしておきたいので、新型コロナ騒ぎ以来月イチになっていた面談をもう少し頻回にしておきたい、とリクエストした。
あと、前回減薬できた分が、やはりないと不安だとわかったので再開してもらうお願い。
両方とも快諾してもらえた。

少し感情が乱れた以外はうまくいった面談だったと思うんだが、もしかしたら感情が乱れまくった方が「いい面談」と呼ばれるものなのか?
トイレの中や閨房の作法同様、密室で個人的に行なわれるものなので、「あるべき形」を知らないんだ。
本で読む面談は、著者の筆でキレイにまとめられていたり患者側が「絵に描いたような反発から一転してこれまた絵に描いたように衝撃的に気づいて反省」していたりするので、どうも実態がわからない。

昔、会社の若いカウンセラーと話をしていた時、どっと泣き出して、
「ごめんなさい、あまりに教科書通りに進むものだから、調子に乗ってやり過ぎてしまいました」と謝られたことがある。
そういうのは「いい面談」なのか「悪い面談」なのか。
そもそも個人的なことに「よい」「悪い」「あるべき形」などの言葉を使ってしまう考え方こそ私の問題であるような気がしてきた。

テイクアウトのランチを買って帰り、せいうちくんのお昼休み時間に一緒に食べるまで、雨も降り出さず無事に終わったミッションだった。

20年7月14日

昨日のランチを買う時、せいうちくんの昼休みの関係で50分ほどの時間調整が必要になったので、図書館に寄った。
ああ、図書館が開いていて、雑誌の閲覧ができて、開架からの貸し出しが受けられるって本当にありがたい。
渡部建のくらった文春砲を本誌で確認したかったんだが、誰かが閲覧中なのか、棚になかったのが残念。
いつも読んでるのは電子版なので、そういうホントにホントのとっておきスクープは載せてないのが巧みすぎてにくい。

高見沢さまの小説、わりと最近出た第2巻さえも無造作に棚で見つかるのは嬉しいのか悲しいのか。
そうか、ファンたちは絶対買うから図書館では借りないのか。
あと、10年前は開架されていたものが今は全然見当たらないことから、「一生読みたいものは、文庫化されたものを買って自炊しておく」しかないとつくづく思う。

雑誌閲覧コーナーに座っていた時、カウンタの方で騒ぎが起こった。
いわゆる「キレたおじさん」(声だけなので年齢はわからないが、私と同じぐらいかそれ以上と思われた)が登場したのだ。

「ちょっと、文句言いたいんだけど!」
意外と冷静な始まり方だ。声はでかいが。
もっと「オラオラオラオラァ!」みたいに始まりそうなイメージがあった。

要するに、体調が悪く、外の駐輪場でちょっと「椅子」(自転車がむやみに混み合わないよう設置してあるコンクリの円柱だと思ってたよ)に腰掛けようとしたら、駐輪場の監視員から「ここは自転車を停めるところだから、座ってはいけない」と言われたらしい。
「具合が悪くても、座っちゃいけないのか!ここではそういう指示を出してるのか!じゃあ椅子なんか置くなよ!」と、1階閲覧室の全員が振り向くような声で言う。

私はカウンタ方向を向いて座って雑誌を読んでいたのだが、残念なことに目の前には向かいの人との「飛沫よけ」のためプラスチックの波板がそびえ立ってた。
わざわざ立ち上がったり横から覗こうとしたりするのは、淑女のやることじゃないだろう。

カウンタ内にいた3人ほどの職員さんが、
「お加減の悪いところ、ご不快な思いをさせてしまい、まことに申し訳ありませんでした」と謝罪し、頭を下げている様子だった。
しばらく大声でのご発言を続けたのち、お帰りになったようだ。

物見高い性格だから「残念」と思うわけだが、何より、自然と「キレる高齢者」みたいなイメージが浮かんでしまったので、実際いくつぐらいの人なのか確認できたらよかったと思う。

家に帰ってテイクアウトを食べながらせいうちくんに話したら、彼もまた同じ感覚でいるらしく、
「キレた老人が増えた、って言われるけど、20代、30代、40代とずーっと、同じ人たちがキレ続けてるんじゃないかなぁと思う」と言う。
まあ、私たちも息子も、あんまりキレない年代だもんなぁ。少なくとも人前では。
もっと上の人がキレるのかな。
生きていれば80代の私の母はすぐキレた。しかし父はまったくキレなかった。個人差強し。

妙に理屈っぽい物言いなどから、ついつい「威張るバックグラウンドを失った定年後のある種のサラリーマンとか公務員」を考えたりする。
せいうちくんも、
「カウンタにいる女性や若い男性に言いに来るのが良くないと思う。駐輪場で注意した監視員のおじさんに言い返せばいいのに、そうしないところが悪質」という意見。
実際はそうしたら、「知らんよ。中の人に言って」と言われたので言いに来た可能性も捨てきれないが…
しかし、わざわざ入ってきて言うぐらいなら、最初から中に入って休めばよかったのにね。
ああ、建物内は密だからいかんのか。

20年7月15日

「アベンジャーズ:エンドゲーム」を観るための準備をしている。
「スパイダーマン」の正史(グリーン・ゴブリンが出てくるやつ)はアベンジャーズに関係ないので「ホームカミング」と「ファー・フロム・ホーム」さえ観ればいいんだとか、学びの最中。
「ハルク」が「(巨大な)廃船」って意味だとは知らなかったなぁ。てっきりあの緑の巨人になっちゃう人の元々の名前がハルクさんなんだと思ってた。

実は最初に「アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー」と「アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン」見てこてんぱんにされたのだ。
わけがわからん。半分以上寝てたし。
態勢を立て直してググる。プライドがないので何でもググってしまう。
どうやら20本以上観て準備して、やっと「エンド・ゲーム」がわかるようになるらしい(しかし保証はない)

まず山のような録画をエクセルに起こして整理し、何がデッキで見られるか、何が配信で無料かのリストアップをする。
いまのところ、
「アイアンマン」
「インクレディブル・ハルク」
「アイアンマン2」
「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーズ」まで観了。
「マイティー・ソー」観てるところ(ちょっと順番が狂った)
有料の配信をひとつだけ使ったが、新しい作品になるにつれ隘路になり、有料率が増す危険が。

スターク社は昔から軍需産業だったんだなぁとか、トニーさんけっこう好きだがどうも死んじゃう不安があるなとか思いながら「マイティ・ソー」で急に世界観が広がりすぎてビックリしてる。

昼間せいうちくんが家にいるのにほぼ話もできない不思議な感じを抑え込むために始めた大事業でもあるし、夜は一緒に「ホームズ」「ポワロ」「コロンボ」を楽しみにしている彼を巻き込むわけにはいかない。
しかし1人鑑賞にはなかなか慣れないので、道は遅々として進まない。
向こうは「ゆっくり時間があれば途中からでも1回見たことあるものでもつきあうよ」との構えなので、「ステイホーム・ロングサマー」になりそうな今年の夏休みに誘ってみようかしらん。

映画の鑑賞法としてははなはだ無作法ながら、人とあーだこーだ言いながらでないと見た気がしないのだ。
顔の区別がつかないので、「さっきのあの人が、この悪党だったの?!」とかしょっちゅう聞いちゃう。フェイス・ナビゲーターが必要。

余談だが、「コロンボ」等、昔の吹き替えドラマや映画を観てると、せいうちくんはうるさい。
全然関係ないところで、「ルパンと銭形が話してる」とか「このブロンドが峰不二子」とか言い出す。
知ってる声優の声は全部聞き分けられるらしい。
それはせいうちくんだけの特殊能力ではなく、まんがくらぶには珍しくないことのようだ。
「コロンボが途中で小池朝雄から石田太郎になったと言われても、全然わからない」と先日のZOOM飲み会で話したところ、スタトレおたくのSくんが、
「昔カットされてた部分を吹き替えなおしたんだと思うけど、連続して聞いててわからない方が不思議だ」と首をひねっていた。
一般人にはわからないんだよ、と頑なに信じているぞ、私は。

ますます余談として、コロンボの「溶ける糸」でスタートレックの副官ミスター・スポック、レナード・ニモイが犯人役をやってるのは有名だが、カーク船長役のウィリアム・シャトナーも犯人をやったことがあるそうだ。しかも別の犯人役でもう1度出演、とSくんが教えてくれた。
2回もコロンボにつかまってるのか!
「またおまえさんかい!」とは言われないんだろうか?

どんどん元の話から離れていく。
新スタートレックのピカード艦長(旧は船長、新は艦長、であってるのか?トレッキーじゃないから、知らない)は、私の大好きな「X-MEN」の「プロフェッサー」チャールズ・エグゼビアの人だ。
アメリカではテレビ俳優と映画俳優は別物だ、と聞いて育ったが、今の時代はもう違うのかな。
「ER」でドクター・ロスをやったジョージ・クルーニーが映画にも出始めて「へー!」と思ったもんだ。
あれは、出世というものか。
欧米では舞台俳優の地位が一番高いらしい。
日本の「歌舞伎」にあたると考えると自然だってさ。

話が散逸しかけたところで、本日はこれにて。

20年7月16日

286人かぁ…1日で、東京都だけで。
昨日は150人ぐらいだったし、3人まで下がった瞬間もあったのになぁ。
感染症だから増え始めたらネズミ算、と思うと、どうしていいかわからない。
「またしばらく会えなくなるかも」と息子に来てもらっておいてよかった。

暑い夏を前に、マスクをしてると汗をかく。脱水状態にもなりやすいらしい。
どうせ夏場は外に出ないからいいような気もするが、状況の閉塞感がスゴイ。
こういう生活をもう3カ月以上続けてきている。
我々のような初老世帯はまだいいが、お子さんのいるご家庭での苦労はただ事ではないだろう。

「まだオリンピックをやるつもりなのか」
「なぜ都庁を赤く光らせない?ただの電気代の無駄だから?」
「なぜ今『Go To』」
「指導を出すと金も出さなきゃいけなくなるから、『それぞれで気をつけて』以上のことは言わないのか」
などなど様々な考えに触れ、自分も同意する。

と書いているたった今、「Go To」に関してだけは少し胸のつかえがとれた。
見直しになったそうなのだ。
追いかけるように大阪でも緊急事態解除後最多の66人感染の報が。
頭がほかほかしてきた。混乱してるんだろう。

息子が読んでると聞いて図書館で借りたユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」上下と「ホモ・デウス」上下合わせて4冊をやっと読み終わった。
難しい言葉を使ってはいるものの内容はうなずけるこういう社会学系の本を読むのに、これほど時間がかかるとは思わなかった。
スピード以前に、いちどきに30分ぐらいしか集中できなくなってる。
引退後に読むのを楽しみにたくさんの本を自炊しているせいうちくんに、
「読む時間ができたからって、気力と知力が今のままだと思わない方がいいよ」と警告している日々だ。

上に書いたようにうなずけるところの多い内容。
しかし、うんうんわかるわかるとうなずいているうちに思ったより妙なところに連れて行かれる危険もはらんでいる。
「AはBだよね。BはCだね。じゃあ、AはCってことで」と言われた時には、AとCの間に様々な夾雑物が入ってる。
「そこはまあ、話の筋だから大雑把に」と言われるままにしておくわけにもいかない。
現実的なエビデンスを挙げているようでありながら、大胆にぶった切って積み重ねていくので、出来上がりの構築物はやや堅牢さを欠いている。

考え方の訓練としては面白かった。
歴史から科学まで、幅広い知識を持った人であるには違いない。
他人、特に日本人以外の宗教観はとても難しくデリケートなものなので、私が母親の影響を強く受けながら母親を語るように、著者は宗教にこだわりすぎている気もする。
宗教と文化は切り離せないので、多様な文明や社会を語るうえでは避けられないところなのか。

20ページぐらい読むたびに、「まだ足元の地面はしっかりしてるかな?」と確かめながら、自分を取り巻く現実に立ち返りながらの旅だった。
本を読む時はもっと高く遠く飛翔したいよね。
難しい言葉や概念を思うさま頭の中で転がしてみるのはとても楽しかったんだが、それによって喚起されるイメージが広がりにくい。
もともとそういう目的の本じゃないから仕方ないのか。
やっぱり小説の方がいいかも。

20年7月17日

25年ぐらい前からアルフィーのファンだ。
公式ファンクラブには入ってないし、コンサートにもいっぺんも行ったことがない。
5年間ぐらいはひたすらCDを買いコンサートDVDを買い、ネットでアルフィーファンの集いに入ってみた。
当時買った「結成25周年記念」の高見沢さまご真影は今でもリビングに飾ってある。

しかし、そこでいきなり調子に乗って高見沢さまの「やおい(当時BLはそう呼ばれていた)」まがいの書き散らしを紹介してしまい、古参の方々から「こういう目で見るファンは迷惑」「自分で楽しむのはご勝手ですが、人から見えるところに置くのは…」と叱責を受ける。
当時はまだ「ネット人格」と「リアル人格」の区別がつかなかった頃で、「悪かったけど、それはそれとして平気でいる」ことができなかった。
突然の退会に、
「いろんな意見の人がいるからいちいち気にしすぎることはないですよ」
「固まった意見の方に押されて、新しく入って元気に発言されていた方がいづらくなるのは残念です」といった声もいただいたが、戻る気にはならなかった。

その後15年ぐらい、買ったDVDを時々観たりCDを聴くことはあっても、ファンらしい活動はしなくなっていた。
Facebookの発達とともに再びアルフィーファンのグループに入ってみたところ、そういうグループに入って熱心に活動をしているコアなファンの熱量と愛は変わっておらず、年月が経った分「より正しく」なっている感があって、やっぱりちょっと腰が引けてしまったものだ。

この分だと一生コンサートには行かないだろうなぁ、と思いながらも、来年は友人たちの前でアルフィーの話をする機会の予定ができ、勉強し直さなくっちゃと考えていると、図書館で高見沢さまの小説が目についたり、ブックオフでなかなか見つからなかったDVDが運良く7枚もいっぺんにつかめるなどの「機会」が訪れる。
シンクロニシティと呼ぶにはちょっと意識的すぎるかな、むしろラッキーと呼ぶべきか、などと思っていたら、本当に思いがけない機会がやってきた。

新型コロナで恒例の「春ツアー」を中止したアルフィーが、「夏イベ」まで全面中止ってわけにはいかないと、彼らにとっては初の「無観客配信ライブ」を行うことにしたのだった。
これまでFBのファンたちの間でもなかなか手に入らないと嘆きの種だったコンサートチケット、「どんなに苦しくても転売屋からは買わないようにしましょう。ファン同士、行けなくなった場合も正規の値段+送料で譲り合いましょう」と声をかけあっていたものが、配信となれば天井知らずの人数で、観たい人は誰でも参加できるのだ!

お高いものなのでせいうちくんに相談したところ、
せ「それは、ぜひ買いなよ!人混みや圧倒的な他人が怖くて生コンサートに行けないキミにとって、最良の機会じゃない」
私「でも、テレビで見るわけで、DVD観るのと変わらないよ…保存できないから、DVDの方がコスパいいよ」
せ「生コンサートでは、会場で観る人とあとからDVDで観る人がいるわけだけど、今回は、全員が同じものを観るんだよ。2020年のアルフィー夏イベに、正式に参加したってことになるんだよ。これは、千載一遇の機会だと思うなぁ」
私「そうであれば、500円高い『記念チケット付き』にした方がいいよね」
せ「もちろん!キミにあんまりそういうもの集める趣味がないのは知ってるけど、すごい記念になるよ」
私「2日間通しで、イブと当日があるんだけど、そうなれば両方参加するべきだよね?」
せ「そりゃそうだよ!こんな機会はもうないよ。ぜひ『全部参加した!』って気分を満喫して」

というわけで、指定されたアプリをAmazonのFire TV Stickでダウンロードして、発売の今日、アルフィーのお三方が配信ライブの予告をする映像が観られることを確認し、チケット購入に踏み切った。
2日分。記念チケットつけて。あっけなく、取れた。

最近は落語のチケットを購入するようになり、取れないチケットがどれほど取れないものかを実感していたので、そういう争奪戦に参入しないであっさりゲットできるとはありがたいなぁとほっとしている。
このタイミングで配信ライブが行われるなんて、そうならざるを得ない事態下でのいろんな人のご苦労を軽視するわけではないが、「It's an ill wind that blows nobody any good.(どんな風でも誰かには幸運を運ぶ)」の恩恵にあずかった気分。

私の誕生日数日後の2日間無観客配信ライブ。
せいうちくんからいいプレゼントをもらったことにしよう。

20年7月18日

息子コントグループ生配信、土曜日は軽いおしゃべりを楽しむ日。
最近はずっとメンバー1人1人を質問攻めにして掘り下げていく形式で。
今日の話題の人はYくん。
元々大学のお笑いサークルで息子とコンビを組んでコントを始め、そののち今のように人数の多いグループになってもずっと一緒にやってきてくれている。
今回も、お話の都合上必要な息子の仮名は「林賢(りんけん)」。

見ている人の中に学生お笑いに詳しい人がいたらしく、「昔は林賢さんと2人で〇〇ってコンビを組んでましたよね。もうやらないのですか?」とチャットで質問があった。
Yくんと息子はそれぞれのZOOM画面の中でものすごーく空中を見ていた。

Yくん「これ、言っちゃっていいのかな。大学4年の時、オレはお笑いを続けていくつもりだったんだよ。事務所に入ろうとか。でも林賢くんはね、なんかね、ご両親に反対されたから就職するって言ったんだよね。だからオレは事務所に入って、今、このグループでも一緒にやってるFくんとMくんとトリオを組んで、コントやることにしたの」
林賢「まあ、就職はしたんだよ」
Y「すごいゲーム作るぞー!やるぞー!って、勢いだけはよかったよね」
林「すぐ辞めちゃったけどね」
Y「いきなりアメリカ行っちゃうしね(笑)会社入ってからもコントはやっていきたいからってこのグループを続けてて、そういう意味ではオレもずっと一緒にやってるわけよね。もう〇〇ってコンビの形じゃないけど、仲間だよ」

いい答えが聞けた!
あと、メンバーからの質問の中で息子が、
「これはみんなに聞いてきたことなんだけど、人生で一番腹抱えて笑ったことって、なに?」
と聞いたら、Yくんの答えはこんな風。

「あんまり腹を抱えて笑わないなぁ。意地悪な意味じゃなくって、人が窮地に立ってるって言うかなぁ、『極まってる』時が面白いと思うんだよね」
それで紹介してくれたエピソードが、みんなでインプロやってる他団体の人と一緒に練習した時のこと。
「林賢くんがいつものように『カマしてた』じゃない。オレはアメリカでインプロ学んできました~とか言って。それで張り切ってインプロコント始めて、調子乗ってやってたら最後どうにもオチない形になっちゃったんだよね。その時こっちを見てる哀れな犬みたいな目がもう『極まってて』さ、そういう落差に、一番おかしさとか愛しさを感じちゃうね」

視聴してるせいうちくんと私は「腹を抱えて笑い転げて」いた。
やはり息子はいつも「カマして」いるのか。
どうも我々と話している時も、「話が大きく」「エラそう」であるとは思っていたが、まわり中がそれを知っており、それでもなお、一応「リーダー」として息子を認めてくれているのか。
(やはり先日のおしゃべり回で、「林賢くんリーダーだっけ」「主宰だと演劇っぽいから、主菜でいいんじゃない?」などと言われてもいて、いろいろと彼の立場を想像した時も笑い転げてた)

我々にとっては長いこと知っているYくんの忌憚ない意見や、彼らのコンビの事情も知ることができて、大変有意義で面白い回だった。

ただ、看過できないのは、「就職しないでお笑い方面に行くことを両親に反対されて断念」という話になっていること。はなはだ遺憾。
翌日になってから、
「特に相談された覚えも正面から反対した覚えもないんだけど、こっちの勝手な思い込みだろうか」とメッセージで質問すると、
「僕もその認識はなかったよー」との軽い返事。
「Yくんはそう思ってるんだ(笑)」
「だねぇ」
案外話し合ってないんだねぇ、君たちは。

「いつでもあなたの進みたい道を応援してるから、いろいろ好きにやって。基本は自活ね」と励ましたり釘を刺したり。
「ありがとう。頑張る」とのこと。

まあしかし、今でこそ親に反対された認識がなくとも、就活に入る時期、人生の岐路に立った時には親の無言の圧力(それがなかったとも言い切れないし)に負け、そんな自分を正当化するために相方にはやや親に責任転嫁する形で語っていたのかもしれないね。
今、そう思ってないのはありがたいよ。

20年7月19日

恒例のまんがくらぶZOOM飲み会は昨日のことだが、まあ今朝の4時までやっていたので今日の話だったことにしよう。

まだ日付が昨日のうち、少女マンガ研究者であるHくんが現れたので、最近知った「小野弥夢(おのひろむ)の『Lady Love』」というバレエマンガについて質問する。
Twitterからバレエマンガ60年の系譜を語るある人のブログに行きついて、全然読んだことのない知らないマンガ家さんがその人だけだったので、読むべきものです!と言われたらまとめ買いしようと思ったのよ。
あいにくHくんは小野弥夢はほとんど読んでないんだそうだ。

その代わり、彼が主に研究している「松本かつぢ」についての貴重なお話がたくさん聞けた。
村上もとかの「フイチン再見!」で「フイチンさん」を描いた上田としこが弟子入りした先だと読んで名前を知っていたのみ、それ以外では聞いたことのない松本かつぢ。
世の中にはいろんなものを研究している人がいるもんだ。

HくんがZOOMで共有して見せてくれたコピー原稿には驚いた。
昭和10年代に、怪傑ゾロ的マスク(すでに映画があったらしい)にタイツ姿の女の子が大活躍する「?(なぞ)のクローバー」というマンガとか。
上から俯瞰するカメラワークとかコマ運びによる映画的な手法などは、昭和20年代に手塚治虫が始めたんだとばかり思っていた。
逆に「リボンの騎士」などが松本かつぢから強い影響を受けてる気がしてくる。

ワインオタクのUくんがたいそう興奮していろいろ質問していた。
オタクは領域を超えてオタクなのか、それともそもそもマンガサークルだから捨てては置けない問題なのか。
飲み会主催者のGくんも、
「Uさんの食いつき加減がスゴいな!」と感心していた。
Uくんもよくワインのうんちくを披露してくれるし、専門家のお話が無料で聞ける飲み会はゴージャスだ。

せいうちくんはくたびれてたので先に休んでしまい、夜中になって長老が「0時を回ったら猥談会になっていいんだ」と言ってたら、40分ひとセッションが切れるタイミングでHくんとUくんは帰ってしまった。
残ったのはいつもの長老とGくん、そしてこの時間まで居残ってくれるのは珍しいスタトレオタクのSくん。
さて、Sくんに下ネタ言っていいんだろうか。

まあとりあえず無難にスタトレの話して、
「そう言えばバルカン人ってさかりがつくんだったよね?」とさりげなく下ネタに振る。
そうなんだが、あまり詳しい説明はない、との話を聞いてるうちにまたワンセッション終わって、復帰してみたらGくんが戻ってこない。
相当酔っ払ってたから、落ちたようだ。

さっき話題になっていたスポック副長を始めとするバルカン人のさかりは「ポン・ファー」と呼ばれ、日頃冷静で論理を重んじる彼らにはめずらしい公認非論理的タイムで、儀式もあるらしい。
SF好き3人が居残っていたので、しばしSF方面ご歓談になった。
しかし私のSFは1990年代に入る前に止まってるんだよな。
多分20歳ぐらいまでしか読んでない。

萩尾望都が「10月の少女たち」の中で「どうせならアシモフヴォーグトスペースオペラだ」とのセリフを書いたのは71年のことだったか。
うわ、私まだ12歳じゃないか。
リアルタイムじゃないな、全集出てから読んだんだろうな。

まんがくらぶ入った時は読む方も頑張ったがそれ以上に特撮映画が必須教養だったので、池袋や新宿のオールナイト4本立てで「液体人間」とか「ガス男」とか頑張った。
もうゴジラモスラガメラキングギドラとともに全然覚えてない。

そのうちGくんが復活して登場した。
「さっきまでSF話で盛り上がってたんだ」と長老が言ったら、
「すんませんな、戻って来ちゃって。わしにかまわずえすえふの話してくれ」と言うGくんを交え、もっと幅広い話を。

でもSくんは、猥談なんかしない人なんだよね。
いつものように、長老は笑いながら私は直截にGくんはわめき散らすように繰り広げる下ネタに、
「なるほど、この時間はこういう話をしてるわけですか」とスポック副長みたいな顔してた。
さすがに4時前におしまい。
せいうちくんがいないんで盛り上がりに欠けたなぁ。
長老曰く、
「せいうちくんの中学生みたいなノリの素直な下半身話はいいぞ~」
また今度、元気のある時にね。

20年7月20日

せいうちくんはほぼ4カ月近くテレワークをしている。
その間、出社したのは6日ほど。
最初は書斎の自分の席でやっていたところ、ノートPCを何台も広げたりする関係で手狭になり、食卓に移った。

うちは、部屋の角に2辺を壁につけて置いた事務机の短辺をせいうちくんが使い、メインのデスクトップPCモニタの関係で長辺を主に私が使っていた。
椅子も、2人ともが座る可能性のある長辺に普通に事務椅子を置き、せいうちくん側は食卓の椅子をひとつ持ってきて使っていた。
これが、テレワーク前の事情。

3ヶ月ほど経って、心配していた恐ろしい影響が出てきた。
せいうちくんの腰が痛くなったのだ。
数年に1度ぐらい急な姿勢変化からのぎっくり腰は起こすが、私と違って日頃あんまり腰痛に縁のない人なのに。
微妙な姿勢の違いで長時間のデスクワークはきつい。
だいぶ前、ノートPCを膝の上で打っているのを心配していたら「大丈夫大丈夫」と知らん顔だったのが、果たせるかな腱鞘炎を起こした事件を思い出し、やはり「心配だから椅子代えて」「大丈夫」の行きつく先が腰痛だ。
「そらみたことか」とは言わずに優しくシップを貼ってあげる私は、かなり親切。

食卓で食事ができなくなってちゃぶ台を使うようになっていて、まあ不便と言えば不便だったので、これを機会に書斎に戻ってもらう。
もちろん事務椅子を彼に譲り、私が食卓椅子を使う。
私もそれなりに長い時間PCの前に座るし、どうもテレワークの時代は思ったよりずっと長く続くかもしれないと思い、事務椅子をもうひとつ買うことにした。
Amazonで、めずらしく配送されてくるのに1カ月もかかる。
そして、待っている間にせいうちくんの腰痛はみるみる治り、昨日事務椅子が届いた時には私がひどい腰痛になっていた。

先日まんがくらぶZOOM飲み会をやった時も、テレワークをこたつ台でしのいでいる男性が「腰痛になってきました」と言っていて、その時点では「せいうちくんもなったよ。私もなりそう。姿勢は絶対に気をつけた方がいいよ」と言う程度の他人事だったんだが、数日の間に完全に悪化した。今や杖をついてもゆっくりとしか歩けないほど。
寝るのも仰向けもうつぶせも無理で、横向きにかぎ型になって寝ているような有様。

そんな時、一番楽でいられるのが、実は新しく届いた事務椅子「オカムラのサブリナ」に座っている姿勢なのだ。
オプションで「ランバーサポート」というものをつけたら、これはメッシュの背もたれの後ろ側、ちょうど痛い腰のあたりに硬質プラスチックの「支え」がついてるもの。
注文した時はまだ腰痛じゃなかったけど、今すごく楽だし、今後の再発も防げる気がする。

今テレワークをしている皆さん。
ただでさえ運動不足になりがちです、家の中でなかなかベストな場所を選ぶことができず「間に合わせ」になってる場合、特にご注意を。
最初に思ったより長く続くかもしれません。
たとえそうでなくても、家のIT環境を充実させ、快適な書斎的スペースを持つことはきっと長期的に役に立つと思います。

少しでも腰を伸ばそうと散歩。
本屋には入荷している本日発売の渡辺ペコ「1122(いい夫婦)」がまだ届かない。
前はAmazonの配達は発売当日だったが、最近は新型コロナの影響で宅配物が多いせいか、1日2日遅れることが多い。
不要ではないにしろ、不急だ。しょうがなかろう。

20年7月21日

暑い季節がやってきた。
せいうちくんと私が共棲できない季節、窓を開けて風が入る程度の部屋とエアコンをかんかん効かせた部屋に別れて棲まねばならない時機の到来だ。

寝る時はさすがに一緒の部屋なんだが、私のシングルベッドには薄いタオルケットだけなのにせいうちくんのダブルベッドには夏掛けと言うにはちょっと厚すぎる羽毛布団が。
お休みを言ったあとで自分のベッドに移動し、ホルダーで頭上に固定したiPad Proでひとしきり読書や動画を楽しんだあと、熟睡しているせいうちくんの横にもぐり込んで朝まで眠るのが習慣になってるんだが、この季節は、せいうちくんだけ布団を掛けて私は迫り来る羽毛布団を避けて寝るってヘンな構造ができあがる。

体感温度が著しく違う夫婦は、普通、一緒に寝るのをあきらめるんだろうな。
我々はまだ、あきらめが悪い。

20年7月22日

テレワークのせいうちくんが久々に出社した。
新型コロナの患者数が200人あたりで上下している東京都なのであまり電車に乗ってほしくはないが、時には行かねばならんらしい。

本当に久しぶりに1人になり、もっと寂しくてしょうがないかと思ったけど案外平気。
せいうちくんが家にいるのに仕事してる時より、気持ちはスカッとしてるかも。
でもごはんは面倒くさくてカップ焼きそば食べちゃった。

「何気なく他人と一緒にいる」のが苦手なんで、別室でテレワークしててもついつい「今何してんのかな~」とか考えてしまう。
それならばと開き直って横で自分の作業をするようになってきて、せいうちくん的にも1人きりよりにぎやかな雰囲気で嬉しいらしく、最近はそんなペース。

一緒の机で対角線に座って仕事風景を眺めてると、まあいろんな会議の様子なんかも聞いちゃうわけだ。
けっこう難しい仕事してるなーと感心することが多い。
家で奥さんが「お父さんはダメだから」とか子供に言ってた私の実家のようなうちは、会社参観とかテレワーク見学とかあったらいいと思う。
少なくとも大変なご苦労をしている点だけは察せられる。
まあ最近は奥さんも働いてたりするからいいのか、別に。

夜はスタトレオタクのSくんとせいうちくんと3人でZOOM会。
こないだのZOOM飲みにSくんが遅くまで残ってくれてて話が弾んだのにせいうちくんくたびれて先に寝てたから、同期の彼とゆっくり話したい、と個人的に申し入れた。
ていねいに受けてくれて、休肝日らしいSくん以外の我々は飲みながらおしゃべり。
「昔は毎週のように下北で飲んだねぇ」と回想する彼は、どっちかと言うとリアル飲み肯定派のようだ。

20年7月23日

昨日の息子の配信。生を逃してあとから見た。
息子と、私の大好きなUさんがお題をもらって15分間でそれぞれにコントの脚本を1本書き、グループのメンバー2人がそれを演じてくれる、という回。
お手伝いにスタッフの女性も来てくれていた。

書き手2人が必死に書いてる間、メンバー2人とその女性がDJ的におしゃべりを展開してくれる。
メンバー1「もう5年ぐらいスタッフやってくれてるよね。いろんな仕事してもらってるから、就活の時とかに『コントライブのスタッフやってました!』ってのは自己アピールにいいんじゃないかな」
女性「あ~、そうですね!それ言わずにもう終わっちゃったので、次回に使います!」

彼女は私のうーんと後輩にあたるんだよね。
もともとチャレンジ精神旺盛な傾向の大学ではあるが、イマドキの学生は就職した時にもう転職のことを考えているのか。
終身雇用制は崩壊したと言われる昨今、皆さんぜひぜひチャレンジしていってほしい、と言いつつ、ちょっとびっくりした。

まあそもそも、卒業して最初に入った会社にずっといるのが当たり前だったと言うか、新卒の時しか売り時がないなんて間違ってるよね。
息子が大学に入った頃、「20歳前に何になりたいとか人生決まってたらヘンだろう!」って怒ってたもんなぁ。
結果的に彼は高校時代、いやもっとずっと前からやりたかったお笑いの世界に入ったんだが、その中でもコントに特化するのにもある程度時間はかかってると思う。
成熟の度合いも人によって違うし、一律に卒業・就職は無理がある。
せいうちくんが昔から言っている「もっと出入りの自由な世の中になったらいい」って、まるっと同感。

コントのお題、女性スタッフからいただいたのは「レモン」。
「お昼に鶏のから揚げ食べたんですけど、いっぱいレモンがついててすごい搾って食べたんで」とのこと。
温かな作風のUさんは高校生男子の「モテる秘訣はシトラス」でさわやかにまとめ、息子のヘンテコワールドは超酸っぱいレモン「すっぱおう」泥棒のコント(これはやはり、イチゴの「あまおう」なんだろうな…)
両方ともよくできていた。

2本目は2人がGoogleなんちゃらで原稿を共有して書き上げるスタイル。
前に何回かサブリーダーSくんと3人でやってて、今回のように2人だと「話が早い」らしい。
あと書き手が複数になると。方向性やイメージが固まったあとの後半の作業が「なだれ落ちるように楽」なんだって。
なんとなくわかる。
大勢でマンガの原稿まわして描いてる時みたいな。

今宵も面白かった。
息子が会社辞めてコント始めた時は、ライブ見に行っては「何も辞めるこたぁないだろう。しかし、会社に勤めてたら会議をのぞきに行くわけにもいかなかったわけで」とか思ってたんだが、この新型コロナで定期的に生配信が見られるようになり、離れて暮らしていても全然寂しくなくなった。
逆に、大喜びで見ていたのに最近では配信日を忘れるぐらいで…
大童澄瞳も「5万回見た」と豪語するコナンの放送日を忘れることがあるそうだから、人間そんなもんだ。

20年7月24日

長時間睡眠薬でやっと5時間まとめて眠れるようになった。
しかし5時間経つと起きちゃうってことで、それからもう1回眠るのは難しいわけで。
薬剤師さんによると、「8時間は効き目が続くので目が覚めちゃっても起き上がらず、そのまま目をつぶっていてください。眠れるかもしれません」なんだそうだが、寝る時も「眠れない悩み」を抱えながら眠ろうとするのに、1日2回もそんな苦行はしたくない。

というわけで4時寝9時起きで書斎で作業。
4連休だからと3時に寝たせいうちくん、あいかわらずあっという間に眠りに落ちてぐーすか言ってた。
昨日の朝も同じような状態で、起こさないでいたらどのくらい眠るんだろう?と様子を見ていたら、11時に宅配便が来た音で起きてしまった。
8時間か。
今日こそ本当の本当に自然に起きるまで待っていると、13時にむにゃむにゃ言いながら書斎のドアを開けて入ってきた。
今の彼の身体が必要としている睡眠は、10時間らしい。

私もリッパになったもんだなぁ。
寝る時に「寂しい」と泣いたり、夜中に起こしたり、休日の朝こっちが目が覚めたからと言って起こしたり、ほとんどしなくなったもんなぁ。
前?ほぼ毎度のことでしたよ。
あの人、よくお勤めできてるよね。

新型コロナ以降、基本テレワークで在宅なのが私の精神安定にいいらしい。
しかし悪い面もあり、圧倒的なのが仕事環境の劣悪さ。
食卓椅子をやめて事務椅子で仕事するようになって腰痛は解決したが、今度はノートPCが気になる。
こういうのって、せいうちくん自身が気づくより先に私が気になり始めちゃう。
横から見てるせいか。岡目八目。
テレワークになって4ヶ月、日に2、3時間だったノートPC使用時間が8時間以上になり、だんだん猫背になってきたぞ。

これまでこういう職務環境を、全部会社が整えてくれていたんだね。
身体ひとつで入社した時から、椅子も机もファイル棚も今ではPCも全部用意されてる。
テレワークで使うPCやタブレットのために、IT費用を出す会社もあると聞く。
(椅子代、出してくれないもんだろうか…)

そもそもメインPCのでかいモニタを私が使ってるのがおかしい。
1日にちょっとしか使わないのに。
ノートと交換するのが妥当と思われるが、我が家の場合、「自炊」つまり書籍をスキャンしてデータ化するのをメインPCでやってるんだよね。
ノートでできなくもないそうだが、今の配線その他を変えるのも面倒くさい、とPC大臣せいうちくんが尻込みする。
「いいよ、交換しようよ。日記書くのとかはノートでかまわないし、自炊はあなたがいない時にメインの方使わせてもらうよ…あっ、基本、家にいるんだった!」

そう、テレワークとは、「せいうちくんが家にいない時間」が存在しなくなることであった。
喜んでたはずなのにすっかり忘れてた!

そんな「テレワーク困りごと事情」を友人とせいうちくんと3人でZOOM話。
彼女は基本自宅仕事の人なんだ。
「カフェに行けなくなったのが一番困った。最近は行くけど。今日も行ってた」と言うぐらい、外で作業するのが好きらしい。
息子が受験勉強してた頃を思い出す。
「オレ、同じ場所にずっといるのダメなんです」と塾の先生に泣きついて塾の自習室を貸してもらったり、図書館に行ったりコミセン行ったりガスト行ったり、さまようタイプだった。
六星占星術土星人のマイナスはそんな性格。

「ずっと同じ場所で作業するのは人間工学的にも良くないと早稲田の先生が言ってた。だいたい、お宅は広いのに、あの狭い書斎に閉じこもってたら息が詰まるだろうに」と嘆息する彼女に、PCの配分の相談にも乗ってもらった。
スキャナをノートでもメインPCでも使うには二股USBなども考えられるのだそうだ。
ためになった。

基本、「新型コロナで少し困ってるけど、基本的にはあまり困らない」3人の会話だったので、楽しかった。
せいうちくんの謎は、これで30年以上会社勤めをしてることだよ…

20年7月25日

定例のZOOM飲み会。
これが21時からで、22時からは息子のコントグループの生配信があるので、我々は1時間半ぐらい抜けるのが毎週の習慣。
どうせ夜中までやってるし21時から22時までの1時間はほぼ部屋主Gくんと長老しかいないから、23時半からの参加にしようかとせいうちくんと毎週話し合ってるんだけど、まあもうちょっと飽きるまでいいか、と。
Gくんも、あくまで軽い感じで参加してもらいたいそうなので、キリキリ考えることもあるまい。
なぜか我々が外れる5分ほど前にほぼ必ず北海道からUくんが参加してくるのも習慣になってる。
向こうも定期な予定を済ませてからくるのかな。

息子たちの生配信、土曜日はラジオのようにおしゃべりを楽しむ回で、ずっとメンバーの紹介的なことをしてきた。
今日はもうあの人しか残ってないだろう、って勢いで「Fくん回」だった。

メンバー中で別のコントトリオを結成してる人たちのリーダーで、今や息子たちのグループは、劇団を主宰するUさん、配信技術で他団体とも幅広く交流するTくん、そしてコントトリオと、別にさまざまな活動もしている人たちのマザーシップになっている。

Fくんはグループ発祥の時からいる「生え抜き」で、SくんやUさん、息子と同じく「書いて、演じる」人だ。脚本・演者同時担当。
コントトリオの活動の方に重心が寄っているのと彼自身が発信してるゲーム配信みたいなものもあって忙しく、こちらの配信に出てくれるのは初めて。

早口で話すFくんの会話は、日頃息子を通じて「若い人文化」にはある程度慣れているつもりだったけど、わからんことだらけだった。
用語が違うっつーか、テンションも、文脈も違う。異国の人の話を聞いてるよう。
どうやら私は何かのディープなオタクを見ているらしい(たくさん見て慣れてるつもりだったが、若いのはまた、別だなぁ)
それでもこのコントグループに入った理由を、
「コントにストイックな人ばかりが集まっていたから」と答える実は生真面目なコントマン。

質問表の中にあった「好きな食べ物」は「お母さんの唐揚げ」。泣かせるじゃないか。
どうやらニンニクを鬼のように入れるのがコツらしい。
別メンバーNくんちでも「あ、ニンニク、入れますね」。意外と多いニンニク派。うちは入れない。
サブリーダーSくんが、
「唐揚げ、面白そう。今度、みんなで語る回やろうよ、『実家の唐揚げ』大会」と盛り上げる。
聞いてみたいが、実はうちの唐揚げはたいがい「お父さん作」であるのがちょっと恥ずかしい。

バスケやゲームを語るFくんのオタクぶりを堪能して配信が終わり、サークルZOOMに戻ってみたら、別種のオタクが来ていた。
長老が背景に「マタンゴ」や「モスラ」ばっかり出すのに、スタトレオタクのSくんがなぜか大喜び。
どうも彼は「特撮オタ」も兼ねているらしい。(もちろん言うまでもなくSFオタも自然と兼任)
流してる張本人の長老でさえ「伊福部昭は全部同じなんだ」と言うのに対し、「これは宇宙大戦争」「これは怪獣大行進」とずばずばイントロ・ドンしていた。

何のオタクにもなり切れないせいうちくんが小さく反撃を試みて、1954年に「ゴジラ」ができる6年も前、1948年に「社長と女店員」という全然SFでも特撮でもない「社長シリーズ」の1本に伊福部昭が曲を書いているとネットで即座に調べ上げた。

そのあともせいうちくんは、Sくんの大学時代の「マクロ経済」の授業が難しかった、って話で「ミクロ経済」についてデータ共有してきたから、ちょっと怒ってみる。

私「大勢集まって、なんとなく知ってることを披露しあうのがいいんじゃん。ネットで調べたらこんなのも出ました、なんて当たり前すぎて面白味がないよ。Sくんみたいに自分が耳で聞いてわかる伊福部昭、頭に入ってる知識を出し合って話すのが面白いと思うなぁ。酔っぱらってやるオタク話はさ」
せ「いや、これ、自分でスキャンした本だよ~」
私「それだって、『宇沢先生はマクロもミクロもやってた』ってうろ覚えでいいじゃん。データに頼るな!」

6人ほどの画面が並ぶ中で夫婦喧嘩。
工学博士のTくんがうんうんとうなずいてくれていたのが心強かった。
日常生活では私も無茶苦茶ググるんだけど、飲み会の席は別。酔眼朦朧酔っ払いの曖昧なヨタ話が楽しい。

しかし私がトイレに行って戻ってきたら、Tくんも古い論文上げて全員で新型コロナの罹患率上昇曲線について話し始めていた。
いくら生かじりの半端知識でわかったふりをしてついていくのが得意技でも、宇沢教授のミクロやらマクロやらの数式がわかるふりはできない。
「洗濯物を干すから、話題が柔らかくなったら教えて」と言って夜中に干し物。

戻ってもまだ数式だった。
なんとか会話に参加を試みる。
「その、数式のpの上や下にドットつけるのって、何て入力すれば出るの?」
T博士は辛抱強く、
「ワードでも『数式を入力する』設定を選べば出せますが、我々のように専門に使う人間は「てナントカ(聞き取れない)」という専用言語ソフトを使います」
てふ?てっくす?音だけでは理解できなかった。

長老がウィキかなんかから「TEX」をググって出してくる。
はい、ここでは「ずるいぞ、ネット使うな!」とは言わないの。
彼は、自分はわかるけどみんなが知らないだろうと思って「共有」で見せてくれてるわけだから。

TくんSくんが残ってくれてるのが珍しくて、今日は絶対1時ごろには終わろうねって約束していたのにせいうちくんの方が熱くなってきて、結局3時過ぎまでやっていた。
なんだかんだで私が寝たのは6時頃だろう。
「2人だと無限に続く」(2人より多くなると40分で切れる無料ZOOMのシステム)とFB上の長老からの通信を最後に、いつも「今日は21時より〇〇時まで。〇人参加でした。ありがとうございました」と締めるGくんのコメントも流れてこない。
きっと2人とも酔いつぶれてZOOMやりながら寝ちゃったんだろうなー。
地獄か極楽か、よくわからない。

こうして生活は乱れていくわけだが、Gくんがあいかわらず酔っぱらって叫んでいた、
「あんたは別に起きなきゃいけない用事もないだろう。何で寝ようとするんだ!」にヒントのかけらをもらった気がする。
そうか、眠ろうとするから苦しいのか。
眠くなるまで起きていればいいのか。

星飛雄馬が「打たれてけっこう、いや、もっと進んで、打ってもらおう」との悟りから大リーグボール1号を編み出した時のような気分だ。
しかしあれは、今読むとすごい「教育虐待」の変種、ううん、ただの虐待家庭だったかも。
だからいかんともそれでもいいとも言わないが、時代は変わるもんだ。

20年7月26日

時々エアコンをつけるようになってきた。
温度26度湿度70%を超えるとぐんにゃりしちゃうのだ。
立ち歩くだけで汗がだらだら流れてくる。
横のせいうちくんによると、頭と足が異様に熱くなっているんだって。
放熱システムに何か問題があるのかな。
とりあえず毎日水風呂を張っておいて身体が熱くなったら入る「水冷式」で動いてる。
自律神経失調症と診断されているので、多分冷水浴は効き目あるはず。

しかしせいうちくんは熱帯の生き物なのか暑さにはことのほか強く、あまり汗もかかず暑くて困ることが少ない。
逆に私の快適温度だとすぐ咳が出てしまうため、靴下やはんてんで自衛してくれている。
「しょうがないし、全然かまわないよ。暑い人はそれ以上どうしようもないけど、寒い人はどんどん上に着ればいいだけだから」
こんなに思いやりのある配偶者に恵まれて嬉しい。
そして地球にはちょっと申し訳ない。
キミが温暖化するからイカンのだ、とは言え、当方が暑さに弱すぎるのもまた事実。

買い物のついでに薬局に寄る。
昨日のZOOM飲み会で猛烈に薦められた二日酔い防止薬「ハイチオールC」を買うんだ。
元々の熱心な信者である長老から前に薦められた時はあまり信じていなかったんだが、今回、その場の参加者6人中3人が「ハイチオールC!」と画面にピンクっぽいラベルをかざしてみせるのには心を動かされた。
単に他の2人も長老に扇動されたのかもしれないが、飲酒後に服用した人は全員「よく効く!」と絶賛していて、「のんだけどたいして効かなかった」との声はまだ1件も聞いてない。
これは試すべきなのでは。
(のんでないGくんの「お~まえらは、な~んでそう薬に頼るんだ~!」という叫びは無視する)

そうそうそれから、咳き込みがちな場合に足の裏に「ヴィックス・ヴェポラップ」を塗って靴下を履くといいってTwitterで見たんだ。
なつかしいなぁ、実家はヴェポラップ主義で、風邪の時によく胸や背中や鼻の下に塗ってもらった。
あの独特の香りとスース―感は忘れられない。なんだか頼もしかったことも。

子供たちが小さい頃には常備してたが、もう長いこと買ってない。
風邪関係の棚に見当たらず、もしかしてもう廃れちゃった?と不安になってたら、せいうちくんがお店の人に聞いてくれた。
「ヴェポ…なんですって?」といぶかしがられることもなく、
「ああ、ヴェポラップ、こちらです」と案内された棚には、ちゃーんと懐かしい青色の大瓶小瓶が。
とりあえず小瓶買ってみよう。

これが、けっこう本当に効くんだ!
せいうちくんが少しでも咳き込んだら、「ヴェポラップ!」と叫んで靴下を脱がせる。
そして青い小瓶の中のベタベタした軟膏を土踏まずあたりに擦り込み、また靴下履いてもらう。
これでぴたりと咳が止まるんだよ。
私も汗をかかなくてすむ。
それにせいうちくんにしてあげられる儀式がひとつ増えて嬉しい。

今日の大失敗は、洗濯。
予報ではずっと曇りだから思い切って夜中に洗濯して夜から午後にかけて干しておこうと思ったら、洗濯中に既に雨が降り出していた。
しょうがないから浴室乾燥室を使うことにし、スペースがなくて干せないバスタオルやフェイスタオルは洗濯機の乾燥にかける。
久しぶりに使ったので加減がわからなくて、昼近くに起きたら(だって2人とも3時まで飲んでて寝たの6時だったんだもん)浴室乾燥の方はまだしけってた。
もっと長時間かけるべきだったか。

幸い雨はやんでいたので、午後3時ぐらいまでに乾くかと外に吊るすも、再びの雨。
もうあきらめて、浴室乾燥に最後まで頑張ってもらった。
洗濯でこんなに苦労したのは息子の柔道着毎日洗って翌日には乾いてなきゃいけなかった時代以来かも。

夫婦2人の生活では洗濯物はあんまり出ない。
テレワークでワイシャツや下着が毎日は出ないのでなおさらだ。
もちろん「前後ろ表裏、で1カ月」というような長老的解決ではなく、替えるべきものは毎日替えてる。
しかしアンダーシャツは毎日替えるのに、Tシャツだとそれほどは替えない不思議。
肌とワイシャツに挟まれてないから?
通勤しないと汗かかないから?
出社してる時より冷や汗をかく瞬間が少ない?
人生は疑問でいっぱいだ。

20年7月27日

テレワークがこの先も長く続きそうなせいうちくんと相談し、現在私が使っているメインPCと彼が使っているノートPCを交換することに。
4連休後半に、大工事した。

もともとはせいうちくんが「時々」会社の仕事をする用に買ったノートをいつの間にか毎日仕事に使うようになり、しまいに彼の専用になった。
私は少し先に買ったメインPCになじんでいたので勢いそっちの前に座ることが多く、たまたま半年ほど巨大なエクセル表を使う内職をしていた時期と重なり、完全に私の専用機になってしまったのだ。

内職が終わった時、せいうちくんに「返そうか?」と言ったら、
「僕もこっち(ノート)に慣れちゃったし、家にいる時間が長いキミが画面の大きなメインPCを使えばいいよ。そもそも自炊する量はキミの方が多くて、格納場所はメインのHDだし、絶対必要でしょ」と言われ、結局そのままの分担で使い続けていた。

しかし、3月末からテレワークが始まり、いつの間にやらもう丸4カ月。
その間ずっとせいうちくんは私のモニタの4分の1ぐらいしかない小さなノートの画面で1日8時間以上仕事をしていたわけだ。
会議の時間が多く、それ用には別のノートを使いながらとは言うものの、書類作成やメールの処理は全部ノートのキーボードで打ち、ノートの画面をのぞき込んでいる。

時々私がPCを使いに書斎に入ると、彼はデスクの短辺に座り、サイドテーブル用に出した折り畳み机に飲み物と仕事用具を置いて正面のノートに向かっている。
(息子が預けて行ったコントの小道具用の机がこんなところで役に立つとは!)
私は大きなモニタの正面、長辺に座り、彼とは直角の位置関係になる。
それで何時間もお互い快適に過ごした。

だが、先日来書いているそれぞれの腰痛経験を経て、また、せいうちくんが猫背になってきた心配もあり、思い切ってPC交換を実行することにした。
長らく話題に出ながらも真剣に取り上げられなかった問題なので、
「交換のメリットはわかってもらえたと思うけど、デメリットは何?私が日記を書くのと自炊作業しか思いつかない」と膝詰め談判で聞いたら、答えは、
「実は技術的にはほとんど問題はない」
「じゃあ、障害は何?」
「僕が面倒くさいだけ」と白状した。
キリキリやれ!

ああ、私にPCのことがちゃんとわかってたらいいのに。
今のままじゃ、現実的な手は何ひとつ打てないのに「安倍が、政治が」と文句を言っているもどかしさと同性質の不満が繁殖するだけだ!

4月頃、新型コロナで人々の生活が変化し、マンション共同回線のネット環境がいちじるしく悪化したもんだからやむなく外部の回線を導入しルーターを交換した、その時以来の大作業。
もちろんやってくれるのはせいうちくんだけど。
「せっかくできるようになった家庭内無線LANが、ルーターを替えて全部吹っ飛んでしまった。その後うまくいかないのでほったらかしていた」との言に、再び「キリキリやれ!」。

悪戦苦闘の末、再構築したようだが、その結果できるようになったのはプリンタの無線化ぐらい。
いや、本当はスキャナも無線化することはしたんだけど、スピードが遅すぎて有線の時みたいにじゃんじゃんPCにデータを取り込むってわけにいかないらしい。
1、2枚の書類ならともかく200ページ以上のマンガには役に立たないってことがわかった。
よかったじゃん、できるようになるのも嬉しいけど、できないことがわかるのもすごくいい作業結果だよ。

その後またまた苦労して、ついにノートPCでスキャンデータを処理できるようになった。
正確にはメインPCとノートの間に「通路」を作って、ノート側に繋いだスキャナで取ったデータを送り込めるようにしたらしい。
せいうちくん、IT業でも理系でもないのにすごく頑張ってる。
こっちは技術的なことは全然わからないのにこんなに偉そうにしてて、申し訳ない。
素人ユーザーの「こんなことできたらいいな」は常に技術推進のモトなのだ。

PCを交換するって、めんどくさいもんだねー!
それぞれ、自分が使うことになったPCで相手のLINEやMessenger、Facebookをログアウトし、自分のアカウントでログインする。
何もかも相手の名前で動くようになってるのを自分の名前に変更する。
認証確認がじゃんじゃん来る。これがないと容易に乗っ取られるわけか。

SNS変更の次にやったのは、隣の市を含む図書館3つをお気に入りに登録し、カード3枚のIDを入力してすぐにログインできるようにしたこと。
あとAmazonやTwitterも、せいうちくんは「必要あるごとに調べてURLを出す方法」で使っていたらしいが、私は自分の使うマシンをけっこうカスタマイズ(大げさ)する方なんで、「お気に入り」がすごい量なんだぞ!
Amazonをお気に入りバーに置くのは必須だろうに!
使い勝手の全然違う「お気に入り登録」を猛烈な勢いで増やしていく。

同じWindowsでもこんなに大変なんだから、MacとWindowsの間で乗り換えるのは大ごとだろうなぁ。
やったことないしやる予定もないけど。

あとはひたすら作業量を増やして新しいPC、キーボード、椅子に慣れるのが肝要と思われる。
前は経験なかったけど、1日中せいうちくんがメインPCを使っているので、「あっち側に入ってるデータちょっと見たい」と思ってもその時すぐってわけにはいかないのがわりとつらい。
勢いせいうちくんが眠ってる夜中に作業してしまう。
ますます夜更かしになっていくなぁ…
それでもまだまだ終わらないなぁ…

でも、恐らく新型コロナの影響は年単位で続く。
そうでなくてもリモートワーク化は推進されていくべきだし進むだろうし、せいうちくんにもいい環境で仕事してもらいたい。
4月頃に「これは、戦争なのですね」と言った友人がいるが、その時よりも事態は悪化しているぐらいだ。
長い戦争に突入してしまった。
終わった時、世界は同じではないのだろう。

20年7月28日

奥歯が欠けた(虫歯の疑い)のと歯のお掃除のために歯医者へ。
4ヶ月に1回来ていた「定期健診のお知らせ」ハガキが来なくなったのは、やはり必要ない時は行かない方がいいってことかな。
しかし予約を取ろうと電話してみたら、「今混み合ってますのでちょっと日にちがかかります」と申し訳なさそうで、10日以上あとにしか取れなかった。
かえって混み合ってる?なぜ?
3つある診察室がフルに使えない?
消毒等の対応に人手や時間がかかる関係?
といろいろ考える。

今日行ってみて、前と変わっていた点。

【待合室】
・検温(非接触体温計で額をピッ)
・手指の消毒

【診察室】
・グリーンの消毒液でガラガラうがい
・歯石を取る作業中のバキュームに、飛沫防止のため空気を取り込むシステムのため音が大きい

以上をお願いされた。
バキュームは吸引力が弱いようで、軟口蓋が攣るほど自力でガードしてみたけど、何度か喉の奥の水を飲みこむ羽目になった。
もちろんすべてしょうがない。
こんな時期に歯石取ってくれるだけでありがたい。
もっと自分で歯磨き頑張らなくっちゃなぁ。

奥歯の欠けたところはとりあえず虫歯にはなってないけど、削って形を整えてセメント埋めるには麻酔が必要なので、いったんパテを埋めて状態を落ち着かせて次回に麻酔でやりましょうとのこと。
プロにてきぱき判断されると安心するなぁ。

名古屋の友人たちにLINEして互いに励まし合う。
歯医者に勤める友人には「ちゃんと対策やってくれるいい歯医者さんにかかってるね。歯医者はリモートってわけにいかないから、しっかり治して」と喜ばれ、中学同級生たちとは来週末にZOOM飲み会が成立した。

ZOOM会と言えば、毎年夏と年末に保育園の頃のママ友たちと飲み会をしていたのが、今年はやっぱり無理だろうと思い、せいうちくん(パパだけど、毎回会を主催している)がママたちに意向をうかがってくれた。
そのうちの1人とお試しZOOM。せいうちくんと3人で。
PC入れ替えたことでいろいろややこしくなってるけど、なんとかできそう。

ところで、書いただけで頭に来るし画面の品位が下がる気がするけど、この新型コロナ真っ盛り期に起こったこととして記録しておかねばなるまい。
安倍総理はさらに8千万枚の布マスクを配布するのだそうだ(介護施設、保育所等向け)
あとから「すでに配り始めているものが終わってないだけ」とも聞いたが、もうやめとけばいいのに。

今日の新規罹患者は東京都266人で、愛知県110人と大阪府155人はともに最多を記録した。
大爆発。

20年7月29日

通院日。
珍しく雨もギリギリ降ってない涼しい日だったので、自転車で病院へ。

病院の前に自転車停められるんだけど、駐輪札もらってかけとかなきゃいけないうえ、帰りにタイ料理屋さんでパッ・タイとカオマンガイのテイクアウト受け取りたい。
ビル内2階の病院から札をもらっていったん外に出て自転車ハンドルにかけ、帰る時も2階の郵便受けに抛りこんでいかねばならないのが面倒だし、自転車で移動した先のタイ料理屋の路上にテイクアウト受け取る間放置していいかどうか自信がない。(地下のお店から戻ってきて自転車が撤去されてたり怒られたりしたら凹む)

というわけでまだ朝早いから空いていた駅前の2時間無料駐輪場に停めてあとは歩いたのだった。
実に気弱。

今日は自律神経失調症について話した。
異様に汗をかく、涼しくても焦るとしたたるほどである、頭痛がおさまらない、不安や動悸がする、といった症状、心臓の手術以降だということと心臓の先生は「それは心療内科の領域」と言っている点を話した。
これに関しては「自律神経だと思う。薬も出しているし、気長に心身の状態を整えてください」との返答。

私「汗以外は外に見えない症状で、仮病・詐病を使ってるんじゃないかと自分として判断がつかないんです。気のもの、というか。心臓の数値なんかも少し良くなってきて、主治医が『もうほとんど健康な人と変わりませんよ』と言うんですが、自分としてはだるくて息苦しくて」
医「うーん、そこらへんをあまり考えずにゆっくり休めるようになるといいんだけどね。内科の医者はね、治った良くなった、と言いたがる傾向があるんだよ。言葉のプラシーボ効果みたいな。『うん、大丈夫ですね!』っていう内科医が多いんだ。オレだって血圧けっこう高いのに『はい、よろしいですね』とか言われて、どこがよろしいんだよ!ってなっちゃった」
私「怠けてる、って母の声はだいぶボリュームが小さくなったんですけど、他の人から言われた『左うちわで優雅ですね』『私だって具合は悪いですよ。休めていいですね。休みたいけど、家族のことを考えたら休んでなんかいられないんです』といった言葉が刺さります。耳を聾せんばかりに響きます」
医「人と比べる人は、良くない人なの。人間、他の人の事情なんてわからないんだから、比べてどうこう言ったってしょうがないじゃない。思うのは自由だけど、相手に言うのはダメだね。どっかおかしいよ」

心温まるが、あんまり励ましにはならないなぁ。
やっぱり私が欲しいのは「あなたは病気」ってお墨付きなんだろう。

薬をもらい、パッ・タイとカオマンガイ受け取りに行った時に近くに自転車整理(監視人)のおじさんが立ち番してたので聞いてみた。
「あそこの店にテイクアウト取りに行って、受け取ってお金払って階段上がってくる間お店の前に自転車置いたら怒られますか?」
「いやぁ、店に入って20分30分食べるわけじゃなし、受け取る間ぐらいはかまわないと思いますよ。なんか言われたら、テイクアウトですって言えば大丈夫ですよ」
ああ、よかった。次にこういう機会があったら自転車で来よう。

今日のところは駅を抜けて自転車置き場まで歩いた。
2時間におさまっていたらしく、無料で引き出せた。ラッキー。

家に帰ってちょうど昼休みに入ったせいうちくんとお昼ごはん。
病院での話をすると、なんだか怒ってた。というより、困ってたのかな。
「先生は前に『僕のためと思って、休んでください。体を休めてください』って言ってたじゃない。身体がしんどい時は休んでよ。僕は、キミが朝すやすや寝てると、『明け方にやっと寝られたんだろうな。よかったな』ってほっとするし、昼にうたた寝してるの見ると、眠れるときに眠ってほしいって心から思うよ。先生だってキミが具合が悪いと思って診てるのに、どうしてそんなに言葉の意味が読めないんだろう。今日の話を聞いても、僕には先生が心配していることしか伝わってこない。他のことではあんなに頭脳明晰で何でもわかる人なのに、お母さんの呪いがかかってる部分ではひとつもちゃんとわからない」と、彼にしては長い長い不満を述べていた。
そうか、すいません、とちょっとしょんぼり。

くたびれたので午後は薬を飲んでお休み。
2時間ほど寝て、悪夢をたっぷりみた。
でも、今日もダウントン・アビー観て、寝る時はジョジョの「スティ-ル・ボール・ラン」を読むんだ。高見沢さまの2冊目の小説「秘める恋、守る愛」だって読むぞ。
まだまだ人生には希望がある。

と思っていたらぽつぽつ雨模様になり、結局今日も洗濯には失敗。
乾ききらないシーツや布団カバーを3回に分けて乾燥機でカラッと仕上げる。
Tシャツやタオル、下着のように細かくたたむわけじゃないから、乾燥機でも気にならない。
衣類は、くしゃくしゃに仕上がるのがイヤなんだ。
そんなぜいたくを言って天日干しにできるようになったのはここ数年の変化。
毎日洗うんだったら、いちいち手干しするの面倒くさいもん。
それにしても今年は長梅雨だ。当然、冷夏でもあろう。

27年前、息子が生まれた年もこんな風だった。
お米が獲れなくて、タイ米の炊き方やタイ米使ったメニューがあふれ返っていたのを新鮮に思い出す。
袋だけ国産米の(青沼産とか)偽装米が横行したなぁ。
そこまでして国産米を食べたいとは思わないし、タイ米も油や炭を入れたりしなくても普通に炊いて、ナスいっぱい炒めて「ベイガンバルタ」とかのサラサラカレーに挑戦し、タンドリーチキン添えて「アジア風カレープレート!」って2人で喜んでた。
新型コロナ中も、そんな風に楽しみを見つけて暮らせたらいいなぁ。

「寒さの夏なのでオロオロ歩いている(「雨ニモマケズ」は名作)。あなたが生まれた年もこんな風で、お米が不作だった」と息子にメッセージ送ったら、
息子「確かに涼しすぎるな…」
私「すでに日照時間不足で野菜が値上がりしてる」
息子「野菜高いね」
私「そういう時は『もやし』だね。安定の低価格」とやりとりが続き、会えない中でも小さな楽しみを味わった。

あの、不機嫌身勝手傍若無人息子から野菜の高騰を憂える言葉を聞くとは、想像したことがなかった。
せいうちくんと2人でじーんとした。
外に出して苦労をさせてみるものだね。
本人は好きな人との暮らしの中で自分たちの稼ぎで野菜を買って、別に苦労とは思ってないかもだけど。
若いって、いいなぁ。

今日の東京都366人にはびっくりした。
愛知167人、大阪221人で、三都市大爆発。
名古屋の友人たちも「今まで東京は他人事みたいに思ってたけど、名古屋も増えてきた」と不安そうで、お互い気をつけようね、と声を掛け合っている。
若い人よりは高齢者に近い我々だもん。

20年7月30日

生物学と人類学に長けたジャレド・ダイアモンド博士の説によると、人類のメスの排卵期が外からわからなくて女性本人からのアピールもない(そもそも本人にもよくわからないんだから)のは、子供の父親が誰がわからなくして部族の多くの男から子供が保護されるようにだそうだ。
それで、小さい時は母親に似ていて「俺の子かも」「いや、俺の子だ」と幻想を煽っておく。

このほど、少なくとも男の子に限っては、完全に成人する頃になると「実の父親」に似てくるのではないかとの疑いが濃厚。
だって、息子は小さい頃私にそっくりだったのに、25歳過ぎてからすごく顔が変わってせいうちくんそっくりになってきたんだもん。

狩猟採取生活においては女の子は母系の集団に守られているため、狩りに行く男の子ほど「実の父親」の個人的な保護や教えを必要とせず、父親に似る必要がない、というのが私の説。
生物が自分の遺伝子をより効率よく未来に残そうとしている「遺伝子の船」説を信じているので、これでほぼ全部OK。
DNAの生き残り戦略の巧みな仕組みに驚嘆しているところだ。

「似る」というのもあくまで見かけの話で、考え方などは実に私にそっくりで、コワいほどだ。
これは私に似ていると言うより、私の父、つまり息子にとっての母方の祖父に瓜二つなんだと思う。
常々「オレは20年早く生まれ過ぎた」とつぶやいていた男で、私も最近よく「自分は40年早く生まれ過ぎた」と思うもんだから、さて息子はいったい何十年早く生まれてしまったか、ほとんど未来人なのではないか、と首をかしげている。
(そのわりに趣味はレトロだ)

本の話に戻る。
純粋な知識欲で借りてきた(その証拠に「銃・病原菌・鉄」上下巻と一緒)ダイアモンド博士の「セックスはなぜ楽しいか」には楽しいことがいっぱい書いてある。
ちなみに翻訳者が原書を取り寄せようとしたところ、アメリカの書店から「この本はタイトルのせいで貴国の税関を通過できない恐れがあります」と通達されたのだそうだ。
どうやってか、一生懸命入手したんだろうなぁ。

20年7月31日

お休みを取っていたはずの金曜日、急な仕事の勃発で前日から不穏な空気が漂い、夜中遅くまで作業してたせいうちくん。
昼のリモート会議までは睡眠がとれるかと安心してたら9時頃から業務の電話が入り、追加の作業発生。
結局あんまり寝ないで会議に突入だ。
遅めのお昼をしっかり一緒に食べて、また会議←今ココ

休みの日なんだか仕事の日なんだか、テレワークだとよけいにわからない。
今さらながら皆さん、よく混乱しないで業務を遂行できてるな!
私は「せいうちくんが家にいるのに遊べない」状態に慣れるまで、頭の悪い犬みたいにずいぶん時間がかかったぞ。

英国貴族の館を舞台にしたドラマ「ダウントン・アビー」、2度目にしてまた夢中。
全然覚えてないエピソードばかりなんだが、新しいことが起こるたびに「あ、この人はこうなる人だ」とか「この件はこうもめて、こう決着がつくんだった」とか、するすると毛糸のセーターがほどけるように思い出す。

この「2周目フルマラソン」も第5シーズンに突入して、いろいろおっ始まる前奏曲状態。期待と緊張が渦を巻く。
もしかしたら最終回まで行けるかもとの期待が高かった、昨日の晩から日曜まで続くはずだったダウントン祭りはまだ始まらない。
今夜は私の中学女子会ZOOM飲みがあるから、それが終わってからの祭りかしらん。

全部観られたら、せいうちくんの職場の「最近全部観たご夫妻」をそそのかして映画版に誘い込み(まだ観てないとしたら、だが)、すべて完了後に「ダウントンを語るZOOM飲み会」を開催するんだ!と野望は果てしない。
観てすぐ語らないと、忘れてしまうことが多すぎる。
5年前にあんなに熱心に観た「1周目」だって全部忘れてたんだから。
3姉妹がそれぞれどうなるかだけは覚えていたはずが、次女は結局最後どうしてああなったのか、ここまで来てもまだ思い出せない。
生きてるうちにもう2周ぐらい楽しめそう。

15時の小池知事会見によると、東京都の新罹患者463人。
昨日の367人から一気にはね上がった。
名古屋はどうなってるだろうか。今夜の女子ZOOM会の話題はそこに集中しそう。

あ、今せいうちくんの仕事終わった。
今は今の生活を楽しもう。ダウントン祭り突入!
(しかしせいうちくん、眠そう)
ああ、電話かかってきた。
17時現在、今日の仕事はまだまだ終わらなさそう…(涙)

20時からのZOOM会にメインPC使わせてもらえるか、わかんなくなってきたぞ。
iPad ProでもノートPCでもできるけど、メインのカメラが一番映りがいいのよね。俯瞰で、画質が良くて。
女子会でこそ映えたい百合気味な自分。

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